TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#480/10-May-99

Steve Jobs 氏は今週の Apple の World Wide Developer Conference でス テージに立ち、Mac OS 8.5 オーナーには無償アップグレートとなる Mac OS 8.6 の発表を行った。Geoff Duncan がこのアップグレードの新機能、 バグ修正、および Apple の将来計画の基礎を考察している。また今号で は、インターネットのメーリングリスト参加者がそれらリストの効用を最 小の労力でいかに高められるかを Adam が解説し、我々は新しい G3 シリー ズ PowerBook と Conflict Catcher 8.0.5 に言及する。

目次:

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MailBITS/10-May-99

(翻訳:松岡 文昭 <mtokfmak@mxa.mesh.ne.jp>)

PowerBook G3 が薄く、軽く、速く -- 肩が痛むモバイル Mac ユーザー は、Apple が今週の World Wide Developer Conference で現行 PowerBook G3 シリーズを置き換える、薄くて軽い後継機を発表したことを喜ぶであろ う。既存モデルとデザインを共有するが、厚さはたった 1.7 インチであ り、バッテリ 1 個と CD-ROM ドライブ装着時での新型ラップトップの重量 は 5.9 ポンドと軽い。新型 PowerBook G3 シリーズ(名称の変更がなく、 異なったモデルの記述をする際は新たなレベルの混乱を生じる)は二つの 構成が入手可能だ。ハイエンドモデルは 400 MHz G3 プロセッサーと 1 MB のバックサイドキャッシュ、6 GB のハードディスク、そして DVD-ROM ド ライブを特徴とし、333 MHz 版には 512K のバックサイドキャッシュ、4 GB のハードディスク、そして CD-ROM ドライブが取り付けられている。両 方のバリエーション共に 14.1 インチのアクティブマトリックススクリー ン、64 MB の RAM、ATI Rage LT Pro ビデオコントローラと 8 MB のビデ オメモリ、内蔵 10/100Base-T Ethernet、そして 56K モデムを装備してい る。一つの際だった変更は初期モデルの ADB とシリアルポートを置き換え る 2 つの USB ポートの存在だ。Apple のその他の USB 搭載 Mac と異な り、SCSI ポートは今までどおり標準となっている。新型 PowerBook は 50 ワット・時間のリチウムイオンバッテリの恩恵を受け、Apple の主張では 5 時間までの使用が可能だ。400 MHz モデルの価格は 3,500 ドルからで、 333 MHz マシンでは 2,500 ドルからとなっており、両機種共に 5 月 20 日から入手可能だ。 [JLC]

<http://www.apple.com/powerbook/>

Conflict Catcher 8.0.5 で Mac OS 8.6 に対応 -- Casady & Greene 社 は Apple の Mac OS 8.6 リリースを補足する Conflict Catcher 8.0.5 を リリースした。( TidBITS-446 での Matt Neuburg による Conflict Catcher 8 のレビューを参照。)Conflict Catcher 8.0.5 は Conflict Catcher の Clean-Install System Merge 機能をアップデートし、ユーザー の機能拡張書類、初期設定、フォントおよびその他のカスタムアイテムが 新規にインストールされた Mac OS 8.6 に移動されるようにするものだ。 また Version 8.0.5 は Mac OS 8.6 用の Conflict Catcher ファイルセッ トを更新し、参照ライブラリへの新しいファイル定義の追加と U.S. バー ジョン以外の Mac OS へのサポートを強化している。Conflict Catcher 8.0.5 は Conflict Catcher 8 オーナーに対しての無償アップデートだ。 [GD]

<http://www.casadyg.com/downloads/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05086>


メーリングリスト作法 101

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:西村 尚 <hisashin@hotsync.co.jp>)
(  :尾高里華子 <rikako@pobox.com>)

秘密でもなんでもないが、私はメーリングリストの大のファンである。多 くの話題についてリストをたくさん購読し、また運営している。そしてこ れらのディスカッショングループで職業的にまた個人的にコミュニケーショ ンすることに毎日多くの時間を費している。

しかし、ほとんどのリストで出会う作法には閉口する。多くの人々は自分 のメッセージのスペルや文法、基礎作文にほととんど注意をはらわず、要 点のわからないメモを投稿し、オリジナルの全文を引用したり巨大な署名 を加えたりして本文の嵩を増す。どのような電子メールを書くかで、特に メーリングリストのような公共の場では、他の人々があなた自身、あなた の意見、あなたの知識をどう思うかに影響する。こう考えてみよう。メー リングリストのメッセージが個人の清潔さを反映しているとすれば、シャ ワーときれいな衣類、散髪が必要だと人に思われたくないだろう。

そこですべてのメーリングリスト参加者にお薦めしたい主な作法を書こう と思う。私と同じようにメーリングリストでの問題に悩まされているなら、 他の人々にこの記事を助言として自由に参照してもらってかまわない。次 の URL に永続的にリンクを張ることもできる:

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05386>

慎重に書く -- ここでは説教くさくなる恐れがあることはわかっている が、こういう場合は気にしない。一般的なインターネット利用者の文章力 はお粗末だ。つまり、うまく書くことで自分自身を現在よりももっと知的 に思慮深く見せることができるということだ。うまく書くことは難しくな い。文法に沿った文と正しいスペルが必要なだけだ。職業的もの書きにな る必要はないし、言葉を軽快に声に出して読めるように作る必要はないの だ。

また、電子メールを書くときには次の基礎的なルールを守るといい:

引用は控え目に -- メーリングリストで不満の一つは、人々が返信文内 で不必要な引用文をめったに削除しないことだ。最悪なのは、ダイジェス ト内の一つのメッセージへに返信してそのダイジェスト全体を引用する人々 だ。控え目な引用には手作業が必要だ。ほとんどの電子メールプログラム は返信時に自動的に元メッセージを引用するからだ。しかし、オリジナル を編集し忘れると全員の時間と帯域幅を浪費する。

電子メールプログラムの中には、元メッセージを部分的に選択してキーボー ドショートカットを押せば、その部分だけが返信時に引用されるものもあ る。(Macintosh 版の Eudora では Command + Shift + R というショート カットでこれを行う。)他の電子メールプログラムでも、元テキストを部 分的に選択して返信すればその部分のみを引用したいという意味になる。)

特に問題なのは、元メッセージを返信文の後ろに各行頭に引用符をつけず に追加して引用する電子メールプログラムだ。これは引用と返事を並べる ことを妨げる。オリジナルと新しいテキストを区別する簡単な方法がない ので、こういったプログラムのユーザーは返信文の最後にオリジナル全体 を手つかずで残したままにしがちだからだ。個人的なメッセージではそれ でもいいだろう。しかし、リスト用のメールでは要点を欠くだけだ。残念 なことに、この問題に対する唯一の解決策は、別の電子メールプログラム に切り替えることしかない。

ゴミメッセージを避ける -- メーリングリストについて、人々の作法に 関するもう一つの不満は、“ゴミ”メッセージというものだ。スパムのこ とをいっているのではない。スパマーはメーリングリストの構成員ではな いからだ。その代わり、ゴミメッセージは次の範疇に分類される。

モラルの話は単純だ。ゴミメッセージをリストに送信しないようにすれば いい。ゴミかどうかはタイプ中に間単に判断できる。このメッセージはメー リングリストの多くの人が興味を持つだろうかと自分に問いかければいい のだ。そう思わなければ、そのメッセージに価値はないということになる。 元メッセージの送信者は、個人メールで歓迎されたり祝詞を述べられたり しても感謝するだろう。

内容のわかる表題をつける -- メーリングリストからメッセージを受け 取ったとき、最初に見えるのが表題の行だ。たとえば熱帯魚のメーリング リストで、表題としてふさわしいのは次のどちらだろう?

> 質問 > カワスズメと一緒に飼える魚のお薦め

あなたの精神感応力が私のものより優れていなければ、はじめの表題行で はなにもわからない。だから、表題行の第一則は内容のわかるものにする ことだ。

もう一つの問題はダイジェストの読者にまず影響する。彼らは面白そうな メッセージを読んで返事をしたくなる。しかし、そのとき彼らが使う電子 メールプログラムは当該メッセージの表題ではなくダイジェストの表題行 (熱帯魚ダイジェスト #251)を使用する。このため、リストに送られる メッセージは無意味な表題が付くことになる。ダイジェストのタイトルが 内容に沿ったものであることはまれなのだから。この問題に対するいい解 決策はないが、月並な対処法は 2 つある。

メッセージに返信したいが議論の話題も変えたいときがある。この場合表 題行を変更すべきだ。そうしないと、スレッドを追う人々はあなたのメッ セージが表題と合っていない場合に混乱するだろう。人によっては(そし てプログラムによっては)、表題行を変更したときに新しい表題に“(は <元の表題>)”を付け加えることでそれを示すこともある。これでもいい が、表題行が長くて扱いにくくなり、リストのアーカイブではまずいこと になる。

他方では、送信時にすべてのメッセージの表題行を変更する人もいる。こ れも同じくらい問題だ。リストメンバーが同じ表題行で関係づけられてい るメッセージを読む(または並べ変える)ことができなくなるからだ。

内容に沿った表題を付け、ダイジェスト購読者の場合は適正な表題を維持 し、時宜を得たときのみ表題を変更するようにすれば、きっとリスト作法 の模範として称賛されることになるだろう。

署名は短く -- メーリングリストへのポストに関することでもう一つ気 になっているのは、メッセージの終わりに長い署名を付ける人が大勢いる ということだ。メールの署名は有益なものだが、ことメーリングリストに 関しては最小限にすべきだ。特にダイジェスト版のあるメーリングリスト では署名だけでダイジェストの結構な部分を占めてしまいかねない。モデ レーターが中に入る Info-Mac Digest では、長い署名が付いたメッセージ はもっと短い署名を付けて送り直すようにとの注意とともに拒否されると いう実例もある。

あらかじめ署名をいくつか用意しておいて選択できるようになっているメー ルプログラムが多数存在するが、その機能もそれを使う人がメッセージご とに忘れずに変更しなければなんの意味も無くなる。Eudora Pro 使って メーリングリストから来たメッセージに返事を出す時に自動的に署名を変 更する方法を紹介しよう(ただし、Eudora Light ではできない)。

1) Signatures ウインドウで「Short signature」というメーリングリスト 用の短い署名を作る。名前と所属、メールアドレス、URL といった最低限 のものだけにする。

2) Personalities セッティングパネルで「Mailing list signature」とい うパーソナリティを作る。Real Name と Return Address フィールドを入 力し、「Send mail whenever sends are done」のチェックボックスを選択 しておく。その他のフィールドは空欄のままでよい。メール受信に関する チェックボックスのチェックは外しておかなければならない。

3) Personality Extras セッティングパネルに行き、Stationery ポップ アップメニューの設定は None のままで、「Signature when not using stationery」ポップアップメニューから Short signature を選択する。OK をクリックしてパーソナリティセッティングを保存する。

4) Filters ウインドウを開く。メーリングリストからのメッセージを任意 のメールボックスに移動させるフィルタに、Make Personality アクション を追加し、Personality ポップアップメニューから「Mailing list signature」を選択する。

これで、メーリングリストで使用する署名を作成し、それを特定のパーソ ナリティ(メインのパーソナリティと違うのは使われる署名がデフォルト のものではないという点だけだ)にリンクし、メーリングリストから届い たメッセージにそのパーソナリティが自動的にアサインされるフィルタを 作成するという作業が終わる。今後はメーリングリストから入ってきたメッ セージに対して返信する時は、メーリングリストのパーソナリティつまり メーリングリスト用の署名を使うということを Eudora Pro の方でわきま えていてくれる。リストに新しいメッセージを出す際には相変わらず自分 でメーリングリスト用の署名を選択しなければならないが、返信分に関し ては完全に自動化される。

さらなるマナーアップへ -- この記事には(上記の Eudora の Tips を 除けば)なんら新しい情報はない。ここでお薦めしていることはインター ネットの誕生以来口にされ続けていることだ。だが、悲しいかなメーリン グリストのマナーは良くなっていない。

私が不満を訴えているのには次の 2 つの理由がある。まず、この話題がい つまでもみんなの目に触れるようにあり続けることが大切だと考えている からだ。次に、私は上記のすべての案に従ったメーリングリストを日々作っ ている。TidBITS Talk において、私が実践しているのは次のようなこと だ。

<http://www.tidbits.com/search/talk.html>

私がこういった作業を行っているのは、これにより良いリストを身をもっ て知ってもらえると信じているからであり、TidBITS Talk のリストのメン バーから非常に前向きなフィードバックを受け取りこの正当性を確認して いる。同時に余計なものを除くようにといろいろとお願いするためのメッ セージを送らなくてすむのでリストが肥大するのを押さえることができる。

別に自分だけにしかできないことだと思っているわけではない。実際 TidBITS Talk に全く手を入れないメッセージをポストできる時は非常にう れしい。また、メーリングリストを運営しているほかの人たちに同じよう なことをして欲しいとは言わない(もっとも実行する人がいたとしてもな んら不満はないが)。そのかわり、リストに参加する人にメーリングリス ト作法を身に付けてもらうこと目標としている。自分たちのリストのマナー が良くならなければ、リストがさらに楽しく有益なものになっていくこと ができないからだ。


Apple、Mac OS 8.6 を発表

by Geoff Duncan <geoff@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <shu@pobox.com>)
(  :西村 尚 <hisashin@hotsync.co.jp>)

Apple 社暫定 CEO Steve Jobs 氏は今日、毎年恒例の World Wide Developer Conference(WWDC)で、Mac OS 8.6 の配布開始を発表した。Mac OS 8.6 は Macintosh オペレーティングシステムのマイナーアップグレー ドで、いくつかの新機能を追加するとともに既知の問題を解決し、将来の Macintosh モデルへの地ならしをするものだ。Mac OS 8.6 の動作条件は Mac OS 8.5 と同じで、出荷時から PowerPC プロセッサを装備している Macintosh システムで、最低 24 MB の RAM を搭載しているものとなって いる。

<http://www.apple.com/macos/>
<http://til.info.apple.com/swupdates.nsf/artnum/n11386>

Mac OS 8.6 の入手とインストール -- Mac OS 8.6 は小売用 CD-ROM と Mac OS 8.5 ユーザー向けにオンラインで無償提供される Mac OS 8.6 Update の 2 通りのフォーマットでの入手が可能だ。だ。CD-ROM は Apple から 99 ドルで(他の販売店ではもっと安く)近日発売となる予定だ。Mac OS 8.5 がプレインストールされたマシンを購入したユーザーは、Apple の Mac OS Up-To-Date プログラムを利用して Mac OS 8.6 CD-ROM を19.95 ド ルで入手することができる。

<http://www.apple.com/macos/up-to-date/>

Apple のサーバから無償の Mac OS 8.6 Update を入手することも可能で、 Mac OS 8.5 を搭載したシステムならどれでも Mac OS 8.6 にアップグレー ドすることができる。ダウンロードファイルサイズは大きく、35 MB のディ スクイメージか、12 に分割された MacBinary セグメントが用意されてい る。Mac OS 8.6 Update は今のところ North American English 版 Mac OS 8.5 用のものしか提供されていない。ローカライズされたバージョンは今 後数週間の間にリリースされるだろう。

<http://til.info.apple.com/swupdates.nsf/artnum/n11386>

Mac OS 8.6 のインストールは明快だ。インストーラにカスタムインストー ルのオプションがないため、Mac OS 8.5 からアップデートするかしないか という選択肢しかない。いつものことだがシステムソフトウェアをインス トールする際にはバックアップをするのは常識だ。Mac OS 8.6 をインス トールする 前に システムの完全なバックアップを取っておこう。また、 Mac OS 8.6 へアップデートする前にウイルスチェックソフトや(もしあれ ば)Norton CrashGuard は外しておく。

iMac を使っている場合、Mac OS 8.6 をインストールする前に iMac ファー ムウェアアップデートをインストールする必要があるかもしれない。ファー ムウェアが最新のものになっていなければインストーラが動作しないから だ。iMac ファームウェアアップデートは小売用 MacOS 8.6 CD-ROM の CD Extras フォルダに収録されていると同時に、Appleから無料で 1.2MB の ダウンロードとして入手することもできる。また、Ultra Wide SCSI カー ドを持っている方は Mac OS 8.6 をインストールする前に対応状況をカー ドのベンダーに確認した方がいい。一部旧型のカードにはファームウェア をアップデートしないと Mac OS 8.6 に対応しないものがある。

<http://til.info.apple.com/swupdates.nsf/artnum/n11177>

チームプレーへ向けて -- Mac OS 8.6 で最も重要な変更点は目に見えな いものだ。Apple は Macintosh システムソフトウェアのローレベルな部分 を一部書き換え、完全な対称型マルチプロセッシングをサポートしたのだ。 現行のアプリケーションはなんら変更を加えなくても Mac OS 8.6 上で動 作することができるが、将来のアプリケーションは新たなマルチプロセッ シングサービスを利用することによって CPU チップを複数搭載したシステ ムでのパフォーマンスを大幅に向上させることができるようになる。

Apple はまだ公式な発表はしていないものの、Apple が単に一握りの旧型 マルチプロセッサ搭載マシンのために完全なマルチプロセッササポートを 開発したとは考えられない。今後数ヶ月の間に Apple がシングルプロセッ サとマルチプロセッサの両方を考慮して設計された PowerPC G4 プロセッ サを核とした新機種を発表すると考えられる。マルチプロセッサ iMac が 登場する日が近いとは思わないが、プロフェッショナル用とサーバ用のハ イエンドシステムではマルチプロセッサシステムが投入されることになる だろう。NeXT とともに買収した技術を基にした Mac OS X はすでに対称型 マルチプロセッシングをサポートしている。Mac OS 用に新たに開発される アプリケーションはマルチプロセッサの恩恵を受けることになる。

使えるニュース -- Mac OS 8.6 の他の変更点はより目につきやすいもの だ。Sherlock 2.1 は Mac OS 8.5 とともに登場した好評の検索ツールの強 化版だ。Sherlock 2.1 はSOCKS とプロキシサーバのサポートが改善されて いるとともに、Sherlock がインターネット検索サイトに接続する際に使用 するネットワーク接続の数を制限することができる。また、インターネッ トパネルがリサイズ可能になったので、ResEdit を使ったりパッチを当て なくても Sherlock プラグインのリストをリサイズすることができるよう になった。Sherlock 2.1 はインターネットアクセスに Mac OS に新たに内 蔵された URL Access 技術を利用している。これによって Sherlock のリ モートサーバとの交信方式に若干の変更が加わった。既存の Sherlock プ ラグインのほとんどはそのまま Sherlock 2.1 でも利用できる。

Sherlock の「内容で検索」機能は HTML と Acrobat ファイルもインデッ クスすることができるようになったうえ、Finder ラベルを使用して選択的 に索引付けを行うことができる。特定のラベルが付いたものだけをインデッ クスするか、特定のラベルが付いたもの以外をインデックスするという指 定が可能だ。さらに、新たにコンテクストメニュー経由で特定のフォル ダをインデックスすることができるようになった。フォルダを Control + クリックし、コンテクストメニューから Index Selection を選択する。

Mac OS 8.6 には LaserWriter 8.6.5 と Desktop Printer Utility 1.2 も 同梱されている。LaserWriter 8.6.5 は大幅なアップグレードで、プリン トジョブとフォント使用のログを取ることができるようになったほか、Type 1 または TrueType フォントの使用をプレファレンスとして設定すること ができ、フォントをプリンタに強制的にダウンロードすることができるよ うになった。さらに LaserWriter 8.6.5 は USB 接続の PostScript プリ ンタをもサポートしており、Desktop Printer Utility は USB プリンタや TCP/IP 経由で LPR プロトコルを使って接続したプリンタについてデスク トッププリンタを作成することができるようになった。最後に、 LaserWriter 8.6.5 は AppleShare IP 6.1 以降のプリントサーバではセ キュアな接続を利用した印刷が可能だ(当然ながらプリンタから出力され た紙に書かれたことを他人に読まれる危険は防止できない)。

DVD-RAM サポートも Mac OS 8.6 で強化されている。DVD-RAM ドライブを 持っている方は DVD をMac OS Standard(HFS)、Mac OS Extended(HFS Plus)、Universal Disk Format(UDF)、それに MS-DOS としてフォーマッ トすることができる。MS-DOS オプションは DVD-RAM を初めてフォーマッ トする時にしか利用できず、2 回目以降は Macintosh フォーマットか UDF を使わなければならない。DVD-RAM ドライブからの起動はできないため、 DVD- RAM ディスクにシステムソフトウェアをインストールすることはでき るもののあまり役には立たない。

目立たないが個人的に嬉しい Mac OS 8.6 の新機能は URL Access だ。こ れはプログラムがインターネットと HTTP または FTP を介して情報をやり 取りするためのローレベルコンポーネントだ。そのうち TidBITS に URL Access の利用法を紹介するつもりだ。

新たな統合と新たな調整 -- Mac OS 8.6 では、以前は分割して配布され ていた項目をまとめている。FireWire と USB 機器に対するサポートは、 Mac OS のインストールに統合されるようになった。Game Sprockets も同 様で、これはゲームデベロッパーを支援して Mac でゲームコントローラを サポートできるようにするライブラリ集だ。Mac OS 8.6 には Macintosh Runtime for Java 2.1.1 が含まれる。もっとも Apple は最近 MRJ 2.1.2 をリリースしてそれより前のバージョンのいくつかの問題に対処している のだが。Mac OS 8.6 には QuickTime 3.0.2 が付属しているが QuickTime 4.0 は含まれない。プレビューリリースが Apple から入手できる。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05326>
<http://www.apple.com/java/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05368>
<http://www.apple.com/quicktime/>

Mac OS 8.6 で小さな変更を受けた項目もある。AppleScript 1.3.7(いく つかの小さなバグが修正されて Navigation Service との互換性が追加さ れるが、積年の問題には解決されないものもある)と AppleShare クライ アントもその中に含まれる。オフラインになろうとする AppleShare サー バに接続している場合、2 分後に接続解除されたという警告ダイアログを 出して、その警告メッセージを含む AppleShare Server Messages と呼ば れるファイルをデスクトップに作成する。

Mac OS 8.6 には Open Transport 2.0.3 が含まれるが、これは DHCP に伴 ういくつかの潜在的な問題を修正する。この問題には、IP アドレスを取得 するときのクラッシュの可能性といくつかのケーブルモデムと DSL 接続に 伴う接続性の問題が含まれる。(また、AppleTalk コントロールバーモ ジュールは AppleTalk の ON/OFF の切り替え時の安定性が増した。)ま た、Apple は初代の PCI ベースの Mac と Macintosh 互換機からある Ethernet の問題を修正した。これは TCP/IP ネットワークの負荷が重いと きにすべてのネットワーク処理を終了してしまうことがあるというものだっ た。これらのマシンでは、Web、メール、バックアップサーバが以前のシス テムよりも Mac OS 8.6 のもとで安定しているかもしれない。

Mac OS 8.6 には PlainTalk 1.5.4 も含まれる。44.1 KHz サウンド入力 ソースをサポートし、iMac の埋め込み型マイクロフォンのためのサポート を追加し、音声認識を終了するときにサウンド入力ソースを正しくリスト アするようになった。また、やっと Keyboard コントロールパネルが 2 つ の Dvorak キーボードレイアウトを備えるようになった。

また、埋め込みの Mac OS HTML ヘルプエンジンも更新されているが、この 変更はユーザーにわかるようにはなっていない。Apple は最終に、他のデ ベロッパーが Apple の HTML ベースのオンラインヘルプのための Help Viewer を使えるように取り組んだので、Apple の Help Viewer を介して HTML ベースのヘルプを使うときに、ほかの問題もまもなく出てるに違いな い。

最後に、Mac OS 8.6 には Pacific Tech 社の Graphing Calculator 1.1 が含まれる。これは三次元でグラフを回転でき、別々の色を使い、3D 面に 随意の画像を張り付けることさえできるものだ。Graphing Calculator は 1994 年から基本的にそのままにされていたが、私は Mac をデモするとき に今でも使っている。ときには数値計算させることさえある。Graphing Calculator のバージョン 1.1 では、面白い機能もいくつか加わった。早 速適当に作った表面に飼い猫の一匹の写真を貼りつけてみたが、これで Graphing Calculator は再び Macintosh を見せびらかすための恰好のツー ルとなった。バージョン 1.1 は、商品版の Graphic Calculator のすべて の機能を備えていない。現行はバージョン 2.2 で、50 ドルで購入できる。 Pacific Tech 社の Web サイトでデモを見ることもできる。

<http://www.pacifict.com/>

欠点もある -- 今後数週間できっと付随的な特定の問題が現れるだろう が、Mac OS 8.6 に関して現在知っておくべき次のような問題もある。

<http://www.connectix.com/html/vpc_updates.html>

Mac OS 8.6 は必要か? Mac OS 8.6 にアップグレードするかどうかの決 定は、もちろん個人の問題だ。Mac OS 8.6 の新機能のいくつかが必要で、 何 MB ものデータをダウンロードすることを厭わないならば、Mac OS 8.6 は安全な選択だ。Mac OS 8.6 を使っている間に互換性や安定性の問題はほ とんどなかったし、価格も安い。他方、Mac OS 8.6 の新機能のどれにも魅 力が感じられず、現在のシステム構成で満足しているなら、いますぐアッ プグレードしなければならないと考えなくてもいい。Mac OS 8.6 は Mac OS 8.5 に重要で価値ある改良を行っているが、大きな新機能を提供するわ けではないからだ。


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