TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#473/29-Mar-99

ネットワーク管理者はメモのご用意を! Matt Deatherage が、Ethernet 経 由で iMac や Power Mac G3 最近機種をブートする Mac OS X Server の新 しい NetBoot 機能を考察する。今週号ではまた、Adam が Fog City 社の 秀逸な LetterRip Pro メーリングリスト管理プログラムを徹底的に検証す る。ニュースでは、Apple 社による MRJ 2.1.1 のリリース、StarNine 社 がメール機能やめざましい性能アップを加えた WebSTAR Server Suite 4.0 を発表した話題をお届けしよう。

目次:

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MailBITS/29-Mar-99

(高島 均 <hitak@kk.iij4u.or.jp>)

StarNine 社が WebSTAR Server Suite 4.0 を発表 -- StarNine Technologies 社は、WebSTAR Server Suite 4.0 を発表したところで、こ れは、同社の WebSTAR インターネットサーバ・パッケージの次期バージョ ンとなるものである。WebSTAR Server Suite 4.0 には、Web、FTP、プロキ シサーバという WebSTAR のコアサーバ群に加えて、新しい統合メールサー バ(SMTP、POP、IMAP をサポート)と、FileMaker や ODBC のデータベー スを Web に向けて公開する機能が含まれるだろう。WebSTAR のデータベー ス公開機能の基盤となっているのは、Blue World Communications 社の来 る Lasso Web Publisher 3.5 である。Lasso Web Publisher 3.5 とは、 Lasso 3.5 Web Data Engine フルバージョンのサブセットで、これにより、 ほとんど手を加えることなく、データベースを主体とした Web リソースの 公開が可能となる。WebSTAR Server Suite 4.0 にはまた、ネット商取引を 行うサイト向けに SSL による暗号化が統合され、より多くの認証形式や (Server Gated Cryptography を含む)暗号化技術をサポートする。さら に、再設計された賢いキャッシュシステムやそのほかの低レベル拡張によ り、しっかりした性能向上がもたらされるはずだ。StarNine 社によれば、 総合的なパフォーマンスは WebSTAR の現行バージョンの 2 倍となり、デー タ転送レートは 5 倍速くなるとのことだ。WebSTAR Server Suite 4.0 は 6 月には提供されるはずだが、価格の詳細はまだ決定していない。 [GD]

<http://www.starnine.com/about/pr/pr032999a.html>
<http://www.blueworld.com/blueworld/news/3.29.99-Lasso3.5announce.html>

MRJ 2.1.1 が入手可能に -- Apple Computer 社は、Macintosh Runtime for Java のバージョン 2.1.1 を発表したところで、これは先月の MRJ 2.1 へのすばやいフォローアップとなる。( TidBITS-467 の“MRJ 2.1 は高 速で Explorer で使える”を参照のこと。)MRJ 2.1.1 では、Sun 社の Java 1.1.7 仕様に対応し、プロキシサーバあるいはファイアウォール経由 でのアプレットのロードを改善し、Mac OS ローカライズ版へのインストー ルをサポートするほか、Yahoo Game の Java アプリケーションも動作す る。MRJ 2.1.1 には、最低 32 MB の RAM と Mac OS 7.6.1 以降を搭載し た PowerPC ベースの Mac が必要である。QuickTime 3.0 もあるとよいだ ろう。MRJ 2.1.1 は MacBinary 形式で 7.8 MB のダウンロードである。 [GD]

<http://www.apple.com/java/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05282>
<http://games.yahoo.com/>


潜水艦 NetBoot

by Matt Deatherage <mattd@gcsf.com>
(翻訳:松岡 文昭 <mtokfmak@mxa.mesh.ne.jp>)
(  :尾高 修一 <shu@pobox.com>)

多分、Apple がリリースしたばかりの Mac OS X Server で最も面白い部分 は、サーバマシンから Ethernet ネットワーク上の新型 Macintosh クライ アントに Mac OS を起動させることができる NetBoot であろう。1 月の Macworld Expo で実証されたように、NetBoot は Ethernet ネットワーク 上にある穏当な数の Mac OS クライアント用に、サーバマシン上のディス クイメージファイルを起動ディスクへと効率よく変換し、システム管理者 の業務を簡単にするのだ。

<http://www.apple.com/macosx/server/netboot.html>

イメージマシンの中 -- Mac OS X Server のリリースにより、実際どの ように NetBoot が働くか、もう少し多く知ることができるようになった。 サーバは標準的な Mac OS ディスクイメージファイルを二つ有している。 一つはシステムソフトウェアで、もう一つが NetBoot クライアントが使用 するためのアプリケーションだ。起動中に N キーを押し続けると「新世 界」の ROM-in-RAM アーキテクチャを用いた Macintosh - 現在は iMac と青と白の Power Macintosh G3 のみ - の Open Firmware は、業界標準 の BootP プロトコルを使用して、ローカル Ethernet ネットワーク上の NetBoot サーバを捜すのだ。サーバは事前に割り当てられたレンジから IP アドレスを返すことによって応答する(それぞれの IP アドレスは要求の あったコンピュータのハードウェア Ethernet アドレスと合致しているの で、サーバは常に同じ IP アドレスを一つのワークステーションに割り当 てることができる)。BootP の別の部分はサーバから起動するための要求 を処理する。そのプロトコルの半分は、ほぼ通常の起動が行われるクライ アントマシンに“Mac OS ROM”イメージファイルをダウンロードするため の Trivial File Transfer Protocol (TFTP) を使用している。FTP は未起 動のコンピュータのための複雑なプロトコルである TCP/IP を使用してい る。TFTP は TCP に比べ下位レベルコミュニケーション手段の UDP (User Datagram Protocol) で動く簡易バージョンだ。

<http://til.info.apple.com/techinfo.nsf/artnum/n60058>

一旦、ROM ファイルがクライアントシステムに入ると、クライアントシス テムは ROM イメージ内から IP スタックを初期化し、BootP から返され た AFP サーバ情報、およびあなたの入力するユーザー名とパスワードを 使用しサーバにログインするのだ。Mac OS X サーバは二つの異なったボ リュームのように見える 3 つのディスクイメージ - (前述の)アプリ ケーションディスク、若干変更が加わった Mac OS 8.5.1 を含むリードオ ンリーのシステム起動ディスク、そして同じ容量のシャドーディスクイ メージ - を返す。NetBoot が直面する主要な障害は、多くの Mac OS ア プリケーションが起動ディスクへの書き込みができることを前提としてい ることだ。 NetBoot されたマシンではそれができるが、その変更はこの シャドーディスクイメージに対して行われるのだ。実際の起動ディスクイ メージは、全てのクライアントによって共有され、変わることはない。だ が各々のクライアントマシンのプログラムはディスクに対して書き込みを 行い、それらの変更点は各クライアント毎に独立したシャドーファイルに 個別に保存されるのだ。

例えば、NetBoot されたマシンを使用し、インターネットからダウンロー ドしたフォントをインストールするとしよう。それはシステムフォルダ内 のフォントフォルダへの書き込みを伴っている。Finder はそれを許可し、 フォントがフォルダーの中に現れ、その時点からアプリケーションによる 使用が可能となる。しかしその背後では Mac OS X Server が、変更されて いない本物の起動ディスクの上にあなたの変更を重ねた「融合」ディスク をあなたの Mac クライアントに見せているのだ。どのクライアントも起動 ディスクを変更できないからそれは上手くいくのだ。もし、オリジナルの ディスクイメージがシャドーファイルの背後で変更されていたなら、言っ てみれば、それらの違いがそこに在るべきでないデータに適用され、大変 な混乱を引き起こしてしまう。

各々の NetBoot クライアントが再起動したり終了したりする際に、シャ ドーである起動ディスクイメージファイルは捨てられるので、実習室のマ シンを使用している人々は起動ディスクを一時的に好きなように変更でき る。何故ならそれらの変更はその Mac OS セッションの間だけ有効だから だ。非論理的になことに Don Crabb 氏の名を取って命名されなかった Macintosh Manager は、Workgroups 用の At Ease の末裔で、クライアン ト用のデスクトップパターンや Finder 初期設定等クライアントレベルで のカスタマイゼーションを提供するのだ。Macintosh Manager は認証段階 で入り込むので、誰が起動を試みているかをサーバが知れば、あなたの初 期設定は判っているので、どのマシンでもあなたがカスタマイズしたデス クトップが再現されるのだ。各ユーザーは AFP サーバ上にプライベート ファイルと初期設定用のフォルダを有している。ネットワークでブートす る Mac OS は初期設定フォルダーの内蔵場所を、システムフォルダ内の通 常の場所でなく、サーバ上のフォルダに求めるのだ。アプリケーションが 初期設定フォルダの在処を勝手に推測せず Mac OS に問い合わせる限り、 全ては魔法のように上手くいき、各ユーザーの初期設定は同じ NetBoot サーバから起動するどのクライアントマシンでも入手が可能なのだ。

ライセンス設定も楽々 -- 起動用とアプリケーション用のディスクイメー ジは Administrator (Unix 流に言えば“root”のエイリアス)以外は変 更を加えることができない。それも他のクライアントがログインしていな い時に限られるだろう。これで NetBoot の売りである集中管理が可能にな るのだ。いずれかのディスクイメージに変更を加えれば、すべてのクライ アントが次に起動した時にそれが自動的に有効になる。一度アプリケーショ ンをインストールすればすべてのクライアントが利用できるようになる。 同様に、システム構成に変更があった際にはすべてのクライアントに同時 に有効になる。たとえば StuffIt Engine を起動ディスクイメージに追加 すれば、すべてのクライアントから利用できることになる。ユーザーがク ライアントマシンの内蔵ハードディスクに危害を加えないように、起動時 に内蔵ハードディスクをアンマウントする機能拡張をインストールしてお くことさえ可能だ。

一方、NetBoot はライセンス問題の元にもなりえる。Default Folder 3.0 のような商用の機能拡張をインストールして 20 台の Mac OS クライアン トを起動するには、20 ユーザー分のライセンスが必要になる。そこで Sassafras Software 社の KeyServer のようなライセンス管理プログラム の力を借りる必要があるかもしれない。KeyServer はアプリケーションが 起動する際にサーバをチェックしにいくように変更を加えるもので、ライ センスの数を超えない数のユーザーしか同時に利用できないようにする。 こうすれば、たとえば iMac が 30 台ある教室では、すべての iMac から Applications ディスクイメージにある Photoshop 5.0 を見ることができ ても、KeyServer を使ってクライアントの数を 5 に限っていれば、6 人目 の Photoshop ユーザーは他の誰かが Photoshop を終了するまで待たなけ ればならない。Mac OS X Server パッケージには KeyServer のデモ版が 収録されている。

<http://www.stclairsoft.com/DefaultFolder/>
<http://www.sassafras.com/>

万能とはいかず -- NetBoot に明らかな制約がないわけではない。ま ず、通常の起動プロセス中にどれだけ Macintosh が起動ディスクを読みに 行くか考えていただきたい。次にこれを遅いネットワークを介して行った 場合を想像していただきたい。Apple は NetBoot は通常の SCSI と互角の スピードを持った 100Base-T ネットワーク以外での利用は想定していない としている。NetBoot は BootP プロトコルを利用しており、BootP は単一 のネットワークセグメントで動作することを前提としているため、サーバ からルータを介して隔てられているクライアントを NetBoot で起動するの は簡単にはできない(BootP がネットワークセグメントを超えて動作する ことを可能にするルータもあることはあるが、この場合にはパフォーマン スに影響が出る)。Mac OS X Server のネットワーキングは強力なので、 Ethernet カードを追加して BootP クライアントを増やすことはできるが、 多数のクライアントをまともにサポートするには RAM が山ほど必要にな る。Apple は高負荷サーバには最低 128 MB の RAM を推奨しており、 NetBoot に加えて Apache や WebObjects などのサービスを提供する場合 には 200 MB 以上が必要としている。NetBoot サービス だけ を稼動さ せる(Web やファイルサーバなどを動かさない)場合、約 50 のクライア ントをサポートすることができるとしている。他のサービスを追加すると このクライアント数が減ることになる。

<http://til.info.apple.com/techinfo.nsf/artnum/n60169>

次に、必要となるディスクスペースを考慮に入れよう。起動ディスクイメー ジが 50 MB を必要とすれば、起動しているクライアントの それぞれ が このファイルのシャドーコピーを持てるようにしなければならない。した がって 30 台のクライアントがある教室では、1.5 GB(50 MB x 30 クライ アント)がシャドーファイル用に必要となり、それに加えて Mac OS X Server ソフトウェア、それぞれのユーザー用フォルダ、アプリケーション 用ボリューム、その他のファイル用のスペースが必要となる。Apple はサー バマシン用に最低 5 GB のスペースを推奨している。

最後に、NetBoot には Open Firmware での BootP プロトコルサポートが 必要だ。これは iMac より古いマシンにはない。旧型のマシンでは Open Firmware が ROM に焼き付けられており、パッチでこれほど大がかりな新 機能を実現することはほぼ無理だ。したがって、iMac と青と白の Power Macintosh G3 だけが NetBoot クライアントとなることができる。旧い Mac OS クライアント用には Macintosh Manager というプログラムが At Ease for Workgroups の後継版として供給されるが、ローカルハードディスクか ら起動することになり、従来通りの方法でセッティングを行うことになる。

NetBoot のようなものは今まで Macintosh 用に存在したことがなかったの で、アップグレードすべきか否かで思い悩むことはない。ただし、ネット ワーク管理者としては以下のようなことを考慮すべきだろう。

今後導入するという場合には、NetBoot はネットワーク管理者の寵児とな ると私は予想している。旧いマシンではあまり魅力はないが、iMac と Mac OS X Server マシンを合わせて導入するのであれば、NetBoot で厄介な環 境設定にまつわる問題を一掃することができる。当初はほぼ間違いなく互 換性の問題が出てくるだろう。1987 年に Apple II マシンがはるかにシン プルなオペレーティングシステムの元で初めてネットワーク起動できるよ うになった際にも同じ問題があった。だが長期的に見れば、特に教育機関 では NetBoot は多少の試行錯誤には値するだろう。

[Matt Deatherage 氏は、シリアスな Macintosh ユーザーのための奥の深 い情報で高名なニュースレター、MWJ を発行している。MWJ は定期購読で しか読むことができないが、MWJ の Web サイトから 3 週間のお試し購読 を申し込むことができる。]

<http://www.gcsf.com/pages/mwj/>


LetterRip Pro を使えばあなたもプロに

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 里華子 <rikako@pobox.com>)
(  :亀岡 孝仁 <tkameoka@fujikura.co.jp>)
(  :西村 尚 <hisashin@hotsync.co.jp>)

プログラムは時として実に巧妙に我々の生活に入り込む。数ヶ月ぐらいたっ てからでないと自分がそのプログラムに頼っていることに気がつかない。 「ちょっと試しているんだ」という台詞を口にし、頭では他のものに乗り 換えることもあるだろうと思っている。私たちにとって、Fog City Software 社製のメーリングリスト管理ソフト LetterRip Pro もそんなプ ログラムの一つだった。

<http://www.fogcity.com/>

StarNine Technologies 社製の ListSTAR とは 1996 年以来の付き合いで、 これで TidBITS のメインのメーリングリストとその他の小さなリスト少々 を動かしている。ListSTAR を気に入っていたし、それが載っている Mac が Popco 社に置かれ T1 回線を利用できることもあり、何ら問題はなかっ た。

<http://www.starnine.com/>
<http://www.popco.com/>

そんな時 LetterRip Pro が登場した。5 万人規模のメーリングリストを動 かすのは生易しいことでない。それに、このリストは FileMaker Pro デー タベースを利用して安全確実に処理されていた。( TidBITS-420 の“正 統のメーリングリストにあらず”を参照。)そこで LetterRip Pro を家に ある古い SE/30 にインストールし、実験的に小規模のリストを動かしてみ ようということになった。そして、日に 20 通ほどのメールを 1,300 人の 登録者に送付する TidBITS Talk 用に利用するまでに至っている。TidBITS Talk のために私たちのインターネットの回線がオーバーフローしてしまう こともあり得るが、今のところ LetterRip は悠然と働き続けている。現在 SE/30 で数千人が登録されている約 25 のメーリングリストを動かしてい る。どうしてかって。それは、私たちがソフトウェアとハードウェアの両 方がその任務に耐えうると信じているとうことと、リストのセットアップ が非常に簡単だという理由からだ。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04761>

仕組 -- LetterRip Pro には 2 つの主要部分がある。LetterRip Pro Server 部と LetterRip Pro Administrator 部だ。LetterRip Pro Server 部は外から入ってくるメッセージの受信と処理、およびそれを送りだす作 業を担当している。LetterRip Pro Administrator 部でメーリングリスト の設定およびそれにかかわる処理を行うようになっていて、これは LetterRip Pro Server 部と同じマシンに入れておくこともできるし、別な ところに置いておきインターネットを通して操作することもできる。どち らのプログラムもそれぞれ 2.5 MB の RAM を必要とする。また LetterRip Pro の最低必要条件は Open Transport 1.1、System 7.1(Mac OS 8.0 以 降を推奨)、68030 プロセッサ、空きディスク 10 MB 以上となっている。

LetterRip Pro は必ずしもインターネットに繋ぎっぱなしにしておく必要 はない。常時繋がっていると、LetterRip は専用メールサーバのように SMTP からのメッセージを受け取ることができるのでベストである。ダイヤ ルアップ接続で折々繋ぐと、LetterRip はメールクライアントのように POP からメッセージを受け取らなければならなくなる。SMTP の方がパフォーマ ンスが高くトラブルが少ない。一方 POP だと同じ Mac でもう一つ SMTP サーバを動かすことができる。

LetterRip Pro にはもう一つ“プロセッサ”という小さなプログラム群が ある。これは(主に AppleScript で書かれていて)LetterRip の機能を拡 張してくれるものだ。たとえば、Email Admin プログラムを使うと複数ア ドレスの登録や登録削除を一括処理できるようになる。LetterRip Pro に 同梱されているプロセッサには、登録の確認を行うもの、メッセージをアー カイブ化するもの、登録者のリストを知らせてくれるものがある。これ以 外にユーザーが作ったプロセッサもある。

<http://www.fogcity.com/lr_utilities.html>

セットアップ -- LetterRip Pro を使い始めるのは簡単だ。インストー ラがすべてのファイルを正しい場所にインストールしてくれる。インストー ルが終わるとまず LetterRip Pro Server を次に LetterRip Pro Administrator を起動させる。LetterRip Pro Administrator にはタブが 2 つ付いた Server Settings ダイアログボックスがあり、そこにサーバド メイン、リクエストアカウント(LetterRip に送られるコマンドを受けと るメインのアカウント)、管理者のアドレス、パスワードといった必要な 情報を入れる。メールの送受信に関してはデフォルトでほぼ大丈夫だが、 発信メッセージの送り方を、直接送るか(バウンスが少なくなるのでベス トだろう)、別のメールサーバを経由するかのどちらかを選択できる。

LetterRip は TidBITS が普及に努めている 登録や登録削除用の -on およ び -off のアドレスをサポートしているが、ユーザーがコマンドを送って 登録、登録削除を行う“リクエスト”アドレスを作ることもできる。POP では-on や -off のアドレスを利用することはできない。

このあたりで、専門用語の解説を少ししておこう。LetterRip のインター フェースには Mail List と Address List というものがある。メーリング リスト一つ一つに、その設定の書かれた Mail List と、メッセージを受け 取る登録者のリストである Address List がある。最初は紛らわしいかも しれないが、すぐに慣れるだろう。

メールリスト -- サーバ設定がちゃんとできたら、次はメーリングリス トの作成だ。Setup メニューから Mail Lists を選択し、Add ボタンをク リックすると Mail List ダイアログボックスが開く。そこには下記のタブ が並んでいる。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05321>

アドレスリスト -- メールリストをセットアップする間、アドレスリス トをつくることができる、さもなくばアドレスリストウィンドウの中で手 で作ることもできる。アドレスリストウィンドウには、2つのカラムがあ り、メールアドレスのためのものと名前のためのもの(必須ではない)で ある。ここでアドレスの追加、削除、および編集ができる、またカラムヘッ ダをクリックすることによって、あるいは Addresses メニューを使ってア ドレス、名前、あるいは購読依頼でリストをソートすることができる。ア ドレスを追加するためにはメールアドレス(いろいろなフォーマットの) を含むテキストをアドレスリストウィンドウにドラッグすることでできる し、一つのアドレスリストウィンドウから他へもアドレスをドラッグする ことで可能である。

Addresses メニューは、Remove Duplicates コマンドを持っており(いく つかのリストをマージする時は非常に役に立つ)、それに他のプログラム へ/からリストを移すための Import と Export コマンドがある。Edit メ ニューの中の簡単な Find コマンドで、アドレスか名前のなかのテキスト を検索できる。複数アドレスを選んで削除することはできるけれども、更 に進んで LetterRip が検索文字列にマッチする全てのアドレスを探し出し てくれればさらに良いのだが。

LetterRip Pro のアドレスリストは、残念なことには単なるテキストファ イルに近い。思うに、アドレスリストは加入者情報を格納するリレーショ ナルデータベースであるべきである。次善の策としては、FileMaker Pro のようなデータベースときちんと結合したものでありたいものである。そ れが我々の TidBITS リストでやっていることであるが、LetterRip でその 機能性を再現することは簡単でないであろう。

バウンス -- LetterRip Pro が見劣りするのは、バウンス処理である。 Fog City 社は LetterRip が受け取るバウンス(一時的障害の大部分を除 いて)をリストするのに“バウンスダイジェスト”を作る方法を選んだ。 15 の個々のバウンスより一つのバウンスダイジェストを受け取る方が便利 かも知れないが、しかし単にマニュアル処理のためにバウンスの集めるだ けでは深刻な問題に対する解としては中途半端で時間のかかるものである。

多くのメールリストがバウンスを無視している、そして結果的にリストを 見せかけ上大きくしバンド幅を浪費している。我々はバウンスを無視する ことは認めがたいので、我々のリストの上でもそうしている、従ってあな たがある回数バウンスすれば、リストからオフとさせて貰っている。

LetterRip がアドレスリストの下にデータベースの機能を追加してくれれ ば、バウンス処理を自動化するのも簡単になり、ある回数バウンスすれば その不正アドレスを削除することもできる。行儀がいいメールサーバであ ればこそ、多くのバウンスを削減することは正しい方向への第一歩である。 あいにく、若干のメールサーバは - BBS システム、Microsoft Exchange そして cc:Mail はとりわけ - 不可解なバウンスメッセージを生成する傾 向がある;これらはまだ人手による注意を必要とする。

ドキュメンテーションとサポート -- Fog City 社は LetterRip Pro を 電子的でのみ販売しているので、そのドキュメンテーシ-ョンも電子的であ りしかもいくつものフォーマットが使われていて、そこにはスタンドアロ ンアプリケーション(Find 機能が欠如)そして PDF(ブックマークが欠 如)が含まれる。ドキュメンテーションは良くできているが素晴らしいと 言うほどではないと感じた。必要な基礎的な情報は網羅しているが、必要 かどうか判らない情報にまで導いてくれる可能性は小さい。オンライン FAQ も、若干の共通の疑問には答えてくれる。

<http://www.fogcity.com/lr_faq.html>

驚くには値しないだろうが、Fog City 社は LetterRip のサポートを主に メールを通して行っている。Fog City 社の人々は責任感にあふれ知識も豊 富で、ドキュメンテーションとのギャップを埋めるのに非常に役に立って いる。他の LetterRip ユーザーも LetterRip-Talk メールリストの上で有 益な情報を提供しており、そして Fog City 社もその内容に注意を払って いる。私は、特に Fog City 社の人々がリスト上でリクエストに答える際、 率直であることを評価したい、たとえば、普通でない機能を盛り込むのは なぜ意味をなさないと感じるかについてよく説明している。

<http://www.fogcity.com/lr_support.html>

あら探し -- LetterRip Pro には好ましい点がたくさんあるが、アドレ スリスト下のデータベースとよりよいバウンス処理というアーキテクチャー の主要な変更はさておき、煩わしいことは他にもいくつかあることに気づ いた。

総括すると -- これらのあら探しは置いといて、Fog City は LetterRip Pro で信じがたい仕事を成し遂げた。あなたは LetterRip Pro がこれほど 簡単に使えるのは、Fog City が私の提案した改良のいくつかに抵抗したか らだというかもしれない。彼らは LetterRip Pro のシンプルさと速さに注 力た。柔軟性を加えることはインターフェースを煩雑にすることが多いのだ。

Fog City は時に目覚しく低価格で特別販売を提供するものの、LetterRip Pro は Fog City 直販で 400 ドルと安くはない。明らかに、ちょっとした 使用のために 400 ドルのプログラムを薦めることはできない。特に、基礎 的なタスクでは LetterRip Pro と同じ AutoShare と Macjordomo のよう なフリーウェアプログラムがあるという状況ではなおさらだ。恐らく Fog City はいつか低機能で低価格のバージョンを作るだろう。ListSTAR オー ナーはコンペティティブアップグレードのオファーを利用でき、誰でも LetterRip Pro をダウンロードして登録番号なしで 30 日間試用すること ができる。

<http://www.dnai.com/~meh/autoshare/>
<http://leuca.med.cornell.edu/Macjordomo>

あなたにとってご自分のメーリングリストが重要で、さらに高性能を誇る シンプルな解決策が欲しいなら、LetterRip Pro を選んで間違いない。個 人的には、もう LetterRip Pro なしでメーリングリストを運営するなんて 考えられない。


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