ゲスト執筆者たち:TidBITS 会員の皆さんからの資金のお陰で、今年も多数の記事を委託できた。それらの記事を通じて TidBITS に新たな声をもたらしてくれた Dave Kitabjian、TJ Luoma、Sharon Zardetto、そして David C たち筆者の面々に感謝したい。これらの素晴らしい人たちに、また他の人たちにも、これからますます記事を書いて頂きたいと願っている。
今週号の LittleBITS では、Mac 上の Apple の Mail で時折メッセージが行方不明になる理由を説明できる可能性を持つ TidBITS Talk で繰り広げられた非常に面白い論議を紹介し、パキスタンのセキュリティ研究者とのメールでのやり取りを共有、そして USB ハブに対する私の不信感を支持してくれる読者からのヒントをお伝えする。
Mail の中での Control-H に気をつけて
TidBITS Talk では、ユーザー Tall Trees が "I Didn't Know That!" 部門にもう一つの話題を提供してくれた。それは、Mac 上の Apple の Mail アプリで Control-H を押すとメッセージを消してしまうと言うもので、これは驚きにもなるし、問題ですらあるかも知れない。Jeffrey Jones は、その理由は恐らく Control-H が Backspace に対する標準の ASCII 制御文字を生成し、それが一般的に近代のキーボードでは Delete と名付けられたキーにマップされていることと関係しているかもしれないとの考えを述べている。David C. は、その様な ASCII 制御文字は ASCII の様な端末セッションで走るアプリでしか働かないはずだと指摘しているが、Apple の開発者は、そのキーボードマッピングを Mail にも含めると意図したに違いない。
Charles は Internet を調べ回り、ようやくこの問題は iPhone と Mac をUSB ハブ経由でつないでいることに関係しているかも知れないという示唆を見つけた。そして、それは彼がやっていることであった。彼が外付けモニター上の USB ポートにつなぎ替えたら、iOS 15.1 へアップデートすることが出来た。その方法は iOS 15.2 では働かなかったが、違うケーブルを使って直接 Mac につなぐことでその問題は解決された。
事実、Apple が取り上げているエラー部類の一つでは、違う USB ケーブル、違う USB ポート、そして違うコンピュータ上の USB ポートを使ってみることを勧めていて、USB ハブ (モニターもその一つ) を避けるのはとても賢明なことである。個人的には、私はバックアップドライブの様な重要な接続に対して USB ハブを信頼したことはなかったので、Charles の報告は私の不信感を支持するもう一つのデータ点となっている。私は今、全ての iPhone と iPad を Mac ではなく Settings > General > Software Update を使って直接アップデートする理論的根拠を検証しているが、乱雑なケーブルや USB ポートを出来る限り避けたいという望みは大きな役割を果たしている。
要約を表示する時刻の項目は何個でも好きなだけ設定できる。ただし、最初は 1 個か 2 個にしておいて、慣れるに従って 1 個ずつ増やすのがよいだろう。指定された時刻になれば、通知要約が Notification Center に表示される。
Apps in Summary の下のところで、そのアプリからの通知を通知要約に含めるべきアプリを選ぶ。ここには2つの表示モードがある。一日に受け取る通知の平均個数の順序による表示と、アプリの名前のアルファベット順による表示だ。私は通知の平均個数による表示の方が便利だと思う。滅多に通知を出さないアプリを通知要約に追加してもあまり意味はない。実際、私としては Apple が Settings > Notifications のメインリストに並ぶ個々のアプリに一日の平均個数の統計情報を表示して欲しいものだと思っている。そうすればどのアプリがおしゃべり好きかがすぐに分かり、丸ごと黙らせることもできるからだ。
しかし iOS 15.1.1 が走る私の現在の iPhone では、話はそれ程単純ではない。Music を立ち上げると、それはこれ迄何年にも亘って iTunes Store から買った曲の全てを示す。その内の一つを再生すると、それは Internet 経由でその音楽をストリームする。私の好みを言えば、Music にはこれらの曲すらも示して欲しくないが、それは別の話題である。私が今日皆さんと共有したいのは、iOS に対する Apple の Music アプリにおけるインターフェースの奇異さである。
もし iTunes Store アプリを使って私の購入履歴を見ようと思っても、その曲はそこには無い。もしそれを検索すれば、それを見つけることは出来 (もしそれが今でも購入できるものであれば) そして元々は価格があった場所に Purchased のタグが付いている。しかし、そのタグをタップしても何も起こらない。
曲は私の Mac 上には残っているので、iPhone でのこの Delete from Library 動作は私の本当のライブラリからは実際の所何も削除していない。もし私が iTunes Match を走らせていたとしたら、何が起こっていたであろうかは知る人ぞ知るなのであろうか?
その後、私はこの問題を解明した。Music アプリが Delete from Library をする時、それは実際にはその購入を iTunes Store 購入履歴から隠すのである。それを再度見えるようにするには、iTunes Store に接続し、自分のアカウント設定に行き、隠された購入のリストを見つけ、そしてそれを見えるようにする必要がある。これは iOS でも macOS でも働く はず であるが、iOS iTunes Store アプリのバグのせいで、これは Mac からやらなければならない。
iPhone 上で隠された購入を見るために iOS の iTunes Store アプリを使うのであれば (戸惑いを感じる程難しい - Music 画面から、一番下までスクロールして行き、自分の Apple ID をタップし、それから View Apple ID > Hidden Purchases Music > All Songs > アーチスト > アルバム をタップする)、曲に紐付いた Unhide のためのボタンは無い。隠された購入全てには個別の Download ボタンがあり、アルバムに対してはトップレベルの Unhide All ボタンがある。Unhide All をタップすると、Music アプリは全ての隠された曲をダウンロードする。しかし - 後で知ったことだが - それらは iTunes Store 購入履歴の中では隠されたままなのである。
それに加えて、少なくとも私のテストでは、ダウンロードされたオーディオを iOS Music アプリから削除するのは、その曲を再度ライブラリから削除しない限り、可能では無い。曲の隣にある ... ボタンをタップすると、Remove のメニュー項目は Delete from Library で置き換えられているのが見える。それはその曲をライブラリから再度削除する。
しかしながら、Mac 上で Music 又は iTunes を使って自分のアカウントや隠された購入を見ようとすると、個々の隠された購入に紐付けされた Unhide ボタンを見ることが出来る。(この場所に到達するには、サイドバーにある iTunes Store を選択 - それが無い時には Music > Preferences > General > Show > iTunes Store で見えるようにする - 右側にある小さなグレーの Account リンクをクリック、そして Downloads and Purchases / Hidden Purchases の所にある小さなブルーの Manage リンクをクリックする。)
その Unhide ボタンをクリックすれば、その曲は iOS Music library にも再度現れる (そして iOS iTunes Store アプリの Hidden Purchases リストから消える)。以前その曲をダウンロードしていれば (例えば iOS iTunes Store アプリを使ってそれを隠そうとしてみる一部として)、それは再度 Remove メニュー項目を持ち、そのダウンロードを削除するかその曲をライブラリから削除するかのいずえかをさせてくれる。
多くの人は Music でのこの振る舞いに遭遇してはいないと思われるが、一方では、これによる混乱を経験した人も私一人では無いと確信している。解を求めている人にこの記事が少しでも役に立つ事を願っている。
我々は iOS の Music アプリは macOS のものよりも柔軟性に欠けることに驚いてはいけないのかも知れないが、iOS Music で簡単なスワイプして削除の動作がユーザーをプラットフォームを変えなければ反転出来ない事態に追い込むと言うのは残念としか言いようがない。
David C. は 30 年以上の経験を持つプロのソフトウェア開発者で、多種に亘るコンピュータプラットフォーム、そこには PC、ワークステーション、組み込み機器が含まれる、に対してアプリケーションやシステムソフトウェアを開発してきた。彼は Mac を 1990 年代から使っている。
気弱な人でも簡単にできる仕事だと言うつもりはない。私は農場で育ち、両親が自分で家を建築するところを見ていたので、工具や配線やその他のことに馴染みがある。ただ、電気工事についてはほんの少しかじったことがあるだけだ。スイッチにどうやって配線するかについては少々分かりにくいわが家のブレーカーボックスで実験をしたり、スイッチボックスの中のケーブルをじっくり眺めたり、Josh Centers の本 Take Control of Apple Home Automation をよく読んだり、わが家の配線と同じには見えないインターネット上の説明を読んだりといったことが必要だった。その上、古いスイッチを取り外すのは簡単だったけれども、Meross のスイッチに比べれば古いスイッチの方が小さくて線の数も少なかったので、余分のアース線や中性線をスイッチボックスの中の太い電線の束にどうやって結合すべきか常に考えなければならなかった。保護被覆を切り取ったり、絶縁体を取り外したり、ワイヤーナットで一緒にまとめたりする作業にも私はすっかり慣れた。一番大変だったのは、最後にすべてをボックスの中に押し込む作業だった。
私たちにとって、照明のコントロールは Siri でするのが普通になった。必ずしも常にうまく働く訳ではない。時には、Siri に話しかけるのが幼児に指示をするのと同等に困難なこともある。私が "Turn on the wall lights" (壁の照明を点けて) と言っても Siri は時々それを "Turn on all lights" (照明を全部点けて) と解釈する。そうなれば家中の照明が点くのでちょっとびっくりする。何度か試してみて、私たちは Siri を混乱させず、自分たちにも意味が分かるような固有の名前を思い付くことができた。さらに、言葉の表現にも気を配る必要がある。"It's time to eat dinner" (夕食を食べる時間だ) と言えば HomePod からレストランのお薦めが出るが、"It's time for dinner" (夕食の時間だ) と言えば部屋の照明が変わって食事の雰囲気になる。
わが家では 6 つの HomeKit シーンを使っている。一日を通して手作業でするいろいろな照明やコンセントの状態を集めたものだ。たいてい、そういうシーンを呼び出す Siri コマンドを "It's time to..." (...をする時間だ) で始まる言葉にしている。こうすれば自然な会話に思えるからだ。時系列の順に紹介すると:
Good Morning: Apple が例として提案しているこのシーンは、実は私たちの使う頻度が一番低い。その理由は、これが寝室のシェードを上げて、それから私たちの好きな朝の音楽、Ray Lynch の Deep Breakfast を静かに再生するだけだからだ。たいてい私たちは単純に Siri に命じて直接シェードを上げさせている。
Good Night: これも Apple の提案だが、かつて私たちが使い始めた時に最初に設定したシーンがこれだった。今も私たちは階上の寝室に向かう時にこれを使っている。階段に向かうために必要なものを除いて階下の照明をすべて消し、寝室とバスルームの照明を点けて、暗闇でスイッチを手探りせずに済むようにする。さらに、電気マットレスのスイッチも入れてベッドを温める。これについてはあとでまた述べる。
Read in Bed: 最後に、歯磨きを済ませてベッドに入ったら、このシーンが階段周りや階上の照明をすべて消して、ただベッドの上の読書灯だけを点けてくれる。また、電気マットレスのスイッチを切って、暑過ぎないようにしてくれる。.
少し調べてみて、スマートコンセントと互換でない電気マットレスが多いことに気付いた。どうやら、電源をオンにしただけではスイッチが入らなかったり、設定温度を覚えていなかったりするものが多いようだ。そういうものは、内蔵の電源スイッチを押さなければ働かない。私が育った 1980 年代の電気マットレスには単純な物理的スイッチと温度設定のダイヤルが付いていたが、今時はそんな単純なコントローラのものはなかなか手に入らないらしい。私が見つけた最良の選択肢は Beautyrest Black Dual Zone Heated Mattress Pad で、これはスマートコンセント互換だと宣伝している。でも残念ながら、これはなかなか手に入らないようで、ここに示した Amazon リンクは注文しても在庫なしとなっている。私は 9 月に Costco で見つけて買うことができたが、今はそこも在庫なしとなっている。
この Beautyrest Black Dual Zone Heated Mattress Pad はちゃんと宣伝通りに働いて、スマートコンセントでオンにしても設定温度を覚えているモードを提供する。(ただ一つの欠点は、ベッドの裾のところに硬いコネクタがあって足で触れてしまうことだ。) 上で述べたように Good Night シーンが自動的にこれをオンにしてくれるのだが、Tonya はたいてい夜にテレビを観終わると陽気な声で Siri に "Turn on the mattress" と呼び掛けている。そうすることで数分早くマットレスが温まり、ベッドに入るとシーツが快適な暖かさになっている。これこそいつまでも伝わる誕生日プレゼントだ!
Siri を使うヒント
私たちも時々 Siri の新しい使い方を思い付く。Apple は Siri が知っている語句を全部披露してくれたりはしないので、私たちが使っている表現をこうやって広めるのも何かの役に立つのではないかと思う。
Tonya は翌朝特定の時刻に起きなければならない場合など、iPhone でアラームを設定することがよくある。でも、そういうアラームをオフにするのはなかなか厄介だ。先日、私はちょっと思い付いて Siri に "Stop the alarm" と言ってみた。すると HomePod の Siri が、"Big X" のアラームを止めましょうかと言ってきた。これは Tonya の iPhone の名前なので、私がそう言ってやると、アラームを止めてくれた。私は驚いた。なぜなら Tonya は私たちの "home" に含まれていなかったからだ。でも、このやり方はいつもうまく行く訳ではない。時には Siri がそれは iPhone でやってくれと言ってくることもあるが、それでも試してみる価値はあると思う。
Apple の最新のオペレーティングシステムでは、スケジュールで時刻を指定して、あるいは自宅から外出したり帰宅したりした際に、Siri が HomeKit アクションを実行するよう設定することができる。私たちはまだこの機能を試していないが、実世界での使用例を想像することはできる。例えば、私たちがベッドに入った後に Tristan が友人の家から帰宅することが分かっている場合に、いつもは Read in Bed シーンですべて消している照明を彼のために点けたままにするようにしている。でも、私たちが寝た後、彼が帰宅する前のどこかの時点で Siri に命じて特定の照明を点けるのは簡単なことだ。それからまた、暗くなってから私たちが外出する場合、家の外に出てから Siri に命じて家の照明をすべて消すというのも素敵だろう。ここで注意すべきはアクションをスケジュール化すれば実際 HomeKit オートメーションが作成されることで、定期的にチェックして古いものを取り除いてやる必要があるかもしれない。
最後にもう一言、これは誰にでも当てはまることではないだろうが、私たちは音声コマンドで自宅をコントロールできることを前向きに喜んでいる。本当に魔法のようだ。つまり、Arthur C. Clarke の第三法則「十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない」に言う意味だ。また、これは未来に生活する実例ともなる。Apple Watch で Apple Pay を使うのと同じようなことだ。それは単なる未来ではなくて、良い未来だ。いわばオリジナル版の Star Trek のよう、それは私が覚えている限り人々がコンピュータに話しかけた最初の事例であった。ひょっとすると音声を使って照明をオンオフしたり、自動的に何かを始めさせたりするのはいずれ当たり前のことになるかもしれないが、今のところ私たちは少しも飽き飽きしていない。