Apple は Glowtime イベントでは今回のオペレーティングシステムのリリース日程に触れなかったけれども、主たるオペレーティングシステムについてはそれぞれのウェブページ上にリリース日程をひっそりと書き加えた。macOS 15 Sequoia、iOS 18、iPadOS 18、watchOS 11、および visionOS 2 は 2024 年 9 月 16 日にリリースされる予定だ。ただし、10 月のどこかの時点で最初のソフトウェアアップデートが出されるまで Apple Intelligence の諸機能は登場しないという点を Apple は明確に述べた。tvOS 18 と HomePod Software 18 についてはどこかの時点で同時に出されるのだろうと予想できる。
macOS 15 Sequoia 以外についてはいずれも、特に何らかの問題がニュースに登場していないと確認できるまで少しだけ待って、その後で新機能を探訪できる時間の余裕がある時にアップグレードするのがよいだろう。けれども Sequoia についてはもっと用心することを強くお勧めしたい。とりわけ仕事に使っている Mac では慎重になって、普段使っているソフトウェアが互換であることをしっかり確かめてからにしよう。いずれにしても、アップグレードする前に必ずバックアップを作っておくことを忘れないようにしたい。アップグレードに関する詳細情報や助言を得るには、私の友人たちが書いている Take Control 本、具体的には Joe Kissell の Take Control of Sequoia と、Josh Centers の Take Control of iOS 18 and iPadOS 18 をお読み頂きたい。
Apple は Glowtime イベントで、新しい Apple Watch Series 10 を発表した。これはフラッグシップモデルの大幅な再設計で、前よりもより薄くて軽いケースと、より大きなディスプレイを提供する。また、印象的な新しいディスプレイ、より高速な充電、水深と水温の感知、スピーカーによるオーディオ再生、そして通話の音声分離も備えている。ベースモデルは引き続きアルミニウムを使用しているが、漆黒のポリッシュ仕上げも追加されている。一方、ファンシーモデルは重いステンレススチールの代わりに航空宇宙グレードのポリッシュチタニウムが使われている。工業デザインの変更にもかかわらず、Apple Watch Series 10 は以前のApple Watch バンドと互換性がある。
プレゼンテーション中、Apple は Apple Watch Ultra の多くの機能を宣伝したが、特に新しいと思えるものはなかった。それを証明するように、Apple Watch Ultra 2には、新しいブラックチタニウム仕上げと、お揃いのそれに合ったブラックTitanium Milanese Loop バンドが用意されたが、新しいハードウェア機能はない。第二世代の Apple Watch SE は、新しいバンドカラーでラインナップに残る。
Apple Watch Series 10 の注目すべき変更点を見てみよう:
薄くて軽い: Apple は Series 10 をスリム化することに成功し、厚さはわずか 9.7 ミリメートルで、最近の前身モデルよりも 10% 近く薄くなっている。アルミニウムモデルも 10% 軽量だが、新しいチタニウムモデルは代替されるステンレススチールモデルよりも 20% 軽量である。
Apple は、無効にしなければならない血中酸素センサーについて何も述べていない("Apple、新しい Apple Watch で血中酸素濃度アプリを無効化" 18 January 2024参照)。私は、そのハードウェアは Apple Watch Series 10 に残っているが、オフにされていると想像する;Tech Specs のページには次のように書かれている:
January 18, 2024 より、米国で Apple が販売する Apple Watch ユニットでは、血中酸素濃度を測定する機能が利用できなくなりました。該当する製品はLW/A で終わる製品番号で示されます。
Apple Watch の新しいモデルではよくあることだが、私は古いが完全に機能するApple Watch から Apple Watch Series 10 にアップグレードすることへの情熱は余りかき立てられない。アップグレードする主な理由は、Apple Watch Series 9または Apple Watch Ultra 2 を持っていないが、睡眠時無呼吸の通知が欲しい場合であろう。また、AirPods を使わずに歩きながらポッドキャストを聴きたい人もいるであろうことも想像出来る。より薄く、より軽いサイズとより大きく、より明るいディスプレイは間違いなく歓迎だが、流れを変えるものではないであろう。
しかしながら、Apple Watch を初めて購入するとか、或いは旧式のモデルや電池が1日持たなくなったものを交換したいのであれば、Apple Watch Series 10 は良い選択であろう。嵩張る Apple Watch Ultra 2 を正当化するには、価格の他に、あなたが十分にアウトドア好きで、時計の大きさに見合う大きな手首を持っているかどうかが問われるであろう。忘れないで欲しいのは、Apple が今でも第二世代Apple Watch SE を売っていることである。それは Series 10 の高度な機能の多くを欠いているが、$150 も安い。どのモデルがあなたに適しているか分からない場合は、Apple の比較ページが手助けとなるであろう。
2024 年 9 月 9 日の Glowtime イベントで Apple は新しい iPhone 16 シリーズをお披露目した。ベースモデルのスクリーンは従来のサイズを維持しており、iPhone 16 は 6.1 インチ、iPhone 16 Plus は 6.7 インチだ。けれども Apple は Pro モデルのスクリーンサイズを拡大して、iPhone 16 Pro が 6.3 インチ、iPhone 16 Pro Max が 6.9 インチとなって本体の高さが 2 mm ずつ伸びた。iPhone 16 の 4 つのモデルはいずれも革新的な Camera Control を装備しており、写真家がクリックしたり、軽く押したり、タッチして操作したりすることでさまざまの方法で Camera アプリとやり取りできるようにしているので、いずれにしても新しい iPhone ケースが必要となる。来月に iOS 18.1 が出荷された後は、iPhone 16 シリーズのすべてのモデルが Apple Intelligence を利用できるようになる。
Apple は最も深いところにある技術的改善を Pro モデル専用としているけれども、ベースモデルの iPhone 16 と iPhone 16 Plus も従来モデルに比べてこれまでになく良くなっていると思える。特筆すべき変更点を挙げておこう:
A18 チップ: Apple は Apple Intelligence を強く宣伝しているけれども、この機能が 2024 年 10 月の iOS 18.1 リリースに伴って初めて利用可能になることを考えればちょっと変な気がする。(2024 年 6 月 17 日の記事“Apple Intelligence を検討する”参照。) それでも、Apple の新しい A18 チップはベースモデルの iPhone 16 にも Apple Intelligence 機能へのアクセスを提供する。従来は A17 Pro チップ搭載の iPhone 15 Pro モデルのみが Apple Intelligence 機能にアクセスできるようになると宣伝されていた。
Action ボタン: 昨年の iPhone 15 Pro モデルで導入された Action ボタンはそれまでの Ring/Silent スイッチを置き換えて、ユーザーが自分で機能を選んで設定できるようになっている。当初私はこの機能に興奮していたが、今は自分が設定した機能を覚えているのが困難になってきている。(2024 年 9 月 9 日の記事“Do You Use It? iPhone 15 Pro の Action ボタン”参照。) それに、実際これは iPhone 15 Pro ユーザーの間で爆発的人気を得るには至っていないようだ。
Camera Control: この新しい多機能ボタンはサイドボタンの下側にあって、Camera アプリに対する柔軟なコントロールを提供する。クリックすれば Camera アプリが起動し、もう一度クリックすれば写真を撮影、クリックしてそのまま押さえ続ければビデオを録画する。筐体の面とぴったり平らになっており、クリックする操作と軽く押す操作を区別できる。軽く一回押すとより明確なプレビューが表示され、一般的なカメラ機能がオーバーレイで表示されて Camera Control 上で指を滑らせれば機能を選択できる。軽く二回押すとさらなるコントロールが表示される。また、アプリの開発者が Camera Control を利用して自分のアプリの中で特定のアクションに使うこともできるし、今年中には Apple Intelligence を使ってカメラのファインダーの中で被写体を識別して示すことができるようになるはずだ。私の感覚では、この Camera Control の方が Action ボタンよりもずっと焦点の合った存在に思える。
衛星経由のメッセージと Emergency SOS Live Video: これらの機能は衛星通信に対応した iPhone モデル (iPhone 14 とそれ以降) でしか使えないが、とても重要な機能だと思えるのでここで紹介することにしたい。衛星経由のメッセージ (Messages via satellite) 機能では、セルラーサービスの圏外にいても衛星通信経由でテキストチャットができる。緊急SOSライブビデオ (Emergency SOS Live Video) 機能では 911 の通信司令員との間でライブのビデオ共有ができる。本当に魔法のようだ。これらの機能はアクティベーション後 2 年間は無料で利用できる。[訳者注: 緊急SOSライブビデオ (Emergency SOS Live Video) は、米国のみで提供される機能のようです。]
バッテリー駆動時間の進化: Apple は iPhone 16 内部の設計をやり直してより大きなバッテリーを組み込めるようにし、結果としてバッテリー駆動時間が Apple の試算では iPhone 15 に比べて 1 から 2 時間ほど長くなったという。現実の使用でどうなのかはまだ分からないが、以前より良くなることは確かなのだろう。
年を重ねるごとに、Pro モデルの iPhone はいわゆる“クリエイティブ”なプロフェッショナルのための、ますます高尚な機能を提供するものとなってしまっている気がする。その分類に属していない私たちの多くにとっては、Pro モデルの iPhone はとにかく最新最良のテクノロジーを備えた最高の iPhone だと理解するしかないのだろう。でも今年は、スマートフォン上で究極の写真・ビデオ・オーディオ機能を必要としない人たちにとってベースモデルと Pro モデルの違いはあまり大きくないように感じられる。4 つのモデルすべてが等しく Action ボタンと Camera Control を装備し、4 つのモデルすべてが Apple Intelligence に対応することになる。では、iPhone 16 Pro と iPhone 16 Pro Max がベースモデルと違って輝く点はどこなのだろうか?
A18 Pro チップ: iPhone 15 が古いチップに格下げされていた昨年と違って、今年の Apple はベースモデルと Pro モデル双方に新しいチップを搭載した。けれども Pro モデルの方は A18 Pro チップを搭載していて、Apple Intelligence の処理がより高速に、全体的な処理が 15-20% 高速になると約束している。Apple Intelligence がどの程度スピードアップするかを実際に肌で感じるのは不可能なのではなかろうか。
より大きなスクリーン: 少しでも広いスクリーンが欲しいという人には、iPhone 16 Pro の 6.3 インチスクリーンと iPhone 16 Pro Max の 6.9 インチスクリーンがより多くのピクセルを提供する。比較をすれば iPhone 15 Pro Max の解像度が 2796 × 1290 ピクセル、iPhone 16 Pro Max の解像度が 2868 × 1320 なので、高さ方向で 72 ピクセル、幅方向で 30 ピクセル増える。それに比べて iPhone 16 Pro での差はやや少ない。
より良いカメラ: プロの写真家は、48 メガピクセル ProRAW 写真を撮影する際にシャッターの遅れがゼロになることを望むだろう。そうでない私たちは、そこまで大きくない写真を選ぶかもしれない。さらにもっと大きな違いは新しい 48 メガピクセル Ultra Wide (超広角) カメラでより良いマクロ写真を撮影できることで、iPhone 16 Pro では Apple が昨年は iPhone 15 Pro Max のみに限定していたテトラプリズムのデザインを使った 12 メガピクセル 5x Telephoto (5倍望遠) カメラも提供される。ベースモデルと同様、Pro モデルでも空間写真や空間ビデオを撮影して Vision Pro で観ることができる。
iPhone 16 Pro と iPhone 16 Pro Max は 4 通りの仕上げから選べる: ブラックチタニウム、ホワイトチタニウム、ナチュラルチタニウム、それとブロンズ色に見える新しいデザートチタニウムだ。iPhone 16 Pro の価格は $999 からで、ストレージ容量は 128 GB だが、256 GB、512 GB、1 TB のストレージオプションもある。iPhone 16 Pro Max は $1199 から、ストレージ容量の選択肢は 256 GB、512 GB、1 TB だ。
アップグレードの決断は
昨年の私はたいていの人にとって iPhone 15 Pro よりも iPhone 15 の方が魅力的なアップグレードになるだろうと感じたが、今年はなおさらそれと同様のことが言えると思う。iPhone 16 でなくてむしろ iPhone 16 Pro を選びたいと思う主な動機はカメラの違いだろう。プロフェッショナルたちは平然と Pro モデルを買うだろうが、単に良い写真の方が素敵だと思う程度のその他の私たちは、比較的マイナーな機能の違いのためにこれほど高い価格を受け入れる価値があるかどうかをよく考えなければならないだろう。
まだ答が見えていない問題は、古い iPhone からアップグレードしたいと思う程度に Apple Intelligence に魅力があるかどうかだ。従来の iPhone のうち Apple Intelligence に対応できるのは iPhone 15 Pro と iPhone 15 Pro Max のみなのだから。もしあなたがその点で態度を決めかねているのなら、少なくとも 10 月まで、Apple Intelligence の機能が広く利用できるようになり始めるまで待つことをお勧めしたい。Apple は Apple Intelligence の諸機能を一年程度かけて順次展開して行くと言っているので、たとえばある程度の知能を備えた Siri が利用できると分かるまで今持っている iPhone を使い続けるのが賢明かもしれない。(HomePod が、例えば Private Cloud Compute 経由で何らかの Apple Intelligence 機能を獲得することがあるのか否かについて、まだ私たちは Apple から何か聞こえてくるのを待ち続けているところだ。)
私が持っている iPhone 15 Pro はワイヤレス接続性 (従ってバッテリー寿命) に若干の問題を抱えているのだが、Apple Store で調べてもらっても何も問題はないと言われた。なのでぜひこれを下取りに出して買い替えたいと思っているのだが、今のところ iPhone 16 にすべきか iPhone 16 Pro にすべきか決めかねている。これまでの私ならばより良いカメラを求めて Pro モデルを選んでいたのだが、高さが 2 mm (5 セント硬貨の厚み程度) 長く、重量が 12 グラム (5 セント硬貨 2 枚程度) 重いし、価格が $200 も高い。でも、予約注文が始まる金曜日の朝までには決断するつもりだ。
それは素晴らしいことのように思えた! 私は当初 iPhone 15 Pro の Action ボタンが Camera アプリを開くように設定していたけれども、私はあまり頻繁に写真を撮らないのでそのアクションを覚えるには至らなかった。また、音声コントロールをする設定も試してみた。口述してあったテキストを音声を使って編集する際に使えそうだと思っていて、それまではトリプルタップの Back Tap ショートカット (2020 年 9 月 24 日の記事“iOS 14 の Back Tap 機能が操作のショートカットを提供”参照) に割り当てていたものだ。でも残念ながら、音声コントロールを使うこともやはりごく稀なので、Action ボタンを押す動作を自分の指に覚えさせるに至らなかった。その後 ChatGTP に話しかけるためのショートカットとして使うのもやってみたが、これもまた普段よく使う操作ではなかった。現時点では CARROT Weather を開くように設定している。これは私が最もよく使うアプリの一つなのだが、長年私はロック画面をタップして Home 画面上のウィジェットをタップすることでこれを使ってきた。
Apple が iPhone 16 の全モデルに Action ボタンを装備し、写真撮影用の Camera Control も追加したことを踏まえて、好奇心が湧いた。私は日々の iPhone 使用習慣の中に Action ボタンをうまく組み込めていないのだが、そう思っているのは私だけなのだろうか? iPhone 15 Pro または iPhone 15 Pro Max をお持ちの方にお尋ねしたいが、あなたは Action ボタンを使っていますか? もしそうなら、何に使っていますか? Focus モード切替、ショートカット呼び出し、アクセシビリティ機能へのアクセスなどのオプションに使っている場合には、それについて詳しく書いて頂けるとありがたい。iPhone 15 Pro モデルをお持ちでなければ、どうぞ投票はしないで頂きたいが、Action ボタンに関してもし何かお考えがあればどうぞそれを書き込んで頂きたい。