TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#342/26-Aug-96

今週号では、FreePPP、Mac TCP Watcher や World Wide Web Weaver の新バー ジョンの詳細のほか、多くのアップデートに遅れずについていく方法を紹 介しよう。また間違って表示される“System Memory Too Low to Run Word (Word を起動するにはメモリが足りません)”というエラーメッセージ を解消するための情報や、システムレベルのデータベースについての読者 からの反響を取り上げている。締めくくりとして、Adam が彼の最新書籍 である Interenet Starter Kit for Macinosh 第四版を紹介している。

今回の TidBITS のスポンサーは:

Copyright 1990-1996 Adam & Tonya Engst. 詳細は末尾を参照してください。
問い合わせは <info@tidbits.com> へ、感想は <editors@tidbits.com> へ。

TidBITS 日本語版は以下のメンバーのボランティアによって翻訳・発行されています。
Kaz Yoshikawa <kaz@fact.com>
尾高 修一  <odaka@iprolink.ch>
尾高 里華子 <odaka@iprolink.ch>
小山 純一  <vb4j-oym@asahi-net.or.jp>
加藤 たけあき<oiso@wolfenet.com>
米谷 仁志  <comet@po.iijnet.or.jp>
齊藤 聡   <akkun@ca2.so-net.or.jp>
杉浦 雄一郎 <ysugiura@direct.ca>
西村 尚   <hisashin@st.rim.or.jp>
水木 潔   <HGH03125@niftyserve.or.jp>
村上 浩   <murasan@yk.rim.or.jp>
矢倉 遠十吉 <oto@mb.infoweb.or.jp>
山浦 礼子  <raeko@bnn.co.jp>

目次:


MailBITS/26-Aug-96

(翻訳:山浦礼子<raeko@bnn.co.jp>)

私達は今週も LISTSERV から ListSTAR への移動を引き続き行なっており、 いまだ正常に動作しない場合もあると思うがもうしばらく辛抱願いたい。 また先週号を 2 部受け取ったつ受け取った読者は多いと思うが、このバグ は Quarterdeck 社により迅速に解決され、現在は修正版の ListSTAR が稼 働している。そして、購読しているはずの TidBITS がなんらかの理由によ り途中で消滅してしまった人達のために最新号の自動返信用アドレスもセッ トした。最新号の TidBITS を希望する場合は、 <tidbits@tidbits.com> にe-mail を送信してほしい(なお、サブジェクトとボディメッセージは無 視される)。 [ACE]

FreePPP 2.5v2 -- 先週、FreePPP グループは、version 2.5rf に代わる FreePPP 2.5v2 をリリースした。このリリースには新機能は含まれていな いものの、多くの重要なバグフィクスが行なわれており、 とりわけ Global Village モデムユーザーはこのアップグレードについて興味があるはずだ。 しかしながら、古くからある Macintosh の PPP のについての格言はいま だに正しい − 現在使用しているものに何も問題がないのであれば、アッ プグレードの必要はない。FreePPP 2.5v2 は Info-Mac ミラーサイトから 入手できる。もしもFreePPP について詳しいことを知りたい場合は、 FreePPP FAQ をチェックするとよいだろう。 [GD]

<ftp://mirrors.aol.com/pub/info-mac/comm/inet/conn/free-ppp-2.5v2.hqx>
<http://www.adnc.com/support/macsupport/tcp/FreePPP_FAQ.html>

Mac TCP Watcher 2.0 --Peter Lewis 氏が最近 Mac TCP Watcher のバー ジョン 2.0 をリリースした。これは、10 ドルのシェアウェアユーティリ ティでネットワーク管理者や、パワーユーザー、そして知りたがりやにと くに好まれるものである。Mac TCP Watcher は TCP ネットワークコミュニ ケーションの詳細を記している。それによれば、バージョン 2.0 は Open Transport と MacTCP と互換性があり、新機能として traceroute のほか、 多くの拡張機能(時々スペルミスのあるバルーンヘルプ! など)を提供 する。

<ftp://mirrors.aol.com/pub/peterlewis/mactcpwatcher-20.sit.bin>

インターネット上のマシン間で自分のパッケットが通ったパスについて好 奇心あるというのであれば、Bryan Christiansons 氏のフリーウェアプロ グラム What Route を試してみるとよいだろう。WhatRoute は Open Transport とともに動作するもので Mac TCP Watcher の全機能を提供する わけではないが、ちょっと便利なツールには違いない。なお、このバージョ ン 1.3 ベータでは、ping や DNS 機能を有している。 [GD]

<http://crash.ihug.co.nz/%7Ebryanc/>
<ftp://mirror.aol.com/pub/info-mac/comm/inet/what-route-121.hqx>

ほかの奇蹟的なリリースは? HTML ファンに要チェックなのが、Miracle Software 社が World Wide Web Weaver 2.0 をリリースしたことだ。W4 と しても知られているが、新バージョンでは、Casady Greene の新しい Spell Catcher(Thunder 7 として知られていた)の特別バージョンや、複 数ファイルの検索・置換(ただし、「文字全体」やワイルドカード、grep による検索・置換機能を除く)など多くの新しい機能を加えた。また、 フォームやテーブルエディタはさらに柔軟になり、それ以前のバージョン より便利になっている。

W4 2.0 は、ハードディスクと RAM 容量ともに約 2.5 MB ずつが必要にな る。新バージョンは 89 ドルとなっているが、教育向けには 60 ドル、も しも該当製品を購入前であれば 1.x から 35 ドルでアップグレードでき る。Miracle Software 社は 1.2 MB のデモを用意している Miracle Software -- 315/265-0930 -- 315/265-1162 -- <miracle@miracleinc.com> [TJE]

<http://www.miracleinc.com/Commercial/W4/index.html> <ftp://zappa.northnet.org/pub/best/W4.v2.0.bin>

アップグレードについていこう -- TidBITS-309 のなかで、その当時は 電子と紙で最近の Macintosh ソフトウェアのアップデート情報を簡潔にま とめていた LEVEL 6 Computing 社の Macintosh Software Update Report を私は紹介した。その Macintosh Software Update Report について最近 いくつかの重要な変更が加えられたのでお伝えしよう。まず、名前をもっ とノリのいい“Update Weekly Mac”とした。次に、 Update Weekly Mac は、e-mail のみでの配信となった。そしてもう一つ、LEVEL 6 社は料金モ デルを完全に改良し、大幅な価格変更を行なった。 Update Weekly Mac は 年間 150 ドルであった。現在、LEVEL 6 社は 2 種類の形態で供給してい る。まず一つが、スポンサーが提供により購読料が無料となるもの。これ は、スポンサーによる情報が各号のトップに掲載され、 ソフトウェアベン ダーは自分達が有する主要製品についてのアップグレード情報の提供に対 して料金を支払うものだ。もう一つは年間 49 ドルで、特典やスポンサー の情報は含まれていないものだ。 LEVEL 6 Computing -- 818/888-0675 -- 818/888-5635 (fax) [TJE]

<http://www.webcom.com/level6/>


Word トラブル解決?

by Tonya Engst <tonya@tidbits.com>
(翻訳:尾高 里華子 <odaka@iprolink.ch>)

数年前 Microsoft 社に勤めて Mac 用 Word の問い合わせを受けていた頃、 Microsoft Word 5.x を起動させようとすると現れたりする "System Memory Too Low to Run Word" といううっとうしいエラーメッセージに関する質問 が頻繁に寄せられていた。このエラーメッセージが出ると、Word を再起動 してみるよりほかに手はない。この問題は、RAM の空きがたっぷりある Mac でさえも起こったりするのだ。

Microsoft 社は、未だに真に満足のいく解決策を見出せずにいる。もっと も皆さんは、拡張機能のインストール・削除、他のプログラムの起動・終 了、Word 用 RAM の割り当て増といった技を使ってメモリー状況をごまか したりはできる。Word を 2-3 回起動させようとしているうちに成功する こともあるし、(Alarm Clock や Key Caps のような)別のプログラムを 先に立ち上げておくと成功するときもある。今でも文章を書くのに Word 5 を使うことがあるのだが、起動しようとするとだいたい 20% ぐらいの確 率でこの問題に遭遇してしまう。Microsoft 社は Knowledge Base の記事 にこのエラーのためのコメントを出しており、Web で読むことができるよ うになっている。

<http://www.microsoft.com/kb/deskapps/word/q109263.htm>

しかし、現在ではもっと満足するだろう解決方法があるのだ。 FixWordSystemMemory 1.1 は、Larry Rosenstein 氏が作ったフリーウェア の拡張機能であり、「Word が立ち上がる際に、システムヒープ内のメモ リーを一部割り当てて即座にフリーにしてあげる(Word を起動しようとす るまではなにもしない)」との本人の説明通り、この問題を解決する。私 の場合、この拡張機能をインストールしてからというものスムーズに起動 できるようになったのだが、あまり頻繁には Word を使っていないので、 この拡張機能が絶対に成功すると保証はできない。彼によれば、バージョ ン 1.1 は、1.0 から多少の改良を加え、さらによく機能するようになって おり、ダウンロードも 3K ですみあまり時間もかからないということだ。

<ftp://mirrors.aol.com/pub/info-mac/text/fix-word-system-memory-11.hqx>

[FixWordSystemMemory が使っている手法は、通常 「memory bubble」と呼 ばれており、Word を起動する前にシステムヒープ内のメモリーの一部を割 り当て即座に解放することにより Word 用にメモリーの「bubble」を作り 出すのだ。そうしないと、空きメモリーができなかったかもしれない。皮 肉なことに、Microsoft 社はこの手法を他のアプリケーションにも用いて いたりする。そう、プログラムがシステムヒープ内のメモリーを少々必要 としたりするのはよくあることなのだ。-Geoff]


システムレベル・データベースへのコメント

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <odaka@iprolink.ch>)

TidBITS-341 に掲載された、システムにデータベースを内蔵し、どんなア プリケーションからでも利用できるようにするという私の考えは読者の皆 さんの共感を呼んだようだ。何人かの方が意見やさらなるアイデアを寄せ てくれた。

Alex Sirota 氏 <adapple@apple.com> は、私が挙げたシステムレベル・ データベースの条件にさらなる必要条件を加えてくれた:

記事で触れられていないもう一つの条件に、システムレベル・データベー スを操作するための構造化された言語があります。RDBMS(Relational Database Management System = リレーショナルデータベース管理システ ム)が FileMaker Pro のようなものよりもパワフルなのは、テーブルに格 納されているデータを SQL(Structured Query Language = 構造化照会言 語)のような標準として普及している言語を使って検索し、多くの RDBMS がサポートしている SQL 拡張を使って手続的にプログラムすることができ るということにあるのです。

Shay Telfer 氏 <shay@cs.uwa.edu.au> は以下のように述べている:

Newton は基本的にその上で動作しているどんなパッケージでもアクセスで きるシステムワイドなデータベースを使っています。色々なアプリケーショ ンは氏名、住所、予定のデータベース(“soup”と呼ばれる)とタイトに 結合して、必要に応じてこれらのデータベースに情報を追加したり検索し たりすることができるのです。データベースにはコードやグラフィックな ど、Newton 上にあるすべてのものが含まれています。それに、ユーザーが 気が向いた時にストレージカードを取り外すのにも(データベースが検索 されている時ですら)対応しています。これだけ高度のインテグレーショ ンは極めて強力で、Apple 社は MacOS でもこのあたりを目指すべきでしょ うし、恐らく Be 社も似たようなことを考えているのでしょう。 Newton は登場した時から時代の先を行っていたし、それは今でも変わりありませ ん。

Apple 社の Dylan では(Dylan よ安らかなれ)、各プロジェクトのソース コードがデータベースに保存されているというデータベースシステムを核 にしていました。このことにより、プロジェクトのバージョン管理がはる かに容易になり、今のように色々な関数がディスク上のフラットファイル 群にまとめて置かれて、ソフトウエアのどの部分がどの部分にどのように 関連しているかということがほとんどわからない状態よりもはるかに理に 適っていました。私が知る限り、Smalltalk と Prograph、Frontier を除 いては、これができる言語は極めて少ないようです。

David Charlesworth 氏 <davec@andyne.com> は以下のように述べている:

システムレベルでデータベースをストレージに使うことについて、少し述 べておきたいことがあります。

Windows に付属して出荷されている JET エンジンがあります(ODBC イン ターフェース、そこそこのスピード、完全にリレーショナルな設計)。最 近クロスプラットフォームになる予定の製品のプロトタイプを作ろうとし た時、JET エンジンをストレージに使えるという理由で Windows を選びま した。これによってプロトタイプ作成のサイクルが短縮され、ライセンス 供与の手間をかけずに評価要員に渡すことができ、将来のマルチユーザー データ共有の際には他の SQL 互換データベースを利用することができま す。これはいずれも大きな利点です。レポート用ツールにも、ストレージ 関係の最適化にも全く時間をかける必要がなく、テストデータを再構築し ないで済むのでわずか数時間の改訂サイクルで作業をすることができまし た。

Marty Wachter 氏 <mwachter@ubmail.ubalt.edu> のコメント:

AOCE(一般的には PowerTalkと呼ばれている)は何でも入れることができ る OS オブジェクトデータベースを備えていましたが、これはあまり知ら れておらず、PowerTalk API のもとで利用するための低レベルルーチンし か文書化されていませんでした。Catalog Manager(最終的にどんな名前に なったかは知りませんが)のデベロッパー用 API にすべての情報が含まれ ていると思います。このデータベースは電子名刺のようなものを作る部分 の中に隠されていたようです。API そのものはひどく醜かったので、デー タベースを見つけた人も誰も使わなかったようです。

Lawrence Conroy 氏 <lwc@roke.co.uk> のコメント:

私たちはたまたまクライアントのためにやっているプロジェクトで、シス テムレベルのデータベースを検討しているところです。データベースの重 要性が増しているという意見には諸手を上げて賛成します。

たとえば、くやしさを噛みしめながら言わなければなりませんが、 Microsoft 社は Windows 95 Registry にある種のシステムレベルデータ ベースを持っています。これは初期設定フォルダをまとめたようなもので、 アプリケーションが個別に環境設定情報を .INI ファイルに入れておくか わりに、ここに入れることができます。このようなデータベースレコード をアクセスする“規範的”な方法があるうえ、ユーザーがブラウズして編 集できるようなプログラム(RegEdit)も付属しています。

共通フォーマットのデータベースが役に立つ分野がもうひとつあります − リモートアクセスが可能なデータベースです。関連した作業は IETF (Internet Engineering Task Force)で始められています。たとえば、 Carnegie Mellon 大学に、ACAP(Application Configuration Access Protocol)のための提案をまとめているグループがあります。ほかにも、 IETF の Access, Searching and Indexing of Directories (ASID) の中に 同様の問題に取り組んでいるグループがあります。

<http://andrew2.andrew.cmu.edu/cyrus/acap/>
<http://www.ietf.org/html.charters/asid-charter.html>

Microsoft 社は ASID グループの中で積極的に活動しており、既存の LDAP (Lightweight Directory Access Protocol) が同社の User Location Service (ULS)を使ってダイナミックなデータベースに拡張されることを 提案しています。これは基本的に、Windows Networks の核にある WINS ディレクトリを強化したものということができるでしょう。この Internet Draft は以下の URL にあります:

<ftp://ftp.ietf.org/internet-drafts/draft-ietf-asid-ldapv3ext-00.txt>

電話のネットワークを再発明する試みとして、いくつかのディレクトリ案 内会社はマルチユーザーのリモートデータベースを作り、(a) ユーザーが 特定のプログラム(たとえば特定のインターネット電話アプリケーション) を持っているか、(b) そのユーザーが照会時にそのプログラムを起動して いたかを表示することを始めています。このように一般的にアクセスする ことができるデータベースは、このようなアプリケーションが普及するた めには必要でしょう。さもなければ、異なるインターネット電話プログラ ムは通常相互に接続することができないため、誰かと話をすることができ るか(またはそもそも可能なのか)どうかを知ることは困難でしょう。同 様に、起動時に動作中のプログラムを登録しておく方法なくしては、電話 をかけた人が、かけた電話に返事がないのは電子の宇宙のもずくと消えた からか、それとも電話の相手がその時プログラムを起動していなかったか らかを知ることはできないでしょう。


Internet Starter Kit for Macintosh 第四版

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:村上 浩  <murasan@yk.rim.or.jp>)
(  :米谷 仁志 <comet@po.iijnet.or.jp> )

何号か前の TidBITS でも触れたが、第四版の Internet Starter Kit for Macintosh (ISBN 1-56830-294-0、Hayden Books、39.99 ドル) が発刊と なった。今ごろは書店に並んでいるはずである。この本の新しい版が完成 するたびに前の版と何が違うのかいつも質問を受けるので、以下に説明し ておこうと思う。

だがその前に、なぜ Internet Starter Kit の新版について書くのかを説 明しておきたい。TidBITS には不適当な記事だと感じる人もいるからだ。 簡単に言えば、この本(日本語やドイツ語の翻訳版など派生的なものもい ろいろある)で得られる印税によって TidBITS を運営することが経済的に 可能となっているのだ。加えて、Internet Starter Kit for Macintosh は インターネットを利用したいとかもっと学びたいとか、友達や家族のため になにか参考書を用意したいとか、そんな多くの人達の手助けができる良 書だと思っている。私にとって、書くことの目的は人々の助けとなること である。もし誰も買わないとしたら、その本で誰かを助けることなどでき ないのである。

それはそれとして、第三版と何が違うのかみることにしよう。答えは簡単 で、ここ数年のインターネットの変化を反映させるためにほとんど全てに 手を加えている。

より簡単な接続 -- この本に対する批判で最もよく耳にするのは、大き すぎるという意見である。この苦情に関しては、あまり同情する気はない。 見た通り大きな本だし、この本に書いたことは全て有益なものであること に私は満足しているからだ。しかしながら、前の版ではその大きさがイン ターネット接続に必要な情報の検索を困難にしていた。第四版では接続に 関する章を本の始めにまとめておいた。またそのページにはグレーの裁ち 切りがあるので、ページの端を見れば接続を確立するために読む必要のあ る部分がこの本の中でどれだけ少ないか確認できるだろう。はじめの何章 かでは、必需品、インターネットプロバイダの選択、Internet Starter Kit CD-ROM(とインストーラの使用方法)について説明しており、主なインター ネット用プログラムの使い方についても段階的なインストラクションを用 意してある。そして最後に、これは読まないですむことを祈るが、接続に 失敗した人のために詳細なトラブルシューティングの章をつけ加えている。

インターネットへの接続は Internet Starter Kit Installer と Internet Configurator の二つのプログラムが処理してくれる。インストーラは前の 版のものとほぼ同じ機能だが、今回は Internet Configurator を使って世 界中の 340 を越えるインターネットプロバイダごとに、インストールした 全て のソフトウェアの設定をすることができる。また(読者には知る由 もないが)、これらすべてのプロバイダとは本への掲載について契約を交 したので、通常よりは Macintosh に詳しいプロバイダである可能性が高い。

インストールされるもの -- インストーラの主な変更点は、瀕死状態の MacWeb に代えて Microsoft Internet Explorer(MIE)をインストールす るようにしたことだ。なぜ Netscape Navigator ではなく MIE にしたのか 疑問に思う人は多い。単純だが理由は二つある。ひとつは、MIE は良くで きた Web ブラウザで、Netscape Navigator よりも必要とする RAM が少な いということ。もうひとつは、MIE はフリーウェアだが、Netscape Navigator だと多額のライセンス料を支払うことになり、本の価格をかな りつり上げてしまうからだ。もちろん、Netscape Navigator を試用したい のであれば、誰でもその週のバージョンをダウンロードして無料で試すこ とができる。

また、このインストーラは MacPPP 2.0.1 ではなく FreePPP 2.5 をインス トールする。そして Open Transport 1.1 もしくは MacTCP 2.0.6 (これ もまたインストールされる)と全てうまく機能するのだ。このインストー ラは Open Transport 1.1 をインストールしないが、System 7.5 Update 2.0 と System 7.5.3 Revision 2.0 は両方とも Internet Starter Kit CD-ROM に入っているので、System 7.5 を持っていれば System 7.5.3 に アップデートして Open Transport を使うことも可能だ。インストールさ れるプログラム一覧の締めくくりはいつもの顔ぶれになっている。 Anarchie 1.6、Eudora Light 1.5.4、Internet Config 1.2、そして StuffIt Expander 4.0.1 である。私が思うに、これらはみな必須プログラ ムだ。

Internet Starter Kit CD-ROM -- インターネット用ソフトウェアは日に 日にそのサイズが大きくなっていて、基本的なものでさえ一枚のフロッピー ディスクに収めることはできなくなった。一冊の本にフロッピーを二枚以 上バンドルする必要があるなら CD-ROM にしたほうが安上がりなので、私 もそうすることにした。インストーラ、Internet Configurator、Apple 社 のシステムアップデートといっしょに 300 MB を越えるインターネット関 連のソフトウェアを収録してある。その全てをここに紹介することはでき ないが、Apple 社の Cyberdog や OpenDoc などを含めた約 250 のプログ ラムが入っていると言えば十分だろう。全部ダウンロードするのには相当 な時間を要したが、そのおかげで読者がダウンロードする必要はない。プ ログラムはすべて圧縮せず整然とまとめてあり、ウィンドウ配置の調整ま で施してある。CD-ROM を作るというのは大変な作業である。

フリーウェア、シェアウェア、デモ版ソフトウェアに加えて CD-ROM には 本で触れているすべての Web サイト、FTP サイト、Usenet ニュースグルー プの 650 を越えるブックマークを収録している。URL をタイプ入力するの はめんどうだろうと思って、MIE Favorites ファイル、Netscape Bookmarks ファイル、個々の CyberFinder ファイル(と CyberFinder ライブラリ)、 DragNet ファイル、URL Clerk ファイル、URL Manager ファイル、Web Squirrel ファイル、WebArranger ファイルとしてブックマークを(章ごと にまとめて)収録してある。もちろんこれら全てのバージョンやデモ版の ブックマークマネージャも同様に収録しておいた。相当な作業量なのでサ イトのリストを更新していくつもりはないが、もうすぐ Web サイトからも 入手できるようにする予定だ。

オンラインで使えるもの -- いつものとおり、この本の読者のための Web サイトが用意されている。といっても、誰でも使うことができる。そ こには、インターネットや Mac に関する最高のサイトを探索するために、 私がベストだと思っているものを集めてある。それも一つの Web ページに まとめてあるので大変よくできたものになっている。

<http://www.tidbits.com/iskm/>

これらのものについてはあまり変わっていないのだが、この本に関連する 他のページにいくつか手を入れた。それには、Macintosh Internet Software Updates のページ(そして補助的な表)また Macintosh Modem Init Strings のページが含まれている。どちらも上のメインページにリン クされている。

新しい章と構成 -- 前の版からのもっとも重要な変更はおそらく私が 書いたいくつかの新しい章と本全体の全面的な再構成であろう。私が前に 指摘したとおり、皆さんがインターネットにすぐに接続したいときに必要 な情報を含む(索引)部分からはじめることにしたのだ。そして第二部で、 インターネットとは何かやその由来・将来の見通し、そしてインターネッ トにとって欠かすことのできない技術的背景(ファイルフォーマットや URL など)について書くことにした。過去・現在・未来に関する章は、インター ネットに関係する現在あるいは未来の物事(インターネット上の商取引・ 政府の規制・プライバシー問題・ポルノ問題・自由な言論など)について 語るため、大規模に拡充されてきてはいるが、これらの章は、それでも第 三版と多くの部分で同じ内容である。

第三部は、この本の最も実になる部分である。最初の章では、 Open Transport や MacTCP に関して相当詳しく説明している。続いて、 FreePPP を注意深く検討し、他の PPP ・ SLIP の機能についてコメントする章が来 ている。そして私が最も中心になると考えている 4 つの章、電子メール・ Usenet ニュース・ FTP そして Web に関する章が続く。それぞれの章は、 4 つのサービスのおのおのについて使い方や社会的な事柄を説明すること から始めて、それぞれが実際にどのように機能するかを述べている。そし てそれぞれ、レビュー記事へと移っていく。おのおののカテゴリーについ て主要な二つのプログラムについての長文の批評記事、そして他のプログ ラムについても短い記事を載せている。そして最後にトラブルシューティ ングに関する情報を QA の形で載せている。残りの二つの章( Real-Time Communications and Utilities and Miscellany )は、 Internet Config に関する長文のレビュー以外は、概略的なレビューなのだが、似たような ものである。第三部の最後の章は、 America Online や CompuServe のも つインターネット接続サービスに関して述べた、補足の章である。

この本の第四部は全く新しい。第二〇章は、初心者のインターネットでの 捜し物を手助けし、「借り物競走」のような質問(とその答え、もちろん 技術的な説明もある)で終る。私は、この章にかなり自信がある。次の章 で私は、この本を読む誰もが共通して持っているだろうマシンが Mac であ ると考えて、本質的に Macintosh にとってもっとも有益なインターネット 資源を見つけ、リストアップするための私自身の探索方法を使っている。

第四部の最後の二つの章は、私としてはもっとも人気の出る部分になると 思っているのだが、付足しといえば最も補足的な部分である。最初に Tonya の HTML に関する章が来る。ここで彼女は、テーブルやフォーム、そのほ かの HTML の仕様についてまで幅広くこの章を記述している。これは、 Macintosh のユーザーのための HTML に関する論文の中で最高のものであ る。次に、 Macintosh によるインターネットサーバの構築について私が書 いた全く新しい章がくる。 この章は、使い方を説明するものではないが、 読者がインターネットサーバを構築したいと考えた際に決めておくべき技 術的な背景を提供するものである。ここでは、 Mac で利用可能なインター ネットサーバ・ソフトウエアがすべて挙げられている。それには、 CGI が フォームを扱える Web用 CGI にどんなものがあるのかを示そうと苦労して このかた、見つけだしたすべての Web用 CGI を例として含んでいる。イン ターネットサーバソフトウエアの多くは、 CD-ROM に収録されている。

最後に -- 率直に言って、この本はどえらいものだと思っている。前 の版もかなりよいものだったが、この改訂には、初版も含めた以前のどの 版以上に精力をそそぎ込んだ。もし前の版を買ってくれて、それを利用し ているなら、その版を友人、親戚あるいは学校か図書館に寄付して、第四 版を買うことを考えてもらいたい。もちろん、私は 完全に 偏っている。 しかし私としては、この本に表された考え方はちょっとしたものだと思っ てもいるし、 Internet Starter Kit for Macintosh 第四版は、 Mac ユー ザーにとってインターネットについてのもっとも完全な解答である。 Apple の Internet Connection Kit は、どの Mac にも、また市販の System 7.5.3にもバンドルされているかもしれない。しかしそれらのソフトも、い くつかのインターネットプロバイダーと契約してこそはじめて用をなすも のであり、どの Mac にも、また市販の System 7.5.3にもこれほど多くの ソフトはバンドルされてはいない。そしてなにより、インターネットの何 たるかを、そして事があるべきように進まないというときになにがそこで 起こっているかを説明してくれる 880 ページの本など付いてはないのであ る。

ネットでのレポートによれば、第四版は書店の店頭に並びはじめている。 もし興味がおありなら、まずは近所の行き付けの書店にまず足を運んでも らいたい。その書店になければ、注文するように頼んでほしい。(一般に はよく知られていない書店業界の状況の一つに、ある本がよい本かどうか は問題にならないというのがある。どんな本であれ、書店が扱ってはくれ なければ売れない。)もしくは、書店が付近にない場合には、 Macmillan Computer Publishing あるいは WordsWorth とか Amazon といった書店 (ほかにも大きな書店があるかもしれないが、私はよく知らない)にオン ラインで直接注文することも可能だ。

<http://www.mcp.com/bookstore/do-bookstore.html>
<http://www.wordsworth.com/>
<http://www.amazon.com/>

最後に、第三版のオンライン・バージョンはまだ利用できる。また第四版 を HTML に変換する作業も続けている。もし利用できるようになればまた お知らせするつもりである。

<http://www.mcp.com/hayden/iskm/mac.html>


非営利、非商用の出版物およびウェブサイトは、フルクレジットを明記すれば記事を転載またはウェブページにリンクすることが できます。それ以外の場合はお問い合わせ下さい。記事が正確であることの保証はありませ ん。書名、製品名および会社名は、それぞれ該当する権利者の登録商標または権利です。TidBITS ISSN 1090-7017

tb_badge_trans-jp2Valid HTML 4.01!Another HTML-lint gateway