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#1618: M2 MacBook Air 注文受付開始、Lockdown Mode、Live Text と Preview での選択、MacBook Pro で使う携帯用電源

M2 MacBook Air の注文受付が始まった。最初の出荷分は今週の金曜日に届くが、現時点で既に出荷予定が 8 月中旬にずれ込んでいる。Apple が iOS 16 の新しい Lockdown Mode を発表した。国家の支援を受けた悪意ある者の攻撃を阻止するために作られた、最高度のセキュリティを提供するものだ。Lockdown Mode が何をするのか、どんな人がその恩恵を受ける可能性があるかを Glenn Fleishman が解説する。iOS 16 の話題がもう一つ、Apple が来たるべきオペレーティングシステムアップデートすべてのための公開ベータ版をリリースした。ただし、テスト専用に使えるマシンを持っている人以外はインストールすべきでない。Adam Engst は Preview で長方形領域を選択する作業を楽にするために Live Text 機能を無効化するやり方のヒントを手早く述べるとともに、古くなってきた MacBook Pro を野外で充電を保って使うための方法を探る。今週注目すべき Mac アプリのリリースは Mimestream 0.36、Typinator 8.13、Mactracker 7.11.3、Airfoil 5.11.1、Hazel 5.1.3、Fantastical 3.6.6 だ。

Josh Centers  訳: 亀岡孝仁  

M2 MacBook Air 受注開始、しかし既に入荷待ちの状態

Apple は、再設計された M2 MacBook Air に対する受注を 8 July 2022 の 5 AM PDT に開始した;最初の分は 15 July 2022 に出荷され店頭に届くであろう、(何が新しくなったかの詳細については、"Apple、M2 駆動の MacBook Air と更新された 13 インチ MacBook Pro を発表" 6 June 2022 を参照)。しかしながら、Apple のウェブサイト上では、出荷日は既に延期されて8月中旬になっている。

この M2 MacBook Air には二つの基本構成がある:一つは 8-core CPU, 8-core GPU モデルで 8 GB の統合メモリと 256 GB のストレージが付いて $1199 で、もう一つは 8-core CPU, 10-core GPU モデルで 8 GB のメモリと 512 GB のストレージ付きで $1499 である。もし M2 MacBook Air の改良は必要なく、お金を節約したければ、今でも2020 年からの M1 MacBook Air も $999 で買える。それは 8-core CPU, 7-core GPU モデルで 8 GB のメモリと 256 GB のストレージが付いている。

Someone using the M2 MacBook Air

M2 MacBook Air の性能は素晴らしく見えるが、もしプロセッサ負荷の高いタスクをやろうと思っているのであれば、初期レビューが入ってくるまでは注文するのは控えた方が良いように思える。アップデートされた M2 13-inch MacBook Pro で 8K ビデオをエクスポートしている時、サーマルスロットリングが起きたという報告がある。8K ビデオのエクスポートは Mac に対する最もプロセッサ負荷の高いタスクの一つである。サーマルスロットリングは、CPU 温度が高くなりすぎると CPU は温度を下げるために意図的にその性能を落とす。13-inch MacBook Pro はファンを内蔵しているので、ファン無しの M2 MacBook Air よりも過熱に対して闘う体制が整っている。サーマルスロットリング報告の妥当性は二つの鍵となる質問次第である。第一に、サーマルスロットリングはどの M2 13-inch MacBook Pro にも当て嵌まるのであろうか、或いはその特定の機器にだけ当て嵌まるのか? 次に、サーマルスロットリングは低価格ラップトップに対してもっと普通の使い方でも生じるものなのであろうか?

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Josh Centers  訳: Mark Nagata   

Apple、macOS 13 Ventura、iOS 16、iPadOS 16、watchOS 9、tvOS 16、HomePod Software 16 の公開ベータを開始

Apple が公開ベータ版の macOS 13 Ventura、iOS 16、iPadOS 16、watchOS 9、tvOS 16、および HomePod Software 16 をリリースして、Lock 画面のカスタマイズや Stage Manager などの新機能をユーザーがテストできるようにした。(忘れないで頂きたいが、iPad では、Stage Manager を利用できるのは M1 モデルのみだ。2022 年 6 月 9 日の記事“Apple の 2022 年版オペレーティングシステムにおける本当のシステム要件”参照。)

いつもと同様、Apple はこれらのベータ版を誰もが入手できるようにしているけれども、いかなることに対してでも自分が頼りにして使っているデバイスの上にインストールするのは無分別な行為だ。Apple は開発環境を改善しているので、たとえ初期のベータ版であってもその昔に比べればずっと安定しているのは事実だけれども、それでもいろいろなバグや不具合、非互換性があることは確実だし、データ破損を招くことさえ十分にあり得るからだ。

これらのベータ版を専用のテスト用デバイスのみに限定すべきだということに加えて、自分のメインの iCloud アカウントにベータ版から接続することも避けるべきだと言っておきたい。バグのせいでアップストリームの問題が起こることもあり得るからだ。例えば、信用できないベータ版の Photos があなたのカスタムアルバムを全部消去してしまったら困るだろう。どんなオペレーティングシステムでも新しいバージョンをインストールする前にバックアップを作ることはいつもお勧めしているけれども、データ喪失の恐れもなく、いつでも躊躇わずに消去してよい、そういうもの以外の上にこれらのベータ版をインストールすべきではない。

watchOS 開発者の人以外が watchOS のベータ版を試すことはお勧めしない。Mac や、iPhone、iPad、さらには Apple TV でさえ、破損したインストールから復旧できる方法を提供しているのに、Apple Watch にはそれがないからだ。もしもトラブルに陥ったなら、Apple の助けを得て Apple Watch を復旧させなければならない。

また、HomePod Software 16 のベータ版を試したい場合には、これが HomePod mini にのみ対応していて初代の HomePod には対応していないことを知っておく必要がある。フルサイズの HomePod を使い続けている人も不安に陥らないでよい。今年中に出る公式リリースではちゃんと対応しているはずだ。

今回のベータ版のどれかを試すには、Apple の public beta ページへ行き、あなたのオペレーティングシステムを選び、その後は指示に従えばよい。たいていの場合、それは特殊なプロファイルをデバイス上にインストールしてから、その後で Software Update を使ってオペレーティングシステムをアップデートするという手順だ。

最後にもう一言。公開ベータ版を試す主たる理由は、バグを報告できることだ。だから、まずは是非、David Shayer が記事“修正が実現するように Apple にバグ報告する方法”(2020 年 6 月 17 日) に書いた助言を読み直しておこう。

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Adam Engst  訳: Mark Nagata   

TipBITS: Preview で選択を楽にするため Live Text を無効化

数多くの基本的なグラフィック操作のために Preview を使っているのは私だけでないと願いたい。Josh Centers と私が Take Control of Preview の中で説明した通り、Preview アプリにはスクリーンショットをトリミングしたり、画像をリサイズしたり、注釈を加えたり、さらにはピクセル単位の編集をしたりするための驚くほど大量のパワーが備わっている。(例えば私はスクリーンショットの背景色部分から長方形領域をコピーして、それをどこかへペーストすることで何かを“消す”ことがよくある。)

残念なことに、私が Preview で最も日常的にする作業であるトリミングが、Monterey では困難になってしまった。なぜなら、Live Text 機能が追加されたからだ。Preview が時々、私が選択ハンドルをドラッグしようとしているのでなくて画像の中でテキストを選択しようとしていると、勘違いしてしまうことがあるのだ。煩わしいことに、この問題は予測できない挙動をする。あるスクリーンショットでこの問題に遭遇しても、後になって同じスクリーンショットで再現を試みたら再現できないということがある。その上、私がこの問題を経験する頻度は下がりつつある。ひょっとすると Apple は選択の背後にあるロジックを改良しつつあるのかもしれない。

長方形領域を選択したくてクリックしてドラッグし始めたのにテキストが選択されてしまうという現象に悩まされている人のために、選択ハンドルを使えるようになる確率を増すための技を見付けたのでご紹介しよう。ウィンドウをリサイズして、掴みたい選択ハンドルのある辺に沿って背景のキャンバスが見えるようにする。それから、そのキャンバス側からハンドルに近付けば、macOS はあなたのクリックとドラッグがテキストを持つ領域の外側で起こったと判断してくれる。

Example of expanding canvas to ease selection

もしもその技だけでは不十分であれば、Preview を通常の選択習慣に引き戻す方法がある。そのためには Live Text 機能自体を完全にオフにする必要があるのだが、そもそも画像の中からテキストを選択できるのはとてつもなくクールだとは思うけれども、そんなものを必要とすることなど滅多になくて、その一方でトリミングは私が Preview で頻繁にする作業だ。

私は Live Text を無効にするオプションがあること自体知らなかったのだが、ある日、別の目的で System Preferences の Language & Region 枠を開いた。すると、何とそこにそれがあった。"Select Text in Images" と書かれたチェックボックスだ。そのチェックを外すと、Preview の中で安心して選択ハンドルをドラッグできる状態が戻って来た。

Disable Live Text option

私がこの記事を書き始めた時点では、Live Text を無効にするチェックボックスがこんな場違いの場所に置かれていることを発見してすっかり満足した気持ちで浮かれていたのだが、選択の問題を確実に再現することができないと気付いてその気持ちが少し薄れた。ほとんどの人は Live Text が画像の領域選択を乗っ取ってしまう現象に遭遇することすらないのかもしれない。それでも、もしそんな状況に遭遇したなら、私の発見がお役に立つことを願いたい。

[訳者注: 実はもっと簡単に Live Text を避けられる方法があり、筆者の Adam Engst はその点に気付いていませんでした。次号で、Adam がお詫びとともにその方法を記事にしていますので、どうぞそちらもお読みください。]

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Glenn Fleishman  訳: 亀岡孝仁  

Apple、活動家や政府の標的を守るため Lockdown Mode を追加

Apple は、年内に新しい Lockdown Mode を iOS, iPadOS, そして macOS に追加すると発表した。それは、政府レベルのスパイウェアが標的とする活動家、抗議行動家、報道記者、そして政治家の機器に侵入しようとする試みをかわすためのものであり、Apple ユーザーの知らない間に或いは同意がないままに、機器に侵入されたりデータを盗られたりすることから保護しようとする一大努力における最新の動きである。

Lockdown Mode

Lockdown Mode は、世界中の任意のサーバーに接続出来たり、Messages や FaceTime の様な Apple サービスを通して到達出来る常時接続の機器上の脆弱性の鍵となる点に狙いを定める。

Lockdown Mode を有効にすると、iMessage や MMS 経由ではテキストと画像以外のものは全て受信出来なくなる;他の文書型のものは全て阻止される。Messages はまた、リンクをプレビュー出来ず、その他にも現時点では明らかにされていない制約があるであろう。加えて、FaceTime や任意のインバウンド招待やリクエストを受けられる他の Apple サービスは、それ迄に通話やリクエストを発したことのある人以外の人達は阻止する。(この阻止は、前に話をしたことのある人を含む様には見えず、アウトバウンドの接続だけのようである。さもなくば、将来のハックのための偽装として過去に何気なく接触して来た人も許されてしまうことになるであろう。他にも色々なシナリオが考えられるであろう。)

これらの変更が前からあれば、Apple 機器に対する最近の深刻な弱点攻撃に対しても保護したであろう - ゼロデイ脆弱性で、Apple が知る前に実際に突かれてしまった - これは悪意を持って形成された PDF 経由でもたらされ、Messages に対する Apple の 2020 版のサンドボックスセキュリティもバイパスされてしまった ("BlastDoor が iMessage のマルウェア攻撃に対する防御を強化" 4 February 2021 参照)。

Apple は Lockdown Mode はまたブラウザがある種の "複雑なウェブ技術" を実行するのを防ぐとも言っている。これは将来起こりそうなベクターに関する過去の弱点攻撃と懸念に対応したものである。ユーザーはサイトを信頼されたリストに追加する事を選べる。Lockdown Mode では、有線接続は iPhone がロックされれば常に阻止される;Apple は iPad については言及していない。

Lockdown Mode はまた、構成プロファイルのインストールも阻止する。これ迄、攻撃者が機器に出入りする全てのデータを途中で奪取するためにこの脆弱性を利用したこともある。Lockdown Mode にある機器はまた、モバイル機器管理に参加させられこともないので、もう一つの既知の心配の種を摘み取っている。

Apple は Lockdown Mode の焦点を既知のリスクに直面しているユーザーに当てている。何故ならば、それは自分の機器上で出来る事の一部を制限するからである。その措置だけでも、世界中で何千万もの Apple ユーザーが Lockdown Mode を有効にすることで、恩恵を得られる可能性がある。

例えば、Russia の Ukraine に対する挑発されてもいない侵攻について余り愛国的でない住人の攻撃的な逮捕を思い描いてみよう。突如として、1.5 億人に近い国の多くの人々が国家支援型スパイウェアについて心配すべき理由を持っているかも知れない。同様に、米国では、Supreme Cour の最近の Roe v. Wade (1973 年の妊娠中絶を認める判断) を覆す判断、そしてこれ迄の中絶に関係する事件での法執行機関の振る舞いも合わせて、プライバシー擁護派は警察が医療を求める妊娠中の人々のテキストメッセージやデジタル活動を奪取するのではないかと心配している。

Lockdown Mode と並んで、Apple は Dignity and Justice Fund に対する $10 million の資金援助を発表した。これは Ford Foundation の New Venture Fund の中に設けられた助成金提供組織である。この資金からの賞は "金銭目当てのスパイウェアを暴きそして潜在的標的を守る手助けとなる取り組み" に対して資金提供する。これには支援活動と啓発活動が含まれ、人権団体のセキュリティを増進させ、そして研究活動をスパイウェアに対して向かわせる。Apple は、この基金は、Amnesty International や Citizen Lab の様な団体から選ばれた人権擁護指向の技術者から助言を受けると言っている。Apple のセキュリティエンジニアリング及びアーキテクチャの責任者である Ivan Krstic もまた委員会に加わる。

Lockdown Mode は、合法的な政府の行為と、iPhone, iPad, そして Mac セキュリティに入り込もうとする違法な司法管轄外そして犯罪的な行為との整合性を均衡させる Apple の闘いにおける進化と拡大の両方を意味する。昨年、Apple は大手の政府スパイウェア業者である NSO Group を Apple 製品とサービスの悪用に関与した疑いがあるとして訴えた ("Apple の訴訟、スパイウェア企業 NSO Group を追う" 24 November 2021 参照)。

スパイウェアの潜在ユーザー全てが不適切なわけではない。NSO Group 及び同様の会社は、常に彼らの製品の主たる使い途はテロリズムと人身売買と闘うためだと主張している。それでも、Apple が "金銭目当てのスパイウェア" と呼ぶものがその様な役に立っているという証拠はない一方で、NSO Group の Pegasus は、色々ある中で、Mexico での報道記者Spain の Catalonia 地区での政治家、そして United Arab Emirates での人権活動家を標的として使われたと疑われている。

Apple が昨年 NSO Group に対する訴訟を発表した時、同社は、もし訴訟に勝ったら、同社が受け取る損害賠償と合わせて、Citizen Lab と Amnesty International の一部である Amnesty Tech に $10 million を与えると言った。この新しい発表はこの供与には言及していないが、同じ額を挙げ、そして訴訟からの損害賠償も New Venture Fund へ寄付される資金の一部だと言っている。Apple はもっと透明性を提供すべきである - これらは別の動きなのか、或いは以前の資金提供はこの新しいやり方に組み込まれるのか?

Lockdown Mode は iOS 16, iPadOS 16, そして macOS 13 Ventura と共に今年後半に到着する。それを有効にするには、タップ一発、確認、そして再起動が必要なだけに見える。同脳の簡単さで解除出来る。

政府支援の活動家の標的になりそうになくとも、Lockdown Mode を有効にすべきか? 私の見解を言うと、もし自らの個人的安全性が心配でなければ、それは殆ど全ての人に対してやり過ぎで、直ぐにイライラの元となるであろう。しかし、我々の分かる範囲で言えば。それを試験的に或いは一時的な保護として有効にすることに害がある様には見えない。

Lockdown Mode が実社会でどの程度有効かは出るまで分からないが、初期の説明からすれば、Apple は政府と個人という不均衡な戦いに於いてのセキュリティに対する取り組みで新たな頂点を極めた。

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Adam Engst  訳: Mark Nagata   

MacBook Pro その他のために電源装置を選ぶ

現代社会を縛る呪いは、常にバッテリーについて考えるよう強いられるという点だ。いったいなぜ私の iPhone はまだ日が高いのにバッテリー残量がなくなるのか? 昨晩 Apple Watch が充電されなかったのはなぜか? 飛行機の中で MacBook Air で使える電源コンセントはあるのか? そして、ますます増え続ける人たちにとって、電気自動車の航続距離はこのドライブに十分か? こうしていくら気を揉んだとしても、それでもやはり間の悪い時に必要なデバイスのバッテリーが空になったと気付いて驚かされるということは十分にあり得る。私も最近それを経験した。でも、あらかじめ少し考慮して、適切な予備の装置を用意しておきさえすれば、困った状況はきっと避けられる。

陸上競技会では電源が必要

陸上競技の世界での私の趣味の一つは、Finger Lakes Runners Club (FLRC) で陸上競技会を運営することだ。そのためには HyTek Meet Manager と呼ばれるお粗末な Windows アプリが必要で、長年私はこれを Tonya の 2016 年型 MacBook Pro の上で Parallels DesktopVMware Fusion による仮想化を通じて使ってきた。Windows と Meet Manager を使わなければならない苛立ちはあるものの、このやり方は長年うまく機能してきた。

(実を言うと私のセットアップにはさらにもっと難解なところもある。計時のために Time Machine を使っているが、これはもう何十年も前に作られた競技計時用デバイスで、非常に正確なタイマーに小さな LCD 画面、感熱式プリンター、キーパッドを組み合わせている。下の写真は私たち全員がこれを見つめているところだ。競技者たちのタイムを記録するためにワイヤードとワイヤレス双方のスイッチに対応しており、大画面の Raceclock (写真の中で私の頭の向こうに見えている) を自動的にスタートさせることができ、そして最も重要なこととして、結果を Meet Manager に送ることができる。この接続は Time Machine の RS-232 シリアル接続で始まり、Keyspan RS-232 to USB アダプタで USB に変換され、それから USB-A to USB-C アダプタで Mac に接続、そこで仮想化環境が Windows に接続する。Meet Manager の中では、いったんすべてを繋いだ後に、トラックボタンのインターフェイスがシリアルポート 3 を使っていると教えなければならない。それから結果を Canon Pixma iP110 モバイルプリンターで印刷している。これだけのものがちゃんと動作しているということだけでも驚かざるを得ない。)

Track meet gear and volunteers

私たちが使っているさまざまのハードウェア、つまり MacBook Pro、Time Machine、Raceclock、Canon Pixma プリンタ、これらすべてがバッテリー駆動だ。屋外の陸上競技会では重要なことで、ゴール近くのインフィールド上に設置する場所にはたいてい電源などないからだ。競技会の前に私は十分に気を付けてすべてが充電されていることを確認するようにしている。もしどれかの電源が切れればそれは緊急事態だからだ。現実には十分なバックアップシステムと経験とがあるのでどれかのデバイスが失われても回復できるのだが、やはりそれでは理想的とは言えない。

だから2週間前、5レースの競技会の2番目のレースであった 800 メートル競技の途中で、MacBook Pro から電源が残り少ないので電源に接続しないと間もなくシステムが終了するという警告が出たと記録担当係に言われた時の私の不安を、容易にご想像頂けるだろう。登録に遅れた人に備えたり、温度の変更に備えたりするためにたぶん 90 分ほど使っていたが、それはいつものことだった。私はこの MacBook Pro をもう何年も使っていて、家を出た時に 100% 充電されていた点に確信はあったが、これがどれほど古いマシンであるかを本当には理解していなかった。去年の陸上競技会では何の問題もなく働いていたけれども、去年はパンデミックに悪天候も重なってかなり短時間で競技会が終わった。その上、調べてみて唖然としたのだが、その内蔵バッテリーはさらにもう一年古いものでアンペア数も弱かった。(わざとらしい例えには違いないが、ここで Merle Travis の "Sixteen Tons" を引き合いに出しておこう。)

他にどうすることもできなかったので、MacBook Pro のリッドを閉じてそのまま続けた。つまり、Time Machine から結果を取り込むことも、結果シートを印刷してランナーたちに配ることもできなかった。私の車をトラックに持ち込むことはできないし、トラックの記者席には電源があったけれども、そもそも MacBook Pro の USB-C 充電器を持って来ていなかった。そんな場所からシステムを走らせることは不可能だと分かっていたからだ。でも、さきほども書いたように私たちには自分のすべきことが分かっていたので、止めずにそのまま競技会を続けた。翌日に Time Machine から結果を取り出すこともできるし、レースごとに生成される感熱式プリンターの出力を見てタイプすることもできるからだ。そして実際その通りに事は進んだ。終わり良ければすべて良しだ。

もっとパワーを、スコッティ!

それでもなお、この体験は私の心を乱した。この MacBook Pro では今後屋外の陸上競技会で使えないのが明らかだったので、今月後半の次の競技会までに何らかの解決策を見つける必要があった。可能性として考えられたのは:

これらの可能性のいずれも断然素晴らしいとは言い難かったのだが、ある友人がもっと別の種類のバッテリーに私の注意を向けてくれた。それが "power station" (電源装置) というもので、これはガス発電機に代わるものという位置付けにある。ハイエンドの製品ならば重量が 50 ポンド (23 kg) 以上、価格も数千ドルに達することもあり、ホットプレートやエアコンなどの電化製品を駆動できる。でもローエンドのものに目をやれば、私の目的にとって興味深いものも多い。

この分野の有名メーカーは Jackery で、その製品 Explorer 160 はたった $139.99 という価格で 167 ワット時のエネルギーを供給し、AC 出力 1 基、USB-C ポート 1 基、USB-A ポート 2 基、DC 12V ポート 1 基を備えている。重量も 3.97 ポンド (1.8 kg) と十分軽く、多数の機器を持ち運ばなければならないことを考えればこれは重要なことだ。唯一の欠点はその USB-C ポートがたった 15 ワットしか出力しないことで、MacBook Pro を使用しながら充電できるだけのパワーがない。MacBook Pro を AC 出力に繋ぐことは可能だが、USB-C ポートがあるのにそんな方法を使うのは窮屈な感じだ。Explorer 300 ならば USB-C から 60 ワットを出力するが、293 ワット時の容量のため重量が 7.1 ポンド (3.22 kg)、価格も $299.99 に増える。

それをきっかけに、私はもっとデジタルデバイス市場に焦点を当てたものが他のメーカーから出ていないかと探してみることにした。実際、$249.99 の Anker 521 PowerHouseは 256 ワット時、寿命の長い LiFePO4 バッテリー、AC 出力 2 基、60 ワット USB-C ポート 1 基、USB-A ポート 2 基、車載出力 1 基を備える。ただ、重量が 8.2 ポンド (3.72 kg) と重い。けれども $199.99 の Anker 511 PowerHouseならば重量がたった 1.9 ポンド (0.86 kg)、97 ワット時で AC 出力 1 基、45 ワット USB-C ポート 1 基、15 ワット USB-A ポート 2 基を備えている。あと $50 多く出せば、$249 の Omnicharge Omni 20+ が AC 出力 1 基、60 ワット USB-C ポート 1 基、18 ワット USB-A ポート 2 基、それに 10 ワット Qi ワイヤレス充電を備えている。これはたった 70 ワット時のバッテリーしか持たないので、重量がたった 1.4 ポンド (0.64 kg) だ。価格は高いが、魅力的だ。

Amazon でいろいろなブランド名の中国製品をあさり回る誘惑にも勝てなかった。まず見つけたのは $138 の ALLPOWERS Portable Charger で、AC 出力 2 基、60 ワット USB-C ポート 1 基、15 ワット USB-A ポート 2 基、DC 出力 1 基を備える。154 ワット時のエネルギーストレージを一か所では "およそ 3 ポンド" と称し (Amazon は) 4.38 ポンド (1.99 kg) としているパッケージの中に収めている。ただ、レビューのいくつかを読んで私はためらった。

それから次に NECESPOW N90 と N150 という 2 つの Portable Power Station も見つけた。いずれも LiFePO4 バッテリーを備えている。重量 2 ポンド (0.91 kg) の N90 は価格が $85 で、87 ワット時、45 ワット USB-C ポート 1 基、USB-A ポート 2 基、AC 出力 1 基を備える。残念ながら AC 出力は 2-prong プラグにしか対応しておらず、これでは Raceclock を駆動できない。大型の N150 の方は 161ワット時の容量で、3-prong AC 出力 1 基、65 ワット USB-C ポート 1 基、USB-A ポート 2 基、12V DC ポート 2 基を備える。重量は 5.5 ポンド (2.49 kg) とかなり重く、価格は $110 だ。

数時間調べてみて、最終的に私が掘り出したのは $89.99 の TECKNET Portable Power Station だった。これは 155 ワット時で水筒サイズのデバイスで、持ち運びのための取っ手が付き、重量は 3.75 ポンド (1.7 kg) で、3-prong AC 出力 1 基、45 ワット USB-C ポート 1 基、18 ワット USB-A ポート 3 基を備えている。これなら私の必要にぴったりだと思ったので注文した。次の陸上競技会で実際に使ってみて、使い勝手はどうか調べてみたいと思っている。もしあなたもこのような power station を探しているのなら、スペックにしっかりと注目しよう。製品によって大きく異なることがあるからだ。

TECKNET Power Station

私が持ち合わせていたバッテリー

友人と power station について議論しているうちに、私は自分がずっと以前から適切なバッテリーを自動車の中に入れていたことに気付いた! しかも適切な充電ケーブルさえ持っていた! 少々恥ずかしい話だが、それでもここに記しておきたい。この方法が役立つことがあるかもしれないからだ。

わが家の Subaru Outback には、ドアがきちんと閉まっていなくて室内ライトが何日も付けっ放しになっているとバッテリーが空になってしまうという厄介な癖がある。(普段は電気自動車の Nissan Leaf を主に使っているのだが、車体が小さ過ぎて陸上競技会で必要な機器をすべて積むには使えない。) 何年間もブースターケーブルや、遅くて旧式のバッテリー充電器を使った後で、私は 1200A Tacklife KP120 Jump Starter (現行モデルは $89.99 の T8 Pro らしい) を購入した。これは 18,000 mAh のバッテリーで、バッテリーの死んだ自動車をほんの数秒で生き返らせることができる。これは素晴らしいデバイスで、この Outback にも、1959 年製の Ford Powermaster 841 トラクターにも使えている。使わない間は Outback の中に置いていて、家から遠く離れた場所でバッテリーが死んだり、誰か他の人の車を復活させたりするのに使えるようにしている。

Tacklife KP120 Jump Starter

この Tacklife ジャンプスターターには USB-C ポート 1 基、USB-A ポート 2 基、DC ポート 1 基も付いている。残念ながらこの USB-C ポートはたった 15 ワット (3 アンペアで 5 ボルト) しか出力しない。つまり、MacBook Pro が動作中に充電することはできない。その場合、macOS は何を繋いでも "Not charging" と報告する。MacBook Pro をスリープさせれば、およそ 50% の充電を MacBook Pro のバッテリーに追加し、自身のバッテリーは空になる。

これでは私にとって役立つとは言い難いので、次なる疑問はこれで放電率が下がるかどうかだった。ただ、私が見付けた限りどんなユーティリティを使ってもこの点を見定めるのは不可能なようだった。(coconutBatteryiStat Menus のいずれも電力消費について報告できるけれども、ジャンプスターターを接続した状態で違いがあるか否かを判定することはできなかった。)

その代わりに、こんなテストを思い付いた。写真と違って自動車の中では実行していない。まず、MacBook Pro を内蔵バッテリーで動作させている状態で、Google Chrome の中で YouTube ビデオを一時間再生して、バッテリーの充電が 100% から 56% に減ったことを確認した。それから、今度は MacBook Pro を 15 ワットの Tacklife ジャンプスターターに繋いだ状態で同じテストを繰り返した。すると MacBook Pro のバッテリーレベルは 100% からたった 91% までしか減らず、これは大きな違いだ。その最後の時点で、ジャンプスターターはまだ LED が 3 つ点灯していた。ただ、それを再充電し始めると LED のうち 2 つが点滅したので、これはおよそ3分の1が放電していたのだろうと思われる。陸上競技会で MacBook Pro が必要とする電力をこのジャンプスターターがすべて提供できるのかどうか確実なことは言えないが、かなりの助けになることは確かだろう。

Jump starter running MacBook Pro

うまくいけば、TECKNET power station が次の陸上競技会で MacBook Pro を駆動してくれることだろう。加えて、他のバッテリー駆動のデバイスのどれかが突然電源切れになっても動かすことができるだろう。でも、少なくともいざという時には Tacklife ジャンプスターターの方も取り出す価値があることだけは分かった。

自動車にジャンプスターターを使ったり、あるいは外出中にデジタルデバイスを充電したりする必要がある状況を思い描くことができる人には、Tacklife あるいはそれに似たものを持っておくことを強くお勧めしたい。ただ、適切なケーブルを必ず持っておこう。私の場合は、Tacklife に付属していた USB-C と micro-USB ケーブルに加えて Lightning ケーブルも追加しておいた。

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

Mimestream 0.36

Mimestream 0.36

Mimestream が同社の macOS 用 Gmail クライアントのベータ版 0.36 をリリースして、新機能を追加するとともに、最低システム要件を macOS 11 Big Sur に更新した。今回のアップデートではリクエストの多かったメッセージスヌーズ機能を導入したが、これはクライアント側でのスヌーズに限定されたもので、Mimestream の中でのみ表示され、Gmail には同期されない。また、このアプリは言及された連絡先を自動的に To フィールドに追加する @mentions 機能を導入し、カレンダーバナーを更新して個々の招待者と共に承諾状況を表示するようにし、Signature 環境設定にフォーマッティングバーを追加し、トークンのコンテクストメニューからアドレスを Contacts に追加できるようにし、添付ファイルを一時的でないディレクトリの中で開くようにし、カレンダーが再スケジュールされたイベントをロードしなかったバグを修正し、既に開いているメッセージ作成ウィンドウが署名の編集を反映するようにし、画像のリサイズが取り消せなかった問題を解消している。(ベータ期間中は無料、9.8 MB、 リリースノート、macOS 11+)

Mimestream 0.36 の使用体験を話し合おう

Typinator 8.13

Typinator 8.13

Ergonis が Typinator 8.13 をリリースした。リストに収まらない長い略語、展開、セット名にツールチップも表示するようにした、小さなメンテナンス・アップデートだ。このテキスト展開ユーティリティはまた、CSV ファイルの読み込みがセミコロンで区切られたファイルでも働くようにし、CSV 読み込みでファイルの最後の項目が失われることがあった問題を修正し、ドイツ語およびフランス語ローカライズ版でリストの下側にあるアイコンボタンのシャドウ線を修正し、フランス語の正規表現早見表が開かなかったバグを修正した。(新規購入 24.99 ユーロ、TidBITS 会員には 25 パーセント割引、無料アップデート、10.3 MB、リリースノート、macOS 10.10+)

Typinator 8.13 の使用体験を話し合おう

Mactracker 7.11.3

Mactracker 7.11.3

Ian Page が Mactracker 7.11.3 をリリースして、最近のメジャーな Apple ハードウェアのアップデートとリリースに関する詳細情報を盛り込んだ。新しい M2 13 インチ MacBook Pro、Mac Studio、Studio Display、第5世代 iPad Air、第3世代 iPhone SE も含まれている。また、Magic Keyboard の3種類のタイプ、Lock Key 付き、Touch ID 付き、Touch ID と Numeric Keypad 付きのそれぞれについて詳細を述べている。この古参の Apple 全製品データベースは最新の macOS および iOS リリースについても詳しく述べ、Apple の最新の Vintage および Obsolete 製品に対する Support Status を更新し、また M1 および M2 Mac でタブを使った際に起こることのあったクラッシュを修正している。(Mactracker ウェブサイトからも Mac App Storeからも無料、176 MB、リリースノート、macOS 10.12+)

Mactracker 7.11.3 の使用体験を話し合おう

Airfoil 5.11.1

Airfoil 5.11.1

Rogue Amoeba が Airfoil 5.11.1 をリリースして、このワイヤレスオーディオ放送アプリの Audio Capture Engine をバージョン 11.8.2 にアップデートすることで内蔵マイクを使った際の FaceTime の音量の問題を回避した。今回の Audio Capture Engine は実装された Audio Units の処理を改善し、デバイスが誤った情報を提供している場合にもデバイスのサンプルクロックからより良いパフォーマンスを出せるようにし、デバイス間のクロック同期を改良し、多くの一般的なオーディオフローで CPU 使用量を減らした。また、Airfoil は HomePod のステレオペアでの AppleScript 互換性を改善し、Bonjour に関係した稀なクラッシュを修正し、特定の低サンプルレートをアンサンプルするとオーディオのアーチファクトが残ることのあった問題を解消した。(新規購入 $29、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、33.2 MB、リリースノート、macOS 10.14+)

Airfoil 5.11.1 の使用体験を話し合おう

Hazel 5.1.3

Hazel 5.1.3

Noodlesoft が Hazel 5.1.3 をリリースした。このファイル自動化およびクリーンアップユーティリティに数件のバグ修正を施した、メンテナンス・アップデートだ。今回のリリースでは "Tags do not contain tags" を使うネストされた条件を持ったルールをロードする際の問題を修正し、Relocate Folder 機能がルール間でフォルダをリンクしてしまった問題を解消し、AppleScript 経由でルールのアクティブ状態を設定しても保持されなかった問題を修正し、ファイルがループされ続けていたバグを修正し、テキスト置換を使うルールを走らせると場合によってクラッシュすることがあった問題を解消した。Noodlesoft によれば、5.1 または 5.1.1 を走らせている場合は手動でバージョン 5.1.3 をダウンロードしてアップデートする必要があるかもしれないという。(新規購入 $42、5 名のファミリーパックは $65、無料アップデート、20.9 MB、リリースノート、macOS 10.13+)

Hazel 5.1.3 の使用体験を話し合おう

Fantastical 3.6.6

Fantastical 3.6.6

Flexibits が Fantastical 3.6.6 をリリースして、day 表示で日付や天気を読み上げる VoiceOver 対応を改良した。また、このカレンダーアプリは新規イベントのプレビューがカスタム色やカテゴリー色を表示しなかった問題を解消し、現在のカレンダーに施した変更が即座に反映されなかったバグを修正し、Todoist タスクを編集する際にクラッシュを起こすことがあった問題を修正し、位置情報ベースの Reminder が正しく作成されなかったバグを修正し、iOS で Zoom ミーティングのオプションを設定中に macOS アプリがクラッシュした問題を解消した。(Flexibits からも Mac App Store からも購読年額 $39.96、無料アップデート、60.7 MB、リリースノート、macOS 10.13.2+)

Fantastical 3.6.6 の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

訳: Mark Nagata   

Stephen Hackett が 2023 年にも Apple History Calendar を出す

去年、クラウドファンディングを成功させて Apple ハードウェアカレンダーを出した (2021 年 7 月 2 日の記事“Stephen Hackett による 2022 Apple Hardware Calendar”参照) 512 Pixels の記事と Relay FM ポッドキャストネットワークで有名な Stephen Hackett が、今年もそれをやってくれる。Apple History Calendar Kickstarter プロジェクトに $32 を払えば、今年の 11 月あたりに実物のカレンダーが届く。2023 年用に History Calendar という名前に変わった理由は、今回のカレンダーがハードウェアのスタート日でなく Apple ソフトウェアのスタート日に重点を置いているからだ。それでもこのカレンダーは引き続き Stephen の膨大なコレクションから選んだクラシックな Apple ハードウェアの豪華な高解像度の写真を載せている。$38 かそれ以上を払えば、実物のカレンダーに加えてそのカレンダーのデジタル壁紙と、ボーナスステッカーも付く。また、たった $5 を出してデジタル壁紙のパックを手に入れることもできる。去年の大成功と同じように、今年のカレンダーも現時点で既に目標額の 6 倍ほどに達している。

Apple History Calendar cover

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