TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#287/24-Jul-95

4倍速CD-ROMドライブを買うべきか否か? Managing EditorのGeoff Duncan氏 が、この業界の寵児の良いところ、悪いところ、そして思いがけないところ を明かしてくれる。また、Power Macの製造についてのニュースや、新しい Performaとともに出荷される新しいソフトウェア、MicrosoftがMicrosoft Networkを単なるインターネット・コミュニティとして考えていること、そし てMac用インターネットメーリングリストのソリューションついてのレビュー をお届けする。

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目次:


MailBITS/10-Jul-95

(翻訳:小山 純一 <vb4j-oym@asahi-net.or.jp>)

Power Macの需要、生産を上回る -- 新しいプロセッサが採用される度に 繰り返されることであるが、Apple社は、先週、Power Macの需要に追いつく ために鋭意努力しており、さらなる増産を計画していることを認めた。歴史 的に見れば、Apple社がそのマシンに対する顧客の需要を満たしたことは稀で あり、多くの場合、もっぱらユーザーとディーラーのフラストレーションを つのらせてきた。しかし、その需要の真の大きさは、驚くべきものとなるか もしれないのである。現時点において、Apple社の製品の半分以上がPower Macとなっており、Power Macの生産台数は1年前の2倍を超え、すでに200万台 以上のPower Macintosh製品が出荷されている。しかも、Apple社によれば、 インストールベースのMacintoshが2,000万台を突破し、これは3年前の2倍で あるという。にもかかわらず、パーソナル・コンピュータ市場全体は同じ割 合で成長し続けており、Apple社の市場シェアは相変わらず10%前後に留まっ ている。 [GD]

Dr. Norman登場 -- Apple社は、つい最近、Appleフェローの一人Don Normanを、Advanced Technology Groupの副社長に選任した。Advanced Technology Groupは、Apple社における将来的なテクノロジーおよびプロダク ツ・デザインの研究・管理について責任を負う部門である。Dr. Normanは、 従来Apple社の「User Experience Architect」として活動してきただけでな く、ヒューマン・インターフェイス・デザインのエキスパートしても広く知 られている。彼は、過去においてカリフォルニア大学サンディエゴ校 (UCSD)の心理学教授と認知科学研究所所長を兼任してきた。また、主な著 書に、The Design of Everyday Things (邦題『誰のためのデザイ ン?』)、TurnSignals Are the Facial Expressions of Automobiles(邦題 『テクノロジー・ウォッチング』)、Things That Make Us Smart などがあ り、これらはいずれも彼の思考および興味のよってきたるところを、さらに は、Apple内部で彼が主張しようとしていることを、うかがい知ることができ る好著としてお薦めできる。 [GD]

否、我々はInternetのほんの一部に過ぎない -- 人気者の帝王 Bill Gatesは、先週、Microsoft Network (MSN)の次期バージョン ― Windows 95 の一部として、すでに開発中である ― では、Windows 95がリリースされる 1995年8月24日を期して、合衆国内のユーザーに完全なInternetアクセス機能 を提供すると発表した。「Microsoft Networkを一つのInternetコミュニティ と考えていただきたい」とGatesは述べている。「我々の最終目標は、これを さらに大規模なコミュニティに発展させることである。」これは初期段階の MSNにおける「Internetは見当違いの構想である」という立場とは大いに異な るものであるが、アナリスト達によれば、AOLやCompuServeなどInternet戦略 を積極的に推進してきた商業ベースのオンライン・サービスによって、 Microsoftは否応なくこのようなスタンスをとらざるを得なくなったのだとい う。しかしながら、合衆国以外のMSNユーザーにとっては、1996年の第2四半 期までInternetアクセスが期待できないという点で、さほど価値があるもの とは思えない。 [GD]

あなたを叫びたい気分にさせるもの -- Cypress Research Corporation は、先週、スクリーンベースの電話ソフトウェアMegaPhoneの機能限定バー ジョンを、Apple社が新製品のPerforma 5200CDおよび6200CDにバンドルする 計画であると発表した。MegaPhoneは、これらのマシンにインストールされた Global Village TelePort Gold内臓モデムとともに動作し、留守番電話機 能、全二重スピーカーフォン機能、コンタクト・マネージャ、Appleイベント のサポート、音声・データの自動識別機能などを提供する。Performa向け MegaPhoneのユーザーは、$50でフルバージョンのMegaPhoneにアップグレード することができる。フルバージョンのMegaPhoneは、いくつかの追加機能とと もに、PowerTalk、一般的なコンタクト・マネージャ、およびFileMaker Pro などのアプリケーションとの統合機能を提供する。 [GD]

Rex Sanders <rex@octopus.wr.usgs.gov> は、Apple社によるGlenn AndersonのMailShareの獲得と、その後の名称変更(TidBITS-284 を参照)に 関して、次のように報告している:私もMactivityに参加しており、Apple社 において「Apple Internet Mail Server」という名称を選定した張本人と話 し合う機会がありました。 第1に、本名は明かしませんが、私はこの男性を5年前から知っています。彼 は決してweenie(嫌な奴)ではありません。第2に、彼はその名称について、 以下のように弁解しました。製品発表のほんの数日前に、Apple社の弁護士達 が、MailShareには商標上の問題が存在すると彼に伝えました。しかも、独創 的な名称を考え出す時間は残されていませんでした。このような状況におい て、彼にできることは何だったでしょうか? そう、Appleという単語で始ま る、無難な名称を選ぶしかなかったのです。その結果、「Apple Internet Mail Server」という名称が決定されたというわけです。非難されるべきは弁 護士達です。いずれにせよ、その名称が内容を表現していることだけは間違 いありません。


Listの作成:Mac用リストサーバー到着

by Jason Snell <jsnell@intertext.com>
(翻訳:水木 潔 <HGH03125@niftyserve.or.jp>)

今年の初め頃は、Internetのメーリングリストを購読したい時は、 LISTSERV、Listproc、Majordomoの様なプログラムが動いているメインフレー ムかUnixワークステーションへメッセージを送る必要がありました。 しか し、その2、3ケ月後、Mac用の立派なメーリングリスト用プログラムが3つ発 表されました。 これらはそれぞれ、独自の長所短所を持っています。

ListSTAR -- 最も著名なリスト用プログラムはStarNine社のListSTARで、 これは、市販の「mailbot」とリストサーバーのパッケージです。 ListSTARには4つの形態があります:ListSTAR/SMTP、これ自身SMTPサーバー として動作します(しかし、POPサーバーとしては動作しません);他の 3形態は別のメールサーバーを必要とします:ListSTAR/POP(以前は MailShareとして知られていたApple Internet Mail Serverの様な POP/SMTPサーバーが必要です)、ListSTAR/MS(Microsoft Mailの システム用)、及びListSTAR/QM(QuickMailシステム用)の3つです。 ListSTAR/SMTPは大規模メール処理に気が利いています:もしメーリング リストが単一のサイト上に数人の利用者を含んでいるなら、そのサイトに一度 接続してその全ての利用者に一度にメッセージを送ることができます。 一方、Apple Internet Mail Serverは、配送リストの各利用者毎に接続を し直すので、少しばかり不親切です。

http://www.starnine.com/
ftp://ftp.starnine.com/pub/evals/liststar/

ネットワーク関連部分を別にして、4つのListSTARは全く同じ様に 振る舞います:これらは、利用者が定義した命令セットを順に実行する事に よって届くメールを処理します。 命令は、届くメッセージによって 開始されて、返事を送ったり、メーリングリストへそのメッセージを 転送したり、メーリングリストへその送り主を登録したり抹消したり、 或いはAppleScriptを実行したりという事ができます。

結局、ListSTARは非常に融通性があります、甘言を用いれば、emailの 操作において想像できる事は多分何でも実行できるほどに強力な道具です。 しかし、この融通性には価格が伴います:ListSTARは、複雑で、もし命令に 間違いがあれば、重要なメールが戻ってきたり、それを失ったり、或いは 誤送したりするかも知れません。

Macjordomo -- より伝統的(尚且つより使い易い)リストサーバーは、 ちょうど発表されたCornell UniversityのMichele Fuortes氏による フリーウェアのMacjordomo 1.0です(UnixのMajordomoと全く関係ありません) Macjordomoは、POP/SMTP用のリストサーバーで、MacのApple Internet Mail Server或いはUnixのサーバーで動いているPOP/SMTPメールサーバーの利用が 必要です。

http://leuca.med.cornell.edu/Macjordomo
ftp://leuca.med.cornell.edu/Allora/FTP/Macjordomo/Macjordomo1b2.hqx

Macjordomoの強みは、そのインターフェイスです。 リストサーバーの設定や 個々のメーリングリストの設定は、幾つかのウィンドウやダイアログボックスを 通してできます。 利用者は、Macjordomo内から事前に設定してある 一般的な歓迎やエラーのメッセージを編集する事でMacjordomoを個人用に 設定できます。 Macjordomoはそれ自身のリストサーバーの記述にPOP mailboxを 1つ、走らせる各メーリングリストに1つづつ追加のPOP mailboxが必要となります (現在、9つのリストに限定されていますが、次のリリースでは増加される 予定です)。

Macjordomoは、自動的にメーリングリストの要約を作成し、メールを出す事が でき、またMajordomoやListprocの様なUnixのリストサーバーで使えるリスト サーバーの命令を外部の利用者に提供します。 これの最大の欠点は自動応答 の「mailbot」として動かず、POP転送に安全性を更に追加するパスワード 認証機構であるAPOPを提供しない事です。

AutoShare及びFireShare -- 他の2つのリストサーバーは、以前MailShare として提供されていたPOP/SMTPサーバーであるMacのApple Internet Mail Server(AIMS)の機能拡張です。 MailShareを作者Glenn Anderson氏はApple社 に売ってしまったのですが、彼は開発を続けるつもりでいます(TidBITS-284を 参照)、AIMS 1.0はフリーウェアとして残ります。

http://abs.apple.com/products/mailserver.html

デンマークのMikael Hansen氏によるフリーウェアのAutoShareは、MailShareと 同一のサーバーで走らせなければならない簡単なアプリケーションです。 これは、監視フォルダーに新しいメッセージが現われるのを待ってから活動を するので、MailShareは、POP/SMTPのリストサーバーよりもお節介では ありません - これは、新しいメールがないかどうか頻繁に接続する よりもむしろ、処理が必要なメールがある時だけ動きます。

http://www2.kb.bib.dk/Staff/meh/AutoShare/AutoShare.html
ftp://ftp.tidbits.com/pub/tidbits/tisk/tcp/mail/auto-share-10.hqx
ftp://ftp.freedonia.com/servers/AutoShare-1.0fix.sit

AutoShareは、Macjordomoと同様のリストサーバーとしての機能を提供します、 この機能には、自動要約及び幾つかの非常に強力な「mailbot」としての機能が 含まれています:全てのメールに、前もって準備したテキストファイルを、 更に表題行のテキストに基づいて送るテキストを変えることさえできる のですが、自動的に送るアカウントをAIMSサーバーに作成できます。 [事実、 <faq-adam@tidbits.com>にあるAdam氏の、え〜、個人的なFQAの様に、全ての 我々の自動応答を行う為にTidBITSは現在AutoShareを用いています。 -Geoff氏]

AutoShareの欠点は、あまり多くのインターフェイスが提供されていない事 です。 AutoShareの設定にはフォルダーと正しい場所に正確な名前のテキスト ファイルを作成する事が必要です。 これは、全然直観的ではありません。 QuickStart文書(打ち明けた話、私が書いたのですが)は、幾分インストール の過程を容易にしたようですが、AutoShareの使用には臆することは ありません。 そう、一度こつをつかめば、AutoShareは、貴方のAIMSや MailShareサーバーにとって欠かせぬ物になるでしょう。

最後の1.0バージョンに加えて、Mikael Hansen氏はAutoShareの「vacation mail」自動応答機構に関連したバグを修正したAutoShareの「1.0 fix」版 をリリースしました。

MailShareの拡張機能としてJerry Stratton氏の「liberalware」である FireShareがあります。 これは、AutoShareと同じように働くAppleScriptの 集まりで、AIMSが新しいメッセージを受信フォルダーに置いた時に 反応します。 FireShareは、メーリングリスト、自動応答、そして FTP-by-mail機能を提供します。 これはAutoShareよりも 設定して動かすのが難しいのですが、このAppleScriptの性質が スクリプティング熱愛者にとって非常に融通性のある選択となっています。 「Liberalware」と言うのは、選んだ政治団体の1つに10ドルを寄付する事に よって登録をするものです - 詳細はFireShareのwebのページにあります。

http://cerebus.acusd.edu/html/FireBlade/FireShare/FireShare.html

もう一度確認しよう -- Macのメールサーバーのどれがちょうど貴方に 良いかは、貴方の必要性次第です:ListSTARは、融通性と販売会社のサポート が必要な利用者にとって強力な選択です;Macjordomoは、設定と使用が 簡単です;AutoShareは、強力な郵便箱機能を提供し、AIMSにぴったりです; そして、FireShareは、大変融通性のあるAppleScriptとして提供されて います。 これら全てはInternetで無料で提供されており(StarNine社は 彼等のFTPサイトでListSTARの期間限定版を提供しています)、貴方は、 これら全てを試して、貴方に最適のものを選ぶ事ができます - このような 選択は2、3ヶ月前にはありませんでした。

StarNine Technologies, Inc. -- 800/525-2580 -- 510/649-4949
<info@starnine.com>

4倍速の当惑

by Geoff Duncan <geoff@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <odaka@mbox.kyoto-inet.or.jp>、
小山 純一 <vb4j-oym@asahi-net.or.jp>)

もしここ数ヶ月の間にいくらかCD-ROM市場に注目してたなら、一つの事に気 がついたでしょう: 4倍速CD-ROMドライブが花盛りなのです。しばらく前から NECやSonyなどがサードパーティー製のMac用4倍速CD-ROMドライブを販売して きましたが、AppleもデスクトップMacに4倍速CD-ROMドライブを搭載すること になりました。2倍速CD-ROMドライブは800kフロッピーと同じ運命をたどるこ とになり、4倍速ドライブが次のステップとなるように見受けられます。さら にやっかいなことには、3倍速および6倍速CD-ROMメカニズムも市場に存在し ています。

このテクノロジーは大いに注目を浴びているわけですが、同時に大いに誤解 されてもいます。私には4倍速CD-ROMドライブが_必要_なのでしょうか? 4倍 速ドライブは2倍速よりも_遅い_ことがあるそうなのですが? CD-ROMが4倍速 向けに「特別に制作」されているというのはどういう意味なのでしょう? 存 在するすべての疑問にこの記事で答えることはできないでしょうが、いくつ かの重要な問題を明らかにすることができれば良いと願っています。この記 事で扱っている問題のほとんどは3倍速、6倍速、それから(驚くなかれ)15 倍速の高速CD-ROMドライブに当てはまりまが、ここでは「4倍速」と総称する ことにします。

「4倍速」の意味 -- 「4倍速」とはCD-ROMドライブが「標準」的な1倍速 CD-ROMドライブの4倍のスピードでデータを転送_することができる_、とい うことを指しています。1倍速 CD-ROMはデータをコンピュータに1秒間に約 150K転送することができますが、この値は理想的な場合の数値だと考えてく ださい。過去数年間のデスクトップMacに多く搭載されたAppleCD 300シリー ズのような2倍速CD-ROMは、データを1秒間に約300K転送します(これも理想 的な場合に、です)。4倍速ドライブは1秒間に600K近くを転送することがで きます。つまり、4倍速CD-ROMドライブは最初の1倍速CD-ROMドライブの4倍も のスピードで情報を転送することができるのです。

ここで上の段落の最初の文で「することができる」と述べた点に注目してく ださい。ありとあらゆる要因が4倍速でのデータ転送とみなさんの幸せを妨害 する可能性があるからです。この中には明快なものもあれば、微妙なものも あります。以下に詳しい例を述べますが、はっきり言って、単に1倍速 CD- ROMドライブを4倍速CD-ROMドライブに置き換えるだけでは実際のパフォーマ ンスが4倍になることは保証できないのです。

探せよ、しからば与えられん -- 時とともに進んだのはコンピュータに 情報が転送されるスピードだけではありません。新しいCD-ROMドライブの シークタイムは高速になっているのが普通です。シークタイムとは、ドライ ブがCD-ROMディスク上のある地点を探し当てるまでの平均的な時間を意味し ます。1倍速ドライブの平均シークタイムは、300から500ミリセカンド(ms) 前後なので、CD-ROM上の特定の地点に移動するまで、長い場合には0.5秒もか かることになります。2倍速ドライブのシークタイムは250から350ms、通常の 4倍速ドライブは150から200ms前後となっています。一方、今日のハードディ スクのアクセスタイムは10ms以下の場合が多いため、最も速いCD-ROMドライ ブでもハードディスクの10倍もの時間を要することになります。

シークタイムはどのような影響を与えるのでしょうか? 簡単に言えば、CD- ROMドライブが(ディスクから連続的に読むのではなく)ディスク上の特定の 地点を読みに行かなければならない回数が多ければ多いほど、シークタイム がドライブの体感速度に及ぼす影響が大きくなります。シークタイムの影響 は、多数のファイルが入ったFinderのウインドウを開くような場合、特に (典型的なPhotoshopファイルなど)ファイルにカスタムアイコンが付いてい るような場合に見ることができます。このような場合には、CD-ROMドライブ はすべてのファイルについてデスクトップ・データベースから情報を取り出 し、次にディスクの物理的な位置に移動してアイコンをロードし、またデス クトップ・データベースに戻って次のファイルの情報を読み出さなければな りません。これだけあちこち飛び回っているとかなりの時間が消費され、ド ライブの速度が遅く感じられるのです。同様に、CD-ROM上で断片化し、20ヶ 所に書き込まれている2MBのテキストファイルを読む場合には、連続的に格納 されたファイルを読む場合よりも長くかかります(1回のシークと20回のシー ク)。したがって、(a) シークタイムはドライブの体感速度に大きな影響を 与えることがあり、 (b) CD-ROMの物理的なデータの配置が重要な要素となる ため、ドライブがディスクを読む回数・頻度をコントロールすることはほと んど不可能になります。

[CD-ROMからカスタムアイコンが表示されるのを待つたびにいらいらさせられ ている方は、Fabrizio Oddone 氏 <gspnx@di.unito.it> が手を加えたQuinn & Peter Lewis氏のCDIconKillerをお試しください。これはCD-ROMやフロッ ピー、ネットワーク上のボリュームのカスタムアイコンを表示させないよう にするためのものです。パフォーマンスの向上には目を見張るものがありま す!]

ftp://mirrors.aol.com/pub/info-mac/disk/cd-icon-killer-133.hqx

ほとんどの4倍速CD-ROMドライブはそこそこのシークタイムを持っている一 方、「4倍速」という称号は、シークタイムではなく、ドライブがコンピュー タにデータを送る_速度_のみを指しているという大事なことを忘れてはなり ません。4倍速ドライブでも話にならないほどシークタイムの遅い機種がある 可能性があり、それでも不正広告になるわけではないのです。

スポーツカーとでこぼこ道 -- だから、4倍速ドライブを持っていればマ ルチメディアCD-ROMタイトルやゲームの動作が速くなり、パフォーマンスが 向上するわけですね? 必ずしもそうとは限らないし、現実には多分そうはな らないでしょう。CD-ROMベンダーやソフトウェア・デベロッパーやディー ラーの言い分は、CD-ROMは4倍速の性能を生かすように「制作」されていなけ ればならない、ということです。これは正確にはどういう意味なのでしょ う?

よくある誤解の一つに、これらの特別に制作されたディスクは、なぜかほか のCD-ROMとは違うのだというものがあります。これは間違いです。CD-ROMの 物理フォーマットは、ドライブが1倍速であろうと、2倍速であろうと、4倍速 であろうと、あるいはなんであろうと全く関知しないのです。本当の問題 は、ディスクにアクセスするためのソフトウェアが、4倍速ドライブの改良さ れたデータ転送能力を利用することができるかということなのです。

このような問題について語る時に最もよく使われる例がQuickTimeビデオです ので、私もここで使うことにします。4倍速CD-ROMドライブは、データをコン ピュータにより速く送ることができるため、より大きく、より複雑な QuickTimeムービーを再生する_可能性_を持っています。これは4倍速ドライ ブはCD-ROM上の_すべての_QuickTimeムービーのパフォーマンスを向上させる ことになるのでしょうか? 答えはノーです。その理由はこうです: ある QuickTimeムービーにはスムーズに再生するために最小限必要とされるデータ 処理能力があります。このスピードはQuickTimeムービーが(Adobe Premiereなどのツールを用いて)CD-ROMに定着される以前のキャプチャまた は制作(または両方)によって決定されます。一旦セットされたら、この最 小限必要とされるデータ処理能力はコンピュータやCD-ROMドライブによって 変わるものではありません。

例えば、あるQuickTimeムービーをスムーズに再生するには220K/秒のスルー プットが必要だとしましょう。ほかのすべての条件が同じ場合、2倍速CD- ROMドライブはこのムービーをスムーズに再生することができます(2倍速ド ライブの転送レートは約300k/秒でしたね)が、1倍速CD-ROMドライブでは、 ビデオを画面上に表示するためにQuickTimeがフレームを落とし、ぎくしゃく してしまう可能性があります。さて、もっとハードなQuickTimeムービー ― 320×240ピクセル(1/4画面)、24ビットカラー、12フレーム/秒としておき ましょう ― の場合には、4倍速ドライブならスムーズに再生できる可能性が 高いものの、2倍速ドライブではQuickTimeがフレームを落とすか中断しがち な再生になってしまうでしょう。

それでは何が問題なのでしょう? Mystのようなゲームから"Grolier's Enclyclopedia"や"Cinemania"のようなリファレンスまでのほとんどのマルチ メディアタイトルで使用されているQuickTimeビデオは、4倍速ドライブほど 高速な転送能力を必要としないのです。実は、このようなタイトルのほとん どは、ようやく120K以上のスループットを必要とするビデオを取り入れつつ あるにすぎないのです。そう、今頃になって1倍速CD-ROMで再生するためのビ デオを取り入れているのです! なぜなのでしょう? なぜなら、顧客のある程 度のパーセンテージが1倍速ドライブを使用しており、ビデオがぎくしゃくし ていたら苦情を言ったり返品を求めてくるからです。CD-ROM業界の利益率は 高いので、顧客数が減るような可能性は極力避けたいのです。メーカーだっ て、CD-ROMにクールなビデオを入れたいのですが、世の中はそれほど単純で はないのです。また、メインストリームのCD-ROMアプリケーションが、ユー ザーが4倍速以上のCD-ROMドライブを持っていると想定して作られるようにな るには、まだしばらく ― 最低2年 ― はかかるでしょう。そしてその頃まで に、メディアとしてのCD-ROMは800kフロッピーと同じ道をたどってしまうか もしれません。

一方、ゲームのデベロッパーは、ハイエンドのハードウェアを必要とするこ とについてはあまり気にしていないようです。DOS/Windowsの世界では、既に 最高の状態でプレイするためには4倍速CD-ROMを必要とするゲームが登場し始 めています。Macの世界でも同じことが(まだ起こっていないとすれば)起き ると考えて良いでしょう。特にQuickTimeやグラフィックスを多用するアー ケードやアクションゲームについては。

まだけちをつけるとすればどんなことがあるでしょう? 1倍速や2倍速CD-ROM ドライブを念頭において開発されたディスクは、4倍速ドライブ、特にミッド レンジやローエンドの製品で使用した場合、2倍速ドライブで使用した時や、 1倍速ドライブで使用した時よりも遅い場合があるのです。どうしてなので しょう? これはソフトウェア、メモリ、そしてシークタイムの問題です。仮 にQuickTimeムービーの頭の部分でコンピュータが120kのデータのかたまりを 要求したとしましょう。CD-ROMドライブはファイルを見つけ、せっせとデー タを送り出し始めます。そこでコンピュータが何も心配せずにデータの面倒 を見ていると、まだちっちゃな2倍速や1倍速ドライブが近所でおとなしく遊 んでいる間に、4倍速ドライブはさっさと遠くへ遊びに行ってしまいます。こ の結果、コンピュータが同じファイルの_次の_120kのデータを要求した時 に、1倍速や2倍速ドライブはその要求に応えることができる場合がある一 方、4倍速ドライブは再びディスク上の正しい位置に戻るためにシークを行わ なければならないかもしれず、より時間がかかることになります。これは ちょっと一般化しすぎで、細かい点はケースバイケースなのですが、だいた いこういうものだと思っていただいて良いでしょう。

キャッシュですか、それともつけにしますか?純粋主義者の方々は、上 述した例を技術的に誤っていると言うかもしれません。「必要なものは キャッシュされているはずだから、ドライブはシークする必要なんてない」 と。なるほど、それも一理あります。しかし、必ずしも常にそうであるとは 限らないのです。なぜなら、― 正直に言ってしまえば ― キャッシュとは、 それほど賢いものではないからです。

キャッシュとは何か? CD-ROMは周知のように非常に遅いものですから、大 部分のドライブは、オンボードメモリを装備し、そこにデータを蓄えておく ことによってアクセスを高速化しています。そのメモリサイズは様々です が、一般的には64K(旧型の、1倍速ドライブ)から256K(典型的な4倍速ドラ イブ)の範囲になります。CD-ROMの特定のセクタに存在する情報をコン ピュータが要求した時、ドライブは要求されたデータを読み出すと同時に、 その周辺のデータをキャッシュします。これは、コンピュータによる次の読 み出し要求が発生するのは、先に読み出されたデータに隣接する部分である 可能性が高いということを根拠にしています。もしキャッシング・メカニズ ムが正しく機能すれば、ドライブはシーク動作を行う必要はなく、次に要求 されるデータは速やかにキャッシュから転送されるはずです(あるいは、さ らに多くのデータを読み出すためにドライブがシークするための時間を稼ぐ ことができるはずです)。これに対して、次に要求されるデータが、CD-ROM 内のまだ探していない戸棚の中に存在する場合、キャッシュに蓄えられた データは放棄され、ドライブはシークし、データを読み出さなければなりま せん。 結論:キャッシュは、時には役に立つことがある。

Casa Blanca社のDriveCDやFWB社のCD-ROM ToolKitなどのように、Mac本体の ハードディスクおよびRAMを利用して、より賢いキャッシング方式を実現する サードパーティ製のソフトウェアも存在します。Mac本体のハードディスクお よびRAMは、CD-ROMに比べてはるかに高速であるため、これらのソフトウェア は、CD-ROMから読み出したデータをRAMまたはハードディスクに蓄えます。 MacがCD-ROMドライブにそれらのデータの読み出しを要求すると、キャッシン グ・システムはその呼び出しを礼儀正しく横取りした上で、「その情報はこ こにあるよ」と告げるのです。これらのシステムは、一般に1 MBのRAMと2〜 5 MBのハードディスク・スペースを必要としますが、かなりのパフォーマン ス向上をもたらします。特に、マルチメディア・タイトルやゲームにおい て、それは顕著です。また、これらのソフトウェアに組み込まれたインテリ ジェントな機能は、ある種のCD-ROMに対して特に有効に働きます。たとえ ば、特定のリファレンスCD-ROMは同じファイルへのアクセスを繰り返し要求 するのですが、キャッシング・システムはそのファイルを常時ハードディス ク上に保持しておくことによって、プログラムがCD-ROMにアクセスする必要 性をなくしてくれます。このようなキャッシング・システムは、CD-ROMドラ イブ自身が行う、単純で、行き当たりばったりのセクタ・キャッシングに比 べて、はるかに有効であると言えます。

その一方で、これらのソフトウェアはある種の犠牲を強います。たとえば、 (LCやLCIIなどのような)ローエンドのMacでは、キャッシング・システムを 維持・管理するためのオーバーヘッドによって、かなりのプロセッサ時間が 消費されるため、典型的なCD-ROMタイトルのパフォーマンスを著しく低下さ せることがあります。また、1 MBないしそれ以上のRAMと、数メガバイトの ハードディスク容量を失うことは、一部のMacintoshユーザーにとって、必ず しも最善の策とは言えないでしょう。これらのキャッシング・ソフトウェア は確かに有効ではあるものの、リソース集約的なものになりがちであること もまた事実なのです。

さらに、そのインテリジェントな機能にもかかわらず、これらのキャッシン グ・ソフトウェアが役に立たないようなCD-ROMアプリケーションも存在しま す。その代表的な例は、合衆国の国勢調査データが圧縮されて格納されてい る一揃いのCD-ROMです。これらのディスクを利用する場合、シークはほとん ど発生せず、約100メガバイトの連続的なデータをひたすら読み込んだ後、次 のディスクに移ります。この時、キャッシング・ソフトウェアが、すべての ディスク・スワップに順応しようとし、私がしていることを解析しようとす ることで、全体的な処理スピードは低下してしまうのです。このような場合 (それは明らかに特殊事例ですが)には、CD-ROMドライブの動作を解析する ためだけにMacが無駄な時間を費やすことを私は望みません。私にとって必要 なことは、できるだけ速く情報を読み込んで、圧縮データを解凍することな のですから。

要約:サードパーティ製のCD-ROMキャッシング・ソフトウェアは、ミッドレ ンジおよびハイエンドのMacでは、いくばくかのRAMとハードディスク・ス ペースとを犠牲にするつもりがあれば、典型的なCD-ROMタイトルのパフォー マンスを向上させる可能性がある。

要約すれば -- 本稿の内容を簡単にまとめると、以下のようになります:

さて、あなたは4倍速CD-ROMドライブに跳びつくべきでしょうか、それとも価 格が下がった2倍速ドライブのメリットを享受すべきでしょうか? いつもの ことですが、その答えは「時と場合によりけり」です。一部のユーザーに とっては、2倍速ドライブと4倍速ドライブのパフォーマンスの差は取るに足 らないものかもしれません。一方、高品質のビデオ、ゲーム、およびその他 のスピードとパワーを必要とするプロジェクトに関わるユーザーにとって は、4倍速ドライブこそ天の賜物であるかもしれません。

しかしながら、購入に際して1点だけ心に留めておいていただきたいことがあ ります。それは、業界は2倍速CD-ROM規格から離れつつあり、その傾向は時と ともに加速しているという事実です。向こう数年間にわたって使用可能なド ライブを購入するつもりであれば、時代遅れになりにくい最新のテクノロ ジーに投資しても損はないでしょう。しかし、あなたにとって価格が大きな ファクタであるなら、当面は2倍速ドライブで十分かもしれません。

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Reviews/24-Jul-95

MacWEEK -- 17-Jul-95, Vol. 9, #28
Apple Color StyleWriter 2200 -- pg. 27
DayStar 100 MHz PowerPro 601 -- pg. 27
Ray Dream AddDepth 2.0 -- pg. 30
AG Group NetWatchman 2.2 -- pg. 31
APS HyperTape -- pg. 32
InfoWorld -- 17-Jul-95, Vol. 17, #29
Claris Emailer -- pg. 44

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