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#1576: TextSniper と Photos Search で画像内テキストを処理、家庭内 Wi-Fi をアップグレード、MagSafe バッテリーパック比較

写真に写っているテキストを検索したい、あるいは画像からテキストをコピーして取り出したいと思ったことはないだろうか? Apple の Live Text テクノロジーが macOS 12 Monterey と iOS 15 でまさにそれをすると約束しているが、TextSniper と Photos Search を使えば今すぐにそれができるし、もっとそれ以上のこともできる。自宅の Wi-Fi ネットワークが必要を満たしてくれず困っている人たちのために、Wi-Fi に経験豊富な Glenn Fleishman が家庭内 Wi-Fi のパフォーマンスと電波到達範囲を一段上のレベルに引き上げる方法を4つ紹介する。メッシュネットワーキング、電力線ネットワーキング、MoCA、それにルータ増設だ。それからもう一つ、外出先でワイヤレス充電をしたい iPhone 12 ユーザーのために、Julio Ojeda-Zapata が4つの MagSafe 互換バッテリーパックを比較検討する。今週注目すべき Mac アプリのリリースは Pixelmator Pro 2.1.3 と Parallels Desktop 17 だ。

Adam Engst  訳: Mark Nagata   

TextSniper と Photos Search で画像の中のテキストを扱う

私が覚えている限りの昔から、テキストとグラフィックスの間にははっきりした区別があった。大まかに言えば、テキストは文字、単語、文、段落、あるいは書類など好きな単位で検索し、コピーし、編集し、その他の処理ができる。その一方でグラフィックスは変更不可能ではないものの、一般的に言って処理を施せるのはピクセルレベルにおいてのみだ。(ただし、いくつかのベクターフォーマットではオブジェクトレベルの処理ができる。)

けれどももちろん、グラフィックスファイルの中にテキストが登場するのはよくあることだ。完璧に読めるにもかかわらず、そのテキストを選択したり、コピーしたり、その他テキストとしての処理を施したりはできないことが多い。なぜなら、それらの文字は単なるピクセルの集まりに過ぎないからだ。

テキストとグラフィックスの間のこのような区別を有益なやり方でぼやかしてくれるアプリを2つ、私は使い始めた。Andrejs と Valerijs Boguckis の TextSniper は、長方形で囲んだ領域の中のものなら何に対しても光学式文字認識 (OCR) を施して、基本的にスクリーン上のどんな画像からでもテキストをコピーできるようにすると約束する。そして、Alco Blom の Photos Search は Mac 用と iOS 用双方のアプリがあって、Photos library の中にある写真に OCR を施すことで、テキストによって画像を検索したり、そのテキストをコピーしたりできるようにする。いずれのアプリも、OCR エンジンの持つ制約の範囲内でうまく動作しており、ありがたい機能を提供してくれる。

TextSniper

TextSniper は Mac 用のエレガントなユーティリティだ、その核心となる機能は上で述べた通りに、Mac スクリーン上のどんな部分でもテキストが見えているところに OCR を施して、選択されたテキストを Clipboard にコピーし、それをどこへでもペーストできるようにする。言ってみれば、画像の中のテキストのみをスクリーンショットするような感じだ。メニューバーに集められたコマンドのうちから Capture Text を選ぶか、あるいはそのキーボードショートカットを押すかして、スクリーン上でテキストを含む領域を選択すれば、そのテキストを書類の中へペーストできるようになる。まるで魔法のように働く。

TextSniper usage basics

TextSniper menu

必ずしも毎回 Clipboard 内容を置き換える必要もない。Additive Clipboard オプションを選択しておけば、コマンドを実行する度にテキストが Clipboard に追加される。このオプションは例えばビデオやスライドのプレゼンテーションからテキストを抽出するような場合に便利だろう。何がコピーされたかについてもっとフィードバックが欲しいと思えば、Text to Speech オプションを選択しておくことでコピーされたテキストが音声で読み上げられる。分野に特化した専門用語を多く使う作業をする人向けには、OCR エンジンの標準辞書にカスタマイズした単語を追加できる環境設定画面さえある。

TextSniper には他にも概念的に関係するいくつかの機能がある。QR コードやバーコードも読み取れて、検出されたテキストを Clipboard に置くことができる。(希望を言うとすれば、まず通知を表示し、クリック一つで検出された URL がデフォルトのウェブブラウザで開くようになれば、iPhone で QR コードをスキャンするのと同じ感覚で使えるのにとも思う。) また、macOS の Continuity Camera 機能を利用することにより、iPhone や iPad を使って写真を撮ったり書類をスキャンしたり、あるいはスケッチを追加したりもできる。(2018 年 9 月 27 日の記事“Mojave の Continuity Camera で、写真を撮り、書類をスキャンする方法”参照。) これらの機能はすべて、ユーザーが指定したカスタムショートカットで呼び出すことができる。

TextSniper preferences

TextSniper は macOS 10.15 Catalina と macOS 11 Big Sur のどちらでも動作するけれども、Catalina 上で認識できる言語は英語のみだ。Big Sur では 7 つの言語、つまり英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語、スペイン語、中国語を認識できる。開発者によれば、ラテンアルファベットを使う他の言語でも動作できる可能性はあるが、アクセント付きの文字では問題が起こるとのことだ。M1 ベース Mac 上でネイティブに動作する。

私自身、長年染み付いたテキストとグラフィックスの区別を乗り越えるためにかなりの時間を要したことを告白しなければならない。でも、画像の中に見えるテキストが欲しいだけなのにいちいち手でタイプし直したり、あるいはスクリーンショットで我慢したりという経験をお持ちなら、ぜひ TextSniper を試してみられるとよいと思う。開発者から直接購入する場合の価格は 1 台の Mac ならば $6.99、3 台の Mac ならば $9.99 (TidBITS 会員には 25% 割引) で、月額 $9.99 の Setapp 購読サービスの一部としても利用できる。Mac App Store からも $9.99 で購入できる。

Photos Search

Alco Blom の Photos Search は、核心となる構想は TextSniper と同じであるけれども、また違った特別なパワーを提供する。macOS でも iOS/iPadOS でも、Photos Search は Photos library の内容をスキャンして、見つけたすべてのテキストに対して OCR を施す。その作業 (もちろんサイズの大きなライブラリをスキャンするには長い時間がかかる) がいったん終われば、指定された文字列を含んだ写真を検索できるようになる。

異なる期間ごとにスキャン状況を示すインターフェイスは少々不恰好だが、Photos Search が画像の OCR をしている間 CPU にかかる負担を制御する手段が提供される。とりわけ iPhone 上では Photos Search が前面のアプリである間にしかスキャンができないのでなおさらだ。最近撮影した写真からテキストを抽出したいと思う人たちが多いので、最近一週間、あるいは最近一か月の写真のみをスキャンするオプションが提供されているのは頷けるし、これなら素早く作業が進む。Mac では、期間を選択してから Scan Photos をクリックするだけでよい。

Photos Search scan time period

iOS では、期間表示項目の右側にあるアイコンをタップすればその期間の写真がすべてスキャンされる。また、スクリーン左上にあるアイコンをタップすれば一枚の写真だけを指定して直ちに処理することもできる。

Photos Search scanning on iPhone

いったん Photos Search が十分な数の画像をスキャンし終えれば、画像の中のテキストを検索できるようになる。使ってみるとこれは非常に便利な機能だ。私が初めて実際にこれを使った場面は、予約していた医者の診察で COVID-19 ワクチン接種カードを見せてくれと言われた時だった。カードが変なサイズである上にもしもなくしたら代わりを手に入れるのが難しそうだったので、私はカードを安全な場所にしまって、代わりに写真を撮影しておいた。でも撮影した際にタイトルを付けたりお気に入りにしたり特別のアルバムに入れたりすることを思い付けなかった。最後の接種が大体いつ頃かは分かっていたが、その前後の写真をスクロールして探すよりも、Photos Search を起動して最近の画像で "COVID" という単語を含むものを検索させた。すると、まるで魔法のように写真が出てきた。さらにもっと一般的に有用と思われるのが、スクリーンショットの中にあるテキストの検索だ。私は仕事柄数多くのスクリーンショットを撮る。スクリーンショットの中のテキストは非常に明瞭なので、Photos Search が簡単に認識してくれる。

High Noon Athletic Club logo

それでも、あらゆる検索がうまく行く訳ではない。例えば、私は High Noon Athletic Club でチームのジャージを着た人たちが走っている写真をたくさん撮っている。クラブの名前はジャージにはっきりと書かれているけれども、太陽のロゴの上に沿ってカーブして文字が並んでいる上に、そもそも iPhone がスポーツ写真にはあまり向いていないこともあって写真が少しボケていることも多い。なので、Photos Search は新しいジャージに書かれた "High Noon" を一つも見つけることができなかった。けれども古いロゴでは High Noon が真っ直ぐに並んでいたので、かなりの写真が見つかった。(そうやって見つかった写真が下のスクリーンショットに示されている。) 新しいロゴでは、2つの単語のうち片方だけを検索することで結果が多少良くなった。Alco Blom が私に説明してくれたところによれば、カーブして並んだテキストを認識できないのは Apple の Vision フレームワークの制約だという。いずれは Apple がここを改良してくれることを願いたい。

検索結果が不完全だったとしても、それを手掛かりに Photos ライブラリの中の適切な場所にジャンプして手動でブラウズする役には立つ。ヒット数があまりにも多過ぎた場合には、上の方にあるボタンを使って特定の期間に属する結果のみに絞り込むこともできる。

Photos Search actions

いったん写真が見つかれば、そのどれかをダブルクリックして Mac 上の Photos で開いたり、iPhone 版ではただタップしてそれ自体を表示させたりできる。Mac 版では、選択した写真にキーワードを追加したり、選択した写真を新規のアルバムに入れたりするボタンが提供される。一方 iPhone 版では新規のアルバムを作成するボタンだけが提供される。

Mac で Photo メニューを使うか、あるいは iPhone 画面の一番下にあるツールバーボタンを使うかすれば、他のいくつかのオプションを利用できる。検出されたテキストを表示 (およびコピー) したり、そのテキストを TextEdit の新規書類で開いたり (Mac のみ)、その写真の位置情報を Apple の Maps か Google Maps で開いたりできる。Mark as Unprocessed オプションを使えば、その画像が索引から削除され、例えば将来 Apple が Vision フレームワークを更新した後で再スキャンできるようになる。また、iPhone 版では上の方にあるボタンを使って画像を削除したりお気に入りにマークしたりもできる。

Photos Search menu and buttons

それ以外の iOS 専用の機能として、他のアプリとのより良い統合を提供する機能拡張が2つある。Share 機能拡張は、他のアプリの中にある写真についてそれを Photos ライブラリに追加することなくテキストの抽出ができるようにする。Photos Editing 機能拡張は、Photos の中で編集中に画像からテキストを抽出できるのでいちいち Photos Search を開く必要がなくなる。

Photos Search は Mac App Store からのみ入手可能で、Mac 版と iPhone/iPad 版を合わせたバンドルが $12.99 だ。または、iOS 版のみを App Store から $4.99 で購入することもできる。

Live Text はどうなのか?

もちろん、ここで語らなかった重大なる懸案は Apple の Live Text 機能だ。この機能は M1 ベース Mac 上では macOS 12 Monterey で、少なくとも A12 Bionic チップを備えたデバイスでは iOS 15 で、登場すると約束されている。(2021 年 6 月 7 日の記事“WWDC 2021 で登場したクールな新機能 10 個”と 2021 年 6 月 11 日の記事“Apple の 2021 年版オペレーティングシステムにおける本当のシステム要件”参照。)

果たして TextSniper と Photos Search はこの Live Text が登場した途端に“Sherlock 化”されてしまうのだろうか? もちろん、旧バージョンの macOS や iOS を使い続けている人や、Live Text の要件を満たさないデバイスを使っている人にとっての答は明らかにノーだ。TextSniper も Photos Search も、現在既にうまく働いているし、ソフトウェアやハードウェアをすぐにはアップグレードしない人たちのためにも将来にわたって働き続けることだろう。

Live Text がまだベータ版段階にあることを考えれば、将来これが TextSniper や Photos Search と比べてどうなるかを断定するのは難しい。理論的には、Live Text は Photos、Preview、Safari、および他のいくつかのアプリの中で画像の中のテキストを選択してコピーできるはずなので、Mac 上でサポート対象のアプリの中では TextSniper を置き換えてしまうことになるかもしれない。Live Text が動作するようになれば、きっと TextSniper に比べて使い勝手が少し良くなるだろう。一種のスクリーンショットを撮るような手順の必要なしに、ただ単にテキストを選んでコピーすればよくなるのだから。しかしながら、私が手早くテストした範囲では、Safari の中で Live Text を使うには細心の注意が必要だったし、その OCR の品質は必ずしも TextSniper のものほど良くはなかった。

また、建前上 Live Text は検出したテキストを検索できることになっているけれども、10.5 インチ iPad Pro 上の iPadOS 15 beta 6 の Spotlight で試したところこの機能はまだあまりにも行き当たりばったりで間違いも多く、まともに Photos Search と比較することすらできなかった。Photos アプリ自体の中でテキストを検索しようとしても、全く動作しなかった。Monterey beta 5 の走る M1 ベースの MacBook Air では、どうやら Spotlight は Photos 内の画像内部のテキストを検索することはできないようだったが、Notes に保存された写真の中のテキストを見つけることはできた。

Live Text の機能性については、まだ出荷されていない間は判断を下すことができないが、私の感触ではいずれにしても TextSniper と Photos Search はきっとその後もより広範な互換性とより多くの隣接機能を提供し続けることになるのではないかという気がする。だから、画像の内部に閉じ込められたテキストで作業したいと思ったことのある方には、この2つのアプリの片方または両方が、必要なパワーを授けてくれるかもしれない。

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Glenn Fleishman  訳: 亀岡孝仁  

我が家の Wi-Fi をメッシュ、電力線通信、MoCA、或いはルーター増で改善

もしあなたが家の Wi-Fi に悪態をつくことなくこのパンデミックをここ迄乗り越えてきたのであれば、おめでとう! あなたは極めて数少ない例外で、この記事は必要ない。しかしながら、もし望みの性能や到達範囲が得られていない、或いは、ネットワークされた生活を改善する手順が分からないというのであれば、読み進めて欲しい。

Internet 接続に注意を払う

Internet ベースの仕事のための Wi-Fi ネットワークの性能は、勿論 Internet 接続の速度に依存している。もし現行のキャリアから二桁前半の速度しか得られていないのであれば、地元の新たな有線または無線の競合社、ある地域における T-Mobile の 4G/5G 家庭向け広帯域サービスの様な、を見比べる時期かもしれない。("T-Mobile、無制限の 5G 家庭用広帯域サービスを提供" 14 April 2021 参照のこと。)

或いはまた、現在のプロバイダーに電話をして、競争相手に切り替えると脅してより良いプラン又は値段を手にすることも可能かもしれない。ここ数年の間、私は CenturyLink からの 1 Gbps サービスに対して、同社が新規顧客に提供する値段に合わせるよう交渉を続け、最初の月額 $155 の価格から $85 へと値下げして貰ってきた。

もし皆さんの Internet 接続が値段相応に高性能なのであれば、ホームネットワークを拡張し、性能と到達範囲を引き上げるための選択肢を見てみよう。

ネットワークの点をケーブルでつなぐ

これ迄 20 年以上に亘って、私はワイヤレスネットワークの技術について書くことに焦点を当てて来たが、最もよく働くのは有線接続だと言う経験もしばしばしてきた。それは殆どどんな場合にも当て嵌まるが、唯一の例外はメッシュワイヤレスネットワークだが、この場合とて、有線ネットワークから恩恵を受けることもある! 大抵の場合、広帯域モデムと Wi-Fi ベースステーションの間を有線でつなぐのが、最善のスループットを提供する。それはまた、高いスループットを要するコンピュータやストリーミングビデオボックスをつなぎ込む選択肢ともなり得る。

有線に関して言えば、三つの選択肢が有り、コスト、入手し易さ、そして取り付け工事の面倒さはそれぞれである:Ethernet, 電力線通信, そして MoCA がある。

Ethernet

全ての有線ネットワークは Ethernet に由来している。それは、数十年に亘る標準で、ギガビット級でも経済的である。Ethernet ネットワークを構築、或いは拡張するために必要なケーブル、スイッチ、そして他の要素は、恐らく数十ドルしかしないであろう。潜り込める空間や屋根裏がある、或いは単層壁でも穴が空けられるなら、Ethernet ケーブルが引ける。

以前、私は、Ethernet ケーブルを箱ごと買い、必要な長さに切って、両端に RJ45 コネクタをクリンプしたものである。しかし、完成品で試験済みの Ethernet ケーブルは今日ではとても安いので、動作試験済みの完成品を買うようにしている - 私が最初から自分で作ったものとは違う。壁にプラグを取り付ける場合、私は片方にジャックの付いた両面のウォールプレートが好きである。

Ethernet cable

"Cat-6" ケーブルを捜すこと。"Cat" は "category" を意味し、"6" は特定の性能を満たすために設定された一式の電気仕様を意味する。もう少し安い値段で Cat-5e が買えるが、それだけの価値はない。Cat-6 は干渉に対する保護が優れており、長距離用に設計されている。10 Gbps Ethernet が家庭用にも使える程安くなったら使いたいとお思いなら、Cat-6 ケーブルであればそのまま使える。

近代の Ethernet スイッチ、カード、そして他のハードウェアはオートセンシング、オートスイッチングのポートを持っている:特別なパッチケーブルや, 切り替えスイッチはもうだいぶ前から必要ない。ただ差し込むだけで良い。100 Mbps と 1 Gbps 機器は同じネットワーク上で、他に何をする必要も無く、速度低下も起こさずに、働く。

自分の家の奥に入り込むのが難しく Ethernet ケーブルを張り巡らせられないと言う場合には、二つの他の選択肢が成熟して、Ethernet の代替策又は延長策として登場してきた。

電力線通信ネットワーク

皆さんの家の電気配線は、電力線通信ネットワークアダプタを追加する事で電力とデータの両方を運べる。電力線通信アダプタは、皆さんの家の電気回路の同じ枝に差し込まれた他のアダプタとネットワークを形成する。現世代の技術は、生のレートで最大 2 Gbps の速度を提供する。

電力線通信アダプタは壁のコンセントに直接差し込まれなければならず、そして一般的には少なくとも1つのギガビット Ethernet ジャックを有している。中には、パススルーの電気プラグ、ネットワークを延長するための内蔵の Wi-Fi ルーター、或いは2番目の Ethernet ジャックを含んだものもある。値段は、最大 1 Gbps のデータ速度を持つものが2つ一組で、安いものだと $50 から始まる

TP-Link AV1000

シェアハウスや電気配線が自分の居住区を越えているビルに住んでいるならば、それぞれのアダプタ上にあるボタンを押すことで簡単な Bluetooth ペア付けの様にセキュリティを有効化出来る。

電力線通信技術は、配電パネルがどの様に設定されているかによるが、配線の枝を越えた二つのコンセント間では働かないかも知れないが、現世代のものは、以前のものよりも配線問題に対してはより寛容である。

MoCA (Multimedia over Coax Alliance)

ここ数十年に亘って、多くの新築や改築された家では、ケーブル TV のために全ての部屋に同軸ケーブルが配線されており、そしてプロバイダーからの入力線からサービスを分配する中央配線盤がある。MoCA は、同軸上に 1 Gbps 又は 2.5 Gbps で符号化することでこの基盤を利用する。アダプタには1つ又は2つの Ethernet ジャックが付いている。それは電力線通信よりも堅牢で信頼性も高いが、値段も高い。 一対の 1 Gbps アダプタは $140 近くする。

Motorola MoCA adapters

ケーブル広帯域サービスやビデオサービスを持っている場合、MoCA アダプタ経由で作られたネットワークは安全対策する必要があるかも知れない。PoE (point of entry) フィルタは、近くの隣人が彼らの MoCA 機器を使ってあなたのネットワークに侵入するのを阻止する。これらのフィルタは簡単に手に入り、値段はおよそ $5 である。また (或いは、代わりに)、MoCA アダプタにパスワードを設定することも出来る。それは、その間のトラフィックを Web 管理インターフェース経由で暗号化する。 Wi-Fi ネットワークに対してパスワードを設定するのと似ている。

実際の例

我が家では、妻が寝室に彼女のコーチング事業のための新しい仕事場を設定する時に、壁にぶち当たった (殆ど文字通り)。彼女が働く場所のほぼ真下にある地下の来客部屋には Ethernet 接続の Wi-Fi ルーターがあり、寝室にはワイヤレスエクステンダーがあるのだが、彼女は思った様なスループットを得られなかった - これは顧客とのビデオ会話に欠かせない。

少々の Ethernet ケーブルと部品を買い、家の中の空いた所を辿った後、私はケーブルを更に追加するのは結構大変で、ひょっとすると業者に頼まないといけないかもしれない事を悟った。我が家は、基本的には 1920 年代からの木摺としっくい壁で出来ておりとても崩れやすく、穴を空けようと思うと大きく崩れてしまいそうであった。我が家には、同軸ケーブルの配線はないので、電力線通信ネットワークが我が家の事情には合っているか試してみようと思った。

私は一対の電力線通信アダプタを購入した: TP-Link AV1000 (TL-PA7017P キット, $52.99) である。それらは AV2 標準を用い、最大 1 Gbps を提供、そして1つの Ethernet ポートを有している。(もしより高速のスループットが必要なら、TP-Link AV2000 機器 (TL-PA9020P キット、$100 以下) は2つの Ethernet ポートと、生で最大 2 Gbps のデータ速度を持つ。)

TP-Link Wi-Fi extender

我々は既に Wi-Fi 到達範囲拡張器 (TP-Link AC1750 WiFi Extender, モデル RE450, $59.99) を寝室に持っているのだが、1 Gbps 以上は出せないことを踏まえて、TP-Link AV1000 は我々が必要とする最大のデータ速度を出せるかを確かめた。結果は大丈夫であった:この一対のプラグは有線での拡張を提供し、そして Wi-Fi 到達範囲拡張器の Ethernet ポートは電力線通信アダプタの一つからの入力接続となった。問題解決である。

Wi-Fi ルーターをアップグレードする

最新の Wi-Fi ゲートウェイにアップグレードするとかメッシュネットワークに切り替えるとかで、低いスループットとムラのある到達範囲の両方の問題を解決出来る。

皆さんの Wi-Fi 機器は時代遅れになっているかも知れない。多くの人がそうであり、そこにはパンデミックが襲ってくるまでの私も含まれる。当時、私は二人の子供達の全ビデオベースの遠隔授業に対応するための帯域幅需要に応えなければならなかった。私の機器の多くは少なくとも 802.11n ワイヤレスネットワーク標準 (Wi-Fi 4) をサポートしていたが、そうでない機器は全て 802.11ac (Wi-Fi 5) にアップグレードした。(標準の世代番号については、"Wi-Fi、曖昧なプロトコル名から単純な世代名に切り替え" 5 October 2018 を参照されたい。)

全てが問題なく働いている間に、ネットワークの進展カーブから如何に容易に遅れてしまうかについて取り上げるため、私は8年以上前に Apple が 802.11ac を AirPort Extreme Base Station に付け加えていることについて書いた ("802.11ac より広い範囲を約束するが、宣伝の速度には届かず" 13 June 2013 参照)。

802.11n 機器しか持たない所帯では、複数の家族員がビデオ会議、ストリーミングビデオサービス、或いは帯域又は遅延集約的な Internet サービスやゲームを使うのには対応しきれない可能性が高い。802.11ac にアップグレードすれば大きな違いが実感出来るし、最新の標準である 802.11ax (Wi-Fi 6) にすれば将来にも備えられるし、そのための出費も 802.11ac とそう大幅に変わる訳でもない。

もし私が今切り替えをするとするならば、恐らく 802.11ax にするであろう。それは、以前のバージョンよりもより効率的な無線帯域の利用とより可能性の高い最大スループットとを提供する。802.11ax を支える技術には、他のルーターや近隣のネットワークとの干渉を避ける進化した戦略が含まれる。また、複数のアンテナに亘る電力を変えて信号を "誘導" 或いは "ビーム形成" して個別の機器を目標とすることも出来る。その目的は受信のために重なり合いを最適化することである。

現代の 802.11ax ルーターの一例として、TP-Link Archer AX20 を見てみよう。それは $99.99 で、2.4 と 5 GHz 帯を使い最大 1.8 Gbps のスループットを提供出来、そして4つのギガビット Ethernet LAN ポートを有している。(私も TidBITS もどちらも TP-Link とは何の関係もない。私はただ、値段、機能、そして Tether アプリ経由の管理を理由に TP-Link 機器に揃えただだけである。)

TP-Link Archer AX20

メッシュネットワークを設定する

TP-Link Archer AX20 の様な通常のルーターは、ネットワークを拡張する時他のルーターへの有線接続を必要とする。上記したどのやり方でもネットワークを延長出来る。多くの人が、代わりに、メッシュネットワークの方式を選んでいる。それは、ノードと呼ばれるネットワーク要素間の通信に完全にワイヤレスで対応出来る。

クライアントハードウェアから見ると - コンピュータ、電話、タブレット、或いは他の機器 - ノードはまさしく通常の Wi-Fi アクセスポイントの様に振る舞う。 しかし、ノードがお互いに通信する時には、ノードは送信元と送信先の間でデータパケットを最も効率的に送る方法を選ぶが、発着とも Internet かもしれないし、ネットワーク上の機器間かもしれない。

ノードは何の配線も必要としない。ただ二つ以上のノードを設定するだけである。時には、最適配置についての iPhone アプリ援助を使うが、その後はお互いを見つけ出し、データを転送し始める。NetGear Orbi そして Blackhawk そして Amazon Eero ("Eero、良好な Wi-Fi 到達範囲を端正な筐体で提供" 25 June 2016 参照) は、最も人気あるハードウェア選択肢だが、D-Link, Cisco Linksys, TP-Link, 等々からもメッシュ製品が出されている。(Linksys Velop は Apple の店で売られている唯一の製品である。"Velop、一流だが高価な Wi-Fi メッシュ・ネットワーキングを提供" 9 July 2018 参照されたし。)

Three Eero nodes

メッシュネットワークには一つ欠点がある:それは、クライアントハードウェア及び他のノードと通信する時どちらでも Wi-Fi 周波数を使う。つまり、ノード間でデータを再送信する度に全体のネットワークスループットを下げる。ストリーミングデータで溢れる多忙なネットワークでは、このやり方は性能を犠牲にし、スループットの低下、ギクシャクしたビデオ、そしてダウンロード及びアップロードの速度低下を招く。

もし高くそして安定したスループットを望むなら、"トライバンド" と呼ばれるメッシュノードか有線の帰路を持つノードを買うことをお勧めする。

私の高スループット要件に合うメッシュネートワークノードの値段は、同等の数字を持つ伝統的な Wi-Fi ゲートウェイとほぼ同じである。

Ethernet 帰路を持つ初代のデュアルバンド Eero は、3個パックで $199 である;Ethernet とトライバンド無線システムの両方を持つ Eero 6 Proは3個パックで$599 する。違いは? 何も付かない Eero は3ノードによるカバーエリアが Eero 6 Pro よりも小さく (5000 平方フィート/465 平米 対 6000 平方フィート/557 平米)、そしてスループットも最大 500 Mbps 対 1 Gbps となる。

似た様な価格分割は NetGear でも見られる。トライバンド無線システムと Ethernet の両方を持つノード2組を比べてみよう。 3個パックの Orbi AC2200 Mesh WiFi System (バンドル番号 RBK23) は $299.99 で、6000 平方フィートに亘って約 1.3 Gbps の最大速度を約束している。3個パックの Orbi AX4200 WiFi Mesh System (バンドル番号 RBK753) は $449.99 (定価から $100 引き) で、7500 平方フィート/697 平米に亘って最大 4.2 Gbps 出せるとしている。

速度を上げよう!

Zoom 通話、Apple TV ストリーミング等々自分のやりたいことをするのに必要な到達範囲とスループットを提供出来ない Wi-Fi ネットワークに苦しんでいるのであれば、そのまま我慢を続けるべき理由は何もない。数分の時間を取って、自分のニーズ、どれ位費やしても良いか、そして我が家の物理的な制約を見定めるべきである。その上で、現代のメッシュネットワークに飛びつくのか、或いは有線解決策の一つと追加の伝統的な Wi-Fi ルーターを組み合わせたものに依存するかを決める。

討論に参加

Julio Ojeda-Zapata  訳: Mark Nagata   

MagSafe バッテリーパックを比較: 簡単には選べない

Apple が iPhone 用の新しい磁気充電テクノロジー MagSafe を各種のデスクトップアクセサリーと共に発表した時点で既に (2021 年 6 月 4 日の記事“MagSafe の可能性を示す7つのサードパーティアクセサリ”参照)、いずれは MagSafe 対応のモバイルバッテリーパックが必ず出るだろうと思われた。

そして実際、それを最初に出したのは Apple ではなかった。いくつかのサードパーティのバッテリーパックが Apple に先んじて iPhone 12、iPhone 12 mini、iPhone 12 Pro、and iPhone 12 Pro Max 用に登場した。そうして先月、ついに Apple が外出時 iPhone 12 磁気充電の公式ソリューションとして MagSafe Battery Pack を出した。

MagSafe Battery Pack

このリリースの話を聞いて私はワクワクした。私はずっと以前からごく小型のバッテリーパックで何とか iPhone 12 Pro を一日中頻繁に使えるようにしていたからだ。自転車乗りの私は、サドルバッグにバッテリーパックを入れていた。これがなければ iPhone をフィットネス追跡、Google 道案内、写真撮影、ビデオ撮影、テキストメッセージング、音声通話などに一日中使い続けることは無理だった。でも、デバイスをコードで繋がなければならないのは嫌だ。ある時など、走っている最中に充電ケーブルが垂れ下がって自転車の歯車に絡まってしまった。何とか転倒は避けることができたけれども、ケーブルを外すのにかなり苦労したし、もちろんケーブルはずたずたになっていた。

MagSafe があればそのような問題がなくなる。Apple の MagSafe Battery Pack もライバル各社の製品も、iPhone 12 の背面に磁気で取り付けられ、その状態でジャージのポケットに入れておけるので、ごちゃごちゃしたケーブルが危険を招くこともない。

では、MagSafe 互換なバッテリーパックのうち、いったいどの製品がベストなのだろうか?

Apple Store で iPhone 12 モデルのどれかを購入する人の多くは、何も考えず反射的に MagSafe Battery Pack を棚から取るのかもしれない。そうするのは簡単だし、Apple 製品なのだから、他のものを買わなくていいじゃないか? そして実際、この Apple のバッテリーパックはライバル各社の製品に比べてはっきりとした (決定的ではないが) 利点を持っている。ただし、値段のことを気にする人は大きな難点があると思うかもしれない。

この記事では、MagSafe Battery Pack に加えて競合する3つの製品、Mophie の Snap+ Juice Pack Mini、Hyper の HyperJuice Magnetic Wireless Battery Pack、それに Belkin の Boost Charge Magnetic Wireless Power Bank 2.5K をテストしてみた。他にも AnkerOisleZens などから磁気充電バッテリーパックが出ているが、テスト用に入手することができなかった。

これら4つのバッテリーパックを一目で比較できるように、仕様やその他の情報を書き込んだ比較チャートを作っておいた。

Chart comparing MagSafe battery packs

それでは、4つの製品の比較を始めよう。

値段

最も分かりやすい比較基準は価格だ。そのバッテリーパックをいくらで買えるかという点だ。Apple はハードウェアに高い価格を付ける傾向があり、同社の MagSafe Battery Pack も例外でなくて $99 だ。Mophie Snap+ Juice Pack Mini は Apple の半額の $49.95 で、HyperJuice Magnetic Wireless Battery Pack と Belkin Boost Charge Magnetic Wireless Power Bank 2.5K はさらにもっと安い $39.99 だ。他のサードパーティベンダーの同等のバッテリーパックもやはりその辺りの価格だ。

Apple に追加料金を払いたくない人にとっては、選択肢があるのは良いことだ。とりわけ、容量や機能がより多いものならなおさらだ。

MagSafe 認定と MagSafe 互換の違い

しかしながら、Apple のみが MagSafe 認定のバッテリーパックを出している。他のメーカーの製品は MagSafe 互換に過ぎず、Apple の MagSafe Battery Pack にある専用の機能が欠けている。では、“MagSafe 認定”であれば何が得られるのか?

Apple の MagSafe Battery Pack は最良の iOS 統合を提供する。Batteries ウィジェットにバッテリーパックのアイコンが (加えて Apple や Beats by Dre による他のデバイスのアイコンも) 表示され、正確な充電レベルが示される。これに対してライバル社のバッテリーパックは Apple のウィジェット上には表示されない。その上、MagSafe Battery Pack を MagSafe 接続をすると素敵なフルスクリーンのアニメーションが現在の充電レベルを示す。

MagSafe Battery Pack integration in iOS

競合製品には LED ライトが付いていてボタンを押せば充電レベルが分かる。iOS ウィジェットほど正確な値は得られないが、バッテリー残量を手早く見る目的には十分だ。同様に MagSafe Battery Pack には 1 個だけライトがあってフル充電されれば緑色に点滅する。黄褐色に点滅すれば、それは追加の充電時間が必要だという知らせだ。(ただしどれだけの時間が必要かは分からない。)

Apple の MagSafe Battery Pack には他にもライバル製品にない技がいくつかある。例えば、バッテリーを取り付けて iPhone を充電すれば iPhone とバッテリーの双方が充電される (先に iPhone が 80% に達するまで充電され、それ以後はバッテリーが充電される) が、ただしそのためには 20 ワットかそれ以上の規格に適合した電源アダプタを使っている必要がある。

逆に、どのバッテリーパックでも iPhone に取り付けた状態で充電すればバッテリーパックと iPhone の両方が充電される。Hyper によれば、たとえパックのバッテリーが消耗していてもそうなるとのことで、まず iPhone に電気が供給され、その後でパックに充電される。

MagSafe Battery Pack は独自仕様のエネルギー管理機能を備えていて、バッテリーパックと iPhone 双方の寿命を守るようになっている。例えば、Control Center で設定を変えない限り iPhone は最大 90% までしか充電されない。また、MagSafe Battery Pack の温度が高くなり過ぎれば、バッテリーの温度が下がるまでの間 80% を超える充電をソフトウェアが抑止する。

使い勝手

どのバッテリーパックも使うのは難しくないが、使い勝手の点で MagSafe Battery Pack が一歩抜きん出ている。iPhone の背面にくっ付けておくだけで、自動的に充電が始まる。

サードパーティのバッテリーパックでは、ボタンを押して充電セッションを始める必要がある。もちろん難しいことではないけれども、やはり覚えておく必要のある一手間だ。(忘れていれば一切充電されない。)

HyperJuice Magnetic Wireless Battery Pack のボタンは背面にあるけれども、Mophie の Snap+ Juice Pack Mini と Belkin の Boost Charge Magnetic Wireless Power Bank 2.5K では縁の部分にあって、アクセスが少々具合悪い。

フィット感と仕上げ

美的な見地からは、MagSafe Battery Pack が最も洗練されている。縁取りが丸みを帯びていて、少しだけ滑りにくいつや消し仕上げ、1 個のライトとさり気ない Apple ロゴだけという最小主義の感じが伝わるが、ボタンもコントロールも何もない。レビュー用ユニットが届く前に写真で見た印象に比べれば、思ったほど嵩張らない。

Purple iPhone with a MagSafe Battery Pack next to a HomePod mini

iPhone 12 mini ではとりわけエレガントにフィットし、両側面と底面が iPhone とぴったり揃う。その反面、MagSafe Battery Pack の色がホワイトなので、第一印象では素敵に見えるけれども長く使っていればどうなのかと思う。(これまでに使ったことのある他のバッテリーパック、例えば Belkin のホワイトの Lightning 端子付き Boost Charge Power Bank 10Kでもそれを感じた。) Apple はモバイル MagSafe Duo Charger でも同じく残念な色の選択をした。

MagSafe Battery Pack fit on an iPhone 12 and 12 mini

HyperJuice Magnetic Wireless Battery Pack の色はブラックで、触ってみると鋭い角度とカーブを描いた縁の取り合わせで硬い感じがする。

HyperJuice battery pack

Mophie Snap+ Juice Pack Mini はもっとゆったりとした、ダークグレーの見栄えで、この会社の他のデバイスでも使われているファブリック風でソフトなタッチでありながらしっかりした素材を使っている。

Mophie Snap+

HyperJuice Magnetic Wireless Battery Pack は他のものより iPhone の背面から大きく飛び出す。一方、Snap+ Juice Pack Mini は Apple の MagSafe Battery Pack とほぼ同じ厚みだが縦横共に長い。この寸法のせいで iPhone 12 mini では少し問題がある。同社によれば「デバイスの底面から 0.19 インチ張り出すので、カメラとして使う場合には Juice Pack を取り外す必要がある」という。理想的とは言えない。

Belkin Boost

Belkin の Boost Charge Magnetic Wireless Power Bank 2.5K にはこの張り出しの問題はない。これは MagSafe Battery Pack とほとんどそっくりの寸法で、外形はよく似ているが重さが少しだけ重く、厚みもほんの少しだけ厚い程度だ。Apple のバッテリーパックと違って、ブラックとホワイトの二色がある。

Lightning と USB-C と Qi

MagSafe Battery Pack は充電に Lightning ポートを使う。他の製品はいずれも USB-C ポートを使ってバッテリーを充電する。

Apple が Lightning を選んだ理由は分かる。iPhone エコシステムの中の他のデバイスとの整合性があるからだ。Apple は $19 で販売している同社の 20W USB-C Power Adapter を推奨しているが、iPhone にもバッテリーパックにもこれを同梱していない。Lightning ケーブルも付属しない。

けれども、私自身はライバル社のデバイスが使っている USB-C ポートの方が好みに合うことを告白しなければならない。USB-C の方がどこででも使えるからだ。こちらは Mac、Windows PC、Chromebook、Android ハンドセット、さらには多くのテクノロジーアクセサリーに組み込まれているし、Apple の iPad の多くにも組み込まれつつあるからだ。その結果として、私は家中のコンセントに USB-C ケーブルを差し込んだままにして、家族の皆がいつでもいろいろな機器を充電できるようにしている。USB-C ポートを搭載した iPhone と関連アクセサリーがもうそろそろ出てもいいのではないか。

Hyper と Mophie のバッテリーパックにある USB-C ポートには明白な、便利な機能が一つある。このポートから、コードを使って他のデバイスを充電できるのだ。USB-C to Lightning ケーブルがあれば旧型の iPhone を充電できるし、USB-C to USB-C ケーブルがあれば USB-C ポートを備えたどんなスマートフォンでもアクセサリーでも充電できる。さらには 2 台のデバイスを同時に充電することさえできる。片方を磁気で、もう片方をコードで充電するのだ。

Belkin の Boost Charge Magnetic Wireless Power Bank 2.5K は USB-C ポートを備えているにもかかわらずコードによるデバイスの充電はできない。また、Apple の MagSafe Battery Pack で Lightning to USB-C ケーブルを使ってデバイスを充電しようとしても無理だ。そもそも双方向の接続ではないので、他のものを充電することはできない。

いずれのバッテリーパックも従来型の Qi 充電器として使うことができる。電源に接続された状態でも、自らのバッテリーからでも、いずれも使える。サードパーティのバッテリーパックはいずれも、AirPods ケースや Google Pixel フォンなどさまざまのデバイスをうまく充電できた。

けれども MagSafe Battery Pack には少しがっかりした。Qi 充電のためにデバイスの正確な位置取りをしようとしてもひどくイライラさせられるだけで、その度合いが他のバッテリーパックに比べてずっと大きかった。それにまた、他のものに比べて充電時間がずっと長くかかった。少なくとも、MagSafe Battery Pack を 20W 充電器に接続していない状態では差が大きかった。

Mophie には素晴らしく独創的なボーナスがある。Snap Adapter という金属製のリングが付いていて、旧型の Qi 互換 iPhone でも iPhone 12 と同じ具合にバッテリーパックを取り付けられるようになるのだ。リングを正しく位置合わせして適切に取り付けるのは少々厄介だが、その努力の甲斐はある。

Mophie Snap Adapter attached to an iPhone

充電性能

これらの製品はいずれも、容量が限られているという点で他のコンパクトなバッテリーパックと同列にある。Apple の MagSafe Battery Pack も、サードパーティの同等製品も、磁気ワイヤレス接続で私の iPhone 12 Pro をフル充電することはできなかった。

残量のなくなった iPhone 12 Pro でテストした結果、Mophie の Snap+ Juice Pack Mini が一番で、空になるまでに 98% まで充電できた。HyperJuice Magnetic Wireless Battery Pack は 82% まで、Apple の MagSafe Battery Pack は少し引き離された 65% という結果だった。

私が MagSafe Battery Pack をテストした結果は Apple が主張する結果に概ね合致していた。iPhone 12 mini は 70%、iPhone 12 と iPhone 12 Pro で 60%、iPhone 12 Pro Max で 40% というのが公称だ。

私の iPhone を充電する際に、MagSafe Battery Pack のバッテリーはわずか 2 時間を少し過ぎたところで空になった。HyperJuice Magnetic Wireless Battery Pack は 3 時間半、Snap+ Juice Pack Mini は 6 時間近くも保った。

ただしここで注意すべきは、場合にもよるが、最高速の充電がセッションの初めに起こることだ。MagSafe Battery Pack はおよそ 75 分で iPhone を 50% まで充電できた。HyperJuice Magnetic Wireless Battery Pack はさらにもっと良く、1 時間を少し過ぎたくらいで 50% に達し、2 時間と少しで 75% になった。Mophie の Snap+ Juice Pack Mini は (少しだけ) 遅くて 90 分で 50%、その後さらに 1 時間経って 75% になった。

Belkin Boost Charge Magnetic Wireless Power Bank 2.5K はこの比較では少し不利だ。なぜなら、Hyper や Mophie のライバルに比べてミリアンペア時で測った容量がおよそ半分だからだ。容量が 2500 mAh だが、HyperJuice Magnetic Wireless Battery Pack と Snap+ Juice Pack Mini はその倍だ。Belkin のバッテリーパックは私の iPhone 12 Pro を 90 分を少し過ぎてたった 50% まで充電したところで死んだ。それでも価格は HyperJuice Magnetic Wireless Battery Pack と同じなのだが。

けれどもここで、Belkin からは Boost Charge Magnetic Portable Wireless Charger 10K というものも出ていることを忘れてはならない。これは $59.99 という価格で 10,000 mAh を提供する。私はテスト用のユニットを入手できなかったが、これはかなりお買い得のように見える。図体はずっと大きくなってしまうのだが。

Belkin Boost Charge

テストの際に私の iPhone 12 をアイドル状態で Do Not Disturb モードにし、画面の輝度を最低にしておいた。充電中に iPhone を使うと充電が遅くなる。テクノロジーライター Raymond Wong が発見したように、状況によっては MagSafe Battery Pack での充電が事実上停止状態に陥ることもある

いずれにしても、磁気ワイヤレス接続での (あるいは通常の Qi リンクでの) 充電は本質的にとてつもなく効率が悪い。私は iPhone 12 Pro を Mophie や Hyper の USB-C ポートを通して充電してみてそのことをまざまざと思い知らされた。Snap+ Juice Pack Mini が iPhone を 80% まで (その時点で“十分に充電できました”と宣言した) 充電するのにパックのバッテリー容量のおよそ3分の2しか消費しなかったし、かかった時間も 60 分以下だった。HyperJuice Magnetic Wireless Battery Pack の結果もほぼ同じだった。最小限の時間で最も効率良く電気を移し替えたいならば有線接続を使うべきだ。

磁気充電を避けるべき理由?

iPhone 12 のどれかのモデルを充電するための持ち運び可能なバッテリーパックを探しているのならば、答は必ずしも MagSafe に限る訳ではない。二週間ほど MagSafe Battery Pack やそのライバル製品を持ち運ぶ生活を続けてみて、私は磁気充電にそれほど乗り気でなくなった。

最大の問題は、バッテリーがあまりにも簡単に外れてしまうことだ。例えば、バッテリーを取り付けた状態の iPhone をツーリング用自転車の荷かごに押し込んでちょっと用足しに走り回ると、いつの間にかバッテリーが外れている。また、何かにぶつかった拍子にバッテリーがずれて、iPhone を充電できない状態になっていることもある。ジャージの後ポケットに入れている状態でさえ、ペダルを踏んでいるといつの間にか iPhone からバッテリーが外れていることがある。

なので、あなたならこのテクノロジーをどんな風に利用するか、手荒な扱いで磁気接続が外れてしまったりしないかどうか、よく考えておくべきだ。

Apple が旧型の iPhone モデル用にかつて販売していたバッテリーケースのように MagSafe バッテリーパックを iPhone ケースに組み込んでくれたならとも思う。今も私は iPhone 7 用のバッテリーケースをまだ持っている。

iPhone battery case

私の iPhone 12 Pro では、(よく注意してケーブルが絡まる危険を避けるようにしつつ) また以前のように充電ケーブルを使うようになった。昔からお気に入りの Belkin の Valet Charger Power Pack 6700 mAh for Apple Watch + iPhoneを再び使っている。Qi、USB-C、MagSafe といった現代的な機能はないけれども、自転車で長距離を走りながら micro-USB コード経由で私の iPhone のバッテリーを切らさないでおくに十分な容量を備えている。その上 Apple Watch も複数回充電できる。十分小型で軽いので邪魔になったりしないが、磁気式バッテリーパックに比べれば少しだけ大きくて重い。

決断は容易でない

比較テストをすることで購入決断を絞るための役に立つだろうと思っていたのだが、話はそれほど単純でないことが分かった。ここでいろいろな判断基準ごとに私の見解をまとめておこう:

結局のところ、あらゆる人に当てはまるたった一つの選択というものはない。リストからどれか一つを除外するとすれば Belkin の Boost Charge Magnetic Wireless Power Bank 2.5K だろう。これは充電容量が少なく、USB-C の多用途性も欠けているからだ。残った製品について要約しておこう:

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

Pixelmator Pro 2.1.3

Pixelmator Pro 2.1.3

The Pixelmator Team が Pixelmator Pro 2.1.3 をリリースして、Photoshop PSD ファイルの読み書きのために改訂されたエンジンを搭載した。この新しい PSD エンジンは PSD ファイルの中のシェイプレイヤーを開けるようになり、より高度なテキスト機能 (記号のサイズや大文字変換など) に対応し、巨大な PSD ファイルへの対応 (PSB フォーマット) を追加し、エフェクトのレンダリングを改善し、また Hue/Saturation、Exposure、Channel Mixer などいくつかの調整レイヤーを再現できるようになった。今回のアップデートではまた、より多くの ABR ブラシ属性に対応し、ブラシの最大サイズを 5000 ピクセルに増やし、CMYK カラープロファイル付きで画像を JPEG や TIFF に書き出す際により正確に色を保存するようにしている。(Pixelmator からも Mac App Store からも新規購入 $39.99、無料アップデート、352 MB、リリースノート、macOS 10.14.4+)

Pixelmator Pro 2.1.3 の使用体験を話し合おう

Parallels Desktop 17

Parallels Desktop 17

Parallels が Parallels Desktop for Mac 仮想化ソフトウェアのバージョン 17.0 をリリースして、macOS 12 Monterey と Windows 11 に対応した。また、M1 ベース Mac でのパフォーマンスを最適化して、起動を最大 33% 高速化するとともに、Windows 10 と 11 のディスクパフォーマンスを最大 20% 高速化した。また、Apple の M1 チップを備えた Mac で Windows 10 を走らせる際にバッテリー状態を認識して節電機能を有効にできるようにし、Linux 仮想マシンではネイティブドライバーによるマルチチャンネルサウンドのサポートとジャックの検出を利用できるようにし、Windows 10 と 11 で新しい仮想 Trusted Platform Module (TPM) チップによって BitLocker や Secure Boot を使用できるようにした。

Parallels Desktop 17 はディスプレイドライバーも改良して Windows インターフェイスのスムーズな表示と同期化されたビデオ再生を実現し、Coherence モードを改善してシャットダウン、アップデート、サインインを Windows 様の表示にし、Windows アプリケーションと Monterey の Quick Note との間でテキストや画像をドラッグ&ドロップできるようにした。

標準版とは別に Parallels Desktop には Pro Edition もあって、こちらはリンクされたクローンを独立した仮想マシンに変換できるようになり、Visual Studio プラグインを改善して M1 ベース Mac に対応させた。Business Edition では Intel と M1 CPU を搭載した Mac コンピュータが混在する環境で事前構成された Windows 仮想マシンをプロビジョニングできるようになった。

標準版の Parallels Desktop の価格は年額購読で $79.99、一回限りの永続ライセンスが $99.99 だ。過去に永続ライセンスを購入した人は $49.99 でアップグレード、または年額 $49.99 で Parallels Desktop Pro Edition 購読に切り替えることができる。Parallels Desktop Pro Edition と Mac Business Edition are は年額購読 (いずれも年額 $99.99) のみで利用できる。14 日間有効のフル機能試用版もある。(Standard Edition の年額講読 $79.99、アップグレード $49.99、Pro Edition は年額講読 $99.99、Standard からのアップグレード $49.99、311 MB、リリースノート、macOS 10.13.6+)

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ExtraBITS

訳: Mark Nagata   

T-Mobile ハッキングで 1 億人のユーザーの情報が漏洩

もはやありふれたニュースという感じもしてしまうが、セルラーキャリアの T-Mobile が、ハッカーたちが同社のシステムに侵入し、何千万人ものユーザーの個人情報を盗み出したことを認めた。Motherboard の記事によれば地下フォーラムでそのデータが販売されており、売り主は 1 億人のユーザーの情報を持っていると主張しているという。T-Mobile はハッカーたちをシステムから締め出したけれども、顧客の名前、電話番号、住所、社会保障番号、運転免許証情報、IMEI 番号が既に持ち出されていたと述べた。

残念ながら、この種の情報漏洩に関して私たちにできることはあまりなく、できるのはせいぜい複数のサイトで同じパスワードを再使用しないこと (ただし今回の漏洩ではパスワードは関係していないようだが)、自分の金融口座やクレジット報告書に常々目を配ることくらいだろう。

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T-Mobile、購読者に Apple TV+ を一年間無料提供

T-Mobile が新しい特典を発表して、$59.88 相当の Apple TV+ 購読を一年間無料で提供するとしたが、どうやらこれは購読者たちの個人情報を盗人たちに持ち出されたことへの謝罪の意味もあるかのように見える。(2021 年 8 月 18 日の記事“T-Mobile ハッキングで 1 億人のユーザーの情報が漏洩”参照。) 無料提供は 2021 年 8 月 25 日に始まり、T-Mobile の Magenta および Magenta Max プラン、さらには Magenta 55+、Magenta Military、Magenta First Responders、Sprint Unlimited Plus、Sprint Premium、T-Mobile for Business、その他のプランの新規ならびに既存の購読者に提供される。

今回の提供は過去に Apple TV+ を試用したり購読したりしたことがあっても有効だ。一年間無料提供を利用したい T-Mobile 顧客は、まず自分のアカウントにログインして、Rate Plan Details をクリックし、One Year of Apple TV+ on Us バナーをクリックする。Sprint 顧客は T-Mobile Redemption Centerへ行って、引き換えフィールドに販売促進コード 2021APPLETVP1 を入力する必要がある。

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