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#1662: 新型 Mac、2023 年の OS 機能 12 選、ウェブブラウザの垂直タブ、watchOS 9.5.1

Apple のつむじ風のような WWDC キーノート (基調講演) はまず 15 インチ M2 MacBook Air、新しい M2 Max および M2 Ultra 搭載モデルの Mac Studio、それに長らく待ち望まれた Apple silicon 搭載 Mac Pro の発表から始まった。Apple にとっては Intel 時代の終わりを告げるこれらの Mac について詳しく紹介しよう。それに続いてキーノートは今年後半に iOS 17、iPadOS 17、macOS Sonoma、watchOS 10、tvOS 17 で登場すると期待できる機能のプレビューに移った。Adam Engst がその中から彼自身が魅力的だと思った 12 個の機能について語る。ただし今週号では (米国で) 来年 $3499 で発売予定の Apple の“空間コンピュータ”Vision Pro は扱わない。これについてはもっと時間を掛けて考えないと意見を文章にすることができないからだ。即決を要する話題としては、Adam がさまざまのウェブブラウザにおける垂直タブへの対応を概観するとともに、ほとんど説明もなく出された watchOS 9.5.1 を簡単に紹介する。今週注目すべき Mac アプリのリリースは 1Password 8.10.7、Quicken 7.1、DEVONthink 3.9.1、Audio Hijack 4.2、BusyCal 2023.2.3 と BusyContacts 2023.2.1、それに Camo Studio 2.0.3 だ。

Adam Engst  訳: 亀岡孝仁  

watchOS 9.5.1、何らかの問題を修正しているのであろう

見逃したとしても許されそうなアップデートで、Apple は watchOS 9.5.1 を伝統的な役に立たない "機能改善とバグ修正" と共にリリースした。(watchOS 9 Updates ページにはその情報すらも無い。) また Apple の Security Updates ページでは、"このアップデートには CVE の公開エントリがありません。" とある。それが CVE の公開エントリ無しで脆弱性を修正しているのか、或いはセキュリティ修正は全く無いことを意味するのかははっきりしない。Apple の熱意と具体性の欠如からして、私がお勧めするのは、この先どこかで都合が良くてたまたま覚えていたらこのアップデートをインストールすることである。早くインストールしたい理由があるとすれば、Apple Watch で問題が起こっていて解決したい場合だろう。例えば、しつこい良く分からない電池寿命の問題とか、奇妙な緑色がかった色合いだとかである。

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Adam Engst  訳: 亀岡孝仁  

三つの新型 Mac で Apple シリコンへの移行を完了

今日の Apple の WWDC キーノートの始まりを見ていたら、アメフトチームが試合の最初のプレーで長いタッチダウンパスを決め... そして続く二つの攻撃でも同じことを繰り返すのを見る感じがした。最初の得点は 15-inch M2 MacBook Air の発表で、その後すぐさま続いたのは M2 Max 又は新しい M2 Ultra 搭載の新型 Mac Studio と、そして長いこと待たされた Mac Pro であった。Mac Pro にもまた M2 Ultra が使われている。これ等三つの Mac は今日から予約注文が可能で、出荷は 13 June 2023 からとなる。

新型 Mac の仕様は印象的だが、取り立てて取り上げるべきものは無い。

15-inch M2 MacBook Air

この新しい 15-inch MacBook Air は分かり易い。それはただ単に 13-inch M2 MacBook Air の 8-core CPU/10-core GPU モデルで、より大型の画面とより多くのスピーカーを備えているだけである。仕様の比較表から私が言える限り、それ以外は同じである。

スクリーンは 15.3-inch Liquid Retina ディスプレイで、224 ppi、標準解像度 2880 x 1864 である。ピクセル密度は 13-inch M2 MacBook Air と同じだが、MacBook Pro の 254 ppi よりも少し粗い。14-inch MacBook Pro は、画面サイズはより小さいが、標準解像度 3024 x 1964 を有しており、そして 16-inch MacBook Pro の方は標準解像度 3456 x 2234 である。MacBook Pro モデルはまた、Extreme Dynamic Range (XDR) を誇っており、HDR コンテンツを表示する時にはより高いコントラスト比と明るさが得られる。

オーディオに関しては、15-inch MacBook Air は、より大型の MacBook Pro モデルが享受しているフォースキャンセリングウーファーを備えた同じ6スピーカーサウンドシステムを受け継いだ;それは 13-inch MacBook Air の4スピーカーよりも上である。

15-inch M2 MacBook Air

その他に関しては、二つの M2 MacBook Air モデルの間では全てが同じである:

15-inch モデルの電池はより大きいが、電池寿命は同じで、"ワイヤレスウェブ" では 15 時間、"Apple TV アプリムービー" では 18 時間と見込まれている。どちらにも 35W Dual USB-C Port Compact Power Adapter が付属しており、70W USB-C Power Adapter を使った高速充電にも対応する。

印象深いことに、より大型の画面を持ちながら 15-inch モデルは、13-inch モデルよりも奥行きで 0.89 インチ (2.26 cm) そして幅で 1.43 inches (3.63 cm) しか大きくなく、厚さはほんのちょっと厚いだけである。重量は 3.3 ポンド (1.51 kg) で、13-inch モデルよりも 0.6 ポンド (0.27 kg) しか重くない。

15-inch M2 MacBook Air の値段は、8 GB のメモリと 256 GB ストレージ付きで$1299 から始まる。色は、シルバー、スターライト、スペースグレイ、そしてミッドナイトがあり、13-inch モデルと同じである。同時に、Apple は 13-inch M2 MacBook Air を $100 値下げしたので、その価格は $1099 から始まる。13-inch M1 MacBook Air も存続し $999 から始まる。

正直言って、15-inch M2 MacBook Air は素晴らしいマシンのように見えるし、13-inch モデルと同様に歓迎されると私には思える。この 13-inch モデルは Apple によれば世界で一番売れているラップトップだという。

M2 Max/Ultra Mac Studio

会場を行進する Apple の旋風で次に登場するのは Mac Studio である。ここでの話題は中にあるチップについてが全てである。以前の世代の Mac Studio モデルは M1 Max や M1 Ultra を用いていたので、Apple が M2 Ultra を導入して、以前は 14-inch 及び 16-inch MacBook Pro にしか用いられていなかった M2 Max に続いても驚きには値しないであろう。

M2 Ultra チップは、誰もが想像する通り、二つの M2 Max チップを一緒にして詰め込んだもので、基本的には M2 Max の仕様を2倍にしている。つまり M2 Ultra が持っているものは:

それはまた正気とは思えない程の数のディスプレイも駆動する:

M1 Ultra と比較して、Apple は M2 Ultra は CPU 演算では 20% 速く、GPU 演算では 30% 速く、そして Neural Engine では 40% 速いと言っている。

M2 Ultra spec card

20-30% の性能向上は軽視出来るようなものでは無いが、M1 Max や M1 Ultra Mac Studio からアップグレードするに値するものではないかもしれない。Apple もこの事実に同意しているようで、この新型 Mac Studio モデルを最速の Intel ベースの iMac と比較して、400% から 600% の性能向上が得られるとしている。我々は未だ、Apple が 27-inch iMac を Apple シリコンにアップデートするという兆しを見ていない。

新型 Mac Studio の仕様を見ても、M1 と M2 Mac Studio モデルの間には、性能向上、メモリ上限の拡大、そしてより新しいバージョンの Bluetooth を除けば大きな違いは見られない。提供されているポート、ワイヤレス接続性、等々は同じである。

M2 Max/Ultra Mac Studio spec card

これ迄と同様、M2 Max Mac Studio は $1999 から始まり、M2 Ultra Mac Studio は $3999 から始まる。安いとはとても言えないが、それだけの性能が必要なのであれば、Mac Studio はそれを可能にする。

M2 Ultra Mac Pro

その日の最後の Mac 発表で、Apple は Apple シリコン搭載の Mac Pro を披露した。これでその製品群から最後の Intel ベースの Mac が消えることとなった。M2 Ultra チップを基盤としており、Mac Pro の基本仕様は M2 Ultra Mac Studio と全く同じとなるであろう - Apple シリコンを使うとそうなる。ケースは Intel ベースの Mac Pro と同じものが使われている - 車輪は別売りで $400 である。

しかしながら、Mac Pro が際立つのは、その PCI カードに対するサポートにある。それは6つの空きフルレングス PCI Express gen 4 スロットを提供している。Intel ベースの Mac Pro は空の gen 3 スロットを7つ持っていた。どちらも一つのハーフレングス x4 PCI Express gen 3 スロットを Apple I/O カードに当てている。また8つの内蔵 Thunderbolt 4 ポートを有しており、その内6つは背面に、そして二つは上部に (タワー筐体)、或いは前面に (ラック筐体) にある - 前身の二倍の数である。

Apple はこの新型 Mac Pro はこれ迄の Intel モデルより 3-7 倍高速だと言っているが、その比較となると少々扱いが難しい。例えば、Apple はこれ迄の Intel ベースの Mac Pro に対して Apple Afterburner アクセレレーターカードを売っていたが、M2 Ultra チップの専用シリコンは Afterburner カード7枚に匹敵する性能を提供するという。Intel ベースの Mac Pro は 32 GB から 1.5 TB に及ぶ幅広い RAM 構成を提供していたが、我々の理解する所によると Apple シリコンのユニファイドメモリは遙かに効率的なので、新型 Mac Pro が 192 GB で上限に達しても問題とは全くならないのであろう。

M2 Ultra Mac Pro spec card

値段は変わらず目から涙が出るほど高い。タワー型は $6999 から始まり、ラックマウント型は $7499 から始まる。オプションを加えるとその価格はほぼ二倍となる。何れにしろ、全てのオプションを備えた Mac Pro タワーは $12,199 でお買い得品のように見える。これに対してフルスペックの Intel ベースの Mac Pro はほぼ $53,000 もした ("2019 Mac Pro と Pro Display XDR:大枚を要する超高性能機" 10 December 2019 参照)。それでも、ベース価格だけでも目の痙攣が起こるようであれば、Mac Pro を買う余裕は無いと言うことである。

Apple は、その史上最強力の Mac を出すには今が適した時期では無いと事前に知ることは出来なかったと思われる。と言うのも、Mac Studio や Mac Pro の狙いとするのは Hollywood だからである。現在の Writer’s Guild of America ストライキ に関連したピケラインを破ることを拒絶する補助労働者のお陰で、多くの制作が中断されているからである - これに輪をかけているのは。Apple が Alliance of Motion Picture and Television Producers へ参加している事に抗議するため同社を攻撃目標とする運動である。また、Screen Actors Guild による別のストライキの兆候もあり、大手の制作会社は、Apple の最新のハードウェアを買うよりも、コストカットや人員整理に走る可能性の方が高いように見える。

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Adam Engst  訳: Mark Nagata   

2023 年に Apple オペレーティングシステムに登場予定の魅力的な機能 12 選

Apple は WWDC キーノート (基調講演) の壇上で、来たるべき同社の 2023 年版オペレーティングシステムに登場予定の機能を披露する議論に新型 Mac を発表したよりも多くの時間を費やした。(2023 年 6 月 5 日の記事“三つの新型 Mac で Apple シリコンへの移行を完了”参照。) それでもなお、壇上に立った人たちはそれぞれのオペレーティングシステムごとにほんの少数の機能のみに集中して話を進めた。

ただ、macOS 14 の名前が今回判明した。ワインで有名なカリフォルニアの地名を使って、macOS Sonoma と呼ばれるようになる。改めて考えると奇妙なことだが、今後数年間 macOS のこの名前が私たちの間で日常的に至るところで使われることになると思えば、名前の選択というのはとても重要だ。少なくとも Sonoma という名前はほとんどの人にとって読みやすく書きやすいものに違いない。つまり Mohave とか Big Sir とか Venture のような書き間違いは減るだろうと願いたい。

Apple がキーノートで特に取り上げた機能に絞ったとしても一つの記事ですべて取り上げることなど到底できないし、ましてや Apple のウェブサイトでプレビューページに載っているさらにもっと多くのことをカバーするなど考えられない。そこでこの記事では、私が試してみたいと強く思った機能や、多くの人にとって魅力的なものになると思える機能を 12 個だけ、特に順序は気にせず書き並べてみたいと思う。2023 年版オペレーティングシステムに登場予定のあらゆる機能のリストは、以下で私が述べる機能についての Apple による説明も含めて、Apple が出しているプレビューページでご覧頂きたい:

これらのオペレーティングシステムはすべて、現在は開発者向けベータ版の形で出されており、近いうちに一般向けの公開ベータ版も出されることだろう。正式版の出荷はいつも通りに 9 月か 10 月ごろになるはずだ。

Contact Poster

かなり前から私たちは他の人たちと共有するための自分の写真を指定することができていた。Messages、Contacts、Phone、その他で表示される写真のことだ。iOS 17 では、写真またはミー文字の上にあなたの名前を表示した Contact Poster をカスタマイズして作成でき、あなたが電話をかける度にそれが相手のデバイスに表示されるようになる。そう、尋ねられる前に答えておくと、ここでは Apple の Communication Safety 機能による保護が働くので、電話がかかって来た際に誰かの下品な写真を見せられる心配は要らない。

Contact Posters

Siri に "Hey" は不要に

自分の脳を再教育するためにしばらく時間がかかるかもしれないが、Apple によれば "Hey Siri" で "Hey" を省くことができるようになるという。今の私は毎日何度となく Siri を呼び出して照明を点灯したり消灯したり、シーンを設定したり、リマインダーを作成したりといったことをしているので、話す単語が一つ減ればそれはありがたいことだと思う。残念ながら新しいバージョンの Siri が現代の機械学習テクニックを利用して言葉の認識を改善し滑らかな応答を返せるようになるのかどうかについて Apple は何も述べなかった。私としては Siri が ChatGPT を組み込むことは望まないが、現在使われているトークン照合でコマンドを判断するやり方はますます非力に見えつつある。

ライブのボイスメール

知らない番号から電話がかかって来ても、私はまず電話に出ない。そういうものはほとんどすべて迷惑通話だからだ。たいていの場合、私の手元に残るのは雑音だけで実際のメッセージを含まない 90 秒間のボイスメール (留守録) 音声のみだ。iOS 17 の Live Voicemail 機能はその種の通話を完全にブロックすることもあり得るけれども、相手方が話している場合には、画面上にリアルタイムで相手の話す言葉を文字起こししてテキストとして表示でき、それを見て電話に出るか否かを判断できるようになる。プライバシーを確保するため、すべての文字起こしはその iPhone 上で処理される。

Live Voicemail

Mac 上でディクタタイプ

iOS 16 で、Apple はディクテーション (音声入力) を拡張して、音声で入力しつつ同時にキーボードも使えるようにした。それは大きな前進であって、Dictation がまだ Voice Control と同様の音声による編集機能を備えていないにもかかわらず私は頻繁に iPhone で音声入力を使っている。そして macOS Sonoma では、この機能が Mac にも登場する。これで、ようやく私も執筆作業の一部を音声を使ってできるようになるかもしれない。

FaceTime が Apple TV に対応

FaceTime は私たちが使うビデオ通話システムのうちでは大きく引き離された第3位にいる。圧倒的首位は Zoom で、Tonya は Cornell 大学での仕事に関係したことで、また私は Finger Lakes Runners Club のミーティングで、いつも Zoom を使っている。第2位の Google Meet を私たちは家族の間の通話で使っている。ビデオ画面を搭載した Google Nest Hub Max スマートスピーカーを使っている者が家族にいるからだ。けれども FaceTime が新たに獲得するオプションを使えば、Apple TV 上で Continuity Camera 機能を経由して iPhone や iPad のカメラを使って通話できるようになる。そうすれば、リビングルームのソファにゆったり座ったまま大画面のテレビで相手の顔を見て話すことができる。ビデオ通話の習慣が多くの人々に染み付いたパンデミックのロックダウン時期に Apple がこの機能を実装できなかったのはとても残念だ。

FaceTime on Apple TV

メッセージの応答ステッカー

Apple は今回とてつもなく長い時間を費やして iMessage のステッカーについて語ったが、私はそれを聞き流しつつ冷めた考えを巡らしていた。Tristan が子供の頃、彼の友だちの何人かがステッカーを見ては「わぁ、ピカピカだ!」と欲深い厄介な声を口にしていたものだった。けれどもふと気が付くと、メッセージに対するリアクション (応答) としてステッカーを使うことができるという話になっていた。Messages の Tapback アイコンは役に立つけれども制約が多過ぎると思っていたところだったので、使えるようになれば私もちょっと頑張って自分用の応答ステッカーを作ってみたいと思った。ペンギンのステッカーは良いかもしれないが、Disney のプリンセスのステッカーはダメだ。

PDF フォームへの記入

長年の要望にようやく応えて、Apple は Preview を目に見える形でアップグレードしてくれるのだろうか? Apple によれば、PDF 関連の機能が拡張されてフォームへの入力が手早くできるようになり、AutoFill 機能が Contacts から情報を取り寄せるようになるという。この機能は iOS 17、iPadOS 17、および macOS Sonoma で動作するが、Apple は iPadOS 17 で使えることを強調した。ただし iPadOS 17 は比較的最近のモデルの iPad でしか動作しない。どうやらこのフォーム記入機能はスキャンされた PDF でも動作するらしいが、果たしてそれがフォーム記入を意図せず作られたどんな PDF でも働くのかどうか、期待しつつ待ちたい。

Mac のデスクトップウィジェット

そろそろ登場する頃だと思った。macOS Sonoma では、Notification Center からデスクトップへウィジェットをドラッグして取り出すことができる。(私自身はこれまで Notification Center を使ったことがない。) さらに良いこととして、iPhone 上のウィジェットを Mac で走らせることもできる。これは Continuity (連携) 機能のお陰で、実際には近くにある iPhone、あるいは少なくとも同じ Wi-Fi ネットワーク上にある iPhone の上でウィジェットが走ることになる。そうは言っても、私自身が使うウィジェットは iPhone 上にある CARROT Weather のみなので、Mac 上で魅力あるウィジェットが登場するようになるのかどうか、楽しみに見守りたい。

Widgets on the Desktop in macOS Sonoma

到着報告

私の祖父母の家を家族で訪問して、さてこれから長距離のドライブをして家に帰ろうとする時、私たちはいつも「家に着いたら必ず電話しなさい」と言われる。(これはおそらく私が子供の頃、休暇の前に私を祖父母の家に預けてから帰宅中の両親のおんぼろ車が深夜に故障して、祖父母と私が助けに行かなければならなかったからだろう。あの車は、後輪が薪割り台に置き換わりダダ漏れのラジエーターに庭仕事用ホースが突き刺さった状態でその生涯を終えた。) でも今では、ほとんどの人が無事自宅に着いたことをテキストメッセージで知らせているだろう。ところが Apple はこれを自動化することを狙って新しい Check In 機能を作った。あなたが無事に目的地に到着すれば、家族や友人に通知が届く。また、あなたが進まなくなれば、あなたにそれを知らせる。それに対してあなたが反応しなければ、位置情報と iPhone の状況に関する情報を相手の人に共有する。当然ながら、すべての通信に終端間暗号化が用いられる。

NameDrop で電話番号の共有

誰かと電話番号を教え合うのはいつでも厄介な作業だ。口頭で番号を教えるにせよ、スマートフォンを手渡して番号をタイプしてもらうにせよ、具合の悪いことが多い。そこで新しい NameDrop 機能が AirDrop を活用してそれを担う。あなたの iPhone を誰かの iPhone の近くにかざせば (間違いなく両方が iOS 17 を走らせている必要があるだろう)、連絡先の交換が実行される。もちろんその際には Contact Posters も送られるし、やり取りを始める前に共有したいデータを選んでおくこともできる。iPhone 同士をお互いに近付けることで AirDrop 送信も開始できる。

NameDrop

AirTag の共有

ようやく実現した! Find My が、最大 5 名までの人たちとの間で AirTag やその他の Find My ネットワークアクセサリーを共有できるようになる。これで、家族の中の一人にしか割り当てられていない AirTag で他の家族に起こっていた問題が回避できるはずだ。グループに属する全員が、Precision Finding 機能を使ったり近くにある AirTag にサウンドを再生させて見つけたりできる。

Safari のウェブアプリ

以前から私はサイト特定ブラウザの利点について語ってきた。これは基本的に、一つのウェブサイトを独立動作のアプリに変えるものだ。Arc のワークスペースやピン留めタブのお陰で私にはサイト特定ブラウザの必要がなくなったが、macOS Sonoma で Safari を使う人はどんなウェブサイトでも File メニューにあるコマンドを使うだけで Dock 上に存在するアプリへと変えることができるようになる。内向きと外向き双方の URL の処理を Apple が正しくこなしてくれるかどうか、結果を見守りたい。その点こそが、サイト特定ブラウザで最も厄介な部分だからだ。現在サイト特定ブラウザを作っている BZG やその他の会社に対しては気の毒だと言わざるを得ないが、きっとそれらの会社は懸命に、Safari が提供するものを超えた機能を探しているところだろう。

Web apps in Safari in macOS Sonoma

これらの機能のうちで、皆さんはどれを最も魅力的だと思われただろうか? これら以外に、皆さんが息をひそめて待ち焦がれている機能があるだろうか?

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Adam Engst  訳: Mark Nagata   

Mac 用ウェブブラウザにおける垂直タブ対応総まとめ

新しいウェブブラウザ Arc が私を魅了した機能の一つが、左側のサイドバーにタブを縦に並べるやり方であった。(2023 年 5 月 1 日の記事“Arc はウェブでの作業のやり方を変える”参照。) Arc 以前にも私は Google Chrome 用の拡張や Firefox 用のアドオンを使って同様のことができると知ってはいたけれども、実際に使ってみると扱いにくくてこれはどうにもならないと思った。その後 Microsoft Edge も垂直タブ機能を追加したけれども、私が Mac 上に Edge を置いている唯一の理由は Bing の AI 機能を試すためだけだった。私にとっての大きな盲点は Safari で、これはかなり以前に垂直タブ機能を追加していたのだが、インターフェイスの中で積極的にその事実を伝えようとはしていなかったので、私は気付かないままでいた。そういう人は私だけではない。普段から Safari をメインのブラウザとして使っている Tonya にそのことを尋ねてみたところ、彼女も私と同じように気付かないままだった。

でも今は、私は Arc を使うようになって垂直タブの素晴らしさに完全に慣れ切っているし、他のブラウザでもそれを目にするようになった。あるいはもしかするとこの業界自体が、その機能を求めるユーザーたちの声と、より良いインターフェイスを考え出そうとするブラウザメーカー各社の努力とがうまく出会えた、一種の交差点に来ているのかもしれない。理由はどうあれ、まだ垂直タブを使っていない人たちには、ぜひ試してみるようにとお勧めしたい。現在あなたがお使いのブラウザでもできるかもしれないし、あるいは以下で紹介する新顔のブラウザのどれかを使ってみるのもよいかもしれない。

私にとって Arc の垂直タブが非常に魅力的なのは、ピン留めしたタブを作成し、整理し、改名して、それらをいくつかのワークスペースの中にまとめておき、よく使うページをいつでもクリック1つか2つで開けるようにできるからだ。他のブラウザでは Vivaldi が最も Arc に近く、SigmaOS がそれに次ぐものと言えるが、そのいずれも私が乗り換えたいと思えるほどではなかった。メジャーなブラウザを見渡せば Safari が最も優れていて、タブグループを作成してそのグループ内でタブのピン留めができる。それ以外のメジャーなブラウザもすべてタブグループとピン留めタブに対応してはいるけれども、タブをピン留めした途端にそのタブはグループを離れて、名前を表示したアイコンの代わりに極小のアイコンのみに縮小されてしまう。これでは使い物にならないが、ひょっとすると他のこれらのブラウザのメーカー各社もいずれは理性を取り戻してピン留めタブをグループの中に維持してくれるようになるかもしれない。

Brave

プライバシーを重視しており役に立つ機能が充実しているお陰で以前は私のお気に入りのブラウザであった Brave は、つい最近になってバージョン 1.52 で垂直タブ機能を追加した。オンにするには brave://settings/appearance にナビゲートして Use Vertical Tabs を選べばよい。そうしておけば、タブがスクリーン上部でなく左側のサイドバーに表示されるようになる。

Brave's vertical tabs

タブグループを作成するのは簡単で、複数個のタブを選択してからそれらを Control-クリックし、Add Tabs to Group > New Group を選ぶ。私の場合はまず TidBITS と FLRC のブックマークフォルダを Command-クリックして中にあるタブを全部同時に開いておいてから、それぞれをタブグループにまとめた。

残念ながら、Brave でピン留めタブを作るとそれが垂直タブの一番上へジャンプして、名前なしの極小アイコンとして表示されてしまうので、同じサイト上の複数のページを使いたい場合は区別できなくなって役に立たない。もっと良いピン留め方法が導入されない限り、Brave のタブグループの中で標準的なタブでナビゲートしている際にそのタブの元の URL に戻るためにはその中でナビゲートして戻るしかない。Brave はタブの履歴を覚えており、その記憶は再起動をまたいでも維持されるけれども、それでもやはり手間が掛かる。

Brave における垂直タブの実装は Arc からここに戻りたいと私に思わせるほどではなかったけれども、それでも上辺沿いにマウントされた旧式のタブバーよりは好ましく、私は今後も垂直タブを使い続けたいと思っている。

Firefox

Mozilla はまだ Firefox 自体の中で垂直タブに対応する決断をしていないが、Vertical Tabs Reloaded アドオンを使えば部分的な実現はできる。上辺沿いにマウントされた Firefox のタブバーを置き換えることはしない (私が知る限りタブバーをオフにすることはできない) ので、重複した表示を我慢する必要がある。その点を除けば、Vertical Tabs Reloaded が現在のタブをうまくサイドバー上に表示してくれる。

Firefox はピン留めタブに対応しているけれども、Firefox と Vertical Tabs Reloaded のいずれもタブグループの中にピン留めという概念を持ち込むことができないので、サイドバー上でタブを整理する方法はない。他のブラウザと同じく、ピン留めされたタブは Vertical Tabs Reloaded サイドバーの一番上のところに極小のアイコンとして表示されるのみで、タブを手で整理したとしてもあまり役に立つとは思えない。

Vertical Tabs Reloaded in Firefox

Vertical Tabs Reloaded が Arc の機能を再現するところに遠く及ばないのは事実だが、私が Firefox を使う最小限のテスト用途とトラブルシューティングの目的のためにこのアドオンをアクティブにしておく価値はあると思った。

Google Chrome

Google がまだ Chrome に垂直タブ機能を追加していないのは意外だと思った。Brave と Microsoft Edge のいずれも Chrome をベースにしていてその機能を持っているのだから。それでも、Vertical Tabs などの Chrome 拡張を使うことで Chrome で垂直タブを実現することは可能だ。Firefox の Vertical Tabs Reloaded アドオンと同様、Vertical Tabs 拡張を使うとタブを含んだサイドバーと上辺沿いにマウントされたタブバーの両方を見ることになる。タブバーを隠すことは簡単にはできないからだ。

Vertical Tabs 拡張は Chrome のタブグループを認識せず、ピン留めタブは認識するけれども、Chrome はピン留めされたタブをすべてタブグループと分離してタブバーの左端に集めるので、Vertical Tabs もそれを真似てピン留めされたタブをサイドバーの一番上に集める。

さらにもっと使いにくくしている原因がある。新規のタブを開くと Vertical Tabs はすぐにはサイドバーを表示せず、その新しいタブの内容がすべてロードされた後 1 秒ほど経ってからサイドバーを表示し直して、それからタブの内容が右へスライドする。その際に、下に示した TidBITS サイトでもお分かりの通り、ウィンドウの中央に表示されるべきものが右へずれてしまうことがある、Vertical Tabs がページ幅に関してサイトを混乱させるからだ。

Vertical Tabs extension in Google Chrome

以前にこの拡張を (あるいはこれに似た拡張を) テストした際に感じたと同様に、Vertical Tabs を使っても苦労の割に得るものが少ない気がしたので、私はこのスクリーンショットを撮った後すぐにオフにしてしまった。

Microsoft Edge

Microsoft Edge における垂直タブの実装は、機能性の観点からは Brave のものに似ている。edge://settings/appearance にナビゲートして "Show vertical tabs for all current browser windows" の横にある Turn On ボタンをクリックすればオンになる。何とも奇妙なインターフェイスの判断だ。どうしてそのすぐ上にあるコントロールのようなトグルスイッチにしなかったのだろうか?

サイドバー上にタブグループの内容をビジュアルに連結させて表示する点に関して Edge は Brave よりも少しだけ優れているが、ピン留めされたタブがグループを離れてサイドバーの一番上にジャンプしてしまうという問題があることは同じだ。

Microsoft Edge's vertical tabs

Brave と同様に、私は Edge をデフォルトのブラウザとして使おうとは思わないけれども、使う際には垂直タブのやり方を続けたいと思っている。

Opera

私はもう何年も Opera を使ったことがなかったし、このブラウザは今も継続的に開発中なのだけれども、スクリーンショットを撮る目的のためだけに今回使ってみて、そのセットアップの作業だけさえ煩わしく感じてしまった。でもそういう第一印象は脇に置くとして、Opera 用のVertical Tabs 拡張が存在していて、もう 4 年間以上もアップデートされていないけれども、それでもどうやらきちんと動作するように見える。

セットアップは簡単とは言えないが、いったんインストールを済ませて Opera のサイドバーからアクティベートすれば (それも一目瞭然とは行かなかったが)、タブの作成・グループ化・アクセスはうまくできた。ピン留めタブには対応しているけれども、他の多くのブラウザと同じようにピン留めするとグループを離れて極小のアイコンになってしまう。Vertical Tabs インターフェイスの右上隅にあるピンのアイコンをクリックしてピン留めアイコンを表示させておくのを忘れないようにしよう。

Vertical Tabs extension in Opera

既に熱心な Opera ユーザーである人なら、Vertical Tabs 拡張を使えば大いに役立つだろう。でもだからと言ってそれが他のブラウザから Opera に乗り換えたいと思う動機にはならない。

Orion

私が Arc をレビューした記事を読んでそのメーカーである Kagi が私に連絡して来た時まで、新しい Orion ブラウザのベータ版が出ていることを私は知らなかった。(そしてもちろん、この Kagi という会社はその昔のデジタル取引会社 Kagi とは全く別の会社で、新しい Kagi 社は前の会社から kagi.com ドメインを買い取った。2023 年 8 月 4 日の記事“Kagi、詐欺の餌食となって廃業”参照。)

Orion は非常に興味深い。Safari と同じく WebKit を基盤として構築されているけれども、Chrome 拡張と Firefox 拡張の双方に対応している。ただし現時点ではいくつか注意点がある。開発者たちはこれを高速かつ軽量なものにするため多くの努力を注ぎ、広告ブロックと追跡ブロックの機能を内蔵するなどプライバシーのためのオプションが充実しているところが見事だ。

けれどもこの記事では Orion の垂直方向の、樹状のタブの機能に集中して述べることにしよう。View > Show Vertical Tabs Sidebar を選べばオンにできる。Orion が他と違うのは、この記事で私が議論してきた中ではこれが最初の、タブグループの分離ができるブラウザだからだ。タブグループは Named Window と呼ばれている。サイドバーの一番上にあるポップアップメニューを使って Named Window を切り替えることができ、Orion は再起動をしてもそれぞれの Named Window の内容を記憶している。このようにして Named Window を分離することで、ピン留めタブの有用性も高まる。そう、ここでもやはりピン留めされたタブはサイドバーの一番上に極小のアイコンとしてのみ表示されるけれども、少なくとも全部をごっちゃに集めるのではなくてその Named Window に属するもののみが並ぶ。

Orion's vertical tabs

Orion には Arc に似たビジュアルなタブ切替ツールさえ備わっているけれども、まだベータ版の段階にあることから、私が Orion を別のスクリーンに移した途端にタブ切替ツールが表示されなくなってしまった。それでも、独立のブラウザに興味ある人なら一度 Orion をじっくり見てみる価値はあるだろう。

Safari

Safari に解説は必要ないだろう。ただ、メジャーなブラウザのうちでこれが垂直タブの最も充実した実装を備えていることを知らない人は多いかもしれない。Safari のインターフェイスや Apple のサポート記事のどこを見ても垂直タブという用語は登場しないのだが、Safari でサイドバーを表示させれば、そこにタブやタブグループが表示されている。(混乱の元だと言えるが、ブックマークやリーディングリスト、Shared with You リンク、iCloud Tabs もサイドバーに表示できる。) タブグループが望みの形に表示されるようにするためあちこちクリックして回る必要があるかもしれないが、いったん設定できれば機能性はしっかりしている。

一つのタブグループの中にいる状態で、新規のタブを作成すればその同じタブグループの中に追加され、そのページを頻繁に訪れたい場合には Control-クリックして Pin Tab を選ぶことができる。ピン留めされたタブには名前の右側にピンのアイコンが表示され、ありがたいことに極小のアイコンに縮まったりしない! ちゃんとピン留めされて残る。ピン留めされたタブに対応したウィンドウを閉じれば Safari の Start ページが開くので、うっかり閉じてしまって困ることもない。Control-クリックして Unpin Tab を選べば閉じるし、Close Tab を選べばピン留めが外れると同時にタブも除去される。ピン留めされたタブを望みの順序に並べ替えるにはドラッグすればよい。残念ながら、タブの名前を変更することはできない。嬉しいことに、View > Always Show Tab Bar を選べば上辺沿いにマウントされたタブバーを非表示にできる。

Safari's vertical tabs in the sidebar

きっと多くの人がそうしているのだろうがもしあなたが現在 Safari を使っているなら、まずは垂直タブをオンにしておいて、タブグループの中でピン留めタブを十分に活用することを強くお勧めしたい。Apple は Safari で素晴らしい仕事をしてくれたのだし、少なくともその垂直タブへの対応があなたを勇気付けて、もっと本格的にワークスペースに対応しつつさらなるインターフェイスの洗練を果たした新しいブラウザを試してみるきっかけとなるかもしれない。

SigmaOS

Arc と同じく (そしてすぐ後で述べる Vivaldi とも同じく)、SigmaOS はウェブブラウザのインターフェイスを根底から考え直していて、適切なワークスペースを作り出すために垂直タブを集めるやり方に切り替えている。私はまだ十分に使いこなしていないので本格的な批評を書くことはできないが、これについては自分の考え方を構築し直すのがなかなか難しい気がしているし、全般的に型に嵌らない印象がある。例えば、Command-W を押してタブを閉じる代わりに D を押して "mark tabs as done" を実行する。また、File メニューと View メニューにはそれぞれ1つずつしかコマンドがない。(前者は Print のみ、後者は Enter Full Screen のみだ。) とにかく SigmaOS は奇妙なものだが、少なくともキーボードショートカットのカスタマイズはできるので Command-W を使えるようにすることはできる。

けれども、上で述べた通りに SigmaOS では関連するタブのみを集めたワークスペースを作成することができ、どんなタブも“ロック”することができてこれがどうやらピン留めと同等の働きをするようだ。リストの中でタブをドラッグして好きな順番に並べ替えることはできるが、Arc のようにタブの名前を変更することはできないので、リストはいつもかなり読みにくい。SigmaOS は画面の分割表示にも対応しており、外部リンクを独立のウィンドウとして開くこともでき、複数の Mac の間でワークスペースの内容を同期することもできる。

SigmaOS's vertical tabs

Arc や Vivaldi と同様に、SigmaOS に馴染むまでには少なくとも数日の期間が必要で、その間にいろいろなワークスペースを作成したり、そこに内容を追加したり、キーボードショートカットを設定したりといった作業が必要になるだろう。もしも Arc と Vivaldi があなたの頭脳の働きに合わないと感じたなら、SigmaOS を試してみるとよい。

Vivaldi

これまで Vivaldi を試してこなかったことをちょっと恥ずかしく思っている。これはショッキングなほどに柔軟性豊富なウェブブラウザで、余裕たっぷりに Arc と肩を並べられるほど充実した機能を備えている。Arc と同様に、特有のワークスペースに対応していて垂直のサイドバー上にタブを表示するが、それを上辺沿い、下辺沿い、あるいは右辺沿いにも置くことが可能だ。好きなだけ多くのタブをピン留めすることができ、ピン留めしたタブは標準的なタブと同じように表示されて、役立たずの極小アイコンに収縮されたりしない。ビジュアルなタブ切替ツールも備えていて、デバイス間でセットアップを同期することもできる。

Vivaldi の機能セットは素晴らしいけれども、Arc にあるような細かなインターフェイスへの心配りが欠けているように思える。例えば、サイドバーの色は現在のサイトの色から選ばれるので、下のスクリーンショットでは TidBITS サイトが表示されているため紫色のサイドバーになっている。でもどこか別のサイトへ移れば、サイドバーの色が丸ごと変わってしまうので、唐突にビジュアルが激変する。Subtle テーマを選んでおけばすべてのサイトでサイドバーがグレーになって目がチカチカする度合いは減るけれども、やはり Arc のようにワークスペースごとに異なる色のサイドバーを使うという巧妙なやり方に比べれば見劣りする。

Vivaldi's vertical tabs

同じように、ピン留めしたタブを Vivaldi のサイドバーの中で移動させることはできるけれども、そのためには単にドラッグするのではなくて、まず Control-クリックしてから Move Tab > Up/Down を選ぶ必要がある。また、普通のタブをピン留めタブ領域の上へドラッグしてピン留めすることもできず、まず Control-クリックしてから Pin Tab を選び、それから移動させる必要がある。このように、自分の好み通りに Vivaldi を設定する作業には手間が掛かる。さらに、Arc のようにタブを改名することはできず、そのページに元々付いていた名前をそのまま使わなければならない。

それでもなお、もしも私が既に Arc を気に入って使っていなかったとしたならば、すぐにでも Vivaldi に乗り換えることを本気で検討したことだろう。それほどにこれは、メジャーなブラウザのどれよりもずっと優れていると同時に、SigmaOS ほどにかけ離れたやり方へ手を伸ばそうとはしていない。

結びに一言付け加えれば、多数のタブを同時に開くことなどほとんどない、あるいは一日に何時間もウェブブラウザの中で仕事をすることなどないという人には、垂直タブはただ単に目新しいだけで、機能的には従来と何ら変わらないと思えることだろう。でも、ブラウザに頼るところが大きい人、とりわけアイコンのみでなく名前でタブを見分けられる方が良いと思う人には、現時点で使える垂直タブのいろいろな選択肢を試してみることを強くお勧めしたい。

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

1Password 8.10.7 Agen Schmitz

1Password 8.10.7

AgileBits が 1Password 8.10.7 をリリースして、LastPass からのパスワードの読み込みにさらなる改良を加えるとともに、いくつかのバグ修正を施した。LastPass インポータが LastPass のビジネスアカウントの中の共有フォルダからアクセス権を読み込むようになり、共有フォルダを読み込む際に項目や添付物の重複を防止するようになり、アプリケーション項目を Login 項目として読み込むようになった。1Password は対応言語の一部で Crowdin による新しい翻訳を使ってローカリゼーションを改善し、すべてのアカウントからサインアウトした後で歓迎スクリーンが機能しなくなった問題を解消し、アプリのメインウィンドウが再起動後にサイズと位置を覚えているようにし、Touch ID でロックを外す機能が使えなくなったバグを修正し、読み込み機能を改良して情報の同期作業中にタイムアウトが起こらないようにした。(購読年額 AgileBits から $35.88、新規にアカウントをセットアップする TidBITS 会員は 6 か月間無料、無料アップデート、4.8 MB のインストーラダウンロード、リリースノート、macOS 10.15+)

1Password 8.10.7 の使用体験を話し合おう

Quicken 7.1 Agen Schmitz

Quicken 7.1

Quicken Inc. が Quicken for Mac のバージョン 7.1 をリリースして、Loan アカウントの中の古いチャートを現代的でネイティブなバージョンで置き換えるとともにさらなるオプションも提供するようにした。今回のリリースではまた、Holdings 投資ダッシュボードに "tip" 機能を追加して前日の終値との価格の違いを比率と金額の双方で表示するようにし、Schedule カラムの中のリンクを付け直して一覧表でなく Transaction Details シートが開くようにし、Successful Connections セクションでアカウントを見やすくするためにユーザーインターフェイスを更新し、カナダ専用タイプのアカウントを作成する際には通貨として CAD を使うようにした。(講読年額 $34.99/$51.99/$77.99、購読者は無料アップデート、3.2 MB のインストーラダウンロード、リリースノート、macOS 10.15+)

Quicken 7.1 の使用体験を話し合おう

DEVONthink 3.9.1 Agen Schmitz

DEVONthink 3.9.1

DEVONtechnologies が DEVONthink 3.9.1 をリリースして、一部の PDF アプリケーションが作成した曲がりくねったアンダーラインの PDF 注釈への対応を追加した。この書類および情報マネージャへの今回のメンテナンス・アップデートではプレインテキスト、リッチテキストおよび Markdown 書類でいくつかの行を選択したものをキーボードショートカットで移動できるようになり、また PDF の中の行注釈を動かす際に Shift キーを押さえていると 45 度の倍数で回転されるようになった。さらに、Markdown 書類でリンク先の画像を編集した後で自動的にプレビューが更新されるようにし、クリップボード上の画像データから Data > New > With Clipboard を使って新規書類を作成する際に (TIFF でなく) PNG ファイルを使うようにし、ウェブコンテンツをクリップしたり書類をウェブアーカイブに変換したりする作業の信頼性を増し、一部の EPUB 書類で表示や検索ができなくなっていたバグを修正し、(リッチテキストなど) 一部のタイプの書類でサムネイルの作成の際に起こった問題を解消した。(DEVONthink 新規購入 $99、DEVONthink Pro 新規購入 $199、DEVONthink Server 新規購入 $499、TidBITS 会員にはそれぞれ 15 パーセント割引、無料アップデート、リリースノート、135 MB、macOS 10.14+)

DEVONthink 3.9.1 の使用体験を話し合おう

Audio Hijack 4.2 Agen Schmitz

Audio Hijack 4.2

Rogue Amoeba が Audio Hijack 4.2 をリリースして、幅広い内容の機能追加、改良、およびバグ修正をこのオーディオ録音ワークフローアプリに施した。今回のアップデートでは新しいブロックをいくつか追加した。スピーチから背景雑音を除去する Speech Denoise、特定の周波数を増幅または削減する Parametric EQ、およびロードされたインパルス応答を使ってオーディオ信号に変更を加える FIR Filter だ。また、ブロックライブラリの検索を改良し、System Audio ブロックで Exclude Source メニューの修正を含む改良を加え、VoiceOver にいくつかの重要な更新を加えてアクセシビリティを高め、Audio Hijack の Safe Mode を更新してスクリプトが起動ごとに走るのを防ぎ、Audio Capture Engine (ACE) をバージョン 11.9.3 にアップデートし、新しい ACE をインストールすると再起動後に誤った "Almost Ready" 画面が出ることがあった問題を回避した。(新規購入 $64、TidBITS 会員には 20% 割引、無料アップデート、34.8 MB、リリースノート、macOS 10.15+)

Audio Hijack 4.2 の使用体験を話し合おう

BusyCal 2023.2.3 and BusyContacts 2023.2.1 Agen Schmitz

BusyCal 2023.2.3 and BusyContacts 2023.2.1

BusyMac が BusyCal 2023.2.3BusyContacts 2023.2.1 をリリースした。BusyCal の Journal 項目が今回からアプリ全体を通して表示され、通常のイベントとは違って見えるようになった。また、このカレンダーアプリは Google Calendar ユーザーがミーティングの招待状を編集できるようにし、選択したイベントのコンテクストメニューに Copy to Calendar 項目を追加し、Edit メニューに Paste as Task (複数行にわたるテキストを別のタスクとしてペーストできる) 項目を追加した。

連絡先管理については、BusyContacts が関係する連絡先へのリンクが切れていた問題に回避策を施し (新規に編集した関係についてのみ適用される)、関係する会社の連絡先をクリックしても親カードが開かなかったバグを修正した。(BusyCal は BusyMac からも Mac App Store からも新規購入 $49.99、無料アップデート、Setapp からも利用可、57 MB、リリースノート、macOS 10.15+。BusyContacts は BusyMac からも Mac App Store からも新規購入 $49.99、無料アップデート、Setappからも利用可、23.6 MB, リリースノート、macOS 10.15+)

BusyCal 2023.2.3 と BusyContacts 2023.2.1 の使用体験を話し合おう

Camo Studio 2.0.3 Agen Schmitz

Camo Studio 2.0.3

Reincubate が Camo Studio 2.0.3 をリリースした。DSLR や GoPro で動作するように作られた仮想カメラへの対応を拡張した、メンテナンス・アップデートだ。この仮想カメラシステムは今回から何らかのアプリがビデオフィードを使おうとする際に自動的に起動するようになり、読み込んだフィルターを自動的にビデオに適用するようにし、接続された Android デバイス上の USB デバッグをオフにせよという警告アラートの押し付けがましさを軽減し、Continuity Camera との自動接続の挙動を改良し、Wi-Fi 経由で接続して録画する際にビデオが壊れることがあったバグを修正し、Camo Studio が使おうとするカメラを他のアプリケーションがロックしていた場合に起こった問題を解消し、また VoiceOver 対応を向上させた。(購読年額 $39.99、無期限有効ライセンスは $79.99、無料アップデート、42.3 MB、リリースノート、macOS 10.13+)

Camo Studio 2.0.3 の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

訳: Mark Nagata   

Adam Engst

Google の .zip から変な最上位ドメイン名を警戒すべき理由が分かる

Medium の記事に Bobbyr がこう書いている

Google が .zip という新しい TLD つまり "Top Level Domain" (最上位ドメイン名) を開始した。つまり、今後はたった数ドル程度の料金で .zip ドメインを購入でき、.com や .org などのドメインと同様に使えるようになる。セキュリティ研究者からは即座にこの TLD の潜在的危険性を警告する声が挙がり始めた。この短い記事では、悪意ある者がこの TLD を @ オペレータやユニコード文字 ∕ (U+2215) と組み合わせて利用することで極めて信憑性があるように見えるフィッシング攻撃を作成できることについて紹介しよう。

この .zip という最上位ドメイン名はセキュリティの観点からはとんでもないものだし、誰か分別ある人が .jpg, .gif, .pdf, .exe などもトップレベルドメイン一覧から外してくれないかと願うばかりだ。興味深いことに、Michael Tsai がこの .zip という名前が元々は Iomega の今は使われていない Zip ドライブを指していたと指摘している。悲しいことに、.floppy や .betamax と同様にこの名前が却下されることはなかった。

Google .zip top-level domain

一般的に言って、私が WordPress のセットアップでスパムボットの作成したアカウントを掃除している際の経験では、変わった最上位ドメイン名で終わる電子メールアドレスはすべて偽物だ。ここでの教訓は、たとえウェブプロジェクトのために普通でない最上位ドメイン名を登録せざるを得なかったとしても、それを電子メールに使ってはいけないということだ。

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