Thoughtful, detailed coverage of everything Apple for 33 years and the TidBITS Content Network for Apple professionals
前週号 | 日本語版ホーム | 次週号

#1659: 濃厚接触通知機能の終了、料理本購読サービス、アラーム型通知を提案、Explain XKCD

通知に気付かなくて約束に遅れた経験のある人は、持続的なアラーム型通知をオペレーティングシステムに追加して欲しいと Apple に求める Adam Engst の提案に賛同して下さるかもしれない。今週は Jeff Carlson が寄稿記事で、料理本購読サービス ckbk を検討する。ckbk は最近、料理本索引付けサービス Eat Your Books との提携を発表したばかりだ。Adam はまた、Apple が iPhone 用に提供した COVID-19 濃厚接触通知機能の終了を伝える。結局この機能は十分な社会的支持を受けないまま終わった。最後に、Adam は Explain xkcd wiki を見つけたことと、Apple が iPad 版の Final Cut Pro と Logic Pro をリリースするニュースも伝える。今週注目すべき Mac アプリのリリースは Acorn 7.4.2 と Firefox 113.0.1 だ。

Adam Engst  訳: 亀岡孝仁  

iPhone COVID-19 接触通知終了

今朝、私は目覚めて iPhone 上の New York State の COVID-19 接触通知がオフにされたとの通知に気付いた ("ニューヨーク州の COVID Alert NY アプリを見てみる" 2 October 2020 参照)。私は濃厚接触の可能性についての通知を一回も受けたことが無いが、それはそれで良いことなのだろうと思うし、October 2022 頃にはこの Apple/Google 連合システムについて完全に忘れていて、自分の陽性試験の結果をそこに記録することすら忘れてしまった。Seattle にいる Apple コンサルタントの友人は今日彼はこれ迄この通知を数回受け取ったことがあると語ってくれたが、私が話したことがある人でそれを見たことがあると言うのは彼が初めてであった。

COVID Exposure Notifications ended

この Apple/Google システムのプライバシー部分はよく考え抜かれたもののように見受けられたが ("Apple と Google、プライバシーを守った COVID-19 接触追跡&通知で協業" 10 April 2020, そして "元 Apple エンジニアが語る: 私が Apple の COVID-19 通知手法を信用する理由" 11 May 2020 参照)、どうもそれが効果を発揮するのに十分なだけのユーザーを集められなかったようである。多くの人が自己隔離する余裕など無いとの理由から濃厚接触したかどうかなど知りたくないと思い、そしてテック巨人、政府、そして科学全般に対する不信感が人々を採用から遠ざけた。このアプリに登録した人が何人いたのかを知ることはないのであろう。

私は NOVID 方式の方がずっと良いと思っている ("NOVID が COVID-19 早期警戒システムを提供" 21 January 2021 参照)。こちらは、個人にその自らのリスクを見極めさせてくれる可能性を持ち、他の感染病の広がりを地理的に捉えるための価値あるツールとなり得た。そしてこちらもまた十分な数のユーザーを惹きつけることが出来なかった - 私の ZIP コード域内で申し込んだ人は 14 人しかいなく、しかもその殆どは私に関係していた。

一方では TikTok の様なサービスが 10 億を超えるユーザーを集められるのに、米国では 1.1 百万人、全世界では 6.9 百万人を超す死亡者を減らす可能性を持った技術を遠ざける人がそれ程沢山いるというのは悲しい現実である。

討論に参加

Adam Engst  訳: 亀岡孝仁  

Explain XKCD はブラックホールだ

私が Explain xkcd wiki に今まで気付かなかったのは信じがたい。科学と技術に付いての Randall Munroe の xkcd漫画は素晴らしいが、私の学術的背景はそのジョークを何時も理解するのに十分だとは言いがたい。(或いは、この wiki のタグラインが言うように:"Explain xkcd: It's 'cause you're dumb." (それはお前が間抜けだからだ)) 2009 年に始まり、Explain xkcd は 2775 本 (ここ迄の所) の漫画の全てについての詳細な説明を提供してきている。パスワードの強度についてのよく引用される “correct horse battery staple” 漫画の詳細説明など欲しくないというのであれば、ここさえ見れば分かる。[訳者注:"correct horse battery staple" は無作為に選んだ4つの一般的な言葉からなるパスワードの例]

Wikipedia での場合と同様、誰でも Explain xkcd ページを編集出来るが、編集者は、広範囲の読者にとって理解出来るように書かれた、事実をありのまま述べるスタイルを使うようにとしている。それが故に、途方もなく詳細な説明になってしまうものもある。もっと面白いのは討論で、ここではユーザーが説明について論争し、追加の背景を寄稿し、そして元々のジョークを独自に発展させたりする。もし xkcd ウェブサイトをクリックして回るのは時間の浪費だと思うのであれば、Explain xkcd に目を向けてはいかが? そこでは、楽しませて貰えそして勉強もさせて貰える。

explain xkcd

討論に参加

Jeff Carlson  訳: Mark Nagata   12 May 2023

ckbk を使って料理本の書棚を埋める

私はずっと料理本を放ったらかしにしていた。レシピとともに美しい写真や、作ったりプレゼンテーションしたりする人々にその食べ物が与えた影響の物語なども一緒に楽しめる豊かさを享受する代わりに、私は手早くウェブを検索していろいろな場所からレシピをかき集めるやり方に移ってしまっていた。便利さを最優先にしたということで、そこに私は多少のやましさも感じていた。

そうこうするうちに私は Eat Your Books サイトを発見した。このサイトは、印刷された料理本の検索可能なデータベースを提供する。記事“料理用 Web サイト Eat Your Books”(2022 年 3 月 17 日) で、私はこのサービスについて、これがどのように私のやましさを和らげてくれたかについて書いた。書棚から料理本を取り出して行き当たりばったりにページを繰る代わりに、レシピまたは食材で検索するだけでマッチしたもののリストを自分のコレクションに追加することができる。重要なのは、その結果が食材とページ番号のみを含んでいて、フルのレシピではない点だ。そのお陰で自分の持っている料理本を実際に開いて使うことができる。(Eat Your Books の側では著作権に関する問題を回避できる。)

こうして私はまず Eat Your Books で素早くレシピを検索してからそこに示された料理本を自分のささやかな書棚から取り出して開くという便利さに慣れた。ただ、膨大な数の料理本を持っている人には困難が伴うかもしれない。そもそも該当する本が見つからなければページ番号があっても役に立たない。(どのくらい膨大かって? Eat Your Books の広報担当重役である Jenny Hartin の場合は、料理本の山が崩れてドアが開かなくなったためドアを半分に切らなければならなくなった。) そういう状況の人にとっては直接レシピを検索できる方が好都合だろう。

もう一つの方法で ck する bk

そこで登場するのが ckbk だ。Eat Your Books の記事を出した後に、ckbk 創設者 (であり長年の TidBITS 読者でもある) Matthew Cockerill が連絡して、ckbk について TidBITS に知らせてくれた。それをきっかけとして私たちはアプリによる追跡を巡る深みにはまった。そのことは Adam Engst が記事“ckbk (料理本アプリ) の広告追跡を取り除く手助けをする”(2023 年 3 月 15 日) に詳しく書いている。

ckbk も料理本に焦点を当てているけれども、Eat Your Books と違ってこちらは料理本の内容をオンラインでも ckbk アプリの中でもフルに表示できるライセンスを得ている。なので、レシピを探して検索エンジンを使い、あちこちのブログや、データベースサイトや、スポンサー付きリストや、その他多種多様な現代のウェブ検索結果のゴタゴタの中を彷徨う代わりに、ckbk の検索結果はきちんと監修された料理本の中のレシピなので安心できる。現時点でこのサービスは 700 冊以上の料理本から 120,000 以上のレシピを取り揃えている。(注意深い料理人の方ならばこの冊数が Eat Your Books データベースの 160,000 冊に比べて桁違いに少ないことにお気付きかもしれないが、今はその点を少し脇に置いて頂きたい。この点についてはあとで述べる。)

ckbk iPhone app

ckbk が本の内容のライセンスを受けることができるのは、購読モデルを通じて料理本の著者が仕事の対価を受けられるようにしているからだ。ckbk の Premium Membership の料金は月額 $4.99 または年払いならば $39.99 (月額 $3.33 相当) だ。14 日間有効の試用版もある。

素晴らしいブラウズ体験

ckbk の使用体験については好きになれるところがたくさんあるが、私の頭に最初に浮かぶ単語は“リフレッシュ”だ。レイアウトはクリーンで、モダンで、うまく整理されている。検索する手段はいくつかあって、食べ物のカテゴリーから、国や時代によるものまでいろいろだ。ウェブ版とアプリ版の間の相性も良い。コンピュータ上で検索してレシピを見つけ、それをお気に入りとマークするかまたはコレクションに追加するかしてから iPad Pro 上の ckbk アプリで開けば、キッチンで iPad Pro を立てておくだけでデジタルレシピを見ながら料理ができる。

レシピを探すために検索エンジンを使う場合には、必然的に食べ物ブログの中でいつ果てるともしれぬ長々とした序文テキストをかき分けて進まなければならない。でも欲しいのはレシピそのものなのだが、Jump to Recipe ボタンでもない限り、その料理あるいは食材がいかにしてこの著者の人生を変えたかとか、天候不良のためパラグアイの洞窟で一晩過ごす羽目になって手許にはほんの少しの食材と香り付きキャンドルと祖母から貰った銀のティーセットしかなかったとかいう長話を延々とスクロールして見なければならないことになる。

そのことでブログの著者を責めるつもりはない。いやまあ、ちょっとだけ責めたい気持ちはあるかも。そういう長話に悩まされるようになったのは、検索エンジンのアルゴリズムが他と違うテキストを要求するからだ。つまり、他にないキーワードがたくさん含まれていれば、それだけ検索で見つかる可能性が高まるからだ。食べ物ブログの著者たちはアルゴリズムの求めに応じて努力のほとんどをその種の導入文章の大量生産に注ぎ込むことを通じて自分のコンテンツが多く見られるようにする必要があるのであって、そのことで彼らを非難したりはしない。

けれどもその一方で、料理本は既に読者から対価を得ている。だから、レシピの導入テキストは比較的短いことが多く、実際の料理に焦点が当てられる。その延長で、ckbk の中のレシピには料理本から取り込まれた文章も少し含まれるが、デフォルトではほんの数行だけが見えるようになっている。

Recipe in ckbk Web app

ライセンスはレシピだけでなく本全体に適用されるので、Contents リンクをクリックすればサイドバーが表示され、その本の章ごとに導入部分とその他すべてが読めるようになる。結局のところ最良の料理本のいくつかは、キッチンの中で読むだけでなく快適な椅子に座ってのんびり読んでも楽しめるものだ。

ToC for a cookbook in ckbk

私が ckbk のレイアウトで一つだけ不満な点は、テキストの文字をもう少し大きくできたらよいのにというものだ。老眼になりかけていることだけが理由ではない。コンロ越しに立って読むと iPad は腕の長さの2倍ほども離れているので、レシピを見ようとする度に iPad に近寄って読まなけれbならない。

選りすぐりの本

料理本の内容すべてにアクセスできることで、利用できる本のタイトル数が比較的少ないことがある程度埋め合わされる。ここで“比較的”という言葉を強調しておきたい。全体的な体験はあなたのライブラリの規模とあなたの期待の度合いに依存するからだ。

オンライン上のライブラリと比較するという観点から改めて比べ直してみて、私は自分が実際に持っている料理本のうちで ckbk のデータベースに載っているものがほんの少数であることに気付いてびっくりした。ひょっとすると私のコレクションの規模が小さいからなのかもしれないが、検索のほとんどがヒットしなかった。例えば Anthony Bourdain の Les Halles Cookbook はあるけれども、Thomas Keller の Ad Hoc at Home はデータベースにあるのにコンテンツはまだ利用できるようになっていない。Dorie Greenspan の人気ある料理本は一つもヒットしない。友人であり TidBITS に記事も書いている Agen Schmitz に頼んで彼の最近のお気に入りの本、例えば Sabrina Fauda-Role の One-Pot Vegan なども教えてもらったが、それもやはりヒットしなかった。

けれども、そもそも ckbk や Eat My Books の存在意義とは、料理本や料理の種類、また著者たちの認知度を広めるところにある。既存の 700 冊あまりのタイトルには、いろいろな時代とさまざまな食への興味を網羅した本が揃っている。私は ckbk の Professional Bookshelf にとても興味を惹かれた。料理の技と美に真剣に取り組んでいる人の心に訴えるものだろう。正直言って、料理本の市場は日常的な家庭料理に向いたタイトルに圧倒的に支配されているのが現状なので、これまで私はこのような分野のことを考えたこともなかった。

ckbk にある本のいくつかは "à la carte" タイトルとなっていて、これらの本をライブラリに追加するためには追加料金がかかる。例えば Les Halles Cookbook の料金は一回限りの $28 だ。いずれにしても料理本を買おうと思っていたのならば、この料金を払って ckbk ライブラリに入れる価値はあるだろう。電子ブックとして購入する値段とほぼ同じなのだから。

あるいはもちろん、Amazon アフィリエイトリンクを使って印刷版の本を注文することもできる。さきほど私は本のコンテンツのすべてが読めるようになると書いたが、本の中の写真をオンラインで見るのでは (拡大して見ることはできるけれども) やはり実物と全く同じという訳にはいかない。時には印刷された料理本を手に持って読みたいこともあるだろう。

Eat Your Books と ckbk の提携

古い広告の文句を借りれば、2つの素晴らしい味を一緒に楽しめばなおさら素晴らしい味になる。一方では、ckbk がフルのレシピをオンラインで提供するが、そのライブラリは比較的規模が小さい。そして他方では、Eat Your Books が実際のレシピは提供しないけれどもレシピを指し示すタイトルとページ番号の膨大なデータベースを備えている。

そして今回、この両者を一緒に味わえるようになった。つい最近 Eat Your Books と ckbk が共同で、購読するユーザーたちのために提携すると発表したのだ。既存の Eat Your Books 会員は ckbk からタイトルをブックマークとして読み込むことができ、それらがライブラリに登場するようにできる。(あるいは Add All to Bookshelf ボタンを使って ckbk カタログ全体を丸ごと Eat Your Books に追加することもできる。) My Bookshelf メニューから Bookmarks を選び、Books タブに切り替える。ckbk フォルダをクリックして ckbk タイトルをアルファベット順で表示させてから、欲しいものをクリックする。それから "+ Bookshelf" ボタンをクリックすればコレクションに追加される。ckbk データベースにある本やレシピにはオレンジ色で ckbk ラベルが表示される。

ckbk in Eat Your Books

いずれのサービスも購読が必要だ。Eat Your Books ユーザーが ckbk にサインアップする際には Premium Membership 料金が 25% 割引となる。ckbk ユーザーが Eat Your Books にサインアップする際には、チェックアウト時に "I have a voucher" をクリックしてコード CKBK23 を入力すれば無料試用期間が一か月延長される。

では、私はそろそろ失礼して、さっきのレシピで作ったストロープワッフルを味わうとしよう。

討論に参加

Adam Engst  訳: Mark Nagata   

アラーム求む: カレンダーとリマインダーの持続的な通知がなぜ必要か

私の日常生活は細々としたものに埋もれている。多くのプロフェッショナルたちに比べれば定期的な予定に縛られる度合いはずっと少ないけれども、私のすべきことで特定の時刻にやって来るものはやはりたくさんある。例えば、スケジュールされた約束があって特定の時刻に外出しなければならなかったり、特定の時刻に始まる Zoom ミーティングがあったり、じっくり料理する必要のある夕食のために調理を始めるリマインダーを設定して夕食の時刻に間に合わせるようにしたりといったこともある。

私はデジタルなカレンダーやリマインダーを大いに信奉している。イベントの管理は Fantastical でしているし、細々としたタスクには Siri 経由で作成したプロンプトを Reminders に出させるようにしている。必要なデータはすべて私のシステムの中にあって、大体のことを言えば、通知が正しい時刻に、私のすべてのデバイス上に出ている。(時には通知が一つのデバイスにしか出ず他のデバイスに出ないことがあるが、まだその理由を見つけられていない。)

それなのにまだ、自分が予定に遅れてしまうことがある! Zoom ミーティングに遅れたり、眼科医の予約に遅れそうになって大急ぎで行ったり、豆をふやかしておく通知を見逃したせいで夕食のメニューを急遽変更したりといったことが時々ある。なぜそんなことが起こるのか? いったいなぜ私はそういう通知を見逃してしまうのか? この種の問題を抱えているのは私だけなのか?

通知はアラームではない

よく考えてみると、私が通知を見逃すのはたいてい、文章を書いたり、編集したり、あるいは調べ物をしたりするのに深く集中するあまり、他の世界のことにほとんど気付かない状態になっているからだ。時は過ぎるが、私はそのことにあまり気付かない。喉が乾いたり、お腹が空いたり、居心地悪くなったりもしないし、何にも遮られなければ何時間も休みなしに楽しく仕事を続けられる。(決して意図的にそういうやり方をお勧めしているのではない。身体のためには動き回る方が良い。)

この種の過集中は、私を大いに生産的にしてくれる。でも、集中している間の私は自分の狭い視野の外にあるものに対しては注意力のごく一部分しか振り向けない。Zoom ミーティングが始まる 15 分前にカレンダー通知がポップアップするかもしれないが、それをチラッと見たらすぐに私は今書いている文章に注意を戻すので、気付いた時にはミーティングの最初の 10 分間を逃してしまっていることがよくある。それが自分で招集したミーティングであった場合には特に恥ずかしい。

リマインダーでも同じ問題が起こる。あれは今週のことだったが、私はある高校の陸上競技会に手伝いに出かけて、6:10 PM にそこを出るようにとリマインダーを設定した。7:00 PM から別のワークアウトに参加しなければならなかったからだ。でも、6:18 に友人たちとおしゃべりしながらウォッチをチラッと見て、自分が iPhone と Apple Watch に出ていた通知を完全に見逃していたことに気付いた。問題になるほど遅れていた訳でなかったが、大幅に遅刻する羽目になる前に気付くことができたのは純粋に幸運のお陰であった。

問題なのは、Apple の通知が私を集中から強制的に引きずり出せるほどの注目とアクションを要求しないことだ。つまり、しっかりした モーダルさ が欠けている。私が他のことを考えているうちに勝手に消えたり、あるいは何も考えずに閉じたりできてしまう。通知の2つのタイプ、バナーとアラートのいずれについてもこのことが言える。両者とも見栄えは似ているが、バナーはほんの短時間だけ表示されてから自動的に消え、アラートはこちらのアクションがなければ消えない。でも、アラートにしてもフルにモーダルではない。iPhone を使っている場合にはアラートがスクリーンの小さな一部分を占めているが、私の 27 インチ iMac ではスクリーンの隅っこに積み重なっているちっぽけなアラートなどついつい無視されて、何もせずに放っておかれがちだ。

それとは対照的に、Clock (時計) アプリのアラームやタイマーは注目を要求して来る。iPhone、iPad、Apple Watch のどれを使っていても同じことだ。こちらはいったん呼び出されれば明確にモーダルであり、意図してオフにするまでの間はサウンドが鳴る。だからこそ私たちは朝の目覚ましにアラームを使うし、夕食を焦がさないためにタイマーを使うのだ。Apple Watch ではとりわけタイマーが効果的で、音を立てたり手首の上で振動したりする。Apple Watch と HomePod は他の Apple デバイスと違い、複数個のタイマーを設定することができる。キッチンで複数のレシピと取り組む人には絶対必要なことだ。

Apple は macOS 13 Ventura に至ってやっと Clock アプリを Mac にもたらしてくれた。ビジュアルには時間が来たアラームやタイマーをいつも通りにスクリーン右上隅の小さなアラートでしか示さないけれども、サウンドはあなたがアラートをクリックするまで鳴り続ける。

Clock app in Ventura

通知アラームが必要だ

解決策は概念的にはシンプルだ。もしも Apple がバナーとアラートに加えてアラームを第3のタイプの通知として設けてくれたならば、無視できないリマインダーやカレンダーイベントに対するオプションとしてそれを選ぶことができるようになるだろう。Apple はこの機能をさらに拡張して、スクリーンを占領するモーダルなダイアログを表示するオプションを追加することもできるかもしれない。ちょうど、iCloud へのログインを要求するダイアログが、それを閉じるまで他の何もさせてくれないように。

エコシステム全体にわたる通知のやり方にアラームを取り入れることで、他のアプリもそれを使えるようになることだろう。例えば、レシピ管理アプリの Paprika は料理の手順の一部としてアプリ内のタイマーへの手早いアクセスを提供する。(その点は素晴らしい!) なのに、そのタイマーは Paprika が最前面のアクティブなアプリである間しか効力を持たず、他のアプリに切り替えたり、あるいは iPhone 画面をロックしたりすれば、タイマーが単なるアラートに格下げされてしまう。(良いとは言えない!)

Timers in Paprika

私が目にしたことがある中で Apple がこれに一番近いことをしてくれたのは、Apple Watch の Messages だ。Watch > Notifications > Messages でカスタム通知に切り替えると、到着した一通のメッセージに対してアラートを何回受けるかを設定できる。私はそれを 3 回に設定している。確かに鬱陶しいけれども、手首の振動に気付かずメッセージを見逃してしまうよりはずっと良い。でも、このように繰り返す通知よりも、オフにするまで残り続けるアラームの方がずっと使い勝手が良いはずだ。

Repeated Messages notification for the Apple Watch

現状での回避策はないのだろうか? 少なくとも Mac 上でこの問題に対処できるショートカットあるいは AppleScript を作ってみようと少し考えてみたが、でもこれは考え過ぎだったと気付いた。Apple の Calendar アプリは Fantastical にない機能を一つ持っていて、イベントのアラートがファイルを開くことができる。そうと分かればこれにオーディオファイルを割り当てて、それを開けば Music アプリで再生が始まるようにするのは簡単だ。何かイライラするようなサウンドを選んでおけば、すぐに止めたくなるだろう。

Open File option in Calendar alerts

Mac 上の Reminders アプリについては、似たものを何も思い付けなかったが、きっとサードパーティのリマインダーアプリでその種の機能を提供するものがあるだろう。そういうものをご存知ならばぜひお知らせ願いたいが、ただしそのアプリは Apple の Reminders データベースを読むものであって欲しい。私の場合は Siri を使ってリマインダーを作成し続けられるようにしたいので。

それでもなお、第3の通知タイプとしてアラームを追加することこそが最もエレガントな解決法だと思われる。もし同意して下さるのならば、どうぞ私と同じように、CalendarReminders についてのフィードバックを、システムワイドの解決策が欲しいのだと明記して Apple に送って頂けないだろうか。テキストの例を考えたのでどうぞご自由にお使い頂きたい:

アラームを、バナーやアラートと並ぶ第3の通知タイプとして追加して頂きたいと思います。Clock アプリのアラームやタイマーでは、ユーザーが手で止める必要があります。それと同じように、ユーザーが選択したカレンダーイベントやリマインダーがアラームサウンドを鳴らした際に、手で止めるまでサウンドが止まらないようにできたならば、きっと役に立つでしょう。現状では、重要なミーティングやスケジュールした予定であっても通知がたった一つ出るだけですから、簡単に見逃してしまいます。

うまく行けば、Apple がこの機能を将来のオペレーティングシステムに盛り込んでくれるかもしれない。でも、あと一か月ほどで出るはずの次期オペレーティングシステムのベータ版に盛り込まれるとまでは期待しない方がいいだろう。

討論に参加

TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

Firefox 113.0.1 Agen Schmitz

Firefox 113.0.1

Mozilla が Firefox 113 をリリースし、Picture-in-Picture ビデオ再生の機能を強化して、巻き戻したり、継続時間をチェックしたり、フルスクリーンモードに切り替えたりできるようにした。今回のアップデートではまた、プライベートウィンドウでサードパーティのクッキーやコンテンツトラッカーの保存をブロックする機能を改善し、自動生成されるパスワードに特殊文字を含めるようにし、Safari や Chrome からブックマークを読み込む際にファビコンも一緒に読み込むようにし、Firefox のコンテクストメニューから直接 Services サブメニューにアクセスできるようにし、Microsoft Outlook から直接ファイルをドラッグ&ドロップする機能 (13 年前から要望のあった機能) に対応した。その後間もなく Firefox はバージョン 113.0.1 にアップデートされていくつかマイナーなバグ修正が施された。(無料、127 MB、リリースノート、macOS 10.12+)

Firefox 113.0.1 の使用体験を話し合おう

Acorn 7.4.2 Agen Schmitz

Acorn 7.4.2

Flying Meat が Acorn 7.4.2 をリリースして、この画像エディタに新たなスクリーンショット機能とバグ修正を加えた。今回のリリースでは、スクリーンショットの 10 秒間遅延オプション (Option キーを押しながら Image > New Image from Layered Screenshot を選んでアクセスする) を追加し、スクリーンショットを撮るための新しい Shortcuts アクション (macOS 11 Big Sur かそれ以降が必要) を追加し、レイヤー付きのスクリーンショットを撮るために使える AppleScript コマンドを導入した。今回のアップデートではまた、パレットに "Hide clone source widget" オプションを追加し、Shift キーを押した後に正しいスタンププレビューが表示されるようにし、M シリーズ Mac 上でクイックマスクツールが正しく動作しなかった問題を解消し、透視変換ツールが正しいプレビューを出していなかったバグを修正した。(Flying Meat からも Mac App Store からも新規購入 $39.99、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、21 MB、リリースノート、macOS 10.14+)

Acorn 7.4.2 の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

訳: Mark Nagata   

Adam Engst

Apple、iPad 版の Final Cut Pro と Logic Pro を発表

Apple Newsroom がこう書いている:

Apple は本日、iPad のための Final Cut Pro および Logic Pro を発表しました。映像や音楽のクリエイターは、iPad でのみ可能な新しい方法で創造性を発揮できるようになります。iPad のための Final Cut Pro および Logic Pro は、直感的で即時に操作できる Multi-Touch によってユーザーがワークフローを強化できる、まったく新しいタッチインターフェイスをもたらします。... iPad のための Final Cut Pro および Logic Pro は、App Store でサブスクリプションとして 5 月 24 日(水)から提供が開始されます。

私自身は Final Cut Pro も Logic Pro も使わないけれども、Mac 上でこれらのアプリを使ってきた人たちがこのことにどう反応してどのように iPad 版を使うようになるのか、知りたいものだと思っている。iPad 版が Mac 版と同等の機能を持つとは想像しにくいが、果たしてこれは既存のユーザーにとっての歓迎すべきコンパニオンアプリとなるのか、それとも Mac 版のフル機能は必要としない新規ユーザーのための機能縮小版の代替製品となるのか、あるいはその両方となるのだろうか?

これらのアプリは購読のみで利用でき、料金は月額 $4.99 または年額 $49 だ。Final Cut Pro は M1 チップかそれ以降を搭載した iPad を必要とするが、Logic Pro は A12 チップかそれ以降を搭載したすべての iPad で動作する。

元記事を読む | 討論に参加