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#1706: 新型 iPad Air と iPad Pro、iOS 17.5 がクロスプラットフォームの位置情報トラッカー検出、macOS のバージョン機能、Apple が "Crush!" 広告で謝罪

今週号で紹介する大ニュースは Apple がリリースした新型 11 インチおよび 13 インチの iPad Air および iPad Pro モデル、加えて新型 Apple Pencil Pro と、iPad Pro 用に設計し直された Magic Keyboard だ。これらすべてについて詳しく紹介するとともに、Apple が謝罪に追い込まれた無分別かつ悪評高かった "Crush!" 広告のその後についても触れる。今週は多数の OS アップデートが出たが、中でも iOS 17.5 と iPadOS 17.5 がユーザーと共に移動するクロスプラットフォームの位置情報トラッカーを検出する機能に対応した点が重要だ。また、Apple News+ 購読者向けの 2 つの新機能もある。スペリングゲーム Quartiles と、Offline Mode だ。それからもう一つ、Adam Engst が macOS のバージョン機能に関する Do You Use It? アンケートの結果を受けて、あまりよく知られていないこの機能を説明する。今週注目すべき Mac アプリのリリースは Bookends 15.0.2、BusyCal 2024.2.2、Fantastical 3.8.16、それに Mactracker 7.12.15 だ。

Adam Engst

iOS 17.5 がクロスプラットフォームのトラッキング検出機能を追加

Apple が多数のオペレーティングシステムにアップデートをリリースして、いくつかの新機能と、新しい Pride Radiance 壁紙と文字盤を追加し、詳細不明のバグ修正と、多数のセキュリティ修正を施した。Software Update を使って、iOS 17.5iPadOS 17.5macOS 14.5 SonomawatchOS 10.5tvOS 17.5HomePod Software 17.5macOS Ventura 13.6.7macOS Monterey 12.7.5iOS 16.7.8、および iPadOS 16.7.8 をダウンロードできる。

新機能が追加されたのは iOS 17.5、iPadOS 17.5、および macOS 14.5 のみで、それ以外のアップデートはバグ修正とセキュリティ修正のみを含んでいる。

不要な位置情報トラッカーの検出

最も重要な新機能は、iOS 17.5 と iPadOS 17.5 が新しい業界規格 Detecting Unwanted Location Trackers (不要な位置情報トラッカーの検出) に対応したことだ。これにより、知らないうちに AirTag などの Bluetooth トラッキングデバイスで追跡されている場合に iOS と Android 双方のデバイスがユーザーに警告できるようになる。仕様書には次のように書かれている:

この書類の目的は、一つには、位置情報追跡アクセサリーからの不明な追跡から個人のプライバシーを守るための役に立つことです。位置情報追跡アクセサリーは消費者にさまざまの利益をもたらしますが、あらゆるテクノロジーと同様に、悪用されることもあり得ます。位置情報追跡アクセサリーの悪用は、その結果として個人が望まぬ追跡を受けたり、あるいはストーキング、ハラスメント、窃盗など悪辣な目的に使われたりすることに繋がる可能性があります。この書類は、位置情報追跡アクセサリーの悪用から人々を保護することに重点を置いています。製造業者のために最良実践をはっきりとした形でまとめることで、不要な追跡を検出するテクノロジーに関する拡張可能な互換性がさまざまのスマートフォンプラットフォーム上にもたらされ、個人のプライバシーとセキュリティの改善が可能となるでしょう。

不要な追跡の検出は、別の人物の位置情報トラッカーがユーザーと一緒に移動していることを検出して警告できるとともに、トラッカーを見つけて無効化するための手段も提供します。この書類は位置情報トラッカーの製造業者のために技術的な最良実践のあらましを述べることで、それが不要な追跡の検出とさまざまのプラットフォーム上の警告テクノロジーとの双方と互換になることを可能にしようとします。

この新しい規格によって、iOS 17.5、iPadOS 17.5、または Android 6.0+ が走るスマートフォンのオーナーは、時間が経過しても不明な Bluetooth 追跡デバイスが自分と一緒に移動しているとみられる場合に、そのデバイスがペアリングしているプラットフォームを問わず、警告を受けるようになる。Apple は AirTag と Find My アクセサリーが既にこの新しい規格と互換であると示唆しており、他の Bluetooth トラッカーの製造業者、例えば Chipolo、Eufy、Jio、Motorola、Pebblebee も将来のタグを互換にすることを約束していると述べている。当然ながら、それは現存のトラッカーが互換でないかもしれないことをも意味する。

Apple News+ への追加機能

Apple News+ の購読者に 2 つの新機能が提供される。オリジナルのスペリングゲーム Quartiles と、Offline Mode だ。Quartiles はグリッド状に並ぶタイルのそれぞれに 2 個から 4 個までの文字を示して、プレイヤーにそれらを組み合わせてできるだけ長い単語を作るように求め、単語の長さに応じて点数を付ける。また、新しい Puzzles Scoreboard は個々のパズルごとにパーソナライズされた統計数字や順位を表示する。Quartiles と Puzzles Scoreboard は iPhone、iPad、および Mac で利用できる。

Quartiles game and Puzzles Scoreboard

Offline Mode では、iPhone や iPad のユーザーが Top Stories、Apple News Today オーディオ要約、News+ 出版社からの雑誌の各号とナレーション付き記事、パズルなどをあらかじめ自動的にダウンロードして、あとでインターネットに全く接続できない状態でもアクセスできるようにする。長時間飛行機に乗る場合などに便利だろう。デバイスがオンラインになり次第ダウンロード済みコンテンツは更新される。Apple によれば Offline Mode はデバイス上の空き容量を最大化できるようにダウンロードを最適化するという。

[訳者注: Apple News+ は日本では提供されていません。]

アップデートのアドバイス

これらのアップデートについては、早くアップデートすべきか否かの判断基準がいつもと違っている:

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Adam Engst  訳: Mark Nagata   

Do You Use It? macOS のバージョニング機能は認知度も採用率も低い

最近の Do You Use It? アンケートで、読者の皆さんが macOS のバージョニング機能をどの程度頻繁に使っているかをお尋ねした。サポートしているアプリで書類を保存する度に、自動的に書類のバージョン履歴を作成する機能だ。最近、macOS 14.4 Sonoma で iCloud Drive に保存されたファイルが Optimize Mac Storage 設定によりローカルに削除されている場合にバージョン履歴が失われるというバグに関連して、この機能が話題に上った。Apple は 14.4.1 でこのバグを修正した。(2024 年 3 月 25 日の記事“macOS 14.4.1 Sonoma と macOS 13.6.6 Ventura がバグと脆弱性を修正”参照。)

データ喪失のバグはどんなものもかなり問題があるが、私はこのバグの影響を受けた人たちがそれほど多かったとは思わなかった。そもそもバージョニング機能を使っている人についての話をほとんど聞いたことがなかったからだ。そういう訳で、私はこれをアンケートの題材に選んだ。そして残念ながら私の予感は当たっていて、アンケートの回答で最も多かったのがバージョニング機能の存在を知らなかったというもので、37% もあった。知っているけれども使ったことはないという回答がそれよりほんの少しだけ少なく、35% だった。時々使うという回答が 25% で、いつも使っているという回答はたったの 3% だった。今回のアンケートでは回答の総数も少なめで、これは何を質問されているのか分からない人たちが多かったからなのかもしれない。

Do You Use It? Versioning poll results

でも、macOS のバージョニング機能はこんなに知られない状態のままでよいのだろうか? これを使えば人生が変わるなどと言うつもりはないが、仕事をやり直す羽目になる事態を予防することはできる。

個人的なことを言えば、私は数か月に一度程度、Preview での作業中にバージョニング機能に頼っている。スクリーンショットを編集したりマークアップしたりする作業に Preview を頻繁に使っているからだ。Preview で編集を施した画像を閉じると、すべての変更がフラット化されて画像の中のピクセル情報としてのみ保存されるので、その後 Undo を使って変更を元に戻すことはできない。時折、画像を編集して閉じてしまってから、ボックスを入れる場所が間違っていたとか、サイズが違っていたとかにあとで気付くことがある。そういう場合、スクリーンショットを撮り直して、それを編集し、ファイルを改名して、望ましくないファイルを削除する、という手間をかけることも可能だが、それよりもバージョン履歴ブラウザを使ってボックスを入れる直前のバージョンの画像に戻してからそれに手を入れれば、数分間程度の作業が節約できる。

バージョニングの基本

私たちの多くは、Mac での作業中に何か誤りをすれば、Command-Z を押して最後の変更を元に戻す (Undo する) ことを知っている。Mac アプリの大多数は複数レベルの Undo に対応しているので、Command-Z を押し続けることで次々に変更を元に戻すことができ、その書類を開いた時点にまで戻ることさえ可能なこともある。けれども Undo は枝分かれ不可能な一直線上の作業であって、取り戻したいその表を消す直前の時点に戻ることはできるけれども、いったん戻ればそれ以降に施した作業はすべて失われる。

それと対照的な位置にあるのがバックアップだ。午前中に削除してしまったその表を午後になって取り戻したいと思えば、Time Machine がバックアップを作成していてそれをリストアすることで望みの表を抽出できる可能性がかなりの程度ある。けれどもここでは Time Machine から Clint Eastwood ばりに「おい若造、幸運に賭けるつもりだったのか?」と冷笑されるかもしれない。Time Machine は一時間に一度しか動作しないので、取り戻したいのがもしも一時間以内に作られたデータだったとしたら、そもそもバックアップされておらず永遠に消えてしまっている可能性が残る。

もちろんその点は、OS X 10.7 Lion 以降で利用可能になったバージョニング機能に対応するアプリを使っている場合には話が別だ。現時点では書類中心の Mac アプリにとってバージョニング機能に対応しないより対応した方が楽なので、重要なアプリで対応していないのは長い歴史を持ち長年来のアーキテクチャを使っているもの、例えば Microsoft Word、Excel、PowerPoint などが主だったところだ。また、クロスプラットフォームのアプリでバージョニングに対応していないものも多い。アプリがバージョニング機能に対応しているかどうかは File メニューに Revert To コマンドがあるかどうかで分かる。

バージョニングの仕組みそのものは分かりやすい。バージョニング対応のアプリで書類を保存するごとに、またはアプリが書類を自動保存するごとに ()Apple は自動保存で 1 時間ごとの設定を推奨する)、データベースの中にその書類の新たなコピーが作成される。バージョン履歴のデータベースは元のファイルと同一のボリューム上に隠されたフォルダの中に保存される。同一のボリュームであることは重要で、その理由はあとで説明する。

当然ながら、Finder で File > Duplicate を使って手動でバージョン履歴を作成することはいつでも可能だ。Take Control ブックの原稿を管理していた頃、私たちは書類を取り出して作業する前に必ずそのファイルの新たなバージョンを作ってそれに名前を付けて使うようにしていた。そうすることで、何かが壊れてしまっても、いつでも作業前の状態に戻せるからだ。作業中の原稿ファイルは非常にサイズも大きく、複雑で、活発に編集が施されるのが常だったので、何かが壊れるというのは決して稀なことではなかった。けれども、手作業で改訂履歴を管理するのは多大な労力を必要とするばかりでなく、最終版に施された作業を保護することしかできない。当時の私たちの場合には、もしもファイルが壊れてしまえば、それは丸一日分の仕事が無駄になることを意味しがちだった。私たちはさまざまの理由から macOS のバージョニング機能を使っていなかった。理由としては、macOS にバージョニングが登場するより前に独自のシステムを開発していたこと、バージョニングに対応するアプリを使っていなかったこと、初期にはバージョニングを信用していなかったこと、ファイルの保存にバージョニング非対応のクラウドファイル共有サービス、例えば Dropbox などを使っていたことがある。

バージョニングを使う

バージョニング機能の使い方は単純だ。バージョンを一つ作成するには、Command-S を押して保存するだけでよい。もしもそのアプリが自動保存をしてくれているのならば押す必要もない。

ファイルの古いバージョンのどれかからデータを復元する必要が生じた際には、File > Revert To > Browse All Versions を選べば Time Machine 風のブラウザが開いて過去のすべてのバージョンを調べることができる。アプリによってはより具体的な Revert To 対象を指定した File > Revert To > Last Opened とか File > Revert To > Last Saved とかいうコマンドを用意しているものもある。

Version browser
おっと! アンケート結果のグラフをうっかり消してしまった (左) が、書類の前回のバージョン (右) から表を取り戻せる。

(このバージョン履歴ブラウザは Time Machine ではないけれども、バージョニング機能に関して記事いくつか書いている Howard Oakley から聞いた話では、このブラウザは Time Machine バックアップとの統合も試みていて、そのことから「Time Machine がバックアップディスクを見つけられません」というエラーが出る理由を説明できるという。全体的に、このバージョン履歴ブラウザは高機能だけれども扱いにくいので私はあまり好きになれないし、バージョン間の変更点を強調表示できるもっと分かりやすいインターフェイスになればもっと役に立つのにとも思う。)

Time Machine ブラウザと同様に、サイド部分にあるタイムラインを使って昔のバージョンにジャンプしたり、上下の矢印をクリックして順繰りに見て回ったりできる。インターフェイスを一見しただけでは Restore をクリックして特定のバージョンに戻るか Done をクリックして (あるいはキーボード好きの人は Command-W を押して) 何もリストアせず戻るかしかできないように思えるかもしれないが、実はまだ他にもできることがある。現在の書類のウィンドウとバージョンのウィンドウはどちらもライブ状態なので、ブラウザを離れずに過去のバージョンから一部を選択してコピーし、それを現在の書類にペーストすることができる。MacBook での作業でウィンドウが大き過ぎるため両方を並べて表示できない場合には、片方をクリックして一時的に拡張表示させることもできる。

Restore をクリックするのは恐ろしくて尻込みしてしまうかもしれない。このバージョン履歴ブラウザは確認を求めることなく現在の書類を上書きしてしまうからだ。でも幸いにも、それは必ずしも完全に昔のバージョンに戻ってしまうのではない。その代わりに、macOS はまず現在の書類を一つのバージョンとして保存した上で、あなたがリストアしたものと同一の新しいバージョンを作成するだけだ。言い換えれば、昔のバージョンにリストアしても作業が失われるのではなく、いつでもリストア直前の状態の書類に戻れる。

リストアしたいものにあとで数多くの変更を加えていたため、単純にコピーとペーストするだけではデータを取り戻せない場合はどうすればよいか? その場合には、Option キーを押すと Restore が Restore a Copy に変わる。これは選択したバージョンを別の書類として開くので、そこから欲しい部分を注意深く選んで取り出し、それらの部分を現在の書類に持ち込めばよい。

バージョニングの注意点

さきほど触れたように、バージョン履歴データベースは元のファイルと同一のボリューム上に隠されたフォルダの中に保存される。そのことを考えてみれば、いくつか重要な副次的影響が生まれることが分かるだろう:

幸いにも、Mac 間でファイルを移動させることによる制約や、秘密の情報がバージョン履歴データベースに残ってしまう懸念を回避するための役に立つユーティリティがいくつか入手可能だ。

バージョニングのユーティリティ

Howard Oakley が Revisionist と Versatility という 2 つのユーティリティを書いている。これらは一つのファイルの複数のバージョンについてより良く知り、それらをより良くコントロールする役に立つ。

一つのファイルを Revisionist で開けば、そのファイルのすべてのバージョンがリストされるとともに、以下のアクションを施すことができる:

Revisionist interface

Versatility の方は、Revisionist の Archive ボタンの機能のみを独立させたものだと思えばよい。ファイルを Versatility の上へドロップすれば、新規フォルダの中にそのファイルのすべてのバージョンが保存される。そこにファイル比較ツールを使えば異なるバージョンを比較する労力を省く役に立つだろう。ただし、ファイル比較ツールを提供するアプリはあまり多くない。けれども、バージョンを含んだフォルダを Versatility の上へドロップすれば、それらのバージョンをバージョンとして組み込んだファイルが作成される。こうして、一つのファイルをバージョンに分けたフォルダを作っておき、そのフォルダを別の Mac へ持って行って、そちらの Mac 上で Versatility を使えば元通りのバージョン情報を伴ったファイルがその Mac 上に再結合される。

Output from Versatility

初めにも言ったように、バージョニング機能を使えば人生が変わるなどと言うつもりはない。自分は注意深く仕事をするし、一つのセッションを超えた過去にまで Undo して戻ることなどないという人ならば、バージョニング機能を必要としたりしないのだろう。でも、もし以前のバージョンに戻れたならばかなり手間が省けただろうにと思うような状況に陥ることは、案外大した間違いを犯したりしなくてもあり得るものだ。

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Adam Engst  訳: 亀岡孝仁  

Apple、新型 iPad Air, iPad Pro, Apple Pencil Pro, Magic Keyboard を発表

事前に収録された Let Loose イベントで、Apple は予想通り、2023 年には何の変更も見られなかった iPad のラインナップに焦点を当てた。同社は、iPad Air とiPad Pro の印象的な新しい 11-inch と 13-inch バージョン、より有能な Apple Pencil Pro、そして再設計された Magic Keyboard を発表した。価格はそのままだが、Apple はまた第十世代の iPad の価格を $349 に引き下げ、そして第九世代の iPad を廃止した。iPad mini に変更はなく、iPad は以下のラインナップと開始価格となった:

iPad Air は M2 に移行, 13-inch モデルを追加

iPad Air の大きなニュースは、11-inch モデルと新しい 13-inch モデルの両方を含むラインナップの拡大である。より大きな画面が欲しいが、13-inch iPad Proの費用を正当化出来ない人は、11-inch モデルよりも 30% 多い画面スペースを提供する 13-inch iPad にすることで $500 節約出来る。11-inch の画面は2360×1640 ピクセルの解像度を提供し、13-inch の画面は 2732×2048 ピクセルの解像度で走るが、どちらも1インチあたり 264 ピクセルである。他の点では、2つの Liquid Retina スクリーンはほぼ同じであるが、画面の明るさは 13-inchの画面は 600 ニトで、11-inch の画面の 500 ニトと比べてわずかに明るい。

Apple はビデオ通話でより自然なビューを提供するために、ようやく前面の Ultra Wide 12-megapixel カメラをランドスケープエッジに移動した。ビデオ通話ではほぼ全員が横位置の向きを取っている。ポートレートエッジにあった以前のカメラ位置は、通話の反対側にいる人々を直接見つめるのではなく、その横を見ているように見えることが多いことを意味していた。12-megapixel の背面カメラは、以前のモデルから変わっていない。Apple はまた、ステレオスピーカーを iPad Airの横向き側に移動し、13-inch モデルでは低音を2倍にしている。

どちらの iPad Air モデルも今や M1 の代わりに M2 チップに依存しており、Appleによると M1ベースの iPad Air よりも 50% 速く、A14 Bionic チップを搭載した第四世代 iPad Air よりも3倍速いと言う (下記の仕様カードは A12 Bionic と言っており、Apple のプレスリリース とは異なっている)。ストレージは前世代の64GB から上がって 128GB から始まり、現在 256GB、512GB、そして 1TB のストレージ層が提供されている。

Apple は、iPad Air のワイヤレス接続を最新の Wi-Fi 6E と Bluetooth 5.3 に格上げしたが、殆どの人にとってどちらも大きな違いを生む可能性は低い。

M2 iPad Air spec card

iPad Air は既存の Magic Keyboard と互換性があるが、iPad Pro 用の新しいMagic Keyboard とは互換性がない。新しい Apple Pencil Pro (詳細は後記) とUSB-C Apple Pencil はサポートするが、初代の Apple Pencil や第二世代 Apple Pencil はサポートしない。

値段は 11-inch iPad Air で $599、そして 13-inch iPad で $799 から始まる。5Gセルラーアクセスには $150 追加する。256GB に移動すると $100 追加となり、512GB には $300、1TB には $500 が追加となる。新しい iPad Air モデルは4色 -ブルー、パープル、スターライト、そしてスペースグレイ - で注文出来、出荷は来週となる。

iPad Pro、M4 に跳び Ultra Retina XDR ディスプレイを採用

時として、Apple のハードウェアエンジニアはただ見せびらかしているように感じられることがあるが、新しい iPad Pro モデルはまさにその好例である。それ等は新しい Ultra Retina XDR ディスプレイを誇っていて、より明るいハイライト、より深い黒、そしてより速い応答時間を約束する OLED (organic light-emitting diode - 有機発光ダイオード) 技術に依存している。一枚の OLED パネルでは十分な明るさを提供しないため、Apple は2枚のパネルからの光を合わせて、SDR と HDR コンテンツの両方に 1000 ニトの明るさ、HDR には 1600 ニトのピーク輝度を提供するタンデム OLED ディスプレイを設計した。まぶしさを減らすためのナノテクスチャガラスの選択肢もある。11-inch の画面は 2420×1668ピクセルの解像度で動作、そして 13-inch の画面は 2752×2064 ピクセルの解像度で、同等の iPad Air 画面よりもわずかに大きい。

前面の TrueDepth カメラは前世代から変わっていないが、iPad Air と同様、今やより良いビデオ会議のためにランドスケープエッジに配置されている。(Face IDセンサーもそこにある。) しかしながら、背面カメラは後退した。以前、iPad Proは Wide と Ultra Wide カメラを搭載し、それ故に2倍の光学ズームもサポートしていた。新モデルは Ultra Wide カメラを完全に切り捨てた。しかしながら、それ等は今やアダプティブ True Tone フラッシュを搭載し、アダプティブフラッシュを使って複数の写真を撮りそれ等を縫い合わせることで、殆どのカメラベースのスキャンを悩ませる影を排除することで、ドキュメントスキャンを改善している。

一つには新しい OLED ディスプレイのお陰で、新しい iPad Pro モデルは以前よりも薄く、11-inch は厚さ 5.3 mm、13-inch モデルはたったの 5.1 mm である。Apple は、それが iPod nano の 6.0 mm よりも少ないことを大げさに扱い、13-inch iPad Pro をApple のこれ迄で最も薄い製品だとした。(前世代の 11-inch iPad Pro でも 5.9 mm だったので、iPod nano よりも薄かった。) それ等はまたより軽量でもあり、11-inch iPad Pro の重さは 0.98 ポンド (444 g)、13-inch iPad Pro は 1.28 ポンド (579 g) である。それは 11-inch モデルでは僅かな低下- 0.77 オンス、或いは 22 グラム - に過ぎないが、13-inch モデルは 103 グラム、ほぼ4分の1ポンド、の減量となっている。

M4 iPad Pro spec card

前世代の iPad Pro モデルは M2 チップに依存していたが、Apple は、新しいApple シリコン M4 を使ってしか新しい Ultra Retina XDR ディスプレイを駆動し、iPad Pro モデルを Apple シリコンと同じくらい薄くすることが出来ないと主張した。それは、最大4つの CPU パフォーマンスコアと6つの効率コア、10コア GPU、より強力な 16 コア Neural Engine を誇っている。M4 の Media Engineは、H.264、HEVC、そして ProRes などの一般的なビデオコーデックのハードウェア加速を提供し、そして高解像度ストリーミングビデオのより電力効率の高い再生のための AV1 のサポートも追加している。M4 の CPU は、以前のモデルの M2よりも 50% 高速で、そして GPU は M2 よりも最大4倍高速だ。ワット当りの性能は2倍になったため、M4 は半分の電力を使用しながら M2 と同じ速度で走らせられる。

M4 spec card

256 GB または 512 GB のストレージを備えた iPad Pro モデルは、9コア CPU(3つのパフォーマンスコアと6つの効率コア) と 8 GB のメモリを搭載した M4を手にする。1 TB または 2 TB のストレージに上昇すると、M4 には 10 コアのCPU (4つのパフォーマンスコアと6つの効率コア) と 16 GB のメモリが付く。

多くの iPad Pro の購入者はキーボードと Apple Pencil を欲しがるであろう。そして Apple は新鮮な製品を準備した。iPad Pro 用の新しい Magic Keyboardは、より薄く、より軽くなりながら、iPad を表面上に浮かべるデザインを踏襲している。画面の明るさや音量などの機能にすばやくアクセスできるファンクションキー列が含まれる。パームレストはアルミ製で、トラックパッドは大きく、触覚フィードバックを備えているので、MacBook を使用しているように感じられる。以前と同様に、それは磁気的に取り付き そして Smart Connector を使ってBluetooth なしで電源とデータに接続する - ヒンジには充電用の USB-C コネクタもある。11-inch iPad Pro 用は $299、13-inch iPad Pro 用は $349 である。

Apple はまた、新しい Apple Pencil Pro を発表し、ツールパレットを持ち出すためのスクイーズを検出するためにバレルにセンサーを追加した。アーティストがApple Pencil Pro を回転させるタイミングをジャイロスコープが検出し、異形のペンとブラシツールの向きを制御する。新しい触覚エンジンは、スクイーズ、ダブルタップ、Smart Shape へのスナップなど、様々なアクションの確認を提供する。Apple Pencil Pro は、ディスプレイに触れる前にツールの向きを視覚化するための Apple Pencil ホバーをサポートする。新しい磁気インターフェースを使って、ペア付け、充電、そして iPad Pro の側面に保持される。万が一紛失した場合は、Find My を使って見つけることが出来る。皮肉なことに、Apple Pencil Pro は iPad Pro よりも厚さがある。Apple Pencil Pro は $129 で、iPad Proモデルは $79 の USB-C Apple Pencil もサポートしているが、初代の Apple Pencil や第二世代の Apple Pencil はサポートしていない。

Apple Pencil Pro spec card

11-inch iPad Pro は $999 から、13-inch モデル $1299 から始まる。5G セルラーアクセスを追加すると $200 が加算される。ストレージは 128GB から上がった256GB から始まり、Apple は 512GB ($200 加算)、1 TB ($600)、そして 2 TB($1000) の階層を提供している。ナノテクスチャガラスも $100 加算で、1TB または 2TB のストレージを持つモデルでのみ対応する。iPad Pro (シルバーまたはブラック)、iPad Pro 用 Magic Keyboard (ブラックまたはホワイト)、Apple Pencil Pro は今すぐ注文出来、来週出荷となる。

iPad を考える

iPad のラインナップはどうなっているか? 第九世代の iPad を退出させ、第十世代の iPad の価格を下げることで、Apple はローエンドで何を買うべきかをはっきりさせた。これは歓迎される。現在、全ての iPad は USB-C を使用し、フラットエッジを持ち、エッジツーエッジの画面を備えている。iPad mini だけが未だポートレートエッジに前面カメラを備えているが、サイズが小さいため余り問題でないかも知れない。

長い間そうであったように、ローエンドの iPad は破格の製品であり、iPad miniはより小さなものを望む人にとって魅力的であり続けている。しかし、どちらもますます老化が目に付くようになっており、Apple が年末のホリデーショッピングシーズンに間に合うようにそれらを入れ替えるのを見ても私は驚かないであろう。

第十世代の iPad が提供するよりも優れた性能や画面サイズを望む人にとって、新しいM2 iPad Air モデルは説得力があり、iPad Pro モデルよりも遙かに手頃な価格となっている。

最も印象的な新人は新しい iPad Pro モデルで、驚くべき物理的なパッケージで信じられないほどの性能を提供している。勿論、価格は高く、とりわけストレージと周辺機器を追加すると - フル装備の 13-inch iPad Pro だと $2599 にも達する。それは、M3 Pro を搭載した 14-inch MacBook Pro にほぼ匹敵する。

これはしばらく前からそうであったが、私は Apple が iPad Pro でオーディオとビデオの専門家をターゲットとする度合いに衝撃を受けた。タンデム OLED ディスプレイ、ナノテクスチャガラスの選択肢、そして M4 チップ等の設計上の決定の多くは、特定のタイプの専門家だけが興味を持つようにしてしまう。Logic Pro for iPad 2Final Cut for iPad 2 のアップグレードをデモする際にも、それがApple の焦点であることを強調していた。ハイエンドのグラフィック、オーディオ、またはビデオで日々働いているのでない限り、iPad Pro は恐らくあなたのためではないであろう。

これらの新しい iPad と同様によく設計されていて、13-inch iPad Air は、Mac とiPhone の方を好んで iPad の使用が段々減ってきた人にとっては説得力があるかも知れない唯一の変更と言える。より大きな画面を求めて、毎回 iPad よりも Macに向かってしまうが、12.9-inch iPad Pro は高価すぎたと言うのであれば、この新型 iPad Air は魅力的かもしれない。

そうでなければ、iPadOS が何か新しいものを提供するかどうかを確認するためにも、6月上旬の WWDC まで待たなければならない。Apple は、これらの iPad が AI に必要なパワーを提供することを大きく取り上げたが、同社は現在 Visual Look Up、Subject Lift、そして Live Text 等の機能に言及しているように見える。これら全ては、以前は機械学習の観点から説明されており、殆どの人が AI と考えるものではない。それ等は同じ基礎となる技術に依存しているかもしれないが、今日の技術発表を支配している生成 AI ではない。

多くの人に iPad についてより深く考えさせる一つの革新を、Six Colors の Jason Snell が発信している。彼は、Magic Keyboard に接続した時に iPad がオプションで macOS を実行出来れば、真のコンバーチブル Mac が手に入ると提案した。M2 iPad Air と M4 iPad Pro はどちらも、それを行うためのパワーとメモリに加えて、MacBook のものと一致するストレージ層を備えている。現代の 11-inch MacBook Air に相当するものを高く評価する人もいるかもしれないが、主な欠点はMacBook Airよりもポートが少ないことである。でも、Apple が、そうでなければどちらも購入する人々に対する販売をあきらめたいと思うだろうか?

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

Bookends 15.0.2 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

Bookends 15.0.2

Sonny Software が Bookends 15.0.2 をリリースして、この参照文献管理ツールにバーコードスキャン機能を追加した。Mac のカメラを使って ISBN バーコードをスキャンすれば、メタデータや Google Books にある表紙アートを読み込むことができる。(macOS 10.14 Mojave かそれ以降が必要。) このアップデートではまた、新規ライブラリでクラウド同期を自動的に開始できるようになり、自動的またはオンデマンドでライブラリに複数個のタイムスタンプ付きバックアップを作成できるようにし、ツールバーに Cited By および Cited In ボタンを追加し、PDF 表示枠が画像を含む場合に起こったフルスクリーン表示の見栄え上のバグを修正し、空白の参照文献リストをダブルクリックすると起こったエラーを修正し、PDF 注釈ポップオーバーが開いた状態で Command-C を押すと起こることがあったクラッシュを解消した。(新規購入 $74.99、TidBITS 会員には 25 パーセント割引、アップグレード $49.99、バージョン 15 のユーザーには無料アップデート、114.3 MB、リリースノート、macOS 10.13+)

Bookends 15.0.2 の使用体験を話し合おう

BusyCal 2024.2.2 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

BusyCal 2024.2.2

BusyMac が BusyCal 2024.2.2 をリリースして、進行中や接近中のイベントをカウントダウンタイマー付きで表示する機能を追加し、進行中や接近中のイベントを表示するウィジェットも追加した。このカレンダーアプリはまた、新たなアラームが表示された際にアラームウィンドウを微妙に揺らして注目を得るようにし、アラームウィンドウにイベントの終了時刻を表示するようになり、アラーム上にマウスをかざすと経過時間を表示するようにし、表示されたアラームの並び順を変えられるようにし、アラームウィンドウのレイアウトに改良を加え、Microsoft Office アカウント用に共有カレンダー設定を導入した。(BusyMac からも Mac App Store からも新規購入 $49.99、無料アップデート、Setapp からも利用可、67.6 MB、リリースノート、macOS 10.15+)

BusyCal 2024.2.2 の使用体験を話し合おう

Fantastical 3.8.16 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

Fantastical 3.8.16

Flexibits が Fantastical 3.8.16 をリリースして、このカレンダーアプリに一連のバグ修正を施した。今回のアップデートでは、システムのカラーピッカーを開いたままにすると起こったクラッシュを除去し、Microsoft 365/Exchange を使ってイベントを代理カレンダーへ移すと重複が起こった問題を解消し、カレンダーを改名すると削除されることがあったバグを修正し、Microsoft 365 上のカレンダーを対象とする Openings 予約が連結直後に削除されることがあった問題を解消し、全日イベントが互いに重なり合って表示されたバグを修正し、Microsoft 365 上の繰り返しイベントで将来の全イベントを編集すると起こり得たエラーを修正した。(Flexibits からも Mac App Storeからも購読年額 $56.99、無料アップデート、66.4 MB、 リリースノート、macOS 11+)

Fantastical 3.8.16 の使用体験を話し合おう

Mactracker 7.12.15 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

Mactracker 7.12.15

Ian Page が Mactracker 7.12.15 をリリースして、最近リリースされた MacBook Air モデルの項目を追加するとともに、最新のオペレーティングシステムリリースの情報も取り入れた。さらに、410 Color Plotter、DuoDisk、AppleCD SC および AppleCD SC Plus、iPad Keyboard Dock などレガシー Apple 製品についての詳細情報も提供した。今回のアップデートではまた、iOS デバイスと Apple silicon ベースの Mac における Metal パフォーマンススコア、iPhone 各モデルの Maximum Battery Cycles、Classic Macintosh および PowerBook モデルの ROM サイズの情報も追加した。(Mactracker ウェブサイトからも Mac App Storeからも無料、216.8 MB、リリースノート、macOS 10.12+)

Mactracker 7.12.15 の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

Adam Engst  訳: Mark Nagata   

Apple、無神経な "Crush!" iPad Pro 広告について謝罪

Variety の記事で Todd Spangler がこう書いている

iPad Pro の広告が、ハリウッドやその他創造産業で働く多くの人たちの激しい怒りを買っている。映画監督であり女優でもある Justine Bateman は Big Tech が文化を荒廃させていることの鮮明かつ事実そのままの描写になっていると述べた。俳優 Hugh Grant は X への投稿で「シリコンバレーの手による、人間活動の破壊そのものだ」と述べた。

そして木曜日になって、Apple はこの件について謝罪を発表した。

私自身もこの広告を見てその大規模な破壊の描写に嫌な感じを受けたけれども、自分が愛用する楽器や道具や資料が押し潰され破壊される様子を見せつけられた創造的な人たちの気持ちは十分理解できる。また、この広告はまさにテクノロジー業界が文化というものを製品に取り入れ販売し制御する対象としか見ていないことを示すものだと論評する人たちもいた。

人間的な世界の儚いものたちがこの上なく強力な機械によって粉々に砕かれる様子を描くことで、この "Crush!" 広告は Apple の原点とも言える "1984" 広告、人間の手で動かすテクノロジーが権威主義的な産業界から私たちを救い出す様子を描いたあの広告の、まさに対極にあるように感じられる。ひょっとすると Apple は日常の品物を機械に破壊させて人気を得ている YouTube ジャンルを一歩先へ進めようとしたかったのかもしれないが、世界で最も金持ちで最も影響力ある会社の一つが繰り出す離れ業のビデオが違った観点から受け取られるかもしれないという点に気付いた関係者が一人もいなかったのかと思うと戦慄を感じざるを得ない。

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