Cook は、ええ、Apple もインフレを認識している、そして全てのサプライチェーンの課題を考慮すれば、Apple は良くやったと認めた。COVID-19 パンデミックの始まり以来 Apple が出荷した新製品がどれだけあったかを考えれば、その中には Mac に対するプロセッサの移行も含まれる、少々の自画自賛も正当化されると言えるであろう。
昨年、Apple が Self Service Repair プログラムを発表した時、地獄の温度は急降下したかのように思えた ("Apple、Self Service Repair プログラムを発表" 17 November 2021 参照)。Steve Jobs は、ユーザーが Mac をこじ開けるという考えそのものを嫌ったというのは有名だが、第二 Jobs 時代以降、その姿勢は同社の DNA に深く焼き込まれて来た。しかし Right to Repair (修理する権利) 運動は - とりわけ、それを支持する株主決議 - Apple にそうするよう仕向けた。
この Self Service Repair プログラムは今や www.selfservicerepair.com での新しい Self Service Repair Store を通して使えるようになった。ええ、URL は一般的で、そこに Apple ブランドは無く、そして WordPress テンプレートレベルのデザインになっているが、それは正当なサイトである。殆ど、偽物に見えるが。
このサイトは実際には、Service Parts or Tools, Inc. 或いは SPOT, と呼ばれる会社によって運営されており、Apple がこのプログラムについてどれ程情熱的かを如実に表している。Stephen Hackett は、このドメインが Apple パートナーのCommunications Test Design につながっていることを追跡したが、ひょっとすると、Apple は Self Service Repair プログラムそのものを外注したのかも知れない。.
これ迄の所、Self Service Repair プログラムは極めて限定的で、第三世代 iPhone SE、そして iPhone 12 と iPhone 13 製品群しか対象としていない。思うに、電話機の修理を必要とする人達は、もっと旧型の iPhone を持っているのではなかろうか。また、他の機器も現時点では対象となっていない。Expanding Access to Service and Repairs for Apple Devices と題した白書で、Apple 曰く:
初期段階では、Self Service Repair プログラムは、200 を超える個別部品とツールへのアクセスを提供しており、iPhone 12 とそれ以降のモデルに対する最も一般的な修理を顧客が行うのを可能にしている。これは間もなく Apple シリコンを搭載する Mac コンピュータにも拡張される。このプログラムは April 2022 に米国で開始され、2022 年後半にはヨーロッパに拡大される。.
現時点で、このプログラムは次の種類の修理を提供している:
電池
底部スピーカー
カメラ
ディスプレイ
SIM トレイ
タプティックエンジン
民間の Mac 修理人である Louis Rossman は、Self Service Repair プログラムには一つの重要な修理の種類が含まれていないと指摘している:Lightning ポートである。私が前回 iPhone に対するサービスを必要としたのは、Lightning ポート内のピンの破損であった。しかしながら、その時 Apple は iPhone そのものを交換したので、その修理を手早く、或いは効率的に出来るという確信を Apple が持てていないという事なのかも知れない。
顧客の製品保証は Self Service Repair によって影響されない。しかしながら、その修理の過程で顧客によって生起された如何なる問題或いは損傷は Apple によって保証されない。
細かいことは脇に置けば、Self Service Repair プログラムは、実質的でありそして Rossman が思っているように見える単なる売名行為以上である。平均的な iPhone ユーザーは、初めて、Apple 自身の技術者が使う公式の修理部品と特殊ツールの両方に対するアクセスが得られたのである。たとえそれを実現するために株主も Apple に圧力をかけなければならなかったとしても、そして、たとえ Apple は自分自身と Self Service Repair Store との間に距離を置こうとしているように見えるとしても、修理する権利に向けた大きな一歩である。
Synology はサーバのセットアップを私が想像できる限り最も簡単なものにしている。まずはネットワーク上のサーバアドレスを実際に見極めるところから始める。デバイスをルーターに繋ぐと、ルーターが DHCP 経由で IP アドレスを割り当てるが、それが何かは分からず、Synology NAS にはスクリーンがないので表示させて見ることもできない。このヘッドレスデバイスの IP アドレスを知る方法はいくつかあるが、Synology は find.synology.com に専用のウェブアプリを用意していて、それがあなたのネットワークをスキャンして新しいデバイスを見つけ、接続してセットアップができるようにする。
Synology はファイルにアクセスするための方法をいくつか提供している。たいていの Apple ユーザーは SMB と Synology Drive を利用することになるだろう。
最初のセットアップが終わったら、share と呼ばれるものを作成する必要がある。これは SMB やその他の標準的なネットワークプロトコルを通じてアクセスできる。この share というのは Mac 上にマウントできる仮想ドライブのようなもので、個々の share がそれぞれ異なるアクセス権を持つ。例えば夫婦二人のみが税金の書類を見ることができ、子供たちは保存された映画を観られるようにもできる。
SMB はもともと Windows 用のファイル共有プロトコルとして始まったが、その後事実上の標準となり、Mac の上でさえもそうなった。数年前に、Apple は自らの AFP を廃止して SMB を使うようになり、Finder で Go > Connect to Server を選べば SMB share に接続できるようにした。
SMB の大きな欠点は、サーバに接続していない状態ではそれらのファイルにアクセスできないことだ。それに、私は Finder の SMB 統合機能を好きになれない。勝手に接続が切れてしまったり、速度低下したりといった問題がよく起こるからだ。SMB での作業は Linux マシンからする方がずっと高速で手軽だ。
ここまで来ればもうお分かりだと思うが、Synology NAS は本格的なコンピュータだ。核心となるファイルストレージの機能に加えて、Synology の NAS ユニットは一連のアプリを提供しており、これを内蔵の Package Center からダウンロードして DSM つまり Disk Station Manager を通じてやり取りできる。DSM は基本的にウェブベースの Linux デスクトップであって、ファイルや設定にアクセスするためのグラフィカルなインターフェイスを提供する。私は初めて DSM について聞いた際にきっとこれはどうしようもなく遅いだろうと思ったが、使ってみるとテキパキ働くのに驚かされた。
Synology Photos を使っていて最も困難を感じるのは、古い写真を Photos から転送したい場合だ。この問題について私はずっと discussing the issue on TidBITS Talkが、まだ解決方法を見つけられずにいる。けれども、iPhone や iPad 用の Synology Photos アプリを使えば新たに撮影した写真を苦労なく DS 920+ へ同期させることができる。
Synology Cloud Sync
パブリックなクラウドサービスを使わないようにしたい人たちにとって重要なもう一つのアプリが Synology の Cloud Sync だ。これを使って Dropbox、Google Drive、Microsoft OneDrive などのクラウドストレージサービスにログインでき、それらのクラウドサービスから NAS 上のフォルダへコンテンツをダウンロードできる。片方向きのみの同期にも双方向の同期にも使えるし、連続同期の設定にしてあなたがファイルを作成したり編集したりする度に NAS とクラウドサービスとの間で新しいファイルがやり取りされるようにもできる。
Cloud Sync には Google Workspace ファイル、例えば Google Docs や Google Sheets のファイルを標準的な Microsoft Office フォーマットに変換するありがたい機能がある。けれどもそれをする場合にはダウンロードのみの設定にしておくことを強くお勧めしたい。ある時私は同期設定に何かおかしいところがあると感じたので、設定し直してみると、私のすべての書類の DOCX および XLSX バージョンが Google Drive フォルダの中に、共有されたものも含めて保存されていることを発見した。ありがたいことに、双方向の同期をオンにした状態で DS 920+ 上のファイルをすべて削除することで、酷い状態を脱することができた。
残念ながら、Cloud Sync は iCloud では動作しない。iCloud 上にあるファイルを NAS に持ち込むには、手作業で Finder の中へコピーしてやらなければならない。それで問題があるようには見えないかもしれないが、iCloud が遠隔のみにあるファイルをダウンロードさせてくれないことに気付いて私は行き詰った。理由は分からないが、iMac 上では動作しないのに、MacBook Pro を使ってみるとすべてをコピーすることができた。この種の転送は Optimize Mac Storage 設定が System Preferences > Apple ID > iCloud でオフになっている Mac から始めることをお勧めする。(そうすればすべてのファイルがローカルにミラーされるはずだからだ。)
Synology 遠隔アクセスとセキュリティ
たぶんほとんどの人が、ローカルネットワークの外へ外出中にも NAS のデータにアクセスできるようにしたいとお思いだろう。Synology はそのための多くの方法を提供している。まず、ルーター上のポートを NAS 上の望みのサービスに転送できる。DSM のメインのポートは 5000 だ。Synology は一般的なルーター用にポート転送を自動的に設定するツールを提供しているが、残念ながら私のルーターでは機能しない。
一般的なコンシューマ向けインターネット接続を使っていれば、パブリックな IP アドレスは時折変わる。幸いにも Synology は内蔵のダイナミック DNS サービスを提供しているので、NAS 用に Synology ドメイン名を選べば必要に応じて自動的に IP アドレスを更新してくれる。
余談だが、私は DS 920+ とそのバックアップドライブの両方ともを 1 台の UPS (無停電電源装置) に接続して、停電があってもしばらくは動作し続けるようにしている。残念なことに、もともとこの UPS はルーターだけのために買ったものなので USB 接続のものを手に入れておらず、停電の最中に自動的に Synology NAS を終了させるようになっていない。
Mac を NAS にバックアップする目的で使いたい人のために、Synology は Time Machine share を作成するための説明書を提供している。私はその目的には USB ドライブを使う方が良いと思うので、テストしてみていない。
メディア再生
ダウンロードしたりディスクからリッピングしたりした DRM フリーの映画やテレビ番組を保存して視聴する目的で NAS を買う人たちも多い。再生の方法には選択肢が 2 つある:
SMB を使ってアクセスし、Mac 上の VLC や VLC or IINA などのアプリで再生する。Apple TV 上でも、やはり VLC その他が使える。
Synology NAS 上に Plex などのメディアライブラリアプリをインストールする。これがメディアを整理し、そこに素敵なユーザーインターフェイスをたっぷりと塗り付け、ビデオファイルの処理を補助する。Plex は Apple TV を含むほとんどあらゆるテレビプラットフォーム用にアプリを提供している。
この DS 920+ 上で Windows は試していない。それは私が Windows を大嫌いだからなのだが、それでも M1 ベース Mac を使い始めて Boot Camp やあるいは VMware Fusion などの仮想化アプリが使えなくなって困っている人ならば (Parallels Desktop は ARM 用に Windows 11 をインストールする説明書を出している)、たまに Windows アプリを使うための良い方法となるかもしれない。オマケとして、そのネットワーク上のどんなコンピュータからでもその仮想マシンにアクセスできるようになる。私にとってはハードウェアの制約があるのであまり重たいものを走らせようとは思わないが、DS 920+ の限界を探るためにも何かゲームを走らせてみようかという誘惑も感じている。
Apple が Logic Pro 10.7.4 をリリースした。このプロフェッショナル向けオーディオアプリのメンテナンス・アップデートで、少数のバグ修正や改良が施されている。今回のリリースでは Slate Digital の使用時に Logic がハングすることがあった問題を解消し、一部のモデルの Mac で Logic の空間オーディオ設定がデフォルトでヘッドフォンによるメディア再生になることがあったバグを修正し、M1 ベース Mac で Audio Unit ソフトウェア音源を再生するとノートがハングすることがあった問題を解消し、Automation と Smart Controls をすべての Audio Unit Instrument パラメータで使えるようにした。(Mac App Store から新規購入 $199.99、無料アップデート、1.1 GB、リリースノート、macOS 11.5+)
Quicken Inc. が Quicken for Mac のバージョン 6.7 をリリースして、この財務管理アプリが macOS のシステム設定に基づいて Light モードまたは Dark モードをデフォルトとするようにアップデートした。今回のリリースではまた、投資ダッシュボードのカードを並べ替えて投資の表示をカスタマイズできるようにし、資産クラスや証券配分の情報をより詳しく円グラフに表示するようにし、ポートフォリオツールバーの位置を変えてグラフの上側に来るとともに狭いウィンドウ幅にも対応させ、Register で取引の上にポインタをかざすとそれをハイライト表示するようにした。(講読年額 $34.99/$51.99/$77.99、購読者は無料アップデート、リリースノート、145 MB、macOS 10.13+)