TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#488/12-Jul-99

自分もハックできるだろうかと考えている?そんな方は、MacHack の年次 Hack Contest の結果とこれらのソフトウェア熱狂者が Mac に何ができる かという限界を押し広げることをいかに続けているかに関する Adam の記 事を読んでほしい。また、今週号では、Adam が、最近の Eudora 4.2 アッ プデートの新機能に関する二部構成の記事を開始する。ニュースでは、 Power On Software が Now Up-to-Date と Now Contact を取得たこと、グ ラフィックユーティリティの Snapz Pro と PhotoGIF がアップデートをリ リースしたことをお知らせする。

目次:

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MailBITS/12-Jul-99

(翻訳:西村 尚 <hisashin@hotsync.co.jp>)

Power On が Now の PIM と Eudora Planner を取得 -- Now Software 社のソフトウェアスウィートを甦られせるというずっと続いている要求の 中で、Power On Software が本日、同社が Qualcomm 社から Now Contact と Now Up-to-Date をライセンスし、Eudora Planner の権利を獲得したと 発表した。Now 製品のサポートは、何千人もの Mac ユーザーによってまだ 使われていながら、消滅したも同然だったし、Eudora Planner はベータ状 態の泥沼のままだった。Power On は、現行バージョンの Mac OS との互換 性のために、両 Now 製品への迅速なアップデートを約束している。ただ し、リリース予定日は明らかに去れていない。 [JLC]

<http://www.poweronsw.com/>

Macworld NY 1999 Netter's Dinner -- 詳細はまだおおまかだが、今年 もまた Netter's Dinner が 99 年 7 月 21 日に Macworld in New York で開かれる。詳細は下記のページを見てほしいが、予約することを強くお 薦めする。 [ACE]

<http://avalon.rockefeller.edu/nettersdinner/>

Snapz Pro 2 が TIFF、QuickTime Movie のサポートを追加 Ambrosia Software は、同社のシェアウェアの画面キャプチャーユーティリティへの 主アップグレードとなる Snapz Pro 2 をリリースした(レビューは TidBITS-372 の“はい、チーズ! Snapz Pro”を参照)。これまで、Snapz Pro は画面ショットを GIF、JPEG、PICT 形式に保存できたが、Snapz Pro 2 は TIFF と PNG 形式へのサポートを加え、画面上の動作から QuickTime ムービーを作成できる。TIFF と PNG では、QuickTime 4 用の静止画像サ ポートをインストールする必要がある。これを入手するには、カスタムイ ンストレーションを行うか、または Snapz Pro を使って QuickTime に適 正なファイルをダウンロードさせることができる。Snapz Pro 2 は、画像 をクリップボードまたはハードディスク上のどこのファイルにも保存でき、 また、画面ショットを直接プリンタに送ることもできる。Snapz Pro 2 の 価格は 40 ドルで、前バージョンからのアップグレードは 20 ドルである。 Snapz Pro 2 は 30 日間無料で試用できる。これは 1 MB のダウンロード 容量である。 [ACE]

<http://www.ambrosiasw.com/Products/SnapzPro.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=00696>
<http://www.apple.com/quicktime/>

PhotoGIF 3.5 がカラー処理を改善 -- BoxTop Software 社は PhotoGIF をバージョン 3.5 にアップデートし、この GIF 作成ユーティリティの中 核の減色アルゴリズムを改良し、PhotoGIF Filter コンポーネントを改訂 した。( TidBITS-479 の“PhotoGIF で手早く GIF 作成”を参照。)ま た、このアップデートは、改訂マニュアルとコンポーネント間のより密接 な統合化を特長としている。PhotoGIF 3.5 は 1.3 MB のダウンロード容量 で、PhotoGIF 3.0 以降のユーザーには無料だ。そうでない場合、このユー ティリティの価格は 70 ドルである。 [JLC]

<http://www.boxtopsoft.com/pg.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05381>


ますます達者な Eudora Pro 4.2(第一部)

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 里華子 <rikako@pobox.com>)

メールプログラム用語は郵便にまつわるもので溢れているが、メールプロ グラムの一つ Eudora の名前が米国人作家 Eudora Welty 氏にちなんだも のだということを知っている者はそう多くいるまい。彼女は短編小説“私 が郵便局に住んでいる理由”の作者なのだ。私は父がニューヨーク州北部 の地域郵便配達人であったことから郵便業務についてかなりのことを聞き かじっており、Eudora Pro が米国の郵便業務と似ていると思い当たった。 つまり、大量のメールを手際よく裁くことを誇っている点と、ひがなその 作業に従事している点が似ている。

<http://www.eudora.com/>
<http://www.usps.com/fyi/welcome.htm>

Eudora Pro 4.0 についてはすでに Matt Neuburg が TidBITS-424 で書い ているが、今回 Eudora Pro 4.2 がリリースされ、バージョン番号の下位 部分が上がっただけの 4.0.2 よりもずっと目覚ましい機能を加えられた Eudora は健在ぶりを発揮といったところだ。さらに喜ぶべきことに、 Eudora Pro 4.0 のユーザーに対してはアップグレード料を無料としてお り、同社の Web サイトに英語版用の無償アップデータがポストされてい る。このアップデータは Eudora Pro 4.0.x しか対応していないので、さ らに古いバージョンの Eudora Pro やパブリックベータ版はアップデート できない。Eudora Pro 4.2 のパッケージは近々出ることになっているが、 それまで新機能を利用できるのは既存の Eudora Pro 4.0 ユーザーのみで ある。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04810>

先日 4.2 の無償アップデータをリリース後、Qualcomm 社はクラッシュを 引き起こすバグを見つけ、すぐに次のアップデータをリリースした。バー ジョンが 4.2.1 になるこの新しい無償のアップデータは、Eudora Pro 4.0.x とすでにアップデートした Eudora Pro 4.2 のいずれにも有効であ る。4.2 にはアップデートしたが 4.2.1 はまだであるという方は、ぜひ 4.2.1 アップデータを入手していただきたい。

<http://eudora.qualcomm.com/pro_email/updaters.html>

私が Eudora に肩入れしてしまうのも無理もない話なのだ。私が Eudora 以上に長く接しているプログラムなどないだろう。Eudora の本も書いたし (Peachpit Press 社から出ている“Eudora for Windows and Macintosh: Visual QuickStart Guide ”)、Eudora Pro 4.2 へのアップデート作成に も携わった。途中からではあるが非公開のアルファ版やベータ版もすべて 使ってきているし、Eudora を利用してアクセスするメールのアーカイブも 400 MB を越えている。つまり、Eudora ほど私と Mac の関係に大きな影響 を与えるものはないのだ。

<http://www.tidbits.com/eudora/>

スペースの都合により、今週の記事では Eudora Pro 4.2 の新機能のうち 設計し直して良くなった検索機能と驚きの必携ツール、インラインスペル チェックの 2 つだけを取りあげる。来週はペインに分けられたメッセージ の表示、Apple のスピーチ機能サポートなどの新機能および毎日使う Eudora をもっと上手に使うこつをどっさり紹介しよう。

探せよ、されば見つけられん -- 今までの Eudora の検索機能はお粗末 なものだった。ともかく速かったが、インターフェースは判りづらく検索 結果には一貫性がなかった。過去のことや昔のやり方はすべて頭から消し 去り、Eudora Pro 4.2 のもたらす至上の検索を享受しよう。Eudora は Search と Find を使い分けることができる。前者は全メッセージを対象に 検索を行うものであり、後者は現在開いているメッセージまたはメールボッ クスの中からある文字列を探しだすものである。Find 機能は数ある Eudora ウインドウのほとんどで利用することができ、私は Address Book や Filter ウインドウなどで頻繁に使っている。

Eudora Pro 4.2 の Search ウインドウは 2 つのペインに区切られた。上 部ペインにあるメニューとテキスト入力フィールドを使って検索条件を定 義するようになっている。最初のメニューで指定できる検索対象は以下の 通りである。すべて、ヘッダ、ボディ、添付書類名、サマリ、ステータス、 プライオリティ、添付書類数、ラベル、日付、サイズ (K)、古さ、パーソ ナリティ、受取人、差出人、題名、Cc、Bcc、すべての受取人。次のメ ニューは検索文字の扱いを指定するもので、含む、文字列を含む、含まな い、である、でない、で始まる、で終わる、regexp がマッチするなどを選 ぶようになっている。最後の regexp は「regular expression」の略で、 これにより文字のパターンを検索することができる。この上部ペインでは ボタンを 16 個まで追加して検索をさらに細かく指定できるようになって いる。検索を 2 つ以上指定すると、検索条件のすべてに当てはまるものを 探しだすか、いずれかに当てはまるものを探しだすかを指定できるように なる。

Search ウインドウの下部ペインには Mailboxes と Results の 2 つのタ ブがある。Mailboxes タブでどのメールボックスを検索するかを選択する のだが、検索を開始すると自動的に Eudora 側で結果を表示してくれる Results タブに切り替えてくれる。

検索手順は簡単である。メニューから必要な検索条件を選択して、検索語 を入力し、対象となるメールボックスを選択し、Search をクリックする。 検索はこのうえもなく速いが、毎度のことながら作業をさらに迅速に行う ための方法が少々ある。

Search ウインドウの Results タブは長年 Eudora を使っている者にとっ て楽しく使えるものだ。検索結果はメールボックスによく似ていて、コラ ムはソート可能で、類似のアイテムを選択する Eudora の Option クリッ ク機能をサポートしているし、新たにプレビュー用のペインまでできた (詳しくは次週に)。Search ウインドウの結果は、メールボックス内の メッセージと全く同じように扱うことができる。さらに検索後に上部ペイ ンに現れる“Search results”チェックボックスをクリックして検索を絞 り込むこともできる。これをチェックしてから検索を行うと Search ウイ ンドウの中のものだけが検索対象となるのだ。Search ウインドウは通常の ウインドウと同じなので、いくつも開けておくことができるし、別々に異 なる検索を行うこともできる。

階層 Find メニューに現れる「別名で保存」を利用して Search ウインド ウを保存するというあまり知られていない機能もある。この機能がすぐに は見えないようになっているのは、まだ Eudora から保存された検索を消 去したり名前を変えたりできないからだ。検索を保存してから Eudora Folder を覗くと、保存した検索結果が一つずつ入った Search Folder が 見つかるだろう。これを削除したり名前を変えたりすることはできる。こ れは今後、検索ウインドウを定期的にアップデートし、通常のメールボッ クスやフォルダ構成のに関係なくメッセージを管理するする手段にもなり うるだろう。たとえば、Mac の Java に関することが書かれているメッセー ジをすべて集めた“Mac Java Search”というウインドウを作るとかでき る。メッセージが置かれている場所はどこでもよいのだ。

Eudora の新しい検索機能に欠けているものの筆頭は、Mac OS に新たに搭 載された「内容で検索」の機能をサポートしていないことだ。これは CTM Development 社製 PowerMail ご自慢の機能である。Eudora は割り出すこ とのできるすべてのものをコントロールするに十二分な能力を備えている。 だが、どうしても適切な検索語が思いつかない場合、インデックスされた 「内容で検索」を利用した検索は説明した コンセプト に関するメッセー ジを見つけだし、当たっているだろう度数を表示してくれる。いずれ Eudora がこの「内容で検索」を利用した検索をサポートしてくれるはず だ。Qualcomm 社にはバージョン 5.0 用にとってある札があるというのが 私の推測だ。

<http://www.ctmdev.com/>

Eudora のフィルタとディレクトリサービスのインターフェースになんら変 更が無かったことは、今回のアップデートが 5.0 ではなく 4.2 だったこ とをよく物語っている。とりわけフィルタは新しくなった検索機能の恩恵 に浴することのできるものだろう。またディレクトリサービスは Search ウインドウか Address Book ウインドウに(または両方に)置くのが理に かなっていると思う。

スペルチックは朝飯前 -- Eudora Pro 4.2 で搭載されたもう一つの優れ 物の機能はインラインスペルチェッカーである。これは、Microsoft Word のようにミススペルのある語に下線が引かれる。Eudora は長い間 Apple イベントの Word Services スイートをサポートしてきた。だが、送ろうと するメールすべてに遅く古くさいパッチスペルチェックをかけるのは大仕 事である。そこで、最近アップデートの行われた Casady & Greene 社の SpellCatcher や Newer Technology 社の無償の SpellTools のようなシス テム全域で機能するスペルチェッカーを利用することでこの問題を回避す る者もいたが、これらはテキスト入力中に利用するもので、編集用ではな かった。私は自分の使う大抵の単語のスペルは判っているし、おおむね正 確にタイプするので、自分の書くメールにスペルミスが発生する心配をほ とんどしたことがなかった。しかし今や Eudora のインラインスペルチェッ カーを愛用している。

<http://www.wordservices.org/>
<http://www.casadyg.com/products/spellcatcher/mac/>
<http://www.newertech.com/software/spelltools.html>

ご存知のように私は TidBITS Talk のモデレーターをつとめており、それ にはリスト宛のメッセージを改めて送りだすという作業が伴う。メッセー ジを送りだそうとすると、Eudora は素早くスペルチェックを行いスペルミ スの語を下線付きの赤色で示してくれる(もちろん、この色やスタイルは 好きなものに変更できるようになっているが、詳しくは次週お伝えする)。 間違った語を Control + クリックして、コンテクストメニューから正しい 語を選択すれば、メッセージのスペルは正しいものになる。TidBITS Talk に流すメッセージのスペルを漏れなくチェックするとは(さらに基本的な 編集も)、私は何と堅固なエディターなんだろう。

Eudora の User Dictionary と User Anti-Dictionary はただのテキスト ファイルなので、テキストエディタで編集できる(User Anti-Dictionary には単語自体は正しいのだが、ともかく誤りとしてマークしたい語を入れ る)。実際、一行に一単語が入っているテキストファイルであれば何でも Eudora Pro 4.2 の Eudora Stuff フォルダの中にある Spelling Dictionaries フォルダに加えることができ、そこに入れられたものはユー ザー辞書として認識される。

乗り換え組へ すでに記したように、Eudora Pro 4.2 は現在 3.9 MB の アップデータという形でしか入手できない。4.2 のパッケージは 39 ドル で間もなく販売されることになっているが、古いバージョンや他のメール クライアントからの乗り換えに関することで決めなければならないことが 残っているのだ。なにはともあれ Eudora Pro 4.0 ユーザーの方には是非 とも無償でアップグレードをしていただきたい。新機能にはそれだけの価 値がある。来週は Eudora Pro 4.2 に搭載された新機能をさらに見ていこう。


The Mac Hack Contest 1999

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:高島 均 <hitak@kk.iij4u.or.jp>)
(  :尾高 修一 <shu@pobox.com>)

ほとんどの場合、MacHack 後にプレスに現れる主要なニュース項目は Hack Contest の結果となる。このコンテストは、毎年 MacHack において MacHax グループの手で運営されているものだ。理由は簡単である。Hack Contest の結果によって、世界が、現実や有用性や安定性といったものから開放さ れた Macintosh のプログラマーたちの創造性を垣間見るからだ。ハックは だいたいにおいて安定してもいず、有用でもなく、使いみちすらない。そ れらは単に技術的力量の印象的な偉業たちなのだ。実際、もし Hack Contest においてハックがデモ中に何がしかの有用性を見出されたりしよ うものなら、観衆の誰かが“役に立つじゃないか!”とあざけるように叫び だすことだろう。また、もしプログラマーが行き過ぎてプロモートしよう ものなら、観衆は“売り込みだ!”という嘲笑で応酬することだろう。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=02989>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04972>
<http://www.machack.com>

今年初めて MacHack に参加したことから(先週の TidBITS-487 における “MacHack: 究極の Macintosh イベント”を参照)、私には今年の Hack Contest を以前のものと比較することはできない。しかし、それは私にとっ て確かに特異な体験であった。Hack Contest のプロデューサーは、デモン ストレーションの合間の時間を埋めるためにおびただしい数の QuickTime ムービークリップを流していたし、一方コンテスト出場者たちは、プロジェ クションシステムに接続されたコンピュータに慌てながら新しいハックを ロードしていた。また、観衆を警戒させ喜ばせていたものは、ステージか ら投げ入れられるグッズだった。基本的なルールは常に注意を怠らないこ と、さもなければ、キャンディやらソフトウェアのパッケージやら iMac の模型やらカンファレンスの間中飛び跳ねていた Netscape 社のバスケッ トボール大の膨らんだプラスチックボールやらに頭上を打ち付けられる危 険がある。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05463>

上位 5 つのハック -- 今年の上位 5 つのハックは、それぞれ受賞する に疑念のないものではあったけれど、互いに共通点がほとんどなかった。 Lisa Lippincott 氏の Unfinder は、Finder 上でファイルの移動などの物 理的に不変なアクションに対して Undo コマンドを提供するもので、第一 位当選確実であった。Lisa は最初の方にデモを行ったうちの一人で、彼女 がハックの紹介を終え、2 〜 3 のファイルを移動し、Finder の編集メ ニューから Undo を選択すると、観衆は彼女に全く惜しみのないスタンディ ング・オベーションを与えたのだ(何人かは“実用的だ!”と野次を飛ばし てからだったが)。私は Lisa のハックによって Apple が恥を忍んで Mac OS の将来バージョンにこの機能を加えることを願っている。ハックコ ンテストの作品が Mac OS の改善につながるのは、これが初めてというわけ ではないだろうから。

最高のハックへの賞品は垂涎ものの Victor A-Trap で、これは、その名が 理想的な語呂合わせに変更された大きなネズミ取りである。第一に、それ は Victor Corporation により製作され、受賞者に贈られるものだ。第二 に、それは、プログラマーが Mac OS にパッチを当てるときに使うトラップ ・アドレスの 16 進コードの一文字目にあやかって“A-Trap”と名付けら れている。(RAT の R と T は X-Acto ナイフを使って削り取られてい る。)コンテストの主催者はまた、受賞者に対し大きなネズミ取りを友人 や仲間たちに目立つように見せることを強要しておもしろがったりするの だ。少なくとも私には、もっとより良い mousetrap(新製品)を作り上げ ようというコンセプトへのかすかな賛辞にも思えたものだ。

<http://www.hax.com/HackContest>

通常の Finder ウインドウにはない一連のコンテクストメニュー項目を提 供したことで、Eric Traut 氏の Out of Context Menus アプリケーション が第二位を獲得した。それら項目には、Gaussian Blur、Compress、 Duplicate、Slide(これらは全部ウインドウの内容を視覚的に変化させる) などがある。もっと複雑なコマンドである New Game は、あらかじめウイ ンドウに Left Paddle フォルダと Right Paddle フォルダを作成しておく ことが必要で、このコマンドを選択するとこれらフォルダが Pong ゲーム を始めるのだ。結局何かが問題を起こしたようで、Eric はコンテクストメ ニューから Restart を選択したのだが、それはそのウインドウ内だけで Mac OS が再起動しているように見えた。

Ed Wynne 氏の DesktopDoubler が第三位となった。DesktopDoubler は本 質的に PowerBook G3 にセカンドスクリーンが接続されていると思い込ま せるものだが、多くの仮想スクリーン・ユーティリティからさらに一歩進 め、実際のモニタを仮想的に拡大したり、あるいはデスクトップを大きく 見せかけたりするのではなく、Mac OS にセカンドモニタが接続されている と思い込ませるのだ。その結果、モニタ & サウンドコントロールパネルに はセカンドスクリーンが見え、思う通りに再配置できるようになる。 DesktopDoubler ではまた、メニューバーやゴミ箱のような一定のデスク トップアイテムをセカンドスクリーンに置くことも可能である。2 つのス クリーン間の移動は、それらの間でマウスポインタを動かすことで実現さ れる。

第四位は MacJive をもって Jorg Brown 氏と Ned Holbrook 氏のものと なった。これは、Mac のすべてのアプリケーション上のあらゆるテキスト をまがいもののスラムスラングに強制的に翻訳するという、政治的には適 切でない機能拡張である。これら翻訳のバラエティは Web ページで実行で きる CGI となっているものの、Macintosh のインターフェース全体で翻訳 されるのを見ると、その効果が一段と増してくる。MacJive で、Jorg と Ned は巨大な冷凍七面鳥を獲得したが、ある意味では彼らがそれをどうやっ て家に持ち帰るかを見たかっただけだったんじゃないかと思う。

<http://magic.hurrah.com/~fireball/jive.cgi>

上位 5 つの最後は Paul Baxter 氏の PatchMaker だ。これは、1,258 種 類の 68K 及び PowerPC 用パッチの一つ一つを作成するのに必要な基本的 補助コードの面倒を見てくれるプログラマー用ツールで、これによりプロ グラマーはハックそのものに集中できるようになる。Unfinder 同様、 PatchMaker も観衆からの“便利だぞ!”の叫び声を集めたが、少なくとも 一人くらいは PatchMaker を使って来年のハックを書くのに挑戦してみよ うと考えていたに違いない。

その他のハック -- 上位入賞に輝いたのは以上の 5 つのハックだが、取 り上げないでおくのは惜しい作品はこれ以外にもあった(深夜にメモをとっ ていたので多少の誤りはご容赦いただきたい)。

「便利だぞ!」という野次を避けることに成功したのは Leonard Rosenthol と Miro Jurisic の両氏で、Microsoft Internet Explorer、Netscape Communicator、もしくは iCab を利用して Windows Active Desktop のよ うに Macintosh のデスクトップに Web ページを表示する Mactive Desktop を披露した。同様に全く役に立たないものに、Bill Hubauer 氏の CD-ROM Drive You Crazy があった。これはネットワーク上の Mac の CD-ROM ト レーが勝手に出たり入ったりするというものだ。Jesse Donaldson と Katherine Smith の両氏は ReaderMouse を出品した。マウスポインタの下 にある単語を読み、音声合成で読み上げるというものだ。なんでも画面上 の画素を OCR しているということらしい。

以前 Apple で Open Transport の製品責任者をしていた Richard Ford 氏 は、現在籍を置いている Packeteer 社製のデバイス、PacketShaper を利 用した HUF(Hotline User Frustrator)を披露した。MacHack の 256 bps インターネット接続が Hotline ユーザーたちのせいで飽和しているという 苦情に対応するため、Richard は PacketShaper が Hotline ユーザーを 300 bps に制限するようにし、ネットワークのスループットが他のプロト コルでの利用者にとってどれだけ改善されるかを示すグラフをリアルタイ ムで見せた。もう一つ人気の高かったインターネットハックは Mark Lilback 氏の Geo Killer で、GeoCities がホストしているサイトを訪れ た際に表示されるいまいましいポップアップウインドウを自動的に閉じる というものだ。サイトを問わずポップアップウインドウを閉じるように設 定することもできる。

<http://www.packeteer.com/products/products.htm>

Apple DTS の Andy Bachorski 氏は昨年 MacsBug 版の BrickOut を作った のだが、今年はその続編として BBEdit を使って ASCII Invaders を作っ た。これは Space Invaders の一種で、特殊なフォントを使い、アニメー ションは BBEdit のテキスト操作だけを使って画面表示をするというもの だった。

基調講演者の Andy Ihnatko 氏も、基調講演で見せたハックの続編を作っ た。ADB 入出力デバイスとカスタム AppleScript スクリプトで Skinner Cubicle(行動学研究に使われるスキナー箱のもじり)を作ったのだった。 基本的なアイデアは、時折キュービクルの住人についてプラスかマイナス の評価を下さなければならないということから来ている。スクリプトの一 つは電動キャンディーマシンからキャンディーを一つ出し、もう一つのス クリプトはおもちゃのダーツを発射するというものだ。

最後に、多くの人が Y2K 関連ハックを披露した。最もおもしろかったのは Mac の時計が 1 月 1 日の午前零時に絶対ならないというもので、11:59:59 になるたびに 11:59:00 に戻るというものだ。こんなもののお世話になら なくて済むのは幸いだ。

Yoot ハック -- 学生参加者のハックの水準には大きなばらつきがあっ た。それもそのはずで、最年少の応募者は 7 歳の Rachel Green 嬢で、一 方ぎりぎり yoot として認められる大学卒業を目前に控えた応募者も少な くなかった。Rachel のハックは AppleScript を使って画面上で 2 つのア イコンがお互いを追いかけまわすというものだった。その一方 Avi Drissman 氏の Balloon Preview は QuickTime を利用して、ファイルを指 した際に表示されるヘルプバルーンに画像やムービーのプレビューを表示 するというものだった。Ned Holbrook 氏の CD Namer もなかなか凝ったも ので、オーディオ CD を挿入すると CD Namer が自動的にどの CD かを判 別し、インターネット上にあるデータベースを照会しディスクとトラック のタイトルを埋めてくれるというものだ。

これ以外にもなかなか優秀な yoot ハックがあった。Lucius Kwok 氏の Prose Posse はテキストファイルを単語の近接性に応じて書き換えるとい うものだったし、3 人組みによる Altered States という ハックは、ウイ ンドウにけばけばしいエフェクトをかける(特に午前 2 時 30 分にはまぶ しく感じる)ものだった。Ben Furnas 氏の The Creep はプログラムリン クを利用し、シンプルなダイアログを使ったチャットクライアントだった。

MacHack の歴史に残ることになった yoot ハックもあった。Matt Linden 氏作の AppleScript を利用した“Is it a folder?”で、Finder で選択さ れたものがファイルかフォルダかを識別するもの、というはずだった。フォ ルダにポインタを持っていけば Mac が「これはフォルダです」と宣言し、 同じ文をダイアログでも表示するというわけだ。Matt には気の毒なこと に、バグのせいでファイルをクリックしても同じダイアログが表示され、 でも音声では正しく「これはフォルダではありません」と述べたのだ。自 分のコードが正しく動作しないということが信じられず、Matt は色々な ファイルを何度もクリックしてこのハックを正しく動かそうとした。睡眠 不足の観客は大喜びして、翌日には「私はフォルダではありません」とい うバッジが登場した。MindVision 社の Steve Kiene 氏は「私はフォル ダなんです! 何なら証拠を見せましょう!」という T シャツを作った。

AltiVec ハック -- MacHack 参加の特典として、Apple がハックの対象 とするように数台送ってきた G4 ベースのプロトタイプ Power Mac があっ た。PowerPC G4 は基本的には G3 の強化版に特定の種類のコードを劇的に 高速化する AltiVec ベクタープロセッサが加わったものだ。AltiVec ハッ クのほとんどは、AltiVec 専門家の Doug Clarke 氏の“42”も含め、 AltiVec をオンにした状態とオフの状態の両方でコードを実行していた。 ある例では AltiVec をオンにした場合 188 倍の高速化が見られた。Doug によると最低限のチューニングで 2 倍から 4 倍というのが普通だそうだ。

他のプラットフォーム -- Mac OS X Server 上で動作するハックもいく つかあった。Blue Box Spy は(Mac OS が走っている)Blue Box が隠され ている状態の時にも Blue Box で何が起きているかを見ることができると いうもので、Andrew Stone 氏はチャットベースのポーカーゲームに GUI を追加するというハックを提出した。最も本格的な Mac OS X ハックは Apple のエンジニアによるもので、CompUSA で買ったばかりの Windows Theater TV チューナーをMac OS X Server で使えるようにデバイスドライ バを書いたというものだった。それに早めに NeXT インターフェースに慣 れたいという方のために、Jonathan "Wolf" Rentzch 氏は通常の Mac OS メニューバーを隠して NeXT 風のフローティングメニューで置き換える Carbonized Menus を作った。

Palm OS ハックも少し見受けられた。3Com/Palm 社の Steve Lemke 氏と Jesse Donaldson 氏は、赤外ビームを使った PowerBook の CD-ROM をリモ コン操作するものと、シリアル接続経由で PowerBook でプレイしている DVD を表示するものさえ作った。Steve と Jesse は最優秀 Palm ハック賞 を Palm で Finder をシミュレートする Andrew Downs 氏の P1 Preview に贈った。

ハック入手 -- 全部のハックを収録した CD を 20 ドルで MindVision のオンラインストアから購入することができる(以下の URL 参照)。利益 は来年の MacHack 運営費に充てられる。MacHack Web サイトにもハックの リストがあり、トップ 5 はダウンロードもできる。

<http://www.mindvision.com/shop/machackcd.asp>
<http://www.machack.com/>


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