TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#312/29-Jan-96

さて、あなたは Sun が Apple を買収しようとしているという話をご存 じだろうか? まだだというのなら、以下の記事を読んで遅れを取り戻そ う! それから今回は、Apple Performa シリーズの価格引き下げとキャン ペーン、WordBasic マクロのウィルスについての最新ニュースに加えて、 Quicken 6のアップデートとPowerBook 2300c のフィックス情報について もお届けする。また最後は、Voyager 社のInvisible Universe CD-ROM と Pictorius 社の Prograph プログラミング環境のフリー・バージョンにつ いてのレビューで締めくくっている。

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目次:


MailBITS/29-Jan-96

(翻訳::村上 浩 <murasan@yk.rim.or.jp>)

PowerBook 2300cトラックパッドの不具合修正 -- 先週、Apple 社は PowerBook 2300c Update 機能拡張書類をリリースした。この機能拡張書類 により、トラックパッドの動作の不具合は修正されるはずである。すでに 読者の PowerBook 2300c にはこの機能拡張書類がインストールしてある かも知れない。が、もし機能拡張フォルダの中に PowerBook 2300c Update というファイルがない場合には、Apple 社のサイトから入手することが可 能である。PowerBook 用ソフトウェアの入れ替えをしている最中のような ので、以下の URL とは違っている可能性あり。 [GD]

ftp://ftp.support.apple.com/pub/apple_sw_updates/US/Macintosh/PowerBook/Other%20PB%20SW/PB_2300c_Update_1.0.hqx
http://www.info.apple.com/Apple.Support.Area/Apple.Software.Updates/US/Macintosh/PowerBook/Other_PB_Software/PB_2300c_Update_1.0.sea.hqx

Quicken オンラインバンキング・アップデータ -- Intuit 社は先週、 Quicken 6.0 用のオンラインバンキング・アップデータをリリースした。 このアップデートにより、バージョンは R2 から R5 となる。パッケージ にはアップデータプログラムに加え、新バージョンの Quicken 付属ファイ ルもいくつか含まれている。Intuit 社が用意したアップデータは 3 種類 で、どれが必要かはインストールしてある Quicken のバージョン(68K 版、 PowerPC 版、“ユニバーサル版”)による。アップデータのサイズは約 2.5 MB から 3.5 MB である。ダウンロードの前に、使用方法の説明を参照のこ と。

http://www.intuit.com/quicken/technical-support/quicken/releases/qfm6-releases/

オンラインバンキング機能に加えて、今回のアップデートではユーザーか ら報告のあった問題もいくつか修正されているとのこと。ただし、 TidBITS-308 でレポートした問題がこのなかに含まれているかどうかは 不明である。 [GD]

WorldWrite 3.0 出荷 -- WorldWrite のこれまでのバージョンは米国 内では販売されていなかったが、3.0 からは世界中で入手可能となった。 価格は 99 ドルのものと 149 ドルのものがある(必要な言語により価格は 異なり、英語のみの対応版は 99 ドル)。この洗練されたプログラムには 2 MB の RAM が必要で、System 7.1 以降であれば機種を選ばず動作する。一 度、試用する機会があったので、後にレビューする予定である。主要な機 能としては、WorldScript 対応、テーブル、段組、インデックス、目次、 カラーセパレーションなどがある。このソフトには QuarkXPressフィルタ が付属しており、XTND にも対応している。WorldSoft -- 800/225-9299 [TJE]

http://www.xmission.com/~worldsft/

最初ではなかった -- TidBITS-311 の Mac 版 Microsoft Internet Explorer に関する記事において、ヘルパーアプリケーションなしに多くの オーディオフォーマットや QuickTime ムービーを扱えるという点で、 Explorer は他のブラウザに先行している、と報告した。何人もの読者から 指摘があったのだが、InterCon 社が開発したブラウザ(NetShark、 TCP/Connet II、 AOL や eWorld が使用しているブラウザなど)は、以前 からヘルパーアプリケーションなしでこれらのフォーマットを扱っている とのことである。 [GD]

http://www.intercon.com/


TidBITSのサーバー移動

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:水木 潔 <HGH03125@niftyserve.or.jp>)

我々は、96年1月25日に我々の主 Internet サーバーを移動した。それ は我々の古い家にあって、我々がそこに住んでいる間に接続した 56K フレ ーム中継線で Internet に接続されていた。我々は 4カ月前に移動したに もかかわらず、US West 社は我々に ISDN あるいは、フレーム中継や 2 次 アナログ電話線を介してさえ、 Internet への専用線接続を提供できなく なった。US West 社の多くの問題はため息の出るような無能さ、酷い顧客 サービス、そして設備の完全な不足の混ざりあったものだ。

サービスの中断のために我々はサーバーを 2 度(一度は暫定の場所へそし てそれから我々の新しい家へ)動かしたくはなかった、しかし 4 カ月の後 我々は充分長い間それと関わったと思った。我々は、 US West 社が最終的 に我々へ Internet 専用線接続を得た時に再び我々のセットアップがどう なるか見い出すだろう。しかし、− 暫くの間 − 我々のサーバーは Point of Presence社の事務所、我々の良き友人 Glenn Fleishman 氏によるWeb プレゼンテーション会社、に機嫌よく収まっている。

http://www.popco.com/

Glenn 氏の事務所にサーバーを置くことには、いくつかの利点がある。 Glenn 氏は Internet へのT-1接続を持っており、T-1の1.544 Mbpsの速 度は我々の56 Kbps接続の速度よりもずっと速い。速度も素晴しいかもし れないが、一つの副作用としてサーバーの www.tidbits.com の名前をつい に回復できた事だ。我々が Internet 専用線接続と我々自身のサーバーを 持つずっと以前、我々はその名前が oneworld.wa.com という機械、それは Internet Starter Kit for Macintosh および Internet Starter Kit for Windows の第 2 版に関連したファイルを提供していたが、を指すように設 定した。Hyden の Web サイト(これは、我々が最初にこの計画をした時に は存在していなかった)へ人々が行くようにファイルを設定した後でさえ、 私は我々の 56K 線が負荷を処理できるかどうか確信できなかった。しかし、 現在我々の Apple Internet Server 6150 は Glenn 氏の T-1 線の背後に あり、我々はそれが負荷を処理できると確信している。そう、これから先、 我々のWebサイトを得るのに下のURLを使用しなさい:

http://www.tidbits.com/

機械の新しい IP 番号は 205.199.66.6 だが、あなたの地域のドメイン・ ネーム・サーバーはまだこれを認識していないことが考えられる。もしあ なたが Peter Lewis 氏の MacTCP Watcher で king.tidbits.com 上のドメ イン・ネーム検索をして古い番号(204.57.157.13)を得るなら、あなたは 我々の機械に接続できず、我々への電子メールも届かないかもしれない。 可能性のある 2 つの解決策がある。第一に、もしあなたが Mac を使用し ており先週の木曜日前に king.tidbits.comに接続したが再起動していな いなら、MacTCP は IP 番号をキャッシュに持っているかも知れない。再起 動はキャッシュをクリアしているはずだが、MacTCP DNR(それは再起動時 に再び作られる)をシステムフォルダから捨て再起動することはキャッシ ュをクリアする完全な方法であるはずだ。第二に、問題があなたのプロバ イダのドメイン・ネーム・サーバーにあるなら、あなたのプロバイダにネ ーム・サーバーの再起動、それはあなたのホスト・マシン上の最近訪れた サイトのキャッシュをクリアする、を頼みなさい。我々の観察している負 荷から判断して、多くの人々は問題無いが、この忠告は一般的に有益でも あるだろう。

We b経由の TidBITS へのアクセスを増加させ(Dartmouth の Web サイト で昨年末起こったような)サイトが記事を更新できない時の問題を避ける ために我々はミラーリング計画を推進していた。基本的に、我々は我々の 記事のHTML版を含んでいるディレクトリ(現在 TidBITS-274 から、しか しそれら全部は結局変換されるだろう)をグラフィックスとナビゲーショ ン・ページと一緒に設定した。一般の使用に対して無料のWebサイトであ る限り、そのディレクトリは誰でもミラーしてよい。もしあなたがTidBITS の記事をミラーリングするのに興味があるなら、<ace@tidbits.com> の私 まで電子メールを送ってください。


太陽もまたさまよう

by Geoff Duncan <geoff@tidbits.com>
(翻訳:齊藤 聡 <mh9a-situ@asahi-net.or.jp>)

先週の火曜日、Wall Street Journal 紙は Sun Microsystems 社が Apple 社を買収しようと奮闘していることを報じ、契約は 2 社の間で“切迫して いる”と伝えた。このときから Mac の世界はきりもみ状態に入った。何年 にもわたって Apple は多くの買い手(2 年前の IBM からのまじめな提案 を含む)からのアプローチを受けたが、今回は、噂が、 Internet の一部 と“内部の情報源”からそれはすでに済んでしまった契約だと聞いたとい う発言をする人々によって手助けされて、自然に広まっていったものであ った。噂はCEO の Michael Spindler と社長の A.C. Mike Markkula の満 員の株主総会での振る舞いによりさらに裏づけられてしまった。その会議 では、総括については長く時間をとり、収益性を回復するための Apple の プランについての細かい話は短かったのである。

相変わらず、 Apple 買収のレポートはどこか大げさであった。今回は、Sun と Appleの間で契約は取り決められず、話し合いは決裂したらしい。各紙 の伝えるところによれば、主な難問は価格であった。Sun の CEO である Scott McNealy は株の交換交渉において、Apple に対し 1 株あたり 23 ド ルを提示したが、Apple は 1 株あたり 33 ドルを要求した。Apple は株主 の心を留めておかなければならないので、株の市場価格よりも低いところ で妥協するには辛いときだっただろうし、Sun は自らの申し出を変更する 前に Apple の株価がどこまで下落するかを見る待ちゲームを今、行ってい るのだろう。Sun の買収の噂により先週浮上したけれども、Apple の株価 は下落し、これを書いている現在1株あたり約29ドルである。

今日、Apple は1ダースの合衆国の新聞に全面広告を出した。「信念を貫 け」と顧客をせきたて、「Apple の重役と経営者のチームの最大の優先事 項はApple の成長と収益性の次の段階を準備する行動をとることです」と 力説している。同時に噂は Apple が Motorola や Sonyのような他の買い 手を探すだろうと広まっている。伝えるところによれば、かつての求婚者 Oracleや IBM は興味を示していない。

振り返ってみれば、他の会社への Apple の身売りの報告はほとんど規則正 しくなされている。あろうことか、よいカレンダープログラムでもあれば、 あなたはたぶん次の噂が始まりそうなときを書き込むことができる。いく らかは Apple と Sun がよい組み合わせだと感じているにも関わらず、他 方60億ドルの Sun は110億ドルの Apple より小さいことと Apple を買 収することはかなり長い期間にわたって収益を薄めることに注意しなけれ ばならない。Apple は前四半期に6,900万ドルの損失を発表し、次の四半 期にはより大きな損失を出すと予想されているけれども次のことにも注意 を払う価値がある。PCクローンマーケットの AST Research 社はその第二 四半期で12,860万ドルの純損益を発表し、Unisys Corporation は1995年 の最終四半期で67,880万ドルの途方もない損失を報告したが、これには約 8,000人の従業員を解雇したコストも含まれている。両方の会社とも1995 年に Apple よりもかなり小さいけれども純収益を上げている。これは Appleが金を生み出す手段をもっていないというよりもむしろ利益をあげ るところで問題を抱えていることを指摘する根拠となる。Sun(または他の 会社)との合併が、Appleに対してその非常に忠実な顧客たちを縁遠くす ることなしに利益率を増やすことができるようにするかどうかは不明確で ある。

BusinessWeek の最新号は、Apple の問題について取材した記事を載せて送 り、 Macintosh developer magazine MacTechの発行者である Neil Ticktin <publisher@mactech.com> がいくつかの興味深いコメントで評価していた。

「熱狂を感じさせるメディアがはじまるとき、何が起こるかで私がびっく りすることは決してなくならない。あなたがたの最新号の取材の題名は“ア メリカの聖像の没落”。この“聖像”は有益な1995年、1筐体販売あたり の収益を増加させ、広がったデベロッパーの基盤(最も将来の指標となる)、 多数の製品および成果をもたらすための戦略的な活動を得た。そう、この 会社は四半期の損益とレイオフ(類似した評判としけた利益しか持たない 工場において)があった。しかし、記事の中のテキストの深いところを分 りやすく言い換えると、損益は“バランスシートに大きな打撃を与えるも のではなく”レイオフは“1985年のトラウマに匹敵するものではない。”」

「そう、この会社は Apple Computer 社であり、プレスが憎むことを愛し ている会社である。この記事を同じ号の Dimler-Benz 社に起こった“変 革”の肯定的なコメントと比較すると、1995年に42億ドルの損失を出し、 ドイツ経済を妨げたとある。そう、Apple は解決すべき問題を抱えている が、この取材を公平と見るべきか?」

「ところで私が知っている大部分の人は、Apple の株価を下落させるメデ ィアの助けを高く評価している。それで我々はもっと Apple の株を買うこ とができる。結局、記者が他のトピックに焦点を合わせるとき、我々は Appleの株が上昇して銀行までの道のりをずっと笑っていることだろ う。」


Performa キャンペーンと価格引き下げ

by Mark H. Anbinder, News Editor <mha@tidbits.com>
(翻訳:山浦 礼子 <raeko@aol.com>)

パワー・ペイバック・プロモーション [US版、Mac買いどきキャンペーン] の一貫として、Apple 社は“ Performa + プリンタ = ペイバック [キャ ッシュバック]”を開始した。これにより、Performa とローエンドの ImageWriter II や StyleWriter 1200 から新登場の LaserWriter 12/600 PS まで、種類を問わずApple のプリンタを同時に購入した者は、誰でも 150ドルの割引きを受けることができる。同時に、Apple 社は数種類の Performa モデルで価格引き下げを発表した。

Apple ディスプレイもしくはプリンタとPower Macintosh 7200 シリーズ で200〜500ドルの割引き、あるいは、Apple プリンタと PowerBook で 150 ドルの割引きに加え、 Performa の割引き開始されたことでパワー・ペイ バック・プロモーション第一弾は、さらに充実したものとなる。このプロ モーションは、まだ実施中; 96年 3 月 17 日までこれら 3 種類のパワ ー・ペイバックは継続される。

http://www.apple.com/promo/powerpayback/

購入者は、4 月中旬までキャッシュバックを受けることができる。その際 にはディラーが発行したフォームに加え、日付入りの請求書、あるいは確 認可能なコピーが必要となる。

Apple 社は、当分の間、Performa 5200、6100、6200、そして 6300 ファミ リーのディーラー納入価格と希望小売価格に代わる“最低広告掲載価格” を引き下げる。最終的なユーザー受け渡し価格は、75〜300 ドル相当の引 き下げとなるだろう。そのうえ、さらにキャッシュバックが可能なのだ。

Apple Computer -- 800/950-7521


Word=マクロ=ウイルスはまだ出現中

Geoff Duncan <geoff@tidbits.com>
(翻訳:米谷 仁志 <comet@po.iijnet.or.jp>)

TidBITS-292 で、Microsoft Word 6.0のユーザー(大半は Macintosh の ユーザーではない)に影響を及ぼす、WordBasic で書かれたクロスプラッ トフォーム = コンピュータウィルスについて報告した。あれからさらに WordBasic によるコンピュータウィルスが現われた。これまで発見された WordBasic ウイルスは特に破壊的なものではないが、 Macintosh を扱うマ ネージャーにとっては頭痛の種になっている。報告によれば、このウィル スは Macintosh でも、より身近なものになりつつある。

オンラインでは、このウィルスに関する多くの情報が見られ、Microsoft はこの問題に対処するための抗ウィルスツールをリリースした。

http://www.research.ibm.com/xw-D953-wconc/
http://ciac.llnl.gov/ciac/notes/Notes12.shtml#WINWORD
ftp://ftp.microsoft.com/softlib/mslfiles/mw1222.hqx

覚えておいてもらいたいのは、このウィルスたちは WordBasic のマクロと して、 Word6.0 の書類に含まれる形で広がっていることだ。というのも WordBasic は、プラットフォームに関係なく動作するので、ウィルスも Word6.0 が動作するマシンならば、プラットフォームに関係なく感染しう るのだ。 Macintosh 上では、 Microsoft Word6.0 と 6.0.1 で「のみ」感 染する。それ以前のバージョンの Word には WordBasic が装備されていな いので、他のシステム上のWord6.0 の、ウィルスに感染した書類を用いた としても感染することはありえない。 Virex や SAM のような商用の抗ウ ィルス=ユーティリティは、これらのウィルスを退治できる。しかしフリ ーウェアの Disinfectant では、それは不可能である。というのは Disinfectant は、マシンコードの形式で書かれたウィルスを追跡するよう 作られているからだ。もし商用の抗ウィルス = パッケージを使っている なら、また WordBasic ウィルスの駆除に関して疑問があるなら、代理店に 連絡すべきだろう。

このウィルスによる影響が広がっているにもかかわらず、 Word6.0 を使っ ているいくつかの大手の法人/教育関係のサイトをざっと調べてみても、 このウィルスに対する関心を持っているところは多くはなかった。ある大 手のサイトからの情報では、その会社の 80 〜 90 パーセントの Mac が感 染していたと見積られていた。反対に、いくつかのサイトでは、 Mac 上で ウィルスは見られないと報告されていた。ある教育関係のサイトでは、「一 週間に数回に渡って」ウィルスの防除・除去が行われたとの報告がある。 また、ある大手法人のサポートマネージャーによれば、大規模なクロスプ ラットフォーム [で仕事をしている -米谷])部門で使われている Mac に このウィルスが頻繁に出現するとされ、またいくつかの情報では、Mac の ユーザーは、これらのウイルスが Mac に広がるとは考えておらず、このこ とにより予防策がとられていないと指摘している。

私が見る限りでは、このウィルスによる重大な被害の報告はない。手間の かかる主なことといえば、このウィルスに対処するための、あるいは抗ウ ィルス=ソフトウェアを購入・インストールするための時間、あるいは(あ る情報の言葉を借りれば)「非常に神経過敏な」対処によって生じる作業、 といったところのようだ。あるサイトの報告によれば、感染したテンプレ ート(ひな型)ファイルを通じて、電子メール経由でほとんどの従業員に このウィルスが広がってしまったとのことだ。「だれも被害は受けてない。 でも、ウィルスを退治し、すべての事情を説明し、皆を再び安心させるの に一週間もかかったんだ。これは絶対安いとはいえないね」。興味深いこ とにはこれら「すべての」情報源は、匿名を条件としてだけ、私に語って くれたのだ。

もし、頻繁に(特に外部の団体と)書類をやり取りする環境下で Word6 を 使っていたり、それをサポートする役目についているなら、より大きな問 題に発展するのを待つよりも、どのようにしてウィルスを駆除し、状況を コントロールするかを調査する方が、価値があるかもしれない。Microsoft の抗ウィルスツールは、ハードディスクをちょっとの間だけ(特に Mac で は)スキャンするだけだが、それを一度は行う必要があるだろう。だがそ れだけだ。心配をするよりは、安全であるほうがよい。

Microsoft -- 206/635-7200


Invisible Universe

by Jon Pugh <jonpugh@netcom.com>
(翻訳:尾高 修一 <odaka@iprolink.ch>)

面白くてためになる。死んだあとにこの言葉で表現されるような人生を 送ることができたら幸せだ。他の人が私と同じモットーに基づいて行動し ているのを知るといつも嬉しく感じるものだが、私は最近まさにこれを実 行している CD-ROM に遭遇し、ここで紹介したいと思うほど高く評価した。

その製品とは人間の眼が捉えることのできない遠い宇宙の物体についての CD-ROM、 Fiorella Terenzi 博士による Invisible Universe だ。これは Voyager 社の製品で、同社の製品として恥ずかしくない水準に仕上がって いるうえ、ユーモアと技術的にも高度で正確な内容を持っている。 Terenzi 博士がイタリア人の宇宙物理学者であることを考えると、内容の 正確さは驚くほどのことではないが、彼女がすべての QuickTime ムービー に登場している美しいナレーターだということに気がつくと、これは実に 素晴らしいことだと思ってしまう。彼女が太陽系からはるか彼方の星雲に いたるコスモス(宇宙)を見せながら説明する時の口調は実に魅力的だ。

http://www.fiorella.com/
http://www.voyagerco.com/CD/ph/p.invisible.html

いたずらっぽい情報の提示の仕方も面白かった。Terenzi 博士はたびたび 星の間に立ち、説明している天体を指したりするのだ。また、頭だけが説 明している光景の中で浮かんでいたり、一度などは星雲の上に寝転んでい たりするので、この CD-ROM の制作に携わった人たちは明らかに楽しみな がら作っていたようだ。ムービーの撮影は関係者みんなにとって楽しいも のだったに違いない。

すべてのムービーは音楽とセットになっている。Terenzi 博士の専門は電 波望遠鏡がキャッチしたデータを音楽にすることだそうだ。Invisible Universe は彼女の音楽を丸々一時間流してくれ、私は中には音楽が流れて いる間に星雲がスクロールするだけというものもあるさまざまなプレゼン テーションの中で、そのどれもを心の底から楽しんだ。

Invisible Universe CD-ROM には、空の中の興味深い現象の位置を示す星 図も含まれている。この中には私の一番のお気に入りである約 150 年前に 爆発した新星、Eta Carinae(以下の JPEG イメージを参照)をはじめ、ま だすべてを見るには至っていないたくさんの天体が含まれている。また、 すべての惑星と衛星の写真が、解説とクローズアップとともに収録されて いる。

http://www.stsci.edu/pubinfo/jpeg/WFPCEtaCar.jpg

最後に、Invisible Universe には John Perry Barlow、Herbie Hancock、 Thomas Dolby や Terenzi 博士と Timothy Leary によるデュエットなど、 有名人の朗読による有名な詩がちりばめられている。詩がこの作品のもっ とも技術的な部分だというわけではないが、詩は作品全体の軽妙さを象徴 するといっていいだろう。

価格 40 ドルの Invisible Universe CD-ROM は Macromedia Director で 制作され、Macintosh と Windows で動作する(詳しいスぺックは上記の Voyager 社のページを参照)。もしあなたが天文学や宇宙論に関心がある なら間違いなく一見の価値があるし、もし私のようなマニアでなくても、 Invisible Universe はあなたのまわりのコスモスがどのようなものである かの感覚をつかませてくれるだろう。


Prographを使ってみよう

by Matt Neuburg <managing_ed@mactech.com>
(翻訳:杉浦 雄一郎 <ysugiura@direct.ca>)

カナダ・ノバスコシア州ハリファックスを拠点とするPictorius社は、同 社の主戦力製品であるProgaraphをフリーウェアとしてリリースすると昨 年8月に発表した。11月の初め、Info-Macのアーカイブにこのフリーウェ ア版は登場した。プログラムの定価が1,500ドル(Prographのかつての値 段がそうだった)、あるいは700ドル(現バージョンの価格)だったりす ると、どんなにその製品についての情報を読んでも、それで感銘を受ける ことはまずないのだが、なにか無料のものがあるとそれだけで関心を持っ てしまうから妙なものだ。

ftp://mirror.aol.com/pub/info-mac/dev/prograph-classic.hqx
ftp://mirror.aol.com/pub/info-mac/dev/prograph-reference-manual.hqx
ftp://mirror.aol.com/pub/info-mac/dev/prograph-tutorial-examples.hqx
ftp://mirror.aol.com/pub/info-mac/dev/prograph-tutorial-manual.hqx

[全部合わせると約4MBになる。 -Geoff]

Prographはコンピュータプログラムをグラフィカルに開発するための環 境だ。ちょっと次の記述を見てほしい。

  if (inModelID == SCPage::modelKind) {
  if ( mPagelist -> FetchAItemt(inPosition,&page) ) {
  PutInToken(page,outToken); return; }}

このような記述を読み書きできるようになるためには文法の学習に多大な 時間を費やさなければならないが、Prographなら命令から次の命令へと受 け渡されるデータの流れを示す図を描くだけで基本的にはOKだ。こうして 描いたダイアグラムそのものが言語であり、Prographがダイアログを「本 当の」プログラミング言語に「変換」するわけではない。

Progaphについては常に懐疑の念を抱いていた。それは主にそのアプロー チに明らかな欠点が見られるからであった。Prographで書かれたプログラ ムは小さなスペースに収めることができない。PascalやCなら数行で済む ようなことが、Prographの場合は一画面まるまる必要になってしまうのだ。 それでもこれがタダということなのでダウンロードしてきて、早速チュー トリアルをひもといてみた。

チュートリアルのできばえは素晴しい。読み手の思考プロセスをよく捉え ており、かゆいところに手が届くといった感じだ。読みながら「それでは、 こんなやり方でやったらどうだろう?」とか「ここで使うよう指示された、 この変てこな記号はなんなのだろう?」といった疑問を持つと、そういっ た疑問についての説明がその後にタイムリーに続く。

チュートリアルはとても楽しく行えたし、過去に学習したどんなプログラ ミング言語とは比較にならないくらい容易に言語を学習できた。チュート リアルは 2、3 日で終了し、すぐに力試しのため実際のプロジェクトに取 り組んでみた。それは簡単なトランプゲームのプログラムであったが、カ ードの山のオプジェクトを作成し、カードを自動的にシャッフルさせたり、 山の上から一枚配らせたりといった「メソッド」を与えるといったことが 何の問題もなくできてしまった。この説明の仕方からすでに察しているか も知れないが、Prograph はオプジェクト指向である。そしてオプジェクト 指向プログラミングを極限まで自然かつ、やさしく具現化されている。各 オブジェクトはアイコンで表わされており、メソッドや属性は文字通りそ の中にある。クラスアイコンをダブルクリックするとウィンドウが現われ メソッドと属性がそこに表示されるのだが、これはオブジェクトをテキス トによって表現しなければならない C++ よりもはるかに優れており、ボタ ンのスクリプトがボタンそのものの中にある HyperCard に近い感覚だ。

次のステップはちょっと凝ってみて、一般の Macintosh プログラムのよう にメニューやウィンドウを付け加えてみることにした。Prograph には基本 的な Mac インターフェイスを扱うアプリケーション・フレームワークが備 えられおり、マウスクリックに反応したりメニューやウィンドウ内におけ るドラッグに反応するイベントループを扱うクラスやメソッドが用意され ている。もちろんそれ自体もPrographで書(描)かれている。また簡単に 使えるグラフィカルメニューが使用でき、プログラムで使いたいウィンド ウを ResEdit に頼らないで描くためのウィンドウエディタもある。しかし、 何冊もある Inside Macintosh のコレクションを手放すわけにはいかない ということにすぐに気がついた。トランプがシャッフルされている間に、 ユーザーのために「温度計」形式の進行状況ウィンドウを出したかったの だが、そのためシャッフルが始まると同時にウィンドウを出し、終わると ウィンドウを消す必要があった。しかしなぜか描画が行われない。温度計 が現われないのだ。やっと見つけた原因は次の通りだった。つまり、温度 計を動かすには、温度計を動かすためのアイドルメソッドがヌルイベント によって繰り返し呼び出されなければならない。そのためにはウィンドウ を出すと同時にシャッフルではなく、イベントループが動きだすようにし なければならなかったというわけだ。これは同じルーチンを C で書こうと しても同じことだ。この点を直したら温度計は完璧に動いてくれた。そん な訳で、Prograph を使って Mac のプログラムを書こうと思っても、やは り Mac のプログラム方法の学習は避けられない。Prograph は HyperCard のように一切合切の面倒を見てくれるというわけではないのだ。それでも、 類似したプログラムを C++ でも書いてみた私の経験から言うと、Prograph によるプログラミングの方がはるかに容易だ。

プロセスを書くことは本当に楽しい。それは Prograph の環境が完全に動 的であるからだ。プログラムを試してみるのにすべてのルーチンを順序通 りにしてやる必要がない。そうしなければ先に進ませてくれないコンパイ ラの存在がないからだ。プログラムを走らせてみて、「エラー」が発生し たら Prograph は停止する。そしてその場で修正をすることができる。例 えばシャッフル時の温度計表示を書いた時、表示が上がっていくループを 作ったのだが、ループ回数が上限数に達した時に何をするべきかまでは書 かなかった。この状態でプログラムを起動させると、温度計が上がった後 に Prograph は停止し、「まだ書いていないルーチンがここに必要です。 ルーチンを書きますか?」というメッセージのダイアログボックスが現わ れた。そこで「はい」を選択し、温度計を閉じるためのルーチンを書いた。 すると、Prograph は正確に停止した場所から処理を続行しウィンドウを閉 じてくれたのだ。さらに凄いことに、プログラムの動作を停止して、処理 中のデータを検証することができる。したがって書いた「コード」(デー タフロー図)そのものがデバックツールとなってしまうというわけだ。も しエラーを見つけたら、正しい値を挿入することができる。また原因とな っている手前のルーチンに処理を戻してやり書き直してやることも可能だ。 この場合、Prograph はそこまで戻って処理を再開してくれる。

Prograph の簡単さ、優秀さと Prograph に対する満足度はいくらいっても 言い足りないし、文章でもこの素晴しさを的確に伝えることもできない。 実際のところ、今まで私が読んだ Prograph に関する記述はどれも公平さ に欠けていると思う。とにかくまず Prograph を体験してみてほしい。今 までプログラミングをしたことがなくても、すんなりと覚えられるに違い ない。いやプログラミングをしたことがない人こそすぐに入っていけるの かも知れない。

フリーウェアリリースである Prograph Classic は機能限定版ではなく、 かつては最新バージョンとして売られていたものだ。ただ一つだけ言って おかなければならないのは、プログラムを Prograph 内で低スピードで実 行させるのではなく、スタンドアローンとして保存したい場合はコンパイ ラを購入しなければならないということだが、これはたったの25ドルだ。 Pictorius 社はこれをシェアウェアフィーと呼んでいるが、同社ではこれ はチャリティに寄付すると約束している。Prograph Classic に慣れ、もし 現バージョンに興味を持ったら、次のページをチェックされたい。

http://www.mactech.com/Articles/Vol.10/10.03/Prograph-Review.bhtml
http://www.mactech.com/Articles/Vol.10/10.11/Prograph-CPX-Tutorial.bhtml

現バージョンに飛びつけと言っているわけではないが、Prograph とプログ ラミングの関係はMacintoshとコンピュータの関係のようなものだといい たい。またこれをフリーでリリースしてくれた Pictorius 社の関係者に感 謝と賛辞を与えたい。この贈り物のおかげで Mac ユーザーはこれなしでは 決してできないような素晴しい経験ができる。もっと多くのソフトウェア 会社が、旧バージョンの製品をフリーウェアとしてリリースするというポ リシーをとってほしいものだ。

http://www.pictorius.com/

[追記:EveryDay Objects 社は Prograph のためのインターネットクラス とプリミティブを開発した。Macworld Expo における同社のデモでは、デ ータベースを照会してその場でWebページを生成するWebサーバを構築す るのにこれを使用していたが、これはなかなかよくできていた。-Geoff]

http://www.pla-net.net/edo/


Reviews/29-Jan-96


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