Apple の他の輝かしい結果と比べて何故 iPad の販売が伸び悩んだのかに関して、同社は繰り返し "レガシーノード" における、それが何であれ、供給上の制約のせいだとした。Apple CEO Tim Cook は、問題は主として他の機器と共有している部品のせいではない - Apple は iPad よりも iPhone を優先している訳ではない - としたが、それ以上の説明はしなかった。何れにしても、Apple は供給上の制約は現四半期中には幾分緩和されると期待している。
Mac は驚異的な 25.1% の増収を経験した、あの根深いレガシーノード供給制約にはあまり左右されないのであろう - Mac のこれ迄で最高の6四半期と Apple が呼ぶものを締めくくった。事実、この四半期は Mac 販売が初めて $10 billion を超えた四半期となった。Cook はこの成功の多くは M1-based Mac のお陰だとした。
Apple は同じ様に Wearables でも好調な成長を見、前年同期比で 13.3% の増収となった。Apple によれば、この四半期の Apple Watch の購入者の3分の2は初めて Apple Watch を買った人だという。
日本における売上げ減を別にすれば、その原因は 2021 年を通しての日本経済の苦境にあると思われるが、Apple はその他の地域部門では引き続き成長を経験した。とりわけ、Greater China は前年比 21% の増収であった。Cook は、Greater China における iPhone への切替え者の割合は、国産機器が強い市場にありながら、二桁に達したと言った。
全体としては、Q1 2022 は Apple にとっては更にもう一つの信じられないほど好調な四半期となった。そして Mac がこの様に長期に亘る成長を続けるのを見るのはとても喜ばしい。それは M1-based Mac の魅力に対する証しであり、そして iMac や Mac Pro の様なプロ用レベルのデスクトップモデルに対しても Apple シリコンへの跳躍を今年実現させれば、Mac の売上げは好調を継続出来るはずである。供給制約は間違いなく Apple の最上位の懸念ではあろうが、品不足にも拘わらず iPad 以外の全ての製品部門で大きな成長を成し遂げたという事実は、同社がそれらの制約を管理する上でとても良い仕事をしていることを示している。
Apple の新しい Personal Safety User Guide はウェブサイトとダウンロード可能な PDF 双方の形で出されており、数多くの Apple サービス、アプリ、ハードウェア、ウェブサイトに関連する安全策について Apple ユーザー向けに詳細な助言と勧告を述べている。[訳者注: 現時点ではまだ日本語版は出ていないようです。]iOS、iPadOS、macOS において安全で、プライベートで、セキュアでいるための本を複数冊執筆してきた著者として、私が今回のガイドに強い興味を持ったことは容易にお察し頂けるだろう。大体において、私は肯定的な印象を受けた!
個人向けの安全対策を巡って Apple がシンプルで、包括的で、読みやすい、検索しやすい形で設定や助言をまとめてくれたのは素晴らしいことだ。(私が調べたバージョンは 1 月 22 日付となっていた。)
Apple はこのガイドの目的を明確に述べている。そこにはリスクの可能性によってぶれるところはない:
手早いチェックリストと機能の詳細な使用方法を示すことを通じて、この資料はテクノロジーに基づく不正使用、ストーキング、あるいはハラスメントに苦しむ人々が Apple エコシステム全体を通じて個人の安全を保護する目的で提供されているさまざまのオプションを理解できる助けとなるように作られています
この Personal Safety User Guide はその目標を完全に満たした訳ではないけれども、Apple がこれまで公表したどんなものよりもこの話題に関する情報を利用しやすく集中的にまとめて提供している。主としてこれは、オペーレーティングシステムとアプリの中でメディア、位置情報、個人情報、その他のデータを共有する可能性のあるあらゆる場所を見つけられるようにするための援助を提供している。
Personal Safety User Guide の概要
Personal Safety User Guide の第1のセクションは、デバイスやソフトウェアがどのようにセットアップされているかを見直す役に立つ。このガイドは、共有設定を変更して人々を削除したり共有を停止したり、あるいは意図せぬところで自分についての何かを共有していないかを確認したり、といった操作を一つ一つ説明して行く。
また、このガイドはプロファイルを調べたり削除したりすることにも言及している。プロファイルは、人々を騙して iPhone や iPad に何かをインストールさせ、それを通じて簡単に監視できるようにできる数少ない手段のうちの一つだからだ。(プロファイルはネットワークトラフィックやその他のことに影響し、それを通じて開発者が作った App Store 外のアプリをユーザーがインストールすることも可能になる。)
それから "Manage Family Sharing settings" (ファミリー共有の設定を管理する) も便利かもしれない。ファミリー共有のメンバーを管理したり、メンバーを削除したり、自分自身を Family Sharing グループから削除してもらったりするための良い助言が集められている。
"Stay safe with AirTag and other Find My accessories" (AirTag やその他の Find My アクセサリーで安全を保つ) では、ストーキングその他の望まない追跡についてあまり深く立ち入ることなく Apple は Personal Safety User Guide の主たる義務をおろそかにしている。ここには手早い概観のみが述べられ、Apple が提供する機能のすべてを語ることすらしていないし、ましてやそこにさらなる洞察を加えることもない。また、詳細を直接説明する代わりに Apple サポート記事へのリンクを付けている。
同じように、"Avoid fraudulent requests to share info" (情報共有を求める詐欺的依頼を避ける) セクションはいくらか主題から外れていると同時に、たった2つの段落と1行のメモだけという腹立たしいほどの簡潔さだ。Apple はここのところでもっと深くもっと役に立つ情報を提供できたはずだろうに。
第2のセクション "Safety and privacy tools" (安全とプライバシーのためのツール) は、第1のセクションよりずっと一般的な内容に感じられる。継続的にデバイスをアップデートしたり、セキュアなアクセスのために (パスワード、Face ID、Touch ID で) デバイスを設定したり、二要素認証を使って Apple ID を安全にセットアップしたり、iCloud Data Recovery Service (この不出来な名称は正式な名前だが、このガイドで Apple はその名前を使っておらず、ただ "account recovery contact" (アカウント復旧連絡先) セクションの中で間接的に触れているだけだ) を有効にしたりといったことの説明を提供している。この "Safety and privacy tools" セクションの最後では新しい App Privacy Report 機能へと読者を誘っているが、この機能は他の人たちよりもむしろあなたのプライバシーを侵害するアプリに関するものだ。
Personal Safety User Guide の結びに、Apple は3つのチェックリストを載せている:
誰があなたのデバイスやアカウントにアクセスしているかを調べる
過去に共有したことのある誰かとの共有を止める
誰かがあなたの位置情報を見られる方法をコントロールする
このガイドはむしろこの3つのチェックリストからスタートした方が良かったと思う。そうすればこの書類の中のあらゆるものをカバーする詳細な目次として機能したはずだ。まさに、Take Control ブックの Quick Start セクションと同じ働きをすることだろう。それなのに実際にはチェックリストが末尾に追いやられていて、3つのうちの最初のページのみがガイド内の多くの個所へのリンクを提供する状態になっている。
改善の余地
全体として、この Personal Safety User Guide は私が期待したほどには自らが述べた使命を遵守していない。データアクセスや物理的な追跡に関係する安全性については有用な助言を提供しているけれども、遠隔ハッキングの試みや、その他犯罪者や個人情報泥棒に関連する行為についての話題になると、いきなり大まかなアドバイスとなってあらぬ方へと迷い出てしまう。Apple はそちらのことについても、個人の安全の問題に懸念を持つ人たちのためにもっと直接に関連ある情報を提供すべきだろう。
そうは言っても、このバージョンの Personal Safety User Guide は第1版に過ぎず、今後さらに成長して、完結した作品として内容をもっとよくまとめたものへと成熟できる余地はある。文学作品になる必要はないけれども、テーマをきちんと述べた以上は、もっと徹底的にそのテーマに沿ったものにすべきだ。
Simply Piano は仮想のピアノを提供したりはしない。その代わりに、Simply Piano アプリを走らせた iPhone または iPad を、本物のピアノの近くに置く。アプリがレッスンを示し、生徒がそれに応じてピアノを弾き、アプリはそのデバイスのマイクロフォンを使って音を拾い上げることで練習を採点する。
もしあなたがピアノを始めてみたいなら、またはお子さんやお孫さんがピアノに興味があるかもしれないと思われたなら、あるいは、ピアノ教師のレッスンを補うための仮想の教師が欲しいなら、Simply Piano にはきっと試してみる価値が十分にあるし、Simply Guitar にもたぶん同じことが言えるだろう。
Apple が macOS Big Sur 11.6.3 と、macOS 10.15 Catalina 用のセキュリティアップデート 2022-001 をリリースして、Big Sur で 7 個、Catalina で 5 個のセキュリティ脆弱性をパッチした。いずれのアップデートも、メモリ処理を強化しバッファオーバーフローの問題に対処することにより悪意あるアプリケーションにカーネル権限を取得され任意のコードを実行される可能性を防ぎ、PackageKit の検証を改良することにより制限されたファイルへのアクセスを防ぎ、TCC (Transparency, Consent, and Control) のチェックを強化することによりアプリケーションがプライバシーの特定の環境設定を回避することを防いだ。とりわけ Big Sur アップデートの方は直ちにインストールすることをお勧めしたい。Apple によれば今回修正された脆弱性の一つが現に悪用されているとのことだからだ。もしアップデート後に何か問題に気付かれれば、ぜひコメントで教えて頂きたい。(無料、サイズはいろいろ、Big Sur リリースノート、Catalina リリースノート、macOS 11 および 10.15)