今はまだ Apple が新しいデバイスやオペレーティングシステムをリリースしていない静かな時期なので、今週はいわゆる“ハウツー”記事の特集号として、実用的な記事を3つお届けしよう。まず Josh Centers が iOS および iPadOS 用の YouTube アプリに新設された Picture-in-Picture 機能をオフにする方法を手早く説明する。それから Josh は先週のアンケート結果で取り上げた機能の一つ、AirPlay to Mac に注目する。オーディオやビデオを Apple デバイスから Mac のスピーカーやスクリーンに送信する機能だ。最後に Adam Engst が、人手に渡すデバイス上にある秘密のデータに誰もアクセスできないようにするために Mac の SSD やハードドライブをセキュアに消去するさまざまの方法を検討する。今週注目すべき Mac アプリのリリースは、Bookends 14.1.1 と Parallels Desktop 18 だ。
問題は、たいていの人がアプリからどこかへ切り替えれば YouTube ビデオは止まるものだという事実に慣れ切っていることだ。もちろん、ウィンドウをタップしてコントロールを表示させ、左上隅の X 印をタップすればいつでもウィンドウを閉じることはできるが、iPhone のスクリーン上で狙うにはこの X 印はあまりにも小さ過ぎる標的だ。
2014 年に Take Control of Apple TV を初めて構想している時、それは Apple TV 自体と言うよりむしろ AirPlay についてであり、私はもしコンテンツを iPhone から仕事場にある Mac 上の大きな画面に AirPlay 出来たらどんなに素晴らしいことかと思ったりしていた。その後年月が経ち、Apple がその様な機能を提供することは無さそうだと諦めてしまった。しかし、Apple は macOS 12 Monterey で Mac に対する AirPlay を発表して私を驚かせた。
問題は:オーディオやビデオを Apple 機器から Mac に送るのに AirPlay を使いたいと思う人がいるか?である。もし我々の最近の TidBITS 読者に対するアンケートが判断基準になるとすると、その答えは:恐らくそう多くないである ("アンケート結果: どの iOS 15, macOS 12 Monterey 機能を実際に使っていますか?" 8 August 2022 参照 参照)。アンケートでは、回答者の 74% がこの機能を使ったことがなく、21% がたまに使ったことがあり、しょっちゅう使うと言う人は 5% しかいなかった。クラウドベースのサービスへのアクセスが何時でも何処からでも出来る時代にあって、AirPlay はかつて程には重要性は高くないかも知れないが、Mac へ AirPlay 出来ることが役に立つ場面は存在する。とりわけ、家庭娯楽機器として Mac mini をテレビにつなぐ時はそうである。
皆さんも納得されるかも知れない他の使い方の一つは、iPhone から Mac へオーディオを AirPlay することである。Mac は iPhone よりも間違いなく良いスピーカーを備えているので、机に座っている時にはより良い品質のオーディオが得られる。加えて、Mac 上のアプリでいじるよりも便利だと思うのであれば、iPhone をリモコンとして使うことも出来る。最後に、机を離れる必要がある時、iPhone 上で AirPlay をオフにすることで切れ目無しにオーディオの再生を続けられる。このやり方は、 Overcast の様な Mac に対してネイティブで無いアプリに対しては特に適している。最小限主義の Overcast Web インターフェースをいじり回し正しく同期することを願う代わりに、Overcast iPhone から Mac に対して AirPlay する事も出来る。
Mac へ AirPlay する:序章
AirPlay が働くためには、目標となる Mac は以下のリストに入っていなければならず、そして Monterey が走っていなければならない:
iMac (2019 年かそれ以降)
iMac Pro
MacBook Air (2018 年かそれ以降)
MacBook Pro (2018 年かそれ以降)
Mac mini (2020 年かそれ以降)
Mac Pro (2019 年)
また、Mac 上で AirPlay Receiver が有効になっている事を確認する必要がある。デフォルトでオンになっているはずだが、System Preferences > Sharing に行き、AirPlay Receiver が選択されていることを確認する。また、AirPlay を現在のユーザー或いは同じネットワーク上の誰かと紐付いた Apple ID に限定することも出来るし、そして職場或いは家庭のいたずら好きがいる場合、アクセスを更に制限するために AirPlay パスワードを設定することも出来る。
YouTube は少し厄介である。Chromecast アイコンをタップして、それから AirPlay & Bluetooth Devices をタップする必要がある。
もしすぐに分かる AirPlay アイコンを好みのアプリが持っていなければ、AirPlay を Control Center から起動する。メディアプレーヤー制御の右上隅にある AirPlay アイコンをタップしそして Mac を出力機器として選択する。
Mac アプリは AirPlay アイコンを持たない傾向にある。注目に値する一つの例外は Music で、ポップアップメニューを表示し複数の AirPlay 受信機を選択させてくれる。この機能を使って他の Mac, HomePod, そして Apple TV すらも選択することで家中をオーディオで満たすことが出来る。これは Music の正当に評価されていない機能の一つで、年と共に Apple が AirPlay の適用範囲を拡大するにつれて改善して来た。
AirPlay オーディオを Mac から送る最善の方法はメニューバーにある Control Center を経由するやり方である。Sound 制御にある AirPlay アイコンをクリック、そして出力機器を選択する。注意すべきは、こうすることで全てのメディアオーディオは AirPlay 受信機を通して再生されることであるが、システムが生成する音は手元の Mac だけに留まる。
Control Center はまた、Mac 上の全てのオーディオストリームの再生を可視化しそして制御させてくれる、入ってくるものそして出て行くもの両方である。最新のメディアストリームは Control Center の一番下に現れ、そしてそれをクリックすると、Mac 上の他のストリーム全部が見られる。(情報:このリストにあるアプリのストリームを Command-クリックすると、そのアプリに切り替わる。)
ビデオを Mac に AirPlay する
iOS と iPadOS でビデオを AirPlay するのは同じ様に働く:アプリの中で AirPlay アイコンをタップするか、或いは Control Center を経由する。
Mac からは、少々面倒でアプリに基づいて起動されなければならない。AirPlay をサポートする二つのアプリは Apple の QuickTime と TV アプリで、それらはコントロールパネルに AirPlay アイコンを表示する。付け加えると、AirPlay のビデオアイコンは三角形の頂部に四角が乗っている。
Safari もまた AirPlay サポートを含んでいる。YouTube (下記) の様な AirPlay 機能を提供するビデオサイトは AirPlay アイコンを提供する。しかしながら、Amazon Prime Video の様な他のサイトは AirPlay をサポートしていない。
受け手の Mac 上で AirPlay から抜け出るには Escape を押せば何時でも抜け出せる。
画面を Mac にミラーリングする
また AirPlay を使って一つの機器の画面を Mac にミラーすることも出来る。これは、iPhone や iPad 上で他の人に対して何かのデモをしている時には極めて効果的であり得る。iOS や iPadOS でこれをやるのは極めて簡単である。Control Center を開いて、Screen Mirroring ボタンをタップ、そして Mac を目標機器として選択する。残念ながら、画面ミラーリングもビデオと同様に働く - iPhone や iPad の画面が Mac の全画面を乗っ取ってしまう。
やり方は Mac 上でも同様である。Control Center を開いて、Screen Mirroring ボタンをクリック、そして目標とする Mac を選択する。しかしながら、一つだけ大きく異なる点がある。目標とする Mac を選択する時、ミラーリングするか、別のディスプレーとして使うかの間で選択出来る。この場合、目標 Mac の画面を占有してしまうのが妥当だと思うが、目標とする Mac 上の二次ディスプレーは何れにしろ無視される。
ハードドライブに対してもハンマーが同様に有効だろう。ただし、記憶媒体の円盤部分を破壊することが必須なので、ドリルで円盤部分に穴を数個開けておくのがよい。最近私は年配の友人たちを手伝って数個の古いドライブと死んだ Mac mini を廃棄するためにこの作業をした。(2022 年 6 月 24 日の記事“高齢者の手助けをしたら、Apple の昔の過誤と最近の改善が見えてきた”参照。)
政府レベルの抽出の懸念を感じている人には、ハードドライブにドリルで穴を開けただけでは十分でないかもしれない。その場合は消磁装置の方が効果的だろう。あるいは、ドライブを開けて、記憶媒体の円盤を取り出し、サンドペーパーまたは何らかの研磨材を使って表面を破壊するのもよい。また、ドライブを粉砕するシュレッダーもあるけれども、そういうものや消磁装置などは機密情報を含んだドライブを数多く廃棄する必要のある IT 部門のようなところに向けたものだ。
コマンドラインに慣れていない人には、実験のつもりでやってみることはお勧めしない。そういう人はこんなテクニックを使うべきでない。一つの理由はドライブの識別子でミスタイプをしただけで違うドライブを消去してしまうかもしれないからだが、主たる理由は Apple が強い言葉でそういうことはしないようにと警告しているからだ:
Apple silicon 搭載の Mac、または T2 チップ搭載の Intel ベース Mac を使っている場合には、FileVault を簡単にオン/オフできる。その場合にはドライブ上のデータが既に暗号化されているのだが、データの復号化にパスワードは必要でない。この暗号化のお陰で、フラッシュメモリをロジックボードから取り出して復号化することが不可能になる。しかしながら、その Mac にアクセスできる者ならば誰でも、理論的にはデータにアクセス可能だ。FileVault を有効にすることで、ドライブの復号化のためにアカウントのパスワードが必要となる。
Parallels が Parallels Desktop for Mac 仮想化ソフトウェアのバージョン 18.0 をリリースして、macOS 13 Ventura に対応するとともに ARM 上の Windows 11 との互換性を向上させた。また、Apple の ProMotion ディスプレイにリフレッシュレートの自動変更も含めてフル対応し、Apple M1 Ultra でのパフォーマンスを増し、Windows でのゲームプレイ体験を拡張することで Xbox や DualShock Bluetooth ゲームコントローラを Mac に接続して使えるようにした。
Parallels Desktop 18 ではまたライブデータストリーミングデバイス (例えばウェブカメラや、ゲームキャプチャデバイスなど) のために USB 3.0 対応を向上させ、macOS と Windows の間の共有オプションを単純化し、ディスクスペースの制御を改善している。
Standard 版に加えて、Parallels Desktop は Pro Edition と Business Edition としても利用でき、その2つの Edition はいずれも Apple silicon Mac 用の Network Conditioner を含んでいて仮想マシン上のさまざまのネットワーク条件 (バンド幅、パケット損失、遅延など) の設定が可能となる。また、Business Edition では企業アカウントに従業員がサインインして Parallels Desktop を使うことができる。