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#1569: eSIM で T-Mobile ネットを試用、App Store 白書、最良の Mac 用サイト特定ブラウザ、OS 公開ベータ

Apple の次期オペレーティングシステムを試してみたくてウズウズしている人たちのために、Apple が macOS 12 Monterey、iOS 15、iPadOS 15、watchOS 8、tvOS 15 の公開ベータ版をリリースした。また、Apple は米国議会と連邦取引委員会の圧力から App Store 方針を守るため渉外活動の戦いを続けているが、最近リリースした白書の中で Apple が述べた主張について Glenn Fleishman が分析する。iPhone で自社に乗り換える人を増やそうと、T-Mobile は Network Test Drive プログラムを簡単に使えるように、最近機種の iPhone にある eSIM 機能を利用して iPhone を現在のキャリアでそのまま使い続けつつ T-Mobile の 5G ネットワークも使えるようにした。それからもう一つ、Google Docs で仕事をしていてそのタブがウェブブラウザのたくさんのタブの中に埋もれてしまうので具合が悪いと思っている人たちのために、Adam Engst が Mac 用に数多くあるサイト特定ブラウザを比較する。今週注目すべき Mac アプリのリリースは Fantastical 3.4.1、Pixelmator Pro 2.1、VLC Media Player 3.0.16、それに Carbon Copy Cloner 6.0.2 だ。

Josh Centers  訳: Mark Nagata   

Apple、macOS 12 Monterey、iOS 15、iPadOS 15、watchOS 8、tvOS 15 の公開ベータを開始

Apple が macOS 12 Monterey、iOS 15、iPadOS 15、watchOS 8、tvOS 15 の公開ベータ版をリリースした。これであなたも SharePlay や Focus のような新機能を試してみることができる。

いつも言っていることだが、Apple はすべての人がこれらのベータ版を入手できるようにしているけれども、あなたが何かのために、そう、どんなことについても、頼りにして使っているデバイスにこれをインストールするのは愚かなことだ。Apple が開発プロセスを改善してきたお陰で、初期のベータ版さえかつてに比べればずっと安定していると言えるけれども、それでもなおバグや互換性の問題に間違いなく遭遇するだろうし、さらにはデータ喪失の可能性さえ十分にある。

これらのベータ版を専用のテスト用デバイスのみに限定すべきであるのはもちろんだが、ベータ版を使ってあなたのメインの iCloud アカウントに接続することもしない方がよい。何らかのバグによってアップストリームの問題が起こることがあり得るからだ。例えば、Photos ベータ版の不具合によってあなたがカスタマイズしておいたアルバムが全部消えてしまったら困るだろう。オペレーティングシステムの新バージョンをインストールする前にバックアップを作成することは常にお勧めしているけれども、ベータ版ではあまり意味がなく、むしろいつでもデータ喪失の心配をせず躊躇なくすぐに消去できるもの以外には決してベータ版をインストールすべきでない。

watchOS 開発者でない限り、watchOS のベータ版のインストールはしない方がよい。Mac や iPhone や iPad や、さらには Apple TV でさえ、インストールで損傷を受けた場合に元通りに回復させるための手段が用意されているが、Apple Watch にはそのような手段がないからだ。もしも特定の種類のトラブルに見舞われたなら、Apple Watch をリストアするために Apple の援助を要請しなければならなくなる。

これらのベータ版のどれかを試すには、Apple の public beta ページに行き、オペレーティングシステムを選んで、指示に従う。通常、まずあなたのデバイスに特殊なプロファイルをインストールしてから、その後で Software Update を通じてオペレーティングシステムをアップデートすることになる。

最後にもう一言。公開ベータ版をテストする主たる目的はあなたがバグを報告することにある、という点を忘れてはならない。だから、あらかじめ David Shayer の記事“修正が実現するように Apple にバグ報告する方法”(2020 年 6 月 17 日) を読んで彼のアドバイスを頭に入れておこう。

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Julio Ojeda-Zapata  訳: Mark Nagata   

既存の iPhone の eSIM で T-Mobile の 5G ネットワークを試用

ある程度高速の 5G セルラーデータサービスでかなり広い受信地域を持つものを探している人にとって、T-Mobile が米国における魅力的な選択肢であることが分かってきた。最近の記事“iPhone が 5G に対応、でも実際に使ってみたらどうなのか”(2020 年 11 月 19 日) でお伝えした通りだ。

このキャリアにとっての難問は、AT&T と Verizon という二大巨人からユーザーたちを乗り換えさせることだ。つい最近まで、この二つの会社が大きな市場シェアを占めていた。昨年、T-Mobile が Sprint と合併したことにより、条件がいくぶん平等に近付いた。

その目標に向けて、T-Mobile は積極果敢に無料の“お試し”を繰り出してきた。2014 年に T-Mobile は私に iPhone 5S を貸し出して、無料でそのサービスを使わせてくれた。これは決して報道関係者向けの特典ではなくて、誰でも申し込めば借りることができた。最近になって T-Mobile は潜在顧客に対して無料の 5G サービスの付いた Wi-Fi ホットスポットを送付していて、受け取った人たちが自由にそのデバイスを他の人に貸してお試しを広めることができるようにしている。

そして、最新のお試し方法として、T-Mobile は最近のモデルの iPhone、つまり iPhone XS、XS Max、XR およびそれ以降を持っているユーザーを対象に、同社のサービスを一時的に無料で使えるようにした。その際に利用したのは、それらの iPhone に搭載された eSIM 機能だ。

eSIM は、物理的な SIM カードと完全に同等なデジタル製品だ。現代の iPhone の多くは、物理的な SIM のためのスロットを備えるとともに eSIM にも対応している。つまり、その iPhone が2つのキャリアの間で行き来できる。Apple はこれを Dual SIM と呼んでいる。

T-Mobile が巧みに利用しようとしているのがこの Dual SIM のやり方で、これを使って T-Mobile の受信範囲と速度を試してみることができる。

T-Mobile の Network Test Drive プログラム (iPhone 向け) は Test Drive アプリを提供しており、このアプリを使って手早く iPhone 上でそのサービスをアクティベートできる。あなたの主たるサービスを削除する必要もないし、実際これは主たるサービスに一切影響を与えない。割り当てられた電話番号で無制限に音声通話とテキストメッセージが使え、30 日間または 30 GB (先に到達した方まで) の 5G データサービスが受けられる。

セットアップはあっという間!

Network Test Drive に参加するためには、その iPhone のロックが外され、(当然のことだが) 現時点で eSIM 機能が使われていないことが必要だ。Test Drive アプリをダウンロードすると、まずこのアプリがその iPhone をチェックしてから先に進む。

それ以後はあっという間にインストールが進む。課金情報は不要だ。ほんの少数の手順をアプリが手引きして、T-Mobile ("secondary" キャリアに割り当てられる) をその iPhone の主たるキャリアと並べて設定する。

セットアップのオプションのいくつかは分かりにくいかもしれないが、私は T-Mobile が賢明な選択をしていると思う。外向きの通話、テキストメッセージ、iMessages、FaceTime 通話については主たるキャリアの方をデフォルトのままにして、T-Mobile の二次的回線をセルラーデータのデフォルトに設定するように、このアプリが推奨する。そうすることで、あなたが誰かに電話をかけたりメッセージを送ったりする際にはいつもの電話番号が使われ、eSIM に T-Mobile が割り当てた一時的な電話番号は使われない。一方セルラーデータについては外向きの電話番号は無関係なのだし、そもそもそのために T-Mobile ネットワークをテストしたいのだから。

T-Mobile Test Drive setup

でも、ここでデフォルトについてあまり思い煩っても意味はない。Network Test Drive のインストールが終わった後でも、いつでもセルラー設定の調整をやり直すことができるからだ。

私はこれまで自分の iPhone で2つのセルラープランを使ったことはなかったので、Control Center の左上に2つの信号強度バーが並ぶのは目新しかった。

Dual SIM signal bars

いずれのアカウントについても、他のところでアクセスでき、設定もできる。Phone アプリで、外向きの通話でどちらの回線を使うかを選べる。試しに誰か友だちに電話をかけて (必ずあらかじめその友だちに新しい電話番号のことを言っておこう) 音声品質を調べてみるとよいだろう。

Selecting the dial-out line

Settings に入れば、お試しから最大限のものを得る役に立つオプションがたくさんある。以下のようなことができる:

Dual SIM settings

すべての設定を終えたら、速度テストを実行してみて、あなたがいる地域での T-Mobile のデータサービスがどんな状態かを見てみよう。iPhone や iPad では、人気のある Ookla のSpeedtest アプリを使ってもよいし、"speed test" を Google 検索して Google のインタラクティブな速度テストを試してもよい。

Running speed tests

eSIM の興隆は近い?

T-Mobile の Network Test Drive が巧妙なマーケティング戦略だと言えるのは、潜在的顧客を即座に同社の 5G サービスに触れさせるられるからだ。

T-Mobile は“中帯域”のサービス (Sprint との合併の副産物) で注目すべきだ。これが、受信地域と速度との良いバランスを達成している。米国の三大キャリア各社が提供する高帯域ほど超高速ではないが、そのような高帯域が特定の都市のそこここで利用できるに過ぎないのに比べて、中帯域はかなり広い地域をカバーしている。この点がまさに T-Mobile の強みであり (もちろん、ライバル各社も競って領域を広げているので、いずれは強みでなくなるだろうが)、T-Mobile はそこを強く押し出している。

そこのところが私の心に響く。もし私が T-Mobile への乗り換えを検討中だとしたら、手早く Test Drive アプリをインストールして、ほんの数分でセットアップを済ませるだけで、100 Mbps を超える (時には 200 Mbps さえも超える!) ダウンロード速度が St. Paul 市にある自宅の中で、この目で見て実感できるのだ! それは、私が使っているワイヤードの Comcast Xfinity ブロードバンドサービスで得られる速度の倍以上だ。アップロード速度は大幅に変動するが、たいていは一桁という耐え難いほど遅い Comcast のアップロードよりはずっと高速なことが多い。

T-Mobile の Test Drive はこの会社の市場への野望を超えた意味合いも持つ。とりわけ、eSIM の利用に関する点が重要だ。これは他のキャリア各社に対しても、iPhone や、一つあるいはそれ以上の eSIM に対応した機種の Android フォンを持っている人々に対して同様のお試しを提供しようというあからさまな呼び掛けとなっているだろう。

今もまだ本当らしく聞こえるマーケティング用の言葉の中で T-Mobile が言っているように、「90% 近くの人たちが購入前にワイヤレスネットワークを試してみたいと思っている。それなのに、ワイヤレスは今この世界にある業界の中で顧客が購入してからでないと試すことのできないものの一つだ。」

eSIM に何ができるかを多くの人たちが知るようになれば、他の目的にも人気が集まることだろう。Apple は次のような用例 を挙げている:

もしも近いうちに eSIM の用途が急増したなら、それは T-Mobile のお陰かもしれない。ワイヤレスネットワークのお試し方法として eSIM を使うやり方に、私はすっかり感心してしまった。

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Glenn Fleishman  訳: 亀岡孝仁  

Apple、白書で iOS App Store の厳格な管理を正当化

23 June 2021 に、Apple は同社が米国政治における左派右派連合が今日のデジタル時代における反トラスト法を再定義しようとする動きを押し返す白書をリリースした。Apple の白書、"数百万のアプリに対する信頼されるエコシステムを構築する:App Store 保護の重要な役割" は、iOS App Store での神経質な管理を、ユーザーをマルウェアや個人情報の漏洩から守りたいとの切望に由来しているのだとして正当化しようとしている。

この白書の要点を簡単に説明した後、私は Apple の立場は理に適っているかどうかを見てみたいと思う。

Apple、自由放任の危険性を警告

Apple 機器の所有者そしてその技術や反トラストの政治活動を追いかける人は、Apple の核となる論点を既にご存じであろう。この白書の中で、同社は全てを系統立ててテーブル上に並べた。それは来るべき議会聴聞会のための討論要約であり、そして米国下院で進行中の6つの関連法案に先立って自らを守ろうとする同社の試みでもある。これらの法案は、プラットフォームが競合社に門戸を開くこと、そしてより大きなユーザーアクセスを許す、等々を求めている。

新たな法律を必要としない規制措置も進行中である。最近承認されたばかりの Federal Trade Commission の委員長である Lina Kahn は、独占企業が短期的な低価格を提供することすら消費者を害する可能性あるとする反トラスト分析のために彼女が展開する哲学を持ち込む。彼女の立ち位置は、Department of Justice が何故電子本の価格に対して、Amazon ではなく、Apple を追いかけるのはより長期的な見地に立ってみると意味をなさないかを説明している。何故ならば、それは Amazon に、その優位性を強めそして市場をさらに支配することを許したからである。彼女の観点は当時の一般的な反トラスト枠組みと正反対であった。そして、彼女の起用は Biden 政権の、競争促進に向かう新しい道を支持する Robert Bork 時代の消費者被害に重点を置く反トラストからの決別を示唆している。1 July 2021 に、Kahn は FTC 委員会の Bork の観点を再確認した 2015 FTC メモを無効にする投票で 3-2 の勝利を勝ち取り、政策を見直す第一歩と見做されている。

法や規則の変更は、Apple に iOS と iPadOS が サイドローディング を許すこと求める事になるであろう。サイドローディングとは、公式のストアを経由する事なくソフトウェアをインストールすることである。Google の Android プラットフォームは既にこれを許している。下院における当該法案の現在の草稿lは特定のやり方を規定していないので、Apple は如何なるアプリの自由なインスタレーションをも許すアップデートをリリースする必要なない - そうするための何らかの能力があれば良い。問題の文言は以下の様である:

当該プラットフォームを運営する者が、通商において、或いは関連して、以下をする事は違法である

(1) 当該プラットフォーム運営者自身の製品、サービス、或いは取扱商品に対して使用可能な同じプラットフォーム、オペレーティングシステム、ハードウェア及びソフトウェア機能へのアクセス、または相互運用するビジネスユーザーの能力を制限或いは妨害すること;

Apple の白書は極めて読みやすく説得力ある論議を展開しているが、26 ページもある。要約すると:

この白書は次に App Review プロセスを説明する。そこでは、人間及び自動化されたシステムが提出されたアプリを、言っていることをするか、悪意はないか、そして誤解を招きやすくないかについて検証する。この章で、Apple は、そのプライバシーと購入機能の中には - プライバシー限界、子供に対する購入管理、そして定期購読管理が含まれる - サイドロードされたアプリによって無視されたり上書きされたりする可能性のあるものが出てきて、望まない露出、毎月発生する課金、或いは子供による購入等の原因となり得ることも記している:"これらの管理はサイドロードされたアプリでは十分に実行され得なかった。" (過去形に注目!)

これは全て形の上では極めて理に適っているが、一方では、二つの別な疑問を呼び起こす:何故これらの同じ問題が macOS には適用されないのか? そして、これは今日の状況とはどう違うのか? Mac から始めよう。

何故 Mac は違うのか?

Mac も既にサイドローディングについての懸念に晒されているのでは? macOS には3層のアプリインスタレーションがある。最初の層は、Mac App Store からのアプリだけを許す。二番目の層は、Mac App Store アプリに加えて、脆弱性とマルウェア試験段階 (公証として知られている) を通り暗号論的に Apple によってサインされたアプリを許す。もしこの第二層オプションがあなたの信用するアプリを起動するのを妨げる場合、Finder で一連の手順を経てサインされていない或いは公証されていないアプリを開ける。この第三層は (特別の手順無しで)、Mac App Store がmacOS に登場する前は勿論のことステータスクオであった。

この第二、及び第三層の選択肢は、遡及的にサイドローディングになっており、そして多くのユーザーが自らの Mac ソフトウェアを手にする主要な手段として残っている。その理由は、開発者が Mac App Store を通して売りたがらないからかも知れないし、或いは、問題のアプリが - TidBITS 編集者が愛してやまない Keyboard Maestro の様な - App Store のサンドボクシングや他の記述要件を満たせないが機能は十分に果たしているからかも知れない。

Apple の反応は Mac の位置を下げることである。曰く、十億を超す人が iPhone を毎日使っており - iPad や iPod touch 所有者に対する愛情はここにはない - その結果:

この大きなユーザー基盤は、サイバー犯罪者やペテン師達にとって魅力的で金になる標的となるであろうし、サイドローディンを許せば iPhone への攻撃への新たな投資の波を喚起することになるであろう。その攻撃の規模は Mac の様な他のプラットフォームとは比較にならないであろう。

それには一理ある - macOS と iOS は、どの様に使われるかとどの様に攻撃に晒されるかの両方の点で、生きる世界が全く違う。現時点で、iOS はほぼ例外なく政府主体に対して脆弱である。何故ならば、それは余りにも閉ざされているので、見つかる不正攻撃は何であれ、それ故に、犯罪者、活動家、そして対立する政治家を監視そして妨害したいと思っている政府にとっては信じがたい程価値のあるものとなる。(政府によっては、活動家や対立する政治家を犯罪者と規定している。) 近年、パッチが必要となった iOS 不正攻撃は山程あるが、広範囲に攻撃されたものは何もなかった一方で、個人や少人数グループの標的に、例えばある国のジャーナリストの様な、対して狙いを定めて展開されたものもある。

効果的な iOS 欠陥を見つけたハッカーや研究者は、三つの道の内の一つを選べる:Apple に報告し可能な場合には賞金を要求する、Apple がパッチする前か後に個人的或いは職業的理由から公に報告する、或いは不正攻撃をパッケージして政府に売る会社にか国に直接売る。

Windows や Android に対する不正攻撃は、その発見者にとって更なる金儲けの機会を提供する。ハッカーがマルウェア内で不正攻撃を仕掛けるのは儲かるし時には危険性もより少ない。内容は、ランサムウェアから報酬を得る、財務情報を引き出す、暗号資産の残高をハイジャックする、或いはソフトウェアを悪意の仲間に賃貸しする等である。

iOS 不正攻撃はもっと希でそして高く売れるが (或いは、評判の良い研究者に更なる信用を提供する)、気付いていない受け手に対して仕掛けるのは限定的だし難しい。(牢破りも可能だが、機器の所有者が数々の微妙な手順を踏むことに依存する。) その内の一つ或いは組合せに頼って、金儲けをしようとするのは余り賢いとは言えない。Windows や Android には広範囲なバージョンが存在しており、そして機器のかなり多くの部分はパッチされておらずかつパッチが出来ないので - Windows の海賊版や Android のフォークの様な - 多数の脆弱性を持つユーザーを標的にするのは簡単である。

Windows PC、Android 電話、そして iPhone に比べれば、使われている Mac の数は少ない。議論の余地はあるかも知れないが、Windows 10 は macOS 11 Big Sur と同等かより良いセキュリティを提供する。しかし、証拠はハッキングにある:macOS に対する効果的で、広範囲に亘ったランサムウェアや他のマルウェアは長い間存在していない。悪人達が Mac を避けるのは、それはインストール基盤が小さい、或いは不正攻撃するのに手が掛かるかで儲からないからである。

プライバシーを犠牲にせずにサイドローディングに対する需要を満たす組合せの解を Apple は作り出せないのであろうか? 論議はあるかも知れないが、Mac App Store の公証とサインの層はそれを提供するが、それは Apple の Developer Program への定期購読と Apple の条件に従うこと、そこには自動化された検証過程を通ることが含まれる、を必要とする。

Apple はサイドローディングからの抜け道を交渉出来ないか?

Apple の関与無しの自由なサイドローディングはとんでもない考えであろう。それはまさしく Apple が、ユーザーに macOS の中でサイン無しの公証されていないアプリを開くために色々な関門を通り抜ける事を要求する理由でもある。もし Apple が iOS を保護無しでサイドローディングに解放してしまえば、それは Ghostbusters (1984) のシーンになってしまうであろう。そこでは、政府の役人が エクトプラズム (半物質) 封じ込め部隊を停止させるのに成功する。大勢の個人、組織犯罪、そして既に日夜に拘わらず iOS を突いている政府支援のハッカーによって開発され展開された数千万のマルウェア変異種が毎年現れている。

自由なサイドローディングはユーザーに最善なものではないかもしれないが、Apple は押し返すのに中世期の築城戦略 (モットとべーリー) を使っている:批評家に不人気で Apple が好きな立場 (べーリー:城郭) を主張するのではなく、同社はつながったより防御的な立場 (モット:小山) を押し進めている。Apple の目標は、そのプラットフォームの完全な制御と通り過ぎる全売上げの寛大な分け前である。この場合、これはべーリーである - Apple が欲するものだが、公に口に出せば防御は難しくなる。モットは、Apple のより守りやすい立場、スマートフォンユーザーが安全で守られていると願う所である。論理的な誤りは、一旦手綱を緩めれば、iOS は野蛮人達の手に落ちた Rome の様に簡単に落ちるであろうとする Apple の主張であろう。でも一方では、実際、Apple のエコシステム自身の中に反例がある。

Apple は現在、macOS モデルと non-App Store インスタレーションに対する企業サポートの両方を提供している。Michael Tsai は、この白書に対する反応を纏めたブログ記事の中でこれを書いている、"企業は前から従業員に特定のアプリをインストールすることを強制出来、そしてこれらのアプリはもう既に Apple の企業プログラム経由で App Review をバイパス出来ている。" (学校はアプリを生徒にプッシュするのにこれを使うことは出来ない、従業員だけである。)

もし Mac ユーザーがサインのない公証されていないアプリに対して余り明白ではない手続きで "サインされ公証されたアプリ" として心を許すことが出来、そして企業はアプリを作成し何百万もの従業員に対してリリースすることを許されているのであれば、個人ユーザーにもまたある程度の制御力が与えられない理由はあるのであろうか? Apple はまた隠された XProtect と MRT (Malware Removal Tool) を持っており、上記した公証とサインの第三層経由でインストールされたものも含んで、全てのアプリを監視することも出来る。

Apple は極めて家父長的で、この白書の要約は "我々は何があなたにとって最善かを一番良く知っている。信じて下さい。我々はあなたを守っています" と言うものなのであろうか? これは、暗黒世界のヒーロー映画やテレビ番組の冒頭部分の様に聞こえる。最近のものを拾っただけでも、The Tick (season 2), Invincible そして The Boys が挙げられる。(奇妙な話だが、これら三つの番組は全て Amazon が制作したものである。Jeff Bezos は我々に何か言おうとしているのであろうか?) 我々自身のためと言うよりも、他の人を益する世界の中に我々を閉じ込めておくための過剰保護が存在しているのであろうか? また、Apple が保護者的統制主義のトーンを正当化するのは、低俗な商売人や組織犯罪たちからの脅威の毒を考えれば、きっぱりとした対応は欠かせないと同社は本当に信じているからだと言う解釈も当然あり得る。

もっと良いやり方は、Apple がある種の妥協点を見いだすべく、開発者、顧客、議会、そして Biden 政権 (そして EU や他の国々とも) と協議する事かもしれない。その過程で、同社は、App Store 限定のインスタレーションに対するもっと広範囲に議論された代替策と引き換えに、財務力の一部を放棄する手もある。

Apple が譲歩出来そうな分野を幾つか挙げてみる:

Apple の白書は、消費者にもっと多くの選択肢を与えそしてより少ない管理の影響下に置きたいとする米国議会と FTC の願望を思い止まらせるには十分であろうか? とても十分には見えない。(資金潤沢なロビー活動の様な、他の力も見くびってはいけない。) 私の考えでは、Apple は、消費者を守ると言う基本的な役目を、唯一の門番であり かつ 料金徴収員であること無しに、自らが果たすべきだという主張を正当化するためには、その管理力の一部を引き換えに手放さなければならない。

Apple と規制者側は、上記の私の進言に迄至らなくとも、妥協点に到達するかもしれないが、この白書は Apple の論点の一部についてしか説得力を持っていない。そして、テック巨人の話になると、通路の両側に分かれた米国政治家達を手を結ばせるようにする何かがある。進歩派、保守派、そして他の政治的色彩を持つ人達が共通点を見いだすことは最近では希であるが、Big Tech のコンテンツチェック、消費者管理と保護の不足、そして納入業者に対する強権行動について不満をぶちまけることになると、皆が一致する。異議を唱える人はどの政治会派にも見られるが、全体としては少数派であるように見える。

結言

終わりに二つのことを追加したいと思う。最初に、Apple は奇妙にも、"一つの研究によると、Android を走らせる機器は iPhone よりも悪意を持つソフトウェアに感染する割合が 15 倍高い" と記している。その脚注は Nokia の 2020 Threat Intelligence Report 2020 を指している。その引用は間違っていないが、結構奇妙な統計である。この報告によると、平均で 0.23% のモバイル機器が毎月感染していると見込まれている。地球上では、およそ 20 億台の Android と iOS/iPadOS スマートフォンやタブレットが使われている事を考えると、上記の数字からは、どんな時でも、およそ5百万台が感染していることになる...そして、その内 300,000 台以上が iPhone だと言うことになる。この数字は、我々が iOS セキュリティについて知っていることからすると極めて高い様に見える。

第二に、この報告書は、元々 apple.com に載せられた Steve Jobs からの一種のブログポスト/公開書簡からの 2007 年の引用で始まっている:

我々は、対角線上に対立する二つのことを同時に成し遂げようとしている:先進的で開かれたプラットフォームを開発者に提供すること、そして同時に、iPhone ユーザーをウィルス、マルウェア、プライバシー攻撃、等々から守ること。これは決して簡単な仕事ではない。

この脚注を辿ってみると、Apple はこの公開声明に対する固定リンクを使用していないことに気付かれるであろう。14 年前の見落としのせいで、Apple は信頼出来る第三者資源を指し示さざるを得なかった。それは Apple ユーザーによって 31 年以上に亘って信頼され、そして、三つの全く異なった Web 出版システムを超えて、記事に対する古い URL が壊れないよう何十年もの間頑張ってきたものである。

その通り、それは昔のちょっと若い頃の我々である。Adam Engst の母は何年もの間 Cornell University Archivist であった。そして私は彼女が息子と義理の娘を誇りに思っている事を願う。

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Adam Engst  訳: Mark Nagata   

Google Docs に最良の Mac 用サイト特定ブラウザ

私はライターなので、言わばワードプロセッサの中で生活している。具体的にどのアプリを使って TidBITS の仕事をするかは年月と共に変わってきた。最初は Nisus Writer Classic で、それから BBEdit になり、今は Google Docs を使っている。Nisus Writer Classic を使っていた頃は、ファイルで共同作業をするために AppleShare over IP の走るファイルサーバを使い、古典的な IN (つまり編集作業をすべきもの) と OUT (誰かのためにチェック済み) のフォルダ/バージョニング/改名スキームを使っていた。BBEdit の時代には、バージョンコントロールシステム Subversion の共同作業機能を使うようになって、基本的に私たちのテキストをプログラムのコードと見なして扱うようになった。(2006 年 4 月 3 日の記事“求む: より良い書類協同編集システム”参照。) その後、私たちは現在使っている WordPress ベースのコンテンツ管理システムへと移行した (2017 年 11 月 20 日の記事“次世代の TidBITS 基盤を鋭意開発中”参照) のを機会に、記事の執筆と編集のすべての作業を Google Docs へと切り替えた。優れた共同作業機能が備わっているからだ。

もちろん、Google Docs はウェブアプリなので、デフォルトの状態では何らかのウェブブラウザの中でたくさんあるタブの一つとしてしか存在しない。私にとってそれは到底我慢できない。なぜなら、私はたいてい複数個の書類を開いている上に、他に読んだり、参照したり、操作したりすべきタブも大量に開いているからだ。("やあ、僕の名前は Adam、僕はタブ中毒さ。") 結果として、私はいつもサイト特定ブラウザ (SSB, site-specific browser) の中で Google Docs を走らせている。SSB というのは、特定のサイトまたはサイトの集まりを一つの独立動作のアプリに変えて、Dock でも、App Switcher でも、他のところでもちゃんとした一人前のアプリとして挙動するようにしたものだ。それに加えて、私はいつでもどんなアプリにいても F1 を押すだけで自分の主たるワードプロセッサに切り替わるようにしている。これは Keyboard Maestro のマクロなのだが、私は Keyboard Maestro が存在するより以前から同じことをしていた。

Google Docs を独立動作のアプリに変えたいという望みに加えて、私には他にもいくつか要求したいことがある:

数年間にわたって、私は Epichrome という無料の Chrome または Brave ベースの SSB を使ってきた。これは、Github ユーザーの dmarmor が作ったものだ。(2015 年 3 月 6 日の記事“Google Chrome でサイト特定ブラウザを作ろう”参照。) Epichrome は BrowserFairy または Choosy の援助さえあれば上に挙げた基準すべてを満たしていたけれども、最近大きなアップデートを経た結果、Google Docs でクリックした外部リンクをアプリ内部で開くと共に私のメインのウェブブラウザにも送るようになってしまった。苛立たしい重複だ。私はこれをバグとして報告したが、その後間もなく dmarmor は 2021 年末をもって Epichrome の開発を終了すると発表した。

Epichrome の暗い行く末が定まったと知って、私は他のものを探す時が来たと決断した。そうして見つけたものをいくつか、以下で紹介しよう。他の Mac 用 SSB で私の基準を満たしているものをご存知ならば、どうぞコメントでお教え願いたい。

Coherence X

BZG の Coherence X は数多くのウェブアプリからクリック一つで簡単に SSB を作成でき、設定オプションも提供していてアプリの名前と最初に開く URL を設定できる。もちろん、他のどんなサイトでも好きなように SSB を作成できる。

Basic setup in Coherence X

Coherence X の高度なオプションは重要だ。Get App Icon ボタンを使って、異なるアイコンをウェブからダウンロードしたり、Mac 上にある画像ファイルを選んだりできる。("アプリ名 icon" を Google Images 検索すればたくさん選択肢が見つかる。) Browser Engine ボタンで Chrome、Brave、Edge のうちから選べる。いずれも Chromium ベースのエンジンだが、Chrome には遍在性、Brave にはプライバシーがある、うむ、Edge にも何かあるかもしれない。(既にインストールしてある場合には Google Chrome Canary と Opera も選択肢に加わる。) それと、三つのボタンの右側にある小さなスライダーのボタンからさらなる設定項目にアクセスできるが、ここにもあなたが必要とするものがあるかもしれない:

Advanced options in Coherence X

Coherence X は BrowserFairy とも Choosy ともうまく働く。Chromium ベースのブラウザなのであらゆる Chrome 拡張をインストールでき、Grammarly も使える。(BZG によればブラウザから拡張やプロファイルを読み込んでそれを組み込んだ SSB を作成できるとのことだが、私はその機能を見つけられなかった。でも私には重要なことではない。Coherence Helper で一時的にどんな URL でもブラウズできるように設定しておけば、Grammarly を簡単にインストールできる。) そういう訳でこれは私の希望をすべて満たしており、現在のところこれが Epichrome を置き換えるべき私の第一選択肢だ。

一つだけ不満がある。Google Docs でリンクをクリックすると、 Coherence Helper 拡張がそれを Brave に送ろうとするよりも前に Coherence X の SSB がすぐに新しいタブを開こうとする。結果として、新しい空のタブが一瞬開いてから、即座に閉じることになる。見栄えは最悪だが、Epichrome がすべてのリンクを新規タブと Brave の両方で開いていたのに比べればずっとマシだ。

Coherence X4 には試用版があって、3 個の SSB を無料で作成できる。それ以上作りたい場合は、$29.99 のライセンス料金を払うか、または月額 $9.99 の Setapp 購読の一部として入手することもできる。

Chromeless

名前から推察できるだろうが、Chromeless はどんな Chromium ベースのウェブブラウザからでも SSB を作成でき、その選択肢は Coherence X よりも多い。他のものたちと同様、ウィンドウのみ ("standard") の SSB もタブ付きの SSB も作れる。

App overview screen in Chromeless

けれども、Chromeless は“標準的”な WebKit ベースのアプリも作ることが可能で、それはつまり基本的に Safari をカプセル化できるということだ。さらには Firefox エンジンを持つタブ付きアプリを作成する実験的機能もあると主張する。人によってはそのような柔軟性が重要だということもあるだろう。私の場合は Grammarly が使えさえすれば満足で、Chromeless は Brave エンジンを使って問題なくそれができる。

Available browser engines in Chromeless

Chromeless ではどんな SSB でも基準 URL を編集でき、一般的な良いウェブブラウザと同じように起動し直しても開いたタブを記憶しているが、私の SSB では既にタブを開いていても起動し直す度にいつも新規の Google Drive タブを開くように見えた。その点が少し苛立たしいのに加えて、SSB の名前もアイコンも編集できない。

これは SSB をウェブブラウザとして登録するので、BrowserFairy も Choosy も受け取った docs.google.com URL を SSB に振り向けることができる。当初、そう設定するのがなかなかうまく行かなかった。それは、Chromeless がデフォルトで標準の Applications フォルダでなく ~/Applications/Chromeless の中にアプリを作成するからだ。どうやらこれは Chromium ベースのブラウザでは標準的なことらしいが、やはり私には驚きであった。ただ、これは環境設定で指定でき、どこでも好きな場所にアプリをインストールすることが可能だ。

残念なことに、Chromeless は Chromeless Helper 拡張をインストールするけれども (おそらくこれは URL へのクリックを処理するためだろうが)、オプションがなく、リンクを私のデフォルトのウェブブラウザへ向ける方法を見つけることができなかった。なので、Chromeless でリンクをクリックするとすべて Chromeless 自体の中で開く。これは大問題だ。

良い面を言えば、Chromeless は無料でオープンソースであり、Windows 用や Linux 用もあるのでそれらのプラットフォームで SSB を使いたい場合には役に立つ。あとで述べる WebCatalog の背後にある会社がこれを開発している。

Flotato

You say Flotāto, I say Flotăto
Let’s call the whole thing off.

[訳者注: Let's call the whole thing off は 1937 年の映画 Shall We Dance の中で Fred Astaire と Ginger Rogers が歌った歌です。]名前は大好きなのだが、Flotato は私にとってはほとんどあらゆる意味で無用の品だ。起動時に、アイコンで一杯のウィンドウが開き、どれかの Get ボタンをクリックすれば SSB が作成される。いったんアプリができれば、他の普通のアプリと同じように Applications フォルダの中に置かれるし、Flotato から Open をクリックして起動することもでき、どんな URL からでも SSB を作成できる。

App overview screen in Flotato

もちろんそれは良いことなのだが、Flotato が作成するアプリはすべてウィンドウベースであって、タブベースではない。Google Docs アプリを作成できるし、私の Google Drive URL が開くように作ることもできるけれども、そこで書類を開けばそれだけがウィンドウ全体を占めるようになる。別の書類を開きたいと思えば、App > New Window を選んでもう一度 Google Drive を開き直さなければならない。Flotato はウィンドウサイズも記憶しないので、新たなウィンドウが開く度にリサイズする手間がかかる。

Flotato がその内部で何を使って SSB を作成しているのか私は知らないが、おそらく WebKit を使っているのではないかという気がする。Chrome 拡張に対応するか否かの記述がどこにも見当たらないからだ。Flotato にモバイル版のウェブアプリを表示するよう命じることもでき、それによって軽量のウェブアプリで最小限のインターフェイスを持ちモバイル版としてうまくデザインされたものを使えるので便利なこともあるだろうが、Google Docs に関しては何の意味もない。Google Docs は大きなサイズの環境で使うものだからだ。

Error in Flotato

その上、Flotato は SSB をウェブブラウザとして登録しないので、BrowserFairy や Choosy が docs.google.com URL を Flotato SSB に送ることができない。デフォルトで、Flotato の中で Google Doc の中のリンクをクリックすると新たなウィンドウが Flotato で開くが、Shift-クリックすればデフォルトのブラウザで開く。いや、少なくとも理論的にはそうなるはずだ。実際には、私が Shift-クリックを試みたうちの半分くらいはアプリケーションが開けませんでしたというエラーに終わった。

一度に一つずつの Flotato アプリならば無料で使える。次を開く前に終了すればよいだけだ。好きなだけ多くの Flotato アプリを同時には知らせるためには、$19 支払って Flotato Pro にしなければならない。

Fluid

Fluid は長年 Mac 用に存在してきたけれども、私がうまく使えたことは一度もなかった。新規に SSB をセットアップするには、URL とアプリの名前を指定する。また、新しいアプリを置く場所を選んだり、サイトのファビコンを使うか、あるいは別の画像を使うかを選んだりできる。

Setting up an SSB in Fluid

でも、そこから先は悪化の一途だ。まず、Fluid は私たちが Google Docs で使っている Proxima Nova フォントを表示できず、その代わりに何かセリフ付きフォントを使う。とにかく奇妙だ。ツールバー (一番上にアドレスバーとボタンが出る) を表示するように設定でき、するとその下にブックマークバーとタブバーが並ぶ。おそらくこれは Fluid が Big Sur のデザインに対応するようアップデートされていないからなのだろうが、上の方にグレイのバーがいくつも並ぶのはどうにも目障りだと思う。

Odd fonts in Fluid

さらに問題なのが、Fluid が Google Sheets を一切開けないことだった。何度試みても、Google Sheets エラーが出てアプリケーションのリソースを解放せよと言ってくる。それに続いて JavaScript に関する Mac エラーも出る。私は結局回避策を見つけられなかった。

Google Sheets errors in Fluid

Fluid は SSB をブラウザとして登録するので、受け取った docs.google.com URL を BrowserFairy や Choosy を使って Fluid SSB に送ることは問題なくできる。けれども、Fluid には Whitelist 環境設定枠があって少なくとも理論的にはリンクをクリックするとデフォルトのウェブブラウザが開くようにできるはずであるにもかかわらず、私がやってみると結果は完全にランダムなものだった。同じリンクを素早く 2 回クリックすると片方のクリックでリンクが Brave で開き、もう片方のクリックで同じものが Fluid の SSB で開くということすらあった。でも、Fluid には一つ素敵な機能がある。左右にブラウザパネルがあって、それぞれ独自にウェブページを収容することができるのだ。もちろんそのためにはそれらの URL をホワイトリストに入れておく必要がある。

Fluid は WebKit に基づいているので、Safari と同じように挙動するし問題挙動もする。ただし、私が知る限り、Safari 拡張に (もちろん Chrome 拡張にも) 対応していない。つまり、Grammarly を使うことはできない。全体的に見て、Fluid は Google Docs で使うには向いていない。

Fluid は無料で好きなだけの個数の SSB を作成できる。けれども $5 を払えば、Fluid アプリを macOS のメニューバーにピン留めできるようになり、アプリの中で Userscripts や Userstyles を使えるようになり (いや、私もそれがどういう意味かは知らない)、フルスクリーンモードで使えるようになる。

Unite

Coherence X の背後にいるのと同じ BZG が開発した Unite は、SSB という概念に新たな観点を持ち込む。Coherence と Unite の決定的な違いは、そのエンジンとして Coherence X が Chromium ベースならばどのブラウザでも使えるのに対して、Unite は WebKit 2、つまり Safari の基盤にあるものと同じエンジンを使っている点だ。

Unite が WebKit を使っていることにより、こちらの方がいわば Mac の一級市民で、アプリのサイズがずっと小さく、ウェブアプリをいろいろな形のアプリラッパーに封入することができる。メニューバー上に存在するステータスバーアプリを作ることも、コンパクトなアプリを作ってスマートフォン風の使い心地にすることも、またタブ付きアプリにすることもできる。でも、私の主たる用途は Google Docs であって、普通のタブ付き SSB が望みなので、そんな特殊なアプリは私には必要ない。

Unite screen for creating an SSB

受け取ったリンクについては、Unite は BrowserFairy や Choosy との間で問題なく働く。外向きのリンクについては、Coherence X と同じ問題がある。タブが一瞬開いてすぐに閉じ、それからリンクが私のデフォルトのウェブブラウザでロードされる。

残念ながら、Unite には私の使用目的に反する二つの大きな難点がある。第一に、Fluid と同様に、Google Sheets 書類を開くことができない。何度試しても、Google Sheets からのメッセージで何かがうまく行かないと言われ、それからファイルがロードできなかったというエラーが出る。

Google Sheets error in Unite

第二に、WebKit に依存することの否定的影響として、Grammarly のようなウェブ拡張に対応できない。つまりは、たとえ Unite で Google Sheets が使えたとしても、Grammarly 対応の欠落は直らないということだ。

Unite の試用版は 3 個のアプリには無料で使え、それ以上作りたい場合には $24.99 のライセンス料金を払うか、または月額 $9.99 の Setapp 購読の一部として入手することもできる。

Wavebox

それ以外のサイト特定ブラウザで私が試したものの大多数はかなり単純なもので、特定のウェブサイトのための独立動作のアプリを作成できるだけだ。けれども Wavebox は単純とは程遠い。Wavebox は、あなたが使うすべてのウェブアプリのための一貫した作業空間を作ろうとする。それは素晴らしく大きなことだと思う人もいるだろう。私は確かにそう思った。

まず初めに、アカウントを作成する必要がある。なぜそれが必要なのか私にはよく分からないが、おそらく複数のデバイスにわたって作業空間を同期するためなのだろう。それから、電子メールアドレスを入力する必要があって、そうすると Wavebox はあなたのために作業空間を作成し、あなたの電子メールドメインにマッチするサイトをそこに加える。

Wavebox workspace setup

Wavebox は Chromium に基づいているので、Chrome 拡張に対応しており、セットアップの過程であなたの手引きをして、いくつかの人気ある拡張をインストールさせてくれ、Grammarly もそこに含まれている。セットアップアシスタントが終了すればブラウザ風の環境が開いて、あなたのアプリのためのサイドバーが付く。このサイドバーに、アプリやウェブサイトを追加できる。

Adding an app to the sidebar in Wavebox

当初、Wavebox は私の望みのやり方で働けるような気がした。私の Google 作業空間には Google Drive 用のタブがピン留めされており、そこで Google Doc をダブルクリックすればその書類が同じウィンドウの中の新規タブで開く。けれども、Slack の中で docs.google.com リンクをクリックして BrowserFairy か Choosy にそれを Wavebox の中で開かせようとしても、必ずそれが新規の Wavebox ウィンドウの中に開いてしまうのだ。それ以後同じような外部リンクをクリックすると、そのウィンドウの新規タブとして開くようになる。結果として、Google Drive から開いた書類のタブを集めたウィンドウと、他のアプリから開いた書類のタブを集めたウィンドウという、2 つのウィンドウがいつも開いていることになる。これは、Wavebox の他のいろいろな要素と同じく、分かりにくい。私は Google Docs を Google 作業空間の中のアプリとして追加してみたり、それ自身を作業空間として扱ってみたりしたが、余計にややこしくなるだけだった。

外向きのリンクについても、同じように頭がクラクラした。Wavebox はそれを処理するための数多くのオプションを提供していて、いろいろな修飾キーが押されているとどうするかについても選べる。でも、すべてのリンクを私のデフォルトのウェブブラウザで開きたいという望みを叶えようとする私の試みは空振りに終わった。Wavebox は一般的内容の knowledgebase 記事 で状況の複雑さを認めるとともに、別の記事の中でリンクをデフォルトのブラウザで開かせる際の注意点を挙げている。

Outbound link options in Wavebox

結局、フラストレーションを溜めたまま私は Wavebox に見切りをつけた。間違いなくこれは 何らかの問題を解決しようとしているのだが、ただ単に Google Docs をサイト特定ブラウザに封じ込めたいという私の単純な望みに比べればそれははるかに複雑な問題なのだろう。そちらの問題はうまく対処できているのかもしれないが、私の望みは叶えてくれなかった。

Wavebox はそのビジネスモデルさえややこしい。メインページによく目立つ Download ボタンがあるが、一番上のナビゲーションバーには価格について何の説明もないので、これは無料なのだろうかと思わせる。けれども一番下のナビゲーションバーには Pricing リンクがあって、そこを開くと Wavebox Pro の料金が月額 $12.95 でいつでもキャンセルでき、年払いにすれば月額 $8.32、6 か月払いならば月額 $9.99 と書いてあるが、どのように請求されるかは書いていない。(この記事の執筆後にこのページは書き換えられてインターフェイスが明確化された。) それからまた、いろいろのオプションがごちゃごちゃの順番にリストされていて、単に Wavebox Basic を使えば (こんな用語を見たのはここが初めてだったが) 無料だと書いてあるが、どの機能が Wavebox Basic にあってどの機能が Wavebox Pro のみにあるのかの概略の説明さえ私には見つけられなかった。

Wavebox pricing options

WebCatalog

WebCatalog という会社が、上で紹介した Chromeless とここで述べる WebCatalog の 2 つの SSB ソリューションを出している。つまり、WebCatalog は Chromeless の拡張版と思えばよい。そして概念的なレベルでは、それは正しい。Discover 表示に Chromeless と同じ一連のウェブアプリを表示するとともに、WebCatalog は Spaces のアイデアを追加して関係ある他のアプリ、例えば Google が提供する数多くのアプリもまとめて表示する。また、カスタマイズしたスペースを作成して、キーボードショートカットを使って内部のアプリとの間で切り替えることもできる。Spaces は複数個のアカウントにも対応しているので、例えば別の Google アカウントにログインしたアプリをまとめたスペースを作ったりもできる。

Spaces in WebCatalog

けれども、ユーザーインターフェイスがある程度似ていることを除けば、Chromeless と WebCatalog は全く違うものだ。WebCatalog ではブラウザエンジンを選ぶことができず、その代わりに Electron シェルの中でアプリを作成する。Electron は GitHub にあるオープンソースのフレームワークで、多くの会社がこれを使って基本的にウェブベースのアプリからデスクトップ版のアプリを作っている。例えば Slack も Electron アプリだ。Electron は Chromium レンダリングエンジンに依存しているけれども、ブックマークを作ったり、タブを使ったり、Chrome 拡張をインストールしたりはできない。

なので、WebCatalog は私の目的には全然使えない。Google Docs をタブ化したウィンドウの中で走らせる方法は見つからなかったし、Google Drive から書類をダブルクリックすれば別のウィンドウで開いてしまう。Grammarly 拡張をインストールする方法も見当たらなかった。良い面を言えば、WebCatalog は外向きの URL の扱いができるので、どのリンクを SSB の中で開きどのリンクをデフォルトのブラウザで開かせるかの切り分けができる。

WebCatalog は無料で使えるが、インストールするアプリとスペースの個数が 10 個までに制限されている。またアプリやスペースごとにそれぞれ 2 個ずつまでのアカウントしか持てない。$40 を一回支払えば Lifetime プランが得られ、それらの制限が外れて、広告ブロック機能と、パスワードや Touch ID でアプリをロックする機能が付く。

ウェブブラウザなら何でも

Chromeless がどんなブラウザエンジンに対応するかについて記事を書きながら、私は一つのアイデアを思い付いた。「ブラウザを丸ごと Google Docs 専用に使ったらどうだろうか?」と言っても別に Microsoft Edge とか Opera とかを他のことに使わなければならないという訳でもない。完璧に動作することだろうが、ただ一つだけ大きな問題がある。外向きのリンクのクリックを私のデフォルトの Webブラウザに向けるところだ。

BrowserFairyChoosy はいずれも、特定のアプリの中でクリックしたリンクがどこで開くべきかを指定できる。そこで手早く Slack でテストしてみると、この機能は正しく働いた。けれども、ウェブブラウザの中のリンクではそうは行かない。何か拡張でも使わない限り、リンクを一つのウェブブラウザから他のブラウザへリダイレクトする方法はない。

実際、BrowserFairy と Choosy はいずれもほとんど同じ拡張を提供しているけれども、そこにはたった 2 つの機能しかない。現在のページを BrowserFairy/Choosy に開かせるメニューバーボタンをブラウザに提供することと、リンクを Control-クリックして出るコンテクストメニューの BrowserFairy/Choosy オプションだ。いずれも、デフォルトですべてのクリックをキャプチャする。

たとえウェブブラウザの中であっても、リンクへのすべてのクリックをキャプチャして、余計なやり取りの必要なしにそれを別のブラウザへリダイレクトする方法はあるのかもしれないが、Coherence X が私の望みを全部叶えてくれている以上、もっと他を探したり、あるいは外向きのリンクの処理で妥協したりする必要を感じていない。それでもなお、もしも何か良い方法を見つけられたなら、ぜひ知りたいものだと思っている。

(開発者 Jeff Johnson が Twitter への書き込みで、彼が作った $9.99 の拡張 Stop the Madnessリンクへのクリックをリダイレクトできると教えてくれた。ただしこの拡張は Safari でしか使えない。)

BrowserFairy と Choosy を比較する

私は上に挙げた SSB のそれぞれについて BrowserFairy と Choosy の両方をテストしてきた。両者に何か違いがあるかもしれないと思ったからだ。けれども、もうお気付きかもしれないが、両者の動作は同等だった。片方で働くことは、すべてもう片方でも働いた。

ただし保証の限りではないと言っておこう。私は Bumpr もテストしてみた。これは Scott Ostler が書いた魅力的なリンクリダイレクトツールで、TidBITS の友人 Khoi Vinh もデザインに参加している。私は Bumpr そのものは大好きだが、これはまだサイト特定ブラウザに対応していない。Mac App Store でちょっと探してみると、Browser NinjaOLW: Open Link WithOpenIn、and Redirector、その他いろいろ見つかった。そのうちどれが SSB に対応しているのか私は知らない。

BrowserFairy では、まずこれをデフォルトのウェブブラウザにしておく必要がある。起動時にそう設定することもできるし、General 環境設定枠でこれを選んで設定することもできる。それから、リンクの中に docs.google.com が含まれるかどうかを見るルールを作成して、そのルールに合うリンクを SSB で開くように設定する。ほんの一分か二分で下のスクリーンショットの設定ができた。

Rules in BrowserFairy

Choosy の方はもう少しだけ複雑だが、その分柔軟性がある。まず最初にすべきは、Browsers 画面であなたのブラウザを追加して配列することだ。必ず、お気に入りのブラウザを一番上に置く。

Browsers screen in Choosy

次に、Rules 画面で、他のルールがない場合に適用される Default Behavior ルールをダブルクリックする。選択肢として、お気に入りのブラウザ、最も多く走っているブラウザ、特定のブラウザ、さらには複数のブラウザのセットまで選べる。(自分のページを複数のブラウザでテストしているウェブデザイナーには最後の選択肢が最適だろう。) あるいは、Choosy が毎回プロンプトを出して、特定のセット、その時点で走っているブラウザ、または利用可能なすべてのブラウザから選ばせるようにすることもできる。

Default Behavior rule in Choosy

そして最後に、新規にルールを作成して、docs.google.com リンクをキャプチャしてそれを SSB に送るように指定する。これも簡単にできる。下のスクリーンショットのようにするだけでよい。

Google Docs rule in Choosy

両者ともにうまく働くことを踏まえて、私のお勧めは以下の通りだ:

整然と (Coherent) 整った道を行く

結局のところ、私は Coherence X と BrowserFairy の組み合わせを使おうと思っている。私の基準をすべて満たしているのは Coherence X だけだし、外向きのリンクを処理する際にタブが一瞬開いてすぐに閉じるという見栄え上の問題はうっとうしいけれども決定的な難点ではない。皆さんはそれぞれに私と違う必要をお持ちだろうが、それでもこうやっていろいろのものを評価した結果をお伝えできれば、皆さんがご自分の状況に最適の SSB を選ぶ際のお役に立てるだろうと願っている。

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

Fantastical 3.4.1

Fantastical 3.4.1

Flexibits が Fantastical 3.4.1 をリリースして、このカレンダーアプリが Google Contacts 上の連絡先を検索する方法を更新 (それに伴って Google アカウントの再認証が必要) した。今回のアップデートではまた、Vowel ミーティングへの対応を導入し、週番号の開始日をカスタマイズするオプションを追加し、ウィジェットの中で曜日が二回表示された問題を解消し、スリープからの復帰後に Google アカウントを素早く更新できなかったバグを修正し、Google アカウントを新たに追加した際にタスクは同期してもイベントを同期しないことがあった問題を解消し、誕生日イベントがその人の名前でなく "Birthday" として表示されることがあったバグを修正した。(Flexibits からも Mac App Store からも購読年額 $39.99、無料アップデート、42.3 MB、リリースノート、macOS 10.13.2+)

Fantastical 3.4.1 の使用体験を話し合おう

Pixelmator Pro 2.1

Pixelmator Pro 2.1

The Pixelmator Team が Pixelmator Pro 2.1 (別名 Coral) をリリースして、新しい機械学習ベースの Crop ツールと Quick Fill 機能を導入した。デザイン改訂された Crop ツールにはトリミングの提案をする ML Crop ボタンが追加され、また多くのレイヤーを持つ大きな書類でトリミングの全体的な速度が向上した。Quick Fill 機能は、キャンバス上や Layers サイドバー上のオブジェクトに直接色環から色をドラッグできる。

さらに、このリリースでは Stroke with Brush 機能が追加されてどんな画像レイヤー、図形あるいは選択域にも自動的に筆描きできるようになり、Type ツールを拡張してテキストサイズのスライダー、テキストサイズをわずかずつ変更するボタン、テキストフィールド、テキストサイズプリセットを追加した。Pixelmator Pro 2.1 ではまた、ウィンドウ背景の色を調整したり、ピクセルグリッドを 3200% でなく 1600% のズームで表示したりする新しいオプションが提供され、Fill with Foreground Color と Fill with Background Color のキーボードショートカットが誤っていたのを修正し、図形再描画ツールで Show Original ボタンが働かなかったバグが修正された。(Pixelmator からも Mac App Store からも新規購入 $39.99、無料アップデート、364 MB、リリースノート、macOS 10.14.4+)

Pixelmator Pro 2.1 の使用体験を話し合おう

VLC Media Player 3.0.16

VLC Media Player 3.0.16

VideoLAN がオープンソースの VLC メディアプレイヤーをバージョン 3.0.16 にアップデートして、Touch Bar への対応を追加した。このリリースではまた、FreeType フォントのアウトライン処理を改良し、Seek および Volume のスライダーが字幕と重なってしまったバグを修正し、名前に ASCII 外の文字を含む DVD フォルダを開けなかった問題を解消し、特定の MP4 コンテンツで Seek のオーディオが落ちてしまったバグを修正した。(無料、49.9 MB、 リリースノート、macOS 10.7+)

VLC Media Player 3.0.16 の使用体験を話し合おう

Carbon Copy Cloner 6.0.2

Carbon Copy Cloner 6.0.2

Bombich Software が Carbon Copy Cloner 6.0.2 (CCC) をリリースした。最近のメジャーアップグレードに続きバグ修正や改良を施した、メンテナンス・リリースだ。今回のアップデートでは、コピー元とコピー先の双方とも SSD であることを CCC が確認できなかった場合に同時に処理するフォルダの数を (従来の 4 個から) 2 個に減らし、コピー先が極めて低速だった場合に CCC がバックアップ作業を中断してしまった状況に対処し、起動ディスクに項目をリストアする際に system-immutable ファイルフラグを保持しないようにし、Dynamic Performance Chart の行にカラーピッカーを追加し、Quick Update 機能で移動されたフォルダの処理を改良し、またいくつかのクラッシュや例外の問題に対処した。(新規購入 $39.99、無料アップデート、19.7 MB、リリースノート、macOS 10.15+)

Carbon Copy Cloner 6.0.2 の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

訳: Mark Nagata   

Apple、iPhone 12 mini の生産を中止

小さな手やポケットにも収まる iPhone を好む人たちには悪いニュースだが、TrendForce の記事によれば Apple が売れ行き不振を理由に iPhone 12 mini の生産を早期中止にしたという。ただし良いニュースもあって、Apple が今年中に iPhone 13 mini を出すことも期待できるという。残念ながら、記事によれば Apple は 2022 年には 5.4 インチ iPhone の生産を終了するだろうとのことだ。

私たちとしては Apple がまだ十分に iPhone 12 mini の在庫を持っていて今年後半の新製品登場まで需要に応えられることを期待したい。でも、小型の iPhone が手に入らなくなるリスクを避けたいと思うのならば、今のうちに iPhone 12 mini を手に入れておくのも良いだろう。うまく値引き販売を見つけられたならばなおさらだ。記事によれば iPhone 13 mini が登場するのではないかとのことだが、それは全然保証の限りではない。

iPhone 12 mini が良い売れ行きを残せなかった理由として考えられるのは、Apple がその 6 か月前に第2世代 iPhone SE をリリースしたので、根っからのファンはそちらのモデルを買っていた可能性が高かったことだ。これはかなりの低価格で売り出されたモデルだったのでなおさらだ。TidBITS 共同設立者の Tonya Engst がまさにそのケースで、新しい iPhone SE を買ったばかりでなかったら iPhone 12 mini を買っていたのにと言っている。

iPhone 12 screen size compared to others

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Stephen Hackett による 2022 Apple Hardware Calendar

Apple ファンが年末のホリデーシーズン用の買い物を決めるのが少しだけ楽になった。これは、自分のために買うにも、友人や家族のために買うにも最適だ。512 Pixels の記事とRelay FM ポッドキャストネットワークで有名な Stephen Hackett が、2022 Apple Hardware Calendar の Kickstarter プロジェクトを発表した。20×13 インチの壁掛けカレンダーで、彼が収集してきた膨大な古い Mac のコレクションから選んだ製品の写真を載せ、2022 年を通じて Apple が予定している数多くの製品のスタート日が記入してある。$30 かそれ以上を払えばその壁掛けカレンダーにデジタル壁紙の画像パックが付き、発送予定は 2021 年 11 月だ。$42 払えばそれに加えてカレンダーに載った製品すべての 4×6 プリント 14 枚と、ボーナスステッカーも付く。資金不足に陥る恐れはない。この記事の執筆時点で、Stephen は既に目標額の 5 倍に到達している。

2022 Apple Hardware Calendar

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Apple、スペースグレイの周辺機器を販売終了へ

スペースグレイの Magic Keyboard、Magic Trackpad、Magic Mouse を欲しい人は、早めに入手しておくのがよいだろう。なぜなら、Apple が「在庫がなくなり次第」販売終了すると言っているからだ。MacRumors の記事によれば、Apple がこれらの周辺機器を販売終了にするのは今年 iMac Pro を生産終了したのに合わせてのことだという。(2021 年 3 月 8 日の記事“Apple、iMac Pro を生産終了に”参照。) Apple は当初これらのスペースグレイの周辺機器を iMac Pro のスペースグレイ色に合わせてリリースしたのだから、終了するのも頷ける。けれども、スペースグレイの MacBook Air と MacBook Pro は引き続き販売されているので、これらのラップトップ機に合わせた色の外付け入力デバイスを欲しいと思う人もきっといるだろうに。それでも、いずれ Apple が M1 ベース iMac に合わせた色の周辺機器を別途販売するであろうことは期待できる。(2021 年 4 月 20 日の記事“Apple、新しい M1 ベース 24 インチ iMac を春色でリリース”参照。)

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