TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#476/12-Apr-99

ソフトウェアの中にはその正体を簡単には説明できないものがある。 UserLand Software 社製 Frontier 6 もどのカテゴリに入れるべきか判断 が難しいソフトだ。スクリプティングアーキテクチャ、Web サーバ、それ ともハイブリッドなデータベース ? 今週は Matt Neuburg が Frontier に ついて説明し、バージョン 6 を試してみる意義を説いている。そのほか、 Fax ソフトウェアの悲惨な現状を嘆く Jeff Hecht の声と、Suitcase 8 と Acrobat 4.0 のリリース、StuffIt Expander および DropStuff アップデー ト、Excel 用の株ツールの情報をお届けする。

目次:

Copyright 1997 TidBITS Electronic Publishing. All rights reserved.
問い合わせは <info@tidbits.com> へ、感想は <editors@tidbits.com> へ。

TidBITS 日本語版は TidBITS 日本語版翻訳チーム メン バーのボランティアによって翻訳・発行されています。


今回の TidBITS のスポンサーは:


MailBITS/12-Apr-99

(翻訳:尾高 里華子 <rikako@pobox.com>)

Extensis 社、新 Suitcase 8 を披露 -- Symantec 国の Macintosh 製品 姥捨山から Suitcase を救い出した Extensis 社は( TidBITS-466 の “Extensis 社が Suitcase を救済”を参照)、今日同社の Web サイトか ら由緒あるフォント管理ユーティリティの新バージョンを入手できるよう になったと発表した。Suitcase 8 は 7.5.5 以降のシステムに対応した機 能を搭載し、フォントの選択とセットの管理が向上されている。フォント ファイルの診断とトラブルシューティング機能を備えた Suitcase FontAgent と XPress 文書を開く時に自動的にフォントを使えるようにす る QuarkXPress 機能拡張の Suitcase 8 XT というおまけもついてくる。 Suitcase 8 は米国内の新規購入者はに 90 ドル(米国外向けの英語版は 100 ドル)で販売され、旧バージョンからのアップグレードは 50 ドル、 競合製品からの乗り換えアップグレードは 50 ドルとなっている。30 日間 のお試し版をダウンロードし(3.1 MB)、同社のオンラインストアからシ リアル番号を購入できる。もっとも発表時にはまだ Suitcase はリストに 出ていなかったが。オンライン外での発売は 99 年 4 月 21 日になる予定 だ。 [JLC]

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05266>
<http://www.extensis.com/suitcase/>

Acrobat 4.0 登場、Mac 版は機能限定 -- Adobe 社は本日 Acrobat 4.0 のリリースを発表した。新バージョンの目玉は、改良された共同利用と Portable Document Format(PDF)ファイルを利用する Web 機能である。 どんな文書も PDF に変換できるようになっただけでなく、Web 経由でデー タを入れて送り返すことのできるフォームを作ることもできる。テキスト の付注ツールや手書き文字、スティッキーで共用ファイルに印を付けるこ とができるようにもなった。 TidBITS-470 の“Adobe 社 InDesign、 Acrobat 4.0 を発表”でも触れた通り、Acrobat 4.0 for the Macintosh は現在 Windows のみの機能である、デジタル署名、Microsoft Office と の統合、Web サイトを PDF に変換する機能などはサポートしておらず、こ れらに関しては今年後半まで待たなければならないだろう。同社の出した プレス用の資料には記されていなかったが、Acrobat はついに Adobe の古 くからの標準であったキーボードショートカットの大半をサポートしてく れた。これにより、Command + スペースバーでズームツールをアクティベ イトするといったことが可能になる。些細なことではあるが、マウスの利 用回数を削減したい者にとっては大切なのだ。製品版 Acrobat 4.0 は Windows 版 Macintosh 版ともに 249 ドル、前のバージョンからのアップ グレードは 99 ドルになっている。Acrobat Reader 4.0 の方は無償で、 ダウンロードサイズは 3.9 MB である。 [JLC]

<http://www.adobe.com/prodindex/acrobat/main.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05302>
<http://www.adobe.com/prodindex/acrobat/readstep.html>

StuffIt Expander & DropStuff 5.1.2 -- Aladdin Systems 社はバージョ ンがともに 5.1.2 になった圧縮ユーティリティのフリーウェア版 StuffIt Expander とシェアウェア版 DropStuff をリリースした。StuffIt Expander 5.1.2 では MacBinary フォーマットでエンコードした Zip ファイルをデ コードする際に発生する問題がフィックスされたほか、StuffIt のアーカ イブをダブルクリックするだけで StuffIt Expander が起動できるように なった。DropStuff 5.1.2 では、MacBinary でエンコードされた StuffIt 3.x または 4.x のアーカイブを処理する際に StuffIt Expander が誤った 報告を出す原因であった StuffIt Engine および PowerPC 専用の StuffIt Engine PowerPlug のバグを修正した。StuffIt Expander は無償で、ダウ ンロードサイズは 700K、DropStuff の方は 30 ドルのシェアウェアで 1.2 MB である。 [GD]

<http://www.aladdinsys.com/expander/>
<http://www.aladdinsys.com/dropstuff/>

Excel ユーザー向けの無償株ツール -- Jonathan Jackel 氏 <jjackel@bmmdc.com> は TidBITS-471 に掲載された記事「TidBITS ご用 達ツール:MacTicker」を読んで、彼の無償のExcel 用株式情報収集ツール のことを知らせてくれた。このツールは、彼の Web サイト“Backtesting Page”では Reval と呼ばれている。(このサイトにはこれ以外にも投資家 向けのソフトウェアツールやオンラインリファレンスがある。)Reval は Excel 98 for Macintosh および Excel 97 for Windows で利用できるよう になっている。25 ドルの MacTicker と同様、Reval も無償のオンライン 株式相場の情報をとってくるようになっている。Excel 98 のユーザーで Excel が常時立ち上がっているという方は、MacTicker と同様検討の価値 があるだろう。Reval がオンラインの株 Web ページと異なっているのは、 所有している株の銘柄(および数)に関する情報を他の会社に渡さないこ とである。 [MHA]

<http://www.geocities.com/WallStreet/District/2148/backfunc2.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05313>


FAXstf Pro ファックスソフトウェアの悲しい状況をこだまする

by Jeff Hecht <jhecht@world.std.com>
(翻訳:亀岡 孝仁 <tkameoka@fujikura.co.jp>)
(  :高島 均 <hitak@kk.iij4u.or.jp>)

モデムを使ってコンピュータからファックスを送受信するというのは、素 晴らしいアイディアのように思える。ファックスマシンにかけるためにド キュメントを印刷して紙を無駄にすることもない。そして、多くのファッ クスはメールと同じくらい一過性であるから、ファックスモデム経由で受 信しスクリーン上で見る方が、紙の上でファックスを読んでそれからリサ イクルするよりも省資源的である。旅行中でも、ファックスを送受信しさ えすることができる − 旅行にファックスマシンを携帯しようなどという 人はほとんどいない。

あいにく、ファックスモデムを使う便益もその仕事をしてくれることになっ ているソフトウェアに出会ったとき、失望に終わってしまう。現在のファッ クスソフトウェアに共通した不できさ(あるいはもっと悪い)は、たぶん 市場のせいでもあるだろう:モデムメーカはファックス機能を提供するソ フトウェアをバンドルする必要を感じているが、モデムは利の少ない商品 であり、あまりお金をかけたくないのである。結果は、“ 無料の”バンド ルソフトウェアはたいてい旧式であるか機能障害か(または両方)で、ま さに払った金額だけの価値しかないものが多い。STF 社はできの悪いバン ドルプログラムに替わるものとして、フル機能の FAXstf Pro 5 を出すと いういいアイディアを持っていたが、しかし現実には、私のように週に 30 から 70 のファックスを送受信する者にとっては物足りないものとなって しまった。

<http://www.stfinc.com/>

理想と現実 -- FAXstf Pro は、多様化したニーズに応える数々の機能を 提供している。初期設定では、外線接続のための接頭部を選定させてくれ る、たとえば外線につなぐための 9 とか、特定の長距離キャリヤーを使う ための 1010 のダイヤルアラウンドとかである。旅先でリモートマシンに 接続する必要があるとき、FAXstf Pro はクレジットカード番号をダイヤル することもできる。このプログラムは、複数の初期設定セットを格納する ことができて、これは旅先とか、複数の顧客のために仕事をしている場合 に役立つ。多くの異なるファックスカバーシートの設定もできる、これは いくつかのプロジェクトをやっているとき、あるいはそのときどきの気分 に応じてという人には便利である。

しかし当然のことながら、FAXstf の多くの機能の中にはあるユーザーとっ てはまったく用をたさないものもあるし、ドキュメントが非常にお粗末な ものもある。私の場合、1010 ダイヤルアラウンドコードの使い方の見当を つけるのに STF 社に電話しなければならなかったし、画面上の表示枠もす べての数字を表示するには小さすぎる。同様に、クレジットカード通話も 覚えるのは難しいが、この面倒で統一性のないやり方は電話会社側にも責 任の一端がある。

よいアイディアの中には実行が伴わないものもある。“スマートダイヤル” は同じエリアコード内からかけているのだと指示してやればエリアコード を省くだけの知恵は持ち合わせている。しかし、市内通話の時には 1010 長距離ダイヤルアラウンドの設定をオフにすることまでは知らないし、同 じ市内通話でも多くの大都市圏で実施されている 10 桁全部をダイヤルし なければならないオーバーレイエリアコードを扱えるオプションもない。

国際ファックスのためには初期設定のなかで自分がかけている国を指定し、 個々のファックスアドレス毎に相手先国を選択しなければいけない(どち らの場合も合衆国がデフォルトになっているようだ)。FAXstf ではスク ロールダウンの国名リストが用いられており、あまり馴染みのないカント リーコードをルックアップリストで探すという面倒さからは解放してくれ ている。しかし残念なことには、カントリーコードを入力する他の方法が 与えられていないので、英国の電話番号を入力するたびに長いリストの一 番下までスクロールしなければならないのは煩わしい。もし海外へファッ クスする必要があるのであれば、STF 社の Web サイトからバージョン 5.0.3 のアップデータをダウンロードすべきである。このソフトウェアの 初期リリース版であるバージョン 5.0 はカントリーコードを正しく保存せ ず、合衆国のデフォルト(Albania というケースも見たことがある)に戻っ てしまうので、電話をする度に相手国を指定する作業を必要とする。

<http://www.stfinc.com/software.htm#pro>

他との相性悪い -- FAXstf Pro 5.0 の他のバグも市販を急いだためだ し、ソフトウェアに脆弱な感じを残した。私は初期バージョンをセットアッ プするのに問題に遭遇し、一連のクラッシュから結局再インストールを 2 度もするはめとなった。バージョン 5.0.2 は受信ファックスが 5 ページ 以上だと印刷できなくなったが、このバグはバージョン5.0.3 で修正され た。

最も悩ましいのは FAXstf Pro と他のソフトウェアとのコンフリクトであ る。あるアプリケーションにとってはメニューバー上にデフォルトで Fax メニューが入ってしまうことは間違いなく不満なことであろう。その Fax メニューは WordPerfect 3.5 では二重にでてしまう、しかし Fax メニュー が Apple メニューの下に置かれた場合は、たいていのソフトウェアは大丈 夫なようである。例外の一つは Nisus Writer 5 で“Fax Front Document” コマンドを半消し状態にする、そこには当然それなりの理由があるようで : Nisus ドキュメントを推奨の Command と Option キーの組み合わせで ファックスしようとしたら私の Power Mac はフリーズしてしまった。

これが FAXstf Pro と他のソフトウェアとの唯一の致命的な相互関係では ない。FAXstf Pro 5 と Highware 社の Personal Backup 1.1.2 から 1.2.3 をインストールすると起動時にクラッシュする、そしてこれは Personal Backup のアメリカでのディストリビューターである ASD Software 社に よっても確認されている(幸いなことに、他の市販のバックアッププログ ラムである Dantz Development 社の Retrospect Express は FAXstf と衝 突しない)。私の UMAX Astra 610S スキャナについてきた Presto PageManager 2.31.0 からファックスした時、最悪の問題が発生した。 ファックス自体はうまく行ったのだが、どういうわけか Mac OS 8.1 System ファイルのリソースフォークを破壊してしまって、System ファイルを入れ 替えるまでブートできなくなった。公正にみれば、PageManager の古いバー ジョンが問題なのかもしれない。かといって、STF 社はバグ報告を受け入 れるのにも反応が鈍く、これまでのところコンフリクトを直す計画につい て何も発表していない。

<http://www.highware.com/main-pbu.html>
<http://www.dantz.com/dantz_products/express.html>

こうした問題にも関らず、モデム使用に関するほとんどの問題がファック スソフトウェアにたどり着いたようなころとは違って、ファックスソフト ウェアとその他のプログラムとのコンフリクトは、以前ほど多くはなくなっ ている。インターネットの初期のころは、Macintosh ユーザーが経験した おびただしい数の接続トラブルがファックスソフトウェアを原因とするも ので、その大部分は、到着するファックスを根気よく待つ間、ファックス ソフトウェアがモデムポートを占有してしまうためであった。その間、他 のプログラムがモデムポートを使いたがるかもしれないなんてことはお構 いなしだ。FAXstf Pro は、いくつかの古い端末エミュレータとの問題を除 いて、この問題の発生を防いでいる。Mac OS 8.1 よりも Mac OS 8.5.1 環 境下の方が行儀がよいようだが、これは主観的な判断だ。

独り家で電話する -- FAXstf Pro は、一度動き出してしまえばまずまず 普通に動作する。しかしながら、その段階にたどり着きコンフリクトを解 決するまでに非常に多くの時間がかかり、また、定期的バックアップか ファックス送信かを選択しなければならないのは煩わしい。もし、手ごろ な別のソフトウェアがあったなら、私はとうの昔に FAXstf を放り投げて いただろうが、でもそれができないのだ。広い範囲のモデムで使える一般 的なファックス用途には、他の選択肢がないのだ。モデムにバンドルされ ていた Smith Micro 社の旧式の MacComCenter は役に立たない。それは、 ファックスが成功してもそれを知らせることすらしない。どうもファック スというよりボイスメールの方に重点を置いているようだったので、新バー ジョンにアップデートしようとはしなかった。Global Village 社の GlobalFaxの新バージョンは、iMac か内蔵モデムを持つ G3 でしか動作せ ず、(私のマシンを含めて)そのほかのたくさんの Mac OS コンピュータ をなおざりにしている。現役のシェアウェアプログラムである Value Fax は、MacComCenter の旧バージョンにちょっと毛がはえた程度のものだっ た。見つけたその他のファックスプログラムは全部、それらがバンドルさ れていたモデムでしか使えなかった。

<http://www.smithmicro.com/products/macplus.htm>
<http://www.globalvillage.com/products/macsoftware.html>
<http://hyperarchive.lcs.mit.edu/HyperArchive/Archive/comm/ value-fax-2013.hqx>

Mac ユーザーたちと話してみて、ファックスソフトウェアの現状に不満を 持つのは私だけではないことが判った。最良のものでもひどく粗雑で、最 悪なものは役に立たない。FAXstf Pro はアイデアとしてはよいが、もっと もっと改良が必要である。残念なことに、STF 社では、トールセーバーや ファックスの一括送信などの機能の提供にご執心らしく、バグや他のアプ リケーションとのコンフリクトを追求することにはあまり興味がないらし い。有力な競争相手があればよいのかもしれないものの、ファックスソフ トウェアは、デベロッパーから必要な興味を引きつけることに、にわとり が先か卵が先かの問題を抱えているのかもしれない。ファックスソフトウェ アが年月を経て使えない時代に始まり平凡な時代を迎えた今、ファックス の送受信を本気でやりたい人には、ファックス専用機が必要である。ファッ クス機なら、綴じていない印刷済みの書類を送ったり、あるいは署名を必 要とする書類を送る用途には簡単に使えるし、常に到着するファックスの 受信準備ができている。ファックスモデムとスキャナを組み合わせると、 ファックスのためにコピーした原稿を用意する必要がなくなるのだが、私 の扱いにくいスキャナソフトウェアだと一度に 1 ページしかファックスで きず、プリントオプションの厄介なリセットが必要なのだ。たぶん、ファッ クスモデムソフトウェアの恩恵を一番受けているユーザーは、同じ送信 ファックスを大量に送り付けるジャンク屋だ。本気で使いたいユーザーか らの圧力がない限り、ファックスソフトウェアデベロッパーには、ファッ クス機と本当に競争できる製品を作る動機がないかのようだ。

eFax や CallWave のようなインターネットファックスサービスでは、 ファックス受信用に無料の電話番号を提供し、また、TIFF 画像による ファックスの送信を提供する(うまく行くかは様々だが、Mac ユーザーな ら TIFF 画像を Thorsten Lemke 氏作のシェアウェア GraphicConverter のようなプログラムで見ることができる)。しかしながら、これらのサー ビスは、インターネットにダイヤルアップ接続する典型的なファックスモ デムユーザーにとって、必ずしも問題の解決とはならない。TIFF ファイル はサイズが大きくダウンロードに時間がかかるし、それにメールをチェッ クするまでファックスが届いているかどうかわからないからだ。それでも、 こうしたサービスが、進化したファックスモデムソフトウェアを開発する 意欲をプログラマーから削いでしまうかもしれない。

<http://www.efax.com/>
<http://www.callwave.com/>
<http://www.lemkesoft.de>

結局のところ、私は行き詰まっているのではないかと思う。私は、FAXstf に跡を絶たないトラブルを STF 社が修正することにも、あるいは、そのほ かの企業が時間と手間を費やしてファックスモデム用にエレガントなファッ クスプログラムを製作することにも、ほとんど希望が持てないのだ。

[Jeff Hecht 氏は、1998 年 11 月に Prentice Hall 社から出版された 『Understanding Fiber Optics, 3rd Edition』の著者である。光ファイバ の歴史に関する彼の著作『City of Light: The Story of Fiber Optics』 が、Oxford University Press 社から今月出版されるところだ。]

<http://www.sff.net/people/Jeff.Hecht/>


Frontier の謎を解明

by Matt Neuburg <matt@tidbits.com>
(翻訳:松岡 文昭 <mtokfmak@mxa.mesh.ne.jp>)
(  :尾高 修一 <shu@pobox.com>)

回りくどい用語で固まった理解不能な専門語からなる一連のプレスリリー スを伴って、Frontier 6.0 が最近 UserLand Software 社よりリリースさ れた。Frontier は「コンテンツ・マネージメント・システム」だ、また は、今回のアップグレードは「メンバーシップ、各ユーザー毎のストーレッ ジ、ディスカッショングループ、検索、カレンダー、ニュースサイト、引 用、そして XML ベースの分散コンピューティング」を追加するとは、一 体、何を意味しているのだろう。

<http://www.userland.com/pressreleases/Frontier60.html>

たぶん、UserLand 社の哀れな働き過ぎ広報部員は、平易な言葉を忘れてし まったのであろう。私が手伝ってみよう。これはレビューではなく、その ニュースを解説するための一つの試みにすぎない。Frontier 6 が出てき た。だからどうだというのだ?それは何なのだ?理解するには、今まで Frontier がどこに位置していたかを知ることが助けとなる。だから、簡単 かつまったく非公式な歴史から始めよう。(私は Frontier について本を 著しており、同社との利害対立は皆無だ。)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1134>
<http://www.ora.com/catalog/frontier/>

Frontier は 3 つの部分から構成されている。データベース、システムレ ベルでの動詞、そしてスクリプト言語だ。データベースは沢山の異なった タイプの情報、たとえばテキスト、数字、そしてアウトラインさえも、保 存したり編集したりできるテーブルのような構造をしたネストなのだ。 (アウトラインが何かご存知ないなら、TidBITS を充分な期間読んでいな いことになる。Frontier を作った人達は MORE の制作者でもあるのだ。)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=02542>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=02381>

システムレベルの動詞ではファイルの作成、時間の取得、クリップボード へのアクセス等ができる。スクリプト言語でスクリプトと呼ばれる小さな プログラムを動かすことができるのだ。スクリプトはデータベースに巣く い、そこでそれらの作成や編集を行うのだ。さらにスクリプトはデータベー スにアクセスしそれを制御することができる。だから Frontier スクリプ トで、データベース内の他のスクリプトを呼び出したり、データベース内 に情報を保存したり引き出したり、データベース内のデータ構造を作成し たり削除したり、ディスク上のファイルから情報を取り出したり書き込ん だり等々を、行えることが想像できるはずだ。たとえば、Frontier では、 テキスト文書の中のすべての異なった単語を、それらの登場回数と共に、 データベース内にリスト表示するためのテーブルを作成するスクリプトが 容易に書ける。

Frontier の主要な目的の一つは、当初から、他のアプリケーションにメッ セージを送信し、その機能をスクリプトと結びつけることであった。 UserLand 社にとって不幸なことは、Apple Computer 社が常に自分たちだ けを目立たせていたのだ。まず、Apple が System 7 と Apple イベントを 出荷した際、Frontier は他のアプリケーションを動かしたり、他のアプリ ケーションによって動作するよう、Apple イベントをメインな手法として サポートした。その後、Apple は Open Scripting Architecture と独自の スクリプト言語 AppleScript を開発した。だから Frontier はそれらもサ ポートした。Apple がスクリプト可能なアプリケーションはオブジェクト モデルをサポートするべきと強要した時も、Frontier はこれをあざやかに 実行したのだ。

しかしながら、Frontier はとてつもなくクールで稲妻のように速いスクリ プト言語に加え、データベース、スレッド、デバッグ、そしてたくさんの 他のすばらしい機能を有し、AppleScript や Apple の扱いにくい Script Editor に比べ、たぶんはるかによいスクリプト環境であったと言えるのだ が、それは深刻な欠点を有していた。AppleScript が本質的に無償なのに 対し、それは高価だったのだ。だから 1995 年半ば、UserLand 社は驚くべ き事を行った。彼等も Frontier を無償でリリースしたのだ。また、同社 は三つの方法で Frontier の照準を Web へと変更開始したのだ。

こうした離れ業をやってのけるのが、大体においては単にデータベース内 にあるスクリプトにすぎなかったことを思い出していただきたい。したがっ て、Frontier は依然としてお馴染みのデータベース兼スクリプティング環 境だったのだ。ただ、データベースには Web 指向のタスクの自動化を目的 とした膨大な数のスクリプトが含まれていた。Frontier の発展とはこうし たスクリプトに磨きをかけ拡張するという作業にほかならなかったといっ てもよい。この発展段階は 1997 の Frontier 4.2.3 で頂点に達した。私 が思うにこれが無償バージョンでは最高のできで、私の本もこのバージョ ンに基づいて書かれている。

1998 年に相次いだバージョン 5.x リリースの公開は、Frontier を再び利 益追求に向かわせることに重点を置いていた。ということは、UserLand 社 は Frontier の使用料を徴収しなければならず、この状態は今日に至って いる。販売力を高めるため、Frontier は Mac に加えて Windows 95/98 と NT でも動作することになった。そして、ヘルパーアプリケーションなしで クライアントとしてもサーバとしても機能することのできる正真正銘の TCP/IP アプリケーションに昇格したのだ。

<http://www.userland.com/frontier/pricing.html>

この年、Web まわりの三本柱の Grand Unification(大統合)が行われた。 これはやや突っ込んだ疑問を思い浮かべてみると実に理に適ったことなの だ。Frontier は要求に応じて Web ページを生成することができる。では、 この要求が手でデータベースを操作しているユーザーから来ようが、Web サーバから来ようが関係ないではないか? また、Frontier が Web サーバ の背後で CGI アプリケーションとして動作しようが、それ自身が Web サー バであろうが関係ないではないか? そして、Web ページを構成する素材が データベースに入力されるのに、ユーザーが直接手でタイプしようが、 Frontier がメールとして受け取ろうが、あるいはブラウザからフォーム経 由で受け取ったものだろうが関係ないではないか?

Frontier 6 の主な特徴はこの大統合にある。Frontier は今や Web アプリ ケーションを構築するための柔軟でプログラマブルな環境になったのだ。 これがいうところの「コンテンツ・マネージメント・システム」で、ここ でいうコンテンツとはおおまかにいえば「Web ページを構成するところの もの」という意味だ。Frontier はこのコンテンツをメール、Web フォー ム、FTP アップロード、カット ペースト、他のアプリケーションへの照 会などといった様々な方法で受け取ることができる。また、このテキスト を好きなように処理して応答することができるので、たとえば Web ブラウ ザでリモート操作できるように Web フォームに流し込むということも可能 だ。その結果生まれる Web ページの作成、メンテナンス、それに公開まで できるようになるのだ。

もちろん Frontier 6 は同時に Frontier 1 〜 5 でもあるので、何年もか けて蓄積された Web サイト構築用、CGI 用、他のアプリケーションやネッ トワークを介しての交信用のスクリプトも含まれている。また、この新バー ジョンには Web アプリケーションの色々な面を包含した多数の新スクリプ トも含まれている。こうしたスクリプトはサンプルであると同時にすぐに 利用できるものでもある。

たとえば、パスワードとクッキーを使ってユーザーに特定のページやデー タだけを見せるようにしたいとしよう。そのための方法は Frontier が提 供している(プレスリリースで「メンバーシップ」と述べられている部 分)。あるいは、トピック別にスレッドとしてまとめられ、時にはグルー プで編集できるような Web 掲示板を運営したい場合もあるだろう(「ディ スカッショングループ」)。あるいはサイトを検索可能にしたいと思うこ ともあるだろう。Frontier 6 には Web ページをインデックスするカスタ マイズ可能な検索エンジン(「検索」)が用意されている。あるいは最新 の更新履歴やメッセージ、リンクなどを毎晩自動的にアーカイブし検索イ ンデックスを付けるということもできる(「ニュースサイト」)。あるい は、2 人のユーザーがデータベースを一部だけ持っていて、その中身をシ ンクロさせたいとしよう。メニューから Update を選択すれば、一人が加 えた変更はネットワーク経由でもう一人のデータベースにダウンロードさ れる(「引用」)。そして実に興味深いことに、ネットワークにコマンド やデータを送出するには XML が使われる。XML は単に機械が作成した機械 が解釈することもできるテキストなので、Perl や Java などまったく異な る概念世界のアプリケーションとも Frontier 間と同様に情報を交換する ことができる(「XML ベースの分散コンピューティング」)。

では、Frontier 6 とは一体何をするものなのだろう? これが 何をするか を説明するよりも、 何であるか を説明する方が簡単だ。完全にプログ ラマブルなインターネットクライアント/サーバアプリケーションで、Web ページを作成したり情報を格納するとともにその情報を共有したり操作す る機能を持ったものだ。

では何をするものかという点だが、厳密にいえば Frontier は特に何をす るわけでもない。プログラミング言語やコンピュータそのものもすべてそ うなのだが、何をするかはプログラム次第だ。Frontier はユーザーが自由 に組み合わせ、カスタマイズし、作成したスクリプトで希望の Web アプリ ケーションの機能を実現する可能性を与えてくれるのだ。詳細は UserLand 社の Web サイトを参照されたい。

<http://frontier.userland.com/tree$1.2>


非営利、非商用の出版物およびウェブサイトは、フルクレジットを明記すれば記事を転載またはウェブページにリンクすることが できます。それ以外の場合はお問い合わせ下さい。記事が正確であることの保証はありませ ん。書名、製品名および会社名は、それぞれ該当する権利者の登録商標または権利です。TidBITS ISSN 1090-7017

tb_badge_trans-jp2Valid HTML 4.01!Another HTML-lint gateway