TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#374/07-Apr-97

今週は、インターネット業界の新会社 WebTV 社を買収するという Microsoft 社の発表、Pentium をエミュレートする Connectix 社製の Virtual PC の発表、そして Apple 社の Type 11 のエラーを一応撲滅して くれる Mac OS 7.6.1 アップデートの無償配布開始といった嬉しいニュー スをお伝え する。そのほかでは、Akimbo 社製 Web サイト作成ツール Globetrotter をレビューした Tonya の記事を載せている。また、 StarNine 社が新たに TidBITS のスポンサーに加わってくれた。

目次:

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今回の TidBITS のスポンサーは:


MailBITS/07-Apr-97

(翻訳:松岡 文昭 <mtokfmak@mxa.meshnet.or.jp>)
(  :小川 浄 <HGB00351@niftyserve.or.jp>)

StarNine Technologies 社が TidBITS のスポンサーに -- 我々は、新し いスポンサー StarNine Technologies 社を歓迎できることをとても嬉しく 思っている。読者の多くが知っているように、StarNine は、人気の高い Macintosh用 Web サーバとメーリング・リスト・サーバ −WebSTAR と ListSTAR −や、いくつかのメール・ゲートウェイと Quarterdeck Mail (かつての Microsoft Mail)を作っている。StarNine を我々にとり本当 に有名にしたのは、他の製品でなく、WebSTAR とその後の ListSTAR であっ た。

WebSTAR は Chuck Shotton 氏作のシェアウェア MacHTTP として始まった。 Chuck が、StarNine が MacHTTP を購入し、それを WebSTAR と改名すると 発表した時、我々は心配した。全てのシェアウェアが商業ベースへの移行 を成し遂げられるわけではない。だが、Chuck と StarNine は、WebSTAR を一流の Mac Web サーバにし、特徴と性能を持続して押し上げる事に成功 した。

WebSTAR が重要であるのと同じく(TidBITS が我々の Web サーバ用に使用 している)、1996 年 8 月、ライス大学が TidBITS メーリング・リストの ホストであった老化した IBM のメインフレームを閉鎖した時、ListSTAR が我々を救ってくれた。我々は ListSTAR が動いている Power Mac 7100 に全リストを移し、それ以来は(カスタム FileMaker データベースととも に)順調に動いている。その TidBITS リスト上に 46,000 以上の人々が 載っていることを考えると、ListSTAR は、Macintosh がシリアスなイン ターネット用サーバマシンであるという事実を、証明している。

1995 年 9 月、今では苦境に立たされている Quarterdeck Corporation 社 が StarNine を買収し、当初は相乗効果的な動きのように思えた。それに よる進展はほとんどなかったが、StarNine は 100 % 子会社として存続し ており、独自で成長をしている。StarNine が、TidBITS やその他の Info-Mac Digest のような Macintosh リソースのスポンサーとして、イン ターネット・コミュニティーをサポートしているのを見ることを、我々は うれしく思っている。 [ACE]

Microsoft 社が WebTV 社を買収 -- 1997 年 4 月 6 日、Microsoft 社 は、テレビでネットサーフィンができる WebTV セットトップボックス ( TidBITS-367 を参照)のメーカー WebTV Networks 社を、4 億 2,500 万ドル株式対現金という驚くべき取引で 買収すると発表した。MSN や MSNBC のような取り組みで、既にコンテンツ・プロバイダーである Microsoft に、WebTV は、出現をはじめたオンライン消費者エレクトロニ クスマーケットでも強い足場を与えるであろう。そして−多分もっと重要 なことに−セットトップボックス・デザインとソフトウェア技術に関連し た主要特許を Microsoft にコントロールさせるかもしれない。 [GD]

<http://www.sjmercury.com/business/webtv.htm>

Mac の中に PC -- いや、おくればせながらのエイプリルフール・ジョー クではない。デスクの上の Mac を生き長らえさせ、必要なときに PC 用ソ フトウェアを走らせる方法のことである。RAM Doubler のメーカー Connectix 社は Virtual PC を発表した。Virtual PC は Pentium ベース の PC をエミュレートする Mac 用ソフトウェアである。Virtual PC は OS ではなくプロセッサをエミュレートするので、現在入手可能なバージョン の DOS、Windows 3.1、95、NT、さらに NeXT OpenStep と OS/2 を Mac 上 で走らせることができる、とレポートされている。また SoundBlaster Pro や Ethernet、プリント、モデムといった PC の中核オプションもサポート される。Virtual PC は 7月には出荷され、System 7.5 を搭載したすべて の Power Mac で走らせることができる。このマーケットには Insignia 社 の SoftWindows などのエミュレーションやハードウェアカードのような手 法もすでに存在しているが、筆者は Virtual PC がエミュレーションマー ケットに新風を吹き込むことを期待している。Connectix -- 800/950-5880 -- 415/571-5100 -- 415-571-5195 (fax) <info@connectix.com> [TJE]

<http://www.connectix.com/connect/CVPC.PR.html>

Microsoft 社謝意を述べる -- Microsoft 社は TidBITS-372 でふれた 「Mac らしさ」調査に参加した TidBITS と Evangelist の読者たちに感謝 の意を表した。Microsoft 社は自社サーバに発生した障害にもかかわらず 一週間と半で、求めていた 10 倍以上のデータを収集した。そこには Mac のユーザがどんなことをソフトウェアに求めているのか、説得力のあるメッ セージが寄せられたという。みなさん、これは上出来である。TidBITS で は、調査結果の公表を Microsoft 社に働きかけることを検討している。調 査に参加する機会のなかった読者に、Microsoft 社はあらゆる自社製品ユー ザの意見をフィードバックさせる総合的な場を設けている。[GD]

<http://www.microsoft.com/regwiz/wiz6.asp>


Apple、Mac OS 7.6.1 をリリース

by Geoff Duncan <geoff@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <odaka@iprolink.ch>)

今日、Apple は Mac OS 7.6.1 をリリースした。これは Mac OS 7.6 のユー ザー向けに 4 つのディスクイメージ、PowerBook 3400 のユーザー向けに 5 つのディスクイメージ、それにフルバージョンの Mac OS CD-ROM と 3 種類の形態で供給される。ディスクイメージ版は Apple のインターネット サイトから無料でダウンロードできるが、CD-ROM 版(最新機種 Mac ユー ザー向け)またはフロッピー版のフルバージョンを入手するのはもう少し 面倒で、Apple の Mac OS Up-To-Date プログラム(800/335-9258)に電 話することになる。詳しくはオンライン版に付属している説明か、以下の URL を参照していただきたい。

<http://support.info.apple.com/ftp/7.6.1.html>
<http://www.macos.apple.com/macos/releases/fulfillment.html>

Mac OS 7.6.1 のオンライン版は、約 6.5 MB の net install またはディ スクイメージで供給されている。7.6.1 ディスクイメージは Apple の新し い NDIF フォーマットになっているので、新たに改訂された DiskCopy 6.1.2 を使う必要がある(これ自体が 1.1 MB のダウンロードだ)。 ShrinkWrap などのユーティリティはまだ Apple の新フォーマットをサポー トしていない。net install 版を使うには DiskCopy は必要ない。

<ftp://ftp.info.apple.com//Apple_Support_Area/Apple_SW_Updates/US/Macintosh/Utilities/Disk_Copy_6.1.2.sea.hqx>

今のところ、Mac OS 7.6.1 Update は U.S. English 版のシステムソフト ウエア用しか提供されていない。ローカライズされたバージョンは 90 日 以内に用意される予定だと Apple は述べている。

で、何なわけ? Mac OS 7.6.1 は基本的には新しい Apple 製ハードウエ ア、たとえば PowerBook 3400、Power Mac 4400、5500、6500、7300、 7600、8600、9600 といった新機種をサポートするためのマイナーアップグ レードだということができる。Mac OS 7.6 以降の新たな機能やコンポーネ ント、Open Transport 1.1.2 や Macintosh Runtime for Java などは含ま れていない。だが、Mac OS 7.6 ユーザーには嬉しい細かなフィックスも行 われている(Mac OS 7.6 の詳細なレビューについては、 TidBITS-363 を ご覧いただきたい)。まだ Mac OS 7.6 を持っていない方は、7.6.1 のフ ルバージョンを買わない限り、Mac OS 7.6.1 にはアップグレードできない ことをお忘れなく。

例のタイプ 11 のエラーのこと -- Mac OS 7.6.1 についてのビッグ ニュースは、Power PC ベースの Macintosh でほぼすべてのタイプ 11 エ ラーを撲滅したということで、これは一瞬すばらしい快挙のように見える。 残念なことに、ディスカッションフォーラムや一部の報道では、Mac OS 7.6.1 が以前のリリースと比べて安定性の面で格段の進歩を遂げたという 風に誤解して伝えられている。

実のところは、Mac OS 7.6.1 以前、ほとんどの PowerPC ネイティブコー ドのクラッシュはタイプ 11 のエラーと表示されていた。これは単に一般 的な回復不能なエラーを意味している。多くの場合、Macintosh にはエラー の性質をもっと正確に説明する別のコードがあったのだが、クラッシュが PowerPC コードで発生し、Mac 自身もそれ以上正確なことを言えなかった ため、ユーザーは 11 という番号を見ることになっていたのだ。Mac OS 7.6.1 で大きく変わったことは、PowerPC コードで発生したエラーが 正しい エラーコードとして表示されるようになったということだ。だか らといって突然クラッシュが無くなるわけではなく、システムソフトウエ アがクラッシュを正確に報告することができるということを意味する。

だから? もし依然としてクラッシュが発生するのであれば、正しい番号が 表示されたからといって何の役に立つのだろうか? 違いは、Mac がエラー をどう処理するかという点に現れる。MacsBug のような低レベルデバッガ がインストールされていない限り、タイプ 11 のエラーが発生したらただ ちにリスタートする以外ない。ほかのプログラムで行っていた作業を保存 することもできないのだ。Mac OS 7.6.1 では、ほとんどの場合、このエ ラーは問題を起こしたアプリケーションを終了する(おなじみの“アプリ ケーションは予期せず終了しました”というダイアログが表示される)だ けで、完全なリスタートを強いられることはない。このようなエラーの直 後には Mac をリスタートするべきではあるが、その前にほかのアプリケー ションでの作業を保存したり、ディスクをイジェクトしたり、大事なファ イルをバックアップしたりすることができる。依然としてクラッシュであ ることには変わりはないが、多くの場合はそれほど悪性のクラッシュでは なくなるのだ。

ほかには何が? Mac OS 7.6.1 には、Code Fragment Manager を必要とす る Cyberdog、Microsoft Internet Explorer 3.0.1、AOL 3.0、それに LaserWriter 8.4 といったプログラムを 68K Mac で動作させるための CFM-68K 4.0( TidBITS-369 参照)が同梱される。CFM-68K は重大な問題 を引き起こす可能性があったため、Mac OS 7.6 からわざわざ外されてい た。その結果、68K Mac ユーザーはアップグレードを控えることになって いた。CFM-68K 4.0 が Mac OS 7.6.1 に同梱されたことにより、Apple は すべての 32 ビットクリーンな Mac(Mac IIci 以降)で動作する、ほぼ同 一の機能を持った一つだけのシステムソフトウエアを得ることができる。 Mac OS 7.6.1 には高速 IDE CD-ROM ドライブのサポートを追加した Apple CD-ROM 5.3.3、Apple System Profiler 1.1.4、Apple Video Player 1.6 (スクリプタブルになった!)、それに改良された PowerBook PC カード用 ソフトウエアも含まれている。

Mac OS 7.6.1 には ObjectSupportLib 1.2 というライブラリも含まれてい る。このファイルは少しでも Macintosh でスクリプティングをしている か、Mac でスクリプトを実行する人には重要だ。過去数ヶ月の間には、 ObjectSupportLib の新バージョンが出たり、出し直されたり、取り下げら れることが相次ぎ、大変な混乱さえ引き起こしていなければ笑い話になる ような事態だった。詳しい情報は Apple Tech Note にすべて収められてい るが、結論としては ObjectSupportLib 1.2 を使うべきだということだ。 ObjectSupportLib 1.2 は Eudora や Internet Explorer といったサード パーティ製品の一部としても供給されている。

<http://www.devworld.apple.com/dev/technotes/tn/tn1095.html>

その他の変更点 -- Mac OS 7.6.1 にはもう少々の変更やバグフィックス が加えられている。この中には Process Manager のバグフィックス(とよ り大きなメモリ割り当て)、IDE ドライバサポートの改善、一部の Performa モデルでのシリアル通信の改善、7.5.5 には盛り込まれていたも のの手違いから Mac OS 7.6 からは外されていた DR (68K)エミュレータ のフィックスがある。さらに、今でも 400K の MFS フロッピーを使わざる をえない人は、Mac OS 7.6.1 ではフロッピーがリード・オンリーになって しまうことに気が付くだろう。Apple は 7.6.1 でアップデートされたコン ポーネント、変更点、既知の不具合を Tech Note ですべて記述しているほ か、LaserWriter 8.3.4 の問題の回避方法(8.4 を使うべし)、DayStar 040 アップグレードカードと仮想メモリを同時に使用する方法なども紹介 されている。

<http://www.devworld.apple.com/dev/technotes/tn/tn1096.html>

PowerBook 3400 を持っていて、Mac OS 7.6.1 と Open Transport 1.1.2 の両方を使いたい場合には、まず System 7.6 に Open Transport 1.1.2 をインストールし、それから 3400 用の 7.6.1 アップデートをインストー ルする。こうしないと、一部のネットワークリソースの正しくないバージョ ンがインストールされてしまうことになってしまう。

7.6.1 をインストールすべきか? もし既に Mac OS 7.6 か、Mac OS 7.6.1 でサポートすることが明言されている新機種を持っているなら、Mac OS 7.6.1 をゲットするのは急は要さないとしても多分正解だろう。同様に、 旧型の 68K マシンから新機種まで幅広い Macintosh をサポートする必要 があり、どのマシンでもきちんと動く一つだけの網羅的なシステムリリー スが欲しくて、既に Mac OS 7.6 にアップグレードしている場合にも、検 討に値するだろう。このいずれでもなく、派手な新機能が欲しいのなら 7 月にリリースが予定されている Mac OS 8(Tempo)を待った方が賢明かも しれない。


Globetrotter:輝きと戸惑い

by Tonya Engst <tonya@tidbits.com>
(翻訳:尾高 里華子 <odaka@iprolink.ch>)
(  :村上 浩 <murasan@yk.rim.or.jp>)
(  :亀岡 孝仁 <tkameoka@fujikura.co.jp>)

Globetrotter Web Publisher 1.1.1 は、ワープロ FullWrite を発売して いる Akimbo Systems 社製の Web オーサリングツールである。これは、 ワープロ機能と HTML 編集機能を掛け合わせて出来上がった出色の製品で あるが、使う者は戸惑いを禁じえないだろう。

<http://www.akimbo.com/>

言い訳 -- Globetrotter 1.0 出荷直後の 1996 年末に、このレビューを TidBITS に載せるはずだったのだが、あいにく、私が手間取ってしまって いたのだ。それは、Modern Memory Manager をオフにすると私の Macintosh がクラッシュするという妙なトラブルに見舞われたこと(詳しくは後述)、 Globetrotter のマニュアル関連の問題、プレリリース版で発表されていた 通りのもの(書類を紙に印刷したい人と Web サイトで見ることができるよ うにしたい人の両方を対象にした製品)になると私が間違った予測をして いたことが原因である。

そうではなく、ワープロツールを使って Web ページを作りたいという人に 焦点をあてているということがだんだんと分かったきた。Globetrotter は、紙の書類を作るものとしてもまあまあ使い物にはなるが、これは FullWrite と似通った製品であるということに由来しているからにすぎな いのだ。

悩まず、楽しく -- Globetrotter の新規文書を開くと、豪華なメニュー が目に留まるだろう。キーボードショートカットがちゃんと割り当てられ ているものもあるが、テーブルやフォームのメニューを筆頭に割り当てら れていないものも多い。

Browser View と Page View を切り替えるためのボタンにお気付きになる だろう。Browser View では、文書が Web でどんな風に表示されるかを見 ることができるが、手を入れることはできない。文書の編集は Page View の方で行う。Page View には(2 ページを見ることができるようにするな どの)追加ボタンがあり、表示を変更できるようになっている。Page View から Browser view に切り替えようとすると、最初の 5 回中 4 回はマシ ンがクラッシュしたので、おおむね Page View の方を見ることになった。

Globetrotter では、単に文字を入力するだけで Web ページを作成するこ とができる。テキスト内でのペーストや、XTND 経由でファイルをインポー トすることも可能である。また、ボールド、スモールキャピタル、取消線 の類のフォーマットを使ったり、フォントやサイズの変更したり、さらに は、テキストの色を変えることもできるのだ。Globetrotter は、ワープロ 用語を使ってフォーマットを扱うので、<EM> や <STRONG> といったものを 見ることが全くない。

Globetrotter が、どのようにフォーマットを HTML に変換するかをコント ロールする(時としては、予想する)術はほとんどない。HTML に関心のな い方にとっては、見栄えのする Web ページができるので気にすることもな いだろう。たまにはフォーマットをカスタマイズすることもできる。例え ば、<FONT FACE> をオフにして、HTML にフォント指定が反映されないよう にするとかだ。

Globetrotter は、一見ワードプロセッサのようである。時としてはよい事 もあるが、どうも妙である。これは Globetrotter が、スクリーンメタファ ではなく、紙のページメタファで機能するからである。テキストを数セン チ入力した後に改ページを入れたとしたら、用紙の残り部分に大きな余白 ができることになる。この余白部分は、Globetrotter では見えるが、Web には現れない。それに、画面に合わせた好みのサイズにページを設定をす ることもできない。

悲しいことに Globetrotter の Web 出版機能の大部分が、モーダルでタブ を多用した Web Setup ダイアログボックス経由でしかアクセスできないよ うになっている。この Web Setup で、ほとんどの Web 関係の細かな設定 を行う。例えば、最近変更した部分を色付きで表示するか“NEW!”グラ フィックを使うかどうかとか、デフォルトの区切り線の表示、ナビゲーショ ンバーの設定などだ。

スタイルシートへ侵入 -- PageMill ぽい製品を圧倒したのは、Web で表 示されるテキストにスタイルを反映できるということだ。例えば、 “Contents”と呼ばれるパラグラフスタイルを用いて、メイントピックを デザインすれば、手っ取り早くサイトを作ることができる。サイト自体は ひとつの Globetrotter ファイルであるが、各トピックには <H1> のヘッ ドタグが付いて、自動的にそれぞれ別の Web ページの先頭に表示される。

Contents スタイルを使ってあるトピックは、各ページのナビゲーション バーに表示できる(テキストによるバーまたは、Globetrotter に付いてい る限られたボタンセットでの表示)。メイントピックの方は、単独のペー ジや最初のページに黒ポチ付きのリストとして表示することもできる。し かし、このリストをカスタマイズすることはできないし、小見出しを付け ることもできない。

リストやナビゲーションバーは、Globetrotter では見ることはできない が、プレビューするか、HTML にエクスポートしたときに現れるようになっ ている(Akimbo 社は、“エクスポート”という言葉の代わりに“パブリッ シュ”という言葉を使いたがる)。スタイルが Globetrotter の最も重要 な部分であると思うのだが、どうして Akimbo 社がこの機能をショートカッ トも割り当てずに、長ったらしいメニューの最後尾に追いやったのかが理 解できない。HTML に対応するスタイルのプレセットがついていたら便利に なるのにと思う。“Heading1”や“IndentedQuote”のようなスタイルは、 HTML タグにも割り振り易いし、ユーザーにも分かり易いだろう。それに、 タグが、見た目のことだけではなく、文書の中でテキストがどのような役 目をしているかという情報を持った体系のとれた文書を作成できるように なるのだ。

リンク -- Globetrotter は、リンク用のオプションが 貧弱である。リ ンクが張られたテキストには、点線が引かれているが、リンクされたテキ ストの辺りにマウスを動かしてもその URL を見ることはできない。その代 わりとして、そのテキストをダブルクリックして URL が入っているダイア ログを開くという仕掛けになっている。そのほかでは、リンク情報を一操 作で削除することができないし、頻繁に使用する URL や最近使った URL にアクセスする手だても用意されていないなどの問題がある。

Globetrotter に精通したユーザーであれば、スタイルを使ってサイト内の リンクを処理することができるが、Globetrotter がテキストに書かれてい る URL をリンクに変換してくれるし、自分で手作業でリンクを作成しても よい。手作業でリンクを作る場合は、リンクの始まりを表す絵やボタンを 選ぶことができる。リンクの始まりの意味を持つテキストは自動的にボタ ンに表示される。

Globetrotter にはリンクを確認する機能はついていないが、内蔵グロッサ リに URL を入れておくことはできる。かぎ括弧内に URL の名前を入れれ ば(<<URLname>> といった具合に)、保存してある URL を使用することが できる。エクスポートの際に、Globetrotter が自動的にちゃんとした URL に置き換えてくれるのだ。URL の変更は、グロッサリに登録してあるもの を変更して再度エクスポートするだけでよい。

グラフィック -- Globetrotter のグラフィック関連機能は非常に豊富で あり、中には珍しいものもいくつか含まれている。例えば、Zapf Dingbats や Symbol のようなフォントを使って書かれたテキストは、HTML にエクス ポートするとグラフィックに変換される。さらに、区切り線を個々にカス タマイズすることができるし、Web Setup ダイアログボックスで設定する こともできる。このダイアログボックスを使えば、ごく普通の区切り線の 代わりにグラフィックを当てることもできる。

Globetrotter では、PICT、PNTG、JPEG、GIF 形式のファイルを扱うことが できる。グラフィックは、書類からリンクを張ってもよいし、書類内に組 み込んでもよい。透かし機能やインターレース機能もついており、画像に <ALT> タグを付けてもよい。グラフィックのサイズは、高さや幅のサイズ か、拡大・縮尺率を入力して変更するようになっており、グラフィックの 端をドラッグしてサイズを変更することはできない。グラフィックをバラ グラフ内のテキストに揃えることはできるが、これを Page View で表示す ることはできない。また、グラフィックの右か左に置いたテキストをワー ドラップさせるようなよくあるオプションがついていない。

位置揃え機能のレベルが低いのには失望したが、イメージマップはクライ アント側、サーバ側双方のオプションを完璧にサポートしており、よくで きている。イメージマップ用のエディタは(ズームはついていないものの) 通常の機能が揃っていて役に立つ。さらに、あらゆるイメージマップ部分 に <ALT> タグを設定でき、希望とあらば、イメージの下にテキストベース のナビゲーションバーを置くこともできる。

Globetrotter のサイドバーには、グラフィックもしくはテキストの吹き出 しを付けることができる。ページに置いたサイドバーの回りにワードラッ プするテキストがくる。Web にパブリッシュする際に Globetrotter のサ イドバーの中身をグラフィックに変換することができ、見た目の派手なヘッ ドラインを作成するのに向いている。サイドバーは、変換しないでおくこ ともできるし、別途リンクの張ったページとしてパブリッシュすることもで きる。リンクの張られたページは、それぞれの最初のパラグラフそのまま のタイトルが付けられ、カスタマイズできない。こういった作業をするの にサイドバーを使うとはだれも思い付かないので、ワープロのコンセプト を妙に感じるもう一つの例だろう。その代わり、やみくもにテキストがグ ラフィックになったり、リンクがページコマンドに変換されるのを目にす ることになるだろう。

フォーム -- Insert Form Here を選択すると、Globetrotter はダイア ログボックスを表示し、フォームと Web サーバ間での情報交換の仕方を聞 いてくる。CGI ならばどんなものでもその URL を入力できるし、結果を メールで送信したり、タブ区切りのテキストファイルとして保存するため の拡張オプションも設定することができる。オプションには、電子メール のサブジェクト、フォームに記入してもらった後に表示する返礼用ページ などの設定もある。Globetrotter が作成するこれらオプション用の Perl スクリプト(Perl 4、Perl 5、MacPerl のいずれか)は、多くのサーバ上 で動作するはずである。ただし、Macintosh 用の Web サーバを利用してい る場合、電子メール機能については AppleScript で設定しなければならな い。

フォームの構成要素はメニューから選択して挿入することが可能で、大部 分の要素の場合、その挿入時には詳細設定用のダイアログボックスが表示 される。各要素ごとに、オプションの返礼用ページ上にその値を表示する かどうかを設定できるようになっている。残念ながら、フォーム構成要素 の挿入については、それ用のツールバーもキーボードショートカットも用 意されていない。フォーム構成要素のクリップファイルが入った Form Toolbar フォルダ(Extras フォルダの中にある)なるものは用意してある が、そこからドラッグして挿入する方法は、メニューから選択して挿入す る方法ほど速くはないのである。

一般的 Web 出版機能 -- 上記でとりあげた機能以外にも、Globetrotter は各ページのダウンロードに要する時間を推定してくれる Get Info ダイ アログボックスを備えている。Java アプレットを組み込んだり、プラグイ ンタイプのオブジェクトを埋め込むオプションもある。さらには、ブラウ ザのウィンドウ下端にスクロール表示される目障りなテキストを作成する ことも可能だ。もう一方の機能一覧チェックマークの中には、リモートサー バにアップロードを行うための Post コマンドも含まれている。

テーブル -- HTML テーブルもサポートしていて、垂直方向の位置揃え、 カラー、セル枠と文字との間隔など、数々のテーブル用オプションを設定 できる。書式の設定は簡単だが、Table Format モーダルダイアログボック スには Apply ボタンがないため、別のテーブル書式を試すためには非常に 多くのマウス操作が必要だ。垂直方向の位置揃えのように、セル書式のな かにはテーブルの上にあるルーラー中のタブマーカーをダブルクリックし ないと設定できないものがいくつかある。また、セルを水平方向に選択し て、その選択範囲の書式を設定(例えば、ボールドなど)することはでき るが、垂直方向に選択した全範囲をワンステップで書式設定することはで きない。テーブルの HTML へのエクスポートについては、うまく処理して くれる。その上、テーブルのタグに対応していないブラウザのことを考慮 して、それ用の補足キャラクタまで挿入してくれるのだ。

使用中、テーブルのセルを正しく選択できなかったり、選択解除できない という厄介な問題に遭遇した。結局、Akimbo 社は、この問題を選択色に黒 を使ったときに起きる不具合であるとしている。

文書作成ツール -- Globetrotter には便利な文書作成ツールが山ほど用 意してある。スペルチェッカ は URL と電子メールアドレスを無視するよ うになっており、そのコントロールのほとんどすべてをキーボードから行 うことができる。ある特定の文書の文脈上でのみ正しいワードであること を示すための Valid in Doc なるコマンドもある。シソーラスは便利で使 いやすく、感心させられた。グロッサリは“自動訂正”機能と頻繁に使う テキストを保存しておく従来の機能とを兼ね備えており、長いテキストで も保存可能になっている(同様の機能には 32K のサイズ制限を受け継いで いるものが多く、しばしばこれが頭痛の種となるのだが、同社によれば、 ここでは 32K 以上のテキストでも扱えるとのこと)。

Find ダイアログボックスは十分な能力を備えていて、書式情報に基づいた 検索や置換を行うことができる。また、ワイルドカード文字にも一部では あるが対応している。どこにも記述はないが、これは重要な機能である。 Option + X が任意のワードを意味し、Shift + Option + ? が任意の一文 字を意味することに気がつく人などまずいないだろう。

要するに、ほとんどの HTML エディタよりも、Globetrotter が提供する文 書作成ツールの方が充実しているということだ。数字順やアルファベット 順でのソートもできるし、Copy Append や Paste Swap などのクリップボー ド関連のコマンドも用意してある。また、日付変更など、更新を行う要素 を挿入するための変数も備えている(プリントマージを行うためのものと 思われる機能もあるが、これに関する記述はどこにも見当たらない)。

しかしながら、Globetrotter には 2 つの重要な文書処理機能が欠けてい る。ひとつは複数回のアンドゥ機能である。この機能の必要性を私は日に 日に強く感じるようになっている。もうひとつは、インターフェース中で 目を引く Globetrotter のアウトライナーについてで、Web 上のベーシッ クなリスト程度のものを作成するだけならこれで十分なのだが、文書全体 のアウトラインには適していないのだ。Globetrotter のスタイルは HTML タグに簡単にリンクできるようになっており、もしこのスタイルにアウト ラインレベルもリンクできるようになっていたら、もっと磨きのかかった アウトライナーになっていたのではないかと思う。

弱いドキュメンテーション -- Akimbo 社の FullWrite をすでに知って いる人でなければ Globetrotter を覚えるのに苦労するであろう、また FullWrite の愛好者であっても Globetrotter の特異な機能には見当をつ けるだけでも苦労するものがあるであろう。Globetrotter の細部まで覚え るのは大変で、まるでいい成績をくれずそれでいて教科内容にはほとんど 触れずに授業する先生と何とか会話しようとするようなもどかしさがある。

インターフェースそのものも自明ではない;ツールバーはないしそれに類 した助けもない、バルーンヘルプもなければ助けになる会話型コメントも ない。Answer Guide と称する Web 型のドキュメンテーションの中身は約 10 ページある:Using Tables、Creating Forms、Formatting 等々、そし て各頁は盛り沢山の Q & A で埋まっている。しかし詳細な目次もなければ 索引もない。私は全文に目を通したしかなりの部分は何度も読んでみた。 それでも、多くの場合引用されている参照文献から見当をつけてどうやれ ばいいかがわかる程度であった、それもようやく印刷した FullWrite のマ ニュアルを見るか Akimbo に直接聞くかして。

メモリ狂気 -- Globetrotter を Power Mac 上で Mac OS 7.5.5 以前の バージョンで使おうとすれば Modern Memory Manager を on した状態では 動かない。現在市場にでている Macintosh プログラムの中でも Globetrotter にだけある変な問題である。Akimbo はクラッシュを避ける ためにはこうせざるを得ない、そして問題は自分にではなく Apple 側にあ るのだとしている。私はこれにはどうしようもなくイライラさせられた。 と言うのも私の Mac は Modern Memory Manager を on にしない状態では しょっちゅうクラッシュしたし、通常の故障診断でもこの問題は解決でき なかったから−結局 Mac OS 7.6 にアップグレードするまでは。

多すぎる機能, 少なすぎるドキュメンテーション -- Globetrotter は ワードプロセシングと Web サイトツールとの奇妙な組み合わせである。あ たかも Akimbo は FullWrite から盛り沢山の機能を移植したにもかかわら ず、自分で創り出したタコを自ら検証し不必要な足を切り落とすと言う精 神を忘れてしまったかのようだ。この印象はかなりの部分インターフェー スのせいである。というのは、あまり重要とも思えない見開き表示とかア ウトラインのオプションがあるが、それもWeb オプションとして重要なス タイル及び機能が融通のきかない Web Setup dialog を通してか使えない という犠牲のもとでである。

Web ページを制作するのにワードプロセシングの環境下でやることに異論が あるわけではないが、個人的にはワードプロセシングのあまり意味のある と思われない様式を押しつけられるのは煩わしいと感じた。Globetrotter が Web 出版のために作られたとしたら、そうは見えない。文書制作画面は 一枚の用紙のようにではなくもっとスクリーンらしく見えるべきだと思う。 制作文書の編集はプリントプレビューのような状態でではなく Web 画面に 近い状態で出来るべきである。ページ間の関係をより容易に理解するため にも、サイトは全体像をオプションでグラフィカルに表示するか、系列的 にに表示するか出来るべきである。

もし読者が FullWrite のユーザーであり HTML の基礎を勉強するのに興味 が無いのであれば、Globetrotter は良い選択かもしれない。しかし大多数 の人にとっては Globetrotter の次のリリースの方がずっと良いであろう、 その時までには、そして願わくば、Akimbo もインターフェースを改良し、 そしてより完成されたより整理されたドキュメンテーションを提供してく れるだろう。

<http://www.akimbo.com/globetrotter/download.html>

Akimbo によれば、Globetrotter を走らせるためには最低 68020- Mac 上 で System 7.0 が必要である、しかし 68040 または PowerPC ベースで System 7.5 以上 の方が良いとしている。さらに4 MB 空き RAM と 1 から 5 MB のディスクスペースが必要である。Akimbo は Web でダウンロードす る場合には Globetrotter を 99 ドルで販売している。1.9 MB のデモも Globetrotter Web サイトで入手できる。

    Akimbo Systems -- 800/375-6515 -- 617/776-5500 -- <sales@akimbo.com>

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