HDTV (高精細テレビ) で使える魅力的にデザインされたストリーミングメディアプレイヤーで、AirPlay 2 に対応しており、使っているあらゆるサービスに対応しているものが欲しい、けれども Apple TV 4K に $179 から $199 も払うのは高過ぎると思う、そういう人たちのために、Roku から出ているストリーミングプレイヤーでその要求を満たし、かつ予算内に収まるかもしれないものがある。
[訳者注: この記事に書かれている Roku デバイスに関することはすべて、米国における情報であって、日本では該当しないことが多いようです。]
Roku はもう十年以上も前から、Apple TV+ や Netflix などサードパーティのアプリを通じてビデオをテレビへストリーミングするメディアプレイヤーを作ってきた。また、スマートテレビのメーカー各社にソフトウェアをライセンス供与することもしてきた。Roku は独自の映画やテレビ番組を無料でライセンス提供してきたし、オリジナルの番組、例えば発表されたばかりのドキュメンタリー Weird Al などの制作もしている。
Roku を使えば Apple TV に法外な値段を支払うことなく、Amazon や Google のエコシステムに巻き込まれることもない。また、LG、Samsung、Sony、Vizio といった会社の作るスマートテレビによくある出来の悪いインターフェイスやプライバシーの悪夢を避けることもできる。Roku ではある種の追跡をオプトアウトすることができるが、一部のプライバシー選択項目についてはあなたが既に関係を持っているストリーミングサービスのプロバイダに任せている。
最近私は Roku Express 4K+ を購入してテストした。現在これは $29.99 で売られており、Apple TV 4K の最安値モデルに比べても6倍安い。接続には Wi-Fi 5 (802.11ac) を使い、限定された音声認識機能を持つ“音声リモコン”を内蔵する。筐体は非常に小さくて、マルチスロットのカメラカードリーダーと大して変わらない。両面粘着テープが付いていてテレビ本体に貼り付けておける。このデバイスは USB から電源を得ており、Roku は必要な USB ケーブルと USB AC アダプタ、テレビへの接続のための HDMI ケーブルもすべて付属させている。Roku はさらにリモコン用に Duracell ブランドの AAA (単4) 電池 2 個まで付けている。高価な電子機器にさえよく付いてくるノーブランドの安物の電池ではない。
セットアップはとても簡単だった。Apple TV を使い始めるのと同等か、もっと易しいくらいだ。Roku Express 4K+ を私のテレビに接続して両方の電源を入れると、プレイヤーが自動的にテレビの解像度を探知して、それが正しいことを私に確認させ、ウェブページを示して私に残りの設定をさせた。また、URL を入力したり QR コードをスキャンしたりしてもそのページを開くことができる。リモコンで文字を入力するのはいつでも厄介なので、ウェブベースの設定の方が望ましい。どうやらこれは Roku 製品を通じたテーマのようだ。(このリモコンにはアカウント情報を音声で“タイプ”するという興味深いオプションもあって、文字と数字と句読点を口で話して入力することもできる。)
私はそれまで Roku アカウントをセットアップしたことがなかったので、まずそれを済ませてから、数多くあるサードパーティの Roku 提携ストリーミングアプリの中から手早くいくつか選んでインストールした。これらは“チャンネル”と呼ばれる。すべてのオプションを設定し終えるまでにほんの数分しかかからなかった。その後で、ソフトウェアアップデートが入手可能ということでダウンロードしてインストールしたがそれも1分以内で済んだ。
まずは Roku のホーム画面でいろいろなサービスを起動して、それぞれのアカウントにログインした。どのサービスも必ず URL を表示したが、大多数は QR コードを表示したのでそれを使って単純にブラウザで、または iPhone アプリで、ログインを済ませることができた。ストリーミングサービスではそれぞれのアプリを提供することが一般的だ。全部でほんの数分以内に、私は Apple TV (アプリ)、Amazon Prime Video、Hulu、Netflix その他にログインを済ませていた。(実際、ストリーミングサービスの数は多過ぎるほどだ。) そして私はストリーミングビデオの視聴を始めた。
Roku のインターフェイスは快適で、能率的で、反応性も良い。多くのスマートテレビのインターフェイスのようにいろいろの広告や異なるサイズの標的選択などで飾り立てられてはいない。また、Apple が Apple TV 画面に iPhone 風のホーム画面を真似ているにもかかわらずタッチ入力をサポートしていないので感じるフラストレーションも、ここにはない。Roku のインターフェイスは、あなたがリモコンを持っていることを理解している。左側に短いテキストのメニューを表示して、チャンネル、ライブのテレビ、設定その他のカテゴリーを並べている。
Roku オペレーティングシステムの使用は大体において直感的にできる。選択したりナビゲーションしたりするために新たな考え方を学習しなければならないという印象を受けたことはなかった。ただ一つ面食らったのはアスタリスク文字のボタンだが、これは右クリックとして機能し、コンテクスト対応コマンド、例えばチャンネルアイコンの位置を動かしたりするために使う。
しかしながら、使用体験が完璧だったとは言えない。最新のソフトウェアアップデートをインストールした後もそのことは変わらなかった。チャンネルを削除したり移動したりするのは少々扱いにくいが、Apple TV と比べればそれほど悪くはない。Roku リモコンには 4 つのボタンがあってそれぞれ Apple TV+、Disney、Hulu、Netflix 専用となっているが、これはこの 4 社がボタンを置いてもらうためにお金を支払ったというだけのことだ。これらのサービスを使う人には別に悪いことではないが、そうでない人にはボタンがいつもただそこにあって、巨大企業から支払いを要求され続けているような圧迫感を受ける。
Apple TV アプリは (Roku のトップレベルにあるチャンネルでなく) それに内蔵された Apple TV チャンネルをロードしない。これはおそらく、あまりにも深くネストされていて、少なくとも現時点では開発が困難だからだろう。その代わりに、私がどのチャンネルを試しても、茶色っぽい空白の画面が開くだけだった。“戻る”ボタンは動作したので、操作が行き詰った訳ではなかった。このアプリは Apple が提供しているのだから、これは Roku の責任というより Apple の責任だろう。
Roku はすべての現行モデルで AirPlay 2 に対応している。電源が入ると、他の AirPlay ビデオ送信先と全く同様に表示されるし、期待通りに働いた。
おそらく Roku は、盛んに手を挙げて注目を求めるストリーミングプレイヤーたちで一杯の教室の後ろの方で静かにしている秀才のようなものだ。賑やかなその連中のメーカーは皆、利用できる限りのあらゆる手段を駆使して自社が提供するオプションを宣伝している。Google、Amazon、Apple など競合各社は企業努力のほんのわずかな部分をストリーミングに注いでいる。けれども Roku はストリーミングのみに力を注ぐ。Roku のストリーミングプレイヤーは安価でセットアップの簡単なデバイスだが、そのインターフェイスは競合各社の中でもベストなものの一つであり、侵略的なところが最も少なく、ユーザーの時間と注意を最も無駄にしない。一言でまとめれば、Roku は Apple TV の立派な代替製品であって、これと比較すれば Apple TV の各モデルの価格がいかに高過ぎるかがよく分かる。
私はこれ迄 Health アプリに対してひどいことを色々言ってきたし、そのインターフェースには改善の余地が沢山ある。しかし、アプリに健康関連のデータの共有を許す技術として、Apple Health (サードパーティアプリはそのバックエンドをこの様に呼んでいるらしい) は素晴らしい。それは、私の活動追跡アプリ、カロリー計算アプリ、そしてスマート体重計アプリがお互いに会話することを可能にしていて、カロリー摂取量と消費量、そしてそれが体重と体脂肪率にどの様に反映しているかを私に教えてくれる ("Eufy BodySense で体重管理を、安価で HealthKit 対応のスマート体重計" 13 July 2018 参照)。3つの異なる開発者からのアプリを使い情報を集めそして見ることができるという事実は信じ難いほどである。
もし Health アプリを Apple Health のセンサー信号データベースに対するフロントエンドとして見るのであれば、その平凡なインターフェースも多少は意味をなす。問題は、Health があまりにも多くのデータを追跡するので、手に余ることである。秘訣は、最も興味を引く項目を Favorites に設定して Summary 画面上でそれらを簡単に見られる様にすることである。特定の健康状態をお持ちの場合は、医師から注意すべき項目を既に言われているかもしれないが、そうで無い場合は、どこから始めるのか知るのは難しいこともある。
もし自分の命が文字通り依存する健康状態、血圧や血糖の様な、を監視する必要があるのであれば、Bluetooth の付いた機器で Apple Health 対応アプリと同期するものに投資する価値は十分にある。そうすれば、自分の数値や傾向を簡単に見られる。私は血糖値測定器についての知識を持ち合わせていないが、手首装着型の自動血圧測定器に関する私の経験からすれば、それはばらつきがある。妻の医師は我々が手首装着型機器から大部分は正しい計測値が得られるよう装着する方法を教えてくれた。
Health がうまくやれていないのは、それが提供するデータを私が理解するのを手助けする所である。Health はその項目を説明はしているが、大事な背景を提供していないことが多い。一つだけ例を挙げると:Health は、私の睡眠中の平均呼吸数は先週減少したと教えてくれる。でも、それは良いことなのか悪いことなのか? 知りたければ、Web 検索をしなければならない (通常値は 12-20 なので、理にかなった範囲内で低い方が良いのではと推測する)。サードパーティアプリの方が背景を提供するのに良い仕事する場合が多い。
Health について最後の一言:iOS 15 で導入された傾向機能は役に立つが、改善の余地がある。COVID から回復した後、以下に見られ様に、私の安静時心拍数は減少傾向を示した。しかし、私はここにもっと多くの履歴や背景があればと思う。数値は、何の前触れもなしに傾向に沿ったものから傾向から外れたものに落ちるかもしれない。そんな場合、何が失速しているのかを理解する手助けをしてくれれば、その理由を見つけ出す努力が出来るであろう。
もし Activity/Fitness そして Health があなたのニーズに合わないのであれば、私のニーズを満たしていない様に、以下の様な代替選択肢がある。
Cronometer は色々なことを明かしてくれる、とりわけ、Apple Health からの活動データと同期した時には。現在の食事法だと、私は通常私のメンテナンスカロリー閾値よりも遙かに低い量しか食べていないことを発見した。事実、筋肉を付けるにはもっと食べないといけないのであろうが、私が今食べている栄養に富んだ食物は満腹感が強すぎて食べられないのである。今は恐らくそれで良いのだと思うが、もし理想の体重まで減量出来て、更に筋肉を付けたいと思った時には、それは克服しなければならない壁となるかも知れない。
私はまた、現在の食事法だと、定常的にビタミン C、カリウム、そしてビタミン E が不足していることを発見した。そしてそれは私がなすべき修正や摂るべきサプリメントへと導いてくれた。また、足りないものにはマグネシウム、ビタミン D,そして亜鉛があるが、私はこれらのサプリメントをもう既に摂っている。
私は無料で簡単な Stronglifts 5×5 プランから始めてみた。それは、週に3日5回挙げスプリットに焦点を当てている。2種類の運動がある。Workout A は、スクワット、ベンチプレス、そしてバーベルローである。Workout B は、スクワット、頭上プレス、そしてデッドリフトである。Stronglifts は独自の アプリを持ち、計画に従って使うのは無料で、全てのコアリフトの短いデモビデオが付いている - やり始めるには必須だ。
私は、Stronglifts が Apple Watch と同期する良さが気に入っている。私は筋トレを iPhone で始め、Apple Watch でセットを終了し、そして時計上で休みタイマーを心拍数と共に見る。データは iPhone と Apple Watch の間で切れ目なく流れる。そして、それは Apple Health とも統合し、私の運動を筋トレとして記録する。
しかし Stronglifts は余りにもスクワットに焦点を当てており、スクワットがきちんと出来ないと自分は失格者かの様に感じさせられてしまう。ストレッチは何年もやっているが、私の腰はただ単にあの様には動かないので、他のルーチンを試そうと思った。Stronglifts はカスタムのルーチンをサポートするが、StrongLifts Pro への定期購読が必要で、それは月額 $4.99 か年額 $29.99 である。別に、家族や生涯定期購読もある。
残念ながら、Strong はその Apple Watch サポートで負担を強いてくる。デフォルトで、その Apple Watch と iPhone アプリは、終了した後、時計が運動データを iPhone アプリに送る以上の通信はしない。Live Sync 設定は双方向通信を容易にするはずであるが、余りよく働かないし、それに Apple Watch アプリは私が iPhone で始めた一つの運動を取り出そうとしたらクラッシュしてしまった。
後に、それはもっと良く働くようになったが、もう運動を終わる時間になっていた。その iPhone アプリは、データを失わないよう Apple Watch 上の運動を止めるよう警告してきた。私はそうしたが、Strong は運動の最後に腹筋運動のセットを失ってしまった。私は私の運動を iPhone 上で編集出来るが、面倒であることに変わりはなく、Strong を両方のプラットフォームに亘って使うのに不信感を抱かせる。
私にはもっと多くの試すべき筋トレアプリがあるが、より好きになるものが見つからなければ、Stronglifts Pro 定期購読に飛びつくかも知れない。何故ならば、その Apple Watch 統合がより優れているからである。iPhone をジムバッグに入れたまま、自分の腕から運動を追跡出来るというのは素晴らしい。もしこの分野で何か推薦出来るものがあれば、コメントで教えて欲しい。
自分自身のリングを描く
もし Apple Watch を持っているが Apple の Activity リングには満足していないのであれば、良い知らせは試せる代替選択肢が沢山あることである。Apple Health を使って、同社は柔軟なプラットフォームを作り上げた。それは Apple Watch データをサードパーティ開発者に好きなように読みそして分析させる。それ等の方があなたのフィトネス目標に対してもっと役に立つかもしれない。
しかしながら、フィットネス追跡器に自分の人生を振り回されないようにするのは大事である。カロリー計算に執着する、或いは水準以下のレディネス点数を運動しない言い訳に使うと言った罠に嵌まるのは簡単である。同様に、私は Apple Watch が言ったからといって立ち上がる気もない。とりわけ、運転中は。
イスラエルの企業 NSO Group が作った Pegasus スパイウェアは、いくつもの国の政府が活動家やジャーナリストを監視するために使っていたことが暴露されて 2021 年のサイバーセキュリティの大きな話題の一つとなり、Biden 政権はこの会社を禁輸措置のブラックリストに載せ、Apple は訴訟を起こした。(2021 年 11 月 24 日の記事“Apple の訴訟、スパイウェア企業 NSO Group を追う”参照。)
今回 New York Times による広範な調査が明かしたところによれば、FBI が 2019 年に Pegasus を購入しており、何年もかけてテストした結果、これを使用しないことに決めたという。また、誰が NSO Group から Pegasus のライセンスを得られるかについてはイスラエル政府が管理権を維持しており、このスパイウェアが世界規模の外交術に組み込まれていることも明かされた。ここでの教訓は、今やサイバー兵器が世界規模の外交における交渉の材料となり、過去に戦闘機が果たしていた役割を置き換えるに至っているということではなかろうか。ただ、そこでの大きな違いは、政府の情報機関や法執行機関が標的とする犯罪者やテロリストや活動家その他が使っているものと同じデバイスを、私たち皆が使っているという点だ。
私たちの友人 Jason Snell が、今年もまた恒例の Six Colors Report Card を公開して、何人もの TidBITS スタッフたちも含む 53 人の Apple 観察者たるプロたちの声を成績表にまとめ上げた。全体的な点数は良く、Mac、ハードウェア信頼性、iPhone、Wearables の各カテゴリーが上位に並んだ。特に称賛のコメントが集まったのが新型 MacBook Pro だ。反対に、開発者との関係と、HomeKit のカテゴリーは去年も低く、今年はさらにもっと低い評価だった。
奇妙なことに、Apple TV カテゴリーが (既にかなり低かった点数から、おそらく新型 Siri Remote のお陰で) 大幅なジャンプを見せたのをたった一つの例外として、他のすべてのカテゴリーで点数が去年と同じかまたは少し下がった。いつもと同じく、この報告記事は読む価値が十分にある。とりわけ、皆さんお気に入りの Apple 評論家たちが述べた明快な言葉にご注目頂きたい。