先週 Apple は Q2 2024 業績を発表した。同社はなお売上げ 908 億ドルと収益 236 億ドルを記録したが、前年に比べて売上げは 4% 減少した。どの部分が上がりどの部分が下がったか、その理由は何かを Michael Cohen が検討する。Adam Engst は iPhone 用 MagSafe の世界に飛び込んで、Continuity Camera と StandBy という2つの機能を活用するとともに、仕事部屋、寝室、自動車のすべてで手軽に充電できるようにする。オンラインメッセージングの歴史を語る Ars Technica の記事と、"user" (ユーザー) という用語に関する問題を論じた MIT Technology Review の記事も簡潔に紹介する。今週注目すべき Mac アプリのリリースは DEVONagent Pro 3.11.8 と EagleFiler 1.9.14 だ。
2024 年第2四半期の業績を報告し、Apple は $23.6 billion (希薄化後一株当り$1.53) の利益と $90.8 billion の売上げを発表した。これらの大きなそして非常にしっかりした数字に影を落とすのは、前年同期と比較すると同社の売上げが 4%減少したことで ("Apple の Q2 2023 業績、為替と "マクロ経済条件" 故に微減収"5 May 2023 参照)、過去6四半期で5回目の減収となった。
Apple は、昨年パンデミック関連の供給不足を埋め合わせてより高い売上げを享受していたため、それよりは弱い結果を予想していた。CEO Tim Cook は、その1回限りの売上げ注入を前年比比較から外した場合、今年の第2四半期の売上げは昨年よりもわずかに高かっただろうと指摘した。また Q2 2023 は Q2 2024 より1週間長かった。
この四半期の売上げ報告の花形部門は Services で、昨年の結果よりも 14% 増加し、Apple の全売上げの 26% を占めた。Mac もまた好調で、ほぼ 4% 上昇し、Apple の全売上げの 8% という割合を維持した。他の3つの部門はすべて大幅に減少し、iPhone の割合は収益の 51% に低下し、昨年の 54%、前四半期の 58% から減少した。Apple が Services に重点を置いていることは、これまで以上に賢明なビジネスの動きのように見える。
iPhone
Q2 2024 の iPhone の売上げについて議論する際、Apple は、Q2 2023 には同社がCOVID 関連のサプライチェーンの混乱で抑圧されていた需要を満たしたために売上が急増したので、"比較が難しい" という言い回しを繰り返し使用した。Cookはまた、Apple は iPhone の成長を中国本土でまだ見ており、最も売れている2つのスマートフォンはローエンドの iPhone 15 とハイエンドの iPhone 15 Pro Maxだったことにわざわざ言及した。そうではあっても、iPhone の販売はわずか $46 billion で、前年同期から 10.5% も減少した。
Mac
Apple の Mac の売上げは、主として 13-inch と 15-inch MacBook Air の M3 モデルのリリースのおかげで、前年同期比 3.9% 増の $7.5 billion に増加した ("新型 M3 MacBook Air モデルは2台のディスプレイを駆動出来る" 4 March 2024参照)。我々は驚いていない - これらの Mac は、初めての M シリーズ MacBook Air を購入する人達に対して説得力があり、それ等がもっと多くのアップグレードを誘引しないかもしれない唯一の理由は、M1 と M2 モデルでも殆どの人にとってそれで十分であるということである。今年はより多くの Mac が M3 チップに -またはひょっとすると噂の M4 に - アップグレードされている事を考えると、Macの販売は健全なまま推移する可能性が高いように見える。
iPad
Cupertino から新しい iPad が登場してから長い時間が経った。それは、iPad の売上げが急落している理由を説明する一つの良いやり方の様に見える。しかしながら、Cook は、新しい iPad が市場に投入されるので、その減少は来四半期に終了し、うまく行けば2桁の売上げ成長に迄到達すると予想している ("Apple "Let Loose" イベント 7 May 2024 に" 23 April 2024 参照)。iPad の売上げは前年同期比で 16.7% 減少したが、Apple は iPad の設置基盤が史上最高であると指摘した。(これは明らかな疑問を提起する:現在のほぼ全ての製品の設置基盤は常に史上最高なのではなかろうか? それに代わるものは、購入されたよりも多くの iPadが廃棄されている必要がある。それは、市場から消えていく製品にのみ当てはまるように思える、iPod はその様な状態が何年か続いた。)
Wearables
第2四半期の Wearables の売上げは2年連続で減少した。しかしながら、Q2 2023の減収は 1% 未満だったが、今年の売上げは痛みを伴う 9.6% の減少であった。Cook は、この下落を再度 "比較が難しい" に帰したが、Apple Watch と AirPodsは過去2年間は9月にリリースされたことを考えると、彼が何に言及していたのかは不明だ。我々にも分かる Q2 2023 の唯一の好材料は、February 2023 の第二世代の HomePod のリリースであるが、それがそれほど数字を上昇させた可能性は低いように見える ("第二世代 HomePod、空間オーディオ、温湿度監視、音認識をサポート" 18 January 2023 参照)。
Cook は Vision Pro を賞賛したが、それがどれだけ売れているかについては何も言わなかったし、それが Wearables の売上げに大きな影響を与えたようには見えない。彼は何度かこの製品に対する企業顧客の強い関心に言及したが、それが単なる希望的観測なのか、製品販売の成長の兆候なのかは、時間だけが教えてくれる。
Services
一連のサービスに出来るだけ多くの人々を取り込もうとする Apple の努力は報われている。Mac の増加にも拘わらずハードウェア全体の売上高は大幅に減少した一方で、Services は前年同期比 14.2% と途方もなく成長し、Apple の売上げに$23.9 billion 貢献した。この部門の継続する売上げに関して、Apple は、有料定期購読はこの四半期中に2桁の成長を経験し、定期購読はうれしさが続く売上げの贈り物だと指摘した。Apple の Services 売上げへの依存度が高まっていることを考えると、同社が iCloud アカウントの無料ストレージレベルを何年も前から続くみすぼらしい 5GB から引き上げるのを期待するのは難しそうだ。
地域別
Apple の地域別業績は様々で、一部の地域 -Americas と Europe - は一般的に安定した或いは増加した売上げを計上しているが、他の地域 - Greater China, Japan, そして Rest of Asia Pacific - は減少を示した。減少は Apple の製品と言うよりも、地域の経済的懸念に関係している可能性があり、中国経済の減速がApple の現地での売上げ減少に寄与している。Cook は、India と Indonesia を含む幾つかの新興市場が記録的な四半期結果を生み出したと述べた。新しいEuropean Union 規則を考えると ("EU が壁に囲まれた Apple の庭を開放させる"29 January 2024 参照)、Apple はこれらの国でのアプリストアの運営のやり方の変更に直面しているが、Cook は、これらの変更が今後数ヶ月での Apple の Europeの売上げにどのように影響するかを判断するのは時期尚早であると言った。
Daring Fireball の John Gruber は、どの国が Europe 地域に含まれているのか興味を持ち、実際にはヨーロッパ、アフリカ、中東、そしてインドの全てが含まれていることを発見した。Greater China には中国本土、香港、台湾が含まれ、インドネシアは、オーストラリアそしておそらくニュージーランドと共に、Rest of Asia Pacific に属する。
先行き
来週、Apple は新製品 - まず間違いなく iPad - を発表し、Worldwide Developers Conference まではわずか一ヶ月で、どちらのイベントも Apple の売上げ構成に影響を与えることは確実であろう。Apple は将来への見通しにも十分な確信を持っているようで、株式買戻しのためにさらに $110 billion を承認し、四半期配当金を再び引き上げたが、それが信任投票なのか、或いは疑わしい見通しに対して平静を装う試みなのかは時間だけが答えられる質問である。
討論に参加
私は新しい物が好きなことが多いが、必ずしもいつもそうである訳ではない。Apple はまず 2019 年の iPhone 8 で Qi 規格を使うワイヤレス充電をデビューさせ (2019 年 6 月 10 日の記事“私がワイヤレス充電について心配するのを止め、好きになった経緯”参照)、その後 2020 年の iPhone 12 で MagSafe 充電テクノロジーを導入した。(2020 年 11 月 6 日の記事“MagSafe はクールだが、一新するだけの価値はあるか?”参照) その期間中ずっと私は Qi または MagSafe に互換の iPhone を持っていたのだが、Tonya から贈り物として素敵な木製の Qi 充電器をもらったのにそれが全く動作しなかったこともあって、私はケーブルによる充電を使い続けていた。最初は Lightning、その後 iPhone 15 Pro からは USB-C を使っていた。
ケーブルを差し込むのは別に難しいことではないし、大して困ることもなかった。ただ、ポケットの糸屑を爪楊枝を使ってポートからかき出したり、うっかりケーブルを引っ掛けて iPhone を床に落としポートにダメージを与えないかと心配したり、いずれケーブルが擦り切れて交換しなければならなかったりということがあるだけだ。
私が最初に MagSafe に興味を持ったのは、iPhone 15 Pro 用にできるだけ薄型のウォレットケースが欲しいと思ったからだった。それまで iPhone 14 Pro で使っていた Smartish Wallet Slayer Vol. 1 ケースを使い続けることもできたけれども、それでは自宅を出た際にしか必要でないカード類をいつも持ち歩くことを意味していた。私はほとんどの時間を自宅の中で過ごすのだから。普段は iPhone をスリムで軽い状態にしておいて、外出する時だけ MagSafe ウォレットを取り付けるのが良いのではないかと考えたのだ。
それにまた、Apple エコシステムに起こった二つのソフトウェア上の変化も私の興味を惹いた。第一に、iPhone で Continuity Camera (連携カメラ) 機能を使えば 27 インチ iMac 内蔵の FaceTime HD ウェブカメラよりもビデオ画質が大幅に向上するのではないかと考えた。そして第二に、StandBy 機能を使えば iPhone をデスク上のミニ額縁として使えて楽しいのではないかと思えた。(その意味で、StandBy 機能が iPadOS にも実現されればよいのにとも思う。) 当初私は StandBy 機能が寝室で役立つことに気付いていなかった。
Continuity Camera も StandBy も、いずれも MagSafe を必要としている訳ではない。Continuity Camera 機能については、目の高さくらいの位置に iPhone をマウントすることで相手に話しかけていることがうまく伝わるようになるが、マウントの方法は必ずしも MagSafe でなくともよい。Continuity Camera 機能を使っているとかなり早くバッテリー容量が減るものだが、Mac から iPhone へ充電ケーブルを繋いでおくのも簡単だ。StandBy 機能の方は iPhone がロックされ、充電状態にあって、横長に置かれていることが必要だが、それもケーブルと適切なスタンドがあれば実現できる。
しかしながら、MagSafe があればすべてがずっと簡単になる。ケーブルの抜き差しは、とりわけモニタの背後など手の届きにくい場所や、あるいは夜中の寝室などではなかなか面倒だし、抜き差しする間に iPhone を取り落としたり、ケーブルを変に引っ張ってしまったりすることもある。ところが MagSafe では iPhone をマウント上にポンと置くだけで済むし、そうするだけで自動的に正しい位置に貼り付いて充電も始まる。
MagSafe ウォレットケース: Smartish Gripmunk と Side Hustle
私が最初に購入したのは、Smartish Gripmunk ケースに Side Hustle MagSafe ウォレットを付けたものだった。Smartish のケースは Electric Sheep スクリーンセーバから選んだ静止画像でカスタマイズできるので、私は大いに気に入っている。デフォルトのデザインの Smartish ケースを買う方が安いけれども、カスタマイズしたことで価格は Gripmunk ケースが $39.99、Side Hustle ウォレットが $34.99 となった。合わせて $75 でちょっと値が張るが、このデザインを私は気に入っている。
MagSafe の観点からもこの Gripmunk ケースは成功だった。私が試したどの MagSafe 充電器やマウントでもうまく使えて、ケースなしの状態と比べても同じくらいしっかりとくっついた。(私はガサツな人間ではないと思うけれども、iPhone を硬い面の上に落としたことが何度もある。Joanna Stern の落下実験を見ればケースを付ける意味がよく分かる。)
MagSafe ケースにウォレットも組み合わせると、iPhone パッケージ全体があまり小さくも軽くもなくなることで多少不満が残った。Gripmunk ケース単独では Smartish Wallet Slayer Vol. 1 ケース (カードを収納した状態) に比べて 4 mm 薄く 2 g 軽い。けれども Gripmunk ケースに Side Hustle MagSafe ウォレットを取り付けると立場が逆転して、Wallet Slayer ケースの方が 5 mm 薄く 42 g も軽くなる。
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Gripmunk (カードなし) |
Gripmunk & Side Hustle (カード収納) |
Wallet Slayer
(カードなし) |
Wallet Slayer (カード収納) |
厚さ |
12 mm |
21 mm |
16 mm |
16 mm |
重量 |
228 g |
290 g |
230 g |
248 g |
おそらくこちらの方がもっと重要な点だが、Wallet Slayer ケースの方が角が丸くなっていてポケットに入れやすいのに比べて、Gripmunk ケースに Side Hustle ウォレットを取り付けるとゴツく角張ってポケットに入れにくい。
全体的に見て、Gripmunk に Side Hustle を取り付けた組み合わせはまあまあ良い妥協点だと思う。自宅にいてクレジットカードや運転免許証や保険証カードをすぐに取り出す必要がない場合はこちらの方が断然良いのだが、外出中には Side Hustle ウォレットが付く結果としてこれまでの Wallet Slayer ケースより扱いにくい。
MagSafe Continuity Camera マウント: Belkin と AllenVentions
さて、Gripmunk ケースが手に入ったので、今度は私の 27 インチ iMac で Continuity Camera 機能を使うためのマウントを探し始めた。まず目についた選択肢は $39.99 の Belkin 製の Stage という Mac デスクトップおよびディスプレイ用 MagSafe 対応 iPhone マウントだった。これはこの種のマウントの中で Apple が最初に Apple Store に置いた製品であった。Belkin は Mac ノートブック用にも Stage iPhone マウントを $29.99 で出している。
この Belkin Stage はデザインも良く、しっかりした作りだ。金属製だが、表面はソフトで滑らかだ。見た目も感触も素晴らしく、スクリーンを傷付けたり跡が残ったりする心配もない。上端のエッジ部分が細くなるように仕上げられている 27 インチ iMac にも、上端面が厚くて角張った仕上げの 27 インチ Thunderbolt Display にも、どちらにもしっかりと取り付けられる。
マウント上に iPhone を置くのも簡単だ。マウントの向こう側に iPhone の裏面を取り付けて、背面カメラが私の方を向くようにすればよい。Zoom などで通話を始める前に取り付けておけば、macOS は自動的にその iPhone をデフォルトのカメラだと認識する。通話を始めた後で iPhone を取り付ければ、手作業でカメラとして選択しなければならない。いずれにしても、iPhone 15 Pro のビデオ画質 (下左) の方が iMac の FaceTime HD カメラ (下右) より断然良い。Center Stage 機能が見事に働いて、私が部屋の中を動き回っても動的にズームして私を映像の中心に置いてくれるし、Studio Lighting 機能のお陰で私の顔の中で影になった部分が減る。この例では Portrait Mode をオンにしなかったが、背景をぼかすために Portrait Mode を使うことはよくある。
ある時、Glenn Fleishman と一緒に Continuity Camera 機能をテストしながら、左向きに iPhone をマウントしてカメラを低めにすることも、右向きにマウントしてカメラを高めにすることも、どちらもできることに気付いた。私が見たことのある製品写真ではすべて、Continuity Camera のためにマウントされた iPhone はカメラが右側になっていたが、それとは逆にカメラが左側に来るようにマウントしてやると、カメラの位置が私の目に近い高さになって、よりまっすぐ Glenn の目を見て話している印象が生まれた。皆さんも、一度いつもと反対向きにマウントしてみて、どちらがうまく機能するか比べてみるとよいだろう。
この Belkin Stage マウントは iPhone を支える点では文句なく使えたが、私はすぐにその弱点に気付いた。Continuity Camera 機能を使っていると、あっという間にバッテリーが空になるのだ。だから、マウントに MagSafe 充電器を組み込んで、iPhone をマウントから取り外したときに少なくとも開始時点と同等のバッテリー残量があるようにする必要がある。
MagSafe 対応の Continuity Camera マウントを見つけるのは思ったより難しいことだった。iPhone を支えつつ MagSafe を使った充電ができるスタンドは数多くあったが、Belkin Stage と同じようにスクリーン上端に取り付けるマウントで MagSafe 充電もできるものは非常に少なかった。この記事を書きながら私は $24.99 の SODI Continuity Camera Mount for Desktop Monitor & iMac というものもあると気付いたが、その前に私が見つけられたのは $22.99 の AllenVentions Continuity Camera Mount for iPhone だけで、これは Etsy で販売されている 3D プリンターや手作りによる数多くの巧みな製品のうちの一つだ。
AllenVentions マウントの工業デザインは Belkin Stage と似ているが、Stage が円形の金属製マグネットを使っているのに対してこの AllenVentions マウントは 3D プリンターで作られたプラスチック製のドーナツ型の中に標準の Apple MagSafe 充電器をはめ込むようになっている。かなりきつくフィットしているが、簡単に取り出すこともでき、ノッチを使って充電ケーブルを下または左右のどの方向にも向けることができる。3D プリンターによるプラスチックなので Belkin Stage のような重量感はないが、AllenVentions はそのプラスチックの表面をソフトな素材で覆っており、ネジ部分やヒンジ部分は金属製だ。たぶん耐久性の面では劣るだろうが、ただ取り付けてそのままにしておくアクセサリーなので、耐久性が問題になるとも思えない。
使ってみると期待通りの働きをする。iPhone を支えつつ、MagSafe で充電する。長時間の Zoom 会議で iPhone を使っても、会議中に iPhone のバッテリーが空になったり会議直後に iPhone がまともに使えなくなったりする心配は要らない。たった一つ意外だったのはカメラが左側に来るように iPhone をマウントできないことで、それをするとマウントの上端がビデオ映像に映り込んでしまう。ひょっとするとこの点が、すべての製品写真でカメラが右側になっている理由なのかもしれない。
率直に言って、頻繁に Continuity Camera 機能を使うのならば、是非とも MagSafe 充電器を組み込んだマウントを入手しておくべきだ。Apple の充電器を取り付けるスペースを確保してあるだけのマウントは数多く売られている。Apple の充電器は Apple から $39 で購入できるし、Amazon でもう少し安く売られていることが多い。(これを書いている時点で $33.15 だ。) また、もっとずっと安い値段で模造品の MagSafe 充電器が Amazon で多数売られているが、正確なサイズになっているかどうかをあらかじめ知る方法はないし、電源を供給するもののためにあまりケチケチすることはお勧めできない。
MagSafe デスクマウント: BurdProducts
こうして Continuity Camera 機能については方が付いたので、次に StandBy 機能を使って iPhone をデスク上の小型の額縁に変えるためのマウントを探す作業に取り掛かった。ここでは MagSafe 充電が内蔵されていることが必要だ。StandBy 機能は iPhone がロックされ、充電状態にあって、横長に置かれている場合のみに働くもので、そういう目的のためにわざわざ USB-C ケーブルをいじくり回す気にはなれないからだ。
MagSafe 充電スタンドは世の中に無数に出回っているが、その中には縦長にしか置けないものもある上に、大き過ぎるものが大多数だ。私は仕事机の上の iMac の下側に iPhone を横長に立てておきたいのだが、iMac の下側の空間の高さは机の表面からたったの 2.5 インチ (6.5 cm) しかない。高い位置でスタンドが iPhone を支えれば、iPhone が iMac と重なってしまって具合が悪い。それに、こうやって iPhone を立てておくことがどれほど役に立つか確信が持てなかったので、あまり大金を支出したくなかった。
結局私は Etsy の製品を選び、$10.99 を払ってもう一つ別の 3D プリンターで作られた仕掛けを手に入れた。BurdProducts の MagSafe Desk Mount だ。これは AllenVentions Continuity Camera よりも単純な、一体成形のプラスチック製だ。MagSafe 充電ケーブルがスロットにはめ込まれ、後方に出て行くようになっている。充電器のパック部分はマウントの前面部分にぴったりはめ込まれる。
机の表面または裏側にネジ止めできるようにネジ穴が設けられているが、私と同じくそのように固定するのを嫌う人なら、取り外し可能な両面接着テープを使えば、滑らかで清潔な表面にならば驚くほど強く接着できる。BurdProducts デスクマウントの底面は狭いけれども、十分しっかりと固定される。
StandBy 機能は期待通りに動作するけれども、煩わされないようにするために Settings > StandBy で通知をオフにしておく必要があった。でも実は、私は iPhone をポケットから取り出してマウントの上に置くのを忘れてしまうことが多いので、この使い方は当初予想していたほどには役に立っていない。
ただし、BurdProducts マウントの予想外の利点が一つあった。私は最近になって USB-C ベースの MagSafe 充電ケース付き第2世代 AirPods Pro にアップグレードしたのだが、充電ケースを BurdProducts マウントに取り付けるだけで簡単に充電できるので、時々 AirPods Pro ケースにケーブルを差し込んで充電するのを忘れないように心掛ける必要がなくなった。
MagSafe ベッドサイドスタンド: KU XIU X55 Fast Wireless Charger
仕事机の上では StandBy 機能に期待したほどの魅力がなかったので、寝室でのマウントのためにさらにまた出費をすることにためらいを感じてしまった。ところが、両面接着テープが取り外し可能なので一時的に BurdProducts マウントを寝室に持ち込んで試してみたところ、夜に使う StandBy 機能を大いに気に入ったので、やはり専用の充電スタンドを買うことにした。
ここでもまた、iPhone を横長に置ける MagSafe 互換なスタンドは数限りなく出回っているけれども、私の好みより大き過ぎるものや、夜中に簡単に跳ね飛ばしてしまいそうなものや、価格が私には高過ぎるものが多かった。しばらくの間私はどれにするか決めかねていたが、Michael Tsai が KU XIU X55 Fast Wireless Charger, Magnetic Foldable 3 in 1 Charging Station というものを薦めている記事を見つけた。定価は $79.99 だが、もっと安く売られていることが多い。同社は今は $37.99 で販売しており、Amazon では現在価格が $49.99 と表示されているけれども、私は $39.99 と表示されていたタイミングで購入した。(非常によく似た X40 という製品もあって少し良い素材を使っているが、定価は $109.99 となっていて通常 $70 ほどで販売されている。)
この KU XIU X55 は 3 つの部分からできている。底部は AirPods Pro ケースを充電でき、中央部には Apple Watch を充電するための折り畳み式の円板が付き、上部には MagSafe 互換な充電器が組み込まれている。底部の側面には USB-C ポートと、充電状況を色で示す極小の表示ランプがある。ごくわずかの光なので、以前旅行用の充電器でしたように何かで表示ランプを覆い隠す必要を感じることはなかった。(2022 年 11 月 4 日の記事“OneWorld 65 が国際プラグアダプタを 65W USB-C 充電器に統合”参照。)
AirPods Pro を寝室で使うことはないので底部の充電器を私は使わないが、中央部の円板の上で私の Apple Watch Series 9 をうまく充電できるし、iPhone 15 Pro は上部の MagSafe 充電器にしっかりと取り付けられる。Apple Watch が 128K Mac みたいに見える Elago W3 Stand の見栄えは好きだったけれども (2017 年 3 月 2 日の記事“新しい Apple Watch のスタンドは、128K Mac の姿”参照)、Apple Watch の置き方が少しずれるだけで全く充電されないことがあった。対照的に、この X55 でそんな事態が起こったことはまだない。
この使い方では頭でっかちになってすぐにひっくり返ってしまうのではないかと心配だったが、使ってみるとそういうことは起こらなかった。私が使っている両面接着テープは X55 の底面のソフトシリコンにはくっつかないので、テープを使う必要がないと分かって嬉しかった。それまで私は iPhone に充電ケーブルを刺したり抜いたりするのは大して面倒なことではないと思っていたけれども、MagSafe を使い始めたことであらゆる体験が良い方向に変わったと認めざるを得ない。iPhone を磁力で付けたり外したりするのは簡単で、取り付ければ即座に StandBy 機能が働いて時刻が表示される。どういう訳か StandBy 機能は自動的に寝室では時刻を、仕事部屋では写真を表示してくれる。
StandBy 機能に感じていたもう一つの懸念は、表示が明る過ぎるのではないかということだった。けれども暗い部屋の中では時刻表示が暗い赤色に変わり、iPhone のセンサーを利用して動きを感知した場合にのみ時刻を表示する。だから、ベッドの中で時刻を知ろうと頭をもたげれば時刻が表示され、数秒後に表示が消える。表示の文字が大きいので眼鏡をかけなくても時刻が読み取れてありがたい。Nightstand モードにした Apple Watch ではそうは行かない。
X55 のもう一つの利点は、旅行の際に使えることだ。まだ実際の旅行で使ったことはないが、十分に小さくて軽いので次に旅行に出かける際にはこれを鞄に放り込んで、一つの電源から iPhone と Apple Watch と AirPods Pro を同時に充電できるようにしたいと楽しみにしている。Tonya と私が一緒に旅行する際には、充電すべきものがたくさんあって使える電源コンセントの数が足りず困ることがよくあった。
MagSafe 車内充電: Anker Car Charger および MagSafe Charger
先月、皆既日食を見るためにニューヨーク州 Oswego まで車を運転して行った際に、GPS ナビゲーションのために iPhone を使う必要があったのだが、以前から車に積んでいた Lightning ケーブルの他に USB-C ケーブルも追加しなければならないことを忘れていたので、その日の終わり頃には iPhone のバッテリー残量がかなり少なくなっていた。その体験から、運転中も iPhone を充電し続けておくために MagSafe が使えるのを意識するようになった。充電ケーブルを使わずに済ますのが重要だ。電源プラグの位置の制約があって、ケーブルを繋いだ状態では iPhone を見やすい場所に自然に置くのが無理だからだ。
そこで私はいろいろな車載マウントを検討してみたが、iPhone をしっかり支えられるか疑問に思えるものが多かったし、通気口を塞ぐので問題が起きると思えるものもあった。また、私たちの 2015 年型 Subaru Outback 専用に設計されたマウントは価格がとても高かった。加えて、MagSafe 充電器のケーブルがコンソールの上をうねうねと這い回るのも嫌だった。
そうこうするうちに私は Outback のコンソールの下の方に小さな蓋付きの収納コンパートメントがあってその中に USB ポートとシガレットライターポートが隠されていることを思い出した。(いや、シガレットライターが付属している訳ではない。) この蓋の上に iPhone を置けば見やすいし、両面接着テープでこの蓋に MagSafe 充電パックを正しい場所に貼り付けられるだろうと気付いた。ほんの数秒間試してみただけで、予想は正しかったと分かった。
次の問題は、この Outback のコンパートメントの中にあるのは USB Type-A ポートなのに、MagSafe 充電器は USB-C プラグを使っていることだった。私は USB-C to USB Type-A アダプタを持っていたが、構成が逆のものだった。つまり、USB-C の雄プラグと USB Type-A の雌ポートを備えたアダプタだった。でも必要なのは USB Type-A の雄プラグと USB-C の雌ポートだ。そちらのタイプのアダプタも存在するけれども、MagSafe 充電器では動作しないという警告が付いているものも多いし、使える電力容量に制限のあるものも多い。そもそも車載の USB ポートはあまり大電力を供給できるようにはなっていない。
さらにもっと調べてみると、解決策が判明した。シガレットライターポートに差し込んで使う、車載充電器だ。これは大電力を供給できる。さまざまのポートの組み合わせのものがいろいろと出ていて入手できる。私が選んだのは $11.97 の Anker 52.5W Cigarette Lighter USB Charger で、これは USB-C ポート 1 基と USB Type-A ポート 1 基を持つ。USB-C ポートからは最大 30 ワットの高速充電を、USB Type-A ポートからは 22.5 ワットの充電を提供し、両方を同時に使うこともできる。
最初のテストでは完璧に動作した。でも、意外な難点が一つあることが分かった。私は iPhone 15 Pro を横長に置くように MagSafe 充電器を位置決めしていた。その方がコンパートメントの蓋の上で収まりが良いからだ。
けれども、Apple の Maps アプリは、アプリを使っている最中には横長置きでも問題なく動作するのに、ナビゲーションの最中に iPhone をロックした途端、ロック画面用の地図表示になって、これが縦長の表示しかできないのだ。テストでドライブした際には、ずっと iPhone のロックを外したまま Maps アプリを使っていたので問題にならなかった。それでも結局、iPhone をどちらの向きに置いても使えるように MagSafe 充電器の位置を少し下げる羽目になった。
MagSafe のマイナス面
ただで手に入るものはないという諺に言う通り、MagSafe にも見事にそれが当てはまる。磁石の働きで充電器の上で正確に位置取りできるお陰で電磁誘導充電テクノロジーを最大限に生かすことはできているものの、iFixit の調査の結果によれば MagSafe 充電はケーブルを使った充電に比べておよそ 36% も効率が悪く、一台の iPhone で年間 5.8 kWh の無駄を出しているという。ニューヨーク州の電気料金で、年間およそ $1 だ。iPhone ユーザーが何百万人もいることを考えれば、懸念すべき無駄と言える。しかしながら、私たちのすることすべてが電力を消費しているのであって、毎日およそ 50 回ずつ Google 検索をすれば、あるいは毎日数回ずつ ChatGPT に質問すれば、年間に消費する電力はそれと同じくらいになる。
その非効率性の結果の一つとしてバッテリーの温度が上がり、それが iPhone のバッテリーそのものの寿命を短くすることもあるだろう。ただ、どの程度長くその iPhone を使うか、あるいはそれを下取りに出す時に何が起こるかにも依存するので、数値をはじき出すのは困難だ。究極的には、MagSafe の便利さと実用性を、電力消費の多さとバッテリーの寿命短縮の可能性と秤にかけて、あなた自身が決断すべきことだ。
全体的に見て、私はこうやって調査探究しながら集めた MagSafe 充電器や各種マウントに十分満足しているし、たいていの状況の下では有線の充電に戻ろうとは思わない。Continuity Camera 機能によるビデオ画質の向上と、仕事机で写真を見られる楽しみと、夜に使う StandBy 機能の便利さと、自動車の中でより良い位置取りのお陰で使い勝手が向上したこと、そういったことすべてに十分な値打ちがある上に、バッテリー切れに陥る心配も減ったのだから。
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