TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#345/16-Sep-96

Matt Neuburg 氏が必要不可欠な Now Utilities の最新リリースのレビュー と履歴についての記事で戻ってきた。Adam は我々の Web サイトの再構成 で使用したグラフィックスについていくつかコメントしている。Tonya は 新しくリリースされた 4 つの HTML のオーサリングプログラムを少し調 べている(そしてなぜその大部分が思ったように機能しないのかについて 考えている)。そして Mark は、Apple 社が先週 シーボルト で発表した 機能強化版のサーバーについて書いている。最後に、我々は見直しを行っ た結果、DealBITS を近いうちに休刊することになったことを発表する。

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目次:


MailBITS/16-Sep-96

(翻訳::齊藤 聡 <akkun@ca2.so-net.or.jp>)

我々は TidBITS と同様な発行物である DealBITS の最終目標とその方法を 考え直している間、それを休刊することに決めた。それで、この休刊は短 い間になるかもしれないし、ことによると長くなるかもしれない。この休 刊の代わりに、今号に情報をたくさん収集してある。目を通しておく価値 は大いにある。我々は今後の TidBITS にその決定についてもっと掲載する つもりだ。[ACE]

<http://www.tidbits.com/dealbits/>

System 7.5.5 アップデート -- Apple 社は System7.5.4 をまだリリー スしておらず、ある情報筋によると、現在一部の Mac の IR 機能に関わる 問題を修正していることが明らかになった。そのアップデータは、登場す るときには 7.5.5 と番号付けし直されるという。 TidBITS で次にそれに ついて語るのは、そのアップデータが入手可能になったときだろう。[ACE]


Apple社、シーボルトにて高速サーバを発表

by Mark H. Anbinder <mha@tidbits.com>
(翻訳:山浦礼子 <raeko@bnn.co.jp>)

先週、Apple 社はサンフランシスコのシーボルトコンファレンスで、デス クトップパブリッシングとデザイン市場での依然として優位な立場を利用 して、最新のネットワークサーバ技術を披露した。同社は、内部ディスク で 65 GB までサポートする Network Server 700/200 を中心に、最新の サーバと同社の Network Serverと Workgroup Server 関連属品を複数発表 した。

この最新の Network Server は、200 MHz PowerPC 604e プロセッサと 48 MB パリティメモリを搭載。2 個の内部 fast/wide SCSI-2 バスおよび、も う一個の外部 SCSI チャンネルが、データハンドリングや処理能力が向上 の鍵を握っている。このシステムでは 7 個までの 9 GB ディスクと、リ ムーバブルトレイ上で動作中でも交換できるドライブ使用して 2 GB ディ スク一個を内部で扱うことができ、外部のディスクアレイを使用して合計 一テラバイトまでのディスクをサポートする。 Network Server 700/200 は、Apple 価格で 16,129 ドル、1996 年 10 月初旬には入手可能になる予 定だ。

Network Server 製品の新しい付属品には、9GB fast/wide SCSI-2 ハード ドライブとリムーバブルトレイ仕様の 8mm テープドライブ(毎時 22 GB までバックアップ可能)、そして 2 ユーザーまでの同時アクセスを許可し ている Network Server 付属の AIX アクセサリキットの AIX アップグレー ドライセンスが含まれている。IBM と共同で開発された AIX 4.1 for Apple Network Servers では、AppleTalk、Apple Event、そして AppleScript な どといった Macintosh システム管理者におなじみの技術を使用できる。

同時に、Apple 社は 7250 と 8550 モデルに、ハードディスク大容量化、 CD-ROM ドライブ高速化(8 倍速)、メモリの増設とプロセッサのスピード アップ、もしくは、プロセッサのスピードアップのみをを行なうことで Workgroup Server 製品を強化する。同社は引き続きソフトウエアを付属せ ず、AppleShare の印刷とファイルサーバソフトウエア、もしくは WebSTAR を含む Internet サーバソフトウエアのバンドルといった製品構成で提供 していく。価格はそのモデルや仕様により 2,689 ドルから。

<http://product.info.apple.com/pr/press.releases/1996/q4/ 960909.pr.rel.servers.html>


続・ある Web の再考

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 里華子 <odaka@iprolink.ch>)

TidBITS-344 で Web サイトを設計し直した過程を記事にしたところ、多 くのコメントが寄せられた。幸いにもそのほとんどが好意的なものだった (私の書いた HTML の問題を指摘してくれたものもありがたく受け取っ た)。Daniel Schwabe 氏は、私の考えの中に彼のハイパーメディア設計研 究にも当てはまるものがあるということを知らせてきてくれた。このコン セプトに関する学術発表に興味のある方は、彼の書いた記事や論文へのリ ンクが張ってある彼のホームページを参照いただきたい。

<http://www.inf.puc-rio.br/schwabe/>

2 〜 3 関心を抱いたテーマがある。そのほとんどがグラフィックの使用に 関するものだ。グラフィックに凝っていない点が気に入っていると書いて くれた人達がいる。私たちのサイトは、グラフィックをオフにしていたり Lynx のようなテキストしか扱わないブラウザを使っている場合でも問題な く使える。重いグラフィックを使わないようにしているのは、自分たちの 置かれている状況に起因するものも一部あるのだが、あとはあまねくよか れと思われることに因る。これはあくまでも私の意見であり、この件に関 しては猛烈に反対する人も多いだろうし、むしろそういった意見を歓迎し たい。

TidBITS は今まで伝統的に純テキストを通してきた。1990 年 4 月から TidBITS を発行しているのだが、当時はインターネットとグラフィックの 相性が良くなかった。正直なところ HyperCard を使っていた頃はグラ フィックを混ぜることもできたのだが、準備に時間がかかる上に、上手に できないだろうし(私たちはライターであり、グラフィックは専門でな い)、ダウンロードにかなりの時間がかかるようになるだろうと思ってい たからだ。当時は 2400 bps のモデムが主流であり、読者に気に入っても らうためには、できるだけかさばらない TidBITS を作る必要があると考え ていたからだ。

最近の Web や 28.8 Kbps のモデムへの急速な進歩により、全ては変わっ てしまったと思う人がいるかもしれない。変わってしまったものもあるが、 昔のままのものもあるのだというのが私の意見である。私たちがいまだに テキストだけのものを発行しているのは、大芸術家になっていないし、 ダウンロード時間というものが未だに大きな問題だからだ。サーバの負担 というのも重要な点で、グラフィックだらけのページはテキストをメイン としたページよりもサーバをいじめることになるからだ。それにサーバが つかえてしまうような凝り過ぎのページを持つよりも少しでも多くの人に 利用してもらった方がいいし、グラフィック太りのものをサポートするた めにハードウェアを買い足すよりも、比較的小さめの Macintosh(Apple Workgroup Server 6150/66)を動かしていたいからだ。

グラフィックに依存しないのは、作業を減らしたりサイトを軽くすること だけが問題なのではない。イメージマップ(他のページへのリンクが張って ある重要な部分を含んだグラフィック)に頼り過ぎているサイトにぼやい ている人もいた。補足説明をしてくれる ALT タグが付いている普通のグラ フィックであれば、そのグラフィックを見なくても大体なんとかなるだろ う。デザイナーが代りになるテキストのナビゲーションバーを用意すると いったけっこうなことをしてくれないかぎり、イメージマップだけではそ のサイトを使うことすらほとんど不可能だし、そんなナビゲーションバー はあったとしても概してレイアウトをさらにごちゃごちゃさせてしまうの だ。これではまるで、店に入る客にはしごを登れと強要しているようなも のだ。見栄えはするかもしれないが、はしごを登ることができない客や登 りたくないという客の存在を無視しているか認めようとしていないという ことだ。

<http://www.tidbits.com/>


HTMLbits: 4 つのリリース

by Tonya Engst <tonya@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <odaka@iprolink.ch>)

一年近く前に出荷された時、Adobe PageMill 1.0 は Web ページを作るた めのマークアップ言語である HTML のわかりにくさを葬り去ろうとした。 しかし、派手な登場の後に残った現実は、PageMill はほとんどの人が好ま しいと感じる HTML を作り出さず、Web 上で使用されている新しいタグや テクニックをサポートすることができないということだった。PageMill 1.0 が登場してから時代は変わり、今では PageMill に競合する製品が山ほど ある。この中にはいずれも 10 日ほど前に出荷された AOLpress 1.2.2j と Netscape 社の Navigator Gold 3.0 がある。Adobe 社は間もなく発売にな るはずの PageMill 2.0 を投入して遅れをとるまいと懸命だ。

断続プレス -- AOLpress は GNNpress 1.1 をアップデートしたもので、 NaviPress の孫ということになる。誰でも AOLpress を無料でダウンロー ドして使用することができるが、テクニカルサポートは AOL または PrimeHost のメンバーに限られている。GNNpress も製品として生き続け、 AOLpress 1.2.2j をベースにした新バージョンが近々出荷される予定だ。 AOLpress はそこそこの働きをしてくれるが、Windows から移植されている ために Macintosh の標準インターフェースを無視していることが難点だ。

<http://www.aolpress.com/press/index.html>

輝くものすべて -- Navigator Gold は Netscape 社の Web ブラウザ、 Navigator に WYSIWYG HTML エディタを追加したものだ。Netscape 社は、 エディタ部は華麗な Web ページを作ろうとは思わないイントラネットユー ザー向けのものだとしており、機能的にはまさにそのとおりになっている。 唯一の目立った機能はファイルを直接サーバに FTP で保存できるというこ とだ。現行バージョンは私が試した限り、この機能を立派にこなしてくれ る。

<http://home.netscape.com/comprod/products/navigator/gold/index.html>

複雑化と苦情 -- これらすべての WYSIWYG プログラムは、Web に押し寄 せる新技術にとてもついていけないという事実にたたられている。過去一 年の間、Web はクライアント側のイメージマップ、GIF アニメーション、 世の中にあふれんばかりのテーブル、どんどん複雑になるバックグラウン ドイメージ、プラグイン、フレーム、その他諸々の出現を目撃してきた。 HTML は本来構造化言語となるべきだったのに、ハイエンドの Web デザイ ナーはページが美しく見えるように延々とタグをいじり続ける。

これらの WYSIWYG プログラムはビジュアル優先のデザイナーの要求を満た すために大変な努力を強いられており、私にはこれらのプログラムがきち んと仕事をこなすことができるとか、Web がこのようなプログラムが生み 出すビジュアル優先のサイトを受け入れる準備ができているとはとうてい 考えられない。

これらのプログラムが見てくれだけのサイトを育てる理由の一つは、これ らのプログラムは WYSIWYG HTML エディタで文章を書きたいというライター のニーズを満たすことができないからだ。Web オーサリングツールは私た ちが既にワープロから学んだ教訓を忘れてはならない − 文章を書く際に 使われたスタイルやアウトラインは直接適切な HTML タグに変換されるべ きだ。HTML エディタには用語集、自動入力、複数回の Undo、そしてテキ ストを複雑かつ高速に加工することができる検索・置換機能がなくてはな らない。どんなライターも自分にとっての“必要不可欠機能リスト”を持っ ているだろうが、今までのところ、どの WYSIWYG HTML エディタもライター の要求機能を満たそうとはしておらず、比較的多く要求される機能を取り 入れようなどどは全く考えてもいない。

ちょっと脇道へ -- 誰もが Adobe 社が切り開いた WYSIWYG の道を歩こ うとしているわけではない。特に、Akimbo 社はつい最近 Globetrotter と いう実に興味深いプログラムを出荷した。仮に学校の月刊ニュースレター を発行しているとしよう。学校には Web サイトがあり、ニュースレターを 印刷して子供に持たせると同時に、Web に載せたいとしよう。 Globetrotter は一つの文書から両方の目的を達成することができるのだ。 Globetrotter の使用感は Akimbo 社のワープロ、FullWrite と良く似てい る。文章を書くための機能と、そこそこのワープロが持っているのと同程 度のページレイアウト機能を手に入れることができる。これらのツールを 使えば、学校のニュースレターを作成して印刷することは簡単だ。

99 ドルの Globetrotter は Web 出版用のオプションも用意しており、設 定によって Web ページの最初と最後を文書のセクションまたは改ページ単 位に合わせることができる。サイトに目次やナビゲーションバーを加える ことも可能だ。印刷した同じ文書をもとに、Web 出版用のオプションを好 きなだけいじって、File メニューからコマンドを選ぶだけで Web サイト を作ることができる。

私の印象では、Globetrotter は何層にもわたるページが複雑にリンクする ことを必要としないサイトに合っているようだが、Globetrotter は イメー ジマップや Java サポートなど、ハイエンドの Web 関連オプションもサ ポートしている。Globetrotter のフォーム作成機能には各種のサーバで動 作するような少々の Perl ベース CGI さえ付属している(Macintosh サー バで MacPerl を動作させていなければならないが)。Globetrotter は HTML と GIF やマップファイルといった関連ファイルを出力するが、HTML を読み込むことはできない。HTML 通の私としては、Globetrotter に慣れ るのはなかなか難しいが、このプログラムは私にタグのことを全く考えさ せずに文書を作らせようとするので、たとえば Home Page のように HTML タグと明確な一対一の関係にあるフォーマッティングをするのとはだいぶ 勝手が違う。そのうち TidBITS にきちんとした Globetrotter レビューを 掲載するつもりだが、それまでは、このプログラムがどんな使われ方をす るか楽しみだ。

<http://www.akimbo.com/>

またまた新バージョン -- HTML タグと格闘したい人(私が受け取るメー ルから判断すると、まだかなり大勢いるようだが)は、先週リリースされ たシェアウエアの PageSpinner 1.2 に注目すると良いだろう。プレスリ リースによると、「フレーム、WorldScript 入力、ダイナミック JavaScript、Web Robot タグ、FTP サーバへの保存、新しい Netscape レ イアウトタグ、NetCloak、Spellswell Clipboard スペルチェッカ、テキス トオンリーのページ、Apple 社の QuickDraw 3D、QuickTime、QTVR プラグ インのサポート」を新機能として追加した。( TidBITS-327 の PageSpinner 1.1b1 のレビューを参照。)そのうち TidBITS で PageSpinner と Miracle Software 社の World Wide Web Weaver の比較レ ビューを掲載する予定だ。

<http://www.algonet.se/optima/pagespinner.html>


6 テン いくつかになった Now Utilities

by Matt Neuburg <matt@tidbits.com>
(翻訳:米谷 仁志 <comet@po.iijnet.or.jp>)
(  :尾高 修一 <odaka@iprolink.ch>)

Now Utilities のいくつかのツールは、私が Mac を使う上で絶対に不可欠 なものである。もはや Super Boomerang なしには、十分に仕事にならない くらいである。それは、いかにも扱いにくい標準のファイルダイアログの 不備を補ってくれる。標準のファイルダイアログでは、一番最近に開いた フォルダを表示し、またメニューによって、最近使った他のフォルダやファ イルに移動できる。私はまた Now Menus にも頼っている。それは自分の アップルメニューをカスタマイズし、メニューバーを階層化(そこには Finder 上のアイテムをドロップできる)してくれる。また(最近使った内 容を含めた)フォルダや(最近使ったファイルを含めた)アプリケーショ ンの表示もしてくれる。

ここで取り上げた 2 つのツールでさえ、ここに書ききれないほど多くの特 徴ががある。もし Now Utilities (NU) を全く使っていないのなら、また System 7.0 以降を使っているのなら、フリーのデモファイルをダウンロー ドすべきだろう。NU についてもっと詳しい記事が見たいのなら、以前、私 が書いた NU 4.0.1 に関する記事( TidBITS-152 ) 、NU 5.0 なら TidBITS-248 またメンテナンス・リリースの NU 5.0.1 については TidBITS-272 を参照されたい。

<ftp://ftp.tidbits.com/pub/tidbits/issues/1992/TidBITS%23152_16-Nov-92.etx>
<ftp://ftp.tidbits.com/pub/tidbits/issues/1994/TidBITS%23248_17-Oct-94.etx>
<ftp://ftp.tidbits.com/pub/tidbits/issues/1995/TidBITS%23272_10-Apr-95.etx>

また、機能拡張やコントロールパネルを選択し、順番を変えることのでき る Startup Manager も使っていることもつけ加えておかねばなるまい。一 方、私は滅多に FolderMenus は使わない。一方、自分のパワーブックでは 透明ファイル圧縮には QuickFiler を使っている。(またフォントメニュー を整理するのに使う WYSIWYG Menus も、もう使っていない。今は Impossible Software の TypeTamer の方が好みだからだ。)

<http://www.impossible.com/TTFeatures.html>

Apple のシステムを 7.5.x にアップグレードしたからと言って、私が NU を使用しなくなったり、推薦しなくなったりということはなかった。Apple Menu Options コントロールパネルは、Now Menus により階層化されたアッ プルメニューや最近使ったファイルやアプリケーションに移動するSuper Boomerang における機能をまねしたものであるし、反応が遅く、不安定で、 不格好な点で NU が必要不可欠なことには何の脅威にもならないのだ。つ まり NU がなければ、標準のファイルダイアログはツールというよりは単 なる障害物にすぎない。Startup Manager にしても Apple の Extensions Manager よりも明白によい。(それでも、Apple の改良された Find File のおかげで、QuickFiler についている Now Find を使わずにすんでいる。)

鐘の音とともに旧きを送り、新しい NU を迎えよう -- この 3 月には、 NU 6.0 が入手できる。Now Software の Web サイトでは、一連の公開ベー タ版はすでにそれ以前に発表されていた。私は、この突然の最終版が出た ときには、バグレポートや提案を書いたりしていた。このアップグレード を買った印象としては、このバージョンは、まだどこか未熟で配慮がたり ないような気がする。

以前、インストーラはフロッピーで供給されていたが、今回はそうではな く 1.4 MB の容量しかないにもかかわらず CD-ROM で供給される。(この CD には 63 MB のデータしか含まれていないが、そのうち 50 MB は、Now Contact と Now Update のデモだった。)このインストーラは、Now Utilities のすべてのツールを強制的にインストールする。(以前のバー ジョンでは、インストールするツールを選択することができた。)そして、 再起動すると、競合するソフトウエアを不使用にし、あらかじめ選択され た設定を強制されることになる。例えば、QuickFiler の圧縮設定はオンに なっているし、Apple の Find File は、自身の Now Find に置き換えられ てしまう。経験に乏しいユーザだと、どの機能がどのツールによってコン トロールされているのかや、その機能を切りたいときにどうしたらいいか わからないだろう。

その一方で機能の解せない省略もある。もっとも目立つのは、Super Boomerang のより重要な機能の一つや、アップルメニューで、最近使用し たフォルダやファイルを階層表示する機能が忘れられている。また奇妙な ことには、Startup Manager のいくつかの機能についても操作できなくなっ ている。これは、この Startup Manager にある設定パネル内のエキスパー トモードの切り替え機能のせいであることがわかった。しかもこれは、マ ニュアルに書いてないことだ。そうそう、マニュアルももはや本の形をし ておらず、226 ページの Acrobat のファイルになっている 。

私の使う機能の中には改良もあった。Super Boomerang や Now Menus の 階層メニューは、10 レベルまで表示できるようになり、メニューを通し てのさらに広範なフォルダー移動が可能になった。(以前は、5 レベルが 限界だった。)また標準ファイルダイアログ内の Super Boomerang のメ ニュー自体も階層化されている。これにはドライブと最近使ったフォル ダの両方が含まれている。これで、ファイルやフォルダがどこにあろうと ダイアログ内のたった一つのメニューから移動することができるのだ。

もう一つのすばらしい機能は、Now Menus で、アプリケーションメニュー に、それぞれのアプリケーションで開いているウインドウを階層的に付加 することができる機能だ。このおかげで、どのアプリケーションのどんな ウインドウでも簡単に移動できる。残念なのは、これは現にあるアプリケー ションのメニューを変更することができないことだ。この機能は、Hiro Yamamoto 氏が制作したすばらしいソフトウエア ApplWindows で提供され ている。また私は、Jouko Pakkanen 氏の作った TitlePop も使用してい る。これは、そのウインドウのタイトルバーにも同じようなメニューを表 示してくれる。

<http://hyperarchive.lcs.mit.edu/HyperArchive/Archive/gui/appl-window-202.hqx>
<http://hyperarchive.lcs.mit.edu/HyperArchive/Archive/gui/title-pop-242.hqx>

(またこのほかに)私自身は使う気にはならなかったが、3 つのツールが 付け加わった。AutoType と Now Tabs そして Now Shortcuts である。 AutoType は、語句をあらかじめ登録しておいて、自動的に呼び出す機能で ある。これは、ちょうど Riccardo Ettore 氏のシェアウエアである Type-It-For-Me と同じ機能である。AutoType は、あなたがタイプした文 字を監視し、登録してある省略語が入力されるとそれを展開し、頻繁に使 う長い文字列についてはそのリストを作っておいてくれる。しかし、私の 使っているワープロには、辞書機能がすでに付いている。むしろ私は、 QuicKeys の同様の機能を主に用いている。私は、自分がタイプした文字を なにか別の機能拡張でもって記録してもらうことが望ましいことなのか、 確信がもてない。

<http://hyperarchive.lcs.mit.edu/HyperArchive/Archive/gui/ type-it-for-me-451.hqx>

Now Tabs は、画面の下を帯のようにおおっていて、2 つの別の機能を提供 する。第一に、Finder や NU の機能を呼び出すためのメニューをもう一つ ポップアップする機能である。もう一つは、Finder のウインドウをタイト ルだけの帯として表示する機能である(Mac OS 8 の Finder を先取りして いる)。しかし、メニューの機能はすべて、別のやり方で機能させること ができる。アイコン化は Finder 以外では機能しない。また、私の機械で は、この機能が Finder 内でうまく働かない。そして私としては、Word 6 のようなストリップが貴重な画面上のスペースを食うのは望ましくない。 ウインドウが散らかっているのなら、WindowShade でそれに立ち向かうこ とができる。WindowShade ならば、すべてのアプリケーションに利用でき るし、System 7.5 に付属している。

Now Shortcuts は、Finder に対するもう一つの傷になるだけだ。これは、 Finder のウインドウなどををクリックするだけで、あなたのできるメ ニュー機能をポップアップで表示するというもなのだ。しかし Finder の たいていの機能は、メニューに含まれているか、キー操作でできるように なっている。したがって、私の見るところこれは、Finder のインターフェ イスには全く無用の複雑さを持ち込むだけである。

NU 式取り引き -- Now Software 社は 6.0 で犯した誤ちを、それを正す ことによって暗に認めた。同社は“月例アップデート”を行うことにした が、登録ユーザーにアップデートが自動的に送られたわけでもなく、それ が存在するということも知らせてもらえなかったため、ユーザー登録する ことにどれだけの意味があるのか考えさせられてしまう。Now Software 社 はアップデートを Web に載せただけで、それを発見するのは各ユーザーに 任されていたのだ。

それぞれのアップデートには NU の各コンポーネントにどのような変更が あったかの説明がほとんどなく、そのかわりに Now Tabs と Now Shortcuts の機能を拡張するプラグインのリストに力が注がれていた。これはどうし てなのだろう? 毎月 Web サイトに現れる新機能に気をとられていたため に、Super Boomerang の Apple Menu アイテムとカスタムインストーラが ひっそりと復活したことや、Startup Manager の Expert Mode チェック ボックスがいつのまにか消えていることや、その他もろもろのことが行わ れていたことに気付かないとでも思ったのだろうか?

これはもう古くなりつつある話の焼き直しなのだ: ソフトウエア業界では、 あらゆる意味において初期購入者は利用され、そもそも最初に与えられる べきだったソフトウエアの開発資金を出させられる羽目になるのだ。それ でも、私たちユーザーはおとなしいものだ。NU 6.0 のアップデートは 30 ドルの価値はなかったかもしれないが、それほど大金だったわけでもない し、私たちはお気に入りのプログラムが生き続けることができるように時 折資金を投下しなければならないという義務を何となく感じてしまうのだ。

ニュー NU -- そして、3 月の 6.0 のリリースと、それがちゃんと機能 するようにするための 5 月、6 月、7 月のアップデートに続き、8 月には 15 ドルのアップグレードである NU 6.5 がリリースされた。もし私が 6.0 に飛びつかず、5.0.1 を使い続けていたら、私が 6.0 のために払った金額 と同じ 30 ドルで 6.5 を手に入れることができたのだ! この数字の解釈に ついて Now Software 社と私では意見が分かれる。私はこのような価格設 定は初期購入者の行いを正しく評価して顕彰するのではなく、彼らを失望 させるものだと思う。だが、Now Software 社によると、15 ドルは 私が 3 月 から 6 月 の間に 6.0 を使うことによって得た利益に相当するとい うのだ。どうりで私は経済学で“可”しかもらえなかったわけだ! Now Software 社は、一定の期間内にはすべてのアップデートを受け取ることが できる購読形式に移行する予定がある。そうなればこのような誤解を防ぐ こともできるだろう。

Now Software 社は明らかに Conflict Catcher に対抗するために拡張され た Startup Manager 7.0 を別のバージョンとしてリリースする。これは、 オンラインでアップデートされるデータベースによってサポートを行うシ ステム機能拡張コンフリクト解消ユーティリティとしてリリースされる。 (システム、ソフトウエア、ハードウエア、新旧とりまぜたシステム機能 拡張、フリーウエア、シェアウエアそして製品の膨大な組み合わせを包摂 し、私のコンピュータの中でどんな妙なことが起きているか説明するには かなりのデータベースが必要だろう。また、過去の試みから、商業ベース でコンフリクトのデータベースを作るのはメンテナンスがあまりにも難し いことが明らかになっている。)96 年 9 月 15 日までは無償で配布され る Now Startup Manager 7.0 は Now Utilities 6.5 の一部となっている。 (バージョンナンバーの食い違いはマーケティング上の必要からだと言わ れている − Conflict Catcher の優位は“.5”程度のものでは揺るがすこ とができないのだ。)

NU 6.5 は 8 月に出荷を開始した。この記事を書いている時点で、最初の 月例アップデート(9 月分)は既にポストされているので、NU は 6.5.1 となり Startup Manager は 7.0.1 となっている。あまりにも早いので、 私はまだデモを試していない。ここで私の実体験に基づくレポートは終り ということになる。Now Software 社によると、大きな変更は Startup Manager と、私は使っていないコンポーネントに加えられたようだ。私が 使うコンポーネントについては、Now Menus には変更はなく、Super Boomerang にはリサイズ可能な Standard File ダイアログが追加され(素 敵なアイデアだが、Dialog View に危害を加えないことを祈る)、そして FolderMenus がようやく Now Menus のメニュープレファレンスを使うよう になった。今度は有料でフロッピー版の NU と紙のマニュアルを購入する ことができると聞いている。

<http://hyperarchive.lcs.mit.edu/HyperArchive/Archive/gui/dialog-view-22.hqx>

それで? -- 今まで述べてきた NU 6.0 のパブリックベータから CD のリ リース、月例アップデート、NU 6.5 のリリースという期間は、私にとっ て、しっくりこない印象を与えた。あたかも Now Software 社 が入りにく いギアにシフトしようとしているように。しかし、どうやらようやくソフ トウエア会社の内部のしくみを支配する色々な力と対外ポリシーが調和し ようとしているようだ。Web サイトはよりクリアで有益なように更新され、 Now Software 社は明らかに 6.0 の経験から何かを学んだようだ。また、 今まで以上にすばやいカスタマーサポートを目指すという公約も出てきて いる。

私の NU に対するスタンスに変わりはない。このレビューを書くために必 要な色々な書類のハンドリングだけで、どれだけ NU が私の仕事と切って も切れない関係にあるかが認識できた。一方、アップグレードについては、 個々のユーザーが価格と価値を判断しなければならない。そのために、幸 いなことに、ダウンロード可能なデモが用意されているのだ。

この精神に基づいて、以下私が NU に求めている小さい(しかし重要な) 手直しを列挙したい。

<http://hyperarchive.lcs.mit.edu/HyperArchive/Archive/cfg/snitch-201.hqx>

もし提案があれば、Now Software 社にメールで送っていただきたい。ユー ザーからのフィードバックは将来のリリースの性格を決定づける重要な要 因だと聞いている。以前にも述べたことがあるが、ユーザーは足だけでは なく声を使って票を投じなければならないのだ。

<http://www.nowutilities.com/>


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