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TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#417/16-Feb-98

Web 用グラフィックの作成は、たいてい歯を抜くより不愉快で苦痛も 2 倍 だ。今週号では、ゲストライターの Cynthia Baron 氏が BoxTop Software 社の ImageVice を詳しく調べ、見栄えがよくてダウンロードの速い画像を 作る方法を探求する。また、今週は、Newton 消滅の噂、Emailer 2.0v3、 最終的な 56K モデム標準、Apple の最近の激変に対する読者の声をお届け する。

目次：

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TidBITS 日本語版は TidBITS 日本語版翻訳チーム メン バーのボランティアによって翻訳・発行されています。

今回の TidBITS のスポンサーは：

MailBITS/16-Feb-98

（翻訳：西村　尚 <hisashin@axes.co.jp>）

Newton 消滅の噂 -- 信頼できる情報筋によると、現行の StrongARM プ ロセッサに替えて eMate シェル内に PowerPC チップを据えるエンジニア を除き、Newton 関係のエンジニアのほとんどが退職したという。カラー画 面と開発中だといわれる簡易版 Mac OS を追加して、最後にはかなりなバッ テリ寿命をもってネットワークから切り離せることのできる Mac OS ベー スの低価格ネットワークコンピュータ（Rhapsody サーバとの接続で完全な ソリューション）となるはずだ。実質的な結果として、MessagePad 2100 が最後の Newton となり、在庫は今後 2、3 ヵ月で一掃されるもよう。こ の状況をこれほど混乱したものにしているのは、Apple 社が最近 Newton 社を再合併したばかりだということである。Apple の欲しいものが eMate のプラスチックとエンジニア数名だけならば、なぜ Neweton グループに独 自の Newton の生産を続けさせるか、または、少なくとも重要な Newton ソースコードを巨大で活発な Newton 開発コミュニティに公開しないのだ ろうか? [ACE]

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04110>

ITU が 56K モデム協定を発表 -- 56K モデム業界の支配を巡るメーカー 各社の数ヵ月の戦いを受けて、International Telecommunication Union （ITU）は 56K モデム技術の標準を制定した。（どのように 56K モデムが 動作するかについては、 NetBITS-008 の“Speed Jockeys on the Internet: Flying at 56K”を参照。）この標準が V.90 として設計されれ ば、56K 技術の 2 つの原理（K56Flex と X2）が統合され、56K 技術周り の混乱が減少すると期待されている。ほとんどの主要モデムメーカーは現 行の 56K モデム用に V.90 アップグレードを用意するだろう。個別の情報 は 56K.com Web サイトを調べてみよう。 [JLC]

<http://www.itu.ch/newsroom/press/releases/1998/98-04.html>
<http://db.netbits.net/getbits.acgi?nbart=04451>
<http://www.56k.com/>

Microsoft 社が Explorer 4.0a を出荷 -- Microsoft 社は Internet Explorer 4.0a を静かに出荷した。これは Microsoft Office 98 CD-ROM （現在製造中）からも入手できるだろう。すでに Explorer 4.0 を使用し ている場合は、このバージョンをあわててダウンロードする必要はない。 というのは、唯一の変更箇所が Office 98 と Outlook Express 4.0c を含 む新インストーラとの互換性のためだけだからだ。Office 98 を使おうと 思っているなら、インターネット経由で 4 MB（最小 68K インストール） から 24 MB（完全なファット版インストール）までをどこかからダウンロー ドするよりは、Explorer 4.0a を CD-ROM からインストールする方が効率 的だとわかるだろう。Explorer 4.0 用の 128 ビットのセキュリティパッ チは Explorer 4.0a でも動作する。

<http://www.microsoft.com/ie/ie40/download/mac.htm>
<http://www.microsoft.com/ie/security/?/ie/security/mac128.htm>

逆に、Outlook Express 4.0c は、姓または名を連結せずにアドレスブック に格納された電子メールアドレスが各電子メールメッセージに Cc される という深刻な問題を修正する重要なアップデートで ある 。Outlook Express をお使いなら、Explorer 4.0a を含む大きなパッケージの一部と なっているものより、別個のバージョン 4.0c（3.3 MB）をダウンロードし た方が早いだろう。 [GD]

<http://www.microsoft.com/msdownload/ieplatform/ie4mac/oe/oe.asp>

Netscape 社がブラウザの改良版 -- Netscape Communications は Netscape Communicator と単独版の Netscape Navigator のバージョン 4.04.1 を出荷した。現在は両方とも無償で提供されている（ TidBITS-414 の“Netscape 無料化”参照）。このバージョンは、初期設定の読み込み時 にクラッシュする可能性をなくし、セッション中に MIME ヘッダを記憶し ておく仕事をよりうまく行い、Communicator のスペルチェッカーがメッ セージを短く切ってしまう問題を修正するほか、外観の改良とバグ修正を 含む。米国とカナダのユーザーには、強力な（128 ビットの）暗号化機能 を持つバージョンが入手可能である。 [GD]

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04664>
<http://home.netscape.com/download/client_download.html?communicator4.04.1>

Emailer 終焉のアップデート ?

by Jeff Carlson <jeffc@tidbits.com>
（翻訳：尾高　里華子 <odaka@iprolink.ch>）

Apple が Claris の事業を FileMaker と Home Page に絞った今 （ TidBITS-415 の記事「Claris 社が FileMaker 社として再編へ」を参 照）、他の Claris 製品の運命は Apple の手中にあり読むことができな い。そのなか Apple は先週 Emailer 2.0v3 アップデータ（ダウンロード 3.6 MB）をリリースした。新機能も加わり、欲しくなってしまう度が増し たメールソフトになっている。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04684>
<http://www.claris.com/products/claris/emailer/emailer.html>
<ftp://ftp.claris.com/pub/USA-Macintosh/Updaters/>

新たに加わった機能の筆頭は、メッセージの回送機能である（アドレスの From 部分をオリジナルと全く同じ状態で転送するもの）。回送されてきた メッセージに対しオリジナルの送信者に返信する時に、わざわざ宛先をコ ピーしてペーストする手間がなくなった。TidBITS のスタッフは大量のメッ セージを受け取るので、この回送機能は非常に大切なものである。私は昔 から Emailer ユーザーだが、この一つの機能のために Eudora への乗り換 えに頭を悩ましたほどだ。

嬉しい改良点は、Address Book が作り直されたことだ。おかげで、グループ 化されたものも含めてアドレスをダイナミックに追跡できるようになり、 受け取り人の名前をタイプするときに Emailer の自動挿入機能に引っ掛か らなくすることができるようになった。Emailer 2.0v3 は、Mac OS 8 での コンテクストメニューをサポートし、フォルダもドラッグに対応するよう になった（あるフォルダにファイルをコピーしてからオリジナルを削除す るということをしなくてよくなった）。

Emailer 2.0 ユーザーの方は是非とも 2.0v3 にアップデートして頂きた い。バグが少々フィックスしてあるのだ（たとえば、アカウントのパスワー ドをデスクトップにドラッグして、クリッピングテキストとして開くとい うことができなくなっている）。Emailer 2.0v3 は HTML フォーマットの メールには対応していない。（この善し悪しについては意見の分かれると ころだろうが）HTML メールが飛び交っている環境で Emailer を使おうと するものにとってはマイナス点になるかもしれない。

Apple は（無償のものが多い）サードパーティーの製品と競争しないよう に圧力がかけられ、Emailer を邪険に扱うかもしれない。Apple が Emailer を“一介のメールソフト”という目で見るとしたら嘆かわしい。（AOL や CompuServe のメールボックスへのアクセスや、メッセージの自動処理を行 うスクリプトを走らせるなど）個性ある機能、複数のメールアカウントを管 理する強力な機能を備えた出来上がった製品なのだから。

Apple 後退か焦点を絞り込むか（フォローアップ）

by Geoff Duncan <geoff@tidbits.com>
（翻訳：松岡　文昭 <mtokfmak@mxa.meshnet.or.jp>）

Apple の最近のビジネス判断と編成を特集した先週の TidBITS-416 の Adam の記事「1998 年の Apple：後退か、焦点を絞り込むか？」には、多 くの読者より反響が寄せられた。コメントは様々であったが、ほとんどの 手紙は次の三つの事柄に焦点が当てられていた。小売店での Apple のプレ ゼンス、Macintosh の価格、そして Apple の最も最近のテレビ広告キャン ペーンだ。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04711>

Scott Coats 氏 <scott@insolution.com> は、どのように Apple が、少 なくともいくつかのメジャーな小売店において Mac をメンテする人々を、 雇ったかについて寄せてくれた。

何年もの間、Apple は Performa ライン（Sears、CompUSA 等で）をメンテ するために、人材派遣会社の ADIA にて採用され訓練された AAPR 達 （Apple Authorized Products Reps）を下請けとして使用してきました。 採用は電話を通して「Mac の搭載メモリはどのようにしてチェックするか ？」等という最小の質問で行われました。訓練は三穴バインダーで閉じら れた古い広告資料一部と Apple MailBox プログラムの購読で成っていまし た。アップ・ツー・デートする見返りは全くなく、現地外交員がそうする だろうと信じる理由はほとんどなかったのです。このプログラムへの参加 者の一人として、私自身断言できるのですが、受けた訓練や管理のレベル は全くなさけないものでした。AAPR 達には彼等が店に立ち寄るごとに一律 15 ドルが支払われていました。その店で過ごした時間に関係なしにです。 Apple が彼らの製品を外注に任せたことは怠慢であり、それが小売店と Apple の間の確執の一因となったことに疑いを挟む余地はありません。

価格、価格、価格 -- Apple は Macintosh モデルのコストを段階的に下 げてきているが（最近、私は予算のタイトな知人がモニタとカラープリン タ付きの立派な PowerPC 搭載システムを約 1,200 ドルで購入するのを手 伝っている）、いく人かの TidBITS の読者の目には、新しい Mac の価格 は未だに Apple の競争力を弱くしている、と写るようだ。Mark Kessler 氏 <mickeykes@aol.com> の手紙は：

地元のディーラーかオンライン Apple Store に行き、1,800 ドルで何が買 えるかよく見て下さい。パワー、記憶容量、モニタサイズ、バンドルソフ ト、モデム、保証、プリンタ、その他何でも良いから彼らが売っているも のを調べて下さい。その後であなたの地元の Best Buy へ行き、1,800 ド ルで何が買えるかよく見て下さい。一点ごとに比較してみるのです。

<http://www.store.apple.com/>

次にあなたはコンピュータの専門家ではないと想像して下さい。あなたが 欲しいのは、単に、ワープロや表計算、ゲーム、そしてネットサーフィン ができるマシンなのです。Best Buy では何ダースもの PC をあらゆる種類 のコンフィギュレーションと全ての価格帯で取り揃えており、それ等に加 え 4 つか 5 つの通路にはアクセサリ類を、そしてもう 6 つか 8 つの通 路にはソフトウェアがあります。一人のまじめな若い販売員があなたを Macintosh に案内したとしましょう（これは仮の話しですからご心棒下さ い）。あなたは興味をそそられるでしょうが、それは価格を見るまでで、 さらにその価格は CPU のみなのです。Apple モニタや Apple プリンタを 加えると、新しい Macintosh はたかりです。PC では様々なメーカーから 様々なものを選べます。Macintosh の場合は、Apple か何もないかのどち らかなのです。それだけのためにお金を使うつもりなら、あなたに幸運を。 私は Apple 製品にはもう 1 ペニーも使わないつもりです。その価値は本 当にないのですから。

同様に、David Howe 氏 <prime-time@orac.net.au> は海外でも価格が Mac ユーザーにとり問題であることを指摘している：

私の住んでいる地域では Mac を所有することは風変わりと考えられていま す。ここキャンベラはオーストラリアの首都で全ての政府機関の本庁所在 地です。例外なく、これ等全ての機関（うちいくつかは情報技術に多大な出 費をします）は PC を採用しています。ここでの日々の現実は、最も安い Intel 搭載マシンは最も安い新型 Mac の約半額である、という事です。 Intel ボックスはおんぼろで不細工ですが、実務には使用できるのです。

Mac は出版と広告の分野では未だ優位を保っていますが、Windows NT も実 績を上げ始めています。私自身の職業は Apple のドメインとなりえたテレ ビ制作ですが、価格が要因で、入手可能な様々の非 Mac システムが Apple の優位を浸食しつつあります。率直に言って、Apple は余りにもどん欲で あるという罪を背負っていると、私は思います。

カタツムリのメッセージ -- Pentium II システムを Power Mac G3 シス テムと比較した Apple の広告は肯定的な反響を生み続けており、何人かの 読者はその広告が Windows ユーザーの関心をも集め始めていることを伝え てくれた。Rick Holzgrafe 氏 <rick@kagi.com> は Apple の新しい広告 キャンペーンの背後にあると思われる戦略について書いてくれている：

Apple の新しい「カタツムリ」広告の部分で、Adam は、スピードが平均的 な消費者が本当に欲しがっているものかどうか、疑問を投げかけています。 恐らくそうではないでしょうが、重要なのはその事ではありません。John Sculley 氏（彼を覚えているでしょうか？）は、「飲み比べてみよう」広 告で無名の Pepsi を Coca-Cola と同等な地位へと引き上げたのです。そ の一連の広告の本当の目的は Pepsi が Coke より良いということをアメリ カに納得させることではなく、Pepsi と Coke が同等という事を確立する ためのものでした。そしてそれは成功しました。「カタツムリ」広告の意 図も多分同じです。真の目的は、人々が PC を考えるときに、Intel 搭載 マシン と Mac の両方を思い起こさせ、現在 Windows の世界が享受して いるメンタルな砦を崩すことにあるのです。“Macs are better”という メッセージは補助的なものであり、“Macs are okay”が本当のメッセージ なのです。これ等のラインに沿った広告がもっと出されることを期待して います。それ等の一つ一つが何故 Mac が better か一つのシンプルで明快 な理由を指し示し、かつ Windows マシンを買う必要はない、他に選択があ る、ということを強く納得させてくれるものを。

色を締め上げ: ImageVice 1.1

by Cynthia Baron <cyndi@www.webcreature.com>
（翻訳：尾高　修一 <odaka@iprolink.ch>）
（　　：尾高　里華子 <odaka@iprolink.ch>）

私は実は圧縮ジャンキーなのだ。夜遅く、世の中のグラフィックオタクた ちが寝静まってからも、私だけは最後の 1 キロをなんとかしようと頑張り 続ける。この 1 キロとは 1 キロバイトのことで、アニメーションがあと 2 秒だけ早くダウンロードできるようにしようとするわけだ。私はその一 方で Equilibrium 社の究極の画像処理ツール、DeBabelizer の中毒患者で あることも白状しよう。だが、どのソフトウェアパッケージも残念ながら 完全ではない。DeBabelizer はユーザーに長時間集中して考えることを強 いる。これは締め切り直前で、かつ眠りに落ちかけているような時にはな かなか難しい。私も普通の人たちと同じように、私に代わって賢い選択を してくれるプログラムを求めているのだ。

<http://www.equilibrium.com/>

BoxTop Software が最初に私の目に留まったのは『Web Animation for Dummies』を執筆中のことだった。同社は Cecil B. DeMille 氏に言わせる と、Equilibrium 社がゴリアテとすればダビデに相当するユーティリティ 群を作っている。DeBabelizer に正面から挑むのではなく、鎧の割れ目を 狙って DeBabelizer が持っている多数の機能を分割し、それぞれを個別の 安価なユーティリティとしているのだ。このツールたちは単なる DeBabelizer の二番煎じというわけではなく、それぞれが新しい独自のア プローチを持っているのだ。

<http://www.boxtopsoft.com/>

ImageVice はアプリケーションではなく、Photoshop 3.0 のフィルタープ ラグイン API をサポートしているアプリケーションのためのフィルタープ ラグインなのだ。BoxTop 社の伝統を受け継ぎ、画像のカラーパレットの最 少化に新方式を編み出している。ImageVice という名前からは画像を圧縮 する製品だと思いそうだが、そうではない。画像を最適化することによっ て画像処理プログラムから GIF、PICT、BMP、PNG として保存された時に効 率良く圧縮されるようにするものなのだ。

<http://www.boxtopsoft.com/ImageVice.html>

画像圧縮短期集中講座 -- この魔法がどういう仕掛けになっているかを 理解するには、少し画像圧縮のお勉強をしなければならない。うまくいけ ば、画像圧縮は料理で生クリームの代わりに牛乳を使うようなものだ。ほ とんどの人には違いがわからないし、画像からは余計な脂肪分が減ること になる。[ Web 用画像ファイルフォーマットについては、 NetBITS-007 の“A Closer View of Web Graphics”を参照されたい。-Jeff]

<http://db.netbits.net/getbits.acgi?nbart=04458>

Web やマルチメディア用として最も普及している画像圧縮フォーマットは JPEG と GIF だ。JPEG は写真家のグループである Joint Photographic Experts Group によって開発され、グラデーションの多い画像に適してい る。GIF は CompuServe によって開発され、同一色のベタ塗り画に向いて いる。

JPEG は“劣化式”、つまり普通の鑑賞者ならなくなっても気がつかないと 判断された画像情報を永久に消し去ってしまう。情報量が少ないというこ とはファイルサイズが小さくなる一方、画質も低下することになる。JPEG は実に効率良く写真を圧縮し、最も画質を低くした設定にしてもかなりま ともな結果を得ることができる。では写真は全部 JPEG で圧縮すれば良い のだろうか? JPEG には 2 つの大きな欠点があるのだ。

まず、JPEG 画像には透明部分を設定することはできない。したがって不定 型の形状、かっこいいボタン、それにほとんどのアニメーションはダメと いうことになる。次に、JPEG は階調表現を主目的として作られているた め、24 ビットカラーに最適化されている。どの情報が大切かという判断は JPEG に任せるしかない（厳密に言うとこの限りではないのだが、この記事 で紹介するにはあまりにもトリッキーな裏技を使わなければならないの だ）。色数を少なくして圧縮アルゴリズムをだまそうとしても、JPEG アル ゴリズムが勝手な場所に勝手な色を付け加えてしまうのでうまくいかない。 色数が少ない画像を JPEG にするとひどいことになるのはこのためだ。ア ルゴリズムが単一色の領域にノイズを加え、シャープな輪郭をぼやかして しまうのだ。

そこで GIF が登場する。GIF は LZW（Lempel-Ziv Welch）圧縮を利用して いる。圧縮方式を職人にたとえていえば、LZW はさしずめ国政調査員といっ たところだ。画像をデジタルな箱に収めるために横方向にチェックしてい く。ある色やパターンの領域を見つけたら、そこにラベルを付け別の場所 で全く同一の色やパターンがあった場合に再利用する。一つ一つの GIF 画 像がカスタムパレットを持っており、このパレットの色数が少ないほど画 像ファイルが小さくなり、より速くロードすることができるようになる。

JPEG と同様、GIF にも欠点がある。パレットには 256 色しか登録できな いのだ。ある色の使用頻度が高いほど、パレットに加えられる可能性が高 い。もし画像が主に境界がはっきりした単一の色で塗り潰された領域で構 成されていたら、驚くほど小さいながらオリジナルとほとんど見分けがつ かない画像になることがある。

残念なことに GIF は何千というほとんど同じだが微妙に異なる色で構成さ れる階調表現は苦手だ。GIF ファイルを吐き出すプログラムはこれをディ ザリングでカバーしようとする。これはパレットにある色を 2 つ以上組み 合わせてごく小さなパターンを作り、存在しない色を見せようとする手法 だ。GIF フォーマットに変換された写真は良くてざらついて見え、悪けれ ばノイズだらけのしみだらけになる。

当然写真は GIF ではなく JPEG で保存した方が良いのだが、この世は理想 とは程遠い。古い Web ブラウザを使っている人には、画質をうんぬんする 以前に JPEG ファイルを表示することもできない人がいる。[私の周りにも 何人もいる -Jeff] ではどうしても写真を GIF で保存しなければならない 場合、どうすれば二度と見られないようなものでなくすることができるだ ろうか?

ImageVice 登場 -- ディザリングはカラーパレットのミスマッチには一 応有効だが、全体的な結果は最高とは言い難い。そして、最高を求める人 （顧客）というのもいるのだ。ImageVice はディザリングせずに圧縮され た画像を作らせてくれる。ディザリングは魅力に乏しいし、ファイルの肥 大化にもつながる。ImageVice は色や数値の変化を解析し、個々のピクセ ルを色と階調の帯で置き換えるのだ。こうすることによって前代未聞の圧 縮率（最高 70 %）に達することが可能となる。

なかなか良さそうな話ではあるが、私は生まれつき疑い深いのだ。ベンチ マークには騙されることが多いし、圧縮率のために画質が犠牲になるので はいけない。

この前提から出発し、私が最も重要と考えるもの、つまりファイルの小さ さと画質の良さの関係に意識を集中することにした。好みというものは人 それぞれなので、ImageVice をテストしながら、以下の URL の一連の画像 を作った。この記事を読みながら Web ブラウザを開いて [] 内の番号を 追っていただくと良いだろう。

<http://www.webcreature.com/>

画像を締め上げ -- 私はまず最初に、背景に岩を配し、前景に色の線形 グラデーションのある明るく彩色された金属製の像の写真をスキャンした。 これは意地悪な組み合わせで、これを選ぶにあたってはやや罪悪感を覚え たものだ。目標は画質を維持しながら 32 色（5 ビットカラー）以下にす ることだ。最も大事なことは、この 300 x 215 ピクセルのファイルは 189 K だったが、Web サイトで使うためには 30 K まで落とさなければならな いことだった。

私はテスト画像を比較のため高画質な JPEG で保存した [1]。次に、 Photoshop のツールを使って 5 ビットの GIF ファイルを作った [2]。こ の際、使用中の色に合わせて割り付けられたパレット（画像にある色をパ レットとして使う）を用いた。ファイルは 51 K と大きく、見れたもので はないほど醜かった。

こうして最も悪い見本を用意し、ImageVice に登場願った。このプラグイ ンはデフォルトのままなら何も考えずに使うことができる。目標とする色 数を指定し、OK をクリックするだけだ。とにかく一度試してみないことに は色々いじるわけにはいかないので、これは良いことだと言えるだろう。 プレビューはあまりにも小さくてほとんど役に立たない。次期バージョン でプレビューにズーム機能が付けば大いなる改良になるだろう。

128 色、64 色、32 色の 3 段階でデフォルトのまま試してみた。次に、 Photoshop で BoxTop の PhotoGIF Filter で GIF ファイルを作った。こ れにはデータフォーク（ファイルのうち Mac がファイル情報を入れるリ ソースフォークに対し、画像が入っているの部分）のサイズを表示すると いう実に便利な機能がついており、この余分な情報を外して保存すること ができる。

<http://www.boxtopsoft.com/photofilter.html>

128 色のものは実にオリジナルに近かった。64 色の方は Photoshop の32 色のものよりもわずかに大きくなるだけで、見栄えは当然のことながらずっ と良かった。32 色にするだけでファイルは 29.3K にまで小さくなった。 [3] 次に ImageVice のデフォルト設定を少々いじってみることにした。

まず最初にいじったのは Convergence 調整つまみだ。これはピクセル単位 でどれだけの中間色を採用するかをコントロールするものだ。Convergence を最少にして PhotoGIF で保存してみたところ、ファイルは 32K になり Photoshop のデフォルトの GIF よりもずっと良かった。Convergence を最 大にすると、横方向に余計な線が入ってしまった。きめのある不規則な背 景部分ではほとんど目立たないのだが、色が中間移行している像の部分で は気になってしようがなかった。一方で、サイズはわずか 28K しかなかっ た。様々な色が使われている画像や粗い画像であれば Convergence が高く とも許容できるであろうが、今回はデフォルトの設定が一番良いという結 論になった。[4]

ImageVice には Convergence 以外にもいくつか設定をいじることのできる ところがある。Smoothing は Convergence と一緒に使って色がどのくらい 似ていたら一色にしてしまうかということを指定するものだ。Smoothing 値が高い場合は、処理された水平方向の線ごとに色がつけられ不連続的に なってしまうが（似たような色を同一色にしてカラーパレット数を減らす） ファイルが小さくなる。これは背景の部分で実に効果的であったが、光沢 のある金属像は（立体感が強く出ている部分の色合いが壊れて）横縞模様 になってしまった。Smoothing のデフォルトには少々幻滅したが、色の分 化を減らすことができた。

すべての色を全く同じように細かに残しておくのは難しい。ものすごく暗 いまたはものすごく明るい画像であるか、重要なものがそのどちらかに偏っ ているかでないかぎりは、中間の色を細かにとっておくのが得策であろう。 ImageVice のデフォルトはこれをふまえた設定になっている。とはいえ Clipping 調節つまみが 2 つ付いており、これでどこの色を捨ててどこの 色をとっておくかをコントロールできる。片方は、暗い色をどれだけ外す かをコントロールするもので（その分パレットを中間の色に充てることが できる）、もう一方で明るい色の数を減らすようになっている。

今回の画像には明るい色のバリエーションがデフォルトで設定されていた ものではとても足りなかったので、Clipping つまみの明るさの値を 15 か ら 8 にした。暗さの値の Clipping つまみも 16 から 7 にしたのだが、 これはデフォルトの設定では大切な像の“髪”までマージして黒い一つの 塊にしてしまうことに気がついたからだ。捨てられてしまった明るい青緑 色の色調を取り戻すことはできた。だが、暗い部分の色は取り戻すことは できなかった。これは、髪が水平方向でなく垂直方向に垂れているものだ からだ。髪の房というものは一つの物体ではないということを示すための 微妙な部分は、水平方向に色をまとめていく処理で削りとられてしまう。 [5] これは BoxTop 方式で起きてしまう数少ない欠点の一つであり、ディ ザリングができればと唯一思った部分である。

画像のビット数を削ることができなくとも、画像の色数を一つ二つ削るだ けで実に小さくなってくれるのだ。ImageVice は採用する色数を何色にす るかを正確に指定できるようになっている。ただし、どの色を削るかをこ ちらで指定することはできないところが今一つである。32 色まで減らすに は、採用しない色を細心の注意を払って選んでいかなければなければなら ないし、それは画像一つ一つでことなってくるものだ。色を少し削ると決 めたところで、少なくとも PhotoGIF のようなユーティリティを使って実 際に削除してみることだ。そうすると試した結果を目にすることができる し、ソリューションの一部としてディザリングもやってくれる。

BoxTop Software 社は ImageVice が固定のパレットではうまく利用できな いことを認めている。ImageVice は一つ一つの画像に最も適したパレット を作るように考えられているのだ。だが、216 色の Web パレットは不動の ものなので、色に恵まれない環境に置かれている平均的な Windows ユー ザーにはどのように見えるかを知っておかなければならない。[216 色の Web パレットは様々な OS の Web ブラウザで表示する時に色を置き換えた りディザリングしないようになっている。以前 NetBITS で取り上げた -Geoff] 色周りのために Photoshop GIF、最適化した ImageVice ファイ ル、最適化した DeBabelizer バージョンという使用中の色に合わせて割り 当てた 3 つのバージョンを使い、これらに Web セーフパレットを適用し た。台なしという言葉はこのためにあるようなものだった。いずれも、や たらに Web パレット色に染まったものになってしまた。もともと問題の あった ImageVice の暗い部分は黒い横線になってしまっていた。よくある 使い物にならないディザリングされた画像よりもさらにひどかった。[6]

幸いオリジナルの画像から Web のセーフパレットの色でないものに視覚的 に適合する「適切な」色を作り出すことのできる（本来質の高いディザリ ング）プログラムがいくつかある。ImageVice の画像は、使用中の色に合 わせて割り当てたパレットを持つ大抵の画像よりこの点に秀でるようになっ ている。ディザリングして置き換えやすいように色の大部分を作り上げる のだ。

色もののけ -- パレットが固定されていない状況では ImageVice が本領 を発揮してくれる。画像の質と圧縮率の両方を求める一般的なユーザーが まず思い付く割安で簡単な手段だろう。注意していただきたいのは、Web サイト用に画像を圧縮しパレットを小さくするためには、まだこれといっ た素晴らしいものは登場していないということだ。ならば、Web のセーフ パレットを念頭に画像を作り（ 次に 事実上手間なしで最高の結果をだ してくれる ImageVice に登場願う）、見てくれる人に事前にそれなりの準 備をしておくようにお願いするか、さもなくば、色つきピクセルの沼にどっ ぷりと浸かった長い夜を送るしかないだろう。

ImageVice は 49.95 ドルである。BoxTop Software 社の Web サイトには 275K ファトバイナリのデモが用意されている。

[Cynthia Baron 氏は Creating a Digital Portfolio の著者であり、Web Animation for Dummies の執筆者の一人でもある。Computer Graphics World から Critique Magazine にいたるまでの出版物で幅広く活躍してい る。ボストン（ Massachusetts）にある Northeastern 大学 Graphic Design コースで教鞭をとっているテクニカルディレクターでもある。]

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