TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#414/26-Jan-98

Mac OS 8.1 へのアップグレードを考えている?Geoff Duncan がその決断 をお手伝いする記事を二つ書いている。最初は Mac OS 8.1 での機能強化 のほとんどについて触れており、次に改良されたディスクフォーマットで 以前は HFS Plus として知られていた Macintosh Extended Format に絞っ てかっちりと論じている。他のニュースでは、Netscape 社が Navigator を無料にしたこと、海外のユーザーにとっては痛手となる、Eudora Pro 4.0 for the Mac の国際版は出ないであろう事。

目次:

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MailBITS/26-Jan-98

(翻訳:亀岡 孝仁 <tkameoka@fujikura.co.jp>)

Netscape 無料化 -- Web ブラウザ市場での Microsoft Internet Explorer の成長に待ったをかけるため、Netscape Communications 社は先 週 Netscape Navigator と Netscape Communicator Standard Edition を 無料にすると発表した (Netscape Communicator Professional Edition は 29 ドル) 。これと関連して同社は "無制限配布" プログラムを開始した、 これはコンピュータメーカー、インターネットサービスプロバイダー、コ ンテンツプロバイダー、出版社やその他の者が Netscape Navigator と Communicator を無料でダウンロードしたり再配布したりできるようにした ものである。さらに Netscape 社は Netscape Communicator の次期バー ジョン用のソースコードも改造用、再配布のために無料でインターネット 上で公開すると発表した。これらは大胆な決定だが、業界の巨人 Microsoft 社に直接対決先として攻勢をかけられた会社としてはやむを得ないのであ ろう。 [ACE]

<http://www.netscape.com/communicator/free_faq.html>
<http://www.netscape.com/newsref/pr/newsrelease560.html>
<http://www.netscape.com/newsref/pr/newsrelease558.html>

Eudora Pro 4.0 for Macintosh 海渡れず -- Qualcomm 社は Eudora Pro 4.0 for Macintosh は北米の外に対して出せる見込みはない事を確認した。 問題はこれらの市場では Qualcomm 社は地元の“再出版会社”と契約をし ており、そこが現地化作業、営業、販売促進、そして流通まで責任を有し ている。これまでの所、誰も Macintosh 版に努力と資源を費やそうとして いない、Apple 社の売上げの 50% は海外での売上げであると言う事実にも かかわらずコストに見合うだけの需要がないとして。さらに問題を悪化さ せているものに Qualcomm 社の PGP ライセンス契約により国内向けのすべ ての Eudora Pro は PGP とバンドルされていなければならない事がある; つまり PGP は強力な暗号化を含んでおり、国際的に輸出できないとされて いるからだ。話によれば、もし全ての再出版会社との契約が完了すれば、 Qualcomm 社はこれらの会社のコンタクト先を公にするので、Macユーザー は(Macintosh 版をサポートするよう)請願書を送ることができる。Eudora Pro 3.1 ( TidBITS-357 のEudora Pro 3.0 の記事参照)は引き続き国際 的に入手できる。 [ACE]

<http://www.eudora.com/international/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=00800>

Open Transport 1.3 -- Mac OS 8.1 は Apple 社のアップデートされた ネットワークソフトウェアである Open Transport 1.3 を含んでいる。OT 1.3 は全体的な性能向上、シリアルポートの認識向上 - 特に PC Card モ デムに関して - そして数多くの小改善とバグ対策がなされている。OT 1.3 で新しい事、うれしい事は単一接続マルチホーミングである、これは Mac の Ethernet ハードウェアが同時に一つ以上の IP アドレスに応答できる ことである(例えば、一つのサーバがそれぞれが固有のドメイン名を持っ た複数の Web サイトの運用がよりたやすくできる)。以前はこの機能は MkLinux, WebTen, やほかの Unix に似せた製品を使った Mac でしかでき なかった。もっともモデム接続でインターネットを使うユーザーにとって は単一接続マルチホーミングはどうでもいいかも知れないが、インターネッ トサービスプロバイダーでインターネットサーバを Mac をホストにしてい る業者にとってはこれは商売に直接関係するほど重要であろう。

まず管理者は単一接続マルチホーミングを IP Secondary Addresses と呼 ばれるテキストファイルを Preferences フォルダに作成することで達成で きる - そしてそのフォーマットは OT 1.3 の Technical Info 情報に含ま れている。しかしながら、OT が複数の IP アドレスをサポートするからと いってインターネットアプリケーションもそうだというわけには行かず、 大抵のインターネットサーバーアプリケーションは手を加えなければ働か ない。(QuidProQuo 2.1 と WebSTAR 3.0 の公開ベータ版はすでにサポー トしている。)単一接続マルチホーミング技術そのものは新しくもありま た歓迎すべき機能ではあるが、HomeDoor とか ClearlyHome とかの別の選 択肢を商売から蹴落としてしまう程のものではない;OT 1.3 は管理者が IP アドレスに余裕があることを想定しており、またこれらの製品が提供す る特別の機能も持っていない。[GD]

<http://www.starnine.com/webstar/webstar.html>
<http://www.socialeng.com/>
<http://www.opendoor.com/homedoor/>
<http://www.clearink.com/fun_stuff/plugins/clearlyhome/>


Mac OS 8.1 見えざる部分

by Geoff Duncan <geoff@tidbits.com>
(翻訳:尾高 里華子 <odaka@iprolink.ch>)

Apple から Mac OS 8.1 がリリースされた。Macintosh コミュニティは新 しいコンポーネントについて噂しあったり、HFS Plus とも呼ばれたりする 新しい(オプションの)ディスクフォーマット Macintosh Extended Format を把握しようとしているところだ。HFS Plus については今週別記事扱いで 取り上げるので、ここでは 8.1 で新しくお目見えしたものやインストール の仕方の話をしよう。

HFS Plus 以外に何がある? Mac OS 8.1 では起動とネットワーク上での コピーが速くなる。Finder のリスト表示のソート順を逆にすることのでき る新コントロールが付いた(たとえば、日付の古い順に並んでいるものを 新しい順にする)。目立たないことだが、Finder に Apple イベントを送 る際に起るメモリのリークが減り、Mac OS 8.1 Finder のスクリプト操作 はさらにしっかりとしたものになった。

UDF(Universal Disk Format)CD-ROM や DVD-ROM ディスクといった新し いストレージメディアもサポートするようになった。UDF フォーマットの CD-ROM を使用するには最低でも 2 倍速の CD-ROM ドライブが必要となる。 DVD-ROM を搭載した Mac はまだ登場していないが、E4 社が Macでサード パーティの外付 DVD-ROM ドライブを使うための CoolDVD PCI カードのデ モを行ったらしい。

<http://www.e4.com/>

Mac OS 8.1 には新しい(または比較的新しい)システムコンポーネントが 多数付属している。Windows ユーザーとファイルをやり取りをする方には、 Windows 95 の長いファイル名を扱うことができ、PC ベースのリムーバブ ルメディアやディスクフォーマットの対応がぐっと向上した PC Exchange 2.2 は嬉しいものだろう。マシンのオーディオ入力ソースを即座に変更す ることのできる新しい SoundSource コントロールストリップモジュールと いうものもある。選択幅は Mac のハードウェア次第だが、通常はマイクと オーディオ CD または“なし”である。この“なし”は、Macのサウンド入 力自動モニタ機能がオーディオソフトウェアとぶつからないようにするの に利用できる。アプリケーション側でオーディオの入出力をさらにコント ロールできるようにもなっている。

そのほか付属されているものとしては、LaserWriter 8.5.1( TidBITS-406 の“ LaserWriter 8.5.1”を参照)、Open Transport 1.3(今週の MailBITS“Open Transport 1.3”を参照)、Apple CD-ROM 5.4.2、 AppleShare 3.7.4、内蔵 Ethernet ドライバのアップデート、Text Encoding Converter 1.3(詳細後述)、Monitors and Sound 1.3.3、 Macintosh Runtime for Java (MRJ) 2.0 がある。付属アイテムすべてが最 新バージョンというわけではない。たとえば、Apple Remote Access は 3.0 のクライアントおよびパーソナルサーバが市販されているのだが、Mac OS 8.1 に付いてくるのは ARA 2.1.1 クライアントだ。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04290>

市販バージョンには Location Manager 2.0.1 が付いている。Mac OS 7.6.1 に付いていたオリジナル版は、PowerBook がネットワークや印刷、その他 の設定など事前に設定していたものから切り替えられるようになっていた が、新バージョンではたいていのデスクトップマシンでも動作するように なった。Location Manager 2.0.1 は Mac OS 8.1 Update には入っていな いが、Apple 社のサーバからダウンロードできる。同じく、ハイエンドグ ラフィックカードのサポートが向上した QuickDraw 3D 1.5.3 も市販バー ジョンの Mac OS 8.1 と Apple のサーバにはあるが、Mac OS 8.1 Update には入っていない。

<http://support.info.apple.com/ftp/8.1us.html>
<ftp://ftp.info.apple.com/Apple_Support_Area/Apple_SW_Updates/US/ Macintosh/System/QuickDraw_3D/>

LocalTalkPCI という Open Transport 下で使用する PowerPC ネイティブ の LocalTalk ドライバも付属している。LocalTalkPCI のおかげで新 G3 システム上で元気のなかった LocaTalk のパフォーマンスは向上したが、 反面 Chooser から LocalTalk プリンタが消えてしまうことがある。そう いった時は、LocalTalkPCI 機能拡張をオフにすれば向上したパフォーマン スは失われるものの印刷はできるようになる。

Mac OS 8.1 の入手 -- Mac OS 8.1 の入手方法は二通りある。一つは、 Mac OS 8 オーナーのために用意された無償のオンラインアップデートを ダウンロードすること。アップデートは巨大な単一ファイル(15 〜 22 MB)と 13 個からなる小さめのファイルがあり、BinHex 版と MacBinary 版が用意されている。

<http://support.info.apple.com/ftp/8.1us.html>

もう一つは 2 月の初めに市販されることになっている Mac OS 8.1 CD-ROM である。Mac OS 8 オーナーは 19.95 ドルで購入できるが、販売店では通 常小売価格(予想価格は 65 〜 100 ドル)で売られることになる。また 2 月には Mac OS 8.1 がプレインストールされた Apple の新 CPU が出荷 されるだろう。

<http://www.apple.com/macos/8.1/upgrade/>

Mac OS 8.1 アップデートは U.S. 版の Mac OS 8 専用 である。それ以 外のバージョンのものは 4 月になると予想される。ただし、もう少し早く お目見えするバージョンもあるだろう。

動作条件 -- Mac OS 8.1 の動作条件は Mac OS 8 の時と変わりなく、12 MB 以上の RAM を実装した 68040 ベースまたは PowerPC ベースのマシン となっている。アップデートに必要なディスクの空きスペースはすでにど れだけの Mac OS 8 コンポーネントをインストールしているかによって変 わってくる。だが、アップデートの際に Mac OS 8 の入っているディスク に 40 MB 以上の空きスペースが必要になると覚悟していたほうがよい。幸 いその内の一部はインストール中だけ使われるものだ。

NuBus Power Mac にクロックチップアクセラレータを使用している方は Mac OS 8.1 をインストールまたはアップデートする時にはアクセラレータを外 さなければならないかもしれない。もしくは、アクセラレータのついた Mac を別のモデルであるかのように装ってくれるソフトウェアユーティリティ を試してみることもできる。私が試したところでは、成功したり駄目だっ たりだった。搭載 RAM が 16 MB 以下の PowerPC Mac をアップデートする 場合は、機能拡張を外して再起動する(起動時に Shift キーを押す)必要 があるかもしれない。

Mac OS 8.1 Update をインストールする -- Apple は Mac OS 8.1 Update を自己マウントディスクイメージの形で出しているので、ディスクイメー ジプログラムを使用する必要はない。(分割版をダウンロードした場合は、 繋ぎあわせる必要はないがすべてを同一フォルダに入れておかなければな らない。)ディスクイメージ(または、一番最初のアーカイブファイル) をダブルクリックするだけで、デスクトップにイメージをマウントするこ とができる。後は通常通りインストーラーを作動させればよい。

システムソフトウェアをアップデートする際のお決まり通り、アップデー トをかける前にシステムとデータの バックアップ を必ずとるように。 また、アップデート前に Mac OS 8.1 に付いてくる Disk Tools で起動用 ディスクを作っておくのも良いことだ。PowerPC マシン用には、Apple の FTP サイトの Mac OS 8.1 Update と同じ場所にある Disk Tools PPC ディ スクイメージをご利用いただきたい。(このイメージをフロッピーディス クにするには、Disk Copy 6.1 または ShrinkWrap 3.0 が必要。)68040 Mac には、Disk Tools 1 ディスクイメージを使わなければならないのだ が、市販バージョンの Mac OS 8.1 CD-ROM にしか収録されていないようだ。

Mac OS 8.1 インストール後、Open Transport 1.3 ライブラリ(および AppleTalk と TCP/IP コントロールパネル)が“ダメージを受けている” といってくるサードパーティのユーティリティがある。これは ファイルが 11 バイト大きくなっているためであり、Apple はこの問題に気がついてい るし、ファイル自体は正常に機能する。ResEdit やユーティリティプログ ラムを使ってファイルを直してあげる必要はない。

<http://til.info.apple.com/techinfo.nsf/artnum/n22142/>

相性 -- Mac OS 8.1 とソフトウェアの相性は総じて良いようだが、アッ プデートを少々と既知の問題を挙げておこう。また、MacInTouch、 MacFixIt、MRP の Mac OS 8.1 長編スペシャルレポートに総括的なリスト が出ている。

<http://www.macintouch.com/m81.html>

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04606>
<http://www.casadyg.aa.psiweb.com/downloads/updaters/>

<http://www.connectix.com/html/speeddoubler.html>

<http://www.asante.com/net_doubler/MACOS81.html>

<http://www.stclairsw.com/>

終わりに -- Finder アピアランスの設定が増えるといったような目に見 える新機能があまりないことにガッカリしている方もいるだろう。だが、 こういったギャップはサードパーティのユーティリティが埋めてくれる。 たとえば、Quadratic Software 社の CoolViews を使えば Mac OS 8 Finder のウインドウをものすごくカスタマイズできるし、デスクトップを模様替 えする評判のユーティリティ Kaleidoscope というのもある。

<http://www.quadratic.com/Cool/>
<http://www.kaleidoscope.net/>

新 Macintosh Extended Format は、大きなディスクに大量のファイルを入 れている方にはありがたいものかもしれないが、関連する諸問題(次の記 事を参照)に悩まされない環境でないかぎりは乗り換えないことをお薦め する。ただし、今回のアップデートはすでに Mac OS 8 を使っている方、 特に利用しているソフトをアップデートする必要がない方にはやっただけ のことはあるものだろう。Appleはアップデート料をとっていないし、バグ フィックスや新しいコンポーネントはインストールする手間をかけるだけ の価値はあるように思われるから。


Macintosh Extneded Format(HFS Plus)のすべて

by Geoff Duncan <geoff@tidbits.com>
(翻訳:西村 尚 <hisashin@axes.co.jp>)
(  :尾高 修一 <odaka@iprolink.ch>)

最も話題にされるが、最も理解されていない Mac OS 8.1 の機能は、 Macintosh Extended Format として知られる(以前は HFS Plus として知 られていた) オプションの 新ファイルシステムだ。Macintosh Extneded Format は、次第にガタがきている Apple の HFS ファイルシステム(現在 は Macintosh Standard Format と呼ばれている)を、今後の数年間を Macintosh と Rhapsody と共に成長できる、頑丈でモダンなファイルシス テムに置き換える。

もう一度いうが、Macintosh Extended Format は オプション である。 つまり、これは Mac OS 8.1 の使用に必要というものではないし、Mac OS 8.1 をインストールすると、あなたのディスクを Extended Format ボ リュームとして再フォーマットするわけではない。あなたは Extended Format のことを余計に考えることなく Mac OS 8.1 を使用することができ る。また、Extended Format ボリュームは、同じコンピュータ上でもネッ トワークを介しても、HFS ディスクとうまく共存できる。

アロケーションブロック -- それでは、Macintosh Extended Format の 何が大したことで、HFS システムではなにがいけないのだろうか?歴史の お時間。Macintosh Standard Format(HFS)は 1986 年、 大容量 ディ スクが 20 MB だった時代に発表され、Apple の初代 Macintosh File System(MFS)にとって代わった。MFS は 400 K のフロッピー用に機能し たが、多量のファイルを扱えなかった。しかも、MFS はフォルダさえ扱え なかったのだ。

MFS と対象的に、HFS は当時想像もしないほど大きな 2 GB ボリューム容 量と 65,000 以上のアロケーションブロックを持つものを扱えた。これは、 情報を素早く読み書きするためにバランスのとれた“バイナリツリー” (b-tree)を使い、ドライブのアロケーションブロックを追跡記録するた めのボリュームビットマップを売りにし、(DOS で使われるもののように) とろいファイルパスによってバランスを失うこともなかった。

近年、4 から 8 GB ほどのディスクが珍しくなくなり、さらに容量は大き くなる一方だ。HFS には他の多くのファイルシステムに欠く機能があり、 Apple は長年に渡ってこの機能を拡張してきた。たとえば、現在 HFS は 2 テラバイトまでのボリュームを扱える。ただ、核の部分で HFS は、今日 のディスクで多くのスペースを浪費し、魅力はあるものの、数年のうちに 障害をもたらすことになる他の限界もある。

HFS はスペースを浪費するのか?その通りだ。基礎レベルで、ディスクは 論理ブロックに分割され、それはほぼ常に 512 バイトである。しかし、コ ンピュータのファイルシステムは、Mac でも他のプラットフォームでも、 スペースをアロケーションブロックによって分配する。これは 512 バイト の論理ブロックの隣接グループである。HFS は、空でないファイルのどの フォークにも、少なくとも一つのアロケーションブロックを与えなければ ならない。さらに、思い出してほしい。Mac ファイルはデータフォークと リソースフォークという 2 つのフォークを持てるのだ。

ここに障害がある。HFS は、あるボリュームの各アロケーションブロック をユニークに同定するために 16 ビットの領域を使うので、どの HFS ボ リュームでも 65,536(2^16)ブロックよりも少数にしなければならない (つまり、65,536 ファイル未満ということだ)。

ディスクが大きくなるほど、これら 65,000 超のアロケーションブロック も大きくなってしまう。256 MB のボリュームでは、アロケーションブロッ クは各 4 K である。しかし、4 GB のボリュームでは、アロケーションブ ロックはそれぞれ巨大な 64 K となるのだ!その結果、“a”とたった一文 字だけのファイルを作成し、4 GB HFS ディスクに保存すると、そのファイ ルには 1 K ほども情報がないのに、64 K ものディスク要領を浪費するの だ。同じファイルを SimpleText で作成したら、どうなるだろう? SimpleText ファイルにはデータフォークとリソースフォークがあるので、 128 K を消費する!このファイルにさらにデータを追加した場合、(データ がもう一つアロケーションブロックを必要とするほどの量になるまでは) 新たな情報がそのアロケーションブロックに追加されるが、そうでなけれ ば追加分のスペースが単純に浪費される。

“スペースの浪費”問題は、小さなファイルが多数あるほど明らかになる。 それは、各ファイルが一部しか使われないアロケーションブロックを持つ ためで、大きなファイルが少数ある場合より顕著である。そこではほぼど のアロケーションブロックも完全に埋められている。ほとんどの人は、大 小混ざったファイルをディスクに格納しているが、その結果は、顕著な (だが、この世の終りほどではない)大きさの浪費スペースとなる。しか し、ディスクが大きくなるほど、失うスペースも大きくなる。そして、ド ライブ中で、特にプログラマや Web 制作者、サーバアプリケーションが使 うものは、何千という小さなファイルになることもある。

Macintosh Extneded Format は、アロケーションブロックの数を 65,536 から 42 億個に増加することでスペースの浪費問題を解決する。つまり、 Extended Format ボリュームには、Standard Format ボリュームよりもは るかに多数のファイルを収容できるということで、(理論上) Extended Format ボリュームは、最大 2 テラバイトの容量のボリュームに 512 バイ トのアロケーションブロック(つまり、論理ブロックに 1 対 1 で対応す る)を持てる。

小は必ずしも善ならず -- しかし、512 バイトのアロケーションブロッ クの世界では、すべてが天国というわけではない。ほとんどの人は混在し たファイルを持っていいることを思い出そう。その多くは使われ方も様々 だ。電子メールファイルは、大きくなっていく傾向があり、真ん中からデー タが削除される。ワープロ文書もほぼランダムに大きくなったり、小さく なったりする。ログファイルは新たなデータが追加される。Web ブラウザ は午前 9 時前に、ほとんどの人が毎日行うよりも多くのファイルを作成 し、破壊する。こういう作成、追加、削除などのすべての動作はディスク のフラグメンテーションを引き起こす。512 バイトのアロケーションブロッ クでは、結果的に、より数が少ない、より大きなファイル部分となるより も、多くの小ファイルフラグメントになりやすい。時間の経過とともに、 512 バイトのアロケーションブロックの大容量ボリュームは、より大きい アロケーションブロックの同容量ボリュームよりも、もっとひどいフラグ メンテーションができるのが一般的で、したがって、性能も低下する。 Apple が 1 GB 以上の Extended Format ボリュームのデフォルトのアロ ケーションブロックサイズを 4 K にしている理由はこれである。4 K は、 小ブロックサイズに対する必要性とフラグメンテーションに関する懸念と の間の妥協点なのだ。同様に、Extended Format を使用するためには、ディ スクは最低 32 MB なければならない。これより小さいものでは Extended Format は Standard Format に優る意味があまりなくなるのだ。

さらに多くの機能 -- しかし、待ってくれ。もっとあるのだ!Macintosh Extended Format は HFS での他の欠点も修正する。Mac ユーザーは長年に 渡ってファイル名を 31 文字の長さにでき、スペースや他の特殊文字(コ ロン以外)を含めることができることを自慢したのだが、最近は、31 文字 のファイル名はそれほど気が効いているものではなくなってきたようだ。 さらに、HFS は、ファイルをソートし格納するとき、常にローマン言語へ の偏向がある。たとえば日本語版の Mac OS を使う人なら誰にも簡単にわ かる事実である。

Macintosh Extended Format は、255 までの Unicode 文字のファイル名を サポートする。つまり、ファイル名はもっと長くでき、そのコンピュータ が使う言語(スクリプト)に適切なやり方で振る舞うということだ。 (Unicode には 38,000 文字以上、アラビア語、キリル語、カタカナ、タ イ語を含む 25 スクリプトシステムを持つ。)Mac OS 8.1 の下で Extended Format ボリュームは、ファイル名とその他の情報を表示するために、Text Encoding Converter 機能拡張が必要である。しかし、Mac OS 8.1 の Finder は依然として 31 文字のファイル名しかサポートしていない。 Expanded Format ボリュームでロングファイル名を入力できるためには、 将来のバージョンの Finder の登場を待たなければならない。

<http://www.unicode.org/>

また、Macintosh Extended Format は、より簡単に Mac OS 以外のオペレー ティングシステム(たとえば Rhapsody だ)用の起動ドライブを作成でき るようにし、あるファイルに関するメタ情報(たとえば、コメント、アク セス権、その他ファイルの内容に本質的に関係しない情報を格納するため の機能を持っている)。

ボリューム拡張 -- Macintosh Extended Format が何であるかが分かっ たところで、どうやってこれを使えば良いのだろう? Extended Format の ボリュームとのつきあいの始まりには次の 2 通りのケースが考えられるだ ろう。他人が作ったものに遭遇するか、あるいは自分で作り出すかだ。

誰かが Extended Format ボリュームを File Sharing や AppleShare で ネットワーク上に公開したら、普通の Mac ディスクと全く同じように振る 舞う。ただし、Extended Format ディスクを直接コンピュータに接続する 場合(もっとありそうなのは Extended Format のリムーバブルメディアを 使う場合)、Mac OS 8.1 以上を使用していないと Extended Format ボ リュームにアクセスすることができない。こんな時には、Extended Format ボリュームにアクセスしようとしているのだが、適切なソフトウェアがな い旨を記したテキストファイルが一つだけ見えることになる。(この技は HFS wrapper を利用している。これは要するに旧来の HFS ボリュームに Extended Format ボリュームを埋め込むものだ。)

Extended Format ボリュームの初期化は簡単だ。Mac OS 8.1 の Finder に ある Special メニューから Erase Disk コマンドを実行するか、Drive Setup 1.4(Mac OS 8.1 に付属)以降を使う。いずれの場合も、ディスク のバックアップを取り、初期化し、データを元に戻す。

Extended Format の起動ディスクを作るには、別の起動用 Mac OS 8.1 ディ スクを作らなければならない(Apple は店頭販売用の Mac OS 8.1 CD を推 奨している)。次に起動ディスクをバックアップし、Erase Disk コマンド か Drive Setup 1.4 で初期化し、続いて起動ディスクのデータを元に戻 す。68040 Mac は Extended Format のパーティションやボリュームに問題 なくアクセスすることができる一方、Extended Format ボリュームから起 動することは(また、仮想メモリのスワップファイルを置くことも)でき ないので要注意だ。さらに、Extended Format の起動ディスクに PowerBook Password Security コントロールパネルを使うことはできない。Extended Format のブートブロックに変更があったため、正しく機能しないためだ。

Alsoft 社のユーティリティ -- Erase Disk コマンドを使った Extended Format ボリュームの新規作成が煩わしいとか、バックアップとレストア作 業に時間がかかり過ぎるという場合には、Alsoft 社の 30 ドルのユーティ リティ、PlusMaker を検討すべきだろう。これは 8 MB 以上の既存の HFS ディスクを 512 バイトのアロケーションブロックからなる Extended Format ボリュームに変換するものだ。PlusMaker はディレクトリ構造を変 換し(その間ディレクトリまわりの小さな問題を修復しながら)、ディス クの断片化を減少させるための最適化を行うので、データをそのままにし て変換を行うことができる。Alsoft 社によると、512 バイトのアロケー ションブロックを使うのは 4 K のアロケーションブロックを使うのと比べ てそれほど遅いということもないそうだ。もちろん、実際の使用感はディ スクの使い方とデータの種類にもよるだろう。

<http://www.alsoftinc.com/plusmaker.html>

Alsoft は Erase Disk コマンドを実行した際に、1 GB 以上のドライブの デフォルトである 4 K のかわりに 512 バイトのアロケーションブロック を適用する PlusMaximizer も販売している。Alsoft はこの 2 つのプログ ラムを合わせて 40 ドルで販売している。ユーザー間の評判は上々だが、 私はそれでも Extended Format への変換に際してはデータのバックアップ を取ることを強くお薦めする。

<http://www.alsoftinc.com/plusmaximizer.html>

互換性の問題 -- 非 Apple 製ディスクで Macintosh Extended Format を使う前に、ディスクドライバの製造元に Mac OS 8.1 と Extended Format ボリュームに完全対応しているかどうかを確認した方が良い。Hard Disk TookKit 2.5 と Silverlining 5.8.2 はいずれも Mac OS 8.1 と Extended Format ボリュームとの互換性を謳っている。Silverlining の方は直接 Extended Format ボリュームをサポートしている。

<http://www.fwb.com/ts/hdt/hdt25bulletin.html>
<http://www.lacie.com/updates.html>

さらに、ローレベルでファイルシステムとやりとりするソフトウェア、た とえば自動圧縮ユーティリティやディスクの最適化や修復を行うプログラ ムは、アップデートの必要があるかもしれない。詳細は手持ちの製品の開 発元に問い合わせていただきたいが、以下にその一部をまとめておこう。

<http://www.symantec.com/nu/fs_num.html>

<http://www.alsoftinc.com/DXPinfo.html>

<http://www.fwb.com/>

<http://www.pgp.com/products/PGPdisk.cgi>

壊れてないなら -- それでは Extended Format ボリュームを使うべきだ ろうか ? 正解はもちろん「場合によりけり」だ。私が見聞きしたかぎりで は、Standard Format ボリュームよりも Extended Format ボリュームの方 がパフォーマンスが良いということはないようだ。それに、Extended Format ボリューム用の高品質な診断ユーティリティの不在のため、信頼性 第一の用途には不向きだし、ポピュラーなソフトウェアとの互換性にもま だはっきりしない点がある。

だが、人によっては Extended Format によるディスクスペースの節約は魅 力的だろう。特に定期的に信頼性の高いバックアップを取る習慣がある人 には向いている。1986 当時の HFS と同様に、新たなディスクフォーマッ トのサポートが整うまでは時間がかかるものだ。Macintosh Extended Format が普及するまでにはしばらくかかるが、ドライブの容量が増大し、 Rhapsody が現実に近づくにつれてその重要性を増していくだろう。


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