TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#349/14-Oct-96

Mac の購入を考えているだろうか? そうだとすれば、長年の Mac ハード ウェアベンダーである APS が互換機市場に参入することで、さらに選択 肢は広がるだろう。さらに今週は古い Mac で Netscape 3.0 を使用する 際の詳細や、System 7.5.5 上で サポートされていない System 7.5.3 の コンポーネントをインストールするための方法、Maxum 社の TagBuilder HTML オーサリングアドオン、そして記事として取り上げなかった製品の 理由についてのフォローアップとなっている。最後に、Adam が Intermind Communicator というオンライン通信の本質を変えることを目指した製品 について詳しく紹介している。

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目次:


MailBITS/14-Oct-96

(翻訳::山浦礼子 <raeko@bnn.co.jp>)

System 7.5 Update 2.0 カスタムインストール -- もしもあなたが System 7.5.5 ( TidBITS-346 を参照)にアップグレードして、なにかし ら System 7.5 Update 2.0(これは System 7.5 を 7.5.3 にアップグレー ドするためのもの)から再度インストールする必要に迫られていることに 気付いたら、あなたは System 7.5 Upadte 2.0 は System 7.5.5 上で動作 しないことに気付くはずだ! Apple はいつも通りユーザーがうっかりと システムのコンポーネントを間違わないようにという配慮から、システム ソフトのインストーラが一緒に動作することのないように設計している。 ところが、最近は Mac 互換機、システム更新ファイル、そしてアップデー タが多様化しているため、7.5.5 上に System 7.5 Update 2.0 のコンポー ネントを インストールできずにトラブルを招いてしまうことがある。とく にユーザーは System Upadte 2.0 に含まれる Open Transport 1.1、 MacinTalk、あるいはほかのコンポーネントを入手しなければならないのだ。

Apple ではあなたが必要とするすべての追加コンポーネントともにクリー ンな 7.5.3 をインストールし、さらに 7.5.5 にアップグレードするとい う方法を推奨している。しかしながら、Apple はまた サポートしていない アップデータインストーラスクリプトも提供している。スクリプトを System 7.5 Update 2.0 インストーラアイコンにドラッグすることで、 System 7.5.5 上で Sytem 7.5 Update 2.0 を使用するものだ。システムを バックアップして、7.5.5 に付属する以外のすべての機能拡張をはずして、 まず説明書を読もう! このスクリプトはたぶん将来のコンポーネントの リリース(Open Tranport 1.1.1)により書き換えられてしまうだろうが、 レポートでは、当分は多くのコンピュータが System 7.5.5 を入れて出荷 しない可能性もあり、このインストーラスクリプトの寿命は長いかもしれ ないと伝えている。 [GD]

<ftp://ftp.support.apple.com/pub/apple_sw_updates/US/mac/Unsupported/ Sys75_Upd2.0_Custom_Install.hqx>

Netscape Navigator 3.0 と古い Macs -- Netscape 社は、ダーティな ROM を搭載し、かつ 8 MB 以上の RAM を積んだ Mac で Navigator 3.0 を 動作させた場合に起こる問題を発見した。これは Mac II、SE/30、Iicx や IIx などでも起こりえる。(Navigator)起動時のシステムエラーなど、重 大な問題なのだが、解決方法は極めて簡単である。(Navigator を)起動 する前に Apple の仮想メモリをオンにするか、Connectix の RAM Doubler をインストールすれば、問題は解決する。もう 1 つの解決方法としては Netscape 社の週替わりベータ 3.01.b1 にアップグレードすることだ。こ れは 3.7 MB もしくは 5.1 MB となっている。 [ACE]

<ftp://ftp.netscape.com/pub/navigator/3.01/3.01b1/mac/netscape3.01b1.bin>
<ftp://ftp.netscape.com/pub/navigator/3.01/3.01b1/mac/netscape3.01b1.hqx>
<http://home.netscape.com/eng/mozilla/3.0/relnotes/mac-3.01b1.html>


もっと互換機を

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:齊藤 聡<akkun@ca2.so-net.or.jp>)

先週、興味深いニュースが舞い込んできた。ハードディスクベンダー(で あり TidBITS のスポンサーでもある)APS 社が、おそらく 11 月のいつ か、Macintosh を販売しはじめる計画だというのだ。APS 社は最初に M*Power という名前の 3 機種を計画している。2 機種は 160 MHz または 200 MHz の PowerPC 603e を搭載したデスクトップ機で、もうひとつは 200 MHz の PowerPC 604e を搭載したミニタワー機であるという。マザーボー ドは Motorola 社より供給されるが、APS 社では基本的構成をもとにユー ザーの要求に応じた細かなハードウェア構成を行うことによって自社の互 換機を差別化する考えだ。

デスクトップ 2 機種、M*Power 603e160 と M*Power 603e200 の基本構成 は、PCI スロット 3 基、16MB の RAM、8 倍速 CD-ROMドライブ、1 MB の VRAM (4 MB まで拡張可能)および 1.2 GB のハードディスクであり、そ れぞれ 1,399 ドルと 1,599 ドルである。603e160 は 2 次キャッシュなし で出荷されるが、603e200 には 256K のものが搭載される。どちらの機種 でも 512K の 2 次キャッシュまで使用可能である。

2,599 ドルの M*Power 604e200 は、筐体がミニタワー型であり、標準で、 PCI スロット 5 基、24 MB の RAM、8 倍速 CD-ROMドライブおよび 2.5 GB のハードディスクという構成である。これには 2 MB の VRAM と 512K の 2 次キャッシュが搭載されている。

すべての機種には ADB キーボードとマウスが付属するが、モニタは付属し ない。最近の人気のあるソフトの大半が莫大な RAM を要求するのだから、 私は多くの人が標準でもっと多くの RAM を欲しがると思う。

<http://www.apstech.com/aps-mpower.html>

APS の副社長 Paul McGraw 氏に互換機市場について尋ねたところ、彼はそ の動きについて以下のように説明した。“システムのほとんどはすでにサ ポートしているので、これは我々の持っている知識と設備と社内体制をご く自然に展開したものである。”言い換えると、APS は自分たちが多品種 の記憶装置の組み立て、販売、出荷およびサポートの方法に長けているこ とをすでに証明した - Macintosh 互換機を手がけることは自分たちの技術 の論理的な拡張なのである。

付け加えると、APS はおそらく将来自社製品の種類を増やしていくつもり だろう。ハードディスクの性能は価格はそのままに向上し続ける(最も小 さい APS のハードディスクの容量は現在 1 GB を超えている)。この事実 により、比較的に短い時間で次のような現象が現れる。大部分の普通のユー ザーでさえ彼らがのちに必要となるだけの記憶容量をすべて手に入れるよ うになるだろう。ハイエンドユーザーは 10 GB のハードディスクアレイか それに類するものをつねに購入するようになるが、80 MB のハードディス クからアップグレードする人々の市場というのは縮小していくだろう。

工業的視点から、私は Macintosh 互換機を製造する APS を観察すること は意義のあることだと考える。私は APS を長い間好ましく思っていたので もちろん偏見があるけれども、Apple 社と Macintosh の市場にとってより 多くの互換機ベンダーを持つこと、特に Macintosh のハードウェア市場の なかですでによく知られているメーカーを仲間にすることは、普通に考え ても重要なことであると思う。また、APS のマシンは価格的に見て安価な 部類に属する。これは多くの人々の手にそのマシンを行き渡らせる後押し をするだけで悪いことはなにもない。


タグ - これですよ! TagBuilder は他とも馬が合う

by Tonya Engst <tonya@tidbits.com>
(翻訳:加藤たけあき <oiso@wolfenet.com>)

Macintosh の Web サーバーを魔法のように巧みに演出する一つの方法は、 Maxum 社の NetCloak や NetForms の様な製品の助けを借りることです。 NetCloak は、日付と時刻を表示することと同様に、カウンタをブラウザに よって異なるページを渡して表示させることができます。これはまた、そ の日の時刻をもとに、一部のページだけに表示させたり、ランダムにペー ジを変えるといった数々の特別な技も披露してくれます。NetForms は、Web をサーフィンしている人が送ったメッセージから自動的に Web ページを作 成したり、フォームに記入された内容に基づいて様々な電子メールを送る といった、フォームの管理を手伝ってくれます。例えば、皆さんが私達の Web サイトから TidBITS のメーリングリストを申し込むことができる、あ のフォームに NetForms が使われています。

Maxum 社はこの分野では草分けで、私が書いていることは殆どニュースで も何でもないのですが、いかにして Macintosh を使用している Web サイ トが運営されているかの舞台裏が説明できると思います。何が新しいかと いうと、TagBuilder 1.0 という Maxum 社からの無料アドオンのことで、 かなりの数の Web 制作者が、golive や PageMill といったグラフィカル な HTML オーサリング・ツールに移行してきていることを悟った Maxum 社 は、グラフィカルな HTML オーサリング・ツールに魅せられている人は、 沢山の Maxum 社特有な(NetCloak と NetForms を使用するために必要な) 拡張 HTML タグをタイプすることは好まないだろうという問題。そして特 にこれらの HTML オーサリング・ツールは、例によって乏しい自動化のオ プションを持っているということに対処するために TagBuilder を創った のです。

TagBuilder のウインドウは、NetCloak や NetForms に使われているタグ を表示するシンプルな、アウトライン・ベースのインターフェースを提供 しています。使いたいタグを見つけて、それを単にお好みの HTML エディ タまでドラッグしていけば良いだけです(テキストを HTML エディタまで ドラッグできると仮定しています)。残念なことに、ドラッグ・アンド・ ドロップをサポートしていない HTML エディタのためのコピー・アンド・ ペースト機能は、今のところ付いていません。また TagBuilder には、そ れぞれのタグの説明が親切につけられてはいますが、NetCloak と NetForms は奥が深い製品なので、ユーザーは、どのタグをどんな時に使うのかを理 解しておかなければなりません。

私は Maxum 社が、自社のソフトウェアを他社のソフトウェアと一緒に使っ ている人達のために、このようにシンプルな作品を創ってくれていること を嬉しく思います。TagBuilder はいかにして企業が、ユーザーを特定の補 助的な製品の中に閉じこめることなく、有用な機能性を提供することが可 能かという、良い一例だと言えるでしょう。

TagBuilder は、NetCloak、NetForms と一緒に出荷されており、間もなく Adobe PageMill 2.0 とも一緒に出荷される予定です。Maxum 社製品のデモ 版や、TagBuilder を試してみたい方は、Maxum 社の Web サイトで見つけ ることができます。

<http://www.maxum.com/>

Maxum Development -- 630/830-1113 -- 630/830-1262 (fax)


まだお忘れですよ

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 里華子 <odaka@iprolink.ch>)

TidBITS-346 で、製品が記事に取上げてもらえない理由を書いたところ、 いくつかの補足意見と応じるに足る疑問を少々受け取った。

Tom Negrino 氏 <tom@negrino.com> は、まだ私が受けたことのない 非難の理由を挙げていた :

ある製品を故意に取上げない理由で、私が非難される際に一番多い唖然と させられるものを外していたのが意外でした。

『Apple、Microsoft、Adobe、某ソフト会社などから、ある製品のことを取 上げないようにと買収されているのですね。』というものです。

先月 Apple が 玄関にいつもの量の金塊を配達していた時に、ガールフレ ンドに言ったことですが、「Mac 業界にジャーナリストとしての潔癖を 論じようなんて人がいるなんて信じられない。」

うーん、私の口座が願っていることだ。

Peter Rosenthal 氏 <pr@imcinfo.com> からのメール : 小規模な Mac デベロッパー(Interactive Media 社)の立場から、 TidBITS-346 の記事『でも、取上げなかったじゃないですか』をうれしく 拝見しました。レビューができるまでの過程の別の面を垣間見るのは新鮮 でした。貴殿に取上げてもらえなかった小さなデベロッパー達がしきりに 気にしていることは、レビュー作成中に大口広告主からの圧力がかかるだ ろうということです。広告主側が、編集者に自分達の考えを無理強いした り、レビューの客観性に悪影響を及ぼしたりすることはないですか?

Adam の回答: 時には少々共謀しているように見えることがあるかもしれ ない。だが、私が Macintosh 関係のものに書いてきた中には、ご想像のよ うな、広告主が原因で内容を変更したことは今まで一度もないし、どんな 編集者だって、編集者と広告主がつるんでいるということには強く否定す るだろう。これは真実であるが、あくまでも編集者側の見解である。広告 のセールスマン達は、どの製品のレビューがあるとか、特集が組まれると かの情報を手に入れると、特別に設けた広告スペースを名前が挙がってい る会社に売り込もうとする。だから、Microsoft Word のレビューの出てい る次のページに、Word の全面広告が載っていたりするのだ。編集者やライ ターが事前に広告のことを知ることはあまりないが、広告のセールスマン が事前に記事のことを知っているのは間違いない。両者になんらかの重な りがあるとしたら、編集と広告の境が無いような小さな出版社でのことだ ろう。

問題は、編集者またはライターだという理由でこの件で責められる時であ り、こういった時にできることは、否定することだけだ。なぜならば、証 明するすべはないのだから。スポンサーからの依頼で、TidBITS に、ある 製品のことを載せないようにしたことは一度もないが(本当に)、私のこ とをともかく小さな会社を潰そうとしている下衆なヤローだと思っている 人達には、私の否定はあまり効果は無いだろう。だから、この世界、特に インターネットの世界では、信用が大事なのだ。

Chris Harvey 氏 <glenmiln@astral.magic.ca> からのメール: その手の雑誌のハードウェア分野のレビューを読んでいると、主要製品が レビューから落ちていることが時々あります。そういったものが抜けてい ると、一番いい製品を判断するのが難しくなるので特に苛々します。ある メーカーがモデルを変更している途中に出たレビューなら納得できるので すが、何ヶ月も余裕があったり、変更がしばらく予定されていないような 製品が抜けていたりしていることがよくあるのです。これはどういう事な のでしょうか ? 体制の悪さ以外に何か理由があるのでしょうか ? この類 のことで、出版関係の人は苛々しないのでしょうか ?

Adam の回答: ハードウェアが一番の頭痛の種なのは、ソフトウェアとは 異なり、そのほとんどが、レビュー用として出版社に貸し出されるだけだ からだ。だから、ある種の会社とつきあう通常の難しさに加えて、(ハー ドウェアがソフトウェアと比べて製作にお金がかかるため、一度に貸し出 し可能なレビュー用の機器が少ししかないという)品不足の問題や運搬の 際に製品がダメージを受け、受け取ったときには正常に機能しないという 問題があるのだ。新しいモデルが予定されていたが、見込みより出荷が遅 れ、古いモデルが思惑よりも長く市場に出回っていたりすることもありえ る。ある種のハードウェアを完璧に網羅しようとしているライターが、主 要製品のことを書くことができない時は、特に苛々するのも事実だ。

今まで TidBITS で、ハードウェアのレビューをほとんどやったことがない のは、機器を受け取り、何一つ無くさないように注意を払いながら荷物を 解いて、比較的短期間(30 日が一般的)でテストをして、梱包して、送り 返すという苦労をするほどの価値が無いからだ。それで、私たちが出して いるハードウェアのレビューのほとんどは、自分で購入して、レビューを 書きたいと言ってくれた人達が出してきてくれたものなのだ。

さらに、ちゃんとしたハードウェアのテストと比較には、テスト用の研究 所が必要なのでとりわけお金がかかる。TidBITS 規模の組織には、それで 商売するほどの時間と人手とお金がないだけなのだ。


Intermind Communicator − コミュニケーションしよう

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <odaka@iprolink.ch>)
(  :村上 浩  <murasan@yk.rim.or.jp>)

私はもう何年もの間インターネットで仕事をしてきたし、インターネット について色々と考えてきた。そして数多くの新技術が現れては消えていく のを目撃してきた。多くのテクノロジーが現れ、間もなく消えていくのは、 要するに何か問題があるからだ。そもそも最初からあまりよく考えられて いなかったものもあっただろうし、実用化の段階でうまくいかなかったも のもあっただろうし、あるいは問題の会社にそれほどやる気が無かった場 合もあっただろう。

ここでこんなことを書くのは、インターネットの未来を占うにあたって、 注目に値する会社とテクノロジーについて述べようとしているからだ。そ の会社とは Intermind 社で、注目すべき新技術は Intermind Communicator と名付けられている。Intermind 社は生まれたばかりの会社ではなく、The Internet Adapter(TIA − ソフトウエアの SLIP サーバ)を販売してきて いるが、インターネットがどのように機能するかという点について古い技 術や古い思想を引きずってはいない。これは新鮮なことだ。それに新製品 の Intermind Communicator は同社のフレッシュなアイデアとインターネッ トについての現実的な知識を反映したものになっている。

何を? Intermind Communicator は、基本的にはインターネットでのコ ミュニケーションをする新しい方法だ。いずれも得手不得手のある電子メー ルと Web のちょうど中間にすっぽりと収まる。電子メールは、メッセージ を直接誰かに送る点で能動的だ。しかし、大勢の人とのコミュニケーショ ンには効率が悪く(メーリングリストを運営するのは大仕事なのだ!)、Web が持っているようなメディアの柔軟性という魅力も備えていない。一方、 Web はフォント、グラフィックやレイアウト、それにもちろんハイパーテ キストによるリンクなどを利用することができるが、受動的なものだ − 誰かを毎週自動的に Web サイト呼び寄せることはできない。

Intermind Communicator は 伝達と表示に Web を利用しているが、電子 メールの持つ能動的な要素を取り込み、コミュニケーションのプロセスの あり方を変えている。TidBITS を例に、これがどのように機能するかを説 明しよう。今、TidBITS はIntermind Communicator の“Hyperconnector” という機能を使って出版されているのだ。これは出版されているアイテム の名前や内容、ポーリングの頻度などの情報を入れた小さなファイルだ。

まず最初に、Intermind Communicator をインストールする。これはあなた のコンピュータ上で動作し、Web ブラウザをインターフェースとして利用 する。もしあなたが Intermind Communicator 経由で TidBITS を受け取り たいと思ったら、私たちの Hyperconnector を購読する。これは単に Web 上のリンクを辿って Hyperconnector ファイルをダウンロードし、自動的 に Intermind Communicator データベースに追加する。これができたら、 Intermind Communicator は TidBITS の Web ページを毎日チェックするよ うになる。TidBITS は週に一回しか発行されないが、誰もが全く同時に更 新されたかどうかをチェックするわけではないので、毎日チェックするこ とによって負荷が分散されることになる。たとえば、もし金曜日までマシ ンの電源を入れなかったら、Intermind Communicator は次に電源が入れら れた時にチェックし、その時点で最新の TidBITS を取ってくることになる。

私たちのメーリングリストとは異なり、バウンスの可能性が全くないので これはすばらしいことだし、Intermind Communicator を使って購読してい る人は全員が最新号が発行されてすぐに入手することができるのだ。しか し、Intermind Communicator が私たちの間のコミュニケーションを仲介 しているため、もっとほかのことも可能になる。何人の人が Hyperconnector を利用しているかわかるし(個々の購読者については何も わからない − メールアドレスすらわからないので、Internet Communicator はプライバシーの保護という点ではメールよりもはるかに優 れている)、すべての購読者は自分が受け取る TidBITS の部分をカスタマ イズすることができる。

たとえば、仮にあなたはインターネットに関する記事と Tonya が書いた記 事にしか関心が無いとしよう。もし私たちが適切な(比較的少数の)トピッ クを設定し、各記事を分類したとしたら(これはいずれ実行するつもり だ)、Intermind Communicator は最新号の TidBITS を取ってきた時に指 定された記事だけを読んでくることになる。これはキーワードによる検索 とは違う。分類をするのは発行者である私たちなので、あなたが欲しいも のを受け取る確率ははるかに高くなる。

TidBITS を Intermind Communicator 経由で出版するにはいくつか方法が あり、いずれの場合もこの分類はうまくいくはずだ。最初は、見出しと URL だけを出版し、Web サーバ上にある記事にリンクする方法だ。これはマシ ンがインターネットに直接接続されている人の場合にはうまくいく。次は、 URL のかわりに記事全部を送出することができる。これは TidBITS をオフ ラインで読みたいという人にとって便利だろう。この 2 つの方法のいずれ を選ぶかは出版者の判断によるわけだが、私たちはいずれは両方をサポー トすることになるだろうと思う。現時点では、実は第 3 の方法を採用して いるのだが、この点については後で述べよう。

どんな仕組? Intermind 社とこの数ヶ月間話してきた結果、Intermind Communicator の内部動作について私が理解した内容は以下の通りである。 基盤となっているのは Web サーバに結合したデータベースで、この Web サーバは同じマシン上の Web ブラウザでのみ利用できる。データベースは クエリー言語を備えており、カーネルを通してデータベースにアクセスす るインターフェースを実現している。もちろん、このデータベースからイ ンターネットにもアクセスでき、以下のような 5 層からなるシステムを構 成している。

ユーザーインターフェース
クエリー言語
カーネル
オブジェクト指向データベース
ファイルとコミュニケーション・インフラストラクチャ

Intermind 社は高度にモジュール化する設計をこのプログラムに施した。 そのためプラットフォーム間(Macintosh、Windows 95、Windows NT、そし ていずれは Unix も)の移植性に優れており、たとえば全てのインター フェースを Java で書き直すといったことでも、同社にその気があれば、 かなり簡単に行えるようになっている。

本質的に、Intermind Communicator の有益性は両者共により多くのコミュ ニケーション制御が可能になった点にあると私はみている。出版者はタイ ムリーに、かつ HTML の利点を活かして読者に情報を提供できるし、読者 はどんな内容の出版物に興味があるのかを示してデータの流入をより完全 に近い形で制御できるのだ。

ビジネスプラン -- では、どんな方法で Intermind 社は利益を上げて年 間に費やした開発時間を正当化し、また 60 名ほどいる従業員の生活を保 証するのだろうか?

Intermind Communicator の配布形態には 4 種類あって、そのいずれもダウ ンロードで入手可能だ。

このシステムで重要なのは、誰でも無料で Hyperconnector を購読でき、 その気があれば誰でも無料で Intermind Communicator を使い非商用の情 報を出版できることだと思っている。

別の靴 -- さて、ここまで一通り Intermind Communicator について説 明してきたが、ここで衝撃的事実をお伝えしよう。Macintosh 版はまだ出 荷されていないのだ。Mac 版は数ヶ月先、おそらく 1 月初めの Macworld San Francisco まで出荷されないだろうが、それでもこの時期に TidBITS で長々と論議するほど Intermind Communicator を私が重要視していると いうことで御理解願いたい。

心配する必要はない。Intermind 社創立者のひとり Drummond Reed 氏は古 くからの TidBITS 読者で、この 9 ヶ月ほどは Intermind Communicator についての情報が常に私に届くよう尽力してくれた。また、Guy Kawasaki 氏の参加についても熱心に働きかけている。Intermind 社は Macintosh 市 場、とりわけ Internet における Macintosh 市場の重要性をきわめて深刻 に捉えているからだ。当初の目標は Macintosh 版、Windows 95 版、 Windows NT 版を同時に出荷することだったが、だいぶ前から公式発表され ていた先週の出荷日直前になって、ほかのバージョンは大丈夫だが Mac 版 は準備が間に合わないことが明らかになった。残念なことだが、何故こん なことになったかといえば、Intermind Communicator の開発責任者が Mac プログラマーで、コア部分のコードに思いのほか時間がかかってしまった ため予定どおり Mac 版を仕上げることができなかったのである。ただ、 Mac には会社創立者のひとりと開発責任者がついているので、すぐに Mac 版を入手できなくても私は心配していない。

Intermind Communicator については全て Compaq Contura 400 の Windows 95 上でその動作をみてきた。これまでその 486 ラップトップは年に 10 回ぐらいしか起動したことがなかった。好きでこのマシンを使っているわ けではないが、Web ブラウザはどのマシン上でも Web ブラウザなので、 Intermind Communicator を使う上では普段と何の変わりもない。出版機能 のテストとして先週の TidBITS を発行したときも同様だった。Mac 版の登 場が待ち遠しい。

将来を見据えて -- これまでに述べてきたのは Intermind Communicator のバージョン 1.0 についてだ。1.0 リリースによく見られるように、 Intermind 社がどうしても盛り込みたかった機能でありながら、出荷期日 に間に合わせるためと、Intermind Communicator がもたらす新しいコミュ ニケーションの方法に馴染みのないユーザー層に理解しやすくするために 外さざるを得なかった機能が多数欠けている。私は TidBITS を出版するに あたっていくつかの制約に直面した。たとえば、私はまず“レビュー”や “Tonya”というトピックを設定しようとしたが、1.0 は一つのトピックに つき複数のメッセージを設定することができないということに間もなく気 づいた。したがって、もしある号で Tonya が 2 本の記事を書いていたと したら、両方を“Tonya”のカテゴリに入れることはできないのだ。

次に、私は“アナウンスのみ”と“全文” 2 つだけのトピックを設定する ことにした。そうすれば、読者はイントロとほかの記事へのリンクだけを 受け取るか、全文を一つのメッセージとして受け取ることができる。今度 は 2 つの問題が浮上してきた。Windows 95 上の Netscape Navigator Gold 3.0 はテキストフィールドに 30K 以上のテキストを入れることができない (Intermind Communicator のインターフェースはすべて Web ブラウザ内 にあることを思い出していただきたい)。この問題は多少の編集作業で回 避することができたが、今度は 16K までという Intermind Communicator のメッセージの大きさに引っ掛かってしまった。将来のリリースでこういっ た問題がフィックスされたら、個々の記事をトピックとして出版していこ うと思う。それまでは、TidBITS の最新号のアナウンスしか受け取ること ができないし、それも Windows マシンで読まなければならない。

<http://www.tidbits.com/hyperconnectors/tidbits.con>

Intermind 社は新しい Hyperconnector を簡単に見つけることができるよ うに Hyperconnector の一覧表を作成しており、ここでも TidBITS を見つ けることができる。

Intermind 社はほかにも壮大な計画を練っている。今のところ、Intermind Communicator が転送できるファイル形式は HTML だけだ。HTML が選ばれ たのはテスト期間を短縮するためと、製品を理解しやすくするためだ。技 術的な制約があるわけではないので、将来的にはどんなデータでも転送で きるバージョンが登場してもおかしくない。これであなたが使っているプ ログラムのアップデータを、たとえば毎月一回チェックするように設定し た Hyperconnector を使って受け取ることもできるだろう。あるいは、住 所変更の連絡を Intermind Communicator で送り出すのはどうだろう? み んなに住所録のデータベースを更新してもらうかわりに(私たちは一年前 に引っ越したが、今でも古い住所にあてた郵便物を受け取ることがある)、 住所を Hyperconnector として出版し、数ヶ月ごとにチェックしてもらう ようにするのだ。そうすれば、Intermind Communicator を使っている人は 数か月以上時代遅れになることはなくなる。

私は過去 9 ヶ月の間、Intermind の社員たちと話をするのを楽しんでき た。というのは、彼らはインターネット関連会社の中ではハイパーテキス トの理論に最もよく通じているからだ。彼らは Ted Nelson 氏が提案して いる Xanadu システムやマイクロペイメントなどといった事情に詳しい。 このようなアイデアが Intermind Communicator の一部となって現れるか どうかは知る由もないが、検討されていると考えても大きな間違いではな いだろう。私は新技術にはシニカルな態度をとる傾向があるのだが、 Intermind 社は Drummond をはじめとしていつも私の質問に立派に答えて くれた。これに加えて私が今まで見たり聞いたりしたこと、それにこの製 品と事業計画がどう機能するかということが思想的に受け入れられないと いうわけではないので、私がこれだけ前向きなのも理解していただけるだ ろう。

Intermind Communicator は成功するだろうか? 私たちのインターネットの 使い方、コミュニケーションのしかたにパラダイムシフトをもたらすのだ ろうか? 私はこの質問に答えることはできない − 答えられる人はいない のだ。私が言えることは、Intermind 社は賢い会社で、Intermind Communicator は大きな可能性を秘めた良い製品だということだ。すばらし い製品を擁した賢い会社が予期することのできない理由のために失敗した ことは今までに何度もあったし、Intermind にも同じことが起きないとは 言い切れない。そうならないことを私は心から願うし、Intermind Communicator が次の“必携”インターネット製品になることを祈る。

Intermind Communicator については Intermind 社の Web サイトでもっと 詳しく知ることができるし、同製品の Windows 95 と Windows NT 版をダウ ンロードすることもできる。気の利いた点として、Intermind Communicator がすることはすべて HTML 経由なので、このプログラムがどのように機能 するかのビジュアルなデモも用意されている。

<http://www.intermind.com/>


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