TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#424/06-Apr-98

Eudora Pro 4.0 へのアップグレードを考えていますか? Matt Neuburg が 人気メールプログラムの新バージョンの良い点悪い点を解説する。また今 週号は Adam による最近のオーストラリア旅行のレポート、夏時間と Macintosh 拡張フォーマットボリュームに関する問題の出現、Netscape 社 による Netscape Communicator のソースコードリリース、Global Village 社による Boca Research 社へのモデム事業売却、などに加え Palimpsest 2.1 と GPSy 3.0 の新リリースもお伝えする。

目次:

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今回の TidBITS のスポンサーは:


MailBITS/06-Apr-98

(翻訳:秋山 晃子 <nobineko@club.udn.ne.jp>)
( :亀岡 孝仁 <tkameoka@fujikura.co.jp>)

夏時間と Macintosh 拡張フォーマット -- 合衆国の一部が先週の土曜日 に夏時間に突入したが、Macintosh 拡張フォーマット(HFS Plus)ボリュー ムにおいて作成日と修正日の時刻に問題が現れるという報告があがってき た。(拡張フォーマットはひとつの選択肢として Mac OS 8.1 に用意され ている。)拡張フォーマットでフォーマットしたディスクでは、グリニッ ジ標準時に基づいた時刻が、ファイルの作成日と修正日に保存される。 “日付 & 時刻”コントロールパネルの夏時間チェックボックスにチェック を入れる、あるいはチェックを消すと、これに照応してコンピュータのグ リニッジ標準時からの時差も変更される。拡張フォーマットのディスクで はこの変更により、ファイルの作成日と修正日に表示された時刻が変えら れてしまう。日付も同様に変えられる場合がある。変更に気がつかない人 もいるだろう、しかし他の多くの人にとっては問題となりうる。特にバッ クアップをとるのに長時間かかったり、パックアップメディアの容量一杯 使ってしまったりということが起きるが、この問題は全てのファイルか修 正されたと見なされるために生じるのだ。

<http://til.info.apple.com/techinfo.nsf/artnum/n24452>

人気のあるパックアッププログラム Retrospect のメーカーの Dantz 社 は、この状況を、総てのバックアップをとる好機にするか、あるいは“日 付 & 時刻”コントロールパネルの夏時間チェックボックスを使う替わりに “現在の時刻”フィールドの時刻設定を変更するよう奨めている。もうひ とつの改善策として HFS+ DST Timefix を使う手がある。これは Glenn Austin 氏による小さな機能拡張であり、拡張フォーマットに夏時間チェッ クボックスのチェックを無視させるものだ。拡張フォーマットの詳細につ いては“Macintosh Extneded Format(HFS Plus)のすべて” TidBITS-414 を参照のこと。 [TJE]

<http://www.dantz.com/technical_support/technotes/tn-405.html>
<ftp://ftp.austin.dyn.ml.org/pub/software/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04668>

Netscape 社が Mac 版ソースコードをリリース -- Netscape Communications 社がまもなく登場する Macintosh 版 Netscape Communicator 5.0 のソースコードのリリースを始めた。このソースコード がもっぱらディベロッパー向けのものであるのは明らかだが、進取の気性 に富むディペロッパーがいかにソースコードを利用してゆくかを見守るの は興味深いことだろう(このコードを利用するにあたっては、今なお使用 許可に関する規約を遵守しなければならない MailBIT“Netscape 無料化” TidBITS-414 mailbits を参照のこと)。 [ACE]

<http://www.mozilla.org/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04664>

Global Village 社モデム事業を Boca Research 社に売却 -- 先週 Global Village Communications 社はその全モデム事業を - ハード、ソフ ト、在庫、OEM 契約、そしてGlobal Village の名前を含んで - Boca Research 社へ 10 百万ドルの現金と手形、および Boca 社が 425,000 株 までの Global Village 社の株式を購入する権利と引き替えに売却する計 画を発表した。Boca 社は現在の Global Village 社の顧客のサポートを引 き継ぎ、さらに新規な通信製品を Global Village の名前で開発する計画 である。一方で、Global Village 社は名前を変更し中小規模オフィス向け の統合通信サーバに集中する事になるであろう。[GD]

<http://www.globalvillage.com/press_release_text/general/newgv.html>
<http://www.bocaresearch.com/>

Palimpsest 2.1 リリース -- Western Civilisation 社は、大規模な電 子ドキュメント集を管理分析するためのハイパーテキスト・アプリケーショ ンである Palimpsest バージョン 2.1 をリリースした。(さらに詳しい情 報は TidBITS-364 の“Palimpsest 1.1 - 文書ある?”を参照のこと) Palimpsest 2.1 は Mac OS 8 の新しい外観とコンテクストメニューをサ ポートし、さらに改良されたレイアウトツール、さらに多くのショートカッ ト、そして強化された印刷を提供している。Palimpsestの購読は年間 50 ドルですべてのサポートとその間の全アップグレードを含む。 [ACE]

<http://www.westciv.com/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=00752>

GPSy 3.0 新機能を披露 -- 方向音痴の Mac ユーザにとっては Global Positioning System (GPS) からのデータを利用して働く Karen Nakamura 氏のソフトである GPSy 3.0 のリリースは朗報であろう。GPS 受信機と Mac と GPSy とがあれば地球上のどの地点ででも自分の居場所が 100 m 以下の 精度で確定できる。(GPS システムそのものは 1/16 インチの精度まで到 達できるが、この性能は米軍専用に制限されている;詳しくは TidBITS-388 の Karen の記事“迷いの予感?GPS 概論”とレビュー記事 “GPSy で木立の中のドライブを”を参照のこと)色々な GPS ユニットと 働くようにプロトコルが追加となったほかに、GPSy 3.0 は U.S. Census TIGER Mapping Service や Geocities のようないくつかのインターネット 地図サービスを用いて自分の位置を地図上で見られる機能を追加した。GPSy は 50 ドルで 1 MB のダウンロードで入手できる。[JLC]

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=02222>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=02223>
<ftp://ftp.gpsy.com/pub/software/GPSy300.sea.hqx>


またもや Microsoft

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 里華子 <odaka@iprolink.ch>)

最近ちょっと妙な状況に陥ってしまった。すでに Internet Explorer/Outlook Express のグループが TidBITS のスポンサーになって くれているのだが、それとは別に Microsoft Office チームもスポンサー になりたいと申し出てくれたのだ。結局 Microsoft から 2 人目のスポン サーを迎えることにしたのだが、決定にあたっては次の 3 の事実をよりど ころとした。第一に、TidBITS はビジネスとして成り立たなければならず、 お金を出してくれるというスポンサーを断ることはビジネスを続けるうえ で良策ではない(実際 Macintosh 関連出版のなかには一年以上この問題に 悩まされているところもあるのだ)。第 2 に、すでに広告を出していると いうことを理由にその会社の二つ目の広告を断った雑誌の話など聞いたこ とがない。第 3 に、そして最も重要なことであるが、我々は Microsoft Office 98 が気に入りだしている。

これこそスポンサーになってもらうかどうかを判断する際に一番問題にな ることだ。すなわち、製品が良ければそれでよいのだ。さらに今回の場合 は、Macintosh のためにもなるのではないか。我々はスプレッドシートを ほとんど使わないので、Word が議論の焦点になった。Tonya が Word 6.0 の本を書いたというのに、実際は無理に使っただけだった。それに、Word 5.1 は今も実用になるが 6 年もの歳月を経てさすがに老いを感じる。Word 98 で何か大きなことをするには使い始めてからの時間が短すぎるが、すぐ さま古いバージョンのと入れ替えて Word が一番役に立つ作業に利用する ぐらいはできた。たとえば、出版関係者と仕事をする時や Windows 版 Office 97 のユーザーとファイルをやり取りする時に役に立つ。

上記のコメントをレビューとして採用しないでいただきたい。もうじき Word 98 と Excel 98 のちゃんとしたレビューを掲載することにしており、 その場で自分たちの考えをきちんとお伝えする。それでも Office 98 が Macintosh プラットフォームにとって有益なものであることは間違いない。 Office 98 が Macintosh ソフトとしての外観と感覚を維持したまま Windows の Office 97 と互換性をもたらしてくれているおかげで、Mac か ら去って行く人の流れが遅くなっているとか止ったとさえいう報告もある ぐらいだ。

<http://www.microsoft.com/macoffice/>


オーストラリア紀行

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <odaka@iprolink.ch>)

オーストラリアを旅していた 2 月半ばから 3 月半ばまで丸々 4 週間も メールから遠ざかった後、米国に帰ってきた Tonya と 私はようやく日常 に追いついたという感じのところだ。PowerBook に移動の多い貧乏旅行の 辛さを味わわせたくなかったので、私たちはコンピュータを持っていかな かった。これほど長期間コンピュータもインターネットもなく過ごしたの は実に久しぶりだった。

長期間音信不通になるのはたいして苦にならなかったが、Mac を持ってい かなかったことは次の 2 つの理由から後悔した。私は文筆家として、特に 最近ではコンピュータ以外のことを多く考えるようになったこともあり、 旅行中の体験について書きたいことが多い。今になってから紙のメモを元 に文章を書こうとするのは時間がかかるしいらいらする。また、QuickTake 150 では 16 枚 か 32 枚しか画像を記録できないためフィルムカメラを使 わざるをえず、インターネットにアクセスすることができる友人達や家族 に写真を見せることが簡単にはできない。

もちろん、PowerBook を持っていかずにメールを一ヶ月もチェックしなかっ たからといって Macintosh の世界から離れていたわけではない。旅の途中 数週間はパースで過ごし、Anarchie で知られる Peter Lewis 氏や Andrew Nielsen 氏、それにメールや来米中に知りあった Mac 仲間たちと過ごし た。タスマニアでの典型的な観光旅行(美しい風景に感嘆したり珍しい動 物に驚嘆したり)から、一度か二度しか会ったことのない仲間の中に放り 込まれるのは実にエキサイティングな体験だった。

<http://www.stairways.com/>
<http://www.starfish.net.au/>

Macintosh は常に私たちの行く手に現れた。タスマニアのホバートでは、 地元の Macintosh ユーザーグループと楽しい夕食をともにした。この夕食 会はオーストラリア版 Macworld の元編集者、Peter Johnson 氏がセット してくれたものだ。また、パースから 4 時間ほど北上したところにあるペ ンバートンという小さな町に寄り道した時などは、Fine Woodcraft という ギャラリーで店員とどんな仕事をしているかという話をしていると、ちょ うど「Macintosh」と「インターネット」という言葉が聞こえるタイミング で奥から現れたオーナーが、たちまち私を引きずり込んでカプチーノと美 味しいアップルクランブルと引き換えに新しく買った Macintosh のイン ターネット接続セットアップを命じた。どちらかといえば欲しくてたまら なかったマホガニーゴムノキと銅でできたゴージャスなビュッフェと引き 換えにしてくれたほうが良かったのだが、旧バージョンの ConfigPPP と MacTCP を使ったちょっとした魔法程度では家具までは手に入らないものだ ろう。

<http://www.karriweb.com.au/~smcbride/tele2.htm#TTD5>

Mac vs. PC 討論会 -- パースで参加したイベントに、Mac ユーザーと PC ユーザーによる“Macintosh は 21 世紀にも生き残ることができるか?” と題した討論会があった。これはあるインタラクティブ・マルチメディア 協会が企画したもので、そこの会員はみな Mac も PC も使っていることか ら軽いものになるはずだったのだが、なかなか興味深い展開になった。司 会者がテーマを紹介する時、次のように述べて笑いを誘った。「一方のプ ラットフォームは世界征服をたくらむ悪のアメリカ巨大企業が作ったもの で、もう一方は Microsoft のものです。」双方が 3 人の論者を立て、そ れぞれが 5 分の持ち時間で議論を提示し、展開し、相手に反論するという ことになっていた。審判員がとてつもなく面白いと認めた時以外は聴衆か らの発言は禁止されていた。

両陣営の先鋒だった 2 人の女性はいずれもすばらしく、上手に喋って持ち 時間以内に終了した。PC 側の女性は Apple の最近の 2 つの時点での売上 データを取り上げ、Macintosh の売上が 1998 年 11 月 17 日にゼロにな ることを“証明”するというソフィスト的議論を展開した。この論法は聴 衆からマーク・トウェインの有名な 3 種類の嘘(嘘、大嘘、それに統計) に関する逸話を思い出させた。するとルールに反して、PC チームは Apple の Mac 売上がゼロになるまでのカウントダウンプログラムを走らせたラッ プトップを持ち出した。Macintosh チームが抗議したことは言うまでもな いが、聴衆からも Pentium チップが割り算をしているのなら結果が信用で きるものだろうかという意地悪な意見が聞かれた。

次のラウンドでは Mac 側が先攻だった。Mac 擁護論を展開した男性は、PC よりも Mac の方が投資効果が高いことを示した調査結果を次から次へと披 露し、このことが Mac の生き残りを確実にすると述べた。対照的に PC 側 の論者は G3 チップをけなしたいばかりに G3 チップが“出荷すれば”Mac 側の主張も正しいことになるかもしれないと語り、勉強不足を露呈してし まった。これは Power Macintosh G3 が発売されてしばらくたっていたこ とから爆笑を誘うことになった。論者が同じような間違いを並べ続けたの で私たちはさらに笑い続け、しまいには静かにしなければ全員を会場から イジェクトすると審判員が警告を発した。私はどうしても我慢できなくて Mac ならソフトウェアでディスクをイジェクトすることができることを指 摘し、Peter Lewis 氏はほとんど椅子から転げ落ちんばかりに笑い転げた。

<http://www.apple.com/whymac/>

反論の段になると Mac 側はややパンチに欠けた。その主な理由は反論すべ きものがあまりなかったということにあるのだが。Mac 側の論者は若干持 ち時間をオーバーしたが、PC 側ほど問題にはならなかった。PC 側の論者 は Macintosh が教育、建設、海洋など一部の産業には非常に適していると いう入り組んだ論議を展開したが、時間が足りなくて結論(Mac にコンク リートを詰めて錨にする、学校でドア止めにする、など)に達することが できなかった。Mac 主義者の私たちがそんな機会を与えるはずはなく、 論者が各種産業での Mac の利用を奨励した段階で時間切れになるとともに 盛大な拍手喝采を与え、結論が聞こえなくしてしまった。きたない手段で はあるが、崇高な目的のためだ。

オーストラリアの Mac ユーザー? オーストラリアの Macintosh コミュ ニティが米国のものとどう異なるものか興味があったが、実際にはほぼ同 じだということがわかった。パースでの MacGeeks ユーザーグループの夕 食会(Macintosh ユーザーが経営している日本料理屋で開催され、テイク アウトを待っている客のためにインターネットに接続した Mac をキオスク として置いている)では、プログラマー、ネットワーク管理者、それにサ ポート要員といった人たちと出会った。旅行中には初心者ユーザーたちと 出会った。ほとんどは Mac を気に入っていて、多少なりとも PC を使って いる人は特定のアプリケーションを使う必要がある時にだけ使っていた。 こういった人たちは基本的には今までに米国各地で出会った Mac ユーザー 達と変らなかった。異なる点といえば、米国のコンピュータ業界の気まぐ れからは多少離れているということぐらいだ。そのかわり、高価なソフト ウェア、ハードウェア、インターネットサービスや、たとえば New York Times の Web サイトが米国外のユーザーには一ヶ月しか無料購読をさせて くれないなどといった馬鹿げた対外方針に耐えなければならない。オース トラリアの人達がコンピュータ業界を含め、あらゆるアメリカ的なるもの に対していくらか皮肉っぽいユーモアをもって接するのも不思議ではない だろう。


郵便配達は再びベルを鳴らす

by Matt Neuburg <matt@tidbits.com>
(翻訳:高島 均 <hitak@kk.iij4u.or.jp>)
(  :尾高 里華子 <odaka@iprolink.ch>)

TidBITS の読者なら、私がメールプログラムの中で生活し、またそのメー ルプログラムが Eudora であることは先刻ご承知だろう。1996 年 12 月に Eudora の記事を書いたときは Eudora Pro 3.0 が大好きだったし、今は Eudora Pro 4.0 がお気に入りなのだ。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=00800>
<http://www.eudora.com/pro_email/>

インストール街の悪夢 -- ただ、最初に Eudora 4 へ移行したときはと てもスムーズなんて言えたものじゃなかったことを認めなければならない。 事実、これはユーザーにはっきりとした移行というものを要求する初めて の Eudora アップグレードとなる。以前のバージョンは、その前のバージョ ンと基本的に同じであった。つまり、新バージョンをインストールして起 動しても、外観や機能はとにかく理解のうちにあって、何事もなかったか のようにすぐにメールを送受信できたのだった。メニューによっては再構 成がなされたり、また追加された機能があったりはしたが、それは基本的 には慣れ親しんだそれまでの Eudora と同じであった。(実際、今日に至 るまで、Eudora 2.0 あるいはそれ以前のものにさえなお出くわすことがあ るが、それでもたちまち我が家のような気分になれるのだ。)

でも今回は違う。

手始めに、Eudora のインストーラは全くもってこれまでにないことをやっ てくれる。私の System Folder をいじり回してくれるのだ。まず、それは Thread Manager 機能拡張をインストールしたが、これはシステムに組み込 まれているので必要がない。そこで、これを削除した。

次に、インストーラは WindowShade コントロールパネルと Color コント ロールパネルを Trash に移動して、これらを Appearance Manager(コン トロールパネルと機能拡張)に置き換えた。当然、私はこれに従うつもり はなく、復元しようと即座に Apperance Manager 関連ファイルを削除して 元々のコントロールパネルたちを元の場所に戻したのだった。そうしたら どうなったと思う? Eudora が起動してくれないのだ! Eudora 4.0 には Appearance Manager が 必須 だと判ったのだった。

さて、Mac OS 8 もしくは 8.1 ならばこのことは何の問題にもならない。 すでに Appearance Manager がお供をしてくれていて、それは必要なシス テムの一部であるからだ。しかし、私は今なお System 7.6.1 に止まって いる(8.1 にアップグレードしない理由は複雑なので、聞かないで欲し い)。これによって、一つのちょっとしたメールプログラムを動かすだけ のために、突如として Mac OS 8 のメニューとウインドウが私に課せられ ることとなったのだ! 自作の Open/Save ダイアログのいくつかに不具合が あったので、Appearance Manager のシステム全体をプラチナ調にするをオ フにしたところ、その結果は異例なものとなった。Eudora のみだけが異な るウインドウや異なった色をしたメニューバーなどを含んだプラチナ調に なったのだ。結局、統一されたウインドウやメニューをもう一度手に入れ るだけのために Kaleidoscope をインストールしたのである。

<http://www.kaleidoscope.net/>

一方、私はそれまでの設定とメールボックスを新しい Eudora Folder に移 動して Eudora を起動したのだが、フォルダ内でのサブフォルダやファイ ルの配置の仕方がそれまでと違っていたものの、こちらは見事にうまくいっ た。ファイルは自動的に適切な場所に移されて、従来の設定は保存されて いたし、そして以前からのメールも無事であった。さあ準備は整った。

古きものに戻ろう -- しかしてそれが 2 度目のショックの時だった。新 しい Eudora は以前の Eudora とは見掛けがひどく違うのだ。例えば、メー ルボックスウインドウの第一コラム、つまり Status コラムを見るがいい。 以前なら、そのコラムのそれぞれの列には、返信済みなら R、転送済みな ら F、回送済みなら D、送信済みなら S など、その列のメールに関する処 理状況を表す文字が表示されていた。これは私のような言葉的人物にはぴっ たりだった。

ところが、これらの略字は、その方向に意味に持たせた奇妙な矢印アイコ ンに取って換わられてしまった。西向きは返信済み、東向きは転送済み、 北東なら回送済み(送信済みはチェックマークだが)というように。不幸 なことに、私は方向を見分ける、あるいは抽象的な概念に恣意的な方向を 関連付けるということが得手ではない。したがって、目に映るものは無意 味な矢印なのだ。(そしてあげくの果てに、私の画面上ではアイコンがき れいに描画されないので、非常に見づらいのだ。)こんなに完璧なまでに 素晴らしいソフトウェアを破滅させようと、Eudora 開発者に何かが取り憑 いたというのか? [カラフルなインターフェースが無かったため、何年もの 間 Eudora はみすぼらしいと Eudora 開発者にたくさんの不満が寄せられ ていたというのがその答えだ。-Adam]

メッセージウインドウ上部にあるアイコンにも同様のことが行われている。 ただ、くどくど述べて読者をうんざりさせるつもりはない。これまで見事 に機能的だった、無味乾燥だが歯切れの良い白黒の 2 次元的インター フェースは、これまで Eudora がその Display 設定パネルであざ笑ってき た(皮肉なことに今なおそれは残っているが)一連の“流行の 3D がらく た”そのもので不必要に散らかされてしまったと言えば十分だろう。

もう一つの大きな後退はマニュアルである。優しい言い方で“退化した” と言ってもよい。これまで明快でたくさんの情報を含んでいたドキュメン トは、ごちゃまぜの混乱と化し、多くの重要なポイントを全く判りにくく し、嘆かわしいほどに不完全だ。いくつかの重要なリファレンスやテクニ カル情報は PDF ファイルに移動されたが、中には全く消えてしまったもの もある。

もっとたくさんのボールをお手玉 -- Eudora 4.0 を一週間使ってみて、 新しい外観に受けたショックから完全に立ち直ることができ、そしてこれ が以前よりさらに使い手があることに気付いたのだった。

最も意義のあることは、メッセージのチェックと送信の両方がスレッド (サブプロセス)で行われるようになり、メッセージを読んだり書いたり するメインのスレッドから独立したことだ。このことは、受信メッセージ のダウンロードとキューに入れたメッセージの送信と新規メッセージの作 成とが、全て同時にできるということを意味する。もうこれのとりこだ。 Dilbert アニメのおサルさんのほうがタイプしながら尻尾でマウス操作で きる分、Dilbert より 2 倍も仕事が速いのと同じように、まるで突然新た な器官が体からはえてきたような気分だ。

署名、パーソナリティ、そしてステーショナリは、同一のタブ付きウイン ドウで編集できるようになった。これらの機能を得るために、階層メ ニュー、Settings ダイアログパネル、Save ダイアログをいちいち経由す る必要が全く無くなったのだ。それどころか、アドレスブック、フィル ター、そしてメールボックスの設定ウインドウもまた Windows メニューか ら直接開けるようになった。この変更は決して小さなものではない。これ まで、私はパーソナリティとステーショナリ機能については、その機能へ のアクセス法がとても難しかったことから、どのように使えばよいのかを 良く理解できていなかった。でも、今では常時使用するに至っている。さ らに、あるウインドウから別のウインドウへタブをドラッグして、カスタ マイズすることができる。換言すれば、ウインドウ一枚ごとにどの機能を 載せるかを自由にできるということだ。

スタイル付きテキストは、Eudora のメール用 text/enriched 形式、ある いはもっと汎用的な HTML のどちらでも、送信と受信が可能となった。私 はメールにおけるスタイル付きテキストに反対し続けているが、HTML で コーディングされたメッセージを受信したときでも、この忌々しいものを 判読できるのはありがたいことだ! また、HTML メッセージはインライン画 像をメッセージ内の好きなところに表示できるということもある。何人か のユーザーは、受信した HTML はそれをスタイル付きテキストに分解する のに時間がかかると報告している。この問題は来るべきバージョン 4.0.1 で解決されるとのことだ。

Adam がずっと待ち望んでいた要望がついに組み込まれたところである。す なわち、ニックネームの自動補完である。“matt@tidbits.com”を表す “Neuberg”というニックネームを指定しているとしよう。メッセージ フィールドにニックネームの最初の何文字か、例えば“Neu”のようにタイ プしてタブキーでそのフィールドから抜けると、自動的にニックネームは 補完されてそのアドレスに置き換わるのだ。

バグとあら -- バグと呼ばれるようなものにはほとんどぶつかっていな い。だが、送信用メッセージを編集時に起るテキストまわりの小さな問題 がまだいくつかある。もっともこれらはたまにしか起らないので明確に説 明することはできない。ユーザーの中にはスレッド化されたメッセージの 送受信ができないという報告をしている人もいる。クラッシュすることも あるらしいが、私自身はまだこれにはお目にかかっていない。スッレッド 化された受信でトラブったこともあったが、“Backup resource fork toc's”の設定をオフにして以降は問題ない。Eudora が原因不明のフリー ズに陥ったことが何度かあったが、スレッドとは関係ないようだ。

フィルターに関しては、ダイアログは改良されたが性能は変わっていない。 たとえば、フィルターをかけたメッセージを自動的に別テキストファイル として保存しておくオプションが未だにない。

Find ダイアログのインターフェースの悪さは今も議論の余地がないもの だ。サーチ対象になるメールボックスの指定やサーチ開始ポイントの指定 は、まるでビデオの設定をするようなものだ。(実際、Find のダイアログ はビデオの設定画面をモデルにしているようにも思える。)サーチの設定 後に別のキーワードでサーチしようと思って対象語を消すと、すべての設 定も一緒に消えてしまうのだ。Eudora が最初にヒットしたものがあった時 点でサーチを止めてしまうのは、ほかのメールクライアントとは異なる 点だ。ほかのメールボックスと同じように扱うことのできるヒットしたす べてのメッセージが入っているメールボックスを表示してくれたりしない のだ。とてつもなく不細工だ。

Eudora Folder の移動は多くのユーザーがやろうとすることだが、これも 未だに不細工な部分である。移動したフォルダのエイリアスを System Folder に入れるか、Eudora Settings ファイルから起動するか、もしくは ほかのあまり知られていない技を使うかしなければならないのだ。どうし てダイアログでフォルダの場所の設定ができないのだろう。あの Netscape Mail でさえできることなのに。

署名がメッセージウインドウに表示されないので、不適切な署名を付けた まま送ってしまうということが起りやすい。私は次のようなうっとおしい ことをよくやっているのだ。署名ポップアップを押して現在のメッセージ に付いている署名の名前を見る。そして、Signatures ウインドウからその 署名を開き、それがどんなものだったかを見る。どうしてウインドウの下 に署名部分が見えるようにするオプションが付いていないのだろうか。

返信のため引用した部分のテキストにスタイル指定があった時にはとんで もない目にあう。以下のように、ただ“>”を使いたいだけなのに。

    > You know the sort of thing
    > I mean.

メッセージ中にスタイルを指定したテキストがある場合、引用部分の左側 に縦棒が引かれるといった変な引用になってしまうのだ。そこでメッセー ジからスタイル指定を外そうとすると、棒付きだった引用部分がただのテ キストになってしまう。元には戻らないし、“>”もつかない。

幸い近々登場予定の Eudora Pro 4.0.1 は、スタイルなしで送付する場合 には自動的に左側の棒を“>”で 置き換えてくれる 。そして(Adam か ら教わった)ドキュメントにはなっていない技がある。Shift キーを押し ながら Edit メニューから Paste as Quotation を選択する(Command キー + Shift キー + 'キー)と、スタイルのついていない引用としてペースト できる。Eudora は各パラグラフの先頭だけに“>”をひとつを付ける。一 見誤りのように見えるが、これでスタイルが外れ、各行の頭に引用符を置 きながら改行処理されたものを送付できるのだ。

信用と真実 -- 散々あらを並べてはみたのの、Eudora を信頼して使って いるのだ。平たく言えば私のマシンはほとんど Eudora マシンと 化している 。Eudora 4.0 はメガバイトのメッセージを沢山詰め込んだ メールボックスを文句言わずに処理するようになり、むしろ以前よりも信 用を増した感さえある。

Eudora のパワーユーザーになりたいに方は、ぜひ Adam の記事“Eudora の賢い使い方”を読んでいただきたい。私でさえ一つや二つ学ぶことがあっ たのだ。それから、Adam が著書『Eudora Visual QuickStart Guide』のた めに作っているページをチェックするのも良いだろう。この本の中にある Tips が定期的にポストされているのだ。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04270>
<http://www.tidbits.com/eudora/>

最先端好きの方に付け加えておくと、Eudora Pro 4.0.1 は現在公開ベータ になっている。細かな変更が少々施されているが、そのほとんどは小さな バグのフィクスである。今年後半に出る予定のバージョン 4.1 では IMAP がサポートされることになっている。これは、大きな組織内でユーザーが メールをチェックしてもサーバーにメッセージが残るようにするために待 望されている POP の代わりになるものだ。

<http://eudora.qualcomm.com/betas/>

Eudora Pro 4.0 の価格は 39 ドルで、以前のバージョンのユーザーに対す る割引は用意されていないが、信頼ができてよく働いてくれ生命線でもあ る物の値段としては格安といえるだろう。是非ともお薦めしたい製品であ る。


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