私たちはもう何年もエイプリルフール特別号を出してこなかったが、それは今の世の中があまりにも事実と真実を軽視するものになってしまっていて、エイプリルフールの冗談が不快なほど場違いに思えてしまうからだ。けれどもこの1日だけは楽しくジョークを言ったり真実でない空想を述べたりするという考え方そのものは大好きなので、Adam Engst はこれを機会に私たちが以前に書いたエイプリルフール記事を振り返りつつ、その中から正しく未来を示唆していたものを探す。対照的に、Apple オペレーティングシステムのバグ修正とセキュリティ修正は冗談とはほど遠いことなので、先週出された一連のリリースは早めにインストールすることをお勧めする。ポッドキャスターでもある Glenn Fleishman は新しく出た Audio Hijack 4 を概観する。このバージョンではこのオーディオ録音および処理アプリのインターフェイスが根本的に書き直され、歓迎すべき新機能も追加されている。それから Julio Ojeda-Zapata が、T-Mobile と Verizon の新しい 5G home Internet サービスを評価する。これらのセルラーデータルーターを使うことで、有線のインターネット接続が不要になるだろうか? 今週注目すべき Mac アプリのリリースは Cardhop 2.0.10、OmniOutliner Essentials および Pro 5.10、それに Cyberduck 8.3 だ。
iOS 15.4 と macOS 12.3 Monterey その他のリリースから2週間が経ち、Apple は現行のすべてのオペレーティングシステムにマイナーなアップデートをリリースして、バグを修正するとともにセキュリティ脆弱性を取り除いた。(2022 年 3 月 14 日の記事“macOS 12.3 Monterey, watchOS 8.5, tvOS 15.4, HomePod Software 15.4 をリリース ”参照。)
iOS 15.4.1 と iPadOS 15.4.1
iOS 15.4.1 (iPhone 11 Pro 上で 266.6 MB) と iPadOS 15.4.1 (第8世代 iPad 上で 181.5 MB) は iOS 15.4 と iPadOS 15.4 で導入されたバグを修正する。最も重要なのは、私も他の TidBITS 読者たちも経験したたちの悪いバッテリー消耗の問題だ。今回のアップデートはそれ以外に、点字リーダーが反応しなくなるアクセシビリティのバグと補聴器が一部のサードパーティ製アプリで接続を喪失するバグを修正している。
同じくらい重要なこととして、これらのアップデートでは実際に悪用されている 1 件のセキュリティ脆弱性が修正された 。攻撃者にカーネル権限を取得されて任意のコードを実行される可能性がある問題だ。現在 iOS 15.4 または iPadOS 15.4 を走らせている人は、直ちにこれらのアップデートをインストールすべきだろう。
macOS 12.3.1 Monterey
macOS 12.3.1 (1.34 GB) アップデートも macOS 12.3 で導入されたハードウェア特定のバグを修正しており、具体的には最近のモデルの MacBook Pro で 12.3 がインストールできなかった問題、2018 年型 Mac mini におけるディスプレイの問題、Beats ヘッドフォンに関係する Bluetooth 接続解除の問題が修正された。
加えて、macOS 12.3.1 は 2 件のセキュリティ欠陥 も修正している。上で述べたものと同じ任意のコードを実行される可能性がある問題と、攻撃者にメモリを読み取られる可能性がある Intel グラフィックスドライバへの攻撃だ。いずれも実際に悪用されているので、Monterey を走らせている人は今すぐアップデートすべきだ。
watchOS 8.5.1、tvOS 15.4.1、HomePod Software 15.4.1
Apple のその他のオペレーティングシステムもそれぞれにアップデートを受けたが、いずれもあまり詳細は明かされていない。なのでインストールが緊急を要するという感じはしないけれども、いずれは早いうちにインストールすべきものに違いない。
今回のアップデートのどれかをインストールした後にもしも何か問題にお気づきならば、ぜひお知らせ願いたい。
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Rogue Amoeba Software の Audio Hijack 4 が、 大幅なインターフェース改善、新機能、そして機能強化 を盛り込んで出された。このオーディオ録音ワークフローアプリは、既存のユーザーに対してはバージョン 3 で我々を苦しめた特異な動きを円滑にしそして取り除くことで使い易くなり、そして初心者に対してはより短時間で習得出来るようになるであろう。変更や追加により、録音中のオーディオマスタリングやミキシングが更に改善され、ライブセッションを放送や配信用の最終版に近いものとして捉えさせてくれる - 或いは、直ちにアップロードするにも十分かも知れない。
Audio Hijack は、オーディオを取り込み、修正、そして出力するための明解に表現されたワークフローを提供する。皆さんは Mac 上の音源からのオーディオを取り込むための "セッション" を設定する。音源は、アプリ、マイク、デジタイザ、或いは仮想オーディオ機器、何でも良い。そして、それを "ブロック" と言われるワークフローユニットを通して流していく。それはオーディオに従って動作したり、可視化したりする。セッションは通常、処理済みのオーディオをディスクファイルに書き込む録音ブロック、或いは音をヘッドフォンや他の聞き取り装置へと送るオーディオ出力ブロックで終わる。また、出力を RTMP 標準に適合するライブストリーミングサービスに流してやることも出来る。
オーディオを複数のパスに送るためブロックを分けることも可能である:オーディオストリームを録音し、高度に圧縮されたモノ MP3 と非圧縮 AIFF ファイルとの両方で同時に出力することも出来る。また、複数の音源を一つの処理フローや録音へと結合するためにブロックからのパスを纏めることも出来る。後で編集する予定のオーディオに対して、一つのパスは即座にポストするための纏められたコンパクトな MP3 ファイルを生成し、もう一方では、会話中の話者毎の個別トラックを非圧縮の AIFF オーディオファイルとして録音するというのも可能である。
Audio Hijack は、Mac 指向のポッドキャスターやオーディオスタジオによって、対面録音用の個別マイクや、voice-over-IP やビデオ会議アプリである FaceTime, Skype, そして Zoom の様なもの経由の録音用のオーディオチャネルを取り込むために広く使われている。Audio Hijack 4 の新機能は、それをもっと人気あるものとする事に貢献するであろう。
Version 4 での大きな変更は三つの山に分けられる:インターフェース、新ブロック、そして既存のブロックに対する改善である。総合すれば、摩擦を減らし、アプリを使うのをより楽しくしている。
インターフェース変更
Audio Hijack の以前バージョンは、ブロックを結合するのに革新的な方法を導入した。それ等をお互いに近くなるようドラッグしてやるとブロックをつなぎ合わせる接続が現れる。格好いい - でも問題が多い。ドラッグするのは正確無比で無ければならず、ちょっとした動きでも接続線が一つのブロックから他のブロックへと簡単に引っ張られてしまう結果となったりした。複雑なワークフローは、接続線があっちこっちに行ったり来たりしたり、或いは、巨大な仮想空間へと発展してワークフロー全体を一度には見られない結果としたりした。
Audio Hijack 3 の暗いインターフェースは自動的にブロックを接続したが、ブロック間の関係を変更する直裁的な方法を提供しなかった。
Rogue Amoeba は Audio Hijack 4 で自動接続をオプションとした。ユーザーの中には、ブロックがドラッグされて近づいた時にアプリにその近さに基づいてリンクをつくらせることで、ワークフローを手早く作成するのを好む人もいるであろう。しかし、複雑なパスに関しては、今や Session > Automatic Connections を選択から外して自動接続モードを不能にし、その後自分で解釈しやすい配置にブロックをドラッグしてやるのは朝飯前となった。ブロックの左右の側面に現れるプラスサイン (+) の間をドラッグすることでそれらを接続出来る。
同社はまた Audio Hijack 4 の接続様式もアップデートした。接続線は今や青の矢印を持ちオーディオの流れの方向を指し、折れ線のように見えた線も曲線となりより見やすくなった;それらは録音セッションが活動中で特定の音源やブロック間の接続が実際のオーディオを有している時にはオレンジ色にハイライトされアニメ化される。また、新しい Light Mode インターフェース選択肢は多くの人に対してブロックを見やすくするであろう。
同じセッションも Audio Hijack 4 では、新しい Light Mode 選択肢を使うとより明るくなり、そしてより視覚化しやすいように整列される。
Audio Hijack 4 には他のインターフェース改善もある。以前のリリースでは、セッションを示すのに場所取りをするレイアウトが使われていた。それは今やもっと単純でより小型のリストとなっている。受動的なまとめを提供する代わりに、Session List は全てのセッションをモニターし制御する事を許す。また Audio Hijack 4 は多くの Session List 制御子を選択肢のシステムメニューに置いている。
Audio Hijack 3 では、一つのセッションを走らせた後、例えば通話を録音するとか、録音を探すのは結構大変であった。Audio Hijack 4 でのセッションは、今やそれぞれに録音を整理するタブ付きのサイドバーを提供している。そこには、録音されたものの音を可視化したプレビューや、セッションが自動的に走る予定時刻、スクリプト (これも新しい)、そして一般情報が含まれる。
3つの新しいブロック
講演や演奏を録音する人達のためには、三つの新しいブロックが、複雑なセッションを設定、そしてライブ放送やファイルの即時ポストのためのセッションから直接オーディオを生成するのを単純化し改善している。
Mixer: この新しい Mixer ブロックは、最大5つまでの音源をプリセットとフェードの付いた音量制御付きでミキシングさせてくれる。複数マイクを使った設営では、この能力を Audio Hijack 内だけで持てることで、音のバランシングやステレオ空間上に散らばった単一マイク上にある人々を聴取者に場所の感覚を与えるためにパンする事を実時間で可能にする。
Simple Compressor: この新しい Simple Compressor ブロックは、圧縮に対してニーズに合った方法を提供する。圧縮は、音声録音のために一般的に用いられる音量の違いを減少させるやり方で、大きい音と小さい音をより狭い最小と最大の音量域内にひずみ無しで均し、スピーカー、ヘッドフォン/イヤバッド、或いは車内で設定した音量で心地良く聞けるようにする。圧縮無しだと、聞き手は小さな音を聞くため、或いは鼓膜が破れないようにするため、しょっちゅう音量を調節しなければならなくなるかも知れない。Simple Compressor ブロックは、小さな音と大きな音の両方を圧縮し、特定の形態の出力に適したものにするための4つの選択肢を提供する:Music, Movie, Voice, そして Radio である。
Magic Boost: Magic Boost は、圧縮の一部を提供するもので、色々な小さい/大きい改善を対象としている:多くのマイクは、そしてポッドキャストゲストの一部は他の部分の録音に比べて余りにも小さい音しか出さない。Magic Boost は "魔法の様に" 一つの入力や入力パス上のより小さな音を圧縮するが、他のミックスは手を付けずそのまま残す。
改善されたブロック
Rogue Amoeba はまた、既存のブロックも改善した。その多くはブロックの "顔" 上に - インターフェースの中でのユニットとしての外観 - より多くの情報が提供されるようにしているか、或いはその機能へのより良いアクセスを提供する。と言うのも、一目見て分かることが Audio Hijack 方式の鍵となる部分だからである。例えば、オーディオがそこを通る時に音量を変える Volume ブロックは、今やその顔上に音量レベルがあり、Channels は入力における動作を示し (左と右を入れ替えるの様な)、そして 10-Band EQ (イコライザ) は調節可能な 10 バンドのそれぞれに対してスライダーの位置を示す。二つの音源間での入れ替えを許す Input Switch ブロックは、全てのアプリに亘って見えるフロートパレットとして設定出来る。全てのブロックは今や保存しそしてプリセットを読み込む事が出来、アプリを通しての設定の再利用が可能となった。
これらの改善とは別に、Rogue Amoeba は Audio Hijack のそれ迄はベータだった Live Stream 機能を仕上げた。それは出力を RTMP プロトコルを使うストリーミングサービスに直接送るためのものである - Facebook Live, Twitch, そして YouTube Live 等が対象となる。Live Stream はまた今や、ストリームと一緒に送れるテキストや画像を含む、オーディオ可視化を含む、ことの出来るプレビュービデオフレームを設定させてくれる。
Live Stream ブロックはオーディオをストリーミングサービスに、タイトルカードを付けて直接送らせてくれる。Visualizer 項目を有効にすると、それはオーディオストリームの音のレベルのアニメーションを提供する。
Audio Hijack を多用する人は、バージョン 4 にアプリが起動されると自動的にセッションを走らせ常時背景で録音したり処理したりするように設定出来る。その様な人はまた、セッションを走らせ続けながらそのウィンドウを閉じる事が出来るのを歓迎するであろう。さもなくば、それを見える様にしたままにしなければならない。そして、より広範囲なオーディオワークフローを持つ人は、Monterey の新しい Shortcuts サポートと JavaScript 経由のスクリプトサポートをよく調べてみたいと思うであろう。Rogue Amoeba は色々な内蔵のスクリプトを提供しており、それ等はそれ自体で有用なだけでなく、自らのスクリプトを一から作るのを学ぶ手助けにもなる。
一人の長年に亘る Audio Hijack ユーザーの立場から言うと、これらの改善は私の日常活動の多くで実際に役立つものになっている。このアプリを使う他の人達もこれは意味のあるアップグレードだと思うであろう。しかし、Audio Hijack 4 が本当に輝くのは、自分のオーディオを制御しそれを新しい方向へと流してやるという喜びを未だ見いだしたことのない新規ユーザーに対して学びやすくしている点である。
Audio Hijack 4 は新規ユーザーに対しては $64 で、Audio Hijack 3 からのアップグレードは $29 である。試行バージョンをダウンロードする事も可能で、全ての機能を試せるが、実際のセッションに入って 10 分経つと除去不可能な雑音を付け加える。このアプリを使う上での背景をもっと知りたいというのであれば、Kirk McElhearn のアップデートされた Take Control of Audio Hijack を Rogue Amoeba の店での支払時に購入出来る。
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米国における家庭用インターネットサービスは往々にして詐欺であるかのように感じられる。1つか2つでなく複数のインターネットサービスの選択肢がある人は幸運だ。インストールは頭痛の種となるし、時としてパフォーマンスが並以下で、それでも高い料金を払わされることもある。データ量の超過やその他の条件に引っかかれば、またさらに高額の請求書が届くかもしれない。
そのような ISP は多くの場合有線のタイプのプロバイダだ。例えば Xfinity は Comcast が所有する家庭用ブロードバンドプロバイダで、主として同軸ケーブル接続によるサービスだ。また CenturyLink は旧来の銅線による DSL と光ファイバーとの混合を使ってインターネットへのアクセスを提供する。私はここミネソタ州 St. Paul で Xfinity を使っており、サービスは大体において信頼できるけれども、料金については以前から気になっていた。得られる速度に比べて、あまりにも高い料金を払い過ぎているのではないか、と。
嬉しいことに、最近になって新しいブロードバンドプロバイダが別の種類の高速インターネットの選択肢を提供し始めた。こちらはワイヤレスのサービスだ。5G の登場によりセルラーデータサービスが高速になり (2020 年 11 月 19 日の記事“iPhone が 5G に対応、でも実際に使ってみたらどうなのか ”参照)、セルラープロバイダ各社がそれを取り入れて、手頃な価格で使い勝手の良い家庭用インターネットサービスを提供し始めた。そのパフォーマンスは多くの場合、既存の有線インターネットプロバイダのパフォーマンスと同等かそれを上回るものとなっている。
私は2つのワイヤレス家庭用インターネットサービスをテストしてきた。T-Mobile Home Internet (2021 年 4 月 14 日の記事“T-Mobile、無制限の 5G 家庭用広帯域サービスを提供 ”参照) と、Verizon 5G Home Internet だ。
いずれのキャリアも電波による 5G 接続を提供し、それは最近のモデルの iPhone やセルラーモデルの iPad に提供するものと同じなので、サービスの展開は容易だ。顧客はルーターを受け取って、このルーターがローカル Wi-Fi ネットワークを作成し、セルラーバンド幅を利用してインターネットへのバックホールリンクを提供する。これで、Zoom 通話や Netflix 視聴が可能となる。
この種のセルラーワイヤレスサービスはかなり以前から存在していたが、接続の速度が遅く、主に有線のブロードバンドが手に入らないような地域で使われてきた。けれどもこの 5G 時代になって、セルラーインターネットが都会においても従来型の ISP に代わるものとして台頭し始めた。
T-Mobile は 2021 年 4 月にサービスの展開を始めて以来、その Home Internet の到達範囲を積極的に拡張し続けてきた。最近になって、Verizon もこの新しい領域に進出し始めるに至り (2022 年 1 月 22 日の記事“AT&T と Verizon、より高速で、より多くの地域で利用可の 5G サービスを開始 ”参照)、その 5G Home Internet は単なるニッチ分野の存在から T-Mobile と競えるほどの到達範囲を誇るものへと成長した。
T-Mobile と Verizon はそれぞれ私にテスト用の装備を貸し出してくれたので、両者を現実の使用状況でテストし比較することができた。当初私は自分の本業のためのインターネット接続のみに使っていて、家族用の Wi-Fi には使っていなかった。私は自宅で仕事をしているので、信頼できる高速の接続が必要だ。テストの第2段階で私は自宅の Wi-Fi をすべて (メッシュネットワーク用の Eero 機器の助けを借りて) これに切り替え、妻も息子も使えるようにした。
T-Mobile と Verizon のサービスが互いに非常によく似ていることに私は驚いた。だから、両者のうちどちらの方が良いかを判断するのは難しい。これから説明する通り、両者ともなかなか良いと思う。
サインアップ
でもまだ興奮し過ぎないで頂きたい。まずは、あなたが住んでいる場所でどのサービスが利用可能かを確かめることが先決だ。そのためには、T-Mobile や Verizon のサイトであなたの住所を入力する。(私の St. Paul の住所では T-Mobile のサービスは使えるけれども Verizon のサービスは使えないことになっている。それでも Verizon は私にハードウェアを送ってくれて、これが十分うまく使えている。)
私が以前に T-Mobile を調べたところでは、同社の Home Internet サービスは米国の 600 の市や町で 3 千万以上の家庭が利用可能だという。このサービスは最近になってフロリダ、ジョージア、インディアナ、ケンタッキー、ノースカロライナ、オハイオ、サウスカロライナの各州にサービスを拡張している。
Verizon が 2022 年 1 月に発表したところでは、同社の 5G Home Internet は米国の 900 の市で利用可能であり、これは同社が C-band 周波数帯に進出したことによるもので、ほんの数十個の都市 (Minneapolis や St. Paul も含む) しかカバーしていなかった一年前とは大きな違いだ。現在このサービスはおよそ 2 千万の家庭が利用可能だ。
あなたの住所で利用可能であることが分かってサインアップを済ませたなら、必要なハードウェアをキャリアが送ってくれる。サービスに人気が集まっていることと、パンデミックによるサプライチェーンの制約があることにより、機器が到着するまでしばらく待たなければならないかもしれない。
T-Mobile の料金はデータ無制限で月額 $50 (自動支払を使う場合、そうでなければ月額 $55)、付帯契約や手数料、設備費用などはない。特典が2つ付いていて、Paramount+ ストリーミングビデオが無料で1年間利用でき、YouTube TV ストリーミングが割引料金になる。
Verizon の価格体系はもう少し複雑だが、2つのプランの違いは価格保証がどれだけ長く続くかと、その他いくつかの特典が付くかどうかによる:
5G Home: 自動支払で月額 $50、そうでなければ月額 $60、モバイルプランの Verizon 5G Do More、Play More、または Get More を持っていれば月額 $25、それ以外の特定の Verizon モバイルプランとの組み合わせならば月額 $40、2 年間価格保証
5G Home Plus: 自動支払で月額 $70、そうでなければ月額 $80、モバイルプランの Verizon 5G Do More、Play More、または Get More を持っていれば月額 $35、それ以外の特定の Verizon モバイルプランとの組み合わせならば月額 $50、3 年間価格保証
T-Mobile と同様に、Verizon もデータ無制限で付帯契約や手数料、設備費用などはない。特典としては Disney+/Hulu/ESPN+ ストリーミングバンドルが 5G Home ユーザーには 6 か月間無料、5G Home Plus ユーザーには 12 か月間無料となる。いずれのユーザーもテレビに接続するためのストリーミング機器を無料で入手でき、さらに Sling TV ストリーミングサービスが 2 か月間無料となる。
ハードウェア
T-Mobile と Verizon のルーターはとても単純なものだ。物理的に接続する必要があるのは電源への接続のみで、家の中のどこにでも置ける柔軟性がある。
両者を比べると Verizon のルーターの方が最小主義的だ。白い立方体で、リセットボタンと Wi-Fi Protected Setup ボタン以外に物理的コントロールは何もない。電源に繋ぐと、ルーターは Verizon ネットワークに接続してファームウェアアップデートをインストールする。2 基の Ethernet ポートがあってコンピュータやその他の機器に接続するために使えるし、顧客が自由に使える USB-C ポート (シリコーン製の蓋の下に隠れている) もある。正面にあるライトが、ルーターの起動中には赤と白に交互点滅し、ファームウェアのアップデート中には白く点滅し、信号を受信できなければ赤く点灯したままになり、Wi-Fi が利用可能ならば白く点灯したままになる。
(免責事項: Verizon が私に送ってきたルーターは一般の購読者に送られるものとは少し違っていて、いくつかの機能が欠けている。その結果として、この記事で述べる機能のいくつかを実際にテストすることができなかった。)
T-Mobile のルーターは薄いグレイの円筒形のものと、濃いグレイの長方形を立てた形のものがある。私に送ってきたのは円筒形の旧型モデルで、on/off スイッチと、2 基のポート (RJ-11 と USB-C) が付き、T-Mobile によればこれらのポートは今のところユーザーにとっての機能を持たないという。上面には丸い液晶画面があって警告 (例えばファームウェアアップデートが進行中) を示し、サービスのバーの数も表示する。電源を壁のコンセントから抜くと、内蔵電池のお陰でこの画面は動作するが、Wi-Fi ネットワークは動作を中止する。このルーターには 2 基の Ethernet ポートがあってハードウェア接続ができる。
T-Mobile によれば、新型モデル (下の写真) も機能的には旧型と同じであって交換可能な形で提供されているという。長方形のルーターにも 2 基の Ethernet ポートと液晶画面がある。
セットアップ
どちらのサービスも使い始めるのは簡単だ。ルーターを置く場所を見つけて、電源に繋ぎ、それから iPhone、iPad、または Mac を使って、ルーターの底面に分かりやすく記された SSID とパスワードでルーターの Wi-Fi ネットワークにログインすればよいだけだ。
もしもインターネット接続が遅かったり頼りなかったりすれば、ルーターの置き場所をいろいろと変えながら、家の近くにあるセルラー基地局と最もよくコミュニケーションできる場所を見つける必要があるかもしれない。窓の近くにルーターを置くのもよいだろう。
ここで、T-Mobile や Verizon が出しているアプリが役に立つ。これらのアプリはセットアップのためには必要ない (それを試みると手順が余計に複雑になるだけだ) が、最善の信号強度を出せるルーターの置き場所を探す際には手引きをしてくれる。
T-Mobile のアプリは私の家の周りの区画を地図で示し、その上に赤紫色のアニメーションを使ってルーターを家の西側に、窓のそばに、できれば上階に置くのがよいと助言してくれた。(私の仕事部屋は屋根裏部屋で、しかも西側に窓があるので理想的だ。)
Verizon のアプリは、Apple の AirTag Precision Finding が使っているものに似た方位磁石風のアニメーション を表示し、回転する矢印を使って最良の 5G 信号が得られる方向を示す。私の場合は借り物のハードウェアにユーザーアカウントが付随していなかったのでアプリにログインできず、この機能をテストすることができなかった。
これらのルーターにはそれぞれウェブポータルがあって、ハードウェアの設定を微調整したりできるようになっている。ログインするにはルーターの IP アドレスと管理者パスワードを入力することが必要で、それらもやはりルーターの底面に記されている。(他の機能と同じく、私は記されたパスワードを入力しても Verizon のウェブポータルにログインできなかった。) これらのアプリはそれ以外にも、ルーターの設定や制御についてさまざまのことができる。
パフォーマンス
インターネットからのダウンロード速度はなかなか良かったが、必ずしも常に私が期待したほどの速度が出る訳でもなかった。この点については背景情報を少し説明する必要がある。
T-Mobile は、2018 年に Sprint と合併した際に獲得した高速の 5G モバイルサービスをその後2年間ほど提供していた。私は 2020 年の末頃に iPhone をテストしていて、St. Paul のダウンタウンをあちこち歩きながら最大で毎秒 400 メガビットものダウンロード速度を経験したが、自宅に戻ると速度はぐっと落ちて 100 Mbps 程度になった。(2020 年 11 月 19 日の記事“iPhone が 5G に対応、でも実際に使ってみたらどうなのか ”参照。) 当時、ある程度以上の (しかし主として都市圏の) 地理的領域でそのような高速の接続を提供していたのは T-Mobile のみであった。
今年になって AT&T と Verizon が C-band 周波数帯に進出して T-Mobile の周波数帯とほぼ同等のダウンロード速度を出し、加えてより広い到達領域をカバーすることで追い付いてきた。Verizon から借りた Android フォンを使って私が 400 Mbps を達成したことは一度もなかったけれども、自宅の中にいて着実に 350 Mbps 程度を記録することができた。
それと比較してわが家の Xfinity ブロードバンドでは、ダウンロード速度はおよそ 100 Mbps 前後に留まり、実際それが約束された速度であった。Comcast に私が払っている料金は月額 $83 で、そこにはこのサービスの悪名高いデータ超過料金を避けるために私が契約している月額 $25 のデータ無制限料金も含まれている。
では、T-Mobile と Verizon の家庭用インターネットの実際のパフォーマンスはどうだったのか?
T-Mobile は通常 200 Mbps を出し、時には 250 Mbps に達することもあったが、かつての T-Mobile のテストで 400 Mbps という素晴らしいダウンロード速度を出していたことを覚えている私は少々がっかりした。それでも、Xfinity で得られるものよりはずっと良く、料金はずっと安い。T-Mobile がそのウェブサイトで約束している 35-115 Mbps よりはずっと良い結果だ。
Verizon は通常 250 Mbps を超えていて、私のテストで時には 300 Mbps に達することもあった。さきほど書いたように私の住所は公式には Verizon のサービスを受けられないことになっているので、これは素晴らしい結果だと言える。
Verizon はもっとずっと高速を叩き出すこともあって、毎秒 1-2 ギガビットあたりに達することもあり得るが、それは "ハイバンド" あるいは "ミリ波" のサービスを提供している特定の都市の隅々のみでの話だ。この会社は C-band と mmWave のサービスを一つにまとめて Ultra-Wideband と総称しており、それが混乱を招くこともある。
私が体験した速度を判断基準にする限り、どちらのサービスもプロフェッショナルとしての私の生活を十分に支えられるレベルにある。新聞のウェブ編集者としての私の仕事は主にオーディオとビデオのインターネットストリームを通じて常時ニュースを監視する作業を要する。そのような使い方で、T-Mobile と Verizon のいずれも大体において私の期待を裏切らなかった。(私が使ったことのある他のどの ISP とも同様に、一時的に繋がらなくなったりといった不調は何度か経験したが、そういうことは当然だと思っている。)
しかしながら、セルラー接続を経由したダウンロード速度というものはもともと予測不可能な状態に陥り得るという事実を知っておくことは重要だ。iPhone で速度テストを日常的に実行したことがある人なら、その結果の数字が変化してあちこち飛び回ることがあるのをご存知だろう。また、T-Mobile や Verizon のルーターのパフォーマンスが時々変動することにも気付いた。おそらくそのネットワークが混雑していたからなのだろう。これには時々イライラさせられた。とりわけ、巨大なファイルをダウンロードする必要があったり、高解像度のビデオをバッファリングや画質の劣化なく再生する必要があったりする場合にはなおさらだ。Xfinity の方はパフォーマンスがもっと予測可能なのでイライラさせられることはない。そうは言っても、有線の ISP でもパフォーマンスの問題が完全になくなる訳ではない。
忘れてはならない事実がある。T-Mobile Home Internet は 5G と合わせて古い 4G LTE ネットワークも使っており、幅広い地域にサービスを拡張する目的でその組み合わせを利用している。だから、あなたがどの地域にいるかによって、速度が劇的に変わる可能性もある。4G 地域に住んでいる人なら、たった 12 Mbps かそれ以下しか得られないかもしれない。
私が Xfinity に感じている最大の不満は、アップロード速度が耐え難いほどに遅いことだ。10 Mbps 以下であることが多い。T-Mobile や Verizon のアップロード速度はそれより速く、たいていは 10 Mbps 以上、時には 30-40 Mbps に達することもある。通信社から取り寄せた高解像度の写真を勤め先の WordPress サーバにアップロードする作業が私の仕事の大きな部分を占めているので、アップロード速度が少しでも速ければ助かる。それにまた、個人的な写真も大量に Google Photos へアップロードしていて、Xfinity では現実の悪夢となっている。
CenturyLink による光ファイバー接続は、私が住む町では対称的だ。つまり、アップロード速度もダウンロード速度と同等に速い。これは素晴らしいことだが、このサービスにサインアップするためには新たにデータケーブルをわが家に張って、壁にまたもう一つ穴を開ける必要がある。妻はこの点を快く思わず、これもまた、アップロード速度が遅いにもかかわらずワイヤレスのサービスが魅力的に思える理由の一つだ。
ネットワーキング
T-Mobile と Verizon のルーターは私の住居をバンド幅で満たすことについてはまずまず良い仕事をしたが、複数の階を持つ建物のワイヤレスネットワーキングをたった 1 台のデバイスでカバーすることにはやはり無理がある。2 台かそれ以上の Wi-Fi モジュールでメッシュネットワークのシステムを作った方が、建物の中でより良く Wi-Fi 信号を届けられる。
私は Amazon の Eero 装置を使っている。(2016 年 6 月 25 日の記事“Eero、良好な Wi-Fi 到達範囲を端正な筐体で提供 ”と 2019 年 2 月 12 日の記事“Amazon、メッシュネットワーキング会社 Eero を買収 ”参照。) 3階建てのわが家で良い Wi-Fi 受信範囲を達成するために、私は 1 台の Eero モジュールをその Ethernet ポートで Xfinity ルーターに繋ぎ、そこから家中に配置された他のモジュールへ信号を伝えられるようにしている。
T-Mobile と Verizon のルーターはいずれも Ethernet ポートを持っているので、私は Xfinity のルーターの代わりに使って試してみた。するとちゃんと予想通りに働いて、妻も息子も貴重な Wi-Fi 信号が別のところから来ていることに気づきさえしなかった。
モバイルにはならない
セルラーベースの家庭用インターネットの存在を初めて聞いた時に、私の頭に最初に浮かんだアイデアは「そりゃクールだ、つまり、自宅に限らず複数の場所でサービスが使えるということじゃないか」というものであった。
でもそれは絶対ダメダメなことだった。携帯電話ならば信号のある限りどこでも好きな場所で使えるけれども、T-Mobile の Home Internet も Verizon の 5G Home Internet も、そのユーザーの住所に割り当てられたものであって、その場所での利用のみが意図されている。技術的に言えば自分のルーターを電源から抜いてどこでも好きな場所へ持って行くことは可能だし、新たな場所でも信号がある限りハードウェアは働き続けることだろう。けれどもそんなことをすればサービス利用規約に違反することになり、ユーザーはサービスを停止されるリスクに自らを晒すことになる。
T-Mobile のウェブサイトの FAQ ページには、このルールが「その使われる場所が私たちのネットワーク標準に合致していることを当社が断言できることにより、あなたにも他の人たちにも高品質のサービスを届けることができるため」に設けられたものだと書かれている。(私が思うに、その "当社が断言できる" というのは実際には "当社が確保できる" という意味なのだろう。) Verizon は、機器が別の場所で正しく動作するには「どうぞ当社に連絡してお尋ね頂ければお知らせ致します」と記している。
結論
T-Mobile の Home Internet と Verizon の 5G Home Internet をテストしながら、私の脳裏にはたった1つの疑問が浮かんでいた。「このどちらかをわが家の Xfinity サービスの代わりに使えるのだろうか?」という疑問だ。その答は暫定的にはイエスであり、もし答が私にとってイエスであるなら、皆さんにとってもイエスであるかもしれない。
私はどちらかと言えば T-Mobile Home Internet の方に自信がある。こちらはもう数か月間にわたって使ってきたし、十分信頼できるという感触を得ている。
Verizon の方の機器を私はまだ 2 週間ほどしか使っていないので、決定的な判断を下すのはためらってしまう。とりわけ、ハードウェアが標準のものでなくて、私の住所が条件を満たさないのでいくつかの機能が欠けているからだ。それでも、Verizon の速度には感銘を受けた。T-Mobile の速度よりやや速く、Xfinity の速度の3倍以上だ。
費用の面では、T-Mobile と Verizon のサービスはいずれも私が使っている Xfinity サービスに比べて断然安い。両者ともデータ量の上限がなく、隠れた手数料も付帯契約もない。
私がまだ切り替えられないでいるのは、妻が私より用心深くてこの種の決断に時間をかけるタイプの人間だからだ。でも、いずれは切り替えることになるだろうと私は思っている。
夫婦間の交渉のことはさておき、今やセルラープロバイダが提供する家庭用インターネットは大成功を収めつつあるように見える。だから、もしあなたが現在の有線ブロードバンドサービスに不満を持っているのなら、あなたの住所で 5G Internet が利用可能であるか否かをまず調べてみてはいかがだろうか。
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