通知に気付かなくて約束に遅れた経験のある人は、持続的なアラーム型通知をオペレーティングシステムに追加して欲しいと Apple に求める Adam Engst の提案に賛同して下さるかもしれない。今週は Jeff Carlson が寄稿記事で、料理本購読サービス ckbk を検討する。ckbk は最近、料理本索引付けサービス Eat Your Books との提携を発表したばかりだ。Adam はまた、Apple が iPhone 用に提供した COVID-19 濃厚接触通知機能の終了を伝える。結局この機能は十分な社会的支持を受けないまま終わった。最後に、Adam は Explain xkcd wiki を見つけたことと、Apple が iPad 版の Final Cut Pro と Logic Pro をリリースするニュースも伝える。今週注目すべき Mac アプリのリリースは Acorn 7.4.2 と Firefox 113.0.1 だ。
今朝、私は目覚めて iPhone 上の New York State の COVID-19 接触通知がオフにされたとの通知に気付いた ("ニューヨーク州の COVID Alert NY アプリを見てみる" 2 October 2020 参照)。私は濃厚接触の可能性についての通知を一回も受けたことが無いが、それはそれで良いことなのだろうと思うし、October 2022 頃にはこの Apple/Google 連合システムについて完全に忘れていて、自分の陽性試験の結果をそこに記録することすら忘れてしまった。Seattle にいる Apple コンサルタントの友人は今日彼はこれ迄この通知を数回受け取ったことがあると語ってくれたが、私が話したことがある人でそれを見たことがあると言うのは彼が初めてであった。
そうこうするうちに私は Eat Your Books サイトを発見した。このサイトは、印刷された料理本の検索可能なデータベースを提供する。記事“料理用 Web サイト Eat Your Books”(2022 年 3 月 17 日) で、私はこのサービスについて、これがどのように私のやましさを和らげてくれたかについて書いた。書棚から料理本を取り出して行き当たりばったりにページを繰る代わりに、レシピまたは食材で検索するだけでマッチしたもののリストを自分のコレクションに追加することができる。重要なのは、その結果が食材とページ番号のみを含んでいて、フルのレシピではない点だ。そのお陰で自分の持っている料理本を実際に開いて使うことができる。(Eat Your Books の側では著作権に関する問題を回避できる。)
こうして私はまず Eat Your Books で素早くレシピを検索してからそこに示された料理本を自分のささやかな書棚から取り出して開くという便利さに慣れた。ただ、膨大な数の料理本を持っている人には困難が伴うかもしれない。そもそも該当する本が見つからなければページ番号があっても役に立たない。(どのくらい膨大かって? Eat Your Books の広報担当重役である Jenny Hartin の場合は、料理本の山が崩れてドアが開かなくなったためドアを半分に切らなければならなくなった。) そういう状況の人にとっては直接レシピを検索できる方が好都合だろう。
もう一つの方法で ck する bk
そこで登場するのが ckbk だ。Eat Your Books の記事を出した後に、ckbk 創設者 (であり長年の TidBITS 読者でもある) Matthew Cockerill が連絡して、ckbk について TidBITS に知らせてくれた。それをきっかけとして私たちはアプリによる追跡を巡る深みにはまった。そのことは Adam Engst が記事“ckbk (料理本アプリ) の広告追跡を取り除く手助けをする”(2023 年 3 月 15 日) に詳しく書いている。
ckbk も料理本に焦点を当てているけれども、Eat Your Books と違ってこちらは料理本の内容をオンラインでも ckbk アプリの中でもフルに表示できるライセンスを得ている。なので、レシピを探して検索エンジンを使い、あちこちのブログや、データベースサイトや、スポンサー付きリストや、その他多種多様な現代のウェブ検索結果のゴタゴタの中を彷徨う代わりに、ckbk の検索結果はきちんと監修された料理本の中のレシピなので安心できる。現時点でこのサービスは 700 冊以上の料理本から 120,000 以上のレシピを取り揃えている。(注意深い料理人の方ならばこの冊数が Eat Your Books データベースの 160,000 冊に比べて桁違いに少ないことにお気付きかもしれないが、今はその点を少し脇に置いて頂きたい。この点についてはあとで述べる。)
ckbk の使用体験については好きになれるところがたくさんあるが、私の頭に最初に浮かぶ単語は“リフレッシュ”だ。レイアウトはクリーンで、モダンで、うまく整理されている。検索する手段はいくつかあって、食べ物のカテゴリーから、国や時代によるものまでいろいろだ。ウェブ版とアプリ版の間の相性も良い。コンピュータ上で検索してレシピを見つけ、それをお気に入りとマークするかまたはコレクションに追加するかしてから iPad Pro 上の ckbk アプリで開けば、キッチンで iPad Pro を立てておくだけでデジタルレシピを見ながら料理ができる。
レシピを探すために検索エンジンを使う場合には、必然的に食べ物ブログの中でいつ果てるともしれぬ長々とした序文テキストをかき分けて進まなければならない。でも欲しいのはレシピそのものなのだが、Jump to Recipe ボタンでもない限り、その料理あるいは食材がいかにしてこの著者の人生を変えたかとか、天候不良のためパラグアイの洞窟で一晩過ごす羽目になって手許にはほんの少しの食材と香り付きキャンドルと祖母から貰った銀のティーセットしかなかったとかいう長話を延々とスクロールして見なければならないことになる。
オンライン上のライブラリと比較するという観点から改めて比べ直してみて、私は自分が実際に持っている料理本のうちで ckbk のデータベースに載っているものがほんの少数であることに気付いてびっくりした。ひょっとすると私のコレクションの規模が小さいからなのかもしれないが、検索のほとんどがヒットしなかった。例えば Anthony Bourdain の Les Halles Cookbook はあるけれども、Thomas Keller の Ad Hoc at Home はデータベースにあるのにコンテンツはまだ利用できるようになっていない。Dorie Greenspan の人気ある料理本は一つもヒットしない。友人であり TidBITS に記事も書いている Agen Schmitz に頼んで彼の最近のお気に入りの本、例えば Sabrina Fauda-Role の One-Pot Vegan なども教えてもらったが、それもやはりヒットしなかった。
けれども、そもそも ckbk や Eat My Books の存在意義とは、料理本や料理の種類、また著者たちの認知度を広めるところにある。既存の 700 冊あまりのタイトルには、いろいろな時代とさまざまな食への興味を網羅した本が揃っている。私は ckbk の Professional Bookshelf にとても興味を惹かれた。料理の技と美に真剣に取り組んでいる人の心に訴えるものだろう。正直言って、料理本の市場は日常的な家庭料理に向いたタイトルに圧倒的に支配されているのが現状なので、これまで私はこのような分野のことを考えたこともなかった。
ckbk にある本のいくつかは "à la carte" タイトルとなっていて、これらの本をライブラリに追加するためには追加料金がかかる。例えば Les Halles Cookbook の料金は一回限りの $28 だ。いずれにしても料理本を買おうと思っていたのならば、この料金を払って ckbk ライブラリに入れる価値はあるだろう。電子ブックとして購入する値段とほぼ同じなのだから。
古い広告の文句を借りれば、2つの素晴らしい味を一緒に楽しめばなおさら素晴らしい味になる。一方では、ckbk がフルのレシピをオンラインで提供するが、そのライブラリは比較的規模が小さい。そして他方では、Eat Your Books が実際のレシピは提供しないけれどもレシピを指し示すタイトルとページ番号の膨大なデータベースを備えている。
そして今回、この両者を一緒に味わえるようになった。つい最近 Eat Your Books と ckbk が共同で、購読するユーザーたちのために提携すると発表したのだ。既存の Eat Your Books 会員は ckbk からタイトルをブックマークとして読み込むことができ、それらがライブラリに登場するようにできる。(あるいは Add All to Bookshelf ボタンを使って ckbk カタログ全体を丸ごと Eat Your Books に追加することもできる。) My Bookshelf メニューから Bookmarks を選び、Books タブに切り替える。ckbk フォルダをクリックして ckbk タイトルをアルファベット順で表示させてから、欲しいものをクリックする。それから "+ Bookshelf" ボタンをクリックすればコレクションに追加される。ckbk データベースにある本やレシピにはオレンジ色で ckbk ラベルが表示される。
いずれのサービスも購読が必要だ。Eat Your Books ユーザーが ckbk にサインアップする際には Premium Membership 料金が 25% 割引となる。ckbk ユーザーが Eat Your Books にサインアップする際には、チェックアウト時に "I have a voucher" をクリックしてコード CKBK23 を入力すれば無料試用期間が一か月延長される。
Apple は macOS 13 Ventura に至ってやっと Clock アプリを Mac にもたらしてくれた。ビジュアルには時間が来たアラームやタイマーをいつも通りにスクリーン右上隅の小さなアラートでしか示さないけれども、サウンドはあなたがアラートをクリックするまで鳴り続ける。
通知アラームが必要だ
解決策は概念的にはシンプルだ。もしも Apple がバナーとアラートに加えてアラームを第3のタイプの通知として設けてくれたならば、無視できないリマインダーやカレンダーイベントに対するオプションとしてそれを選ぶことができるようになるだろう。Apple はこの機能をさらに拡張して、スクリーンを占領するモーダルなダイアログを表示するオプションを追加することもできるかもしれない。ちょうど、iCloud へのログインを要求するダイアログが、それを閉じるまで他の何もさせてくれないように。
現状での回避策はないのだろうか? 少なくとも Mac 上でこの問題に対処できるショートカットあるいは AppleScript を作ってみようと少し考えてみたが、でもこれは考え過ぎだったと気付いた。Apple の Calendar アプリは Fantastical にない機能を一つ持っていて、イベントのアラートがファイルを開くことができる。そうと分かればこれにオーディオファイルを割り当てて、それを開けば Music アプリで再生が始まるようにするのは簡単だ。何かイライラするようなサウンドを選んでおけば、すぐに止めたくなるだろう。
Mac 上の Reminders アプリについては、似たものを何も思い付けなかったが、きっとサードパーティのリマインダーアプリでその種の機能を提供するものがあるだろう。そういうものをご存知ならばぜひお知らせ願いたいが、ただしそのアプリは Apple の Reminders データベースを読むものであって欲しい。私の場合は Siri を使ってリマインダーを作成し続けられるようにしたいので。
それでもなお、第3の通知タイプとしてアラームを追加することこそが最もエレガントな解決法だと思われる。もし同意して下さるのならば、どうぞ私と同じように、Calendar と Reminders についてのフィードバックを、システムワイドの解決策が欲しいのだと明記して Apple に送って頂けないだろうか。テキストの例を考えたのでどうぞご自由にお使い頂きたい:
Apple は本日、iPad のための Final Cut Pro および Logic Pro を発表しました。映像や音楽のクリエイターは、iPad でのみ可能な新しい方法で創造性を発揮できるようになります。iPad のための Final Cut Pro および Logic Pro は、直感的で即時に操作できる Multi-Touch によってユーザーがワークフローを強化できる、まったく新しいタッチインターフェイスをもたらします。... iPad のための Final Cut Pro および Logic Pro は、App Store でサブスクリプションとして 5 月 24 日(水)から提供が開始されます。
私自身は Final Cut Pro も Logic Pro も使わないけれども、Mac 上でこれらのアプリを使ってきた人たちがこのことにどう反応してどのように iPad 版を使うようになるのか、知りたいものだと思っている。iPad 版が Mac 版と同等の機能を持つとは想像しにくいが、果たしてこれは既存のユーザーにとっての歓迎すべきコンパニオンアプリとなるのか、それとも Mac 版のフル機能は必要としない新規ユーザーのための機能縮小版の代替製品となるのか、あるいはその両方となるのだろうか?
これらのアプリは購読のみで利用でき、料金は月額 $4.99 または年額 $49 だ。Final Cut Pro は M1 チップかそれ以降を搭載した iPad を必要とするが、Logic Pro は A12 チップかそれ以降を搭載したすべての iPad で動作する。