TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#322/01-Apr-96

Apple の誕生日を祝うとともに、今週号ではCD-ROM に収録された System 7.5 Update 2.0 のオーダーの方法と Web サーバ上に複数のホームページを構 築する Open Door 社の Home Door を紹介しよう。そしてまた、QuickDNS Pro、Power Mac 用の新しい数値演算ライブラリ、そして Netscape Navigator 3.0 のプレビュー版についての情報をお届けする。そして最後 に Darrl Peck のインタビューの第 2 部で締めくくっている。

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目次:


MailBITS/01-Apr-96

(翻訳::加藤たけあき <oiso@wolfenet.com>)
(  :齊藤 聡 <akkun@ca2.so-net.or.jp>)
(  :Kaz Yoshikawa <kaz@fact.com>)

今回はエイプリルフールのジョークではなく、真面目な内容です。本当に。 [ACE]

ハッピー・バースデイ Apple! -- 1976 年の今日(4/1)、Steve Jobs 氏と、Steve Wozniak 氏の手により Apple Computer 社が誕生した。もう すぐほとんどの州でお酒が飲める年齢になる。もう少し楽観的な生産見通 しを出してほしいものだ。 [ACE]

<http://product.info.apple.com/pr/background/1995/pr.background.timeline.html>

Greg Marriott 氏襲われる -- 私達はめったにこの種のニュースは扱 わないのだが、今回は例外だ。数週間前に、長い間 Apple 社で System 7 の 一部や、そのほか多くのものを担当しているプログラマーである Greg Marriott 氏が、彼のアパートで襲撃れた。襲撃者たちは唐突で、残虐なそ の襲撃で、5回にわたる頭部への強打とおびただしい裂傷を負わせ、その まま氏を置きざりにして去った。彼は何とか自力で救急車を呼び、病院へ 運ばれた。(彼は一命を取り留め、当時より見違えるほど回復している。) 私がこの惨事について書いているのは、犯行グループがあと数カ月で18 歳になる少年たちで、カリフォルニア州では未成年として罰せられてしま うからである。Greg と彼の友人たちは何とかこの少年たちを成人として罰 してもらおうと、地方検事に訴えている。もしあなたが Greg の苦難の記 述を読んだあとで同意してくれるのであれば、Greg の友人たちによって作 られた Web ページの解説を見て、この件についてのあなたの声をほかの何 百という人の声とともに、(この動きを理解してくれている)地方検事へ 提出する嘆願書に加えてください。Internet は現実の生活とはかけ離れて いるとしばしば非難されているが、ここに Internet の Macintosh コミュ ニティが、現実の世界で何ができるのかという一つの例があるのではない だろうか。[ACE]

<http://www.spies.com/~greg/> <http://www.best.com/~renee/>

TidBITS がテレビに -- 1995 年の 8 月に Tonya と Geoff と私の 3 人は、「Life on the Internet」という 13 部構成のテレビ番組の収録に 参加した。番組は Canadian Discovery Channel の制作で、何人かのカナ ダの読者は(Steve Dorner 氏と一緒に) e-mail についての放送で私達に 気がついた。一人のとても親切な読者の方は私達にも出演したエピソード が見れるように、録画したテープを送ってきてくれた。Geoff がカットさ れていたこと [バッチリだったはずなのに! -Geoff] 以外は番組の質の 高さにとても感動し、残りのシリーズも同じようなレベルの内容であれば、 一見の(もしくは録画する)価値があると思う。96 年の4月に全米のテレ ビ局で放送予定なのだが、放送日と時刻は各放送局によってまちまちのよ うだ。(ちなみに、The extensive Life on the Internet の Web サ イトによると、我々の地元放送局では一応 5 月に放送される予定のよう だ。)[ACE]

<http://web-cr02.pbs.org/internet/>

Apple 社 7億ドルの損失 -- 先週の記者会見で Apple 社の社長 Gil Amelio 氏は、Apple 社の第 2 四半期の税引き後の損失は、約 7 億ドルを 計上することになるだろうと報告した。金額のおよそ半分は在庫に関連し、 1/4 は社内のリストラにかかったものだ。Amelio 氏は、「私はこの時点で、 何が問題なのか、またそれらは立て直しが可能だとわかったと確信してい ます。」と語り、5 月初旬をめどに復興計画を明瞭にしていくとしている。 [ACE]

<http://product.info.apple.com/pr/press.releases/1996/q2/960327.pr.rel.outlook.html>

QuickDNS Pro 1.1リリース -- アイスランドのレイキャビクにある Men & Mice 社は QuickDNS Pro 1.1 をリリースした。これはフル装備のドメイ ンネームサーバを Macintosh で実現するものである。QuickDNS Pro 1.1 は、プライマリ、セカンダリ、リカーシブネームサービスを提供し、スク リプト記述可能なドメインエディタが付属する。ドメインエディタとはセッ トアップとドメイン名の情報の管理が簡単に行えるものである。また、 QuickDNSは、複数のサーバ間でロードの振り分けを補助するラウンドロビ ン DNS をサポートしている点は見逃せない。ラウンドロビン DNS は一般 的には複数の Mac でWeb サーバを走らせ、それを一つのサーバであるかの ように見せかけるために用いられる。このようにして、これらのMac間のト ラフィックは見えないところで割り振られるのである。QuickDNS Pro 1.1 は 295 ドル(1.0からのアップグレードは無料)であり、下記に示す URL から14日間体験できる試用版をダウンロードできる。 Men & Mice - - (+354)525 4938 -- (+354) 525 4991 (fax) -- <info@menandmice.com> [ACE]

<http://www.menandmice.com/QuickDNS/>

Power Mac 専用 Motorola 社数値演算ライブラリ -- Mark Granger 氏 は、System7.5 以上で動作する Power Mac で Mac OSの数値演算関数を高 速化するシェアード・ライブラリをコンパイルした。このライブラリは、 モトローラ社の C/C++ Software Development Kit の数値演算ライブラリ を使って作られており、そしてユーザーからの報告によると浮動小数点数 値演算において 25 パーセントものスピードが向上しているようだ。アプ リケーションによっては大きな効果を期待できるのであるが、お手持ちの Power Macが数値演算を大量に行う必要がないのであれば、このライブラリ は無用の長物になりかねない。超越関数に深くかかわる諸氏にとっては、 拝見するだけの価値はあるはずである。

<ftp://mirrors.aol.com/pub/info-mac/cfg/math-lib-moto.hqx>

GeoPort ニュース -- Apple 社の GeoPort Telecom Adapter の高速化 バージョンに関する質問がTidBITSに多く寄せられる。当編集部は、リリー スされていない製品について記事を書くことを避けるようにしている。こ ういった記事は同製品をどこで買えばいいのか、といった質問メッセージ を受けるのがおちだからである。[しかし今回は] MacWEEK誌が、Apple 社 がGeoPort Telecom Adapter の28.8 kbps 版をこの夏にリリースしようと しているといったウワサを記事に載せたからである。このGeoPortは、 Power Mac 上でのみ動作するものだ。たとえ GeoPort Telecom Adapter に 交換ができたとしても、私は本物の 28.8 Kbps のモデムを常に代わりに薦 めている。

<http://www.zdnet.com/macweek/mw_1011/news_geoport.html>

AISS アップグレード -- TidBITS-317 で私はいろいろな独立している ソフトウェア会社に依存している Apple Internet Server Solution 1.0 にバンドルされたソフトウェアがどんなアップグレードされるのかコメン トした。StarNine や Bare Bones といったところはアップデートの準備が 良好であったが、それは保証されているものではない。しかし、Apple の Kate Wormington は、AISS 1.0 を 1995 年 9 月 1 日以降に購入した顧客 は PageMill を Apple のオーダーセンター(800/950-5382 x759)から配 送と送料の手数料で直接注文できることを私に教えてくれた。加えて、ほ かのいくつかのプログラムの更新が Apple の Server Solution Web サイ トで可能である。そのサイトは伝えるところによれば(NetCloak や Home Doorのような)2.0にバンドルされているソフトウェアのデベロッパーの一 部にすぐにリンクし、アップグレードの割引きも検討しているらしい。 Apple は最終的にこれらのアップグレードのための場所としてワンストッ プ Web 注文システムをつくろうと考えている。 [ACE]

<http://www.solutions.apple.com/internet/AISS/updates.html>

Netscape 3.0プレビュー -- Netscape社は“プレビュー”版Netscape Navigator 3.0をリリースした。今回新しく盛り込まれた機能の多くはMac では動作しないのであるが、同リリースは OpenTranport ネイティブ(最 適化)版であり、Internet Configの暫定的サポート、Netscape frames を 通じてのナビゲーションの改善、メールとニュースの機能を強化したもの である。このリリースは Microsoft Office 製品に類する ToolTips とい うという機能をもつ。これはNetscapeのインターフェースで、基本的に役 に立たない説明を表示する機能である。幸い、これらの ToolTips の機能 は OFF の状態にしておくことができる。今回のリリースは Power Mac で Java をサポート(68K サポートは進行中)しているが、試用期間は 96 年 7 月 15 日で切れる。ダウンロードするには 4M 弱と大きいため、ダウン ロードを考えている人はリリースノートを必らず一読いただきたい。私が 行った簡単なテストでは、このリリースは特に安定しているといいきれな い。[GD]

<ftp://ftp.netscape.com/pub/navigator/atlas/pr1/mac/AtlasPR1-Installer.hqx> <http://home.netscape.com/eng/mozilla/3.0/relnotes/mac-3.0b2.html>


System 7.5 Update 2.0 CD を求めて

Tonya Engst <tonya@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <odaka@iprolink.ch>)

US West 社の高速のインターネット接続が可能になるのは(何年のことか はわからないが) 5 月中旬になるだろうという最新情報を聞きつけた Adam と私は、あの巨大な System 7.5 Update 2.0 をダウンロードするの を止めて CD を買うことにした。この CD (または FD)は Apple または Macintosh ユーザーグループからのみ購入可能だということがわかった。 ユーザーグループからのアップデータ購入は、そのグループのメンバーに 限られる。先週、私は Apple、AMUG、BMUG の 3 つの販売元について調べて みた。

Apple -- TidBITS-318 のアップデータに関する詳細な記事で、 Geoff は Apple / Claris 社に電話(1/800-293-6617 内線 984)をする ことを勧めていたのであった。つながるまではなかなか大変だったが、13 ドルプラス税(ただし送料は無料)で購入可能なことがわかった。Apple 社はフリーダイヤルの受付電話しか用意していないし、米軍用郵便局宛以 外のアメリカ国外には出荷しないということもわかった。Apple の担当者 の話では、出荷までには 14 営業日から 6 週間かかるそうだ。

AMUG -- Arizona Mac Users Group は、今週の DealBITS で AMUG Tech 1.0 CD を提供しているが、これはなかなか魅力的な CD だ。11 ドル と送料 5 ドル(海外へは 10 ドル)で System 7.5 Update 2.0 が手に入 るのみならず、(やはりというべきか)1 ヶ月分のメンバーシップ、800 種類ものゲーム、500 種類のインターネットツール、Apple の FTP サイト の中身、AMUG Internet Installer、有名な“1984”を含むコマーシャル ムービー少々が付属してくる。さらに、1 ヶ月間のメンバーシップを 1 年 分にアップグレードすることも、年会費を払ってこの CD を無料で手に入 れることもできる。AMUG へは、電子メール <sales@amug.org>、Web の フォーム、および電話(602/553-0066)で注文可能だ。AMUG にどれだけの 在庫があるかはわからないが、私の注文を受けてくれた女性によると翌日 には出荷できるらしいので、3 日以内には私の手元に届いてくれるはず だ。

<http://www.tidbits.com/dealbits/>

BMUG -- AMUG の CD を買った後で、BMUG でも System 7.5 Update 2.0 を 12 ドルと税(送料・手数料は、アメリカ国内へは無料、海外へは 5 ドル)で販売しているということがわかった。この CD には BMUG essentials フォルダから選んだ 29 MB 分のおいしいおまけに加えて、 Planet BMUG と BMUG Boston へ接続するための First Class BBS ソフト ウェア および QuickTime ムービー、デモソフトなどがついてくる。BMUG からこの CD を買うには、まず会員になっていないといけないが、会費は 年間 45 ドルからだ。BMUG では、電話(510/549-2684、800/776-2684)ま たはファクス(510/849-9026)による注文を受け付けている。

<http://www.bmug.org/>

この CD は、Apple や AMUG、BMUG その他どんなところから手に入れて も、あくまでもアップデータにすぎない。このアップデータを使うには別 に System 7.5 が必要だ。くれぐれもお忘れなく。


Open Doorが可能にするマルチホームウェブサーバ

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:杉浦雄一郎 <ysugiura@direct.ca>)

Macintosh による Web サーバ運営関連でもっとも頻繁に聞かれる要望は、 一台の Mac に複数のドメインを持たせたいというものだろう。さまざまな ハックや部分的な解決策は確かに存在するのだが、Open Door Networks 社 の HomeDoor はこの機能を単体で提供するものだ。Apple Internet Server Solution 2.0には、扱えるドメインを 5 つに限定した HomeDoor のライト バージョンが付いてくるが、このライトバージョンは特別に 249 ドルで、 通常 400 ドルのフルバージョンにアップグレードすることができる。

マルチホームウェブサーバがどんなものなのか見当もつかない方のために 少し説明すると、マルチホーミングは基本的に、単一の Web サーバを使用 している状態で“http://www.companyX.com/”と “http://www.companyY.com/”のリクエストにそれぞれ別のデフォルトペー ジを返すことができるようにする機能だ。Web サーバを走らせている単一 のMacに company X と company Y といったようにいくつかのドメインを割 り当てるのは簡単なのだが、ドメインごとに異なるデフォルトページを Web サーバに扱わせるいい方法が今までに存在しなかったのだ。

この機能がどんな意味を持つのかというと、たとえば誰かが Web サイトの URL を推測しようとしよう。そんな場合、会社名を WWW と COM で挟んだ ものを試してみる人が多いと思われる(Netscape 2.0のロケーションフィー ルドに会社名を入力するだけで、同じ方法でURLが自動的に推測される)。 もし該当の Web サイトが、別のドメインを持つほかのサイトとサーバを共 有している場合、通常は利用者を各ドメインごとの適切なページに導くた めの共有デフォルトページのようなものが必要になる。しかしこのやり方 はあまりスマートとはいえない。それにランジェリ店のようなところは、 大型トラック販売店等とはデフォルトページを共有したがらないだろう。

これまでの解決策 -- この問題に対して、今までにもあまり一般的では ないが、これまでにもいくつか解決策が存在した。まず複数のサーバから 複数ページを提供するのは容易なので、Mac LC のような安価なマシンを 2 つめの Web サイトのホームページ用にセットアップするという方法が一部 の人達で取られてきた。この場合、ホームページ以外のすべてのファイル は Power Mac 6150 のようなメインサーバに置いておく。これは確かにう まくいく方法なのだが、同一 Web サーバから提供したい Web サイトの数 だけ安価な Mac が必要になってしまう。複数の Mac を使用すると負荷を 分散させて一台の Mac に負荷が集中するのを防げることができるため、こ の方法は複数の Web サイトがどれも均等に人気がある場合に特に効果的だ。

二番目に、同一マシンに複数の Web サーバを立ち上げ、各サーバに固有の ポート番号を使用させるという方法がある。しかしこの方法だと、利用者 はサイトの使用ポート番号を推測することがまずできない。

<http://www.starnine.com/support/qa/webstar/netconnect.html>

三番目に、Unix がマルチホーミング機能を備えているということを利用し て、Tenon 社の MachTen をインストールするという方法がある。MachTen は Mac 上で動作する Unix 風のソフトウェアだ。この方法もうまくいくの だが、MachTen の購入が必要になる。さらに、Unix および Unix の httpd サーバの操作が要求されるので、Unix を使い込んだことのない人にはつら いところだろう。

<http://www.tenon.com/>

HomeDoor -- ここで HomeDoor の登場だ。HomeDoor はプログラムやマシ ンの追加なしで、マルチホーミングを可能にしてくれる。このソフトウェ アは Mac OS のローレベルの部分にロードされ(InterCon 社の Amanda Walker 氏は、EatherNet ドライバを包みこんでしまうと推測している)、 複数ドメインのリクエストが入ってくると、各リクエストを、対応するデ フォルトホームページに振り分けてくれる。ただちょっとした欠点もある。 それは Web ブラウザのロケーションフィールドにはユーザが入力した“ク リーン”な URL ではなく、HomeDoor が振り分けた“汚い” URL (ブラウ ザは、実際に取得した URL をレポートするため)が表示される。HomeDoor のユーザーズガイドにはこの問題をほぼ回避するための方法が載っている。 詳しくは HomeDoor FAQ を参照してほしい。

<http://www.homedoor.com/> <http://www.homedoor.com/faq.html>

HomeDoor は Macintosh の Web サーバにとっては複数の仮想ドメインを持 たせるための定番ユーティリティになったが、Unix マシンのマルチホーミ ング機能ほどはクリーンにはできていない。Unix の場合は“汚染された” URL を返すようなことは決してしない。ただ Macintosh 用としては、これ が現在のところのベストな解決策といえよう。

最新ニュース -- Highware 社は 189 ドルで MultiHome をリリースし た。これはマルチホーミング機能を WebSTAR に与えるための CGI だ。こ れを使用するにはユーザ側の Web ブラウザが“プッシュプル”をサポート している必要があり、この機能を使っても、適切なページに自動的に振り 分けられる前に MultiHome が提供するドメインのリストが表示されてしま う。また HomeDoor と同様に、Web ブラウザがレポートする URL は、仮想 ドメインの後にディレクトリ名が付けられた“汚染”されたものだ。

<http://www.highware.com/highware/MultiHome.nclk>

Open Door Networks -- 541/488-4127 -- <homedoor@opendoor.com>


Darryl Peck インタビュー(第二部)

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <odaka@iprolink.ch>)
( :山浦 礼子 <raeko@aol.com>)
( :村上 浩  <murasan@yk.rim.or.jp>)

Darryl Peck 氏のインタビューの第二部へようこそ。先週、 TidBITS-320 では Darryl <dpeck@cybout.com> が Mac ファンになった経緯や、 Inline Design の経営について語ってもらった。また、どのようにして Web 上で の商取引に関心を持ち、Cyberian Outpost という Web 上のハードウェア ・ソフトウェアのショップを始めたかについても話してくれた。

<http://www.cybout.com/>

[Darryl] Mac 側の売上は全体の半分以上になります。Apple については、 まあ、私にはこの騒ぎが理解できません。総資産額 120 億ドルの会社が 6,900 万ドルの赤字を出したからといって、終わりが近いというわけでは ないのですから。要するに、こんなのは Apple にとって痛くもかゆくもあ りません。特に Apple には 10 億ドルもの預金残高があるわけですから。 強いていえば、Spindler 氏の辞任につながったのが幸いだったぐらいです かね。私の感覚では、今の Apple はずっと有能な経営陣に任されていますよ。

私自身は、Apple がなくなる心配などはまったくしていません。Mac はプ ラットフォームとしてはるかに優れているので、誰もが Wintel に乗り換 えるという事態は想像できません。最近発表された Motorola 社との契約 はよい知らせですが、Apple にとってはなんとしても Copland を出荷する ことが至上命題でしょう。Mac OS は時代遅れになりつつあって、こんなこ とはいいたくないのですが、正直なところ、ものによっては Windows 95 の方が 7.5.x よりはるかに上手にやってのけてくれるものがあります。 あ、石を投げないで ...

[Darryl] うーん、イエスでもノーでもありますね。もともとメールオー ダーの会社になるつもりはありませんから、あまり考える意味がありませ ん。メールオーダー会社の中には非常に優秀な会社がいくつかありますの で、相手の土俵で勝てるとは思いません。でも、普通は先に店を構えるも のですが、オンラインであまりにも成功したために、最近新しい本社に現 実の店を作りました。というわけで、実際にはオンラインだけにしか存在 していないわけではありません。

[Darryl] 恐らく嬉しい悲鳴をあげるような状態でしょうね。わずか 9 ヶ 月間で私たちは Internet 上で 3 本の指に入るほど大きなショップになり ましたし、米国全体でも 100 位以内に入るほどに成長しました。5 月に開 業して以来、90 日おきに売上が倍になりました。これは短期間に対応する にはあまりにも急激な成長ですので、正直な話、多少の問題につながって しまいました。時には商品が倉庫に入ってくるのが需要に追い付きません でした。それから、カスタマーサービスも時には自らに課した厳しい水準 を下回ることがありました。この急成長に追い付くため、すばやくかつ思 い切った対策を講じてきましたし、常に社員も増やしています。

これを別とすれば、なかなか順調な 9 ヶ月間だったと思います。私たちが 提携しているバージニア州の Symphony Marketing Group 社は、サーバを 毎日 24 時間稼動させ続けるすばらしい仕事をしてくれました。大量のト ラフィックを処理するために必要なハードウェアとソフトウェアも揃って いますし、これまでのところすべてが順調です。

[Darryl] ええ、喜んで答えます。私は Netscape の セキュア Netsite サーバを使用しています。ですが、サイト全体にそのセキュリティを使用 した場合には著しい速度低下を招いてしまうので、私達はオーダーセクショ ンにのみ採用しています。Web ブラウザでは、セキュリティをかけられた ページをキャッシュしないようになっています。ですから最初の頃はサイ ト全体にセキュリティをかけていたのですが、それは単に速度を遅くして しまうだけだということがわかったからです。

私達は誰もが、ネットコマースに関してのセキュリティの重要性について 書かれた出版物が多く存在することを知っています。率直なところ、私は 現実より大げさなものだと理解しています。もしも誰かがじっくりと、そ うたとえばレストランなんかでのクレジットカードによる不正の量と Internet のそれを比べてご覧なさい、きっと比較になんかならないでしょ う。私は、去年ペーシックなレストランでの収益に対して、クレジットカー ドを使用した不正が何千万ドルあったほうに賭けますね。そして、 Internet コマースでのそれがほんの少しでもあったとしたら、驚くでしょ う。クレジットカードによる誤用や不正ははびこっており、それはビジネ スには1年に10億ドルほどかかるというのが結論なんです。

もう1つ心にとめておいてほしいのが、リスクを負うのが誰なのかといった ことなのです。私達が偽物の、あるいは盗まれたカードで勘定を受け取っ た場合、クレジットカード会社からの支払ってはもらえません。そうなん です。[決まりは、] プレーンで、シンプル。盗まれたカードは、何にも利 用することはできない。そう、クレジットカードの合意書には、カードが 盗まれたことを報告しない場合は 50 ドルまで支払いの義務があると書か れています。しかし、ほとんどの場合この金額を要求されることはありま せん。最近、とくにカードを盗んだ人が不正にカードを使用した場合はね。

これまで述べてきたことに関してですが、Cyberian Outpost ではすべての 料金についてレシート番号を発行し、疑い深い行動があれば知らせるシス テムを適所に設置しています。そして、Intenert に接続できるコンピュー タにはクレジットカードの情報を保管していません。また私達は、より伝 統的なやり方でオーダーや支払いも扱っています。ですから、ネットワー クにクレジットカードの情報を渡すのを快く思わないような人達はそうす る必要がないわけです。

[Darryl] それから、私達は、クレジットカードで不正を犯した人を突き止 め、訴えることができるように法的な効力を持つ機関とたいへん密接に行 動しています。実際、私達は最近、ニューハンプシャーの州立警察とカナ ダのロイヤルマウンテン警察に協力しておとり捜査に参加しました。それ はたいへんエキサイティングなものでした。

私は、Visa と MasterCard の合意に基づいた新しいセキュリティプロトコ ルが、長い目で見た場合の Intenet 上の取り引きを行なうための超安全策 として多くの人々に提供されていくものと確信しています。

[Darryl] ほとんどすべての e-cash システムについて調べてみましたが、 当分の間、様子を見ることにしました。興味深いことに、e-cash での支払 いオプションを希望する人は少ないのです。これまでに 5 件もありません でした。e-cash には、いくつか問題があるかと思います。ひとつは、商取 引する上で障害を作ってしまうということです。支払い専用のソフトウェ アをダウンロードして利用するのはそれほど大変なことではありませんが、 面倒な手順が増えてしまうような気がするのです。

二つ目は、競合する規格がいくつか存在していることです。これは決して 良い状況とはいえません。Visa と MasterCard が提携して、共通の規格で 合意するだろうことは初めから分かっていました。e-cash が有益なものと なるためには、規格を統一する必要があると考えています。誰がその指揮 を取ることになるのか、私には分かりません。ただ、Dan Lynch 氏と CyberCash の人たちが適任だろうとは思っています。

<http://www.cybercash.com/>

三つ目は、日常購入するようなものに e-cash が適しているのかどうか疑 問だということです。情報とか、ごく低額のものを購入するのであれば、 e-cash はとてもおもしろい存在です。レポート 1 ページ分に 2 セント払 うとか、株式相場の情報に 10 セント払うとかであれば、これらがクレジッ トカードで支払うようなものでないことは明らかです。けれども、50 ドル のソフトウェアを購入するような場合は、クレジットカードを使うのがベ ストな方法なのです。ついでながら、指摘しておかねばならないことがあ ります。e-cash 会社数社に聞いてみたところ、私たちが支払いを受け取る のは、取引があってから 90 日後になるとのことでした。クレジットカー ドなら 24 時間以内に支払いが行われるのです。もうお分かりでしょう、 なにも急いで e-cash を取り入れる必要などないのです。

[Darryl] Cyberian Outpost でのショッピングには、ほかとは違う点がた くさんあると思います。ただし、注文する上ではそれほど大きな違いはな いでしょう。MacConnection(それに、ほかの比較的大きなメールオーダー 会社のいくつか)は常に素晴しいカスタマーサービスを提供してきました し、彼らと同じ土俵で闘うつもりなどありませんでした。ただ、私達なら もっと優れた、より楽しいショッピングを提供できるだろうという思いが 強かったのです。

どうやって実現するか、その答えは明白でした。技術を最大限に利用する のです。切り倒した木からできた紙を、皆さんの郵便箱に詰めこむような ことをしなくて済むのは嬉しいことです。けれども、環境にやさしいとい うだけでは十分でないことも承知していました。より多くの情報を、もっ と簡単にアクセスできる方法で提供する必要があったのです。

たとえば、製品説明には、基本機能の詳細説明、短めの解説、長文による 解説(数ページに渡ることもあるでしょうが、ありがたいことに、電子不 動産に制限はないのです)、必要なシステム構成、時にはレビュー記事、 画面写真、パッケージ写真などが含まれるでしょう。また、ダウンロード 可能なデモソフトが含まれることもあるでしょうし、アップデータやパッ チファイルのある場合も多いかと思います。

Cyberian Outpost 最大の売りであり、またもっとも人気を集めているサー ビスは、新着情報 (New Arrivals) のページです。Internet に店を構え ているからこそできる、非常に大きな強みが私たちにはあります。新製品 がリリースされた数時間後には、その情報を伝えることができるのです。 新製品の出荷予定日についても随時最新情報を伝えることができます。情 報は毎日、そして常時更新しています。

この新着情報ページはとても評判がよくて、電子ニュースレター版を作っ てほしいと懇願されているほどです。週ごとに新着情報の一覧を直接メー ルボックスへ送信してほしいというのです。(残念ながら、まだ実現には 至っていません。努力はしていますが...)

また、もうすぐソフトウェアの電子配布もオプションとして用意する予定 でいます。今すぐ必要なものがあるので通信速度のことは気にしないとい う方のためにも、ベンダーと協力してその要求に対応していくことになる でしょう。製品パッケージの翌日配達を好む人の方が、まだほとんどだと 思っていますが、ダウンロードのオプションを希望する人がいることも承 知しています。だからこそ、準備を急いでいるのです。

もちろん、最大の利点はグローバルなビジネスを行えるという点です。電 話回線を使って、地球上のほとんどどこからでも、好きなだけ Outpost の 探索を楽しむことができるのです。海外からの注文もかなり多いので、現 在ではすべての発注情報とカスタマーサービス情報を 6 ヶ国語でホーム ページに掲載しています。

ほかのショップとは違う点がもうひとつあります。ベンダーが私達のサイ トの一部を低料金で利用できるようになっているのです。ただし、私達の 製品選択をベンダーが“お金で操る”ことはできません。私達が扱ってい る製品は、私達自身で選択したのです。お金をもらってその製品を扱って いるのではありません。だからこそ、レビューが書けるのです(レビュー がちょっと遅れ気味なのは認めます。レビューをやってもよいという方が いましたら <info@cybout.com> まで御連絡ください)。Microsoft Word 6.0 for the Mac を掲載したときの例があります。次のような概要説明を 加えました。“ Mac 用ワードプロセッサの標準品。少なくともこのバー ジョンが出るまでは”。このように、Microsoft Word をできるだけ多く売 りたいという気持はあるのですが、扱う商品については何者にも束縛され ず、正直でありたいのです。


Reviews/01-Apr-96


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