TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#282/19-Jun-95

Apple 社は多数の新製品を発表する。最初の PowerPC 604 ベースの Macintosh とプリンタの新製品群などが含まれる。また、恐怖の通信品位 法の上院通過のニュース、Power Macintosh 6100/66 DOS Compatible の 詳細レビュー、最後に Luciano Floridi 教授の Internet と知識に対す る考え方に関する論文の第二部をお届けする。

今回の TidBITS のスポンサーは:

Copyright 1990-1995 Adam & Tonya Engst. 詳細は末尾を参照してください。
問い合わせは <info@tidbits.com> へ、 感想は <editors@tidbits.com> へ


目次:


MailBITS/19-Jun-95

“お上品”法案、上院を通過 -- 95 年 7 月 14 日、エクソン=ゴート ン=コーツ通信品位法( TidBITS-263TidBITS-279 を参照)がテレ コミュニケーション法改正案に添付された。まもなく米国下院に提出され る。この法案はオンライン・コミュニケーションの多数の形式を違法とし、 サービス・プロバイダーの管理責任を問おうとするものだ。通過すれば、 この法律はアメリカの経済界の Internet に対する興味に弾圧的な衝撃を 持つことになるだろう。なぜなら、プロバイダーや企業は事業やサービス (そして金銭!)をそういったコンテンツを基準とする制限のない海外に 持ち出すからだ。さらに、保険と訴訟の費用はプロバイダの国外流出と事 業撤退に拍車をかけ、米国納税者は、規則と実施責任を伴う潜在的に大き な政府官僚制度への支持を強制される恐れがある。 [GD]

http://www.eff.org/pub/Alerts/ http://www.cdt.org/cda.html

Apple 社がプリンタの新製品群をリリース -- Apple 社は本日 1 機種や 2 機種でなく、 3 機種 の新プリンタを発表した。最高性能の Color LaserWriter 12/600 PS は 600 dpi の PostScript カラーレーザプリンタ で、Apple Price は 6,989 ドル。混合プラットフォーム環境で高品質の詳 密な印刷出力を得られるように設計されている。中性能の LaserWriter 4/600 PS は 600 dpi の PostScript 印刷を 1,000 ドル未満で提供する。 最後に、すべてを持ち運ぶ必要のあるエグゼクティブ用には Color StyleWriter 2200 がある。ポータブルのカラー・インクジェットで重さは 3 ポンド強、約 3 分でカラーページを一枚印刷する性能を持ち、Apple Price は 419 ドルだ。 [GD]

http://www.info.apple.com/productinfo/datasheets/im/colorlw12-600.html
http://www.info.apple.com/productinfo/datasheets/im/personallw4-600.html
http://www.info.apple.com/productinfo/datasheets/im/colorsw2200.html

WebSTAR デモ版 -- われわれは StarNine 社の新しい WebSTAR ソフト ウェア(大きくアップグレードされた商品版 MacHTTP)を吟味する完璧な 記事に取り組んでいるが、StarNine が 6 月末まで機能する無料のデモ版 を提供しているということをみなさんにお知らせすることを遅らせるのは 本意でない。 [MHA]

http://www.starnine.com/

Retrospect 2.1 アップデータ 新しい PCI Macintosh の購入を考えてい る?それなら新しい PCI Mac で動作する Retrospect 2.1 Updater を手に 入れなければならない。これはどの言語バージョンの Retrospect 2.1 ま たは 2.1A でもアップデートし、2 GB 以上の空き容量のあるボリュームで Retrospect を起動する際の問題も修正する。 [GD]

ftp://mirrors.aol.com/pub/info-mac/disk/retrospect-21-updt.hqx


Apple 社が最初の 604 ベース Power Macintosh を発売

by Geoff Duncan <geoff@tidbits.com>

Apple 社が Power Macintosh 9500 を発売した。PowerPC 604 プロセッサ を搭載した最初の Macintosh であり、また NuBus 拡張スロットに替わる Intel 界で標準の PCI(Peripheral Component Interconnect)バスを内蔵 した第一機種でもある。Tsunami というコード名のこの 6 スロット・タ ワー型 Macintosh は 120 MHz または 130 MHz で動作し、これまでの Mac の 2 倍ほどの速度だと見積もられており、ハイエンドの出版者、技術者、 コンピュータ専門家のユーザを購買層とする。また、Power Mac 9500 は Apple 社が Power Mac 製品ラインを進化させるにつれ標準となっていく新 しいアーキテクチャも導入した。しかし、4,999 ドルという Apple Price から始まるこの新機種は衝動買いできるしろものではない。

http://www.info.apple.com/productinfo/datasheets/dt/pm9500.html

新 PCI バス -- Power Macintosh 9500 を見れば、そのパワーによだれ を垂らすか、手の届か ない 高価な玩具だと文句をいうかのどちらかだ ろう。最初に消えるのが NuBus で、Power Mac 9500 は高性能 PCI バスを 採用する最初の Macintosh になる。理論的には、PCI でメーカーが Mac 用の拡張ハードウェアを製造するのが単純になるはずだ。Mac でも PC で も同じカードを使うために必要なものは、別のドライバ・ソフトウェアだ けになるはずだからだ。NuBus カードを PCI に持っていく必要があるな ら、Second Wave 社が PCI Mac で 8 枚までの NuBus カードを使用できる 高価なソリューションを2、3販売している。

新 RAM -- 次に消えるのが SIMM だ。Power Mac 9500 は 168 ピンの DIMM(Dual Inline Memory Modules)を使う最初の Mac になる。DIMM は 64 ビットバスを提供し、これで Power Mac SIMM を組でインストールする 面倒さから解放される。しかし、9500 は恐らくまったく同じ DIMM の組を 利用することで、それを 128 ビットのメモリ・バンクとして扱い、さらに 10% ほどの性能の向上が得られる。メモリ食いには 9500 は理想的なマシ ンで、 12 の DIMM スロットを備え、64 MB DIMM なら 768 MB の RAM まで可能だ。聞くところによると Newer Technology 社は 72 ピン SIMM を 9500 で使えるようにする変換ユニットを開発しているという話だ。9500 にはマザーボードにハンダ付けされた RAM を なにも 持たない(512K キャッシュは例外)ので、DIMM がメモリのすべてを提供する。面倒さはど うかというと、RAM を追加・除去するためにマザーボード全体を抜かなけ ればならないという噂がある。

新エミュレータ -- 次に消えるのは?旧エミュレータで、Power Mac で 68K アプリケーションを走らせることができるようにするものだ。Power Mac 9500 は長く噂されていた 68K エミュレータを取り入れ、現行の Power Mac に搭載されているエミュレータよりも 15% から 30% 速いということ だ。68K コードで書かれた浮動小数点演算は依然として比較的遅いと報告 されているが、MACWORLD 誌のテストではこのエミュレータはハイエンドの 68040 Mac の性能に勝ることを示していた。

ドータボードに CPU -- Power Mac 9500 は簡単に取り外せる小さなドー タボード上に CPU を載せている。したがって、150 MHz 604 チップが入手 可能になったとき、Power Mac 9500 のアップグレードが簡単で、比較的安 価になるはずだ。また、ドータボードをアップグレードすれば、ビデオ、 SCSI、メモリの性能を向上させたり、内蔵バスの速度を 50 MHz ほどまで 向上させることもできる。

ネットワーク接続と SCSI -- Power Mac 9500 には AAUI Ethernet ポー ト 10Base-T コネクタが付属しているので、10Base-T ネット接続の ためにトランシーバを購入する必要がない。また、9500 には Open Transport が付属し、AppleTalk と TCP/IP(そして恐らく SurfWatch の ような MacTCP に無作法な振舞いをする型破りなプログラム類)のさらに 壮健な実現が可能になる。Apple 社によると、Power Mac 9500 は SCSI-2 Fast をサポートし、秒速 6 MB 以上の持続転送レートを持つという。

System 7.5.2 -- Power Mac 9500 は System 7.5.2 も一緒に出荷され る。これはある種の人々にとっては重要な意味がある。第一に、System 7.5.2 には新しい PowerPC ネーティブのシステムソフトウェア・コンポー ネントが含まれる。SCSI Manager、Resource Manager、Ethernet ドライ バ、Open Transport などだ。さらに System 7.5.2 は System 7.5 にある 4 GB のボリュームサイズの制限を吹き飛ばす。新しい最大ボリュームサイ ズは Copland と同様に 2 テラバイトだ。また Copland と同様なのは Driver Services Library もそうだ。これで PowerPC ネーティブのディバ イス・ドライバとグラフィック・アクセラレーションのための標準技術が 可能になる。System 7.5.2、またはその一部がいつ別個に入手可能になる か、またはならないのかについてはなにも述べられてはいないし、また新 しい 68K エミュレータは現行の Power Mac に対応していそうもない。

欠けているものは? -- それでも、Power Mac 9500 にないものはなに か?初心者にとっては、内蔵ビデオがないので、PCI ビデオカードが必要 だ。 Apple 社の基本コンフィグレーションには ATI Technologies 社製 24 ビットアクセラレータつき mach64 PCI ビデオカードが付属している。 Windows ワールドになじみのある人たちはこのことにひるかもしれない。 なぜなら ATI 社は一般的にハードウェアには定評があるのだが、ビデオ カードについては互換性に問題があると敬遠されてきたからだ。

また、Power mac 9500 用の AV オプションもない。オーディオへの対応 は、16 ビット、44 MHz ステレオのプレイバックと録音と素晴らしいが、 デジタルビデオや音声認識への方法は PCI カードによるしかない。現時 点では Apple 社が PCI Mac 用の AV カードを製造するかどうか情報はな にもない。しかし、ビデオ・デジタイザと同種の製品の PCI 市場は壮健 で、 PC ワールドからのハードウェアと実際に互換性があれば特にそうだ。 すでに TrueVision 社や Avid 社のようなメーカーが PCI Power Mac のサ ポートする計画を発表している。

要約すると -- 良識ある人で Power Mac 9500 をコンシューマ向け製品 だと呼べる人はいない。基本的に、このマシンが必要かどうか迷っている なら、あなたには必要がない。しかし、9500 は最初の“第二世代の”Power Macintosh で、ハイエンドの、コンピュータの専門分野の人々なら 9500 の性能はその価格に十分値するかもしれない。


Mac だ。PC だ。いや、DOS 互換機だ!

by Steven H. Lee <shl1@cornell.edu>

[この記事のオリジナルは CLiCKS というニューヨークの Macintosh User Group in Ithaca のニュースレターに掲載された。記事の中で、Steven は Apple 製 Power Macintosh 6100/66 DOS Compatible システムでの経験を 語っている。TidBITS では昔 TidBITS-257 で簡単に報告したものだ。]

6 年前私たちが Mac Plus でコンピュータの時代に突入して以来、わが家 はまさしくずっと Macintosh 派でした。やがて DOS マシンが必要な時が きましたが、Mac の伝統を守り、手持ちのハードウェア(例えばプリンタ や外部ハードディスクなど)を利用するために Power Macintosh 6100/66 DOS Compatible という選択をしたのです。このコンピュータは 66MHz で 動作する PowerPC 601 プロセッサをマザーボードに、66MHz で動作する 486DX/2 を拡張スロットのみを占める DOS カードに持っています。構成は 16 MB の RAM、500 MB のハードディスク、それに CD-ROM ドライブとなり ました。

このコンピュータは MS-DOS 6.22 と Windows 3.1(だから 6.0 以前バー ジョンの DOS は“サポート”していません)にしています。これは SoundBlaster 互換、オプションの PC モニタ用 512K のビデオ RAM、PC ゲームポート、CD-ROM、プリンタなどを Macintosh と DOS カードで共用 できます。また、NetWare IPX と TCP/IP プロトコル用 Macintosh ODI ド ライバもサポートしています。 [ただ、DOS Compatibility Card と Macintosh から同時に TCP/IP 接続をアクティブにはできないが。 -tonya]

DOS カード用には追加の RAM を購入しない方を選び、16 MB を Macintosh と RAM のない DOS カードで共用させています。私は DOS 側に関して趣味 の使用しか考えていなかったので、仮想メモリにほんの少し助けてもらえ ば 16 MB でやっていけます。Mac と PC アプリケーションを同時に走らせ る必要がある場合は、絶対にもっと多くの RAM が必要で、DOS カードの単 一スロットに SIMM(32 MB まで)を差せば、動作性能を上げることができ ます。 ** **DOS カードは Mac と RAM を共用できますが、Mac は DOS カード上の RAM を使用できません。

Power Mac の DRAM ベースの内蔵ビデオは 16 ビット表示(数千万色)の 640 x 480 の解像度か、または目覚ましい速度で 8 ビット(256 色)の 832 x 624 をサポートしています。DOS カードは拡張スロットを使用する だけですが、サウンド出力、サウンド入力、Ethernet は Mac に組み込ま れているので、一般的なコンピュータ環境のユーザはほとんどそのコン ピュータをさらに拡張する必要がありません。

すべてのソフトウェアは、DOS カードをドライブするプログラムを含め、 ハードディスクにプリインストールされています。周辺機器を接続すれば、 まさしく素晴らしい動作をします。しかし、私はハードディスクをパーティ ションで切るのが好きなので、ディスクを再フォーマットしスクラッチ・ ファイルを書くところからはじめました。DOS カード用の C: ドライブは 80 MB で予め設定されていますが、それでは十分とはいえません。Windows 版の Microsoft Word 6.0 と Excel 5.0 を(OLE 関係をすべて一緒に)イ ンストールするとハードディスク容量を 70 MB 以上使うのです! [Microsoft の技術サポートによると、通常の使用では 40-50 MB まで減ら すこともできるという。 -Tonya] ハードディスクを再パーティションしな いなら、少なくとも PC Setup コントロールパネルでもう少し使用できる くらいまで C: ドライブのサイズを増やしましょう。私のは 250 MB に設 定しています。

Macintosh 環境で DOS カードのコンフィグレーションをする主要なソフト ウェアは PC Setup コントロールパネルです。C: と(オプションの)D: ドライブは巨大な Macintosh ファイルで、このソフトウェアが DOS カー ドをだまして DOS ディスクと見せかけるのです。DOS カードには 8 MB の RAM を割り当て、この 8 MB は System ソフトウェアが使用しているもの として About This Macintosh ウインドウに現れます。PC と Macintosh はキーボードとマウスも共用しています。DOS カードの裏にはビデオポー トがあり、DOS の作業専用のモニタを使えますが、一台のモニタを Mac と DOS カードで共用するというもっと格安のオプションも選べます。あるホッ トキーの組み合わせ(初期設定は Command-リターン)で Mac と PC 間で 表示を切り替えます。DOS カードは PC Print Monitor を使って Mac プリ ンタに印刷させることもできます。名前から想像できるように、そのイン ターフェースは Print Monitor に似ています。私は Word for Windows 文 書を 6 年間使っている ImageWriter II に何枚か印刷させましたが、その 品質はなかなかのものでした。また、Macintosh のプリンタポートかモデ ムポートに PC シリアルポート(COM1 または COM2)を割り当てることが できるので、PC 用の周辺機器も接続可能です。

平均的な DOS ユーザは DOS カードのセットアップになにも問題はないは ずです。Apple 社は Macintosh ハードウェアに DOS カードをインター フェースするソフトウェアをうまく書いています。唯一私の出会った問題 は DOS マウスドライバがないことです(本当の PC では、マウスドライバ は通常マウスに付属しています)。幸いすべての Microsoft 社製マウスか PS/2 マウス用の DOS マウスドライバならきっとうまく動くはずです。 [Apple 社の Tech Info Library によると、「MS-DOS 6.2 ソフトウェアは DOS Compatibility Card に付属しているが、これにはどのマウス・ポイン ティング装置用のドライバもない。Windows 3.1 も DOS Compatibility Card に含まれているが、これには使用可能なドライバが確かについてい る。このドライバは Windows Disk 4 の中に納められている。」 -Tonya]

私は DOS カードの動作性能に十分満足しています。メモリを共用している ので、私の DOS カードは、同じプロセッサを備えたハイエンドのものでは なく、中クラスの 486 程度で動作します。この速度はホーム・ユースやビ ジネス・ユースではまったく申し分ありません。私は Windows 版 Microsoft Word 6.0 と Excel 5.0 を試してみましたが、この2つの一枚 岩のプログラムの Mac 版は Power Mac より以下のマシンでは Ithaca の 一月の糖みつのように動作がひどく遅いものでした。両プログラムとも DOS カード上では動作は機敏で、よく反応します。

DOS カードに制限がないわけではありません。Apple 社はこれを DOS Compatibility Card と命名したのであって、PC Compatibility Card では ありません。これがサポートするオペレーティング・システムが DOS だけ だからです。 Windews NT、OS/2、Linux のような他のオペレーティング・ システムを走らせる必要があるなら、この DOS カードはあなた用ではあり ません。 Internet のユーザから、この DOS カードで Windows 95 のベー タ版を使うことに成功したことが報告されています。しかし、その他のオ ペレーティング・システムを走らせようと思ったら、現段階ではまだ本当 の PC だけが唯一の選択です。

残念ながら、Apple 社は Extended Keyboard II も Adjustable Keyboard も生産を打ち切ってしまいました。現在 Apple 社が販売しているキーボー ドは AppleDesign キーボードだけです。AppleDesign キーボードには Extended Keyboard II の全キーがあります(価格は半額)が、反応がいい とは言い難い。Extended Keyboard II が付属したコンピュータを買い換え るようとしているなら、古いキーボードを取っておく方がいいでしょう。

最初の夜には別のトラブルも発生しました。左の Shift キーが突然 DOS 環境で作用しなくなったのです。ケーブル類とソフトウェア設定を Macintosh 環境と DOS 環境の両方でチェックしてみても、問題の原因は依 然としてわかりません。さらに2つの代用のキーボードを“壊し”、CIT Sales(コーネル大学のコンピュータ・ストア)で 3 人の専門家に話を聞 いた後で、そこにいた誰かが Apple 社に電話しました。Apple 社の専門家 はそんな問題を聞いたことはなかったのですが、ついにDOS カードで動作 しない AppleDesign キーボードが欠陥品であることが確認できました。 Apple 社が送ってきた取替品は2日後に到着し、いままでのところ問題な く動いています。

Power Mac 6100/66 DOS Compatible は、一つのマシンで Macintosh と DOS の優れた統合環境を提供してくれます。Mac 優先のセットアップがあり、 最小の費用で DOS マシンの必要があれば、私はこのマシンを強くお勧めし ます。すでに Power Macintosh 6100 を持っていて、拡張スロットになに もないなら、DOS カードを追加できます。Apple 社は公式にこのやり方を サポートしていませんが、この DOS カードは Power Mac 8100、Quadra ま たは Centris 610、Quadra 800 にも追加できます。また Apple 社は最近 630 シリーズ Mac 用に同じ互換性がある DOS カードを導入しました。

http://www.austin.apple.com/education/630.html
http://www.austin.apple.com/education/6100.html

[種々の Macintosh 用にも(そっくり同じでなくても)同種のカードは Reply Corporation 社から販売されている。この記事で DOS Compatilble システムに興味をそそられたなら(または質問があるなら)、Apple 社の Tech Info Library にある“Pwr Mac DOS Compatibility Card: Read Me File”を読もう。

http://www.info.apple.com/til.html

この文書にはネットワーク接続、モデムとプリンタの接続などに関する多 数の問題が記述されている。この文書(その他、TCP/IP 接続に関する情報 など)を探すには、Apple Tech Info Library で“DOS Compatible”で検 索をかけるといい。 -Tonya]


Internet と組織化された知識の将来:第二部(全三部)

by Luciano Floridi <floridi@vax.ox.ac.uk>

[註:この資料を転載することを快く承諾してくれた Floridi 教授に感謝 します。この記事は 1995 年 3 月 14-17 日、パリで開催されたユネスコ 会議に提出した論文の縮小版です。]

第二部:イデオメトリ(Ideometry) - 新しい認識法

この論文の前部では、Internet が人類百科事典のライフサイクルの一段階 として理解されていいということを述べた。Internet は、すでにそういう ものとして未曾有の変革をもたらし、また新たな根本的な問題も生み出し ている。そのいくつは学問と組織化された知識の将来に関連するものであ る。この部では、イデオメトリという概念を展開してこのことを検討して みよう。

学問の新しい特質 -- Internet が組織化された知識の生産と管理の分野 にもたらした変革というと、知識の生産とその利用、国際協力の推進と研 究者や学者どうしで情報をシェアすること、またはオンラインによる遠隔 教育の可能性などの間にあるタイムラグの短縮について考える人もいるか もしれない。しかし、そういった目新しさのほとんどは、私たちが苦労し てやってきたものをもっと簡単に迅速にするのが主だから、実際には見か けほど革新的なものではない。

しかし、もっと根本的に過去と隔絶を示す特徴はほかにある。例えば、地 球規模のネットワークは専門化という概念を弱めようとしている。書籍の 時代には、厳格に構成された文脈が専門化を生み出した。特に人文科学は テーマ指向になった。一方、電子的な百科事典は学際的な研究、つまり複 数のテーマに渡るアプローチを促進している。実際、学科の境界を越えて 簡単にあちこちを見て回わることができる状況では、自分自身を常に同じ 制限された空間に閉じ込めておくことは不可能になっている。 さて、急激な革新の中で最も重要なものは、百科事典そのものについてさ らに深い知識をかつてないほど簡単に手に入れられる能力に関するものだ。 もう一度、組織化された知識の知的空間のことを考えてみよう。私たちは 3つの異なる次元を定義できる。

派生データとは何か -- 書籍の時代には、一次データセットは必然的に 固定的で変更できない構造をもって収集され、組織化された。この組織化 の背後にある序列化の原理は、一次的な意味のある質問の範囲を実際に狭 めてしまった。例えば、序列化の原理が、一次データとはあらゆる時代に 英語で書かれた全ての詩の原文であると定めた場合、全ての英語詩を納め た数巻からなる最終版には、ただ「誰がいつ何を書いたか」というような 限られた範囲の一次的な疑問にだけしか適切に、簡単に答える手段を提供 できない。

情報技術はこれら全てを変化させた。今では電子的な領域を検索し、一次 データがもともとどこで収集され、組織化されたかによってまったく異な るという原理に基づいてデータを形成することが可能になった。特殊な組 み合わせのデジタルデータの構造を、無数にある必要に応じて変更するこ とができる。そしてこれで元の構造からは答えることのできなかった第2 の疑問にも答を提供できるのだ。検索を量的に変え、様々に比較すること で生まれる新しいパターンは、それがオリジナルな原理の構造とはまった く無関係でいるという理由で、意味を持ち、興味深いものとなりうるのだ。

イデオメトリとは何か -- イデオメトリは知識のフィールド(例えばデー タバンクや文字データ、またはマルチメディア・アーカイブのような一次 データのかたまり)の比較論的で定量的な分析から生まれる主要なパター ンの研究である。派生データ、つまり第三の次元の百科事典は、組織化さ れた知識のどの部分が研究対象になっているかをイデオメトリックに分析 した結果である。

イデオメトリと派生データの観念をともに説明する例がある。1994 年、 Chadwick-Healey は英詩のデータベースを CD-ROM で出版した。このデジ タルコレクションの構造はきわめてフレキシブルで、自由に再編成するこ とができる。簡単な例として、このドキュメント全体を通して、悲観的な 哲学者、ヘラクレイトスと楽観的な哲学者、デモクリトスという2人の人 物が扱われているかいないか調べてみようと思う。 コンピュータが素早く調査したところによると、人間の非運に対する同情 と人間の野心に対する冷笑が対になったモチーフは 16 世紀後半から 17 世紀前半にかけて非常にポピュラーであったことがわかる。それはこの時 代の詩人のほとんどが文学的な装置としてこの哲学的な組を利用していた からだ。このパターンは、17 世紀を通してこの二人のギリシャ哲学者がオ ランダの肖像画に多数描かれていたことに注目すると、もっと興味深いも のにもなる。定量的で比較論的な分析(イディオメトリックな分析)を通 して、私たちは百科事典にそれ自身について語らせた(派生データを提供 させた)わけだ。

イデオメトリと Internet -- さて、ある程度まではこれも特にそれほど 新しいものでもない。イディオメトリは1960 年代から多くの学問分野でポ ピュラーであった。辞書編集の技術、文体研究、人物研究、引用分析、書 籍計量研究、計量経済学、定量歴史学はすべて研究にイデオメトリックな 分析の形を用いてきた。しかし、学者たちは多大な努力をもってしても限 られた規模のイディオメトリック分析しか行うことができなかった。問題 はまったく単純で、情報技術がまだ学者の期待とニーズに添うまでに至ら なかったことだ。これは人文科学が情報技術ツールを適用できるほど十分 に“科学的”でなかったということではなく、むしろ情報技術があまりに 原始的で、学者の研究に必要な高度に洗練された仕事に対する本当のサー ビスとはいえなかったということだ。

現代の情報技術と Internet がもたらそうとしている急激な変化は、イディ オメトリックなアプローチが次第にどんな研究者にも手軽なオプションと なってきたことだ。一次データを処理しやすくするためにメタデータが必 要だということははっきりしているので、第二の次元の百科事典は第一の ものと実際決して切り放すことができない。しかし、派生データはそれほ ど直接的に入手できるものではないので、第三の次元が出現するのは、多 量の一次データがデジタル形式で収集され、ユーザが簡単にアクセス可能 ななって、素早く検索可能でしたがって電子的なツールを通して再構成で きるときに限られる。今日このすべての条件が Internet によって次第に 十分にみたされるようになってきている。 電子的な本は決して本ではない! イディオメトリによって、デジタルテ キストは、印刷された本の基礎的な機能をいくらか維持していて、したがっ て代用品として利用することができるにしても、まったく同じ仕事をこな すものであるかのように理解するべきではない。私たちは印刷されたテキ ストをよりうまく、もっと快適に読むことを目的に電子的なデータベース に変換するのではない。この仕事に関しては、現在も将来も本に勝るもの はない。

しかし、私たちは巨大な電子的な索引を作成するためだけにそれほど巨資 を投じることはしない。むしろ、テキストデータを収集し、デジタル化す るのは、それを比較論的な定量分析に適用し、マクロ的なレベルにのみ含 まれる知識を展開するためなのだ。例えば、電子的な図書学に革新的なも のは、2、3分で特定の本を探せるといったささいなことではなく、新し い質問ができるということだ。哲学的分析の歴史に関する本がいつ書かれ 始めたかを調べて、例えば、そのムーブメントがだんだん学問として認め られるにつれて、いかにその数が増加したかを発見できる。 このように電子的なテキストデータやマルチメディアのソースの集大成は イディオメトリ分析の実験室である。さらに(ここに Internet が現れる のだが)その領域が大きくそしてよりアクセス可能になるにしたがって、 よりよくなっていくだろう。というのは、大規模な集大成のイディオメト リックな価値はその産物によって決まるのであり、それぞれ単一の文書の イディオメトリックな価値を単純に算術した合計によってではない。一度 視覚的でアナログ的なパターンのための簡単で電子的なツールも一緒に利 用可能になれば、イディオメトリックな分析は拡大された百科事典の全領 域まで拡張されるだろう。 こうして、データの電子的な収集と Internet は私たちがデータを扱うレ ベルを引き上げたわけだ。しかし、一方で Internet は深刻な諸問題を引 き起こしてもいる。これについては、この記事の第三部で語りたい。

Reviews/19-Jun-95


非営利、非商用の出版物およびウェブサイトは、フルクレジットを明記すれば記事を転載またはウェブページにリンクすることが できます。それ以外の場合はお問い合わせ下さい。記事が正確であることの保証はありませ ん。書名、製品名および会社名は、それぞれ該当する権利者の登録商標または権利です。TidBITS ISSN 1090-7017

tb_badge_trans-jp2Valid HTML 4.01!Another HTML-lint gateway