TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#285/10-Jul-95

今週は、Apple社のSound Managerの新バージョン、Apple社のMacTCPに代わる Open Transportについてのアップデートの情報をお届けする。さらに、Mac関連 の便利なWebサイト、OpenDocと巨大化するアプリケーションの方向性について 起こりうる論点について推測してみよう。そして、最後にハイエンドワープロ のライバルであるFullWrite 2.0の2回に渡るTonyaのレビューの結論をお届けす る。

今回のTidBITSのスポンサーは:
APS Technologies -- 800/443-4199 -- <sales@apstech.com> ハードディスク、テープドライブ、気の利いたSCSIアクセサリのメーカー APSの価格表は、<aps-prices@tidbits.com>にメールを
Northwest Nexus -- 206/455-3505 -- http://www.halcyon.com/ 地球規模のインターネットへのアクセスを提供します。<info@halcyon.com>
Hayden Books − Macmillan Computer Publishingのブランド WWWからの注文は送料無料 -- http://www.mcp.com/ 今日のMac Tipと書籍プレゼント! -- http://www.mcp.com/hayden/

Copyright 1990-1996 Adam & Tonya Engst. 詳細は末尾を参照してください。
問い合わせは <info@tidbits.com> へ、感想は <editors@tidbits.com> へ


目次:

tbrule.gif

MailBITS/10-Jul-95

(翻訳:山浦 礼子 <raeko@aol.com>)

ああ、Open Transport 1.0 -- Orren Merton <orrenm@darkling.com> よりの寄 稿:Open Transportは(現在はPower Mac 9500でのみ入手可能だが、Version 1.1はこの秋以降にはほかのMac用として登場すると伝えられる)Apple社が優先 的に売り込んでいる新しいネットワークシステムであるが、現在の形式では しっかりと安定したPPPコネクションが提供されない。Apple社は、SLIPとPPPの 信頼性を改良すると見られるOpen Transport用のパッチをリリースしたので、 MacPPP 2.2は他のバージョンよりはOpen Transportとの親和性が高まっている と推測される。しかし、これからの調整がすべての人に作用するとは限らな い。願わくば、進取の気性にとんだフリーウェア、シェアウェアのプログラ マーがApple社とともにOpen Tranportと上手く動作するプログラムを作成し、 現行のアプリケーションとOpen Tranportに含まれるMacTCPのエミュレーション を上手く動作させてほしいものである。私の経験からだが、最もOpen Tranportと親和性のあるプログラムはNorstad氏のNewsWatcher 2.0b27であると いうことにも注目してほしい。

ftp://ftp.tidbits.com/pub/tidbits/tisk/tcp/mac-ppp-22.hqx ftp://ftp.support.apple.com/pub/apple_sw_updates/US/mac/n_c/other_n_c_sw/Open_Transport_1.0.1_patch.hqx

万歳、Sound Manager 3.1 -- 先週Apple社はSound Managerのバージョン3.1を リリースした。これには、新しいSoundのコントロールパネル書類(バージョン 8.0.5)や新たなSound Manager機能拡張書類が含まれている。数多くのバグ フィックスとともに(それらのいくつかは、私のトラブルの多くを回避してく れる)、Sound Manager 3.1はIMA 4:1圧縮(16bitのCD録音によく使用される) やuLaw 2:1圧縮(音声や電話関連のアプリケーションによく使用され、Web上で よくみかける「.au」フォーマットの基本)をサポートしている。Sound Manager 3.1は、多くのPowerPCネイティブコードを含み、(ようやく!)非同 期の警告音の再生してくれる。もし、オーディオに重点を置いた仕事をするの であれば− あるいはPower Macのゲームにちょっとだけ熱中するような場合は  −、それを試してみてもいいだろう。 [GD]

ftp://ftp.support.apple.com/pub/apple_sw_updates/US/Macintosh/system_sw/other_sys_sw/Sound_Manager_3.1.hqx

ClarisWorks 4.0と漢字--TidBITS-284 でレポートされていたClarisWorks 4.0上で日本語文を表示させる場合の問題点に関して、ZiffNet/MacのDan Miller氏<72511.420@compuserve.com> から投書があった。それによると、(そ れ以前のJLKのバージョンにおいては問題があるかもしれないが)彼は Japanese Language Kitのバージョン1.2を使用した場合、何のトラブルもな かったとのことだ。Dan Kogai氏<dankogai@jms.jeton.or.jp> − 最初に問題 をレポートしてくれた人物である − は、さらなる調査を行なっている。そ れによると、デフォルトでローマ字フォントを使用しているアプリケーション で正しい日本語表示を行なうために使用するよく知られているフリーウェアの コントロールパネル書類である、FontPatchin'を使用した場合に問題が起こる とのことだ。FontPatchin'は、漢字Talkの中でテキストに正しくアンダーライ ンを行なうためのUnderLineEnablerと呼ばれる機能拡張書類ともに一緒に使用 するが、Worls Wide Webで使用するには支障があるようだ。Dan Kogai氏は、し かしながら、ClarisWorksに同梱されるHTMLのトランスレータは日本語を使用す るにはやはり問題が残されていると述べている。[GD]

ftp://ftp.tohoku.ac.jp/pub/mac/KanjiTalk/fontpatchin2.2.sit.hqx


OpenDoc と Netscape

by Adam C. Engst & Geoff Duncan <editors@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <odaka@mbox.kyoto-inet.or.jp>)

Dave Martin氏 <dave@gerga.tamu.edu> から、以前MaiBITSで報じた、将来 Netscape NavigatorがMacromedia DirectorのShockwave技術を取り込むことに なったというニュースについて、興味深いコメントをいただいた(TidBITS- 281_を参照)。Daveが言うには、

「最近目につくようになった反OpenDoc的な考え(と見受けられるもの)につい てちょっとコメントしたいと思いました。WebブラウザがまさにWWWをブラウズ するためのものであり、様々な『ヘルパー・アプリケーション』がインター ネット上のファイルを見るためにユーザーが選択するものであるというコンセ プトは、きわめてOpenDoc的であるように思えます。NetscapeがDirectorや Acrobat(ほかに何があるかは知りませんが)を組み込むという傾向は、逆の方 向に向かっています。今まで同様、他のヘルパー・アプリケーションを起動す るのと同じようにNetscapeがAcrobatビュアーやShockwaveプレーヤーを起動す るというしくみで十分なのではないでしょうか? このようにアプリケーション が巨大化する傾向を見ていると、NetscapeがWebの世界のWord 6になるのではな いかと思ってしまいます。」

Netscapeの地平-- Daveのコメントにより、OpenDocはユーザーの受容より も深刻な障害に直面するかもしれないということを考えさせられた。このハー ドルは企業連合と、その競合他社を締め出したいという欲求が入り交じったも のだろう。Daveは正しい。NetscapeがDirectorやAcrobatをヘルパー・アプリ ケーションとして起動するという方式を採用できない理由は無いのだ。だが、 それで良いことはあるのだろうか? ほかのWebブラウザでも同じことはできる し、事実そうするだろう。ShockwaveをNetscapeに内蔵することにより、評価が うなぎのぼりのNetscapeと提携することはMacromediaにとって利益になること だし、ほかのWebブラウザにはない機能を搭載することはNetscapeにとって利益 になるのだ。

Nescapeは、ヘルパー・アプリケーション方式以上の価値を付加するために AcrobatとShockwaveを利用したいと考えている。将来のバージョンのNetscape は、単にNetscapeのウインドウ内で適切なタイプのファイルを開く以上の機能 を持つことになっている。例えば、Acrobat技術は文書を単位として扱うのでは なく、ページを単位とする。このため、どこかのWWWサイトで200ページの Acrobat文書を見つけ、その132ページを読みたいと思った時、余分なページを スクロールすることなく132ページに行くことができる。現在のAcrobat playerでは、ファイル全体をダウンロードしてからでないと132ページへジャン プすることはできない。

Shockwaveも同様で、ファイル全体をダウンロードしなくてもインターネット上 にあるDirectorプレゼンテーションをインタラクティブに楽しむことができ る。もちろん、「真のマルチメディア体験」をもたらすためには、通常の Directorプレゼンテーションは、どんなに速いモデムでも追い付かないほどの スピードを必要とする。Lingoスクリプトやキャスト、高解像度グラフィック、 アニメーションは、ダウンロードしてクライアントのマシン上で動かさなけれ ばならない。トランジションなど、エフェクトによっては、比較的問題なく動 くものもあり、バンド幅を消費せずに効果的なDirectorムービーをWeb上で実現 することも可能だろう。しかし、LocalTalkネットワークを介してインタラク ティブなDirectorプレゼンテーションを使用しようとしたことのある人は、そ れが堪え難いほど遅いことを誰でも知っている。しかも、LocalTalkはどんなモ デムよりも(また、普通のインターネット接続よりも)はるかに高速なのだ。

当然のことながら、これはすべてNetscapeのパートナーのサポートに依存して いる。再生コードだけではなく、直接オンラインで利用するための文書を人々 が作成できるようにするためのオーサリング環境のサポートも必要だ。正しく Web-savvyな機能をサポートするには、AcrobatとDirectorのオーサリング環境 は恐らく拡充されなければならないだろう。

OpenDoc連合? しかし、このNetscapeの例はOpenDocの未来全体にとっては 例外的なものだろう。企業が連合を組むのにはいくつかの理由があり、両者が なんらかの形で利益を受けるようでなければならないのだ。OpenDocパーツのそ もそもの意義は、それがほかの物で置き換えることができるということである ため、他社を排除することによる利益が失われることになる。このことによ り、開発と販売の利害が一致しなくなることがあるのではないだろうか? ユー ザーにとってはそんなことは知ったことではないが、業界の現実問題として は、OpenDocがオープンであるがゆえに、普及を妨げることになるかもしれない のだ。

個人のデベロッパーや小さな企業は協同してOpenDocパーツを開発するだろう が、これほどの劇的な変化が実現するためには大物の参加が不可欠だろう。そ こで、OpenDocがその柔軟性と可能性の広さのために正しい選択であるとして も、従来の巨大アプリケーションやMicrosoftのOLEのかわりにOpenDocを推進し ている企業は重要な役割を担っている。技術者を納得させる必要はないかもし れないが、経営陣を納得させるのは難しいかもしれない。

なぜOpenDocではだめなのか? 引き続きNetscapeを例にしよう。Netscapeは OpenDocを使って所期の目的を達成することができるのだろうか? ここにはなか なか難しい問題がいくつかある:

これは「Bloatware(肥大化したアプリケーション)への道」のように感じられ るかもしれない。そのとおりなのだ。

それではOpenDocが入り込む余地は? OpenDoc派も悲観することはない。 OpenDocの背後にある思想は、デベロッパーが早く独り立ちして、小さく、再利 用可能で、一つか二つの仕事をものすごくうまくこなす最高に便利なコンポー ネントを作ることを助けることにある。この開発アプローチはbloatwareアプリ ケーションを作っている会社、特に自社以外の会社に大幅に依存している会社 のはるか先を行くものだ。うまくいけば、NetscapeがOpenDoc用のフックを自社 のアプリケーションに埋め込むことに同意すると考えても良いだろう。FTPを処 理するもっと良い方法がある? いいじゃないか、入れてくれ。良いブックマー ク・マネージャを作ったって? いいじゃないか、入れてくれ。Directorムー ビーを再生するプラグインを作ったって? いいじゃないか、入れてくれ。ブラ ウザをできるだけ柔軟にして、Netscapeが得意とする分野でプラットフォーム 依存の製品(例えばCyberdog)に出し抜かれないようにするのは、Netscapeの 利益になることなのだ(CyberDogがどれだけクロスプラットフォームになるか は、OpenDoc依存という性質上、予断を許さないだろう)。

最後に -- 新しい技術の未来を予測するのはいつも難しいが、過去におい て、業界は(特にWindows側の世界では)執拗なほど保守的であることが証明さ れている。この保守性は、今日のペースの速いソフト開発の世界と合わせて、 OpenDocの受容にとって危険な要因となるだろう。OpenDocは失敗に終わってほ しくないが、このようなNetscapeとAdobeとMacromediaの取り引きは、OpenDoc が直面するであろう問題を予感させるものとなっている。


続・Mac関連Webサイト

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <odaka@mbox.kyoto-inet.or.jp>)

私はいつまでもMac関連の情報があるWebサイトのリストを並べたいとは思わな い。というのは、このうちのほとんどがWeb上で相互にリンクされているからで ある。今回を最後に、これからしばらくはお休みにしたいと思う。

Well Connected Macが引っ越し -- Elliotte Harold氏 <elharo@shock.njit.edu> からの報告によると、彼のWell Connected Macサイト は、

http://www.macfaq.com/

に移るそうだ。古いURLはしばらくの間はミラーとして機能するが、いずれは消 滅することになる。

Elliotteによると、この引っ越しの原因の一部は、古いURLがほとんど不可能な ほど覚えにくく、正確にタイプするのが難しかったからだという。また、"Mac FAQ"という名前の登録商標がらみの問題で少し心配な点があったので、Well Connected Macサイトのドメインネームを取得することでこの心配が減ったとも 言っていた。

しかし、サイトを移動して新しい名前を付けることの主な理由は、c|net(the Computer Network)というグループがWell Connected Macのライセンスを受け たためで、Elliotteを財政的に援助することになる。Elliotteはその資金をも とに、時間とお金をかけてWell Connected Macをより良いサイトにすることが できる。

http://www.cnet.com/

誰かがMacintoshコミュニティに無料で素晴らしいサービスを提供し、それに対 する経済的な報酬を得られるということは、私は非常に良いことだと思う。ま あ、こういったことに関する私の意見は中立とはいえないのだが。

オーストラリアにMacCyberCentreが登場 -- まだ建設中だが、

http://www.ozemail.com.au/~pkortge/mac/mum.html

の便利なサイトをチェックしてみてほしい。このサイトはオーストラリアの Macintoshユーザーを対象としており、ユーザーグループやMacintosh雑誌のた めのセクションもあり、オーストラリアだけでなく、米国、英国、日本などか らのエントリーもある。時にはインターネットが(そしてMacも)国際的なもの であることを思い出すことは良いことだろう。

Robert Lentz氏の Welcome to Macintosh サイト は、数人の読者から、ほ かのサイトでも入手できる普通の情報とともに、素晴らしい技術的な情報があ るサイトとして紹介されたものだ。最大の目玉は、Robertの"What's New"セク ションで、重要なソフトウェアのリリースやイベントなどを列挙したものだ。 もしアップデートされ続ければ、この情報源は、毎日現れる新しいMacintoshソ フトウェアの洪水に圧倒されている人にとって便利なものになるに違いない。

http://www.astro.nwu.edu/lentz/mac/home-mac.html


FullWrite 第2部(全2部)

by Tonya Engst <tonya@tidbits.com>
(翻訳:遠藤 美加<HGD01374@niftyserve.or.jp>)

このレビューは先週号の TidBITS-284 からの続きです。先週は中学生(私の 一番下の妹)と大学院生(私のもう一人の妹)が FullWrite をどのように使う かを見てきました。今週は私の母とそして私自身だったら FullWrite をどのよ うに使用するかを見て、このレビューを締めくくりたいと思います。

家庭でのユーザー -- 私は母に FullWrite を使って欲しいと思うのです が、父が仕事で Windows を使っているため両親はどちらも Windows マシン を使用しています。もしも母が Mac と FullWrite を手に入れたら、DTP や編 集の作業に使ったり、近々開催される母のペーパー・コラージュの展覧会に関 係する標識やインフォメーション・シートを作成するために使うでしょう。

母は多分まず最初に Base Styles ダイアログボックスを使って、フォント、 サイズ、スペースなどを設定し、それからデフォルトの文書スタイル用の段 落、インデント、タブ、そしてヘッダなどその他の文書要素を設定するでしょ う。デフォルトの文書スタイル用にタブを設定するときは、便利な機能を利 用することができます。仮にタブストップを .66 インチにしたとしましょう。 そしてさらに.66 インチの間隔でタブストップを繰り返したいならば、タブ位 置を "Repeat Every" .66 インチ(.66 インチごとに繰り返す)に設定できる のです。

デフォルトのインデントとタブストップを設定したあと、ある特定の段落で、 それらの値を変更する必要がある時は、パラグラフルーラを挿入して、その ルーラ上で、インデントやタブを変更します。新たに設定された値は、再び異 なったパラグラフルーラで新しい値が設定されるまでは、その後の全文書に有 効です。もしも母が新しいパラグラフルーラを挿入する前に文書の一部分を選 択したとしたら、 FullWrite は2つのルーラを挿入します。一つは最初の母 が調整した部分、もう一つは後の部分で、この選択範囲のあとはオリジナルの 書式スタイルが有効のまま残ります。パラグラフルーラはコピー、ペースト、 削除が可能です。

Base Styles ダイアログボックスでの簡単なデフォルト設定に加えて、母は Edit Custom Style ダイアログボックスを使用して、ヘッディング、引用符、 その他の特別な要素を自分の好みのスタイルで定義したいと考えるでしょう。こ のダイアログボックスはもう少し簡単にする必要があるのですが、それでも母は これらのスタイルをうまく定義します。キーボードからのショートカットや、マ ウスを使ってスタイルを迅速に定義するうまい方法はありませんが、文書から複 数のスタイルをまとめて簡単に削除できるという利点もあります。

タブやインデントを好みのスタイルに変えた場合、変更した後のスタイルが、 デフォルトの文書スタイルやパラグラフルーラによって決定されたフォー マットに優先します。これは理にかなったことではあるのですが、 FullWrite にはどの段落がどのスタイルをとっているのかを視覚的に示す方法がありませ ん。ですからユーザーは、テキストの裏で二つ目のルーラが、一つ目のルーラの 設定を無視して動いているため混乱するかもしれません。スタイルがカスタマイ ズされた段落が選択されてる時、アイコンバービューの状態ならば目に見える情 報、つまり記号やワードがその段落の左側に表示されるか、またはそのスタイル の名前がスクリーン上のどこかに表示されてもよいのではないでしょうか。ある スタイルがその段落に適用されているかどうか確かめるためには、その段落をク リックしてスタイルメニューを見る必要があります。

母がスタイルとさらに深く関わっていこうとすれば、ストレスを感じるかもしれ ません。FullWrite には、例えば基本となるスタイルのフォントだけを変更すれ ば、その下位レベルにある一連のスタイルのフォントもすべて変更するというよ うな設定が可能な hierarchical スタイル( 階層的スタイル)がありません。 母は段落の最後の行だけが次のページに表示されたり最初の行だけが前のページ に残ってしまう状態をコントロールするオプションや、一つの段落は常に同ペー ジにあるような書式があればいいなあと思うことでしょう。また、飾りけいをつ けたいと思うかもしれません。

母は多分カラムを使用するでしょう。連続して1ページにカラムをいくつか作っ てくれる Snaking カラムは同幅である必要がありますが、幅を制御したり、 スペースをわけたり、ページの中での位置を決めたりすることは簡単です。 Chapter Layout ダイアログボックスにあるサムネイル表示(proxies と呼 ばれている)を見ると、カラムがどんな状態になっているか簡単にわかりま す。カラムのけい線(カラムを区切る縦の線)を設定するにもたくさんのオプ ションがありますが、それらは proxies からはよくわからず、1ページビュー、 または2ページビューでのみ表示されます。けい線の変更は、1ページビュー、 または2ページビューの時、そのけい線をダブルクリックして、オプションの ボックスを表示させてば簡単にできます。けい線には一重線が2種類、二重線 が14種類の16種類があります。

表は簡単にコントロールでき反応も速く、母は表のスクロールの軽さをうれしく 思うことでしょう。一つの表の上に他の表を重ねて、列ごとに異なる数のセルを 持つ複雑な表を作ることが可能です。この表機能の設定を詳しく見ていくと もっと機能があってもよいように思います。行全体や表全体を一気に選択する 機能はありませんし、行は2つ以上のページにまたがることはできません。表 に飾りをつけるには試行錯誤を必要とします。典型的な枠線パターンをつけるシ ョートカットもありません。

わき注、つまり一つのページに自由に配置できる文書の中のもうひとつの文書は 母の複雑なレイアウトに役立つでしょう。わき注はテキストがグラフィックスを とりまくようにしたり(何種類かのまわり込み機能を含む、ただ単に文章を四角 く流し込むだけではない)、同じ章の中に異なったいくつかのカラムを配置した り、わきの余白にトピックの表題やコメントを表示したりするのを支援します。 わき注は、それらの注に関連する文章や、その文章を含むページ内の一定の場所 に設置することができます。わき注の位置の変更は、ダイアルグボックスから行 うか、またはそのわき注をドラッグすることでも可能です。わき注は FullWrite の中では簡単な機能とは言えません。けれどもあるにふさわしい機能である、と 言うことはできるでしょう。

カーニングは驚くほど素晴らしい機能です。この機能を使用するとキーボードか ら.05 em 単位で各々の文字の組み合わせの字間の調節ができます(1 em とは エムダッシュ ひとつの長さで、ほとんどのフォントにおいてシフト-オプション- ハイフンを押すことで出力することができる長めのダッシュです)。もっと正確 にカーニングがしたいなら、カーンニングダイアログボックスを使用します( FullWrite でのカーニングが、プリンタ側の方でうまく出力できないかもしれま せん)。置換機能を使って文書中のすべての文字の組み合わせをカーニングする ことも可能です。

母はチェンジバービューがあるのを非常にうれしく思っています。これはバー の色をグレーまたは黒に変更し、(オプションで)変更された文書を数々の フォーマットにするというものです。変更をそのままためて置くこともできます し、またいつでも最初の状態からやり直すこともできます。また、文書を保存す るとそのたびに最初の状態に戻ります。つまり、文書を最後に保存した時点に戻 したい場合、最後に保存をしてから文書がどのように変化したかをいつでも知る ことができるのです。

FullWrite には母もきっと気に入る数々の印刷機能があります。 FullWrite は 文書の両面印刷をするのに役立ちます。まず、奇数ページと、次に用紙をどのよ うに入れないしたらよいかが書かれている指示シートを印刷し、それから偶数ペ ージを印刷します。私が使っている LaserWriter Select 360 についての指示 は間違っていました。寛大な目で見れば、指示が曖昧という感じです。もう一つ の機能は two-up booklets(紙の両側に合計4ページ分が印刷される小冊子) にページを正しく入れて印刷することができます。ですから、それを二つ折りに すると両面印刷の冊子ができあがります。皆さんがこの機能を使ってみるとき はうまくいくといいのですが。というのもはじめてやってみたとき、私は失敗 したのです。その他の印刷機能には、チェインジバーの印刷、表裏4ページ印刷、 照合、逆順印刷、登録マーク、などがあります。またMacPaint、PICT、EPS のグラフィック(またはローモードのポストスクリプトコード)をすかし模様と して入れることができます。 FullWrite にはたくさんのすかし模様のためのグ ラフィックが付属しています。

索引機能やさし込み印刷を多用しようと思っている人にとって FullWrite はよ い選択とは言えないでしょう。どちらの機能もあるにはあるのですが、ごくごく 基本的なものです。カーニングなどいくつかの例外を除けば、 FullWrite はま たたくさんのデザインオプションを希望する人や、デザインオプションが調度 よくいかないとおさまらない人にとってもよい選択ではありません。

プロのライター --さて、母だったらきっと関心をもつであろうという機 能を扱ってきましたが、今度は自分自身のことについて話したいと思います。 私の仕事は最終的には PageMaker を使うか、オンラインで使用するため文章 をsetext または HTML に変換してしまうのでレイアウトや印刷の機能はあま り気にしません。

私は Word 6 のことを気にしています。私はWord 5 の使い方はよく知ってい ます。しかし、 Word 6 を使ってみたのですが、あまり気に入りませんでし た。もしも今あなたが Word から他のワープロに移行することを考えていて、 Word についてかなりよく知っているのなら、Word から Nisus Writer に移 行するよりも FullWrite に移行する方が簡単だと思います。(私は WordPerfect やその他のワープロはあまり時間をかけて使用したことがありま せん。)

FullWrite にはワード用フィルタはありません。そして残念なことにライター の多くは Word フォーマットで仕事を提出しなければなりません。FullWrite は XTND をサポートしていますが、残念ながら XTND では Word フォーマット を変換するトリックはできません。Akimbo 社はこの問題に気付いていますから 将来は解決されるかもしれません。

ライター達は FullWrite の Get Info コマンドをうれしく思うでしょう。この 機能は、セッションの数、総時間、現在のセッションの時間、文字、単語、そ して読みやすさなど、文書についての少しずつの情報をリストにします。私の Duo では、15ページの書類のGet Info のデータを取り出すのに3秒、30ペー ジの文書には5秒かかりました。

検索機能は、検索文字列が見つかったとき、どのようにするか三種類の選択が できるので助かります。その三種類とは、文字列がハイライトされる、挿入ポ イントが文字列の直前に来る、文字列の直後に来る、です。この 検索機能はす ぐれたキーボード・ショートカットを使用し、フォント、サイズ、スタイルな どに基づいた検索、置換も可能です。しかし Nisus Writer には付属している 精巧なGREP (global regular expression parser) の機能はありません。簡 単なワイルドカードの機能は、1個のワイルドカード文字を使っての検索、また はワイルドカードグループを使用しての検索を可能にします。もしもグループ で検索するならある程度まで、「見つかったら置換する」ことができます。例 えば、うしろに番号のついた"TidBITS"を検索するとしたら、その"TidBITS" という文字列一つ一つを"TidBITS Magazine"に換え、同じ「検索された」番 号をつけることができます。複数の文書を同時に検索することはできません。

FullWrite はいくつかの Apple event をサポートしています。けれども AppleScript の辞書は含まれていません。また、FullWrite にはマクロ組み込 みの機能はありません。このことは文書中のありふれたエラーを連続して探す という検索・置換マクロを実行することを非現実的なものにしています。

私は Word の アウトライン機能の機能性に夢中になっています。 FullWrite にも同様の基本的な機能があり、私はそれを心から賞賛します。私はたとえ最 初にマニュアルでアウトラインの知識を学び、この機能を使いこなせるように なるまでカンニングペーパーを作ってそれをMacintoshの近くに貼っておいて でも喜んで FullWrite のアウトライン機能を使用するでしょう。残念ながら、 マニュアルはメニューコマンドの多くを間違って記載しています。アウトライ ンの項目には通常のアウトラインスタイルのうちの多く(Harvard、 Chicago Manual of Style など)を用いて番号付けがされます。私は Akimbo 社に Base Stylesダイアログボックスに異なったスタイルが設定でき、 FullWrite のアウトラインにタイトルが自動的に作られるようなアウトラインレベルを是 非加えてほしいと思っています。

FullWrite を使うとアウトラインモードで表示されている項目、もしくは その special contents notes から目次を作ることができます。

FullWrite のグロッサリーは(あなたの住所など)普通にタイプされたテキス トブロックを記憶し、文書中にすばやく挿入します。コードをタイプすること でグロッサリーに入力した文字列を挿入できるように FullWrite を設定するこ とができます。例えば、"www" とタイプすれば "World Wide Web" が戻っ てくるように FullWrite を設定できるのです。グロッサリーを使って、 FullWrite の入力ミスを訂正することも可能ですが、 このグロッサリーの中 には誤りがある場合もあります。

FullWrite の Variable(変数)機能を使うと、日付やページの数(または文 書の最後のページの数や章の最後のページの数)あらかじめ定義されている変 数を挿入することができます。また、変更の可能性がある値段など、自分で変 数を作ることもできます。

終わりに -- FullWrite のユーザーはその短いマニュアルを読むべきで しょう。何故かって? 効率的に使用するためには FullWrite に慣れる必要があ るからです。これはほとんどのワープロに当てはまることです。私は FullWrite のdemo が好きではないという人たちから何通かのコメントをもら いました。そしてその人たちのほとんどのケースは出だしでつまずき、このプ ログラムの動き方を間違って覚えてしまっているのです。

FullWrite は定価 295ドルです。けれどもアカデミック・ディスカウントなら $99ドル、他のワープロからの乗り換え価格は120ドルです。Akimbo 社は FullWrite に力を注いでおり、PowerPC ネイティブ版を近日中に発売する 予定です。Akimbo 社は バージョン3 の制作にも懸命に取り組んでいます。ま た、彼らは荷重になることなくプログラムを改善させようという困難な課題と 向き合っています。 FullWrite は可能な機能すべてを提供しているわけではあ りませんし、またそうすべきでもないと思います。すべてのワープロがすべて の人にすべてを与えるわけではありませんし、たくさんの選択範囲があるから 私たちには FullWrite のようなプログラムが必要なのです。もしも FullWrite があなたのお好みの製品のように感じたら、是非購入されたらよいと思いま す。マニュアルを読み、そして意図されるままに使ってみてください。 Macintosh ユーザーのために中級レベルのワープロとして。

FullWrite に関連する資料とソフトウェア、ならびにデモは:

ftp://ftp.std.com/vendors/Akimbo/
gopher://gopher.std.com/11/vendors/akimbo

(第1部で名前を挙げた)Math Type とCambridge Scientific 社の 工学と 化学に関するプログラムの情報は:

http://www.mathtype.com/mathtype/
http://www.camsci.com/normalhome.html

Akimbo Systems -- 800/684-9888 -- 617/776-5500
510/843-6888 (international sales) -- 617/776-5512 (fax)
<fullwrite@akimbo.com>
Cambridge Scientific Computing -- 617/491-2200
<info@camsci.com>
Design Science -- 800/827-0685 -- 310/433-0685
310/433-6969 (fax) -- <do629@applelink.apple.com>
Niles and Associates -- 510/649-8176 -- <nilesinc@well.sf.ca.us>

Reviews/10-Jul-95

InfoWorld -- 26-Jun-95, Vol. 17, #26
Power 100 -- pg. 1
Live Picture 2.0 -- pg. 76
InfoWorld -- 03-Jul-95, Vol. 17, #27
ClarisWorks 4.0 -- pg. 74

非営利、非商用の出版物およびウェブサイトは、フルクレジットを明記すれば記事を転載またはウェブページにリンクすることが できます。それ以外の場合はお問い合わせ下さい。記事が正確であることの保証はありませ ん。書名、製品名および会社名は、それぞれ該当する権利者の登録商標または権利です。TidBITS ISSN 1090-7017

tb_badge_trans-jp2Valid HTML 4.01!Another HTML-lint gateway