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#1628: iPhone 14 の第一印象、Dark Sky の終末期、Rogue Amoeba から生まれた物語

Josh Centers はレビュー用の iPhone 14 を公式出荷日の数日前に思いがけなく手に入れることができたので、iPhone 11 Pro を使っている者の観点からこの iPhone 14 の第一印象を語る。今年の末をもって Dark Sky は終了するという Apple の発表を聞いて、Adam Engst は Apple の Weather アプリに新たに組み込まれた2つの Dark Sky 機能を検討する。それから、今週はいつもと違った趣向として、Adam が TidBITS スポンサー Rogue Amoeba のいろいろなオーディオアプリの珍しい使用事例を紹介する。今週注目すべき Mac アプリのリリースは Live Home 3D 4.5、Camo Studio 1.8、Fantastical 3.7 と Cardhop 2.2、それに Agenda 15 だ。

Adam Engst  訳: Mark Nagata   

Dark Sky は薄れゆき、iOS 16 の Weather が明るさを増す

数年前に、Apple はより良い天気予報を求めて資金を出した。これについては記事“Apple、Dark Sky 気象サービスとアプリを買収”(2020 年 3 月 31 日) に書いた通りだ。その後ほどなく 2020 年 8 月 1 日に Apple は Dark Sky の Android 版と Wear OS 版のアプリを削除した。Apple がバンドルしている Weather (天気) アプリに Dark Sky の基本的機能を取り込むまでには予想よりも少々時間がかかったけれども、少なくともその一部分は昨年実現された。(2021 年 11 月 17 日の記事“iOS 15 の Weather アプリが降水通知を追加 (でも本当に信頼できるか?)”参照。)

そして今回、Apple は iOS 用の Dark Sky アプリが 2023 年 1 月 1 日をもって入手できなくなり、天候データもその日から供給されなくなると発表した。Dark Sky API およびウェブサイトはさらにあと数か月、2023 年 3 月 31 日まで残るが、これはおそらく Dark Sky のすべての契約先に対してサンセット条項を満たすためのものなのだろう。Apple の新しい WeatherKit API を使えば、開発者たちは自分のアプリの中に Apple Weather 天気予報データを組み込むことができる。

Dark Sky ending

このニュースで衝撃を受ける人は誰もいないはずだ。Apple は Dark Sky に残された時間があまり長くないことを明確に述べてきた。ただ、Dark Sky のファンたちは今年の末までに何らかの代替方法を見つけなければならない。当然の選択肢は Apple の Weather (天気) アプリであって、このアプリは iOS 16 においていくつかの重要な新機能を獲得している。

私のようにランニングやサイクリングに出かける際に雨に遭うか否かを判断する目的で超ローカルな天候パターンを知りたい人のために、Weather アプリは既存の 12 時間アニメーション天候マップ (下左図) に機能を加えた。新設された 1 時間アニメーション天候マップ (下右図) がはるかに詳細な情報を表示して、外出の予定を組む際に役に立つことだろう。一番下に見える予報の名前 (一時停止ボタンのすぐ右側) をタップすることで双方の表示が切り替わる。

Weather's Next-Hour Radar

もう一つの変更点の方がもっと重要だ。1 時間ごとの天気予報または 10 日間天気予報の中の一日をタップすれば、Weather アプリが 8 つの指標のいずれかをその日の時刻ベースのグラフを使って表示する。選べる指標は気温、紫外線指数、風速、降水量、体感温度、湿度、視界、気圧の 8 つだ。画面の右側にあるメニューをタップして指標を切り替えることができる。また、一番上に見える日付をタップするか、または左右にスワイプすることで 10 日間天気予報の中の別の日にナビゲートできる。

Weather's Daily Graphs

この日毎グラフ画面に私が感じる不満は、常に気温がデフォルトになっていて、前回見た指標を記憶してくれないことだ。たいていの場合私は気温よりも降水量の方に興味があるので、毎回手作業で降水量の表示に切り替えなければならない。回避策として、メイン画面で下へスクロールして特定の指標を表示させておいてから、それをタップすればその指標でのグラフへ直接ジャンプする。こちらの方が良い方法だが、やはり煩わしい。

これらの機能は歓迎すべきものだが、私自身は使おうと思わない。Apple の Weather アプリは Dark Sky の機能を統合したかもしれないが、私はそのインターフェイスを好きになれない。とりわけ、個々の指標のカードが良くない。素早く読み取るのが難しいからだ。Dark Sky に残された時間があまり長くないことが明らかになって以来、私は CARROT Weather とそのインターフェイス構築のやり方を気に入って使っている。可能な限りあらゆる表示オプションを調整できるからだ。(2018 年 1 月 22 日の記事“CARROT Weather の天気予報は曇り時々不機嫌”参照。) CARROT では数多くある他の天気予報サービスを選ぶこともでき、例えば来年が来るまでは Dark Sky を使うことも、今すぐ Apple Weather を使うこともできるので、データ品質についてマイナス面は何もない。(より良い天気予報を見つけたいと思って時々はサービスをいろいろ切り替えていることを告白しておこう。) でももちろん、Weather アプリが無料であるのに対して、CARROT の上級機能 (Home 画面と Lock 画面のウィジェットもある) を使うには Premium 購読が必要だ。Tonya も私も CARROT が日常的に最もよく使うアプリの一つになっているので、私にとっては購読料金を払う価値が十分にある。

Weather vs CARROT Weather
左: Apple の Weather アプリ、右: CARROT Weather

あなたは Weather (天気) をメインの天気予報アプリとして使っていますか? もしそうでないなら、どのアプリがあなたのお気に入りですか?

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Adam Engst  訳: 亀岡孝仁  

TidBITS スポンサー Rogue Amoeba からのオーディオ技術

我々は、次の数刊に亘る TidBITS スポンサーとして Rogue Amoeba が戻って来たことを歓迎したい。今月、Rogue Amoeba はその 20 周年を祝っているが、それは単細胞の生物である場合には、とてつもない世代数を意味する。この間、同社はその仮足を Mac オーディオの世界に深く延ばして一式のアプリの体系を作り上げた:オーディを録音する (Audio HijackPiezo)、機器とアプリからオーディオを制御し強化する (SoundSource)、家庭や職場でオーディオをストリームする (Airfoil)、オーディオを編集する (Fission)、アプリと機器間でオーディオをルートする (Loopback)、そして予め録音されたオーディオをパフォーマンスに付け加えるもの (Farrago) まである。

Rogue (Amoeba's) Gallery of Apps

値頃感のある値付けと物事を単純明快にしておきたいという願望から、Rogue Amoeba は殆どセールをしたことがない。しかしながら、同社はその 20 周年に対しては例外を作り 20% 引きのセールをしている - あなたの Mac オーディオツールボックスにアプリを追加するには今が良い機会である。この特典を手にするために、クーポンコードや特別な URL は必要としない。ただ Rogue Amoeba のウェブサイトを訪れれば、如何なる購入に対しても 20% 引きが適用される。但し、このセールは9月で終わるので、この機会を逃さないように。

Rogue Amoeba のアプリで何が出来るかって? それぞれのアプリの核となる明々白々な使い方はさておいて、我々は、ユーザーが Airfoil, Loopback, そして Farrago を生かしてきた多少風変わりで楽しい使い方を幾つか共有したいと思う。

2台の Apple Studio Display でオーディオを再生する

まず、これはお金持ちの問題であることは我々も認識している。皆さんは、とても幸運な一人の Rogue Amoeba ユーザーの様に、一台ではなく二台の Studio Display を持っていると思って欲しい。そして、そのディスプレイを通してオーディオを同時に再生したいと思う。それだけでも結構大変なのだが、もっと先に行きたい - ステレオの左チャネルは左側にある Studio Display から、そしてステレオの右チャネルは右側の Studio Display から出てきて欲しい。解は? Loopback である。それは仮想機器を作らせてくれ、入信オーディオを左と右のチャネルに分け、そしてそれぞれを異なった Studio Display へと差し向け、それぞれのチャネルをディスプレイに付いている両方のスピーカーを通して再生する。もし私がこれをやるのであれば、距離の差を考えて恐らく二つの "内側" のスピーカー (左側ディスプレイの右側のスピーカーと右側ディスプレイの左側スピーカー) の音量を下げておきたいと思うであろう。しかし、悲しくも、私は Studio Display を二台も持っていない。

Loopback example with two Studio Displays

レコード盤を Ecobee 温調器を通して再生する

Twitter 上で、ユーザー "Boston" はターンテーブルオーディオを温調器を通して再生している短いビデオを共有している。このビデオは、彼がどの様にターンテーブルを Zoom Handy Recorder につなぎ、そしてそれはオーディオを iMac Pro に流す様子を示している。それは独創的だが、基本的には配線の問題である。意外だったのは、Ecobee SmartThermostatAirPlay スピーカーとして機能出来ることである。と言うことで、Boston の次の手は Airfoil を使ってターンテーブルからの入信オーディオを温調器へとルートすることであった。次は何か? 8-トラック テープを AirTag を通して再生すること?

@reckless 私は今の所レコード盤を Ecobee 温調器を通して再生していて、私の存在自体はただの仮想の Vergecast の打鍵棒にすぎないのではと思い始めている。 pic.twitter.com/AsqojxcDk0

— Boston (@BostronLBI) June 28, 2022

ロボット赤ちゃんを泣かせる

それは只のロボットである! HBO TV 番組 The Rehearsal で、Nathan Fielder は、人々が難しい会話や人生の出来事を稽古するのをセットと役者で模倣する事で助ける。Episode 2, "Scion" の中で、Fielder は、一人の女性が赤ん坊を養子にし育てるのを模倣するために子供の役者を雇うことで母性を考えるのを手助けする。しかしながら、Oregon 州の子供保護法により、この制作陣は本物の赤ちゃんを夜にはロボットの赤ちゃんで置き換えなければならない。(そして、良いことでもある!) 驚くことではないが、このロボットの赤ちゃんはよく泣く、しかも本物のように。その陰では、このプロデューサーが本物の赤ちゃんが泣くライブフィードを見て、サウンドボードアプリ Farrago のボタンをタップして同じ様な泣き声の色々な録音 (恐らく Audio Hijack を使って録られた?) をこのロボット赤ちゃんを通して再生していたのである。

Farrago in The Rehearsal

鯨の歌を船中のサウンドシステムに流す

あなたは鯨の調査をしている (ちょっとの間付き合って下さい)、そして彼等の歌をモニターする必要がある (時として地球を救うのに役立つ)。そのためにはハイドロフォン (水中聴音機) を使う - 水中の音を拾うよう設計された特別なマイクである。水中で音は空気中より 4.3 倍遅く伝わる。お安いご用だが、ハイドロフォンから取ったオーディオ信号はどうする? もしあなたが Rogue Amoeba ユーザーでもある海洋生物学者の様に考えるなら、オーディオを Focusrite Scarlett 2i2 オーディオインターフェースに、それから iMac へと送る。そこでは、勿論、Airfoil にフィードしそして職場中の、いや... 船中のありとあらゆる機器へと送信する。また、Audio Hijack を使った録音もなされているかもしれない。もしかすると、我々は、Hollywood の表現を打ち消すため、実際の鯨の歌を宇宙へも向けて放送するべきかも知れない。

オーディオ専門家の複雑な解

Rogue Amoeba が共有している他の幾つかの話は、オーディオを普通で無い方法でルートする必要があるオーディオ開発者や専門家であれば、魅力的に聞こえるであろう。例えば、もし 6 チャネル出力機器に対して何かを試験する必要があれば、Loopback が助けになる。他のオーディオ専門家は、デジタルオーディオワークステーションソフトウェアの Ableton に手こずっていた。その理由は、1つか2つの CPU コアに余りに重く依存しすぎてつっかえてしまうことにあった、使える CPU は 20 もあってもである。その回避策は、マスターチェーンをもう一つのデジタルオーディオワークステーションアプリである Ableton に移し、それからその二つを Loopback を使ってつなぎ Ableton で作業をする一方で、Reaper にあるマスターチェーンを通してそれを聞くことが出来る。それ等全てが何を意味しているのか私には全く分からないが、一方で、うなずきながら、"なる程、それは面白い解だ" と思うオーディオ人がいるであろうことも確信する。

我々は、皆さんがこの記事を読んで、そして "わお、鯨の歌を Audio Hijack を使って録しなきゃ、Farrago を使ってサウンドボードを設定しなきゃ、そして Airfoil を使って温調器を通して曲を再生するためボタンをタップしなきゃ" 等と思うとは期待していない。しかし、VoIP 通話、ライブのパフォーマンス、或いは Web ストリームを録音し、そしてそのオーディオを色々な方法で使いたいというのであれば、Rogue Amoeba のアプリを検討されたい

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Josh Centers  訳: Mark Nagata   

iPhone 14 の第一印象: なかなか良いが、やっぱり単なる iPhone

私は iPhone 11 Pro をまだ使っていて、これで 3 年になるが、たぶんあともう 1 年は使うだろうと思う。以前の私は TidBITS と Take Control ブックの仕事のために最新の進展について行きたいという気持ちもあって毎年 iPhone をアップグレードしていたのだが、ひっきりなしの出費にうんざりする気持ちになってきた。デバイスをテスト用に手元に置くことも、あるいは Apple に返品することもできたのだが、それにしても無駄なことに思える。

驚いたことに Apple が私にテスト用の iPhone 14 を送ってくれた。まだ数日間しか使っていないけれども、確実に言えるのは、そう、これは iPhone だ。新型の iPhone 14 Pro が Always-On ディスプレイと Dynamic Island センサーパッケージを備えていることを除いて、Face ID を導入した iPhone X 以来の iPhone はあまり大きくは変わっていない。毎年のアップグレードでより高速のプロセッサ、より良い接続性、よりシャープなカメラを実現しているけれども、古い iPhone も十分良いものだったので、私も含めて多くの人たちはアップグレードすべき切実な理由を見出せずにいる。

古い iPhone でも必要を十分に満たしているという人たちに向けてアップグレードを明確にお勧めすることはできないけれども、新しい iPhone が欲しくて探しているという人たちのためにも、この記事では何年かアップグレードせずにいた者の観点から、特に気付いた iPhone 14 での改善点を紹介してみたい。ただし、スクリーンの活発さ、速度、バッテリー寿命などには触れないことにする。そういった点で新型 iPhone が素晴らしい進歩を遂げているのはいつものことだからだ。紹介するのは数日間テストしてみて実際に私の目に飛び込んできた点についてだけだ。

あともう一つ、私には確かめようがない iPhone 14 の重要な改善点がある。それは、Apple が内部を設計し直して、修理が容易になるようにしたことだ。購入決断にあまり大きく影響しないことかもしれないが、それでも歓迎すべき変更点であることは間違いない。

改良されたフロントカメラ

Apple は常に iPhone のカメラの改良に力を注いでいる。別に本格的に写真に取り組んでいる訳ではない私だが、妻と私はこの iPhone 14 で面白がって何枚か自撮り写真を撮影してみた。最初、私は大して感銘を受けなかった。写真は素敵だったが、ご覧の通り右上のところがやっぱり少し白飛びしている。

Selfie with an iPhone 14

でも、私の古い iPhone 11 Pro で同じように撮影してみたところ、歴然とした違いがあった。

iPhone 11 Pro selfie

iPhone 14 は完璧ではないかもしれないが、背景に見える青空や雲の一部は失わなかった。これはおそらく、Apple の Deep Fusion テクノロジーが露出の異なる複数個の画像を組み合わせたことによるのだろう。でも、iPhone 11 Pro の方は夕方の太陽の光が空を完全に白飛びさせている。白くなりかけている私の髪も iPhone 14 の方がはっきり見えているし、妻やケチャップまみれの娘の顔も光の反射が目立たない。革新的な改善とは呼べないが、違いははっきり分かる。

Photographic Styles 機能も試してみた。これは Apple が iPhone 13 で導入した機能で、写真の色温度を素早く簡単に調整できるようにする。結果は感動するほどではなかった。違いは微妙なもので、わざわざ時間をかけて色温度をチェックしたい気にもならなかった。

iPhone 14 Photographic Styles

The Office で Pam が言うように「どれも同じ写真」だ。

Night モードがよりシャープに

Apple は低光量下の写真と Night モードで大幅な改善がなされると約束した。新しい Photonic Engine のパイプラインを通すお陰だという。それが何なのかは知らないが。そして、この会社はそれをやり遂げた。もともと Night モードは露出を長くして光をより多く取り込もうとするが、それは同時に動きの影響が写真に出てしまうということも意味する。だから、例えばウサギのように速く動く被写体で Night モードを使うとぼやけてしまうことが多い。

iPhone 11 Pro Night Mode

iPhone 14 の Night モード写真はシャープさで明確な改善を示す。低光量での写真に不満を感じていた人は iPhone 14 を検討してみる価値があるかもしれない。

iPhone 14 Night Mode

衛星経由の緊急 SOS と衝突事故検出機能はテストできない

この二つの安全のための機能は iPhone 14 における最も興味深い新機能二つだと言えるが、私はどちらもテストすることができない。衛星経由の緊急 SOS 機能は 11 月まで使えるようにならないし、衝突事故検出機能のテストが難しいことは明白だろう。(もっと長期間 iPhone 14 を持っていたなら、近所で開催されるスタントカーレースのドライバーを説得して試してもらうこともできたかもしれない。でも悲しいことに、つい最近ちょっと離れた場所だが Tennessee Valley Fair が終わったばかりだ。) 衝突事故検出の際のセンサーとしてマイクロフォンも使われるとのことなので、試しに自動車の衝突シーンを映したビデオクリップを大音量で再生してみたが、誤検出させることはできなかった。偶然に検出を引き起こすのは実質的に不可能だろう。

衝突事故検出をテストすることはできないけれども、この機能はきっと古くて安価なモデルを iPhone 14 に買い替えたいと思う主たる理由となり得るだろうと思う。ほとんどあらゆる人が自動車事故に巻き込まれる可能性を持っているし、大体においてそれは自分の手で防ぐことはできないので、万一衝突事故に巻き込まれた場合に即座に緊急サービスに連絡できる可能性が増すのならば (他の機能でほぼ同等と言える iPhone 13 に比べて) $100 余分に払う価値はあるのではないか? あるいは新型 Apple Watch も購入しようというのならば、全モデルの新型 Apple Watch が衝突事故検出機能を備えているので、衝突事故への保険はそちらに任せて iPhone の方は古いものにして少々節約するというやり方もあるかもしれない。

Action モードは何をするのか

iPhone 14 は Camera アプリに新しい Action モードボタンがあって、ビデオ撮影の安定化を向上させることで、撮影中に iPhone が動くのが避けられない状況下でもより安定した手ぶれの少ない映像が得られる。少なくとも、理論的にはそうなっている。

私は子供たちを追いかけながらいくつかサンプルビデオを撮影してみた。でも、どれがどれかを明示しておかないと Action モードなのかそうでないのか確実に見分けられるとは思えなかった。どこかでやり方を間違えたのかもしれないという気がしたので、YouTube で実例を探してみた。例えば iJustine の映像をご覧頂きたい。違いが見分けられますか? 彼女が説明しているところを見ても、私には見分けがつかない。

映画 Zoolander をご存知だろうか? お約束のギャグの一つに、名ばかりの男性モデルである登場人物が 3 つの異なる「ルックス」を持っているがそれらは全部同じだというのがある。映画の終わりのところで、Will Ferrell 演ずる人物が行動を起こしてこう叫ぶ。「Blue Steel、Ferrari、Le Tigre だって? 全部同じ顔だ! 誰も気付かないのか? 俺は、クレイジーな薬を飲まされてるみたいだ!」そう、iPhone 14 は時々私をクレイジーな薬を飲まされてるみたいな気分にさせる。

そこで私は極端な状況下で Action モードを試してみることにした。私は歩きながら、意図的にカメラを揺さぶりつつ撮影してみた。驚いたことに、そのビデオを再生してみると、まるでバターのように滑らかで、ほんの少し揺れるところが残っているだけだった。なるほど! それから 9 歳の息子が iPhone を掴んで走り始めた。私は息子に Action モードをオフにしてもう一回同じところを走るようにと言った。違いをこのビデオでご覧頂きたい

解像度が下がったにもかかわらず、結果はなかなかクールな映像となった。私に言わせれば、Action モードは特定のタイプのコンテンツ・クリエイターにとってはとびきり素敵な機能となることだろう。ただ、プロフェッショナルとして、あるいはセミプロとして YouTube ビデオを制作している人たちならば、おそらく既にジンバルとかアクションカメラとかを持っていて、この Action モードが要求する解像度の低下は我慢できないだろう。(2021 年 2 月 12 日の記事“初見:Insta360 ONE X2 ステディカム”参照、それ以後に Insta360 から新モデルがいくつか出ていることにも注意。)

iPhone 14 のフォームファクター

フォームファクターや手で持った感触を気にする人は多い。きっとそういう人たちはケースを使っていないのだろう。自分が使った最後の 3 台の iPhone の縁が丸まっていたか角張っていたかを私は知らない。なぜなら、私は常に iPhone をケースで保護しているからだ。(だって子供たちがいるから。) ケースを使わない人たちのために言うと、iPhone 14 の縁は角張っていて、多少は滑りにくいだろう。

いずれにしても、下の写真で違いがお分かりだろう。iPhone 14 の方が厚みがあって角張っており、iPhone 11 Pro の方が少し薄くて縁が丸まっている。あなたはどちらを好むだろうか? (iPhone 14 の方が高さと幅も大きいが、それは単に iPhone 14 の 6.1 インチスクリーンと iPhone 11 Pro の 5.8 インチスクリーンの違いから来ている。) ご覧の通り、iPhone 14 には SIM カード用の痕跡が残っているが、米国向けモデルにはトレイがない。それ以外の点で両者は前面も背面もかなりよく似ている。

iPhone 14 on top of the 11 Pro

eSIM で疲労困憊

iPhone 14 が eSIM に切り替わったことを、私はもろ手を挙げて歓迎してはいない。なくす可能性のあるカードを持たなくてよいことと、iPhone の筐体に水が侵入する場所が一つ減ることは素敵だと思うけれども、私の生活が楽になるのではない。当初私はこの iPhone 14 を電話機としても試そうと思っていたが、もし私の現行の SIM カードが使えさえすればそれは簡単なことだったはずだ。けれども SIM カードは使えず、テスト用にこの iPhone に切り替えるのが可能なのかどうか、私にはよく分からなかった。

Apple によれば私のキャリアである Consumer Cellular は eSIM に対応しているとのことだが、それ以上の詳細は何も書かれていない。Consumer Cellular のサイトを見ても、違う電話機にサービスを切り替えるやり方は何も説明されていない。やむなく私は顧客サービスに電話をかけた。SIM を iPhone 14 に移す設定方法はようやく見つけたのだったが、それで分かったのは Consumer Cellular がその機能に対応していないということだった。

eSIM not supported by carrier

たとえ eSIM への移行が可能だったとしても、その場合にはまず iPhone 14 をアクティベートしてから、その後で iPhone 11 Pro に切り替えて戻る方法を見つけ出さなければならない。iPhone 14 を使える期間は限られていたので、苦労して試みる価値はなかった。結局不可能だと分かったかもしれない。私の感じでは与えられたレビュー用の iPhone 14 は Verizon に固定されていたようで、それならば Consumer Cellular でのテストは無理だったのだろう。

最終的な考え

さて、この iPhone 14 は私の iPhone 11 Pro よりも優れているのか? iPhone 11 Pro には 2x 望遠カメラが搭載されていることだけを除いて、答は間違いなくイエスだ。望遠カメラがあるからこそ Pro モデルと言えるのだ。もしも今年アップグレードするとしたら、私なら iPhone 14 を脇に置いて、迷わず iPhone 14 Pro を選ぶことだろう。こちらにはメインカメラに 2x 光学ズームが付き、3x 望遠カメラもあるのだから。それに加えて、iPhone 14 Pro の Dynamic Island と Always-On ディスプレイが iPhone のデザインを一段上のレベルへと (ほんの少しだが) 引き上げている。しかしながら、iFixit の報告記事によれば iPhone 14 Pro は iPhone 14 ほどには修理が楽になっていないという

ズームがないことを別にすれば、iPhone 14 のカメラは iPhone 11 Pro のものより少しだけ優れている。でも、ハリウッド映画の製作者たちは iPhone 5S 以来 iPhone を撮影に使っている。いったいそれよりもどれだけ優れたカメラを必要とするというのか? Night モードも進化しているけれども、私の場合は役に立つより苛立たしく思うことがほとんどだ。なぜなら、予期していないタイミングで動作し始めて私が完璧に静止するよう強制してくるからだ。

では、iPhone 14 はどんな人に向いているだろうか? もしもあなたが持っている iPhone に問題が起こり始めていて、保証期間も過ぎており、かつ iPhone 14 Pro にお金を払う余裕がないのであれば、iPhone 14 が良いかもしれない。しかしながら、予算が非常に限られているのならば iPhone 12 か iPhone 13 を買えば数百ドルの節約になるし、さらに言えば iPhone SE でさえ十分に価値があるだろう。これほど多くの世代の iPhone モデルが同時に店頭に並んでいるという事実は、Apple さえもこれらのモデルの間の改善の度合いがあまり大きくないと認識していることを示唆している。

でも、それは悪いことだろうか? 長年にわたって、私は Apple が片方では環境保護の姿勢を宣伝しつつ他方では定期的に新しいハードウェアを大量生産して前年モデルを時代遅れに見せているやり方を批判してきた。Mac とよく似て、今では iPhone も 4 年から 5 年持ち続けることを期待するのが妥当と言えるようになった。バッテリー交換が比較的安価にできるようになったこともある。そうなれば廃棄される量も減り、あなたのポケットにもっとお金が残るだろう。その上、今回の iPhone が近年で最も修理しやすくなって、さらに長持ちすることだろう。

Tim Cook は賢明にも何年も前に iPhone のこの前兆を見抜いていた。ここ数年間私たちが四半期ごとに指摘してきた通り、Apple はますますサービス会社としての性格を強めつつあって、新たなハードウェアの売上に依存せずに既存の顧客基盤から収益を得る新たな方法を見つけている。かつて Apple の重役であった Jean-Louis Gassee も、最近このことで意見を述べている

本質的に、Apple はもはやあなたが毎年、いや二年ごとにさえ、新たな iPhone を買うか否かを気にしてはいない。あなたはいずれ買うことになるだろうし、それとは別に、Apple はあなたにできる限り多くの購読サービスを販売したいと願っているのだ。

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

Live Home 3D 4.5

Live Home 3D 4.5

BeLight Software が住居デザインソフトウェア Live Home 3D のバージョン 4.5 をリリースして、Apple の RoomPlan テクノロジーへのサポートを追加した。新しい Room Scanner を使えば、LiDAR を装備した iPhone または iPad を壁の方に向けてデバイスをあちこち動かすだけで、ドアや窓も含めたその部屋の正確な 3D モデルを作成できる。新しい Paste in Place コマンドを使えば元の位置を維持しつつ項目をペーストでき、また画像の 2D Elevation View への読み込み (Pro 版のみ) ができるようになった。今回のアップデートではまた、Standard 版と Pro 版の双方に 300 点以上の家電製品 3D モデルを追加するとともに、Radeon ProRender を使うことでレンダリングのパフォーマンスを向上させ、Radeon ProRender の Environment Light Intensity オプションを使うことで環境光の量を調整しやすくした。(BeLight からも Mac App Store からも新規購入 $29.99、無料アップデート、465.9 MB、リリースノート、macOS 10.14+)

Live Home 3D Room Scanner

Live Home 3D 4.5 の使用体験を話し合おう

Camo Studio 1.8

Camo Studio 1.8

Reincubate が仮想カメラシステム Camo Studio のバージョン 1.8 をリリースして、フレームレートコントロールの調整範囲を最大 60 fps にまで対応させた。この macOS 用アプリはまた、Smart Zoom 機能を追加してどの解像度を使っていても iPhone の 4K センサーを利用できるようにし、デバイスを物理的に回転することなく横長と縦長のビデオを切り替えられる仮想回転機能を追加し、ぼんやりした色を強調または抑制する活力コントロール機能を追加した。さらに、今回のアップデートでは新しい画像安定化機能を備え、より細かな輝度コントロールを提供し、現状のオーバーレイを削除する操作を単純化し、Camo のせいで Mac がスリープできなかった問題を解消し、電話が接続されていないと Camo Studio のオーディオ出力に問題が起こったバグを修正した。(購読年額 $39.99、無料アップデート、30.4 MB、リリースノート、macOS 10.13+)

Camo Studio 1.8 の使用体験を話し合おう

Fantastical 3.7 and Cardhop 2.2

Fantastical 3.7 and Cardhop 2.2

Flexibits が Fantastical 3.7Cardhop 2.2 をリリースして、このカレンダーアプリと連絡先管理アプリに改善とバグ修正を施した。Fantastical はアプリの中で直接に Fantastical Openings のミーティングテンプレートを作成・編集できる機能を追加し、隠れたイベントをユーザーごとに保存するようにし (それにより共有カレンダーが個別に隠れた項目を持てる)、繰り返しイベントの詳細情報が iCloud アカウントを使っている一部のユーザーで問題を起こしていたのを解消し、タイムゾーンを変更すると一時的な見栄えの問題が起こったバグを修正した。Cardhop はグループを名前付き List にし、またカスタムスマートグループが結果を表示しないことがあった問題を解消した。(Flexibits からも Mac App Store からも購読年額 $39.96、無料アップデート、58.4/29.4 MB、Fantastical リリースノート/Cardhop リリースノート、macOS 11+)

Fantastical 3.7 と Cardhop 2.2 の使用体験を話し合おう

Agenda 15

Agenda 15

Momenta が日付に集中したノート取りアプリ Agenda のバージョン 15 をリリースして、macOS 13 Ventura の Focus Filters への対応を追加して集中モードの下でプロジェクトやカテゴリーを隠せるようにし、また Shortcuts への初期対応も追加した。今回のリリースではまた、テキストの色付け、ハイライト、ブロック引用への対応を追加し、ウィジェットの Favorites カテゴリーを新設し、テンプレートに背景色を導入し、ペーストされた RTF テキストの中の書体をより良く抽出・適用できるようにし、他のアプリからペーストする際にリストのタイプをより良く識別できるようにし、添付物やタグでの Evernote ファイル読み込みを改良し、空白行でスタイルが失われた問題に対処し、インスペクタからリマインダーをノートへ追加できなかった問題を解消した。(無料、プレミアム機能のアプリ内購入 $24.99、無料アップデート、71.5 MB、リリースノート、macOS 10.14+)

Agenda 15 の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

訳: Mark Nagata   

iOS 16 のバグが iPhone 14 のアクティベーションを躓かせる

MacRumors が Apple に問い合わせて確認したところによれば、iOS 16.0 のバグによってオープンな Wi-Fi ネットワーク上でデバイスをアクティベートする際に問題が起こり、新しい iPhone 14、iPhone 14 Pro、iPhone 14 Pro Max を手にした人たちを悩ませているという。Apple が勧める回避策は、iPhone のセットアップの最中に Wi-Fi ネットワークに接続するよう促されたところで "Connect to Mac or to a PC with iTunes" を選んでから、一つ前の画面に戻ったところでもう一度 Wi-Fi を試すことだという。iOS 16.0.1 は新型 iPhone 14 モデル専用に出されていてこのアクティベーションのバグを修正しているけれども、iOS 16.0.1 はまだアクティベートされていない iPhone にしか Mac または PC を使ってインストールできない。新型 iPhone 14 のオーナーはいずれにしても iOS 16.0.1 をインストールすべきだ。これは、iMessage および FaceTime でアクティベーションが完了しないことがあるという別のバグも修正しているからだ。

Glenn Fleishman と Adam Engst は、別の iPhone または iPad から転送する Quick Start の方法を使ってそれぞれの新型 iPhone をセットアップしていて、やはり問題を経験した。けれどもそれがアクティベーションと関係のある問題だったか否かははっきりしないし、二人ともセットアップの手順を最初からもう一度全く同じやり方で試してみると今度は何のエラーもなくセットアップが完了した。なので皆さんも、上記の回避策は知識として知っていて頂きたいけれども、私たちとしてはそういう回避策が必要ないことを願っている。

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