私は最近、TidBITS 号での奇妙なフォーマット問題を追求しようとしており、皆さんの助けも借りたいと思う。LittleBITS の今回の記事はまた、ランサムウェアについて私が余り書いてこなかった理由を説明 (心配な人に対してそれに対抗するのに有用な二つのツールは紹介する)、そして Live Text を越えて行く画像内のテキスト用の OCR を提供するユーティリティについても再度取り上げる。
どうしたらその様なことが起こりうるのか? もしそれが偶発的なものであれば、私は経路の何処かで起きた通信エラーのせいにするであろう。しかし、過去2週間の間にその報告は違った人達から幾つかあった。その中の一人は、それは前にもあったと言っていて、そちらも macOS 10.13 High Sierra とそのバージョンの Mail で起こったと言う。他の人は、同じ問題が iPhone と iPad で起こったと言っていた。もしそれが Mail もバグだとしたら、影響を受ける人がこれ程少ないのは想像しがたいし、宇宙線が特定の CSS 属性だけを一度ならずやっつけてしまうと想像するのも困難である。
2021 年に、人目を引くランサムウェア攻撃が幾つもあったが、一番目を引いたのは Colonial Pipeline の事例であろう。私はその傾向について書くことをだいぶ前から考えてはいたが、二つの理由から大きな記事を書く気にはならなかった。一つは、ランサムウェアは Mac には無いという訳ではないが、現時点では Mac ユーザーに対しては現実の脅威にはなっておらず、多くの場合不完全であったり、コードが下手くそだったりしている。ランサムウェア攻撃は Mac にもやってくると言うのは簡単だし (そして多くの出版物がそう言っている)、拡がる以外の行き先はないとしても私は疑心暗鬼を招きたくはない。二つ目は、多くのランサムウェア攻撃の標的はビジネスであり、TidBITS 聴衆の大多数を構成する個人ではない。言い換えれば、主として Windows 企業ユーザーに関係する記事をわざわざ TidBITS で取り上げるのか? そうではあるが、この分野で興味深いことをする Mac アプリが二つある。
最初のものは RansomWhere の無料の RansomWhere で、数学的な方法で可能性のある Mac 固有のランサムウェアの将来の出来事を阻止しようとする。多くのランサムウェアは背景であなたのファイルを音もなく暗号化し、そして少し時間が経ったところで身代金を支払うよう要求してくることで働く。その様な動きを検出しようとする努力の一環として、RansomWhere は暗号化されているように見えるファイルの作成を直ぐに始める信頼出来ないプロセスを監視する。もしその様なことが起これば、それはダイアログを示し、その攻撃的なプロセスを中断するか、或いはそれが誤認警報であれば動作の継続を許すかの選択を求める。私がこれを May 2021 にインストールして以来、幾つかの懸念あるプロセスを検出したが、報告して来た名前とパスを調べてみたら、全ては明らかに正当なものであった:Adobe Acrobat, Adobe Creative Cloud, Adobe Reader, Backblaze, Google Chrome, Microsoft Edge, そして SuperDuper である。RansomWhere は邪魔くさく感じさせることは殆どなく、私は喜んでそれを走らせている、勿論、将来の Mac ランサムウェアはこの検査を明示的に避けることは可能だと認識はしている。
数ヶ月前、私は "TextSniper と Photos Search で画像の中のテキストを扱う" (23 August 2021) で、間もなく Apple の Live Text 機能により占められるべき運命にあった領域で活動している二つのアプリについて書いた (Live Text については後に "iOS 15 と iPadOS 15、Live Text でどんなテキストでもデジタイズする" 4 October 2021 で取り上げた)。TextSniper は Mac 上の画像からテキストをコピーさせてくれ、そして Photos Search は iOS, iPadOS, そして macOS の写真で検出されたテキストに対して検索させてくれる。私がこれらの記事を書いた時に理解していなかったことは、Bob Stern がコメントで指摘してくれたことであった - つまり、これらの機能は、Apple が昨年 Vision フレームワークの中の Text Recognition 部分で OCR エンジンを開発者に開放したことによることであった。そのサポートのお陰で、かなりの数の他のアプリも OCR 機能を付け加えた。例を挙げると:
LiveScan: この Mac と iOS のアプリは Gentleman Coders からのもので、同社は RAW 画像に対する RAW Power 写真編集ユーティリティの背後にいる会社、TextSniper の様に画面上の何処からでもテキストを取り込ませてくれる。それには 14 のアクションが付いており、更にカスタムのワークフロー用にプラグインも追加出来る。$9.99 で終身のアクセスが得られるが、月額 $0.99 か年額 $9.99 で定期購読も出来る。TextSniper と同様、LiveScan を使う大きな特典はテキストを何時でもどのアプリからでも取り込むことが出来ることで、例えば、ビデオ会議のスライドからでも可能である。そして、言うまでもないことだが、それは macOS 11 Big Sur でも走るが、Live Text は macOS 12 Monterey に限定される。
CleanShot X:TextSniper と LiveScan はテキスト認識に焦点を当てているのに対して、CleanShot X は元々スクリーンショットやビデオを取り込むための強力なツールであるが、最近更にテキスト捕捉を付け加えた。ただそれを起動し、四角をテキストの周りにドラッグする、そうすれば CleanShot X はそれをクリップボードにコピーする。CleanShot X は、選択肢や注釈能力に溢れており、最近では私の気に入りのスクリーンショットユーティリティとなっているにもかかわらず、私は恥ずかしながらこれ迄この機能に気付かなかった。それは $29 で、Setapp でも入手可である。
Nisus Writer Pro: Take Control 本の執筆と編集に関して私があれは良かったと思うものの一つは、機能満載の Nisus Writer Pro ワードプロセッサである。それを更に強力にしたのは、昨年のアップデートで追加されたインポートされた画像上での OCR 機能である。それは他のユーティリティと同様に働くが、取り込んだテキストをそのまま Nisus Writer Pro の中で、フル機能の PowerFind Pro 正規表現検索を使って、クリーンナップ出来るのはとても便利である。
Apple の新しい第3世代 AirPods をレビューしようとはしてみたものの、これほどパーソナルなデバイスをいったいどうやって評価すればよいものかと、私たちは頭を抱えてしまった。AirPods は、実際に身体の中へ挿入して使う Apple 製品としては (現時点で) 初めてのものであって、快適さや音質に関する問題は極めて主観的なものだ。
Julio と Josh はお互いのメモを見比べながら、何を優先するかについても受けた印象についても2人の間に大きな違いがあることに気付いた。Julio は Apple のオーディオテクノロジーの最新最良のものに歩調を合わせようとしているが、Josh は2世代前の製品からのジャンプをした。(AirPods Pro を勘定に入れるなら3世代前だが。) 皆さんも2人のメモを参考にしつつ、$179 を払って第3世代 AirPods を購入するかどうかの決断をして頂きたい。
第3世代 AirPods は一連の製品の中でどんな立ち位置にいるか
Julio の比較チャートが Apple とその子会社 Beats によってリリースされたあらゆるイヤーバッドやヘッドフォンを詳しく調べ上げているが、まずここで第3世代 AirPods について簡単に要約しておこう:
私は自宅の仕事部屋にさまざまのレビュー用ユニットのイヤーバッドやヘッドフォンを置いているけれど、どれか特定のものをテストしている場合でなければ、第2世代 AirPods を選んで自宅のあたりで使っていることが一番多い。シンプルで満足感を与えてくれるからだ。第3世代 AirPods についても同じことが当てはまると思う。軸部分が短くなって AirPods Pro と似た見栄えになったのも嬉しい。
でも、第3世代 AirPods にはシリコン製のイヤーチップも外耳道を密封するものもない。第2世代 AirPods も同じだ。密封されないことで、騒音の多い場所、例えばバスや電車の中ではほとんど役に立たない。旅行用には全然使えない。これこそ、リリースされたばかりの Beats Fit Pro に私が魅力を感じている理由だ。こちらは AirPods Pro に似たシリコン製のイヤーチップも付いているし、アクティブノイズキャンセリング機能もある。
Julio: Apple は AirPods をスポーツ用のイヤーバッドと位置付けているような気がする。耐汗性能が付いたからだ。その点はうなずけるけれども、私なら屋外で運動するときに使おうとは思わない。耳から落ちてしまうのが心配だからだ。耳に掛けるループもなければ耳の中に保持するインイヤー・ウィングチップもない。これもまた、私が Beats Fit Pro の方を向いてしまう理由だ。こちらはウィングチップがイヤーバッドを耳に保持する役に立つ。でも屋内では、自転車マシンやクロスカントリー・スキーマシンを使うときに第3世代 AirPods が理想的だ。それより前の世代のものは、耐汗性能がないので一度も使ったことがない。だから、第3世代になってその問題がなくなったのが特に嬉しい。
Julio は自分の聴覚が違いを聴き分けられないと思うという理由でこの方面のテストを辞退した。ただ、第3世代 AirPods のサウンドは全体的に好ましいと思っている。Josh は次のような印象を受けた。
Josh: Apple は空間オーディオがサラウンドサウンドをシミュレートすると主張している。私が 2 台のリアスピーカーと 1 台のサブウーファーを持つ 5.1 Vizio サウンドバーとの比較テストをしてみたところ、結果はまちまちだった。
空間オーディオを有効にしなければ、音楽の音質は初代の AirPods と同じ程度だった。空間オーディオを有効にすると、最もはっきりした違いは音量が下がったことだった。空間オーディオを聞くには、ヘッドトラッキングをオンにした場合とオフにした場合の2種類の方法がある。空間オーディオの環境設定は iPhone の Control Center で音量スライダーを押して押さえ続けることでできるようになる。
私がもう一つテストした映画は The Matrix、具体的には私が 20 年以上にわたってサウンドシステムのテスト目的で使い続けている、ロビーでの銃撃戦のシーンだ。銃の音が苦手な人でなければ、このシーンにはあらゆる要素が詰め込まれているのでサラウンドサウンドシステムのテストに理想的だ。あらゆる方向からあらゆる種類の銃器からの銃撃が押し寄せ、薬莢が床に落ちる高音の響きや、鳴り響くアラーム、弾薬が切れた後にヒーローたちが繰り出す武道の技のシュッという音やヒューと鳴る音、そのすべてが The Propellerheads の楽曲 "Spybreak!" のベース音のリズムに支えられる。このシーンにはさまざまな音が飛び交い、どんなサラウンドサウンドシステムも真価を問われる。
Mac ではこれに匹敵する体験は得られないかもしれない。空間オーディオに対応しているのは M1 ベース Mac のみであり、それも Apple の TV アプリと Music アプリでしか空間オーディオが動作しない。これは人為的な制約だろうと思われるが、ひょっとすると Apple silicon の中にある種の専用の信号プロセッサがあって、そのお陰で可能になっているのかもしれない。
メニューバー上の Bluetooth 項目から、私は AirPods との接続をいったん切り、それから再接続する。これでようやく Mac の再生が AirPods に復活する。
この Bluetooth の何らかの不具合と思われるものがたとえ私のところだけで起こるものだとしても、デバイス自動切り替え機能がこれではどうしようもない。結局 iPhone から Mac へ自動的に切り替えて戻ったことは一度もなかった。さきほどの、Connect ボタンを持つ一時的な通知が出たことがあったのがせいぜいだった。
全体的な体験を見直せば、まだまだ不十分な点が多い。デバイスの切り替えに際して、確認プロンプトが出るようになって欲しいと思う。ライブのストリーミングを聴いている最中に勝手に切り替えが起こって macOS に自動的に一時停止されてしまうのはひどく腹立たしい。私が最近 Apple の投資家電話会見を聴いている最中にもそれは起こった。
Hey Siri について Josh: AirPods が iPhone か iPad に接続されている状態では、"Hey Siri" と言って Siri を呼び出せる。Mac でも動作するけれども、そのためには System Preferences > Siri で "Listen for 'Hey Siri' on headphones" をオンに設定しておく必要がある。
Hey Siri について Julio: この機能は、理論的には素晴らしい。でも、私の場合 Siri がそれほど役に立つとは思えないし、少なくともモバイルの状況ではなおさらだ。だから私は AirPods で Siri を呼び出そうと思ったことは一度もない。
ノイズキャンセリングについて Josh: 第3世代 AirPods の大きな欠点の一つが、AirPods Pro には搭載されているアクティブノイズキャンセリング機能を持たないことだ。わが家には幼い子供が 3 人いるので、騒音をキャンセルできれば素晴らしいと思う。でも私にとっては、低価格と、耳の中にイヤーチップを入れずに済むことの方がノイズキャンセリングの欠落よりも重大だ。
ノイズキャンセリングについて Julio: 第3世代 AirPods にはアクティブノイズキャンセリング機能とそれを補う外部音取り込みモードがない。Josh のような人たちのために Apple がこれらの機能を製品差別化要因として取り置いたのはうなずけるのだが、ほんの少しだけ価格の高い Beats Fit Pro がそれらの機能をちゃんと備えている。どちらも H1 チップを備えた Apple 中心のイヤーバッドであるなら、そちらを買わない理由があるだろうか? それはそうとして、私には AirPods Pro と Beats Fit Pro のアクティブノイズキャンセリング/外部音取り込みの機能はそれほど良いとは思えない。AirPods Max の方がずっと素晴らしく働くけれども、もちろんこちらのヘッドフォンはすごくかさばるし、すごく高価だ。
Find My 対応について Josh: 私が AirPods をなくすことは滅多にないけれども、この機能があるのは良いことだと思う。私が正真正銘 AirPods をなくしてしまったことが一度あって、妻の実家のソファの上に落としてしまったのだが、第1世代 AirPods の原始的な Find My 対応がその際には役に立って、見つけることができた。けれども、もしも自宅の中でどこかに置き忘れてしまったとなれば、あの原始的な機能だけでは実際役に立たないだろう。第3世代 AirPods なら、Find My アプリを開けば近くのどこにあるかのおおよその目星がつくことだろう。
Find My 対応について Julio: 私はひっきりなしに AirPods をなくすので、自宅で見失えばビープ音を鳴らせるのはありがたい。でも、ビープ音を頼りに探すのは試行錯誤なので、AirPods Pro と AirPods Max にあった Find My ネットワーク対応がここにも実現されたのは嬉しい。第3世代 AirPods が Bluetooth 電波到達領域の外にあったとしても (例えばバス停で落としたとしても)、その近くにある Apple デバイスが場所を見つけてくれて、地図上に示されるからだ。AirTags の場合と同じことだ。もし自宅の中のどこかにあれば、Find My の近接表示画面を iPhone 13 Pro Max で開くことで、AirTag と同じように、迷子のイヤーバッドの場所が分かる。また、私は AirPods を置き忘れた場合に備えて手元から離れたときの通知を設定している。
ただ、(Ted Lasso の口癖ではないが) そろそろちゃんと取り組む時が来た。なぜなら、この $199 の Beats Fit Pro を $179 の AirPods に代わってあなたの次の Apple イヤーバッドにするべきちゃんとした理由があるからだ。
Apple イヤーバッドの世界情勢を最新情報を盛り込んで包括的にまとめた概観として、私が Apple と Beats のオーディオ製品 ( 最近廃番となった製品や、歴史的興味のある製品も含む) の機能を比較してまとめたメガチャートをご覧頂きたい。
その中身は AirPods
Beats Fit Pro には、一見してそれと分かる AirPods らしさはない。見た目はむしろ地味で、2021 年 6 月にリリースされた Beats Studio Buds に似ている。
けれどもこの Fit Pro イヤーバッドは基本的にその内部は AirPods であり、Studio Buds とは性格が異なる。Studio Buds は風変わりな MediaTek TWS チップを使っていて、そのことが Apple 寄りの機能を持つことを妨げていた。今回の Fit Pro イヤーバッドはすべての AirPods モデルで標準の H1 チップを使っているので、オーディオ共有、ワンタッチのペアリング、Apple デバイス間での自動切り替え、ハンズフリーの Siri アクセスなどの機能が可能となる。
この Fit Pro イヤーバッドはそれ以外にも高度な AirPods 機能を搭載する。具体的には:
Beats は、他のイヤーバッドメーカーがしたことがあるように交換可能なウィングチップをいろいろなサイズで出すこともできただろう。でもそうする代わりに、フリーサイズのウィングチップにしてボタンの膨らみの部分と一体化させた。Beats は「どんな形や大きさの耳でもイヤーバッドの安定性と快適性が得られるよう最適の柔軟性を提供した」と述べている。それが真実であるか否かは、Fit Pro イヤーバッドが広く行き渡るようになれば判明するだろう。
私はこのウィングチップの快適性には少し難点があるように感じたが、いずれ慣れるのだろうと思う。
Fit Pro イヤーバッドが私の耳にしっかりとくっついているのにはもう一つ理由がある。それは、Studio Buds や AirPods Pro と同じようにシリコン製の外耳道内チップを使っていて、十分な密封と、パッシブなノイズキャンセリングを提供しているからだ。他のモデルと同様に、Fit Pro イヤーバッドにも異なるサイズの 3 個のイヤーチップが付属していて、最もフィットするものを選べるようになっている。今やお馴染みとなったチップテストを H1 チップが実行して、フィットしているかどうか判定する。第3世代 AirPods にはこの種の機能は何もない。
オーディオ機能
Fit Pro のオーディオ機能の中には AirPods Pro から借用したものがいくつかあって、第3世代 AirPods にはない利点を提供している。
まず、アクティブノイズキャンセリング機能が、シリコン製のイヤーチップが提供するパッシブノイズキャンセリングと相まって外部のサウンドを遮断すると同時に、それを補う外部音取り込みモードが外部の音を取り入れて周囲の音に気付けるようにもできる。左右どちらかの機械的ボタンを長押しすることでモードを切り替える。どちらのモードも使っていない場合は、Fit Pro イヤーバッドはデフォルトとしてアダプティブ EQ を使う。
外部音取り込みモードはなかなかうまく動作するが、Fit Pro のアクティブノイズキャンセリング機能はあまり良くないと私は思う。皿洗いをしていると台所の蛇口から流れる水の音が全然キャンセルされないし、妻の運転で助手席に座っている間も車の大きな音は全然消えない。この種の背景雑音は単に少し抑えられるだけだ。
でも、Fit Pro のアクティブノイズキャンセリングでもないよりはずっとましで、その機能のない第3世代 AirPods よりも優れている。バスや電車の中のような騒音の多い場所では、Fit Pro イヤーバッドは使えるけれども AirPods は使い物にならない。
AirPods の利点
第3世代 AirPods の方が優れている点についても触れておくべきだろう。
その一つに MagSafe がある。第3世代 AirPods の充電ケースには、従来のワイヤレス充電機能に加えて磁気接着機能がある。Fit Pro の充電ケースにはワイヤレス充電機能がないので、ケースに内蔵された USB-C ポートを通じて充電しなければならない。
もう一つは湿気に対する保護だ。Fit Pro イヤーバッドは IPX4 レベルの耐水機能を備えていて汗や水しぶきから守られ、その点は第3世代 AirPods も同じだ。けれども Fit Pro の充電ケースにはそのような耐水機能はなく、第3世代 AirPods のケースは湿気に対する保護を提供する。
さらに、Find My 対応もある。他の Apple 製オーディオ製品と同じく、なくした場合に Fit Pro イヤーバッドにビープ音を鳴らさせることはできる。また、Bluetooth の電波到達領域内にあって電源が入っていれば現在位置を地図上に表示させることができ、領域外にあったりバッテリーが死んだりすれば、最後に探知された位置を知ることができる。
けれども第3世代 AirPods はハイエンドの AirPods 製品から受け継いだもっと高度な Find My ネットワーク機能に対応している。AirTag と同じようにその近くにある Apple デバイスが場所を見つける助けとなるので、取り戻せる可能性が高まる。iPhone 画面の近隣表示が、より精密な情報で迷子のイヤーバッドへと導いてくれる。また、AirPods を置き忘れた場合に備えて手元から離れたときの通知を設定することもできる。(そうは言っても、私の iPhone 13 Pro Max で試したところ近隣表示を使いこなすのにかなり苦闘する羽目になった。過去に AirTags を追跡した際にはそんな問題は起こらなかったのだが。)
Beats は続く
一見してそれと分かる AirPods らしさの美学を失っても大きな問題ではないと思えるのならば、Fit Pro イヤーバッドを強く推すべきちゃんとした理由がある。外見の見栄えはさて置き、Fit Pro イヤーバッドはすべての AirPods モデルで標準の H1 チップを搭載しているお陰で根っからの Apple 製品だという感触を与える。ウィングチップのデザインのお陰でワークアウトの最中にも耳から外れる心配がないし、充電ケースに湿気からの保護と MagSafe が欠けているとしてもそれだけでは決定的な問題とは言えない。カスタマイズ可能なイヤーチップも付いており、アクティブノイズキャンセリング機能と外部音取り込みモードもある。
価格は $199 で、いろいろな意味で機能の劣る第3世代 AirPods よりもたった $20 高いだけだ。実際、Fit Pro イヤーバッドは AirPods Pro に匹敵すると言ってもよい機能を $50 安い価格で提供する。
だから、第3世代 AirPods と AirPods Pro とのどちらにお金を払おうかと考えている人には、その前に Beats Fit Pro を本気で考慮してみられることをお勧めしたい。こちらの方が良い選択肢だと思えるかもしれないから。