23 June 2021 に、Apple は同社が米国政治における左派右派連合が今日のデジタル時代における反トラスト法を再定義しようとする動きを押し返す白書をリリースした。Apple の白書、"数百万のアプリに対する信頼されるエコシステムを構築する:App Store 保護の重要な役割" は、iOS App Store での神経質な管理を、ユーザーをマルウェアや個人情報の漏洩から守りたいとの切望に由来しているのだとして正当化しようとしている。
この白書の要点を簡単に説明した後、私は Apple の立場は理に適っているかどうかを見てみたいと思う。
Apple、自由放任の危険性を警告
Apple 機器の所有者そしてその技術や反トラストの政治活動を追いかける人は、Apple の核となる論点を既にご存じであろう。この白書の中で、同社は全てを系統立ててテーブル上に並べた。それは来るべき議会聴聞会のための討論要約であり、そして米国下院で進行中の6つの関連法案に先立って自らを守ろうとする同社の試みでもある。これらの法案は、プラットフォームが競合社に門戸を開くこと、そしてより大きなユーザーアクセスを許す、等々を求めている。
新たな法律を必要としない規制措置も進行中である。最近承認されたばかりの Federal Trade Commission の委員長である Lina Kahn は、独占企業が短期的な低価格を提供することすら消費者を害する可能性あるとする反トラスト分析のために彼女が展開する哲学を持ち込む。彼女の立ち位置は、Department of Justice が何故電子本の価格に対して、Amazon ではなく、Apple を追いかけるのはより長期的な見地に立ってみると意味をなさないかを説明している。何故ならば、それは Amazon に、その優位性を強めそして市場をさらに支配することを許したからである。彼女の観点は当時の一般的な反トラスト枠組みと正反対であった。そして、彼女の起用は Biden 政権の、競争促進に向かう新しい道を支持する Robert Bork 時代の消費者被害に重点を置く反トラストからの決別を示唆している。1 July 2021 に、Kahn は FTC 委員会の Bork の観点を再確認した 2015 FTC メモを無効にする投票で 3-2 の勝利を勝ち取り、政策を見直す第一歩と見做されている。
これは全て形の上では極めて理に適っているが、一方では、二つの別な疑問を呼び起こす:何故これらの同じ問題が macOS には適用されないのか? そして、これは今日の状況とはどう違うのか? Mac から始めよう。
何故 Mac は違うのか?
Mac も既にサイドローディングについての懸念に晒されているのでは? macOS には3層のアプリインスタレーションがある。最初の層は、Mac App Store からのアプリだけを許す。二番目の層は、Mac App Store アプリに加えて、脆弱性とマルウェア試験段階 (公証として知られている) を通り暗号論的に Apple によってサインされたアプリを許す。もしこの第二層オプションがあなたの信用するアプリを起動するのを妨げる場合、Finder で一連の手順を経てサインされていない或いは公証されていないアプリを開ける。この第三層は (特別の手順無しで)、Mac App Store がmacOS に登場する前は勿論のことステータスクオであった。
この第二、及び第三層の選択肢は、遡及的にサイドローディングになっており、そして多くのユーザーが自らの Mac ソフトウェアを手にする主要な手段として残っている。その理由は、開発者が Mac App Store を通して売りたがらないからかも知れないし、或いは、問題のアプリが - TidBITS 編集者が愛してやまない Keyboard Maestro の様な - App Store のサンドボクシングや他の記述要件を満たせないが機能は十分に果たしているからかも知れない。
Apple の反応は Mac の位置を下げることである。曰く、十億を超す人が iPhone を毎日使っており - iPad や iPod touch 所有者に対する愛情はここにはない - その結果:
この大きなユーザー基盤は、サイバー犯罪者やペテン師達にとって魅力的で金になる標的となるであろうし、サイドローディンを許せば iPhone への攻撃への新たな投資の波を喚起することになるであろう。その攻撃の規模は Mac の様な他のプラットフォームとは比較にならないであろう。
Windows や Android に対する不正攻撃は、その発見者にとって更なる金儲けの機会を提供する。ハッカーがマルウェア内で不正攻撃を仕掛けるのは儲かるし時には危険性もより少ない。内容は、ランサムウェアから報酬を得る、財務情報を引き出す、暗号資産の残高をハイジャックする、或いはソフトウェアを悪意の仲間に賃貸しする等である。
Windows PC、Android 電話、そして iPhone に比べれば、使われている Mac の数は少ない。議論の余地はあるかも知れないが、Windows 10 は macOS 11 Big Sur と同等かより良いセキュリティを提供する。しかし、証拠はハッキングにある:macOS に対する効果的で、広範囲に亘ったランサムウェアや他のマルウェアは長い間存在していない。悪人達が Mac を避けるのは、それはインストール基盤が小さい、或いは不正攻撃するのに手が掛かるかで儲からないからである。
プライバシーを犠牲にせずにサイドローディングに対する需要を満たす組合せの解を Apple は作り出せないのであろうか? 論議はあるかも知れないが、Mac App Store の公証とサインの層はそれを提供するが、それは Apple の Developer Program への定期購読と Apple の条件に従うこと、そこには自動化された検証過程を通ることが含まれる、を必要とする。
Apple はサイドローディングからの抜け道を交渉出来ないか?
Apple の関与無しの自由なサイドローディングはとんでもない考えであろう。それはまさしく Apple が、ユーザーに macOS の中でサイン無しの公証されていないアプリを開くために色々な関門を通り抜ける事を要求する理由でもある。もし Apple が iOS を保護無しでサイドローディングに解放してしまえば、それは Ghostbusters (1984) のシーンになってしまうであろう。そこでは、政府の役人が エクトプラズム (半物質) 封じ込め部隊を停止させるのに成功する。大勢の個人、組織犯罪、そして既に日夜に拘わらず iOS を突いている政府支援のハッカーによって開発され展開された数千万のマルウェア変異種が毎年現れている。
自由なサイドローディングはユーザーに最善なものではないかもしれないが、Apple は押し返すのに中世期の築城戦略 (モットとべーリー) を使っている:批評家に不人気で Apple が好きな立場 (べーリー:城郭) を主張するのではなく、同社はつながったより防御的な立場 (モット:小山) を押し進めている。Apple の目標は、そのプラットフォームの完全な制御と通り過ぎる全売上げの寛大な分け前である。この場合、これはべーリーである - Apple が欲するものだが、公に口に出せば防御は難しくなる。モットは、Apple のより守りやすい立場、スマートフォンユーザーが安全で守られていると願う所である。論理的な誤りは、一旦手綱を緩めれば、iOS は野蛮人達の手に落ちた Rome の様に簡単に落ちるであろうとする Apple の主張であろう。でも一方では、実際、Apple のエコシステム自身の中に反例がある。
Apple は現在、macOS モデルと non-App Store インスタレーションに対する企業サポートの両方を提供している。Michael Tsai は、この白書に対する反応を纏めたブログ記事の中でこれを書いている、"企業は前から従業員に特定のアプリをインストールすることを強制出来、そしてこれらのアプリはもう既に Apple の企業プログラム経由で App Review をバイパス出来ている。" (学校はアプリを生徒にプッシュするのにこれを使うことは出来ない、従業員だけである。)
もし Mac ユーザーがサインのない公証されていないアプリに対して余り明白ではない手続きで "サインされ公証されたアプリ" として心を許すことが出来、そして企業はアプリを作成し何百万もの従業員に対してリリースすることを許されているのであれば、個人ユーザーにもまたある程度の制御力が与えられない理由はあるのであろうか? Apple はまた隠された XProtect と MRT (Malware Removal Tool) を持っており、上記した公証とサインの第三層経由でインストールされたものも含んで、全てのアプリを監視することも出来る。
Apple は極めて家父長的で、この白書の要約は "我々は何があなたにとって最善かを一番良く知っている。信じて下さい。我々はあなたを守っています" と言うものなのであろうか? これは、暗黒世界のヒーロー映画やテレビ番組の冒頭部分の様に聞こえる。最近のものを拾っただけでも、The Tick (season 2), Invincible そして The Boys が挙げられる。(奇妙な話だが、これら三つの番組は全て Amazon が制作したものである。Jeff Bezos は我々に何か言おうとしているのであろうか?) 我々自身のためと言うよりも、他の人を益する世界の中に我々を閉じ込めておくための過剰保護が存在しているのであろうか? また、Apple が保護者的統制主義のトーンを正当化するのは、低俗な商売人や組織犯罪たちからの脅威の毒を考えれば、きっぱりとした対応は欠かせないと同社は本当に信じているからだと言う解釈も当然あり得る。
もっと良いやり方は、Apple がある種の妥協点を見いだすべく、開発者、顧客、議会、そして Biden 政権 (そして EU や他の国々とも) と協議する事かもしれない。その過程で、同社は、App Store 限定のインスタレーションに対するもっと広範囲に議論された代替策と引き換えに、財務力の一部を放棄する手もある。
アプリの "Sherlock" を止める: Apple は、間違いなく、その顧客が欲するアプリを作成し、機能を追加する権利を持つべきである。しかし、同社がアプリを複製し、そしてその App Store 支配力を利用して検索結果に影響を及ぼし販売促進している時、同社が革新的であるとは到底言えない。アプリ作成者を蝕むことに関わらないバランスというものがある。
顧客保護を改善する: 強い監視を通して安全な App Store を維持するやり方に関する同社の言葉は空々しく聞こえる。と言うのも、他の開発者からの人気のアプリを模した紛らわしいタイトルを使うアプリは満ちあふれているからである。(2018 年に David Barnard は、アプリ欺瞞と定期購読詐欺の組合せを詳しく調べた。) 同様に、法外な料金を課したりユーザーを高価な定期購読へとたぶらかしたりするアプリの話は世の中に満ちあふれている。
開発者の保護を改善する: 開発者は、人を惑わすタイトルを通して消費者の注意をハイジャックするアプリ、他のアプリになりすます広告、そして数限りない偽のレビューから収入を失う。白書曰く、"Apple は、不正なそして虐待的な活動、偽のレビューはその一つ、を理由に 244 百万の顧客アカウントを停止した。また、欺瞞や虐待傾向を理由に 424 百万のアカウント生成の試みを拒絶した。" それはそうかもしれないし、確かに残念な話だが、でも Apple は、このことについてまだまだ足りていない。
Apple の白書は、消費者にもっと多くの選択肢を与えそしてより少ない管理の影響下に置きたいとする米国議会と FTC の願望を思い止まらせるには十分であろうか? とても十分には見えない。(資金潤沢なロビー活動の様な、他の力も見くびってはいけない。) 私の考えでは、Apple は、消費者を守ると言う基本的な役目を、唯一の門番であり かつ 料金徴収員であること無しに、自らが果たすべきだという主張を正当化するためには、その管理力の一部を引き換えに手放さなければならない。
Apple と規制者側は、上記の私の進言に迄至らなくとも、妥協点に到達するかもしれないが、この白書は Apple の論点の一部についてしか説得力を持っていない。そして、テック巨人の話になると、通路の両側に分かれた米国政治家達を手を結ばせるようにする何かがある。進歩派、保守派、そして他の政治的色彩を持つ人達が共通点を見いだすことは最近では希であるが、Big Tech のコンテンツチェック、消費者管理と保護の不足、そして納入業者に対する強権行動について不満をぶちまけることになると、皆が一致する。異議を唱える人はどの政治会派にも見られるが、全体としては少数派であるように見える。
一度に一つずつの Flotato アプリならば無料で使える。次を開く前に終了すればよいだけだ。好きなだけ多くの Flotato アプリを同時には知らせるためには、$19 支払って Flotato Pro にしなければならない。
Fluid
Fluid は長年 Mac 用に存在してきたけれども、私がうまく使えたことは一度もなかった。新規に SSB をセットアップするには、URL とアプリの名前を指定する。また、新しいアプリを置く場所を選んだり、サイトのファビコンを使うか、あるいは別の画像を使うかを選んだりできる。
でも、そこから先は悪化の一途だ。まず、Fluid は私たちが Google Docs で使っている Proxima Nova フォントを表示できず、その代わりに何かセリフ付きフォントを使う。とにかく奇妙だ。ツールバー (一番上にアドレスバーとボタンが出る) を表示するように設定でき、するとその下にブックマークバーとタブバーが並ぶ。おそらくこれは Fluid が Big Sur のデザインに対応するようアップデートされていないからなのだろうが、上の方にグレイのバーがいくつも並ぶのはどうにも目障りだと思う。
さらに問題なのが、Fluid が Google Sheets を一切開けないことだった。何度試みても、Google Sheets エラーが出てアプリケーションのリソースを解放せよと言ってくる。それに続いて JavaScript に関する Mac エラーも出る。私は結局回避策を見つけられなかった。
Coherence X の背後にいるのと同じ BZG が開発した Unite は、SSB という概念に新たな観点を持ち込む。Coherence と Unite の決定的な違いは、そのエンジンとして Coherence X が Chromium ベースならばどのブラウザでも使えるのに対して、Unite は WebKit 2、つまり Safari の基盤にあるものと同じエンジンを使っている点だ。
Unite が WebKit を使っていることにより、こちらの方がいわば Mac の一級市民で、アプリのサイズがずっと小さく、ウェブアプリをいろいろな形のアプリラッパーに封入することができる。メニューバー上に存在するステータスバーアプリを作ることも、コンパクトなアプリを作ってスマートフォン風の使い心地にすることも、またタブ付きアプリにすることもできる。でも、私の主たる用途は Google Docs であって、普通のタブ付き SSB が望みなので、そんな特殊なアプリは私には必要ない。
受け取ったリンクについては、Unite は BrowserFairy や Choosy との間で問題なく働く。外向きのリンクについては、Coherence X と同じ問題がある。タブが一瞬開いてすぐに閉じ、それからリンクが私のデフォルトのウェブブラウザでロードされる。
Chromeless がどんなブラウザエンジンに対応するかについて記事を書きながら、私は一つのアイデアを思い付いた。「ブラウザを丸ごと Google Docs 専用に使ったらどうだろうか?」と言っても別に Microsoft Edge とか Opera とかを他のことに使わなければならないという訳でもない。完璧に動作することだろうが、ただ一つだけ大きな問題がある。外向きのリンクのクリックを私のデフォルトの Webブラウザに向けるところだ。
たとえウェブブラウザの中であっても、リンクへのすべてのクリックをキャプチャして、余計なやり取りの必要なしにそれを別のブラウザへリダイレクトする方法はあるのかもしれないが、Coherence X が私の望みを全部叶えてくれている以上、もっと他を探したり、あるいは外向きのリンクの処理で妥協したりする必要を感じていない。それでもなお、もしも何か良い方法を見つけられたなら、ぜひ知りたいものだと思っている。
The Pixelmator Team が Pixelmator Pro 2.1 (別名 Coral) をリリースして、新しい機械学習ベースの Crop ツールと Quick Fill 機能を導入した。デザイン改訂された Crop ツールにはトリミングの提案をする ML Crop ボタンが追加され、また多くのレイヤーを持つ大きな書類でトリミングの全体的な速度が向上した。Quick Fill 機能は、キャンバス上や Layers サイドバー上のオブジェクトに直接色環から色をドラッグできる。
さらに、このリリースでは Stroke with Brush 機能が追加されてどんな画像レイヤー、図形あるいは選択域にも自動的に筆描きできるようになり、Type ツールを拡張してテキストサイズのスライダー、テキストサイズをわずかずつ変更するボタン、テキストフィールド、テキストサイズプリセットを追加した。Pixelmator Pro 2.1 ではまた、ウィンドウ背景の色を調整したり、ピクセルグリッドを 3200% でなく 1600% のズームで表示したりする新しいオプションが提供され、Fill with Foreground Color と Fill with Background Color のキーボードショートカットが誤っていたのを修正し、図形再描画ツールで Show Original ボタンが働かなかったバグが修正された。(Pixelmator からも Mac App Store からも新規購入 $39.99、無料アップデート、364 MB、リリースノート、macOS 10.14.4+)
小さな手やポケットにも収まる iPhone を好む人たちには悪いニュースだが、TrendForce の記事によれば Apple が売れ行き不振を理由に iPhone 12 mini の生産を早期中止にしたという。ただし良いニュースもあって、Apple が今年中に iPhone 13 mini を出すことも期待できるという。残念ながら、記事によれば Apple は 2022 年には 5.4 インチ iPhone の生産を終了するだろうとのことだ。
私たちとしては Apple がまだ十分に iPhone 12 mini の在庫を持っていて今年後半の新製品登場まで需要に応えられることを期待したい。でも、小型の iPhone が手に入らなくなるリスクを避けたいと思うのならば、今のうちに iPhone 12 mini を手に入れておくのも良いだろう。うまく値引き販売を見つけられたならばなおさらだ。記事によれば iPhone 13 mini が登場するのではないかとのことだが、それは全然保証の限りではない。
iPhone 12 mini が良い売れ行きを残せなかった理由として考えられるのは、Apple がその 6 か月前に第2世代 iPhone SE をリリースしたので、根っからのファンはそちらのモデルを買っていた可能性が高かったことだ。これはかなりの低価格で売り出されたモデルだったのでなおさらだ。TidBITS 共同設立者の Tonya Engst がまさにそのケースで、新しい iPhone SE を買ったばかりでなかったら iPhone 12 mini を買っていたのにと言っている。