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#1602: Mac Studio と Studio Display、iPhone SE と iPad Air、OS アップデートが Universal Control とマスク対応 Face ID を導入

先週の Peek Performance イベントで、Apple は iPhone SE と iPad Air にスペックを大幅に向上させたアップデートを出すとともに、Mac の風景を永遠に変えてみせた。27 インチ iMac に別れを告げて、Mac Studio を迎えたのだ。これは独立したボックス型のコンピュータで、基本的に Mac mini を M1 Max と新しい M1 Ultra チップによって大幅にパワフルに変えたものだ。この Mac Studio と共に Apple は $1600 の 27 インチ Studio Display を導入した。これは $5000 もする Pro Display XDR よりも安価なモニタの選択肢として出されるものだ。これらの新しいハードウェアに対応するためと、Universal Control 機能を有効化するため、またマスクを着用したユーザーが Face ID を使えるようにするために、Apple は iOS 15.4、iPadOS 15.4、macOS 12.3 Monterey、watchOS 8.5、tvOS 15.4、それに HomePod Software 15.4 を出した。今週注目すべき Mac アプリのリリースは Audio Hijack 3.8.11、ScreenFlow 10.0.5、Lunar 5.4.3、macOS Big Sur 11.6.5 とセキュリティアップデート 2022-003 Catalina だ。

Josh Centers  訳: 亀岡孝仁  

macOS 12.3 Monterey, watchOS 8.5, tvOS 15.4, HomePod Software 15.4 をリリース

新しい機器が今週出荷されるのにほんの少し先立って、Apple は iOS 15.4, iPadOS 15.4, macOS 12.3 Monterey, watchOS 8.5, tvOS 15.4, そして HomePod Software 15.4 をリリースした。

Apple 体験に対するこれらのアップデートからの最も目につく追加は、Universal Control であるが、Apple は未だそれをベータだと称している。Universal Control は、複数の Mac や iPad を同じキーボードとポインティング機器から制御させてくれ、機器間の切替えは切れ目無く行われる。少なくとも、理論上はそうである。 我々も間もなくその性能を試すつもりだ。

変更の多くは異なったオペレーティングシステム間で共有されているので、多くのものは iOS 15.4 に対して取り上げ、残りについてはその違いに焦点を当てた。一つ注意点を挙げておくと、iOS 15.4 と iPadOS 15.4 にアップデートした後、色々な言語で書かれた新しい "Hello" 画面で出迎えられる、Monterey における Hello 画面の様に。

何時アップデートすべきか? もし Universal Control を試したい、或いは iPhone 上の Face ID がマスクをしたままでも働く様にしたいというのであれば、予期しない不具合が無いことを確かめるため数日待つ事をお勧めする。それ等の機能は何が何でもという程で無いのであれば、Apple はセキュリティ修正のどれも積極的な標的にされているとは認識していないので、1,2週間は待っても良いのでは無かろうか。

何れにしろ、これらは恐らく Apple の 2021 オペレーティングシステムに対する最後の機能リリースであろう。Apple は次のメジャーリリースを6月に WWDC で発表し、一般向けにはそれ等を9月にリリースすると思われるので、それ迄は、殆どはセキュリティアップデートと時たまのバグ修正となるであろう。

iOS 15.4

iPhone 12 かそれ以降を使っている人達に対する iOS 15.4 の目玉は、Face ID が今やマスクをかけていても働くことであろう。この機能は、Face ID を再設定することが必要で、更にもし眼鏡をかけているのであれば、眼鏡の有り無しの両方で Face ID を訓練することが求められる。何種類もの眼鏡を使い分ける人は、それ等をその訓練に付け加えることが出来る。

iOS 15.4 release notes

このアップデートは又、新しい絵文字と新しい性的に中立な Siri の声を提供し、そして 対応するアプリから SharePlay を直接始めさせてくれる ("FaceTime の画面共有と SharePlay の使い方" 8 November 2021 参照)。ようやく保存したパスワードに対してメモを付け加えられるようになり、Apple 内蔵のパスワードマネジャーの能力向上につながっている。ヨーロッパのユーザーは今や Health アプリを使って自分の EU Digital COVID Certificate をダウンロードし、そしてそれを Wallet に表示させることが出来る。

iOS 15.4 はまた多岐に亘るより小さな改良も提供している:

アップグレード後、iOS 15.4 のバグ修正も歓迎出来る:

iOS 15.4 と iPadOS 15.4 には 36 のセキュリティアップデートが含まれる。このアップデートは iPhone 11 Pro 上では 1.21 GB のダウンロードである。

iPadOS 15.4

Universal Control 以外の iPadOS 15.4 の特長は iOS 15.4 と同様である。違いを挙げてみると:

iPadOS 15.4

iPadOS 15.4 アップデートは 10.5-inch iPad Pro 上では 914.2 MB のダウンロードである。

macOS 12.3 Monterey

Universal Control と iOS 15.4 における変更以外の macOS 12.3 Monterey における大きな変更は:

macOS 12.3 Monterey には 45 のセキュリティ修正が含まれ、そしてアップデートは 4.38 GB のダウンロードである。

watchOS 8.5

watchOS 8.5

watchOS 8.5 での注目に値する変更は他のアップデートよりも少ない:

watchOS 8.5 は 22 のセキュリティ修正を含み、そのアップデートは Apple Watch Series 4 に対して 542 MB のダウンロードである。

tvOS 15.4

上で述べたように、tvOS 15.4は watchOS 8.5 が走る Apple Watch 上で購入を承認させてくれる。また、別の番組を見ながら Picture in Picture ウィンドウを使って HomeKit カメラから常に眼を離さないように出来る。最後に、tvOS 15.4 は "captive portal" Wi-Fi ネットワークをサポートする。これはホテル等で見られるように、接続する前に Web 頁をクリックして通り過ぎるよう強制するものである。

tvOS 15.4 には 21 のセキュリティ修正が含まれる。

HomePod Software 15.4

休暇に HomePod を持って行けたらと願ってきたのであれば、HomePod Software 15.4 には "captive portal" Wi-Fi ネットワークに対するサポートも含まれる。また、オランダ語とフランス語に対する Siri 音声認識サポートを含まれるので、次の休暇先に推奨しているのかも知れない。

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Josh Centers  訳: 亀岡孝仁  

第三世代 iPhone SE は再度超お買い得

私は第二世代 iPhone SE が大好きだった。それは、レトロな Touch ID パッケージに(当時) 現代の iPhone 性能と機能を詰め込んでたったの $399 しかしなかった。私はそれを、最新のかつ最も優れたものは必要としない多くの一般人に推奨した。しかし、iPhone 13 の到来と共に、iPhone SE は少々古くさく見える様になった。

Apple は今度第三世代 iPhone SE を発表した。位置づけは同様である。値段は 64 GB のストレージ付きで少し高い $429 だが、アップグレードするなら $479 の 128 GB モデルの方が頭を悩ます必要がない選択肢と思われる 私が扱う iPhone の最も一般的な問題の一つは、しょっちゅうストレージが足りなくなることである。$50 余分に払うのは、テックの世界では歯の痛みと同等の問題を避けるためには十分価値のある話である。また256 GB モデルもあり、$579 である。

iPhone SE third-generation

この iPhone SE をお買い得品としているのは、iPhone 13 を駆動しているのと同じ A15 Bionic チップが使われていながら、$370 も安いところから始まっていることである。また、5G 接続性も提供している (但し、最速のミリ波 5G ではない - "AT&T と Verizon、より高速で、より多くの地域で利用可の 5G サービスを開始" 22 January 2022 参照)。但し Gigabit LTE はサポートしていないので、4G 接続性は iPhone 13 よりも少々遅いかも知れない。

A15 Bionic のお陰で、iPhone SE の背面カメラは今やもっと高価な iPhone の計算写真学機能の多くをサポートする。例を挙げると、Smart HDR 4, Photography Styles, そして Apple の機械学習を使った Deep Fusion 機能等である。.それはまた、Live Text 認識もサポートする ("iOS 15 と iPadOS 15、Live Text でどんなテキストでもデジタイズする" 4 October 2021 参照)。しかしながら、iPhone 13 の Cinematic Mode は無い。

Third-generation iPhone SE card

iPhone 13 と新しい iPhone SE のどちらを買うべきか? 簡単な比較をしてみよう:

第三世代 iPhone SE の色は、ミッドナイト (黒)、スターライト (白)、そして(PRODUCT)RED がある。

色について付け加えると、もし iPhone 13 或いは iPhone 13 Pro を買うのを迷っていて新しい iPhone SE ではあなたのニーズを満たさないというのであれば、Apple は2つの色を iPhone 13 モデル群に加えて、あなたの買い気を誘おうとしている: グリーンの iPhone 13 とアルパイングリーンの iPhone 13 Pro である。

Green iPhones 13

ここで取り上げた iPhone は全て 18 March 2022 に入手可となる。

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Julio Ojeda-Zapata  訳: Mark Nagata   

Apple、M1、5G、Center Stage を搭載した第5世代 iPad Air を発表

Apple が Peek Performance イベントで第5世代 iPad Air を発表するだろうという噂は大いに飛び交っていたが、たいていの人はそれほど大幅なアップデートでなく最近のモデルの iPhone や iPad mini に搭載されているものと同じ A15 Bionic プロセッサが搭載されるだろうと予想していた。

けれどもその予想は外れて、Apple は第5世代 iPad Air が M1 チップを搭載すると発表した。これで、このミッドレンジのタブレット機が昨年リリースされた iPad Pro モデルと同じシリコン搭載の仲間に属することになる。(2021 年 4 月 20 日の記事“新型 iPad Pro、M1 チップと Liquid Retina XDR ディスプレイを誇る”参照。)

Apple は節約志向の消費者を他のもっと安価なモデルでなくこの 10.9 インチ iPad Air に呼び込むために説得力ある理由を必要としている。2020 年における理由としてこれは iPad Pro モデルの工業デザインに近付けた物理的デザイン変更を受け、当時は iPad Air 専用であった A14 Bionic チップを搭載した。(2020 年 9 月 15 日の記事“Apple、iPad Air を再設計、基本モデル iPad を更新”参照。)

今年の iPad Air は、見栄えは従来と変わらず、引き続き第2世代 Apple Pencil と互換だ。けれども内部において、とりわけ M1 チップで、Apple は説得力ある一手を放った。従来の iPad Air と同一の価格で iPad Pro と肩を並べるパフォーマンスが手に入る。言うまでもなくそれは MacBook Air、13 インチ MacBook Pro、Mac mini、そして 24 インチ iMac とも同等、これらすべてが M1 プロセッサに依存する。(ただしそのパワーを使いこなす能力について iPadOS が macOS と同等だとは言わないが。)

従来の iPad Air の A14 Bionic と比較して:

Apple は今回の新型 iPad Air を、従来のモデルでは困難であったようなものをも使いこなせるようにしようと意図している。例えば複数の 4K ビデオストリームを編集したり、グラフィックスを駆使したゲームをプレイしたり、部屋の 3D モデルを設計し直したり、超現実的な拡張現実 (AR) を楽しんだりといったことだ。

2022 iPad Air card

新型 iPad Air のその他の重要な変更点としては:

これらの変更点を別にすれば、他の多くの機能は変わっていない。Liquid Retina ディスプレイは従来の iPad Air とほとんど同じようで 380 万ピクセル、P3 広色域、True Tone、500 ニトの輝度、などを持つ。横向きのステレオスピーカーや、トップボタンに内蔵された Touch ID 認証も従来と同等だ。ストレージ容量も従来と変わらず 64 GB または 256 GB だ。Apple は今のところ 128 GB の iPad Air や iPad mini が欲しいという要望を無視し続けている。

従来と同様に Apple は iPad Air を5つの色で提供する。ただ、従来の5色はシルバー、スペースグレイ、ローズゴールド、グリーン、スカイブルーだったけれども、今回はスペースグレイ、スターライト (シルバー/ゴールド)、ピンク、パープル、そして新しい色合いのブルーの5色だ。

Wi-Fi 専用版の iPad Air の価格はストレージ容量 64 GB で $599、256 GB で $749 だ。セルラー接続性が加わる Wi-Fi + セルラー版は 64 GB で $749、256 GB で $899 だ。2022 年 3 月 18 日から発売だ。

iPad Air from $599

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Adam Engst  訳: Mark Nagata   

新しい Mac Studio と Studio Display が Mac 購買の計算式を変える

Apple が Peek Performance イベントでお披露目したのは全く新しい Mac モデルだった。それはヘッドレスの Mac Studio で、M1 Max チップまたは新しい M1 Ultra チップで駆動され、新しい 27 インチ Studio Display と組み合わせて使うことを想定している。このスクリーンは Apple が似た名前を付けて 1990 年代末期から 2000 年代初期にかけて出したどのスクリーンともほとんど似たところがない。

この Mac Studio と Studio Display との組み合わせによって、これまで非常に人気を博してきた 27 インチ iMac は廃止となり、Apple は既にこれを製品ラインアップから削除している。また、Apple はこれから Apple silicon へ移行させるモデルはたった一つ、Mac Pro のみであると明言したが、そのモデルの発表は“また後日”とのことだ。

これらの動きにより、幅広い用途に合わせて Mac システムを組み立てるための計算式が根底からの変更を余儀無くされる。記事“Apple: 他の種類のプロのためにも Mac をデザインせよ”(2022 年 3 月 5 日) に述べた要望のすべてを Apple は満たしてはいないけれども、iMac シリーズを 24 インチモデルのみにしてしまったことにより、プロフェッショナルたちが 27 インチ iMac から離れて、自分の必要に最も適した Mac に Studio Display を組み合わせて使うようにせざるを得ないことが明確になった。

M1 Ultra は M1 Max の2倍

M2 チップを搭載した Mac が出るはずだという噂が以前から行き交っていたが、Apple は今回もまたインターネット上に書かれたものすべてを信用してはいけないということを実証してみせた。M2 チップでなく、M1 ファミリーの最後のもの、M1 Ultra チップを発表したのだ。

パフォーマンスを増すための伝統的な手法の一つは2つのチップを接続して使うやり方だが、それでは相互接続に伴う速度低下が起こる上に、開発者が2チップの組み合わせのために特化したコードを書くことが必要となる。そのことを避けるために、Apple は設計に際してこれまで言及してこなかった UltraFusion アーキテクチャを M1 Max チップに用い、これが (競合製品の4倍以上という) 毎秒 2.5 テラバイトのプロセッサ間バンド幅を実現する。それと同じく重要なのが、開発者の立場からは M1 Ultra が1つのチップのように見え、特別にカスタマイズしたコード書きが必要でなくなる点だ。

つまり、本質的に言えば M1 Ultra のスペックは単純に M1 Max を2倍したものとなる。M1 Max は 10 コア CPU、24 または 32 コア GPU、16 コア Neural Engine を持つので、M1 Ultra は 20 コア CPU、48 または 64 コア GPU、32 コア Neural Engine を持つ。そして、M1 Max が 32 または 64 GB のユニファイドメモリを提供するので、M1 Ultra はその倍である 64 または 128 GB を提供する。もちろん実際には UltraFusion 相互接続の結果として M1 Ultra の速度が同等の M1 Max の2倍高速とはならないだろうが、それでもパフォーマンスがとてつもなく速いことは疑いないだろうと私は確信を持っている。

M1 Ultra spec card

ただし、M1 Ultra が必要だと思う必要はない。圧倒的大多数の Mac ユーザーはこれまで M1 のパフォーマンスに十分満足してきたし、オーディオ、ビデオ、写真などの仕事をする人たちには M1 Pro と M1 Max がより多くのパワーを提供できる。その上にある M1 Ultra は、タスクの種類によっては Mac にパワーが足りないなどと誰にも言わせないだけの十分な余裕を提供するだろう。

M1 chip family

Mac Studio は Mac mini を拡張する

でも、チップの話だけをしていても仕方がないので、M1 Ultra が使われる場所、すなわち Apple の新しい Mac Studio に話を移そう。見栄えは Mac mini を大きく膨らませた感じで、真上から見ると Mac mini と同じ 7.7 インチ (19.7 cm) 平方の正方形だが、Mac mini の高さが 1.4 インチ (3.6 cm) であるのに比べてこの Mac Studio の高さはずっと大きい 3.7 インチ (9.5 cm) だ。これほど背が高くなった理由の大部分は、M1 Max または M1 Ultra のチップを冷やしておくために必要なファンで占められているからだ。ただし Apple によればこの Mac Studio は最小限の騒音しか出さないという。

Mac Studio front and back

接続の面でも Mac Studio は Mac mini より進歩している。背面には 4 基の Thunderbolt 4 ポート、1 基の 10-gigabit Ethernet ポート、2 基の USB-A ポート、1 基の HDMI ポートと 3.5 mm ヘッドフォンジャックがある。802.11ax Wi-Fi 6 と、Bluetooth 5.0 を内蔵する。同時に最大 5 台のディスプレイ、つまり Thunderbolt 経由で最大 4 台の 6K Pro Display XDR と、HDMI 経由で 1 台の 4K ディスプレイを駆動できる。とは言ってもそれだけディスプレイを取り揃えるには $20,000 もかかる上にそんなに多数の大きなモニタの上でコントロールに目を配ることの困難を考えれば現実にはありそうもないが。

Apple はついに前面にもポートを設けてくれた。M1 Max モデルの Mac Studio は 2 基の USB-C ポート (最大 10 Gbps) を持ち、M1 Ultra モデルではその代わりに 2 基の Thunderbolt 4 ポートが付く。いずれのモデルにも 1 基の SDXC カードスロットが付く。

内部については、プロセッサの可能性が4通りある。M1 Max モデルで2通り、M1 Ultra モデルで2通りだ。M1 Max モデルの価格は $1999 (512 GB SSD 付き) からで、M1 Ultra モデルの価格は目から涙ほとばしる $3999 (1 TB SSD 付き) からだ。

M1 Max モデルには 32 GB または 64 GB (追加料金 $400) のユニファイドメモリが付き、M1 Ultra モデルではメモリの選択肢が 64 GB または 128 GB (追加料金 $800) となる。ストレージは 512 GB からで、1 TB ($200)、2 TB ($600)、4 TB ($1200)、8 TB ($2400) に変更するオプションがある。

Mac Studio spec card

最後に、これはおそらく購買決定の大きな要因とはならないだろうが、Apple が製造過程において持続可能性と環境について強調しているのは嬉しい。

Mac Studio environment spec card

Mac Studio は現在予約注文受付中で、2022 年 3 月 18 日に出荷が始まる。ただし、Apple のイベントが終了したほんの数分後には既に出荷予定日が 4 月にずれ込んでいた。

Mac Studio にはキーボードもマウスもトラックパッドも付かないが、注文の際に Apple は既存の入力デバイスを買い換えませんかと促してくる。また、Apple は今回新しいシルバー&ブラックの Touch ID および Numeric Keypad 付き Magic Keyboard ($199)、Magic Mouse ($99)、それに Magic Trackpad ($149) を Studio Display に合わせたデザインで販売している。

New Magic Keyboard, Magic Mouse, and Magic Trackpad in silver and black

Studio Display は高価だが素晴らしい

私たちの多くのために、最良のものを最後に残しておいた。長年にわたって、多くの Mac ユーザーたちが Apple デザインの 5K ディスプレイが欠落していることを嘆いてきた。27 インチ iMac には 2014 年以来高品質の 5K Retina ディスプレイが搭載されてきたからだ。Apple が 2019 年に導入した 6K Pro Display XDR の存在はこの会社が依然としてディスプレイの製作に関心を失っていないことを示していたが、最低価格が $5000 である上に Pro Stand が別売で $1000 もかかることを考えれば、そこまでお金を出せるのはハイエンドのビデオプロフェッショナルに限られていた。他方、今回新たに出た Studio Display も $1599 と決して安くはないけれども、Pro Display XDR と比べてはるかに多数のユニットが売れるのは間違いないだろう。

まずはじめに、この Studio Display は 27 インチ 5K Retina ディスプレイであって 5120×2800 のネイティブ解像度を持つ。今や製造中止となった 27 インチ iMac と同一の解像度だ。P3 広色域と True Tone テクノロジーにも対応しており、追加料金 $300 を出せば反射の少ない nano-texture ガラスも付けられる。輝度の点で Studio Display は iMac を上回っている。600 ニト対 500 ニトだ。

Studio Display spec card

もう一つの進歩が調整可能性だ。27 インチ iMac の人間工学は酷いもので、傾きを調整できるだけだった。Studio Display もデフォルトでは同等の傾き調整 (-5°から 25°まで) ができる。けれども追加料金 $400 で傾きと高さを調整できるスタンドを購入でき、高さを 4.1 インチ (105 mm) 調整できるようになる。もちろん本を積み重ねて置く方がずっと安く済むけれども、それでも選択肢が生まれたのは嬉しい。VESA マウントアダプタも追加料金なしで標準オプションとして付き、Studio Display を壁掛けマウントやデスクマウント、スタンド、あるいは多関節アームに取り付けることができる。さらに嬉しいことに、VESA マウントを使う場合は Studio Display を回転させて縦向きにすることもできる。このスタンドとマウントのオプションは交換可能でなく、あとになって両者を取り替えることはできないが、報道によれば Apple Authorized Service Provider に料金を支払えば交換できるという。

Studio Display stands and portrait orientation

Studio Display で最も興味深いのはこれが A13 Bionic チップで駆動されていることで、Apple はこのディスプレイの素晴らしいオーディオとビデオの機能を管理するためにこのチップを使っている。Apple が M1 ベース Mac に追加した 1080p FaceTime カメラは従来あった 720p カメラより少しだけ進歩したが、Studio Display はそれらを一蹴する 12 メガピクセル Ultra Wide カメラ (視野角 122°) を搭載する。そして、ついにこのカメラが Mac Center Stage に対応する。この Apple の自動フレーミングテクノロジーはこれまで iPad のみに限られていた。(2021 年 9 月 23 日の記事“Center Stage 機能が人物をビデオチャットフレームの中央に”参照。)

ビデオ会議の際にそのカメラを支援するのが、指向性ビームフォーミングを持つ 3 マイクアレイと、6 個のウーファーと 2 個のツイーターから成る原音に忠実な 6 スピーカーシステムだ。Apple によればこれは Mac やディスプレイに内蔵された中で最良のサウンドシステムだという。Dolby Atmos の音楽や映画を再生する際には空間オーディオにさえ対応する。さらに、"Hey Siri" も使える。

ポートについては、この Studio Display は 1 基の Thunderbolt 3 ポートを使って Mac に接続し (96 ワットの充電可)、周辺機器の接続のために 3 基の USB-C ポートを持つ。

多くの意味で、この Studio Display にどの M1 ベース Mac を組み合わせても私が記事“Apple: 他の種類のプロのためにも Mac をデザインせよ”で述べたリクエストの多くに対処がなされている。Studio Display は (かろうじてかもしれないが) 手頃な価格の独立 Retina ディスプレイをという要望に応えており、より良い人間工学を提供、特にスクリーンを回転させて縦向きにして使える。ポートがもっと多ければより素敵だろうが、少なくとも 96 ワットの充電ができる。それに、Face ID 対応はないけれども、ビデオ会議用に大幅に向上したカメラを持ち、Center Stage 機能まで付く。私は感銘を受けたし... 興味を惹かれた。

Mac Studio と同じく、この Studio Display も現在予約注文受付中で 2022 年 3 月 18 日に出荷が始まるが、特にあまり一般的でない受注生産オプションについては既に出荷予定日が 4 月にずれ込んでいる。

計算式を変える

27 インチ iMac はこれまであまりにも大きな地位を Mac ラインアップの中で占めてきた。私も、ほとんど 8 年間にわたって休みなくこのコンピュータを使ってきたので、Apple がこれを打ち捨てたなどとは想像すらできないくらいだ。それでも Apple はこれを打ち捨てて、Studio Display と、人によってよりどりみどりの M1 ベース Mac との組み合わせをその代わりとした。では、どの Mac を組み合わせるべきか? Mac Studio が最も明快な選択肢かもしれないが、MacBook Air なり Mac mini なり、あるいは MacBook Pro のどれかでさえ、パフォーマンスでは最も新しい 27 インチ iMac をも軽々と上回る。

だから、27 インチ iMac がもはやパフォーマンスとスクリーンのサイズ・画質との交わるスイートスポットにないのだとすれば、私のこれまでの戦略、すなわち安価なラップトップ Mac と、デュアルディスプレイを持つハイパフォーマンスのデスクトップ Mac を組み合わせるやり方を、今後は考え直さなければならないのかもしれない。現有の機器を今すぐ売り飛ばして新しい構成に移行しようとは思わないけれども、2 台の Studio Display に 14 インチの M1 Pro 搭載 MacBook Pro (これが 2 台の外付けディスプレイを駆動できる最も安価な、最小のラップトップ機だ) を組み合わせれば総費用は税込みで $5612 だ。確かに大金に見えるけれども、現行の構成、つまり 2020 年型 27 インチ iMac と M1 ベース MacBook Air、加えて 2014 年に買った Thunderbolt Display を合わせれば、何とも驚くことにそれとほとんど同じ $5587 になる。(私が最初に買った 2014 年型 27 インチ iMac はそれよりさらに $620 高かった。) 要するに、スクリーンにより多くお金を出してコンピュータに出すお金を減らしても、全体的な機能性は同レベルだということだ。ただしそれは、私が同時に一つの Mac しか使わないという前提での話だが。

でも、それは私に限っての話だ。Studio Display に M1 Ultra ベースの Mac Studio を組み合わせれば、古い iMac Pro のみならず現行の Mac Pro でさえ勝負にならない。Mac とディスプレイを分離させるのが好きな人には、Studio Display に Mac mini を組み合わせても良い選択肢となるだろう。ただし 24 インチ iMac を選ぶことで相当にお金を節約することもできる。そしてもちろん、Studio Display は最も古典的な組み合わせ、すなわちハイパワーのラップトップ Mac を仕事机に向かって作業するときのみ大画面のモニタに接続するというやり方のためには最適だ。Apple silicon 駆動の 27 インチ iMac がまだ出ないのかと待ち続けてきた人のためにあらゆる選択肢を網羅したガイドが欲しい方は、私のもう一つの記事“Which Mac Will Replace the 27-iMac for You?”(2022 年 3 月 12 日) をお読み頂きたい。

結局のところ、私は Studio Display こそが今回最も興味深い Mac 関係の発表であったと思う。いや、おそらく今年1番の興味深い発表なのかもしれない。このディスプレイで、Apple はあらゆるタイプのプロフェッショナル Mac ユーザーのためにはるかに多くの可能性を開いてくれた。

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

Audio Hijack 3.8.11

Audio Hijack 3.8.11

Rogue Amoeba が Audio Hijack 3.8.11 をリリースして、M1 ベース Mac 上での Audio Unit エフェクトの処理を更新した。今回からエフェクトが別プロセスにホストされるようになり、不正な挙動をするプラグインによって起こるクラッシュを避けるとともに M1 プロセッサ上でエミュレーションで走る Intel ベースのプラグインへの対応を改善した。また、Audio Capture Engine をバージョン 11.7.8 に更新して Bluetooth オーディオデバイスを使う際の信頼性を上げるとともに、Audio Hijack が EVE Online からのオーディオを正しく認識できるようにした。(新規購入 $49、TidBITS 会員には 20% 割引、無料アップデート、28.7 MB、リリースノート、macOS 10.14+)

Audio Hijack 3.8.11 の使用体験を話し合おう

ScreenFlow 10.0.5

ScreenFlow 10.0.5

Telestream が ScreenFlow 10.0.5 をリリースした。従来のバージョンで導入されてしまった問題点に対する改良やバグ修正を少しだけ施した、メンテナンス・アップデートだ。このスクリーンキャスト録画およびビデオ編集アプリへの今回のアップデートでは、バージョン 10.0.4 で消えてしまった 11 個の内蔵タイトルを復活させ、タイムラインをクリックした際のクラッシュを解消し、古い ScreenFlow 書類をアップグレードする際のクラッシュに対処し、フォントサイズ変更後にテキストボックスが整列しなかったバグを修正し、アルファチャンネルを含む MOV ファイルが M1 ベース Mac で正しく表示されるようにした。(新規購入 $149、アップグレード価格あり、84.7 MB、リリースノート、macOS 10.15+)

ScreenFlow 10.0.5 の使用体験を話し合おう

Lunar 5.4.3

Lunar 5.4.3

Alin Panaitiu がバージョン 5.4.2 の Lunar をリリースした。外付けディスプレイの輝度を MacBook からコントロールするユーティリティだ。(2021 年 8 月 5 日の記事“Mac の皆既蝕:Lunar がサードパーティディスプレイを制御”参照。) 今回のアップデートでは内蔵ディスプレイの輝度変更に反応する新しい内蔵システム API を導入することにより、連続的に内蔵ディスプレイの輝度を調べる必要をなくし、CPU 使用を減らせるようにした。また、アプリの再起動後にソフトウェア調光を 100% に戻せなかったバグを修正し、BlackOut ダイアログが正しく開くようにした。そのリリースの後間もなく Lunar はバージョン 5.4.3 にアップデートされてスクリーンをスリープから目覚めさせたり再接続したりした際の問題を解決した。Lunar の使用は無料だが、無制限の調整やアプリのプリセットなど高度な機能のロックを外すには $23 かかる。(新規購入 $23、無料アップデート、16.6 MB、リリースノート、macOS 10.15+)

Lunar 5.4.3 の使用体験を話し合おう

macOS Big Sur 11.6.5 and Security Update 2022-003 Catalina

macOS Big Sur 11.6.5 とセキュリティアップデート 2022-003 Catalina

Apple が macOS Big Sur 11.6.5と、macOS 10.15 Catalina 用のSecurity Update 2022-003">セキュリティアップデート 2022-003 をリリースして、Big Sur で 19 件、Catalina で 16 件のセキュリティ脆弱性をパッチした。いずれのアップデートも複数個の AppleScript 関係およびカーネル権限関係の問題点に対処するとともに、プラグインがアプリのアクセス権を継承してユーザーのデータにアクセスできてしまう可能性があった QuickTime Player の問題を解消している。Big Sur アップデートはまた、デバイスに物理的にアクセスできる人が Lock 画面から位置情報の一部を獲得できてしまうのを防ぐために Siri 検証を改良した。これらのアップデートは Big Sur または Catalina の走る Mac 上で Software Update を使ってダウンロードできる。新たなバグが導入されていないかが判明するまで一・二週間程度待つ方がよいかもしれない。もしアップデート後に何か問題に気付かれれば、ぜひコメントで教えて頂きたい。(無料、サイズはいろいろ、macOS 11 および 10.15)

macOS Big Sur 11.6.5 とセキュリティアップデート 2022-003 Catalina の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

訳: Mark Nagata   

野球ファンが Apple の MLB 提携を紹介

Apple の先週の Peek Performance イベントにおいてハードウェア以外で最も興味深かった発表は、Major League Baseball が Apple TV+ に登場するというものだった。野球シーズンを通じて毎週金曜日の夜に、Apple TV+ が 2 つの試合を中継する。このサービスは MLB Big Inning も提供し、MLB アーカイブコンテンツも含む。Six Colors で Apple 関係の記事を書いている Jason Snell は野球ファンでもあって、彼は今回のことが Apple TV+ にとって大きな転換点になると論じる

それはそれとして、要するにこうだ。Apple はスポーツに参入しつつあって、ライブのストリーミング、さらにはリニアチャンネルのストリーミングにまで手を出そうとしている。今回の提携は、おそらくこれから始まる多くのものの最初の一歩となるだろう。Apple TV+ がサービスとしてどのように成長するか、CODA や Ted Lasso の類いだけでなく Yankees や Red Sox も登場する新しい世界にどのように適応して行くのか、興味深く見守りたい。

現時点では、野球ファンたちはまたもう一つ新たなサービスを購読しなければならないことにブツブツ文句を言わざるを得ないが、Apple がライブのスポーツをどのように扱うことになるのかは大いに興味をそそる。これは、スポーツエンターテインメントの未来に向けた展望を開くものとなるかもしれない。

Friday Night Baseball

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