TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#447/21-Sep-98

帯域幅について知りたい? 今週は Adam が亡き Cary Lu 氏のために編集し た新刊本『The Race for Bandwidth』を取り上げ Adam 本人が考察する。 Ethernet ネットワークをインストールしている人は先週の Ethernet 入門 編への付加情報として、より細部とリソースについての有用な情報に目を 通すようお勧めする。今週のニュースは Macintosh メーリングリストデー タベース、Keyspan 社の USB デバイス、Aladdin 社の Desktop Magician などについて、また FileMaker 4.1、Web Confidential 1.0.2、Virtual PC 2.1.1、Norton Utilities 4.0 などのアップグレードニュースもお送り する。

目次:

Copyright 1997 TidBITS Electronic Publishing. All rights reserved.
問い合わせは <info@tidbits.com> へ、感想は <editors@tidbits.com> へ。

TidBITS 日本語版は TidBITS 日本語版翻訳チーム メン バーのボランティアによって翻訳・発行されています。


今回の TidBITS のスポンサーは:


MailBITS/21-Sep-98

(翻訳:秋山 晃子 <nobineko@club.udn.ne.jp>)
(翻訳:亀岡 孝仁 <tkameoka@fujikura.co.jp>)

FileMaker Pro 4.1 を買えば ODBC も使える -- FileMaker 社が Macintosh 版と Windows 版 FileMaker Pro 4.1 の出荷を始めた。同社の 主力商品データベースソフトの最新版である。バージョン 4.1 の主要な新 機能は業界標準 ODBC(Open Database Connectivity)から情報を取り込む 機能であり、この機能により FileMaker ユーザーは Microsoft Access 97、Microsoft Excel、Microsoft SQL Server、Oracle 7 のような製品を 経た情報を使用できるようになる。ユーザーは FileMaker の ODBC SQL Query Dialog 内でポイント& クリックするだけで SQL Query を書くこと ができる。SQL を書き慣れたユーザーは SQL コマンドを直接入力すればよ い。現在ある FileMaker データベースに ODBC ソースのデータを組み入れ たり、ODBC ソースのデータから新しいデータベースを作るといったことが 直ちにできる。ODBC データの取り込みで特に有益に思われるのは、 FileMaker の拡張性に富んだレポート機能やプリント機能をハイエンドデー タベースシステムに収められた情報に適用できることだ。FileMaker Pro 4.1 はまた FileMaker Pro Developer Edition(Kiosk モードや Help と About のカスタムアイテムを含む)で作られたデータベースソリューショ ンの特別機能をサポートし、ユーロの通貨単位(ECU)を認識する。

Macintosh FileMaker Pro 4.1 は System 7.1 以上、CD-ROM ドライブ、少 なくとも 8 MB 以上の RAM(16 MB 以上が強く推奨されている)が必要だ。 FileMaker Pro 4.1 は 199 ドル、前バージョン FileMaker(そして Microsoft Access、4th Dimension、Corel Paradox の各バージョンを含む 多くの競合製品)からのアップグレードは 149 ドルである。FileMaker は データベース製品としてはなお低価格を維持しているが version 4.1 の アップグレード価格は Claris 社が FileMaker Pro 4.0 アップグレードに 設定した価格より 50 ドル高くなっている。また FileMaker Pro 4.1 が ODBC データベースから情報を取り込むためには ODBC ドライバが必要であ ることに注意してほしい。いくつか付属している 30 日間お試し版 ODBC ドライバは Intersolv 社製で FileMaker Pro 4.1 での動作が保証されて いる。これらドライバを 30 日間のお試し期間が過ぎても使用し続ける場 合はドライバを別途購入しなければならない。価格は分かってないが Intersolv 社は同社の DataDirect ドライバにはひとつにつき、だいたい 750 ドルくらいの価格設定をしている。もうひとつの選択肢として他のベ ンダーの ODBC ドライバを使用することもできる。これらは概ね機能する と思われるが FileMaker Pro 4.1 での動作が保証されているわけではな い。率直に言って FileMaker から ODBC にアクセスしないのなら(また FileMaker Pro 4.0 でサードパーティ SQL プラグインが使えているのな ら)、FileMaker Pro 4.1 へアップデートする第一の理由はバグを修復す るためということになる。それで私は無料アップデート 4.0v2 が出るまで 待ってバグを修復するつもりだ。FileMaker の社員によるとアップデート 4.0v2 は数週間以内に入手可能になるらしい。 [GD]

<http://www.filemaker.com/products/frame-filemakerpro.html>
<http://www.profdata.nl/pages/english.html>

Web Confidential 1.0.2 リリースされる -- Alco Blom 氏が自作の便利 なパスワード格納プログラム Web Confidential の新バージョンをリリー スした。Web Confidential については TidBITS-441 でレビュー“Web Confidential:あらゆる秘密に安全を”をお届けしたことがある。バージョ ン 1.0.2 では我々がちょっと気になった問題のいくつかが解決されてい る。たとえばメモフィールド内で矢印キーが使用可能になり、カテゴリの いくつかの紛らわしいラベルが変更されている。また視覚的に見分けやす くするためカテゴリがグループ化され、アピアランス設定でプラチナ調が 選択されてないときに起こるクラッシュが解決され、変更部分が時々保存 されないというバグも修復されている。前バージョンからアップデートす るには 384K の新パッケージをダウンロードしてアプリケーションだけイ ンストールし、前バージョンと取り替えればよい。 [ACE]

<http://www.web-confidential.com/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05020>

Virtual PC 2.1.1 アップデート配布開始 -- Connectix 社が Virtual PC 2.0、2.0.1、2.1 を version 2.1.1 にアップグレードする無料 Virtual PC アップデータをリリースした。(Virtual PC のあらましは“Virtual PC 2.0: ただのマイナーアップグレードではない” TidBITS-433 を参 照。)バージョン 2.1.1 では Virtual PC のエミュレートクロックチップ にあった問題が解決されているので今は閏年を正確に識別でき、Macintosh フォルダの共有中かあるいはドラッグ&ドロップ中に余計なデータが COM ポートに送られる問題も直されている。Virtual PC 2.1.1 アップデータは 740K のダウンロードで、Windows 95 か 98 のユーザーは別に 770K の Windows アップデートも必要だ。 [GD]

<http://www.connectix.com/html/vpc_updates.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04923>

Symantec 社 Norton Utilities 4.0 出荷 -- 長きにわたる公開ベータテ ストを経て、Symantec Corporation 社はようやく半年以上前に発表された Mac OS 8.5 と HFS+ ディスクフォーマットの両方をサポートする Norton Utilities for Macintosh 4.0 をリリースした。(“Macintosh Extended Format (HFS Plus) のすべて” TidBITS-414 参照)ユーザーインター フェースの変更に加えて Norton Utilities のコンポーネントは今や PowerPC ネイティブとなり性能が改善され、Norton Unerase は個々のファ イルのみならずフォルダ全体の回復をも試みることが出来るようになった。 もちろん Norton Utilities の広く使われているディスク修理と最適化の ためのユーティリティである Disk Doctor と Speed Disk、それにデータ 回復のための起動可能な CD-ROM は健在である。Norton Utilities for Macintosh 4.0 の値段はおおよそ 100 ドルで System 7.5.5 以上と 16 MB の RAM を必要とする。Symantec 社の初期の発表では新バージョンは 68040 ベースの Mac でも動くとしていたが、現実には Norton Utilities 4.0 は PowerPC ベースの Mac 用しか出されていない。Symantec 社は旧バージョ ンの所有者には 50 ドルでアップグレードすると言っている。[GD]

<http://www.symantec.com/nu/fs_num4.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04668>

Keyspan 社 USB サポートを追加 -- Keyspan 社はその USB 製品群に USB ハブと USB シリアルアダプタを追加すると発表した。USB ハブは iMac ユーザーにもっと多くの USB 機器を接続可能にする - iMac にはもともと 2 つの USB ポートが付いてはいるが、一つはキーボードとマウス用に取ら れてしまうし、あまり沢山の USB 機器をディジーチェーン状につなげてい くのは問題となりやすい。Keyspan USB ハブは更に 4 つの USB ポートを 提供してくれ、この 9 月末に標準価格 69 ドルで出される予定である。10 月出荷が予定されている USB シリアルアダプタは、標準価格 79 ドルで、 グラフィックタブレット、PalmPilot やある種のプリンタの様なシリアル 機器を iMac に接続出来るようにしてくれる。[ACE]

<http://www.keyspan.com/products/USB/hub/>
<http://www.keyspan.com/products/USB/adapter/>

Macintosh メールリスト・ディレクトリ -- Apple Computer 社の Mail List Gnome と名高い List Mom、Chuq Von Rospach 氏は Apple 社と Macintosh に関するメールリストの完全にアップデートした一覧を出した いと発表した。Apple Mailing List サイトは Apple 社が運用しているも のと、独立系で Macintosh トピックスに関するリストを探している人々に 役立つと思われるものとの両方のリストを含む。もし読者の中で現在載せ られていないリストをご存じなら(Chuq はこれを権威のあるディレクトリ にしようとしている)、まず現在載せられているリストのいくつかと見較 べてみて、[合格と思われたなら] 登録申請を <postmaster@public.lists.apple.com> に送って欲しい。 [ACE]

<http://www.lists.apple.com/>

Aladdin 社の Desktop Magician デスクトップを半分に斬る -- あなた の Mac のデスクトップはあなたの本物の机の上の様に乱雑?もしそうな ら、Aladdin Systems 社の新しい Aladdin Desktop Magician に注目。こ れを使えばプロジェクト毎のファイルとフォルダのセットを作ることがで き、それを何時でもデスクトップへまたはから移すことができる。加えて Aladdin Desktop Magician はデスクトップ上のアイコンの位置を再現する 事ができる、これは画面の精細度を変えたり、ビデオカードをいじくった り、あるいはモニタのセットアップを知らないハードディスクから起動し たりといった時に便利である。Aladdin Desktop Magician の他の使い方と しては、複数ユーザーのための異なったデスクトップとか、大事な項目を 隠すことでのプライバシーの向上とかがある。Aladdin Desktop Magician は 20 ドルで、30 日限定の無償デモも 476K のダウンロードとして提供さ れている。[ACE]

<http://www.aladdinsys.com/magician/index.html>


Ethernet ネットワークをもっと詳しく

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:西村 尚 <hisashin@axes.co.jp>)
(  :尾高 里華子 <rikako@pobox.com>)

特に驚くようなことではないが、読者のみなさんから TidBITS-446 の “シンプルな Ethernet ネットワークを”という私の記事に関して、付加 的な意見や、質問、詳細情報などが殺到した。議論の多くは TidBITS Talk 上で行われたので、その様子を全部知りたければ、TidBITS Talk アーカイ ブの最近の投稿を見てほしい。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05085>
<http://www.tidbits.com/search/talk.html>

追加の情報源 -- Ethernet ネットワークに関する追加情報のあるサイト への多数のポインタを受け取った。多数の Tips が含まれる Robert Woodhead 氏の Ethernet ネットワーク敷設の Tips 盛りだくさんの話、構 造をもった配線に関する情報の掲載されるサイト、Three Macs & a Printer サイト、Ambrosia 社の Networkable Mac Games Networking 101 ページ、 John's Closet などだ。どれも調べてみる価値がある。

<http://www.animeigo.com/WEIRD/NETWORK.html>
<http://www.combsnet.com/networks/cable.html>
<http://come.to/three.macs/>
<http://cafe.AmbrosiaSW.com/netgames/network101.html>
<http://www.digitalmx.com/wires/>

迅速な Ethernet バックアップ -- LocalTalk に代えて Ethernet を選 ぶ大きな理由を教えてくれた Peter Jones 氏 <pejones@mrj.com> を賞賛 したい。ネットワークを介して数ギガバイトのハードディスクをバックアッ プすれば、LocalTalk はあまりに遅いとわかるだろう。ネットワークバッ クアップシステムに大容量ハードディスクのついている数台の Mac を追加 した場合、バックアップは完了するまで一晩かかるほどになるだろう。こ れは恐らく、バックアップ速度の問題がより少ない家庭内よりも小さなオ フィス環境の方がより大きい問題だ。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1041>

ハブは必要か? 大勢の人々が、我々が家で 10Base-2 を選んだことはお かしいと書いてきた。廉価な 10Base-T ケーブルをもっと長くするだけで いいのだからハブは実際必要なかったのだというのだ。一般的には正しい のだが、我々の特殊な状況では、外壁の 3 つの穴を利用して長いケーブル を走らせるといったこともある。1 本か 2 本以上の配線を敷いても恐らく 物理的にうまくいかなかった。これが各所にハブが必要だったろうと書い た理由である。あなたが、配線がむき出しになっていたり、吊り天井裏に 簡単に配線できるような状況にあれば、まぁ、複数のハブを避けられるか もしれないが。

ISDN 接続の共有 -- 何人かの読者は、Sagem Planet ISDN GeoPort Adapter がネットワーク上のすべての Mac にインターネットサービスを提 供でき、これは Vicomsoft Internet Gateway、Vicomsoft SurfDoubler、 Sustainable Software 製 IPNetRouter とほぼ同じ機能だという意見を書 いてきた。また、Sagem 社は iMac ユーザーのために USB ベースの ISDN ターミナルアダプタを発表したことも書き添えている。しかし、Erik Buelinckx 氏 <erikb@agoranet.be> は、ネットワーク上の他の Mac の処 理速度がかなり遅くなることがわかったとコメントしている。

<http://www.sagem.com/en/produit2-en/spiga2.htm>

Ethernet 上の LocalTalk プリンタ -- iMac を扱った最近の私の記事 で、Ethernet ネットワーク上に LocalTalk プリンタを配置することにつ いて詳しく書いたので、再びこの話題を取り上げようとは思わなかった。 それでもこの話題には多くの人が混乱しているので、可能な解決策を上げ ておこう。

<ftp://ftp.info.apple.com/Apple_Support_Area/Apple_Software_Updates/US/ Macintosh/Networking-Communications/Other_N-C/LT_and_LW_Bridge_2.1.sea.bin>

<http://www.asante.com/Products/microprint.html>
<http://www.farallon.com/ether/adapters/iprintadapter.html>
<http://www.sonicsys.com/Products/Ethernet& Fast_Ethernet/microprint.html>

<ftp://mirrors.aol.com/pub/info-mac/cfg/printdesk-15-lite.hqx>
<http://www.ninebits.com/>

Dayna 社はもうない -- よく知られた Macintosh のネットワーキング会 社のリストに私は Dayna Communications を含めていたが、残念なことに 今は Intel 社の所有となっている。さらに悪いことに、Dayna は将来の製 品販売について先月正式にその扉を閉ざした。Intel は Web サイトをその まま稼働させて(これは人を誤解させる。Dayna がもやは存在しないこと をどのページにも明言していないのだから)技術サポートと保障を提供す ると約束している。しばらくの間は新品の Dayna ハードウェアをいくらか 安い価格で見つけられるだろうが、価格が同じであれば Macintosh 市場で 現役選手の会社を支持することをお薦めする。

<http://www.dayna.com/dayna/techsup/eoljune98.html>

性悪なクロスオーバーケーブル -- 数人がクロスオーバーケーブルを常 用するのは苦痛にもなると言ってきた。問題は、ある Mac を起動させた時 に別の Mac が立ち上がっていなかったら AppleTalk がネットワークの存 在を認識できないということだ。これは実にうっとうしい問題だ。Travis Butler 氏 <tbutler@tfs.net> が、双方の Mac の AppleTalk コントロー ルパネルを Ethernet 以外の何かにしてから一度閉じ、再度 Ethernet に 戻すとうまくいくという情報を寄せてくれた。Travis は Tim Kelly 氏作 の 3 ドルのシェアウエア FruitSpeak コントロールバーモジュールを使え ばこの作業が簡単になるとも薦めてくれた。また(Mac OS 8.1 に同梱され おり、それ以前のシステムが載っている PowerBook での利用も可能な) Apple 社製の Location Manager を利用しても同様のことを行うことがで きる。

<http://www.madison-web.com/tkelly/#fs>

ネットワークセキュリティ -- 2 台のマシンでファイルを共有すること について書いた時に、ネットワークがインターネットにも繋がっている場 合はパスワードを慎重に扱わなければならないことに触れるべきだった。 Mac だけのネットワークではほとんど問題はないとはいえ、ケーブルモデ ムが付属した PC のユーザーはインターネットを介してほかの人のファイ ルにアクセスできるということを耳にした。

ケーブルの長さ -- 10Base-2 ネットワークでは、一セグメントあたりの ケーブルの長さは 185 メートル(607 フィート)以内でなければならな い。一方 10Base-T ネットワークの方は一セグメントあたり 100 メートル (328 フィート)以内だ。この制限に引っ掛かることはほとんど無いだろ うが、違う建物へネットワークを張りたいというような場合(近所の人と ネットワークを張るとか)は心にとどめておいたほうがよいだろう。あり がたいことに Data Comm Warehouse 社が各種ケーブルに対応した一覧表を 用意してくれている。

<http://www.warehouse.com/datacomm/techref/chart.htm>

ツイストペアのランク -- 10Base-T ネットワーク用のケーブルを購入す る際はケーブルとコンポーネントのランクに注意するように。高速のネッ トワークには、ケーブルやコンポーネントのランクも音声や低速のネット ワークよりも高いものが必要となるのだ(かつて Kagi の Kee Nethery 氏 は水道管で LocalTalk ネットワークを動かしていた)。10Base-T ネット ワーク用としては、Category 3 から(Cat5 と呼ばれる)Category 5 まで があるが、新たに設置するのならば Cat5 配線にするべきだ。Cat5 は将来 どんなネットワークでも利用できるだろうから。

複数の OS の下で -- Peter Wood 氏 <pwwood@ecsu.campus.mci.net> か らネットワーク上にある Mac の OS のバージョンが異なることで問題が発 生したりしないのかという質問を受けた。答えは「ノー」で、問題は全く ない。もっともネットワークを構築するために新しいバージョンの Mac OS が必要になるということはあり得る。たとえば、私たちにとって SE/30 に LetterRip Pro をインストールすることは、それまで渋ってきた Mac OS 7.5.5 と Open Transport へアップグレードする唯一の要因だった(そう しなければ LetterRip Pro は動かない)。

PC カードや古いシステムの場合 -- Peter Adams 氏からは以下の 2 点 の指摘があった。一つは、PC Cards を利用している PowerBook(また珍し い Ethernet デバイスを使用している Mac でもありえる)が Ethernet ネットワークにアクセスするための AppleTalk や TCP/IP コントロールパ ネルの設定は“Ethernet”ではなく“Alternate Ethernet”になっている かもしれない。焦らなくても大丈夫。Ethernet という言葉が使われている ものが一つならば、それで良いのだ。もう一つは、Mac OS のバージョンが 古い場合は、Ethernet カード用の Ethernet ドライバをインストールしな ければならないかもしれない。この手のドライバは付属されているべきも のなのだが、無い場合は Apple 社の Network Software Installer 1.5.1 をダウンロードしてインストールする(これはディスクイメージなので、 マウントするために Apple 社製の DiskCopy か Aladdin 社製 ShrinkWrap のどちらか必要になることに注意)。これで上手く行かなければ、テクニ カルサポートに電話をすることだ。

<ftp://ftp.info.apple.com/Apple_Support_Area/Apple_Software_Updates/US/ Macintosh/Networking-Communications/Network_Software_Installer/ ZM-NSI_1.5.1.sea.bin>

ワイヤレス Ethernet -- 誰からも話が出なかったことだが、ワイヤレス Ethernet の簡単なコメントでこの記事を締めくくりたい。Digital Ocean という会社が Macintosh 用のワイヤレスネットワーク製品を作っているの だが、値段の点でも性能の点でも問題がある。Digital Ocean 社の Web サ イトは反応してくれなかったし、それ以外でこういった製品(Ethernet 用 の Manta や Starfish、LocalTalk 用の Grouper)扱っているところを見 つけることもできなかった。もっとも暗い話ばかりではなく、Henry Norr 氏が MacWEEK に書いた今年の WWDC に関するレポートには Apple が Mac に搭載する新しい Comms Module スロットとして、ワイヤレス Ethernet モジュールに取り組んでいるとの嬉しい記載があった。製品として日の目 を見るかどうかやそれがいつになるかなどは書かれていないが、その日ま ではホームネットワーク用の廉価な割にはまともなワイヤレス Ethernet ソリューションをどこかが出してくれることを望みたい。

<http://www.digitalocean.com/>
<http://macweek.zdnet.com/mw_1219/nw_hardware.html>


『The Race for Bandwidth』

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <shu@pobox.com>)

一年近く前、著名なテクノロジストかつ Macintosh ライターだった Cary Lu 氏が 9 ヶ月に及ぶ癌との戦いの末に世を去った。“Cary Lu を偲んで” ( TidBITS-399 ) で私は Cary の人となりを、それから彼が私たちに残し た記憶への思いをお伝えしようとした。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04169>

しかし、あの記事では Cary が残していってくれた最後の贈り物について は語らなかった。その贈り物とは Cary が Microsoft Press 社のために書 き進めていた帯域幅に関する本だったのだ。Cary は癌と診断される以前に この著作の大部分を書き上げており、放射線療法と化学療法で体力を消耗 しながらも、彼はこの本の完成にこだわった。見舞い客とこの本の話をす ると彼は目に見えて元気になったものだが、この果敢な取り組みも実を結 ぶことがなかった。Cary でさえ癌と闘いながら本を書き上げることはでき なかったのだ。

最後の方は私と、当時 New York Times 紙で今は Forbes 誌のライターを している Cary の友人、Steve Manes 氏がこの本を完成させる役目を買っ て出た。自分たちに Cary ほどの力があるなどとは夢にも思っていなかっ たが、二人でなら最終的な仕上げをすることができるだろうと思ったのだ。 Steve は Cary と何時間もかけてインターネットの帯域幅に関する章のメ モを読み進み、私は Cary に音声や動画の帯域幅の細かい説明を受けた。 だが最終的には Cary は草稿を私たちに遺して逝った。着手から 1 年も 経ってから手を出した私たちにとっては、本人にとっては 80% 出来上がっ ていた草稿も 60% 程度しか出来上がっていないように見えた。

それでも私と Steve は耐えた。インターネットに奥深く分け入り、帯域 幅、衛星ラジオ放送、その他世界各地のテレビ放送規格の歴史などに関す る詳しい情報を掘り出してきた。文を繋ぎ合わせ、移動し、編集し、書き 加えた、ついには草稿を本とすることができた。こうして出来上がったの が『The Race for Bandwidth』(19.99 ドル、Microsoft Press 社刊、ISBN 1-57231-513-X)なのだ。Microsoft Press 社の編集者たちがイラストや要 約を加えた。Cary の妻、Ellen W. Chu 氏がユーモラスかつ胸を打つ前書 きと、本の刊行に力を貸した人たちだけでなく Cary の闘病中に親しくし てくれた人たちへの謝辞を付け加えた。

<http://www.amazon.com/exec/obidos/ISBN=157231513X/tidbitselectro00A/>

帯域幅について -- 『The Race for Bandwidth』は 8 つの章から構成さ れており、このうち最初の 4 章は基本的に背景の説明だ。冒頭で帯域幅と は何かと、帯域幅が情報社会で重要なのかはなぜかを述べ、続いて帯域幅 の歴史を辿る。続く“Thinking about Bandwidth”という章では、帯域幅 に対するよくある誤解に目を向ける。たとえば、スピードの遅い船の方が 高速な通信回線よりも帯域幅が広いといったものだ。この理由は、帯域幅 が一定の時間内にある地点から別の地点へ移動する情報量を測るものだか らで、ニューヨークからロンドンへ CD-ROM を積んだ貨物船を動かす方が、 たとえ航行に一週間かかっても、どんなインターネット接続よりも帯域幅 という点でははるかに上を行くからだ。背景説明の 4 つ目の章では、アナ ログとデジタルの帯域幅の違いを取り上げ、双方の利点と欠点について述 べる。デジタル化の進んだ今日、デジタルの方が“優れている”と言うの は簡単だが、実際にはこの二つを比較することさえ難しいのだ。たとえば、 オーディオ CD はアナログのカセットテープよりも音質が良いと言うこと はできるが、この比較だとデジタル方式とアナログ方式を比較しているの ではなく、音声情報を伝達するための高帯域幅方式と低帯域幅方式を比較 しているのだ。

音声と動画の放送における帯域幅が続く 2 章のテーマだ。インターネット 畑出身の私にとって、この章のための調査と編集は実に興味深いものだっ た。Cary は既存、それに将来登場すると思われる放送帯域幅の種類をカ バーしていた。たとえば、デジタル衛星ラジオは今後数年の間に通常のア ナログ AM と FM ラジオに取って代わり始めるだろう。アメリカでは、 2005 年までに全人口の 4% が S バンド(2310-2360 MHz)のデジタル衛星 ラジオ放送を受信することができるようになるだろうと FCC は推測してい る。一方、すぐ北にあるカナダでは、同様にデジタル衛星ラジオ放送を取 り入れる計画だが、L バンド(1452-1492 MHz)を使用する。そして 2010 年までには既存のアナログ AM および FM 局は すべて デジタル衛星ラ ジオに移行する。面白いことに、カナダは航空遠隔測定に S バンドを使用 し、一方米国は L バンドを使用する。この不一致が将来どういう事態を招 くかはわからないが、未来のラジオは国境を越えることができないかもし れない。

インターネットに関心がある方は、最後の 2 章が最も説得力があると感じ られるだろう。まず、Cary は点から点への帯域幅を検討する。たとえば電 話、ポケベル、ファックスなどだ。この章で最も重要な点は、回路交換通 信とパケット交換通信の違いだろう。通常の電話のような回路スイッチ通 信の場合、電話会社が作ってくれた仮想回路をまるごと自分のものとする ことができ、したがって帯域幅をすべて自分の通話のために使うことがで きる。回路を独占できるということは重要だ。というのは、音声通信の場 合、たとえば沈黙には意味があるからだ。しかし、デジタルデータをやり とりしている場合、通信は本質的に断続的なものになる。Web ページを受 信し、しばらく読み、そして次のページへと移動する。この場合、中断そ のものに意味があるわけではないので、帯域幅を共用して負荷を分散させ ることは理に適っている。これはすべての通信をパケットに分割し、それ ぞれを個別に送信することで達成される。問題は、インターネットのよう なパケット交換ネットワークを公衆電話回線のような回路交換ネットワー クに載せようとするような場合に生じるのだ。

こうして回線のしくみを説明した後、Cary は帯域幅がインターネットでど のような働きをするかを検討する。誰もがインターネットのしくみをもっ と知りたいと考えているようなので、いろいろな意味でこの章が本全体の 核心ということができるだろう。とは言っても、TidBITS 読者のインター ネット愛好家たちは、Cary が指摘している主なポイント、たとえばイン ターネットを介したコミュニケーションのボトルネックとなる様々な原因 などは既に押えておられるだろう。

Cary の遺産 -- Steve と私が Cary の著作を完成させることにしたの は、ただ友情からだけでなく、私たちのいずれもがこの本はお蔵入りにす るにはあまりにももったいないと感じたからだ。この本を手にする人は恐 らく多少なりとも短波ラジオやインターネットへの関心などの専門知識を 持っていることだろう。私が望むことは、この本を読み終えた誰もが少な くとも今日における情報伝達に関する問題に対する理解を深めて本を措い てくれることだ。少なくとも私はそうだった。何か調べ事をしている時、 Tonya のオフィスにふらりと入り、Far Side の有名なマンガのせりふを口 にした。「ジョンソンさん、失礼してよろしいでしょうか? 脳みそがいっ ぱいなもので。」

最後に、Cary の子供たち、Nathaniel Chu と Meredith Lu へ ― 去年私 たちは Web サイトをセットアップし、どこかで Cary と出会った人たちが 思いを寄せることができるようにした。このコレクションを中性紙に印刷 して子供たちにあげようという計画だ。一年が経った今、最後の出力をす る段階になってきているが、まだ言葉を寄せていない方は印刷してしまう 前の最後のチャンスを利用していただきたい。データベースそのものは、 Ellen が希望する限りできるだけ長い間公開しておきたい。これが『The Race for Bandwidth』をはじめとする Cary の著作、評論、短編映画、そ れに研究とともに、もうひとつの Cary の遺産となるからだ。

<http://www.tidbits.com/carylu/>


非営利、非商用の出版物およびウェブサイトは、フルクレジットを明記すれば記事を転載またはウェブページにリンクすることが できます。それ以外の場合はお問い合わせ下さい。記事が正確であることの保証はありませ ん。書名、製品名および会社名は、それぞれ該当する権利者の登録商標または権利です。TidBITS ISSN 1090-7017

tb_badge_trans-jp2Valid HTML 4.01!Another HTML-lint gateway