TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#359/16-Dec-96

1996 年最後の今週号では、Home Page、Globetrotter や OpenTransport の新バージョンのほか、Apple 社についてのよいニュース、そして Macworld Expo で開催される Netter's Dinner についても忘れないように 書いている。さらに今日のデスクトップソフトウェア市場でかなり活躍し ている 2 製品、Quicken 7 と Word Perfect 3.5.2 に対しての詳細な考察 で締めくくっている。TidBITS は06-Jan-97 号からまた再開する、それで はまた!

目次:

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TidBITS 日本語版は以下のメンバーのボランティアによって翻訳・発行されています。
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齊藤 聡   <akkun@ca2.so-net.or.jp>
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高島 均   <hitak@can.bekkoame.or.jp>
西村 尚   <hisashin@st.rim.or.jp>
水木 潔   <HGH03125@niftyserve.or.jp>
村上 浩   <murasan@yk.rim.or.jp>
矢倉 遠十吉 <oto@mb.infoweb.or.jp>
山浦 礼子  <raeko@bnn.co.jp>

今回の TidBITS のスポンサーは:


MailBITS/16-Dec-96

(翻訳:山浦 礼子 <raeko@bnn.co.jp>)

TidBITSへ投票! American Journalism Review 社 NewsLink ではオンラ インの最優秀ニュースサイトを決める人気投票“Best of the Web”を運営 している。TidBITS は基本的には Web に依存しているわけではないし、 42,000 人のメーリングリストが私達の主な流通手段であることを考慮して も、まぁ、そんなもののリストにすらあがりっこないだろう。ところが幸 運なことに、彼らは記入方式による投票を行なうことにしたのだ。そうい うことなので、もしも私たちがちょっとした評価を得ることに一役買って もいいというのであれば、下記の URL の空欄に私たちの URL、 http://www.tidbits.com/ を入力していただければ幸いだ。よろしく!

<http://www.newslink.org/best.html>

瀕死状態? の Apple 社にグッドニュース 深刻なレポートから新聞の 見出し(『Gil Amelio 火星人に System 8 の深層部を依頼!』)まで、今 年は Apple 社の緊迫した情勢が書かれたレポートとしてさまざまなものを 読むことができた。私たちを楽しませてくれた数々の報告に反して、 Macintosh はとくに教育市場を筆頭に未だに強い。SIMBA Information 社 の調査によれば、多くの教育用ソフトウェアデベロッパーは、1995年では 73 % そして1996 年の 86 % の割合で、開発プラットフォームとして Macintosh を選択している。また、Apple 社の Education Solution Provider は教育ソフト出版として現在約 200 の会員がいるのに比べ、 Microsoft 社の Windows School Connection プログラムは 114 となって いる。

<http://www.simbanet.com/>

ほかに、2,600 万台の(今年の 8 月からは 100万台の伸び) Macintosh が出荷され、Apple 社では 世界中で 6,000 万人以上の Mac ユーザーがい るものと推定している(複数のユーザーがマシンを共有しているため)と いったよいニュースがある。また、4 年間連続して PC World の読者投票 では信頼性で Mac が一番となり、そして Apple 社の電話サポートのほう が PC ベンダーよりも待ち時間が短いと答えている。 [JLC]

<http://www.pcworld.com/>

Open Transport 1.1.2 -- Apple 社は Open Transport 1.1.2 をリリー スした。OT 1.1.2 では、モデム接続の信頼性が向上し、とくに Mac Web マスターに喜ばれているようないくつかのパフォーマンスを改良している。 Performa や Power Mac 52xx、53xx、62xx、63xx 以外のマシンの場合、OT 1.1.2 は OT 1.1、もしくは1.1.1 に対してインストールしなければならな い。OT 1.1.2 は 4 つのディスクイメージ、もしくは Net Instal で入手 可能だが、“OT Extra”セット(Net Install に含まれる)は Acrobat Reader が同梱されるために重くなっているので、どちらを選択するかに よって 3 か 10 MB のダウンロードとなる。OT 1.1.2 には OT/PPP 1.0( TidBITS-354 を参照)が同梱されていないので、別途ダウンロードが必要 だ。 [GD]

<ftp://ftp.support.apple.com/pub/apple_sw_updates/US/mac/ Networking-Communications/Open_Transport/>

Netter's Dinner -- 皆さんのなかで今度開催される Macworld Expo/San Francisco に出席される予定の人のなかには、第 11 回 毎年恒例の Netter's Dinner への参加をオンラインで登録したいと考えているかもし れない。これは伝統的なギークの祭典であり、集合場所からレストランま で San Francisco の道をぞろぞろ歩き、そしてビュフェスタイルでの湖南 中華の宴を楽しむ。今年のディナーは、1 月 7 日水曜日だ。登録には Kagi 経由で 16 ドルが必要となる。[TJE]

<http://www.infoworkshop.com/~jonpugh/nettersdinner.html>
<http://www.mha.com/macworld/mwsf97/>


HTMLbits: AkimboとClarisアップデートを出荷

by Tonya Engst <tonya@tidbits.com>
(翻訳:杉浦 雄一郎<yuichiro@activewave.com>)

HTML エディタ競争が白熱する中 Claris 社は Home Page 2.0 を出荷、 Akimbo 社は Globetrotter 1.1 をリリースした。Home Page 2.0 は、 PageMill 2.0 と Home Page 1.0 の比較に見られるいくつかの明白な欠 点を解消している。今回の Home Page はサイズ変更可能なテーブルコラム 幅、背景グラフィックの表示、クライアントサイド・イメージマップ、ス ペルチェッカー、プラグイン対応といった機能を提供。さらに PageMill に先駆け、リモートサイトパブリッシングを直接サポートするようになっ た。また HTML モードへの切り替え時にカーソルが同位置に留まるように なったのも便利だ。

Home Page 1.0 の登録番号(米国版のみ)を持っていれば、Claris の Web サイトからアップデートをダウンロードできる。フルアップデートのサイ ズは 6.6 MB になるが、テンプレートやクリップアートなどの部分は不要 という人のために部分アップデートも用意されている。Home Page の店頭 予想価格は 99 ドル。

<http://www.claris.com/products/claris/clarispage20/clarispage20.html>

Globetrotter を Home Page と比べた場合、Globetrotter は複数セクショ ンからなるプリント可能なドキュメントを作成できるなど、ページ指向と いうよりもサイト指向といえるアプローチを取っている。ドキュメントは 各セクションを別々のページに切り離した状態でウェブサイトとして保存 することができる。Globetrotter 1.1 はより洗練されたテーブルを作成す ることができ、また一般的な改善もいくつか見られる。Akimbo での Globetrotter の販売価格は 99 ドル。1.0 の登録ユーザーにはアップグ レードを無料で提供している。

<http://www.akimbo.com/globetrotter/index.html>


Quicken 7 登場

by Steve Becker <steve@macease.com>
(翻訳:村上 浩  <murasan@yk.rim.or.jp>)
(翻訳:齊藤 聡 <akkun@ca2.so-net.or.jp>)

Intuit 社は個人用財務パッケージ Quicken のメジャーアップグレードを ここ何年か毎年行っている。今年のアップグレードでは、数々の改良が施 されており、新機能もいくつか追加された。(Quicken の基本機能につい ては、 TidBITS-299 でお伝えした Quicken 6 の詳細レビューを参照して 欲しい)

<http://www.intuit.com/quicken97/Whatsnew-Mac/index.html>

Quicken 6(Q6)のときと同様、今回も Quicken と Quicken Deluxe の二 つのバージョンが用意されている。口座の運用管理、リポートとグラフィッ ク、投資・家計・ローンの管理機能、オンラインバンキングと決済の機能 はどちらのバージョンにも含まれている。Quicken Deluxe(CD-ROM 版の み)には、さらにリタイアメントプランと負債返済計画の作成機能、家財 管理機能、Investor Insight の 30 日間無償サポート、Mutual Fund Finder データベースが含まれている。

第一印象 -- まず、Quicken 7(Q7)を立ち上げるとユーザーインター フェースが一新されていることに気がつく。これは、WestCode 社が開発し た優れた技術、OneClick Shortcut Technology のランタイムバージョンを 組み込んだことが大きく影響している。Q6 では水平のアイコンバーだった が、今回は大型のボタンを並べたツールバーが画面上端を横切っている。 左隅には五つのアクティビティを示す大型のアイコンが縦に並んでいる (同社はこれをアクティビティエリアと呼んでいる)。このアイコン列は 折りたたんでおくことも可能だ。五つのアクティビティとは、Banking、 Investing、Assets/Debt、Planning、Reporting である。アクティビティ エリアのアイコンをクリックすると、水平のツールバーもそれに関連した ボタンのセットに切り替わる。Quicken はそれぞれのアクティビティエリ アで開いていたウィンドウを記憶するようになっているのだが、今どのア クティビティエリアで作業しているのか、ときどき分からなくなってしま うことがある。

全体的なコンセプトは機能的かつ魅力的なのだが、それを十分満足のいく レベルで実現できていない。ツールバーはオン/オフできるものの、デフォ ルトのボタンは大きすぎるし、このリリース版ではそれを変更することも できないのだ。ボタンが占める画面領域が広くなると、ウィンドウを開い て作業するのが困難になってしまう。特に、小画面モニターや PowerBook ではイライラさせられるだろう。

Q7 にはボタン用のライブラリがあり、ツールバーに予め設定してあるもの 以外にもボタンはたくさん用意してある。その中には、開いているすべて のウィンドウ名をポップアップニューで表示するものも含まれている。ボ タンの配置は Option キーを押しながらドラッグすれば変更できるものの、 ボタンが大きすぎてツールバーに置ける数が限られてしまうのが残念だ。 ついでに言っておくと、OneClick と Quicken がコンフリクトを起こすよ うなことはないが、OneClick ユーザーには OneClick Editor でツールバー のボタンサイズを変更しようなどとは考えないでいただきたい。変更して も、Quicken を再起動すると元のサイズに戻ってしまうのだ。

ノーマルなデスクトップパターンに飽きたら、Quicken の初期設定でプロ グラム起動時のデスクトップパターンをバックグラウンド画像一覧から選 択することができる。また、Quicken のメニュー内容も再編成されており、 プログラムのパワーには似合わず、実にシンプルなインターフェースとなっ ている。

Quicken のグラフ表示は適確な色づかいにより魅力的なものになっている が、ほかの部分ではどうしたものか有効に色を使えていない。有価証券の レジスタやポートフォリオのウィンドウなどがそうである。たとえば、ポー トフォリオのレジスタに有価証券がいくつかある場合、もし証券ごとに表 示色を設定できれば、その証券に関連する取引処理を追いかけるのもだい ぶ楽になっていただろう。

全体的にみれば、この新しいインターフェースは魅力的である。だが、そ の実力をフルに発揮するためには、まだ改良すべきところがいくつかある。

完成されたレジスタ -- Quicken は、連続したオンスクリーンレジスタ を使って当座預金や銀行預金口座を運営管理するプログラムとして誕生し た。Intuit 社が何年もかけて改良を重ねてきたおかげで、このレジスタ は真にパワフルなツールとなった。また、その一方では便利な機能をたく さん追加してきた。Q7 でレジスタに追加された便利な新機能には、スク ロールバー使用時でも小切手番号をライブで表示する機能、財務処理を分 類したり日付や小切手番号でソートするためのポップアップメニュー、財 務処理データを分割したりする操作を簡単化する追加オプションなどがあ る。

Quicken のレジスタは使っていて楽しいし、ユーザーからすれば最小限の 時間と労力で処理が行える。欲を言えば、(アクティブな財務処理のフィー ルドだけではなく)表示中のすべての財務処理にそれぞれ境界線を入れて、 レジスタを検索するときに一目で分かるようにして欲しかった。

投資機能の向上 -- Q7 には重要な新機能がたくさんある。Investment Module もそのひとつだ。なにより、ロットを扱う機能が最初から組み込ま れている! Quicken の場合いつもそうだが、この新機能もまた実によくで きている。有価証券を売却するときには、ポップアップメニューでその財 務処理の規準を選択できる。たとえば、キャピタルゲインを最小にしたり、 最大にしたりできるわけだ。すると、その設定した規準に合ったロットを Quicken が自動的に選択してくれるのである。すばらしい! 次期バージョ ンではプレビューウィンドウを追加して、事前に結果をみれるようにして 欲しい。

Detail View にはタブ化したウィンドウが追加され、Detail View のグラ フを簡単にカスタマイズできるようになった。有価証券に関連したほかの データ、たとえば相場の遷移や財務処理の記録などを見る場合も同様であ る。オプションの Investor Insight(Deluxe バージョンにのみ付属)を 使って相場の遷移記録やニュース記事をダウンロードすると、その情報に より自分のレコードは自動的に更新され、Detail View で表示できるよう になる。ダウンロード直後には、前回更新した相場データからの変動値を 表示するウィンドウが現われる。相場の高/安値を警告する設定もできる。 それぞれ優れた機能ではあるが、できれば P/E 比やカスタマイズ可能な相 対パフォーマンスのグラフ機能も入れて欲しかった。

以前からリポートのリストとリポートフィルターは良くできていたが、今 回の Q7 ではさらにその機能が向上している。新しいグラフもいくつか加 わり、それと連動するフィルターのリストも改良されている。特に私が気 に入ったのは、新しく追加された資産配分グラフと、グラフやリポート用 カスタムフィルターの設定を“記憶”できる点である。資産配分グラフを 利用すれば、資産ごとに投資先の分散を見通せるので、自分の投資が負う リスクを管理することができる。ここで Tips をひとつ、Equity Mutual Fund などにも債権や現金を使えるかもしれない。Quicken の力を借りて投 資の資産配分を理解することはできるが、Quicken に正確なデータを与え たり、そのデータの限界を知るためには、使う側のユーザーも勉強してお く必要がある。

残念ながら、今回の Quicken も有価証券の利回りは計算できない。また、 リポートに時刻をスタンプしたり、リポートに使ったフィルタのリストを 印刷することもできない。しかしながら、Print Preview や Print-To-Fit オプションなどを含め、Q7 の印刷能力はかなり向上してる。

オンラインバンキングの向上 -- Intuit 社は Quicken のオンラインバ ンキング機能を向上させ続けている。テストをしたわけではないが、Intuit 社は決済について、任意の U.S. 内の当座預金、銀行への各種申告を電話 一本で済ませる、振替と決済および銀行決済データの履歴の自動記録がオ ンラインでできると言っている。

性能 -- 私は Quicken 7 を System 7.5.1 を搭載した自分の 6100/66 でテストしたが、新機能がその性能に悪影響を及ぼしていないことに喜ん だ。実際、私はレポートを走らせ、Portfolio ウィンドウを開こうとして いるときに、Q6 よりも Q7 が著しく速くなっていることに気付いた。つま り、プログラムは軽快であると感じる。

しかし、信頼性に関しては、私は Q7 に失望している。プログラムにはユー ザーの財務上の幸福に重大な影響を及ぼしうる多くのバグがある。 Portfolio ウインドウに表示された奇妙な情報に加え( TidBITS-353 に 記載)、私が見つけた問題のあらゆる影響は私が財務管理プログラムに求 める信頼性を損なうものである。

特に新規ユーザーに対して、Q7 の数値的なエラーやその他の問題が混乱を 招く。過去に、Intuit 社は洗練された内蔵ヘルプオプションを提供するこ とにかなり努力した。しかし、Quicken がアップルガイドの最大の機能を 利用してさえ、私はアプリケーションウインドウで目的としているヘルプ 項目が出ないことによくでくわした。また、インデックス化は弱く、ヘル プトピックの構成は混乱している。(Intuit 社はトピックリストがアル ファベット順ではなく、推測した使用頻度に並んでいると説明した。)一 方、バルーンヘルプは効果的である。

Investment Module とヘルプシステムにいくらか改良の余地があるが、 Banking エリアは磐石で使うのが楽しいものであることを強調したい。

結論 -- 個人財務を追跡し、解析する良質で多機能な Mac のプログラム が本当に求められている。見事に Quicken はその方向性にのった。そして その領域へ拡張する一方で、基本的な機能を良質で使いやすくなるように 修正することも小さくない功績である。まだ、今日の複雑な金融業界がユー ザーに与える画一的でない活動を管理するために本当に効果的なものとし ての Quicken の Investment Module に対する信頼性と機能を両立する必 要性がいっそう強まっている。

私が Quicken 7 についてあやふやな態度を取っているように見えるとした ら、それにははっきりした理由がある。基本的に、それは磐石で印象的な プログラムである。機能は豊富であり、そのパワーと使いやすさはよく考 えられている。一方、いくつかの機能は貧弱なままに組み込まれている。 多くのバグが残っている。主流の金融市場における活動を効果的に管理し、 解析するための本物の能力に要する基本的な機能がまだ必要である。

Intuit 社の公正を期して言えば、このプログラムは、ときおりそれがおか しな動きをしたとしても、絶対にお買得だ。比較的よくできたドキュメン トがプログラムの価格に含まれているし、すべて印刷されたマニュアルが、 Quicken のデラックス CD-ROM 版には付属している。これまでは、Intuit 社は電話によるサポートに課金するという産業界の流行に逆らってきた (通話料はかかるのだが)。というのはかなり多くの Quicken の要素がず ば抜けて優秀なため、その弱点をもっと鋭く目立たせてしまうからである。 それはまだクラス最高のプログラムであるに過ぎない。私はバグを扱うこ とで時間を浪費することをほとんどなくして、もっと迅速に組み込まれた 重要な機能の向上を望みたい。私でさえ少しは余計に払いたいと思ってい る(機能向上が実現するのであれば)。

Q7 の Investment Module を使わないのであれば、Quicken について話し てきた多くの心配の影響はない。プログラムのその機能を使うのであれば、 次の Quicken のアップデートで大部分の深刻なバグが修正されるのを希望 しよう。大部分のユーザーは、Quicken が自分の Mac のいい使い道である ことに気づき、Intuit 社のマネーバック保証により、Q7 をよい解決方法 にしようとすると思う。

Quicken 7 には 68030 以上のプロセッサ、System 7 以上、6 から 8 MB の RAM、9 から 18 MB のハードディスク領域、640 × 480 で最低 256 色 が表示できるディスプレイが必要である。

    Intuit, Inc. -- 800/624-8742 -- 415/944-6000

[Steve Becker 氏は最初に Mac を購入してからずっと BMUG の一員であり California 州 Berkeley で Mac のコンサルタント会社 MacEase を経営し ている。]


Corel WordPerfect 3.5.2

by Sean Peisert <speisert@ucsd.edu>
(翻訳:尾高 里華子 <odaka@iprolink.ch>)
(翻訳:尾高 修一 <odaka@iprolink.ch>)

Mac ユーザーは、ワープロの選択枝があまりにも多いために、悩んだり、 自分のお気に入りを自慢し合ったりすることになる。昔の Claris 社の堅 固な MacWrite Pro や ClarisWorks に始まって、肥大した Microsoft Word やちょっと変わっているがパワフルな Nisus Writer に至るまで様々 なものがあるのだ。Corel 社の WordPerfect は、その中程に位置するだ ろう。WordPerfect の所有権は、過去数年間で 2 度移った。今回の記事で は、基本的機能から、最近フィックスされたバグ、購入方法など WordPerfect の現状についてお伝えする。

<http://www.corel.com/products/wordperfect/macintosh.htm>

今年初めに、Corel 社は Novell 社から WordPerfect Business Applications Group を買い取り、ここ数年ほとんど変化が見られない Mac ソフトに 新しい息吹を与えることを約束してくれた。Corel 社は まず WordPerfect をバージョン 3.5.1 にアップデートし、その後、バージョン 3.5.2 をリリースした。基本的な機能は、以下で説明するが、Novell 社の 頃のものと変わっていない。目立って変ったことといえば、3.5.1 および 3.5.2 でスプラッシュ・スクリーン(起動画面)が新しくなったことだろう。

私の場合、あまり長くない(せいぜい 15 ページ程度の)エッセイや手紙 や履歴書を書くのに WordPerfect を使っている。スケジュールや分類リス トのような書類を作るのには WordPerfect の作表機能を使う。HTML Export 機能を使うこともある。

WordPerfect の特徴は? WordPerfect は、Apple テクノロジーに長けて いるのだ。Power Mac ネイティブで動作し、Apple Guide を採用している。 AppleScript、QuickDraw GX、Macintosh Drag Manager、PowerTalk、 MacInTalk、WorldScript、QuickTime もサポートしている。さらに、Corel 社は次期バージョンでは、OpenDoc にも対応すると約束している。

ワープロ市場は競争が厳しいので、ある程度のワープロソフトなら、作表、 スタイル、スペルチェック、マクロ、画像エディタ、数式エディタ、様々 なファイルフォーマットへのインポート/エクスポートといった機能のほ とんどがデフォルトで付いているのがあたりまえである。さらに、ほとん どのワープロソフトがこれらの機能以外に、特別な機能、インターフェー ス、特徴となるようなものを備えている。特に、WordPerfect の直感的に わかるツールバーシステムや洗練された作表エディタは際立っている。

WordPerfect はリソースをむさぼることもないし、起動、終了、作業を敏 速に行う。私の System 7.5.5 を搭載した Power Mac 6100/60 AV では、 WordPerfect 3.5.2 を起動するのに 10.5 秒かかり、終了するのには 2.5 秒で済む。WordPerfect が使う RAM は 6 MB であり、全てをインストール するのに必要な空きディスクスペースは 22.5 MB だ。Corel 社によると、 動作条件は、System 7.0 以降(Power Mac は System 7.5 を推奨)、 68020 以降の Mac、2 MB のアプリケーション RAM(Power Mac の場合は 6 MB)、ハードディスクの空きスペース 6 MB 以上、CD-ROM ドライブと なっている。

ツールバーは、カテゴリ(フォント・スタイル・作表・HTML など)ごとに 設定され、クリックでそれぞれをオン/オフできる。このほかに、開く、 保存、印刷、プレビューのようなよく使うメニューコマンドをボタンにし たツールバーもある。このツールバーをカスタマイズするには、自分が必 要な機能(例えば、フォントサイズを一段階大きくしたり、小さくしたり とか、新しいヘッダやフッタを作成するとかのような)のボタンアイコン をツールバーに追加すればよい。

どっさり機能に目を通す -- WordPerfect の作表エディタは、他のワー プロの手本となるべきものだ。洗練されたインターフェース、作表ツール バーや作表メニューを使っての簡単な操作、単純なスプレッドシートもど きの機能を始めとする数々の機能のおかげで、表を使った作業が楽になっ ている。作表ツールバーを使えば、クリックひとつで、行や列の追加/削 除を行うことができる。たいていのワープロの場合、こういった操作は、 メニューバーで行わなければならないようになっている。枠線、セルのパ ターン、セルのマージンといったものも簡単に設定できるようになってい る。枠線は各セルごとに書くことができるし、グループ化してまとめたも のにも書くこともできる。選択されている連続したセルを(同容量の)一 つのセルに結合するツールバーのボタンや、その逆の働きをするツールバー ・ボタンもある。テーブルは複数ページにまたがって作成することもできる。

WordPerfect は、表をもとにしたテンプレートを使ってあて名ラベルを作 成できる。このテンプレートは、Avery 社のさまざまなラベルに対応した 設定ができるし、ほかのラベルの形にカスタマイズすることもできる。いっ たんテンプレートを設定してしまえば、WordPerfect が、文字列なり差込 みデータなりをあなたの思い通りにラベルに書き込んでくれる。ラベルの ツールバーには、テキストの位置決め(上端・中央・下端)、テキスト揃 え(左寄せ・中央・右寄せ)、ラベルに合わせて文字列の大きさを変える 機能もついている。

学術的なものを書いている人は、WordPerfect の脚注や巻末注が気に入る だろう。これは、カスタマイズしやすく、使って面白いものだ。脚注の数 字は、いつでもどの数字からでも始めることができるし、ページが変わる たびに 1 から始めることもできる。科学技術・数学関係者の人は、数式エ ディタが気に入るだろう。これには、非常に多くの記号や数式を設定する オプションがついている。

WordPerfect には、文法チェッカに加えて、入力するのを見張っていて、 ある種のミスを自動的に修正する QuickCorrect 機能がついている。私に は、これがうっとうしく感じれれる。例えば、文法チェッカーは事実上短 いエッセーのほとんどすべての文に「この文は長すぎます」「この文は受 動態です」「これは決まり文句です」のような様々なコメントを付けなが ら修正してくれたのだ。QuickCorrect 機能は時間を節約してくれる可能性 はあるものの、間違いを犯すこともある。たとえば、QuickCorrect のデ フォルトの訂正オプションでは、“i.e.”と入力すると、自動的に“I.e.” に直されてしまう。このオプションをオフにするには、preferences への 長い旅が必要だ。マクロを使えばより簡単にできるようにはなるが。

グラフィックはワープロ環境の中の一つのオブジェクトとして扱われる。 テキストをグラフィックの周囲に回り込ませたり、左右や下に置くことが できる。グラフィックは特定の位置に絶対指定で固定することもできるし、 特定のマージンやカラムに合わせることもできる。グラフィックエディタ には特に注目すべきものはないが、ドローツール、バケツツール、それに グループ化のためのツールや線の太さ、枠線、塗り潰しを変更するツール が備わっている。

スタイルは普通のワープロウインドウと全く同じに見える別の編集ウイン ドウで、フォーマットをいつものツールバーから選ぶことによって作成す る。スタイルはグローバルに、あるいはファイルに内蔵して保存すること ができ、シリアスなユーザーのためには、親スタイルに加えられた変更が 子スタイルに継承される階層スタイルもサポートしている。パラグラフが 常に特定のテキストで始まるようにスタイルで設定することもできるほか、 パラグラフを一つのスタイルで入力して Enter(Return ではない)を押し たら、次のパラグラフには“次のスタイル”として設定されたスタイルが 適用される。

WordPerfect の作表エディタ、数式エディタ、スペルチェッカ、シソーラ ス、それにグラマーチェッカはすべてメインのアプリケーションに統合さ れている。テーブルはワープロ環境から直接編集することができ、スタイ ルやフォントなど WordPerfect で通常利用できる機能を使うことができ る。WordPerfect で数式やグラフィックを作成することはできるものの、 編集は別モードで行わなければならない。メインのワープロウインドウ内 では、数式やグラフィックは編集できないオブジェクトとして扱われる。

最近のフィックス -- Corel は WordPerfect 3.5.1 および 3.5.2 にあっ たバグを多数フィックスしたとしており、Installer Read Me ファイルに 膨大なバグのリストを載せている。この中には日本語に関する問題や、PCI Mac でのルーラーの表示、subdocument(ヘッダや脚注など)のルーラーを クリックした際のクラッシュ、それに“粘着”スクロールバーの問題が挙 げられている。また、大きな文書のスクロールなど、一部のアクションを 高速化する変更も加えられている。3.5.2 Read Me ファイルにも、選択テ キストに関する問題、前削除、テーブルのインポート、LaserWriter 8.4 での封筒の印刷、フランス語およびドイツ語辞書の問題など、山のような フィックスが挙げられている。

こういったバグは実際にフィックスされているようではあるが、 WordPerfect は新たなバグも生んでいる。それに、古くからのバグも一部 残ったままだ。今までスタイルを変更したり、テキストを検索した際にハ イライトが正しく行われないという事例が多数報告されてきた。テキスト をペーストした後、実際には文書の先頭にいなくてもスクロールボックス がスクロールバーの最上部に残るという古くからのバグもある。また、テ キスト入力まわりにも古くからのバグがある。テキストを入力して次の行 に折り返すと、スクリーンが再描画されるのを待たなければ 2 行目のテキ ストが見えないというものだ。

WordPerfect は Word 6 よりは速いものの、もっと速くても良いはずだ。 また、WordPerfect が Nisus Writer を少し見習って複数回の Undo や非 連続テキストの選択をサポートしたり、テキストだけをデータフォークに 入れてフォーマッティング情報をリソースフォークへ保存するようになっ てもらいたいものだ。このようなファイルフォーマットなら、WordPerfect ファイルをフォーマットなしのテキストとしてテキストエディタで開くこ とができる。

The Corel Way -- Corel は古くからの WordPerfect ユーザーを Corel 道に改宗させようと懸命だ。WordPerfect ユーザーに無料の(フリーダイ アルではないが)サポートを提供し(Novell のカスタマーサポートは有料 だった)、tips や月例マクロなどを盛り込んだ月刊オンラインニュースレ ター、WPMac News の刊行を続けるなどしている。

<http://www.corel.com/wpmacnews/>

WordPerfect 単体の定価は 219 ドルだが、実際には色々な形態で購入する ことができる。Novell WordPerfect 3.5 のユーザーは Corel WordPerfect 3.5 Replacement CD を 29.95 ドルで購入することができる。3.5 のユー ザーは Corel の FTP サイトから WordPerfect 3.5.2 Updater をダウン ロードすることができるし、さらに古いバージョンからのアップグレード は 89 ドルとなっている。最後に、CorelDRAW 6 と WordPerfect 3.5.2 を はじめとする 7 つのアプリケーションをセットにした定価 399 ドルの CorelDRAW for the Mac Suite の一部として購入することもできる。Novell のカスタマーサービスによると、CorelDRAW Suite へのアップグレード は 149 ドルで、Adobe、Deneba、Macromedia などの製品からのクロスグ レードも 149 ドルだ(もっと安価な教育価格もあるが、印刷されたマニュ アルと無料のサポートが含まれていない)。

<ftp://ftp.corel.com/pub/wordperfect/wordperfect/wpmac/Updates/>
<http://www.corel.com/products/macintosh/draw6mac/index.htm>

WordPerfect は買いか? -- もし強力なグラフィック機能や専門的なレイ アウト機能を求めているなら、それは多分 WordPerfect よりも専門的なプ ログラムが必要だということだろう。それでも、特定の機能が必要な場合 には WordPerfect は検討に値する。私には WordPerfect はほとんどの人 に満足のいく素晴らしくバランスの取れた製品になっていると思えるし、 この記事で WordPerfect の全体的な“味”をおわかりいただけたかと思う。

    Corel Corporation -- 800/772-6735 -- 801/765-4020 (support)

DealBITS -- Cyberian Outpost は、TidBITS 読者に以下の URL から Corel WordPerfect を 158.95 ドル(35 ドルの割引)、CorelDRAW を 385.95 ドル(12 ドルの割引)の特別価格で提供している。

<http://www.tidbits.com/products/word-perfect.html>
<http://www.tidbits.com/products/corel-draw.html>


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