TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#372/31-Mar-97

Apple 社についてあれこれ考えてみることは、オリンピックの公式種目に はまだ指定されていないものの、公開競技になるぐらい一般的なのは間違 いない。今週号では、Adam が Apple の行く末をじっくりと推察し、Apple 社の決定についての彼なりの見解を述べている。さらに、最近の Internet World における Apple 社の様子を取り上げ、また、スクリーンショットを 取るためのスマートな新しいツール Snapz Pro を細かく検証している。

目次:

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MailBITS/31-Mar-97

(翻訳:尾高 里華子 <odaka@iprolink.ch>)

Microsoft 社に意見を言おう -- Microsoft 社の新しい Macintosh Office 開発チーム(約 100 人の開発者が Microsoft Office 97 の Macintosh 版に携わっている)は、Web でアンケートを行っている。これ に答えて、より Mac ライクな Office を作ってもらおう。Office の大黒 柱である Excel と Word は、Macintosh ソフトの中でも非常に重要なもの であり、この 2 つがなかったら、大企業に Mac を大量販売する見込みは ほとんどない。だから、MS Bay チームが Internet Explorer の Mac 版で やってくれているように、Microsoft 社にもっと Mac ライクなアプリケー ションを作ってもらうようにすることが、我々みんなのためになるのだ。 [ACE]

<http://www.hinfo.com/ask97/mac/m1.htm>

Cupertino からやって来たニューフェース -- 先週 Apple 社は、パワフ ルな Newton MessagePad 2000 とおしゃれな 20 周年記念モデルの Macintosh を公式に披露した。同時に、OpenDoc 1.2 が入手可能になった 旨の発表もあった。MessagePad 2000 が、Newton 用のデバイスとして初め て本当に実用に足るものになったと考えている人もいる。160 MHz の StrongARM プロセッサを搭載し、手書き文字認識能力が優れているという 噂で、縦方向からでも横方向からでも操作できる。一方、20 周年記念モデ ル Mac の方は、ギャラリーに立派な展示品としてでも置いておけそうなモ ノで 、7500 ドルという値札がついていて、現代芸術作品を購入する気分 になるかもしれない。また、OpenDoc の新しいバージョン(ダウンロード 4.3 MB)は、各国版のシステムで発生していたバグをフィックスし、低メ モリ状態での安定度が増し、Apple Guide 2.1 をサポートしている。だが、 (Nisus Writer 5.0 のように) OpenDoc アプリケーションンの中には、 OpenDoc 1.2 では正しく動作しないという噂のあるものもある。 [JLC]

<http://www.twentiethanniversary.apple.com/>
<http://product.info.apple.com/productinfo/datasheets/pi/mp2000.html>
<http://www.opendoc.apple.com/users/getod.html>

Internet Explorer 3.0.1b1 -- Microsoft 社は、Internet Explorer 3.0.1 のベータ版をリリースした。これは、JavaScript をサポートしてお り、68K Mac でも PowerPC Mac でも動作する。また、新たに Download Manager や、HTTP クッキーを受け付けたり拒否したりする機能、Yahoo へ 直接繋がっている検索機能が付属された。ダウンロードは、2.6 MB のもの からあるが、フルインストール用はなんと 9.5 MB になる。 [GD]

<http://www.microsoft.com/ie/mac/default.htm>


Apple の決定

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:高橋 邦明 <kuniaki@mail.netwave.or.jp>)
(  :尾高 修一 <odaka@iprolink.ch>)

最近の TidBITS では、Gil Amelio 氏と Apple の経営陣とが会社の収益力 を回復させるために講じた動きを、多くの時間と労力を割いて見てきた。 おなじみになった動きも、そうでない動きがあるのは言うまでもないこと だが、なにが起こっているらしいのか、あるいは少なくともなにが起こっ ているらしいと多くの人が感じているか、について探索してみる時期がそ ろそろ来たと思う。

Gil はほかに何をなしえたか -- Apple は従業員を解雇し、いくつかの 技術の中止し、いくつかのプロジェクトをメンテナンスモードに入れると いう決定について非難を受けた。私は、過ちであると思われる決定につい て Apple を攻撃してしまったことに確かに後悔しているが、現実的に考え てみよう。Gil は何かをしなければならなかったのだ。Apple は 1996 年 にたくさんのお金を失ったし、思い切ったアクションがとられなければ、 その傾向は明らかに 1997 年にも続くであろう。そして最近の発表が、そ の思い切ったアクションだったのだ。

売上げがあらゆる予想を上回ると考える理由など何もないときに、Apple が収益力を回復する唯一の手段は、コストの削減であった。伝えられてい るところによれば、Apple ではエンジニア一人当たり、給与、福利厚生、 間接部門、オフィススペースなどにより、年間約 150,000 ドルかかってい るという。もちろんレイオフされた 2700 人の従業員の全員がエンジニア だったわけではないし、1400 人の契約社員、派遣社員は明らかにもっと安 価ではあるが、それでも仮に一人あたり 100,000 ドルの節約だと考えて も、これで 4 億 1 千万ドルになる。

もっと重要なことは、以前の Apple のレイオフとは違い、今回はプロジェ クトの削減が伴っているのである。これはがっかりすることではあるが現 実的である。なぜなら Apple は減った人員で今まで通りの仕事を続けよう とはしていないからである。4100 人をレイオフしながら、レイオフ前に やっていたことすべてをやることなどできない相談なのである。

以上を言った上で、それでも私なら、Apple が別の方法も使って財務の問 題に取り組むのを見たかったのである。第一に、重役の自発的な減給やボー ナスの削減はあり得なかったか? 4100 人もの従業員を削減しておいて、 重役自らは減給されないなど、偽善的にも思える。現金は Gil Amelio 氏 の元にとどまるが、彼の給与額が減ってこそ、フェアと呼べるのだと思う。

第二に、ビデオ会議といった、削除された Appleの 技術は、売却して現金 を回収することもできないほど価値が無いものだったのか?あるいは、 Apple はそういったプロジェクトによって技術のインキュベーターを作り 出せなかったのか?すなわち、各プロジェクトを核に新しい会社を設立し、 ソース・コードを Apple 社の元従業員に提供し、業務サポートの資源を与 え、40 % の所有権を持つ。うまくいけば Apple はお金を稼ぎ、Mac ユー ザーは恩恵を受ける。失敗しても、Apple はいまや捨ててしまった以上の ものを失うことはないのである。

NeXT の引き継ぎ -- Apple の最近の変化についての投書の一つのテーマ に、旧 NeXT 社員が Apple 社の決定を下しているのではないかという受け 取り方がある。ある人などは、本来とは反対に、NeXT が Apple を買収し たかのように感じるとコメントしていた位である。ある程度、このような 感じ方は正しい。結局、二人の元 NeXT 社員、Avie Tevanian 氏と Jon Rubinstein 氏がオペレーティング・システムとハードウエアの部署の責任 者なのである。

過去において、Apple は「Not Invented Here (NIH)」シンドロームを非 難されてきた。これは、価値があると思われる技術は Apple 内部で作られ たものだけ、と考える症候群のことである。いまや、NIH シンドロームの 意味が逆転したと感じている人もいる。Apple 内部製の技術は劣っている し作り込みすぎ、というように。NeXT 買収はその最良の例で、もし Apple が全力を挙げて Copland を実現するとしたら、4 億ドルの費用がかさみ、 1998 年までかかったことだろうとの疑う向きもある。NeXT 買収は大胆な 動きであったが、それは安上がりでもなければ Apple の技術面の困難の即 効薬でもないのである。

私にとってもっとも気になる事実は、NeXT のエンジニアが重要なな決定を 下している、というコメントの多くが、Apple の従業員やインサイダー (多くは元従業員)、昔からの Apple の開発者から発せられていることで ある。心理学的に言って、NeXT 社買収によって外されたことへの怒りがあ ることは間違いないと思う。NeXT にしても、その技術面の業績は重要であ るとしても、利益の上がるビジネスにはならなかったのだ。同様に、NeXT 側から見れば、Apple に組み込まれることにより、旧 NeXT 社員が真のマ ス・マーケットに露出するチャンスが与えられるわけで、Apple の技術よ りも自分たちの技術を押すことに関心を持つのも驚くことではないのである。

要するに、NeXT 買収は Apple の企業文化に多大なインパクトを与えてい る。それは必ずしも悪いことではないのだが、時には厳しい移行を起こし 得るのである。問題は、Macintosh を特別なものにしていた態度や信念が、 新しい環境で生き残れるかどうか、なのである。

Mac OS 95/Mac OS NT -- Rhapsody のネットワーキングに関する問題を 友人たちと色々話していた時、Mac OS と Rhapsody の共存について考える に値することがほかにもあることに気づいた。以下のことを考えていただ きたい。

さて、それでは Mac OS と Rhapsody の違いは Windows 95 と Windows NT の違いに似てはいないだろうか? どちらも同じように見えるし、ほとんど のアプリケーションはどちらでも動くが、Windows NT の方がネイティブな アプリケーションは少ないし、セットアップやメンテナンスも難しい。し かし、Windows 95 は NT の安定性とパフォーマンスは持ち合わせていな い。主な違いは、Windows 95 と Windows NT のプログラミングインター フェース(API)は共通なため、正しく書かれたアプリケーションなら Windows 95 でも NT でも動作するという点だ。一方、Rhapsody の Yellow Box アプリケーションは非 Rhapsody Mac では動かないし、既存の Mac OS アプリケーションは Yellow Box のプリエンプティブ・マルチタスクとプ ロテクトメモリの恩恵にはあずかれないのだ。

ほかの Microsoft OS との比較も的を得ているだろう。今日ですら、一部 の PC ゲームは Windows では動作せず、ユーザーは DOS から起動しなけ ればならない(これは NT オンリーのマシンではできないことだ)。同様 に、現行の Windows プログラムの一部は依然として 16 ビットアプリケー ションで、長いファイル名などといった嬉しい機能はサポートしていない。 言い換えると、あるオペレーティングシステムから別のオペレーティング システムへの乗り換えがすんなり行えることはほとんどない。Microsoft さえ DOS と Windows 3.x の遺産を引きずっているのだ。これとは対照的 に、Apple はオペレーティングシステムのアップグレードや、680x0 から PowerPC チップへの移行さえも無難にこなしてきた。Apple が Rhapsody への移行に際しても同じぐらいの統一性と優れたユーザーインターフェー スを維持することができるのだろうか?

身売りか分割か? ビジネスに強い部類に入る友人の中には、Apple の動 きは身売りの条件を整えてるように見えると述べていた人もいる。利益を 上げていない製品は捨て、ぱっとしないテクノロジーは潰し、4,100 人を レイオフした結果、突然 Apple は買収の対象として魅力的な企業になった のだ。過去には Sun Microsystems 社などから買収の話があったことは分 かっているが、Apple が再度この可能性を追求すると考えるのは不自然だ ろうか? Oracle 社の CEO、Larry Ellison 氏が中心となった投資家グルー プが Apple を買い取るという噂が既に浮上してきている。

次はそれほど暗くはない考えだ。Apple が昔から抱えていた問題の一つに、 何から何までやろうとしていたということがある。ハードウエア、オペレー ティングシステム、新技術、アプリケーション、サーバ用ソフトウエア、 という具合だ。多くのことをやろうとしすぎると、社内でもサードパーティ とも摩擦を引き起こすことになりやすい。それぞれが自社の目的に打ち込 めるような 3 つの会社に分割した方が良くはないだろうか?

このうちの一つはオペレーティングシステムと低レベルの技術に集中する。 独立した企業として、業界全体の前進につながり、ライセンス料で儲ける ような技術に集中する(QuickTime という声が聞こえてこないだろうか ?)。ということは、クロスプラットフォームな技術とオペレーティングシ ステムに重点が置かれ、現実的なタイムフレームで実際に製品を出荷する ことが重要になる。このことは同時に大学などの技術開発プロジェクトと も手を握ることも意味するかもしれない。大学がコンピュータ業界の牽引 車となることが多いからだ。

もう一つの会社は、ハードウエア専門となる。Apple は常に最も優れたコ ンピュータハードウエアを作り続けてきた会社なので、この新会社は自社 が可能な限り成功できるような決断を下すことができるだろう。もしこれ が Intel ベースのハードウエアを作ることを意味するのであれば、それは それで結構。Claris 社は Windows ソフトウエアを作って大きな利益を上 げてきているし、他のプラットフォームの芝生も同じように青いのだ。

3 つ目の会社は、アプリケーションとユーティリティソフトウエア専門と なる。Apple は既にそのような会社として Claris を持っているが、私自 身は Claris は現在 Apple が販売している製品の一部を譲り受けるのが良 いと思う。Finder さえ一つのアプリケーションに過ぎないのだから、 Claris に移っても良いだろう。そうすれば Claris は色々なマーケットや プラットフォーム向けに異なるバージョンの Finder を作ることもできよ う。Windows 95 の標準インターフェースの代わりに Finder を使うことが できれば最高だ。

もちろん、これはほとんど空想にすぎない。私が Apple で責任ある立場に あるわけではないし、Apple がこれほど劇的な変貌を遂げるとは思わない。 問題は、もしそうなったら、Apple Computer は存在するのだろうか? それ で仮に答えがノーだとして、Macintosh が生き長らえて栄えれば、それは 深刻な問題なのだろうか? 私が TidBITS-370 で、Apple に対するユーザー の忠誠度が史上最低水準になった一方、ユーザーは Macintosh に対しては 依然として忠誠だと述べたことに対し、100 % 同意する旨のメールの洪水 が押し寄せてきた。これは興味深い現象であり、Apple やクローンベンダー が心にとめておくべきことだろう。

結局、Macintosh はマシンではなく、体験なのかもしれない。


Internet World そしてようこそインターネットの世界へ

by Matt Neuburg <matt@tidbits.com>
(翻訳:高島 均 <hitak@kk.iij4u.or.jp>)

技術エキスパートや経済エキスパートがインターネットでお役に立てます よと目論む方法なら数知れずある。それは、97 年 3 月 10 日の週にロサ ンゼルスで開催された、Spring Internet World で発見したことだ。彼ら は、あなたにアクセスを提供し、あなたにさらに高速なアクセスを提供し、 あなたの従業員のアクセスを制限し、外界からあなたにアクセスすること を可能にし、外界からのアクセスを制限したがっているのだ。また彼らは、 あなたに売り込み、あなたが売り込むのを助け、あなたに売りつけ、あな たが売りつけるのを助け、情報を集める手助けをし、あなたのために宣伝 し、あなたに宣伝したがっているのだ。さらに彼らは、その何たるかを教 え、プログラムする方法を教え、効果的に利用する方法を教え、それに関 する本や雑誌を売り、ISP から企業家に至るまで様々なやり方で金儲けす る方法を教えたがっているのだ。そして彼らは、それに関するイベントを 主催し、そのイベントに関する CD を売りたがっているのだ。カタログ業 者から気象学者に至るまで、あなたが訪ねるべきサイトを用意し、そして そこでパワフルなソフトウェアやプロのデザイン、ダイナミックな応答や 高帯域幅の革命などを使ってあなたのサイトをもっと輝かせましょうと勧 められることになるのだ。

<http://events.iworld.com/spring97/iw/>

このようなイベントが持つすべてを吐き出さんばかりの流儀は愉快であり、 1 つ 2 つ学ぶこともあった。しかしこのイベントで強く印象付けられたこ とは、インターネットがあまねく今なおあやふやな状況を脱していないと いうさまを暗示していたことだった。Web サイト・デザインの真のエキス パートやネットで金儲けをする真のエキスパートなどは、そうたくさんは いるはずがないのだ。何故なら、デザインに関しては(渡り歩くエキスパー トを別にして)まだ登場して間もなく、また金儲けについては全く謎に満 ちている。[ 恐らく成人指定のサイトを例外にして、だろう。これらは最 近のメディアリポートによればインターネット・コマースの極めて成功し た事例とされている。- Adam] つまり、このようなエキスパートが存在し、 私達にもったいぶった説明をし、そしてそれにお金を払う、などという考 えは、一種の自己催眠商品なのだ。

実際、イベント全体を通じて、それは謳い文句とは裏腹な出来事のように 思えた。このことは Macintosh 関連のイベントと比較するとなおさらであ る。初日の入場者は数少なく、Macworld Expo では開場から 1 分後には肩 が触れんばかりであったのに対して、通路はほとんどがらがらであった。 講演では、音響システムは冴えなく、投影設備は不安定であった。電子メー ルコーナーにはきちんと設定されていない PC が並んでいて、しかも所狭 しと詰め込まれているため、マウスを動かすことすらおぼつかなかった。 ほとんど全員のデモ実演者が、ひどく悪いインターネットアクセスを嘆い ていた(もう 1 つの IBM の偉業である - アトランタオリンピックを覚え ているだろうか?)。Macworld Expo の賑わう百貨店の様相に比べて、ほと んどのブースでは実際に販売するものがなかった。大多数のブースは、夢 や希望や将来のビジネス上のつながりを売っていたのだ。

Macintosh のパルチザンとして、私はすぐに自分が見知らぬ世界における 少数民族なのだということに気がついた。ここでは Apple は二流選手以外 の何者でもなく、すべてが見慣れぬ傾向に満ちていて、PC を使ったすべて のデモ - Windows における General Magic 社の Magic Cap など - を初 めとして、その場を支配する不慣れな非 Apple 的哲学が蔓延していたの だ。Microsoft 社の誰だかが、やけに気取って、Internet Explorer とオ ペレーティングシステムとが固く統合されることにより、ユーザーがデス クトップ上から見るアプリケーションは Web の管理者が決定するように なっていくと説明するのを見ていて、私は、もし自分のコンピュータがそ んなことをするようになったならば、それを窓の外へ放り投げるだろう、 とつぶやく自分を押さえることができなかった。

Apple の CEO である Gil Amerio 氏の基調講演は、彼が行ってきたなかで 私が見た初めての見事なもの − 知的で論理の一貫性があり精力的でさえ ある - で、瀕死の白鳥の辞世歌の伝説を思い起こさせるものであった。Mac の独特な重要性をこれまで代表してきたソフトウェアとして、PageMaker、 HyperCard、Director、Frontier の 4 つを選んだことは、Apple の鋭い自 己評価の一つであると思える。彼が語ったすべてのことに賛同するもので はない(Apple はWeb サーバ市場で 15 % のシェアを得ることに賭けてい る。でも一体どうやって? )が、そう言う権利だって彼にはあるのだ、と 一度くらいは弁護したい気持ちになった。そしてデモの数々、特に Frontier と QuickTime 3.0 のものは、素晴らしかった。

<http://product.info.apple.com/pr/speeches/1997/q2/ 970312.amerio.iworld1.html>

Apple と Java に関する話を聞く場もあったが、Black Friday が迫りつつ ある(それはわずか 4 日前のことであった。 TidBITS-370 参照)ものの 参加者達はそれを知る由もなかったことと、Apple が総じて Java に精通 していないこととによって、そこでは話し手がどこかしら行き詰まりを見 せていた。現在の状況は Mac OS Runtime for Java に反映されているが、 未来は、Java が Blue Box(System 7 とその後継)と Yellow Box (OpenStep)の傍らで第三のものとしてぼんやりと現れているはっきりし ない図式のうちに表されているのだ。この図式が賢明なのかどうかについ ては実のところ困惑している。何故なら、もし Java が全幅の市民権を得 るとするならば、Mac OS は他との違いを失い、その結果その魅力を失うか もしれないからだ。少なくとも、私は以前よりは Java にそれ程親しみを 感じなくなってきている。

すべてのきらびやかさの中で、その有望さで特に印象が強かった 2 つのサ イトを見つけた。SemioMap は、Web(または他のどんなデータの集まりで もよい)上で関連するトピックを MCF のように視覚化する Java アプレッ トと検索ツールを製作している。StockSmart は、Java と Oracle Corporation 社にとっての生きた広告だ。たとえ株に興味がなくても、こ れは刻々と変化する検索対象データに関する優れて豊かなプレゼンテーショ ンなのだ。

<http://www.semio.com/> <http://www.stocksmart.com/>


はい、チーズ! Snapz Pro

by Adam C.Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:高島 均 <hitak@kk.iij4u.or.jp>)

もう 1 冊の本をちょうど書き上げたところであり、その本にはスクリーン ショットが必要であった。これまでは、Flash-It というシェアウェアユー ティリティーをあてにしてきたところであった。Nobu Toge 氏によって書 かれ、1993 年に最後のアップデートがなされた Flash-It 3.0.2 は、今日 においても機能し続けているが、このようなシステムの深いレベルで作動 するユーティリティーにしては驚くべきことである。

正確に言うと、Flash-It はひとつの有名な例外(驚くようなことではない にしても)、つまり Microsoft アプリケーションを除き、ちゃんと機能し 続けているのだ。もし筆者が陰謀好きであったならば、Nobu Toge 氏はわ ざとそうしたのではないかと言いたいところだが、しかし、Flash-It がト ラブルを抱えるようなほとんどの Microsoft プログラムは 1993 年の時 点では存在していなかったのだから、きっとそうではないのだろう。問題 のいくつかは小さなものであり、例えばモニタが 256 階調のグレイスケー ルに設定されているときのスクリーンショットでカラービットが表示され てしまう、といったものだ。

ところが、標準ファイル選択ダイアログにおける問題のせいで、Internet Explorer 3.0 が気の毒な Flash-It にとっての決定打となり、筆者は別の スクリーンショットユーティリティーを探すこととあいなった。Ambrosia Software 社がちょうどその日に Info-Mac に 20 ドルのシェアウェアであ る Snapz Pro 1.0.1 をポストしてくれたおかげで、あちこち探し回る必要 もなく、それ以来これを快適に使っている。ほかにもたくさんのスクリー ンショットプログラムがあるが、Snapz Pro は当面の必要を満たしていた ので、それ以上探すことはしなかった。できればいつかすべてのものを比 較してみたいが、さしあたりは Snapz Pro でいこうと思っている。

<http://www.ambrosiasw.com/Products/SnapzPro.html>

フィルムを装填 -- Snapz Pro は 1 つのコントロールパネルとしてイン ストールされるのだが、これは基本的な設定にのみ使用する。Settings ボ タンをクリックすると、Snapz Pro を起動するための Snapz Key(デフォ ルトでは Command + Shift + 3 である)を選択する小さなダイアログが表 示される。チェックボックスはサウンド効果をオン/オフする。Snapz Pro はスクリーンショットを PICT 形式のみで保存する(これはちょっと不便 かもしれない - 詳しくは後述)が、これらの PICT ファイルを Finder 上 でダブルクリックしたときに開くプログラムについては選択することがで きる。そして、2 つのラジオボタンで、Snapz Pro が起動されたときに Snapz パレット(このプログラムの主要なインターフェース)を開くのか、 それとも最後に使われた撮影ツールでスクリーンショットを撮るのか、を 選択できる。

シャッターをクリック -- さてスクリーンショットを撮る段になったな らば、撮りたいようにスクリーンを整え、さらに必要であればメニューを プルダウン表示する。それから Snapz Key をタイプすると Snapz パレッ トが現れ出てくる。

パレットには異なる撮影ツール、すなわち、スクリーン、ウィンドウ、メ ニュー、選択範囲に対応した 4 つの大きなボタンがある。これらのボタン の下には 3 つのポップアップメニューがある。1 つ目はスクリーンショッ トをどこに送るかを選択する。これらは、アップルメニューにインストー ルされる Screen Snapz フォルダにファイルとして、クリップボードへ、 プリンタへ、Screen Snapz フォルダ内の任意のフォルダにファイルとし て、のいずれかである。2 つ目はイメージの拡大縮小の設定で、10 % から 400 % までさまざまに選択できる。3 つ目のポップアップメニューでは、 白黒、システムカラー、(おそらく書籍用には標準的な)グレイスケール、 16 ビットカラー、Windows カラーなどのさまざまなパレットを使ってスク リーンショットの色調を変えることができる。

チェックボックスでは、スクリーンショットにカーソルを描くかどうかや、 スクリーンショットにそれぞれ個別に名前をつけるかどうか、を決めるこ とができる。個々に名前をつけないよう選択すると、Snapz Pro は、対象 プログラムの名前、いくつかのスペース、順に付番される番号、“.pict” 拡張子を用いて名前をつけてくれる。

Snapz パレットが現れたら、ポップアップメニューやチェックボックスで 設定を変更(Snapz Pro は前回の設定を憶えている)して、それから 4 つ の撮影ツールボタンのいずれかをクリックする。(豊富なキーボードショー トカットも用意されている。)するとカーソルが変わってどのツールを選 んだかを示すようになり、その後撮影したいスクリーンやウィンドウやメ ニューをクリックするのだ。当たり前ではあるが、選択範囲撮影ツールで はただクリックするだけではなく矩形状に範囲をドラッグする必要がある。 そしてメニュー撮影ツールは Snapz Pro を起動した時点ですでにメニュー をプルダウン表示させていない限り使用することはできない。便利なこと に、Snapz Pro は表示されている階層メニューのうちどのサブメニューを 撮影するのかを選択することができる。デフォルトでは表示されているす べてのサブメニューを撮影するようになっている。

スクリーン、メニュー、またはウィンドウをクリック、あるいは範囲を選 択してマウスボタンを放すと、Snapz Pro はシャッター音を鳴らし、撮影 した範囲を反転表示して対象を視覚的にフィードバックしてくれる。ファ イルとして保存し、かつ、ファイル名を選択するように設定していれば、 名前を入力する小さなダイアログが現れる(これは標準ファイル選択ダイ アログではなく、ファイルはあらかじめ設定されたフォルダに保存され る)。すでに存在するスクリーンショット名を入力すると、Snapz Pro は それを置き換えるかどうか確認を求めてくる。

良くできている Snapz Pro の説明書には、それぞれの撮影ツールに適用す ることのできるいろいろなオプションの概略が記載されている。例えば、 Option キーを押すことによって Snapz パレットが再び現れて直ちに別の スクリーンショットを撮影することが可能になる。Command キーで、スク リーン撮影ツールは接続されたすべてのモニタを撮影し、またウィンドウ 撮影ツールはウィンドウの内容のみを撮影するようになる。選択範囲撮影 ツールの使用時では、Shift キーにより範囲の形状を強制的に正方形にす ることができ、また Command キーは、ある一定の背景色を含まない範囲の うちで最小の範囲を選択しようとするのだ。

イメージを現像 -- 筆者の使用目的からして、Snapz Pro がパレットを グレイスケールに変えれることは便利であったが、しかし十分ではなかっ た。出版社である Osborne / McGraw-Hill 社はスクリーンショットを TIFF 形式で欲しがっていたのに、Snapz Pro は PICT しか扱えなかったからで ある。幸いなことに、Yves Piguet 氏作のフリーウェアである clip2gif が 1 回のドラッグアンドドロップ操作だけのファイル形式変換に大いに活 躍してくれた。

<http://iawww.epfl.ch/Staff/Yves.Piguet/clip2gif-home/>

clip2gif はその後便利なものあることがわかった。出版社は、すべてのス クリーンショットを印刷して、さらに適当な番号でラベルをつけるよう希 望していた。これは苦痛であったが、製品部と争うなどなかなかできるこ とではないし、スクリーンショットをごちゃごちゃにされるのも望むとこ ろではない。そこで、System 7.5.5 のデスクトップ・プリント機能を有効 にして、1 章分のスクリーンショットをまとめて選択してデスクトップ・ プリンタのアイコンにドロップすることにした。これで、Finder のウィン ドウに並ぶ順番(この場合は名前順)で印刷されるのである。

唯一の問題は、SimpleText の PICT ファイルだと、SimpleText が大きな スクリーンショットを複数のページに印刷してしまうことだった。印刷コ ピーは単にスクリーンショットの見本に過ぎないのだから、2 ページ目に はみ出した印刷余白で紙を無駄にする理由はない。ところが、clip2gif の TIFF ファイルならば、デスクトップ・プリンタにドロップしたときに、 clip2gif がそれぞれのファイルごとに印刷ダイアログを表示してくれるの で、最初のページだけを印刷するのかをその都度指定させてくれるのだ。

イメージの問題点 -- Snapz Pro は当面の必要を満たしてはいたが、し かし理想的とまではいかない。これに最も望みたい機能は、自動的に名前 や番号をつけるためのそのパターンのオプションである。基本的な機能は 備わっているが、足りないのは、ユーザーにもっと便利なパターン、例え ば“図 23-12”などのように指定させてくれるためのインターフェースで ある。

また、いらだたしいのは、スクリーンショットがアップルメニュー・フォ ルダの中の Screen Snapz フォルダに必ず格納されてしまうことだ。筆者 はハードディスクに特定の用途に応じたパーティションを設けているので、 ある場所に強制的にファイルが保存されるのを好まないのであって、特に システムフォルダ内はなおさらである。1 章分のスクリーンショットを撮 り終えるたびごとにハードディスクの適当な場所にそれらをコピーしなけ ればならなかった。格納先となるフォルダは設定可能であるべきだろう。

最後に、スクリーンショットを同時に 2 つ以上の場所に送る機能があれば 良いと思った。スクリーンショットを印刷するのと同時にファイルとして 保存できたり、また、とりわけ Snapz Pro に 1 ページに収まるよう大き さを合わせ同時に自動的にページのフッタにファイル名を印刷させる、な んてことができたならば。恐らくこれは望み過ぎだろうが、作者達が柔軟 性の大切さを理解してくれたらと思う。

カメラを選ぶ -- Snapz Pro をおよそ 1 か月間使い、80 枚以上のスク リーンショットを撮ってみて、Ambrosia の Web サイトを通じ 20 ドルの シェアウェア料金を気持ちよく支払うことができた(Snapz Pro は 15 日 間使用すると使用した期間と撮影した枚数を教えることで料金を支払うよ う注意してくれるのだが、料金を支払ってしまった今となってはこの注意 表示が無いのがむしろ残念である。何枚のスクリーンショットを撮ったか をいつも把握しておきたいからだ)。クラッシュの問題が起こることも無 く、またファットバイナリであることから、その性能は Power Mac 8500 上で常にすばやいものであった。

Mac OS の標準スクリーンショット機能(Command + Shift + 3 を押して起 動する、Mac OS 7.6 ならば Command + Shift + 4 で選択範囲の撮影やウィ ンドウの撮影もできる)に満足していないのなら、Snapz Pro は一見に値 する。それは信頼できるユーティリティーで、シェアウェアとして有能な プログラムの素晴らしい一例である。


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