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#1596: OS アップデート、供給制約を上回る Apple Q1 2022、Yahoo の POP バグ、Apple の Personal Safety User Guide、Simply Piano

先週 Apple はそのすべてのオペレーティングシステムをアップデートして、詳細不明のバグ修正といくつかの重要なセキュリティアップデートを施した。また、Apple は供給上の制約と日本市場での不振にもかかわらず記録破りの Q1 2022 財務報告を発表した。Adam Engst は一部の TidBITS 読者が経験していた謎を解明して、Yahoo の POP3 電子メールサービスが時折ピリオドを削除することで TidBITS 記事の表示をおかしくしていたのを発見した。Glenn Fleishman はプライバシーとセキュリティに関する著書を執筆してきた経験を生かして Apple の新しい Personal Safety User Guide (ウェブサイトと PDF) を評価する。それからもう一つ、Josh Centers は Simply Piano をレビューして、8 歳になる彼の息子がピアノに興味を持つのに役立ったと語る。今週注目すべき Mac アプリのリリースは macOS Big Sur 11.6.3 とセキュリティアップデート 2022-001 Catalina、Safari 15.3、URL Manager Pro 5.9、Zoom 5.9.3、それに BusyCal 2022.1.1 と BusyContacts 1.6.4 だ。

Josh Centers  訳: Mark Nagata   

Apple、iOS 15.3、iPadOS 15.3、macOS Monterey 12.2、watchOS 8.4、tvOS 15.3、HomePod Software Version 15.3 をリリース

Software Update を開くべき時がまた巡ってきた。Apple がその出荷中のすべてのオペレーティングシステムにアップデートをリリースして、バグ修正とセキュリティアップデートを施したからだ。ただし HomePod 上の Siri が新たに2つの言語で識別を覚えたことを除いて、新機能は何もない。Apple によれば対処の施されたセキュリティ脆弱性の一つは現に悪用されているかもしれないとのことなので、早めにアップデートすることをお勧めする。

iOS 15.3iPadOS 15.3 のリリースノートは「バグ修正とセキュリティアップデートが含まれ」るという、イライラさせられるほどに曖昧模糊としたものだ。しかしながら Apple は 10 件あるセキュリティ修正についてはもっと詳しい説明をしている。アップデートは Settings > Software Update からインストールできる。iOS 15.3 は iPhone 13 Pro 上で 1.06 GB のダウンロード、iPadOS 15.3 は 10.5 インチ iPad Pro 上で 663 MB のダウンロードだ。

macOS 12.2 Monterey のリリースノートも同様に曖昧模糊としており、セキュリティ修正は 13 件ある。(M1 ベース MacBook Air 上で) 1.94 GB のアップデートは System Preferences > Software Update からインストールできる。macOS 12.2 と共に、Apple は 5 件のセキュリティアップデートを含むセキュリティアップデート 2022-001 Catalina と 7 件のセキュリティアップデートを含む macOS 11.6.3 Big Sur もリリースした。

watchOS 8.4 release notes

watchOS 8.4 には今回他のものより具体的な内容のリリースノートが付いて、充電器が期待通りに機能しない問題を修正したと約束している。(どうやらこれは繰り返し登場するテーマのようだ、2021 年 11 月 18 日の記事“watchOS 8.1.1 が Apple Watch Series 7 の充電の問題を修正”参照。) watchOS 8.4 は 8 件のセキュリティ修正も含んでいる。184 MB のアップデートは Watch アプリの Settings > General > Software Update でインストールできる。アップデートをインストールするには Apple Watch が充電器に接続されていて、かつ少なくとも 50% 充電されていることが必要だ。Apple Watch Series 5 でのインストールは 10 分以内でできた。[訳者注: 2 月 1 日に watchOS 8.4.1 がリリースされました。]

いつものことで Apple は tvOS 15.3 には何もリリースノートを付けなかったが、9 件のセキュリティ修正については説明している。

最後にもう一つ、Apple は HomePod Software Version 15.3 をリリースして、英語 (インド) とイタリア語 (イタリア) でユーザ 6 人まで対応する Siri の声の識別を追加した。このアップデートはいずれ自動的にインストールされるはずだが、強制的に直ちにインストールしたいと思えば Home アプリを開き、画面の一番上にある Update Available ボタンをタップし、それから Update をタップすればよい。

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Michael E. Cohen Josh Centers  訳: 亀岡孝仁  

Apple、供給制約にも拘わらず Q1 2022 決算は記録破り

世界的なパンデミックの3年目へと世界がゼイゼイと息をしながら突入する中で、Apple は健康であり続けた。会計年度 Q1 2022 の業績発表で、Apple は純利益 $34.6 billion (希薄化後一株当り $2.10) そして記録破りの売上げ $123.9 billion を計上した。同社の売上げは前年四半期に比べて 11% の増収で、利益は 20% 以上増えた ("Apple、Q1 2021 で嵐を乗り越え記録を粉砕" 27 January 2021 参照)。

しかし、全てが明るくそして虹色だった訳ではない:iPad の売上げは前年比 14.1% の減収で、日本での売上げもまた前年から 14.2% 下がった。何れにしろ、他の地域区分での売上げは上昇し、そして Apple はこれ迄で最高となる売上げを iPhone, Mac, Wearables, そして Services 部門で記録した。では、製品部門別の内訳を見てみよう。

Apple Q1 2022 revenue share

Apple の他の輝かしい結果と比べて何故 iPad の販売が伸び悩んだのかに関して、同社は繰り返し "レガシーノード" における、それが何であれ、供給上の制約のせいだとした。Apple CEO Tim Cook は、問題は主として他の機器と共有している部品のせいではない - Apple は iPad よりも iPhone を優先している訳ではない - としたが、それ以上の説明はしなかった。何れにしても、Apple は供給上の制約は現四半期中には幾分緩和されると期待している。

Q1 iPad sales over time

それ以外では Apple の販売は申し分なかった。iPhone の売上げは前年比 9.2% 伸び $71.6 billion を稼ぎ出した。一桁の成長は iPhone としては結構低いと言えるが、Apple はほんのちょっと2桁に届かなかっただけである。Cook と CFO Luca Maestri は iPhone の売上げがもっと高くなかったのは供給上の制約のせいだとし、Cook は iPhone に対する需要は極めて強かったと言った。

Q1 iPhone revenue over time

Mac は驚異的な 25.1% の増収を経験した、あの根深いレガシーノード供給制約にはあまり左右されないのであろう - Mac のこれ迄で最高の6四半期と Apple が呼ぶものを締めくくった。事実、この四半期は Mac 販売が初めて $10 billion を超えた四半期となった。Cook はこの成功の多くは M1-based Mac のお陰だとした。

Q1 Mac revenue over time

Apple の Services 部門は最も成長の早い部門の一つであり続け、前年比 23.8% の増収で、$19.5 billion をもたらした。有効な定期購読者数は (それは安定した収入源となる) 785 百万に達した。

Q1 Services revenue over time

Apple は同じ様に Wearables でも好調な成長を見、前年同期比で 13.3% の増収となった。Apple によれば、この四半期の Apple Watch の購入者の3分の2は初めて Apple Watch を買った人だという。

Q1 Wearables revenue over time

日本における売上げ減を別にすれば、その原因は 2021 年を通しての日本経済の苦境にあると思われるが、Apple はその他の地域部門では引き続き成長を経験した。とりわけ、Greater China は前年比 21% の増収であった。Cook は、Greater China における iPhone への切替え者の割合は、国産機器が強い市場にありながら、二桁に達したと言った。

Q1 regional revenue over time

全体としては、Q1 2022 は Apple にとっては更にもう一つの信じられないほど好調な四半期となった。そして Mac がこの様に長期に亘る成長を続けるのを見るのはとても喜ばしい。それは M1-based Mac の魅力に対する証しであり、そして iMac や Mac Pro の様なプロ用レベルのデスクトップモデルに対しても Apple シリコンへの跳躍を今年実現させれば、Mac の売上げは好調を継続出来るはずである。供給制約は間違いなく Apple の最上位の懸念ではあろうが、品不足にも拘わらず iPad 以外の全ての製品部門で大きな成長を成し遂げたという事実は、同社がそれらの制約を管理する上でとても良い仕事をしていることを示している。

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Adam Engst  訳: 亀岡孝仁  

Yahoo が支える POP 接続、TidBITS フォーマットエラーの原因に

数ヶ月前、私は、読者が時折報告してくるであろう風変わりで散発的な問題について書いた ("LittleBITS: TidBITS フォーマットバグ、ランサムウェア保護、画像内 OCR 続き" 15 November 2021 参照)。これらの読者にとって、TidBITS 号の一記事が時折一文字幅の単一コラムとしてフォーマットされてしまう。私は個々の問題の原因を追跡してみて CSS スタイリングの崩れに辿り着いた。問題となった記事では、style="padding: 0.25em" が style="padding:25em" の様なものに変わってしまっていた。その崩れのせいで、少しのインデントが巨大なものに一変させられたのである。

Example of the TidBITS one-character column formatting bug

もしこの問題が一度しか起こっていなければ、私は途中の何処かでの通信エラーのせいに出来たであろう。しかし、それは複数のユーザーに起こっており、中には複数回に亘って見た人もいたので、他にも何らかの共通点があるに違いない。

我々のサポート達人の Lauri Reinhardt と私は、複数の ISP から報告を受けたが、更に詳しく調べてみると、彼らは見かけほど分離していないことが分かった。その理由は、Verizon が AOL を 2015 年に買い、そして Yahoo を 2017 年に買収したことにある。ある時点で、Verizon は aol.com と verizon.net の両方のメールアカウントを Yahoo Mail バックエンドに移行させた。(Yahoo と AOL は May 2021 に Apollo Global Management に買収され、もはや Verizon の一部ではない。) ある時期に、Frontier Communications もまたメールに関して Yahoo との提携関係に入り、その主たる frontier.com と frontiernet.net ドメインを舞台裏で Yahoo Mail に依存することとした。そこには以前から使われていたドメインである citlink.net, ctaz.com, ctaz.net, そして newnorth.net も含まれる。

それは問題解決への最初の鍵であったが、これらのドメインに yahoo.com を加えると、我々には 2100 を超える購読者がいるので、それだけが原因だとすると我々はもっと多くの問題報告を受けていてよいことになると思われる。このエラーを報告してくれた人達と更なるやり取りした後、私は問題解決への未知の鍵に見当がついた - これらの人は全員メールをサーバーからダウンロードするのに POP を使っていたのである。Internet メールアプリユーザーの大多数はメールにアクセスするためにサーバーに焦点を当てた IMAP プロトコルに依存している。その理由は、複数の機器上での使用がずっと楽になるからであるが、POP は今でも多くの ISP で提供されている。

TidBITS 読者の Bill Gruber が可能性のある説明を提供してくれた。彼は、かつて終止符 (period) が消えてしまう同じ様な問題を経験したことがあり、一つの終止符だけを含む行はそのやり取りを停止してしまうであろうことを発見した。(私は POP3 の RFC 1939 を手早く構文解析することは出来ないが、CRLF.CRLF は複数行のやり取りを停止するという記述はある。) Bill は ISP の中にはラップされた行の中から先頭の終止符を誤って取り除いてしまう所があることを見つけた。従って、一つの行が分割されて続く行がたまたま終止符で始まることになった場合、その ISP はその終止符を取り除いてしまうことがある。この問題は再現が困難である。何故ならば、メールヘッダーの長さはバラバラであり、一つの行がラップされる場所は送られる度に変わり得る。言う迄もないが、終止符を取り去ることはフォーマットをめちゃめちゃにし得る。我々が経験した様に、そして Bill が指摘した様に他の形でも問題であり得る。例えば、薬を .25 ml 服用すると書かれた処方箋が 25 ml に書き換えられたら大変である。

もし POP が多くの人に使われ、そして、もし Yahoo Mail サポートとつながるのが簡単なら、私はこのバグを報告したいところである。(Yahoo サポートとつながるのがどれ程難しいかの例を挙げてみよう。今週初めに、知人のメールアカウントが不正アクセスされ、その攻撃者は私に複数のメールを送り、私を騙して彼に Amazon ギフトカードを送らせようと試みた。最初のメッセージの後、彼は我々の会話を私の知人の管理下にはない似た様に見える Yahoo アカウントに転送した。私の知人にテキストメッセージ経由でこの攻撃に対して注意喚起した後、私はこの明らかな悪用例を Yahoo に報告する方法を見つけようとしたが、適切なサポートチャネルを見つけられなかった。)

その代わりとして、この問題を経験した人に対して、私は IMAP に切り替えることをお勧めしたい。技術的或いは哲学的理由から、それはやりたくないと言うのであれば、メールで破損した TidBITS 記事は代わりに我々のウェブサイト上で読める - その号にある記事のタイトルをクリックすればあなたのブラウザに読み込まれる。

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Glenn Fleishman  訳: Mark Nagata   

新しい Apple Guide が個人の安全対策を助言

Apple の新しい Personal Safety User Guide はウェブサイトとダウンロード可能な PDF 双方の形で出されており、数多くの Apple サービス、アプリ、ハードウェア、ウェブサイトに関連する安全策について Apple ユーザー向けに詳細な助言と勧告を述べている。[訳者注: 現時点ではまだ日本語版は出ていないようです。]iOS、iPadOS、macOS において安全で、プライベートで、セキュアでいるための本を複数冊執筆してきた著者として、私が今回のガイドに強い興味を持ったことは容易にお察し頂けるだろう。大体において、私は肯定的な印象を受けた!

個人向けの安全対策を巡って Apple がシンプルで、包括的で、読みやすい、検索しやすい形で設定や助言をまとめてくれたのは素晴らしいことだ。(私が調べたバージョンは 1 月 22 日付となっていた。)

Apple はこのガイドの目的を明確に述べている。そこにはリスクの可能性によってぶれるところはない:

手早いチェックリストと機能の詳細な使用方法を示すことを通じて、この資料はテクノロジーに基づく不正使用、ストーキング、あるいはハラスメントに苦しむ人々が Apple エコシステム全体を通じて個人の安全を保護する目的で提供されているさまざまのオプションを理解できる助けとなるように作られています

この Personal Safety User Guide はその目標を完全に満たした訳ではないけれども、Apple がこれまで公表したどんなものよりもこの話題に関する情報を利用しやすく集中的にまとめて提供している。主としてこれは、オペーレーティングシステムとアプリの中でメディア、位置情報、個人情報、その他のデータを共有する可能性のあるあらゆる場所を見つけられるようにするための援助を提供している。

Personal Safety User Guide の概要

Personal Safety User Guide の第1のセクションは、デバイスやソフトウェアがどのようにセットアップされているかを見直す役に立つ。このガイドは、共有設定を変更して人々を削除したり共有を停止したり、あるいは意図せぬところで自分についての何かを共有していないかを確認したり、といった操作を一つ一つ説明して行く。

疑わしい挙動や設定を記録するための徹底した助言を書いたいくつかのページが素晴らしい。"Document suspicious activity with a screenshot or video" (疑わしい活動をスクリーンショットやビデオで記録する) ページは iPhone、iPad、あるいは Mac の上でスクリーンショットやビデオをキャプチャする手順を細かいところまで覚えていない人には便利だろう。

Apple's instructions on documenting suspicious activity with screenshots

Apple はさらに、悪意ある目的や未知の目的のために誰かがサードパーティのアプリをインストールしているかもしれないということまで認めている:

かつては信頼していた人物があなたのデバイスに許可なくアプリをインストールしているのではないかと心配ならば、そのデバイスにインストールされているすべてのアプリのリストを調べて、個々のアプリがどのように情報にアクセスしているかを調べたり、それを変更したりできます。

また、このガイドはプロファイルを調べたり削除したりすることにも言及している。プロファイルは、人々を騙して iPhone や iPad に何かをインストールさせ、それを通じて簡単に監視できるようにできる数少ない手段のうちの一つだからだ。(プロファイルはネットワークトラフィックやその他のことに影響し、それを通じて開発者が作った App Store 外のアプリをユーザーがインストールすることも可能になる。)

それから "Manage Family Sharing settings" (ファミリー共有の設定を管理する) も便利かもしれない。ファミリー共有のメンバーを管理したり、メンバーを削除したり、自分自身を Family Sharing グループから削除してもらったりするための良い助言が集められている。

"Stay safe with AirTag and other Find My accessories" (AirTag やその他の Find My アクセサリーで安全を保つ) では、ストーキングその他の望まない追跡についてあまり深く立ち入ることなく Apple は Personal Safety User Guide の主たる義務をおろそかにしている。ここには手早い概観のみが述べられ、Apple が提供する機能のすべてを語ることすらしていないし、ましてやそこにさらなる洞察を加えることもない。また、詳細を直接説明する代わりに Apple サポート記事へのリンクを付けている。

同じように、"Avoid fraudulent requests to share info" (情報共有を求める詐欺的依頼を避ける) セクションはいくらか主題から外れていると同時に、たった2つの段落と1行のメモだけという腹立たしいほどの簡潔さだ。Apple はここのところでもっと深くもっと役に立つ情報を提供できたはずだろうに。

Apple tips on avoiding fraudulent sharing requests

第2のセクション "Safety and privacy tools" (安全とプライバシーのためのツール) は、第1のセクションよりずっと一般的な内容に感じられる。継続的にデバイスをアップデートしたり、セキュアなアクセスのために (パスワード、Face ID、Touch ID で) デバイスを設定したり、二要素認証を使って Apple ID を安全にセットアップしたり、iCloud Data Recovery Service (この不出来な名称は正式な名前だが、このガイドで Apple はその名前を使っておらず、ただ "account recovery contact" (アカウント復旧連絡先) セクションの中で間接的に触れているだけだ) を有効にしたりといったことの説明を提供している。この "Safety and privacy tools" セクションの最後では新しい App Privacy Report 機能へと読者を誘っているが、この機能は他の人たちよりもむしろあなたのプライバシーを侵害するアプリに関するものだ。

Personal Safety User Guide の結びに、Apple は3つのチェックリストを載せている:

このガイドはむしろこの3つのチェックリストからスタートした方が良かったと思う。そうすればこの書類の中のあらゆるものをカバーする詳細な目次として機能したはずだ。まさに、Take Control ブックの Quick Start セクションと同じ働きをすることだろう。それなのに実際にはチェックリストが末尾に追いやられていて、3つのうちの最初のページのみがガイド内の多くの個所へのリンクを提供する状態になっている。

改善の余地

全体として、この Personal Safety User Guide は私が期待したほどには自らが述べた使命を遵守していない。データアクセスや物理的な追跡に関係する安全性については有用な助言を提供しているけれども、遠隔ハッキングの試みや、その他犯罪者や個人情報泥棒に関連する行為についての話題になると、いきなり大まかなアドバイスとなってあらぬ方へと迷い出てしまう。Apple はそちらのことについても、個人の安全の問題に懸念を持つ人たちのためにもっと直接に関連ある情報を提供すべきだろう。

そうは言っても、このバージョンの Personal Safety User Guide は第1版に過ぎず、今後さらに成長して、完結した作品として内容をもっとよくまとめたものへと成熟できる余地はある。文学作品になる必要はないけれども、テーマをきちんと述べた以上は、もっと徹底的にそのテーマに沿ったものにすべきだ。


安全とプライバシーとセキュリティに関して Glenn が現在出している本は、Take Control of iOS & iPadOS Privacy and SecurityTake Control of Find My and AirTagsTake Control of Securing Your Mac、それにTake Control of Wi-Fi Networking and Securityだ。

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Josh Centers  訳: Mark Nagata   

Simply Piano でピアノの弾き方を習おう

私の妻は素晴らしいピアノ演奏家で、成人して以来ずっとピアノを教えてきた。だから彼女は何年も前から、今は 8 歳になる息子の Harris にピアノを教えたくてたまらない気持ちでいた。でも当然予想できることだが、息子はピアノになんか目もくれず、両親と違ってスポーツにすっかり夢中になっていた。

それだからこそ、Harris が JoyTunes の Simply Piano をやってみたいと言い出した時、私たちは腰を抜かすほど驚いた。彼にはもう何週間も YouTube を見せていなかったので、不思議だった。この子がそういったものの広告を見るのはたいてい YouTube だからだ。考えられるのは、古い YouTube の記憶と、何とかしてスクリーンへのアクセスを得たい気持ちからの必死の策略ということだったろうか。

Simply Piano は仮想のピアノを提供したりはしない。その代わりに、Simply Piano アプリを走らせた iPhone または iPad を、本物のピアノの近くに置く。アプリがレッスンを示し、生徒がそれに応じてピアノを弾き、アプリはそのデバイスのマイクロフォンを使って音を拾い上げることで練習を採点する。

Simply Piano は結構な購読料金を必要とするが、数個の入門レッスンだけは無料だ。Harris はそれまで一度もピアノを弾いたことはなかったが、無料レッスンはあっという間に終えて、もっとやりたいと言い出した。料金は契約期間に応じて大きく変動し、3 か月契約は $74.99 (つまり月額 $24.99)、6 か月契約は $112.90 (つまり月額 $18.82)、12 か月契約は $149.99 (つまり月額 $12.50) となっている。アプリの購読料金としては安くないが、私の妻のような本物のピアノ教師に教わればレッスン 1 回あたり $50 はする。(それでも安いほうだ。)

Harris playing Simply Piano

7 日間の無料試用と書かれていたこともあって、私は 3 か月契約にサインアップした。息子の興味がどれほど長く続くのか予想できなかったからだ。8 歳の子供の注意持続期間など誰にも予期できない。でも料金を支払ってみると、その 7 日間の無料試用というのは年間購読をした場合のみのものだった。何だよ!

ふざけたビジネス手法のことはさておき、妻と私は Simply Piano をなかなか素晴らしいと思った。個々のレッスンがビデオゲームのように組み立てられている。まず新しい音符を習ってから、自分のペースでその音符を弾く。

Learning new notes in Simply Piano

それからレッスンは計時された練習に移る。画面上をバーが移動するので、バーが音符を通過するタイミングでその音符を弾かなければならない。正しいタイミングでボタンを押すと考えれば、Dance Dance Revolution や Guitar Hero といったゲームに似ているとも言える。ここでは本物のピアノを使うところが違うだけだ。レッスンに含まれる練習のすべてのレベルを済ませたら、一つの楽曲をアプリで弾くことができる。Harris に言わせれば「ボスと戦う」のだ。

Rhythm drills in Simply Piano

幸いにも "Chopsticks" はない。選べる楽曲は比較的新しいポップスのヒット曲で、例えばこんなものがある:

ご覧の通り、さまざまな曲があって、ピアノ指導書にありがちな 19 世紀から 20 世紀初頭のもの (おそらく著作権切れのものだからだろう) が入っていないのが嬉しい。("Chopsticks" は 1877 年の曲なので、現代の子供たちが知らないのも頷ける。)

Simply Piano lessons

これまでのところ、私たちは皆 Simply Piano のレッスンに好印象を持っている。ほんの数日で Harris はいくつかの音符と単純な曲を学び、満点が出るまで繰り返し繰り返し曲を弾いている。練習しなさいと私たちが促さなくても、Harris は自ら Simply Piano がやりたいと頻繁に iPad を求めてくる。

全体的に見て、Simply Piano の購読料金はピアノのレッスンと比べれば十分お買い得だし、ピアノ教師にすれば息子が自ら反応するのか、自発的に練習しようとするのか、分かったものではない。その上、このアプリは複数のプロファイルに対応しているので、理論的には他の子供にせよ私自身にせよ一緒に Simply Piano で習い始めることも可能だ。(ただし娘の Betsy はまだ生まれて 6 か月なので指が届かないだろう。) さらにお買い得なことに、購読にはこの会社の Simply Guitar アプリも含まれている。

Simply Guitar についても何か言えればよかったのにとは思うが、Harris はこちらも試してみて、まだギターのフレットをきちんと押さえられるだけの指の力がないと分かった。私が見た範囲だけで言えば、こちらのアプリもよく似たやり方を使っていて、習い始めにまず弦で個々の音を鳴らせるようにしてから、Simply Guitar の指示に従って曲の音符を弾いて行き、アプリがそれを聴くようになっている。

もしあなたがピアノを始めてみたいなら、またはお子さんやお孫さんがピアノに興味があるかもしれないと思われたなら、あるいは、ピアノ教師のレッスンを補うための仮想の教師が欲しいなら、Simply Piano にはきっと試してみる価値が十分にあるし、Simply Guitar にもたぶん同じことが言えるだろう。

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

macOS Big Sur 11.6.3 and Security Update 2022-001 Catalina

macOS Big Sur 11.6.3 とセキュリティアップデート 2022-001 Catalina

Apple が macOS Big Sur 11.6.3 と、macOS 10.15 Catalina 用のセキュリティアップデート 2022-001 をリリースして、Big Sur で 7 個、Catalina で 5 個のセキュリティ脆弱性をパッチした。いずれのアップデートも、メモリ処理を強化しバッファオーバーフローの問題に対処することにより悪意あるアプリケーションにカーネル権限を取得され任意のコードを実行される可能性を防ぎ、PackageKit の検証を改良することにより制限されたファイルへのアクセスを防ぎ、TCC (Transparency, Consent, and Control) のチェックを強化することによりアプリケーションがプライバシーの特定の環境設定を回避することを防いだ。とりわけ Big Sur アップデートの方は直ちにインストールすることをお勧めしたい。Apple によれば今回修正された脆弱性の一つが現に悪用されているとのことだからだ。もしアップデート後に何か問題に気付かれれば、ぜひコメントで教えて頂きたい。(無料、サイズはいろいろ、Big Sur リリースノートCatalina リリースノート、macOS 11 および 10.15)

macOS Big Sur 11.6.3 とセキュリティアップデート 2022-001 Catalina の使用体験を話し合おう

Safari 15.3

Safari 15.3

Apple が macOS 11 Big Sur と 10.15 Catalina 用に Safari 15.3 をリリースして、4 件の WebKit 脆弱性をパッチした。このアップデートではメモリ管理を強化することにより悪意を持って作成されたウェブコンテンツに任意のコードを実行される可能性を防ぎ、ロジックの問題に対処することにより Content Security Policy の適用を回避される可能性を防ぎ、入力検証を強化することによりウェブページに重要なユーザ情報を追跡される可能性を防いだ。Safari 15.3 は Software Update 経由でのみダウンロードできる。(無料、サイズはいろいろ、リリースノート、macOS 10.15+)

Safari 15.3 の使用体験を話し合おう

URL Manager Pro 5.9

URL Manager Pro 5.9

Alco Blom が URL Manager Pro のバージョン 5.9 をリリースして、Search Results ウィンドウからのドラッグ&ドロップへの対応を追加した。このブックマークマネージャユーティリティはまた、Show Next Tab への Control-Tab キーボードショートカットをすべてのウィンドウに追加し、Safari の Reading List の読み込みと書き出しへの対応を追加し、Firefox 用の Share 拡張を改良し、Return キーを使ってウィンドウを閉じる環境設定項目を追加した。(新規購入 $29.99、無料アップデート、20.5 MB、リリースノート、macOS 10.13+)

URL Manager Pro 5.9 の使用体験を話し合おう

Zoom 5.9.3

Zoom 5.9.3

Zoom が会社名と同名のビデオ会議アプリをバージョン 5.9.3 にアップデートして、新機能や拡張機能とバグ修正を盛り込んだ。このリリースでは Zoom クライアントの環境設定にアクセスする必要なしに背景をぼかす機能を改良し、ブレイクアウトルームが開いていて使用中であってもホストがブレイクアウトルームを作成・削除・改名できるようにし、ウェビナーやミーティングのホストが登録者に対して登録に使用されたメールアドレスに関連付けられた Zoom アカウントでサインインすることを要求できるようにし、低光量でのビデオ設定を改良し、異なるミーティングに同時に参加する際の問題を解消し、読み込んだ連絡先が削除されたバグを修正し、視聴者の側でスライドが進まなかった問題に対処した。(無料、25.8 MB、リリースノート、macOS 10.9+)

Zoom 5.9.3 の使用体験を話し合おう

BusyCal 2022.1.1 and BusyContacts 1.6.4

BusyCal 2022.1.1 と BusyContacts 1.6.4

BusyMac が BusyCal 2022.1.1BusyContacts 1.6.4 をリリースして、中国にある iCloud の CardDAV サーバへの対応を追加した。また、BusyCal は今回から Google Meet と GoTo (LogMeIn) のビデオ会議をイベントに追加できるようになり、mini-month 表示を拡張し、デフォルトアラームをバッチ追加 (または既存のアラームを削除) できるようにし、Google アカウントにおける複数個のタイムゾーンへの対応を復活させ、メニューバーアプリが適切にリフレッシュされるようにし、ノートでの Microsoft Teams ビデオ会議の探知に関する問題を解決した。

BusyContacts は同期の完了を妨げていた iCloud エラー処理を改善し、グループ名の変更が Fastmail から同期されなかった問題を解消し、プロフィール写真が iCloud でアップデートされなかったバグを修正した。(BusyCal は BusyMac からも Mac App Store からも新規購入 $49.99、無料アップデート、 Setapp Mac からも利用可、53.1 MB、リリースノート、macOS 10.12+。BusyContacts は BusyMac からも Mac App Store からも新規購入 $49.99、無料アップデート、Setappからも利用可、23 MB、Setapp, 23 MB, リリースノート、macOS 10.12+)

BusyCal 2022.1.1 と BusyContacts 1.6.4 の使用体験を話し合おう