Apple が第2世代と第3世代の AirPods、および AirPods Pro と AirPods Max のファームウェアをバージョン 4C165 にアップデートした。従来のファームウェアアップデートでは問題が解消されたこともあれば新たな問題が起こったこともあった。残念ながら Apple は AirPod ファームウェアのリリースノートを出していないので、何が変わったのかを知る方法はない。今回のアップデートは自動的にインストールされるはずだが、早くインストールしたいと思えば次の手順を試すとよい:
カスタムフォントの不対応とちっぽけな画面の他で、一番気になるのは、ウェブサイトを読み込む度に毎回 "Sign In" のプロンプトをタップして通過しなければならないことである。µBrowser 設定の中で Arno は、これは Apple の要件であるが、実際にはそれをやる中で個人情報が手渡されことは一切ないと説明した。Apple が直ぐにこの要件を取り下げてくれることを望みたい。
他にも制約はある。Arno は、µBrowser は JavaScript や大きな Web ページでは問題があるかもしれないと警告している。また、µBrowser を使って多くのオンラインサービスにログイン出来るとも思わないで欲しい。
ご想像のように、URL を Apple Watch 画面上でタイプするのは大変である - 地球儀ボタンをタップして URL をタイプし始める。私は Apple Watch Series 4 を使っているので、Scribble を使わざるを得ない。Series 7 の所有者ならば、フルキーボードが使えるが、どれだけマシかは疑わしいと思う。代替策として音声入力が使え、多くのサイト、例えば "twitter dot com" の様な、でうまく行くが、そのやり方で "slashdot dot org" に辿り着こう等と思わないように (次の様にタイプするであろう /..org)。
しかしながら、音声入力は µBrowser の検索機能ではよく働く。それはメーンスクリーン上の拡大鏡をタップする事で能動化できる。私は、Apple がある時点で iPhone を使って Apple Watch 上のテキスト入力を可能にしたことに気付いた。同じことは Apple TV でだいぶ前から出来るようになっていた。それは気の利いた機能ではあるが、Apple Watch から操作するという真意に反するのではと感じてしまう。
URL をタイプする問題に対する Arno の解は µBrowser の iPhone コンパニオンアプリで、それは Apple Watch に同期するブックマークを作成させてくれる。
皆さんが µBrowser をどれ程有用だと思うか確信はないが、私は面白いと思った。加えて、それが本当に役に立つという時もあると思われる。とりわけ、iPhone は手元に無いが、セルラー対応の Apple Watch はあると言う場合には。
もう一つのずっと前から約束されていた機能が iOS 15、iPadOS 15、macOS 12.1 Monterey に到来した。それが Digital Legacy (デジタル遺産) だ。あなたが死んだ場合にあなたの Apple データにアクセスできる人を指定できる。写真、電子メール、メモなどが対象となる。
iPhone や iPad で設定するには、Settings > あなたの名前 > Password & Security > Legacy Contact へ行って、まず Add Digital Contact をタップする。Monterey では System Preferences > Apple ID > Password & Security へ行くのだと思われるが、ここには Legacy Contact という項目はない。説明に従って故人アカウント管理連絡先を追加すれば、その人に Messages で通知することや、その人が承認すればその人の Apple ID 設定に自動的に保存されるアクセスキーを共有することが示される。また、アクセスキーを QR コードの形で印刷することもでき、これならば Apple の最新のオペレーティングシステムを使っていない人とも共有できるし、万一に備えて遺言執行人のための控えとすることもできる。あなたの遺書やその他の重要な書類と共に、安全な場所にしまっておこう! あなたの死後に、故人アカウント管理連絡先として指定された人は Apple にそのキーと死亡証明書の写しを提出しなければならず、そうすればその人はあなたのアカウントにアクセスできてあなたのデータを Apple から取り寄せられる。
Mail の Hide My Email
Hide My Email (メールを非公開) 機能で代替用の電子メールアドレスを作成し、そこへ届いたメールをあなたの本当のアドレスへ転送するようにして、しかもその代替用アドレスはいつでも好きな時に削除できる。(2021 年 10 月 21 日の記事“iCloud+ の Hide My Email でジャンクメールを減らす”参照。) 今回、このアドレスを iPhone や iPad の Mail でメッセージ作成中に簡単に作成できるようになった。"Cc/Bcc, From:" フィールドを1回タップして From フィールドが見えるようにし、それから From フィールドをタップする。そしてリストから Hide My Email を選べばよい。今回は Mac の Mail でも Hide My Email が使えるようになった。
今回 Apple は考え直した上で Messages に関する方の機能を実装し、これを Communication Safety (通信の安全) と呼んだ。Settings > Screen Time > 子供の名前 > Communication Safety で有効にできる。[訳者注: 今回この機能が実装されたのは米国版のみのようです。]
iOS 15.2 と iPadOS 15.2 は Siri、Spotlight、および Safari の検索においても Apple が“拡張指導”と呼ぶ機能を追加した。私たちの推測では、これは子供たちが良くないものを検索した場合に Apple が警告を出すという意味だろうと思われる。
通知要約の再デザイン
これはリリースノートには載っていないことだが、通知要約のデザインが新しくなった。TidBITS 記事で通知要約に触れたことはまだなかったが、私の本 Take Control of iOS 15 and iPadOS 15では解説している。基本的に、それほど重要でない通知をまとめて表示することで、ひっきりなしに警告を浴びせられることなく、一日にほんの数回ずつだけ受け取るようにするのだ。
Apple は今回、この通知要約の表示のしかたを改めた。従来は、サイズを小さくして一つのグリッドの中に並べていた。今回は、それより大きくてカラフルなカードを重ねて表示するようになった。
部品とサービスの履歴
これもリリースノートに載っていないが、Settings の中に新しい Parts and Service セクションがあることを MacRumors が発見した。その iPhone で何らかの部品を交換したことがあれば、Settings > General > About へ行って履歴を確認することができる。Parts and Service History と書かれた下に、交換された部品と、それが Apple 純正部品であるか否かが一覧表示される。
[訳者注: Apple サポート記事によれば、確認可能な部品の種類は iPhone のモデルにより異なります。]
Apple Music Voice プラン
今回の各オペレーティングシステムのアップデートで、Apple は Apple Music Voice Plan を開始した。これは Apple のサービス提供の歴史の中で最も奇妙なものかもしれない。宣伝文句はこうだ: 月額 $4.99 で、Apple Music ライブラリをすべて利用できるが、ただ1つだけ制約がある。それは、すべてのアクセスに Siri を使わなければならず、目で見てブラウズすることはできないという点だ。また、空間オーディオやロスレスオーディオは含まれていない。
これは、HomePod で安価に音楽サービスを楽しみたいけれどもそれ以外の方法には興味がないという人に最適の Apple Music レベルだ。需要があることは間違いないし、HomePod を持っている人には歓迎すべきものだが、目に見えるインターフェイスが一切ないというのはやはり奇妙な制約だ。
Music アプリを通じてサインアップできるが、Siri に頼んで Apple Music Voice の試用を開始することもできる。
iOS 15.2 と iPadOS 15.2 のその他の変更点
今回のリリースでの細かな変更点を挙げておこう:
iPhone 13 Pro と iPhone 13 Pro Max でより良いマクロ撮影のコントロール
TV アプリに Store タブが新設され、コンテンツの購入やレンタルが楽にできる
CarPlay で Maps の新しく機能拡張された市街地表示が利用可能
Power Reserve (省電力) モードの iPhone で最大 5 時間 Find My 検出が可能
Stocks アプリがティッカーの通貨を表示したり、年初来のパフォーマンスを追跡したりできる
Reminders と Notes でタグの削除や名前の変更が可能
修正したバグも Apple はいくつか挙げている:
VoiceOver が有効となっていて iPhone や iPad がロックされていると Siri が応答しない問題
Communication Safety 機能、System Preferences > Screen Time からアクセスする。ドロップダウンメニューで子供の名前を選んで、サイドバーから Communication Safety を選び、Check for Sensitive Photos を選ぶ。[訳者注: これも、今回実装されたのは米国版のみのようです。]
Digital Legacy 対応、ただし System Preferences にその設定項目は見当たらない
TV アプリの Store タブ
Mail の Hide My Email 対応: メッセージ作成中に From フィールドをクリックして Hide My Email を選ぶ
Stocks アプリでティッカー通貨と年初来パフォーマンス表示
Reminders と Notes でタグの削除や名前の変更
また、macOS 12.1 にはバグ修正もいくつかある:
システム環境設定の Desktop and Screen Saver パネルでカスタム写真を選ぶとパネルが空白になる問題
トラックパッドが反応しなくなる問題
Thunderbolt または USB-C で外付けディスプレイに接続していると Apple ノートブック機が充電されない問題
YouTube の HDR ビデオが 2021 年型 MacBook Pro モデルでカーネルパニックを起こす問題
メニューバーの項目が 2021 年型 MacBook Pro コンピュータのノッチに隠されてしまう問題
2021 年型 16 インチ MacBook Pro モデルでリッドを閉じてコンピュータをシステム終了すると MagSafe が充電しなくなる問題
tvOS 15.2 は驚くほど充実したアップデートだ。Apple Music Voice Plan に対応したこと、アイスランドとスコットランドの新しい Aerial スクリーンセーバを追加したことに加えて、iOS 15 で再デザインされた Memories 機能が tvOS の Photos アプリに導入された。
簡単に言えば、もともとの Memories 機能は特定の日またはテーマに基づいてアルバムを作成し、そのアルバムの中の写真をあらかじめレンダリングしたビデオを生成するものであった。新しい Memories 機能はこれを簡素化して音楽のみを付けた単なるスライドショーとし、ぎこちなくサイズも巨大なビデオは使わない。もう一つ素敵なのは、一般的な音楽を使う代わりに、関連する可能性のあるトラックを Apple Music から取り寄せて使うことだ。これはなかなかうまく働くこともある。私が試したところ、2014 年の Paul McCartney のコンサートから Memory を作って、彼のバンド Wings の楽曲 Band on the Run をセレクトしてくれた。tvOS の Memories 機能が iOS 15 のもの程度にカスタマイズ可能かどうかまだよく分からないけれど、後者については私の本 Take Control of iOS 15 and iPadOS 15 で解説している。
tvOS の Apple TV アプリにも Store タブがあり、これは iOS の Apple TV アプリにあるものより重要に思える。
最後に一番小粒なのが HomePod Software 15.2 で、Siri が Apple Music Voice Plan に対応し、いくつかの新しい言語にも対応する。467.7 MB のこのアップデートはいずれ自動的にインストールされるはずだが、強制的に直ちにインストールしたいと思えば Home アプリを開いて、画面の一番上にある Update ボタンをタップし、それから Update または Update All をタップすればよい。
Apple がmacOS Big Sur 11.6.2と、macOS 10.15 Catalina 用のセキュリティアップデート 2021-008 をリリースして、Big Sur で 31 個、Catalina で 28 個のセキュリティ脆弱性をパッチした。いずれのアップデートも、カーネルメモリを読み取られたり、カーネル権限を取得されて任意のコードを実行されたりする可能性があった Bluetooth 関係の2件の問題に対処し、ローカルユーザにシステムを突然終了される可能性があった Wi-Fi の問題を解消し、悪意あるアプリケーションが Gatekeeper のチェックを回避する可能性があったロジックの問題2件を解決している。もしもアップデート後に何か問題に気付かれたら、どうぞコメントで知らせて頂きたい。(無料、サイズはいろいろ、Big Sur リリースノート、Catalina リリースノート、macOS 11 および 10.15)