1647: Focus 機能による通知の問題、サイト特定ブラウザの実例、M シリーズ Mac 上での Windows 仮想化

バレンタインの日に、Tonya が私にテキストしてきて (まあそう興奮しないで、彼女は我々の確定申告のために埋もれていた経理上の細部を私が見つけ出したことに感謝していただけ)、そして私の通知は Messages の中で沈黙させられていると言ってきた。

それは正午であり、私が通知から隠れなければならない理由など、とりわけ彼女から、何もないし、それに彼女からのメッセージは直ちに iMac 上に現れた。何故 Messages は私が通知を沈黙させたと言い張っているのかについて知りたいと思い、更に私は如何なる Focus も意図して有効にしていないことを確かめるために、私の機器全部を調べ始めた。

Focus は iMac でも iPhone でも生きてはいなかった。それらは私が最も多く利用しそして私の Focus を最も変更しそうな機器であった。次に私が疑ったのは iPad Pro だが、これはあまり使わないので電池切れになっている可能性があった。事実それは死んでいたので、夜間の Do Not Disturb の中で死んでしまい Focus が引っかかったままになっていたのではと思ったりした。しかしそうではなかった - iPad が電源につながれるや否や、Focus は生きていないことが分かったが、Tonya の iPhone は私が通知を沈黙させていると引き続き報じていた。

これで残るのは M1 MacBook Air となる。私は Mac 上では Focus は余り気にしていない。と言うのも、仕事中、或いは邪魔されたくない時でもそれを殆ど使わないからである。しかしながら、私は以前に Apple の最新オペレーティングシステムにおける Focus 変更の記事を書いている時に Share Across Devices を有効化していた ("iOS 16 における Focus (集中モード) の新機能" 7 October 2022 参照)。

この設定変更は、MacBook Air が Focus における私の Driving と Sleep 設定を受け継ぐ原因となった。これは紛らわしい。何故ならば、その引き金を引くのは iPhone であり、もし iPhone が私は運転中か眠っているかだと思うのであれば、私は間違いなくその MacBook Air は使っていないからである。理由は分からないが、MacBook Air は定常的にどの様に Driving Focus が有効化されたかについての通知を送りつけていた。私はその理由を理解出来なかった。と言うのも、Driving Focus の引き金が引かれるのは、iPhone が私の車の Bluetooth につながった時だけであり、居間で膝の上で MacBook Air を開いている時、私は運転など絶対にしていないからである。しかし、私はそれが何らかの違いをもたらしていることに気付かなかったので、更に深く調べてみようとは思わなかった。

今まで、私は Messages を日に数回程度しか使っていなかったが、私の通知が沈黙させられていることについて言及した人は誰もいなかった。事実、Tonya がそれに敏感になっていたのは、先週末同じ事態に彼女自身が直面していることに気付いたからである。先週末、私は彼女の通知が不適切に沈黙化されていることに気付いた。ただ我々には、それを追求する時間がなかった。

MacBook Air 上の Focus が犯人であると分かった時点で、その解は簡単であった。私はまず Share Across Devices オプションをオフにした。それから、確定力のあるものとして Driving Focus を削除、そしてまた Mac 上では同じ様に意味をなさない Sleep Focus も削除した。最後に、私は MacBook Air を通常の Do Not Disturb 時間には滅多に使わないので - それに、何らかの異常事態や緊急事態のせいで遅くまで仕事をしなければならなくなったとしても、私は通知を受けたい！ - そのスケジュールを削除する事で Do Not Disturb Focus を無力化した。出来るものならそれを削除したかったのだが、Focus はそれをやらせてくれなかった。念には念を入れ、私は同じことを iMac 上の Focus にもやった。

この状況は、Focus が Apple 機器使用をどの様により予測出来ないものとするかの格好の例である ("Apple の新しい Focus (集中モード) 機能 - これはやり過ぎかも" 20 January 2022 参照)。一般的に言って、私は選択肢を沢山もつ賢いシステムが好きであるが、但しそれ等の選択肢が複雑な、とりわけコミュニケーションを欠く、問題解決状況へとユーザーを追いやらない限りにおいてである。

従って、私の元の記事に載せた鍵となるお勧めをそのまま繰り返す：

標準的にスケジュールされた Do Not Disturb (おやすみモード) と Driving (運転中の通知を停止)、あとは watchOS の睡眠追跡機能を使っている場合は Sleep (睡眠)、使うのはここまでに留めておこう。以前からあるこれらの機能、つまり睡眠中とか運転中など特定の時間帯に通知をブロックするだけでも、たいていの人の必要を満たせるだろう。

更に、私ならそれに Share Across Devices をオフにする事を追加するであろう。但し、他の機器上での Focus 状態を iPhone から制御したいと確信しているのであれば話は別である。

討論に参加

これから数週分の号の TidBITS スポンサーとして BZG をお迎えした。サイト特定ブラウザのアプリ Coherence X のメーカーだ。サイト特定ブラウザ (SSB、site-specific browser) は、どんなウェブサイトでも実質的に独立のアプリへと変えることができ、あなたの Dock 上でも、動作中も、ネイティブな Mac アプリと同じに見えるようにする。(BZG は Unite も作っている。こちらもやはりサイト特定ブラウザだが、Coherence X が基盤として Chromium エンジンを使っているのに対して Unite は WebKit に依存して働く。また、BZG の他の製品としてはロスレスな画像圧縮ユーティリティ Aerate もある。)

数年前から私はずっと Coherence X を使ってきた。私は Google Docs を多用するのだが、そのために最良の機能の組み合わせを提供してくれるからだ。(2021 年 6 月 18 日の記事“Google Docs に最良の Mac 用サイト特定ブラウザ”参照。)

Google Docs 以外で私が Coherence X を使っているのは大体において、私の TidBITS Content Network 記事で使うための著作権使用料無料の画像を見つける目的で iStock Photo、Unsplash、Pexels その他のサイトをそれぞれタブに入れて一つにまとめた SSB だけだ。他にもいくつかのサイトをサイト特定ブラウザに変えようと試してみた (TidBITS と TidBITS Talk も試してみた) が、使い続けるには至らなかった。

よく考えてみると、私にとって SSB が最もうまく働くのはそのサイトが一つだけの統合された機能を持っている場合だ。それこそがアプリに相応しい。実際、今この文章をタイプしながら、その場で思い付いて Mastodon のウェブクライアント用にタブ付き SSB を作ってみた。(タブ付きの SSB にすることで、アプリの内部でリンクを辿ることができる。) 出来上がった見た目は Brave によく似ているが、それこそが大事な点だ。

けれども、もっと一般的な活動をする場合には (私はさまざまの TidBITS サイトで多くの異なることをしている)、従来のデフォルトのブラウザの考え方から離れることができない。たとえ離れたいと思っても無理だ。毎日、私は TidBITS 記事や、TidBITS Talk 投稿や、WordPress 管理ページやその他のために途方もなく多数のタブを開いていて、お陰で私のブラウザはとんでもなく取り散らかってしまう。

BZG の Binyamin Goldman と知り合いになった私は、BZG がユーザーの使用事例を調査していれば私の役に立つ (おそらく読者の皆さんの役にも立つ) と思う、他の人たちがどのようにサイト特定ブラウザを使っているかを知ることで何かアイデアが得られるかもしれないから、と彼に尋ねてみた。彼がそのお願いに応えてくれたので、私はそこから内容をまとめて、Coherence X なり他のサイト特定ブラウザなりを使ってウェブサイトをアプリに変えることで生産性を増すことができる、そのようなアイデアをここで共有してみたい。

ウェブアプリをカプセル化

当然のことだが、調査した事例の大多数は高度に集中したウェブサイトを SSB の中にカプセル化してネイティブなアプリのように挙動させるというものであった。David Landes は熱心な Coherence X ユーザーで日常的に SSB を使っており、次のような実例を提供してくれた。

• 無料の会計パッケージ Wave を彼は使っていて、アプリに変えることで他のタブに気を散らされず会計仕事に集中できるのがありがたいと思っている。
• Netflix を独立のアプリに切り離すのは「しっくりくる」感じだ、と David は言う。これとは別に彼は YouTube の SSB も作っているけれども、そちらはあまり使っていない。私が思うに、その理由は YouTube を意図的に (“さあ The Crown を観ようか”と) 使うよりも、その場の思い付きで (“ほら、猫のビデオだよ！”と) 使うことが多いからではなかろうか。
• パンデミックの初期の頃から、David の会社はイベント管理プラットフォーム Whova を使ってオンラインと対面双方の会議をしてきた。そのための管理インターフェイスはウェブベースのものであり、彼はそれを SSB にしておくことでブラウザの他のタブの間に埋もれてしまうよりもずっと円滑な体験ができているという。
• オンラインのトレーニングのために、彼はクラウドベースの TalentLMS のホワイトレーベル版を使っており、これをメインのブラウザと切り離しておく方がよいと思っている。個々のトレーニングごとに別々の SSB を作っておけば区別しやすくなるからだ。

David によれば、SSB を作ることの最大の利点はネイティブなアプリと同じ感覚でやり取りできることだという。とりわけ、Dock や Command-Tab を使ってアプリからアプリへと切り替える方が、ブラウザのタブの間を探し回るよりもずっと自然にできるという。また、彼は Timing という Mac アプリを使って時間の追跡をしているが、これは個々のアプリごとにそれぞれどれだけ時間を使ったかを自動的に記録する。実施している個々のトレーニングごとに別々のアプリを作ることで、特定のクライアントやプロジェクトごとに自分の活動を割り振る作業が楽になる。

複数個のアカウントを管理

事例調査の結果で私の目についたもう一つのよくある応用法は、同じサイトに対して Coherence X を使って複数個の SSB を作り、それぞれ別々のアカウントにログインした状態にしておくことだ。別のアカウントには別のウェブブラウザを割り当てておけば、驚くほど便利でパワフルな使い方ができる。(プライベートブラウズのウィンドウを使えば同じことができるけれども、その方法はずっと制限も多く、管理も面倒だ。)

例えば、陸上競技のコーチをしているある友人は、二つの MileSplit アカウントを扱うのが難しくて苦労していた。彼の学校のクロスカントリーチームのために一つと、クラブのランニングチームのために一つだ。学校関係の仕事のために Chromebook の使用を義務付けられていたことが問題を深刻にした。そのため、一度に一つずつのブラウザしか使えない気がしていた。(ChromeOS の中に Linux または Android のブラウザをインストールすることは可能だが、とうてい簡単とは言えないやり方だ。) 私が助言して、Mac の上で、一つのアカウントに Safari でログインし別のアカウントには Chrome でログインできることを教えてあげると彼はとても喜んだ。彼はすぐさまそれを MileSplit と Gmail の両方で実行した。彼の場合、Gmail のウェブインターフェイスに馴染んでいたからだ。

複数のログインのために Coherence X を使うのはそれよりもっとオタク風に思えるやり方だけれども、実はより首尾一貫している。なぜなら、個々の SSB に別々の名前を付けられるからだ。例えば Haniel Massoud は、インターネットベースの不動産パッケージで人々のトレーニングを管理するのが仕事だ。彼は一つの Coherence SSB を彼のアカウントにログインさせておき、別の SSB をクライアントのアカウントにログインさせて使っている。そうすることで、システムの使い方を不動産エージェントに教えている間、フルに設定を済ませてある自分自身のアカウントを参照しながら、そのエージェントのアカウントから指導ができる。

同様に、Institute of American Indian Arts の Russel Stolins はキャンパスが使う学習管理システム Canvas のために複数個の Coherence SSB を作っている。彼は仕事の大部分を Production SSB の中でしているけれども、彼もそのチームも Test SSB を使って新しい構成と手順をチェックしている。

オンラインゲーム

私はゲーマーではないので、この使用事例を思い付くことができなかった。オンラインゲームのために SSB を作って、仕事や他のことに紛れずゲームに集中できるようにしている人たちがいる。Daniel Murray は自分で プレイ してからリリースしようと思い、Ozwomp Online などブラウザベースのゲームをいろいろ開発して、一つ一つを独立の Coherence X SSB でプレイしている。

TidBITS 読者の皆さんのうちどれくらいの人たちがオンラインゲームをプレイしているのかは知らないが、もしあなたがよく使っているものがあって、ブラウザの中で他の多くのブックマークやタブの中の一つとして使うことに違和感を覚えているのならば、一度 SSB を試してみてはいかがだろうか。

討論に参加