TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#499/27-Sep-99

FileMaker 社が FileMaker Pro 5 をリリースした。いくつかの機能を追加 し Web 発行者向けに議論の残る 1,000 ドルの無制限バージョンを発表し ている。また、今週号では、Adam が Priceline.com を使って航空券の購 入にトライし、同社の来るべき付け値をつける食品雑貨店事業を調査する。 ニュースでは、Virtual PC 3.0、Net Expander 1.0、USB Overdrive 1.2、 また、ISP の巨人、EarthLink と MindSpring の合併を取り上げる。次号 は、TidBITS 500 号目!

目次:

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今回の TidBITS のスポンサーは:


MailBITS/27-Sep-99

(翻訳:西村 尚 <hisashin@hotsync.co.jp>)

より高速な Virtual PC 3.0 がネットアクセスを共有 -- Connectix 社 は現在 Virtual PC 3.0 を出荷している。Microsoft Windows または他の PC オペレーティングシステム用に Pentium プロセッサをエミュレートす る同社のプログラムのアップデートだ( TidBITS-433 の“Virtual PC 2.0: ただのマイナーアップグレードではない”を参照)。この新バージョ ンでは、より高速なネットワークと PC ディスクの性能、USB 対応、Mac とエミュレートされた PC 間で単一のインターネット接続を共有する機能、 さらに AppleScript と SoundBlaster 16 ハードウェアを必要とするオー ディオのサポートをうたっている。Windows 98 を走らせるために、 Connectix は少なくとも Mac OS 8.0 以降(Windows 98 での USB 対応に は Mac OS 9 が必要)が走る PowerPC G3 ベースの Macintosh、 64 MB の RAM と 520 MB のハードディスク容量を推奨している。 Windows 95 また は PC DOS 2000 を走らせるためのシステム条件はもっと少ない。 Virtual PC 3.0 は現行の顧客に対して 44 ドルであり、それ以外の人には、Windows 98 付属の 180 ドルまたは Windows 95 付属の 150 ドルである。箱入りの アップグレードは 9 月末までには購入可能になるはずだ。 13 MB のダウ ンロード可能なアップグレードは現在利用可能である。 [JLC]

<http://www.connectix.com/products/vpc3.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04923>

MindVision が MindExpander でファイル伸長の選択肢を提供 -- MindExpander のプレビュー版の出荷後 10 ヵ月、MindVision Software 社 は Aladdin Systems 社のいたるところにある StuffIt Expander と競合す る無料の MindExpander 1.0 をリリースした。StuffIt Expander と同様 に、MindExpander は次の形式を伸長できる:StuffIt 4.5、Zip、gzip、 MacBinary、BinHex。よくある StuffIt 5.0 や uuencode 形式はサポート していない(これらに対しては、StuffIt Expander 5.1 のような他のアプ リケーションをコールする)が、MindExpander はテキスト中の DOS の改 行を Macintosh の改行に変換できる。この小さくまとまったアプリケー ションにはなめらかな自動アップデート機能、Mac OS 9 を介した System 6.0 と Mac Plus 以来のすべての Mac に対するサポート、MindExpander アプリケーション自身によってインストールされるコンテクストメニュー ・プラグインが含まれる。Mac Expander は 234K のダウンロード容量で、 Windows 用の無料の Aladdin Expander と同様に、MindExpander の Windows 版も入手可能だ。 [ACE]

<http://www.mindvision.com/Consumer/>
<http://www.aladdinsys.com/expander/>

USB Overdrive 1.2 が高速に -- Alessandro Levi Montalcini 氏が USB Overdrive 1.2 をリリースした。氏の汎用 USB マウスとジョイスティック ドライバの無料のアップデートである( TidBITS-483 の“マウスを最大 限に活かす”を参照)。表面的には USB Overdrive は同じに見えるが、表 面下で Alessandro は性能向上のためにすべての 68K コードをより高速な PowerPC コードに置き換え、ジョイスティックとゲームパッド用にマウス カーソル動作を加え、新しく Launch URL アクションを追加し、新規に ダイアログボックスにデフォルトボタンにマウスカーソルを移動する Auto Move オプション実装した。USB Overdrive は Mac OS 8.5 以降が必要とな り、Mac OS 8.6 を推奨、Mac OS 9 に対応している。USB Overdrive は 20 ドルのシェアウェアで、294K のダウンロード容量だ。 [ACE]

<http://www.usboverdrive.com/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05414>

EarthLink と MindSpring が合併 -- 米国内最大のインターネットサー ビスプロバイダー(ISP)の 2 社、EarthLink 社と MindSpring 社は、合 併し新会社を設立して EarthLink 社と呼び、両者の経営陣を合体して経営 に当たることに合意した。EarthLink と MindSpring は両社とも小さな独 立系 ISP として出発し、攻撃的なマーケティングとより小さな ISP の買 収による顧客獲得を通して成長した。300 万人と見積もられる会員で、合 併会社は、America Online の 2,000 万人と見積もられる会員には大きく 後退するものの、AT&T WorldNet と Microsoft の MSN を抜き去って一挙 に ISP 市場で 2 位となる。この合併は意味がある。EarthLink と MindSpring は類似の顧客ベースを競合しており、両社は業務を統合するこ とで AOL、MSN、AT&T WorldNet との競争に焦点をしぼれるのだから。 [ACE]

<http://www.earthlink.com/about/pr/mindspring.html>


付け値で購入、Priceline.com

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 里華子 <rikako@pobox.com>)

インターネットが日常生活にゆっくりと溶け込むことを私は大いに支持し ているが、新しいインターネットサービスを試してみるのにはきっかけが 必要だったりする。今回試してみた Priceline.com もその一例だ。これは Web をベースに航空券、宿、新車、住宅ローンなどの価格を自分で付ける というサービスである。売り手が設定した価格に近い値をつけた買い手が 交渉権を得るというオークション方式の逆を行くものだ。注意すべき点は、 Priceline.com は米国内の商品だけを取り扱っているということで、国際 線のフライトに関しても米国発になっていないといけない。

<http://www.priceline.com/>
<http://www.public-domain.org/patent/business/>

私は安い航空券を探すのに Priceline.com を愛用しているが、同社は最近 私が関心を持っているインターネット商取引の分野である食品雑貨部門に 進出してきた。Priceline.com の扱っている飲用水にはいったい何が入っ てることやら。

Web で飛ぼう -- 6 月は MacHack カンファレンス、7 月は Macworld Expo と出かけなければならないことが続いた。お得意様用航空券とたまた ま手に入ったノースウエスト航空の割引券があったので、MacHack に行く のに割引券を使い、たまったマイレージを使って Macworld に参加しよう と考えた。しかし、MacHack のころ超忙しかったこともあり、航空会社が 手ごろなフライトでマイレージ利用者用の席数をよく制限するということ を忘れてしまっていた。Macworld に行くためのフライトを予約しようとし た時点で、シアトルからニューヨークに行くには途中何箇所も経由する夜 便しか残っておらず、これだと Macworld Town Meeting で私がプレゼン テーションを行う数分前にしか到着できない。

そこで、これは経費だし、シアトルからニューヨークのフライトはだいた い 350 ドルぐらいのものだからと考えて直行便の航空券を購入することに した。ところが、今でもどうしてだかよく判らないのだが、750 ドル以下 の航空券を見つけることができなかった。なんでさっさと予約しなかった のだと自分をなじり始めた。なぜなら、20 日前に予約を入れようとしたの が間違いで、お買い得の券を見つけるには 21 日以上前に行う必要が多々 あると考えたからだ。このテオリーは通常真であるが、だからといって自 分を責めるのはどうかと思い、22 日後の同様の券を探してみたところ、650 ドルとわずかに値が下がるだけだということが判った。

しかし、とんでんもない時間に直行便でないフライトで飛ぶというお得意 様用航空券のむだ遣いをするか、直行便に妥当と思っていた金額の 2 倍を つぎ込むかというろくでもない 2 つの選択肢は私の前に鎮座したままだ。 (Patrick O'Brian 氏の秀作 Aubrey/Maturin に出ていたジョークのよう に)2 匹のゾウムシのうちましなほうを選ぶよりもましな選択になるよう に、選択肢以外の Priceline.com を試してみることにした。今更失うもの などほとんどないのだから。

<http://www.io.com/gibbonsb/pob/>

まず、深呼吸から -- Priceline.com は実に恐ろしいところだ。どの航 空会社でも構わないから午前 6 時 〜 午後 10 時の間で、経由があっても よいという条件でフライトで探してもらうようになっている。それから、 その航空券の値をつけて、Priceline.com にクレジットカード番号ととも に伝える。リクエストを送ってから一時間以内に、同社はあなたのつけ値 で航空券を販売してくれる航空会社があるかどうかや、ある場合は詳細を メールで知らせてくる。

緊張しながらすべての情報を入力していった。Web フォームを開いたまま Tonya に妥当な値段を相談するために 2 階に上がった。最初は 300 ドル が適当だろうということになったが、少し欲を出して 250 ドルという値を つけた。階下に戻って、リクエストを送ったところ、それから数分で Priceline.com からメールが届いた。少々戦慄をおぼえながらメールを開 いた。なにしろ、こちらの付け値で話がまとまらなかったらどうなるかと いうことが同社のサイトに書かれていなかったみたいだから。非常に驚い たことには、Delta 航空が 250 ドルで往復券を販売してくれることになっ たというだけでなく、時間もまともなうえに、行き帰りとも直行便だった。 Priceline.com が私の前にいたゾウムシをいとも簡単に一蹴したのには肝 を抜かれた。

とんでもない安い付け値にしてみようと思うのが人情というものだが、 Priceline.com は魔法を使うことはできない。シアトルからサンディエゴ の往復券を 20 ドルで買うことができるかどうか試したところ、 Priceline.com は残念ながらそれほど愚かな航空会社はないので、もう少 し値を上げて試してみるようにと言ってきた。安いところから始めて、で きるだけ旅費を安く上げようと頑張るのは当然だと思う。

ただし、Priceline.com を利用することで誰もが私のように満足できるわ けではない。同社のサービスに対する不満を述べたページがたくさんあり、 その一部はもっともであると思うが、愚痴を言っているだけのところもあ る。たとえば、Priceline.com はマイレージを稼ぐことができないことや、 一切の変更ができないこと、価格には税金が含まれていないことを前もっ てちゃんと書いてある。また、細かい指定もできないのだが、この点は時 によっては私も困ることがあるだろう。このような制限が嫌ならば、 Priceline.com を使わないことだ。しかし、大体の規則を理解したところ、 同社は便利であり、とりわけ土壇場ではありがたい存在だ。

<http://www.esmarts.com/priceline.html>
<http://www.angelfire.com/nt/priceline/>

食べ物はちょっと Priceline.com の航空券サービスに満足していたとこ ろに、同社が同じ方式で食品雑貨も扱うようになるとの発表があった。こ れは、WebHouse Club と呼ばれ、99 年 11 月 1 日からニューヨーク、 ニュージャージー、コネチカットで操業を開始することになっている。

<http://travel.priceline.com/infoctr/webhouse/welcome.asp>

同社はこのサービスについて次のように説明している。まず、個人の番号 の入った無料の WebHouse Club を手に入れなければならない。次は、ある (まだ公開されていない)インターフェースを使って、購入したい品物の 価格を品物一つにつき銘柄 2 つと一緒に提示する。そしてクレジットカー ドの番号を入れると、Priceline.com はその価格で販売してくれる店があ るかどうかをほぼ 60 秒以内に伝えてくれることになっている。後は、話 のまとまった Private Price List を印刷したものと WebHouse Club を 持って加盟店に出向いて、品物を受け取る。その店のクーポン券やお得意 様カードのようなものを持っている場合は、それも併用できる。

言葉にすると簡単なことのようだが、考えてみると現実は一筋縄で行きそ うもない。購入する品物のすべての銘柄を判っていなければならない(こ れでは農産物には値をつけることができないと思うのだが)。以前 Tonya がマーケット調査に答えさせられたことがあったのだが、この時に何とい う痛み止めを使用しているかを尋ねられた。しかし、彼女はどこのものを 使用しているかどころかどんなタイプかさえも皆目思い出せなかった。青 と赤のラベルのついた丸いボトル入っていて戸棚にしまっていることは覚 えていたのだが。その調査員は私に口を挟ませてくれなかった。なぜなら、 私はその答えを知っていたが、私はその調査の対象に当てはまらなかった からだ。ちょっと横道にそれてしまったが、要するに、大抵の人は自分が 購入する品物の銘柄などまったく知ってなどいないという話がしたかった のだ。

銘柄の問題をクリアしたら、次は価格の問題が待ち受けている。2 リット ルの牛乳がいくらするかすぐに答えることができるだろうか? 私はたいて いまともな売り値かどうかは判断できるが、すべての品物にそれなりのディ スカウント価格を付けることはとてもできない。ちゃんと調べれば、自分 たちがよく購入するものの値段をだして、そこから買い値を付けることが できる。しかし、これはクーポン券を切り取る以上に手間な作業である。

ここでは手間というのが問題になってくるのだ。HomeGrocer.com のような サービスは時間と労力を節約できるし、配達料が無料になるための 75 ド ル以上の買い物という条件に満たない時に 10 ドルの配達料を払っても、 時間の節約になるので十分に見合う。Priceline.com の食料雑貨ショッピ ングサービスでお金を節約できるのは間違いないだろうが、時間とエネル ギーの点に関しては高く付くだろう。Priceline.com で航空券を購入した 場合に節約できた金額は 500 ドルほどと結構なものになった。日用品を購 入することに長けた人や、いつも値段に目を凝らしたりクーポンを切り取っ ているような人は、Priceline.com のサービスを利用して多少得すること もできるだろう。そうでないのならば、週に 10 ドル節約するために買い 物に余計に一時間割いたりするだろうか?

大多数の人にとっては割に合わない話だ。節約できる金額がわずかなのは 紛れもないことだし(食料雑貨店には大した金額のものは置いていないし、 彼らがそこから得ている利益も大したものではないから)、時間を節約で きないどころか、余計時間をかけなければならないのだ。それに、加盟店 がことがすべてうまく運ぶような支払いシステムになっているとは思えな い。レジで WebHouse Club カードと価格表を提示するのは当然だろうが、 それ以外のものも買うとしたらどうなるのだろうか? Priceline.com がそ のあたりの手続きの中で利益を得ようとするとは当然だろう。たとえばカー ドを発行する時点で得た客層情報などを利用するとか。同社はすでに航空 券を予約しようとする人に対し、クレジットカードや雑誌の購読申し込み などの勧誘を自動的に行っているし、それにより買いたい航空券をゲット できる確率が上がるのかもしれない。

私の理論は間違っているかもしれないが、航空券、宿、新車のような高額 のモノでうまくいっている Priceline.com のやり方が、食料雑貨の販売で 成功するとはとても思えないのだ。


物議をかもす FileMaker Pro 5 のリリース

by Adam C. Engst and Geoff Duncan <editors@tidbits.com>
(翻訳:松岡 文昭 <mtokfmak@mxa.mesh.ne.jp>)
(  :尾高 修一 <shu@pobox.com>)

アップグレードは人によって異なるものであり、今回入手可能となった FileMaker Pro 5 アップグレードをどのように見るかは、あなたが、この ポピュラーなデスクトップ・データベースプログラムをどのように使って いるかにかかっている。もし小規模のスタンドアローン・データベースと して FileMaker を使っているなら、アップグレードに関心を示すかもしれ ないし、FileMaker Pro に内蔵された Web パブリッシング機能を検討して いるスモールオフィスのユーザーなら、150 ドルのアップグレード(新規 ユーザーは 250 ドル)を検討する理由もあるだろう。しかし、多くの FileMaker Pro のデベロッパーや既存の Web パブリッシャーは、従来の FileMaker Pro にあった能力を限定または削除し、必要な新しい機能の追 加がほとんどなく、ユーザーが長年求めてきた多くの機能が提供できてい ないこの新バージョンに、ろうばいしている。

<http://www.filemaker.com/products/>

新機能 -- Microsoft Office に慣れている個人ユーザーは、Microsoft Office アプリケーションで使用されているものによく似た、FileMaker Pro 5 の刷新されたインターフェースを評価するかもしれない。スプレッドシー トの方のデータが見やすいという理由で、多くの人がデータベースならもっ と上手くできるタスクに Microsoft Excel を用いているので、FileMaker Pro 5 ではサイズ可変な行と列を使用しレコードをスプレッドシートのよ うに見られるようになった。また FileMaker 社はデータベースを Web で 公開使用という人々のための Web パブリッシング機能も強化している。 FileMaker Pro の強化されたインスタント Web パブリッシング技術は、今 や Cascading Style Sheets (CSS) をサポートし、Web 経由で発行された データベースの見た目を統一するため 7 つの選択可能な "Web テーマ" を 追加し、IP アドレスを基にした新しいセキュリティ機能を提供している。 また FileMaker Pro 5 の Web コンパニオンは XML (Extensible Markup Language) を使用したデータ転送ができ、XML 対応の Web ブラウザやその 他のツールにとって多くの新たな可能性を提供するものだ。もっともその ようなツールは今時点では Web デベロッパー業界以外では殆ど聞くことは ないが。

FileMaker 社の Web ページ作成ツール Home Page の消滅をたぶん示唆す る動きとして、FileMaker 社は、Adobe GoLive、Macromedia 社の Dream Weaver、そして Allaire 社の ColdFusion が FileMaker データベースの Web パブリッシングへのサポートを拡張する計画であることも発表した。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04787>
<http://www.adobe.com/prodindex/golive/>
<http://www.macromedia.com/software/dreamweaver/>
<http://www.allaire.com/Products/ColdFusion/>

また FileMaker Pro 5 は FileMaker Pro 4.1 の ODBC (Open Database Connectivity) 能力も強化している。ODBC は異なったメーカーによるデー タベースプログラム間の情報交換を可能とするデーターベース・コミュニ ケーションのスタンダードだ。FileMaker Pro 4.1 は ODBC クライアント 能力を持っており、ユーザーは、Microsoft Access、Microsoft Excel、 Microsoft SQL Server、または Oracle のような ODBC データソースから データをインポートすることができた。今や FileMaker Pro 5 は ODBC データソースとしても機能するのだ、他のプログラムが FileMaker データ ベースに蓄積された情報にアクセスすることができるのだが、FileMaker Pro 5.0 は OBDC Level 2 を完全にはサポートしてはおらず、いくつかの 環境ではその機能が限定されてる。FileMaker の ODBC 機能は、その新し い XML 能力と共に、Web ページ作成ツールの拡張を手助けするものだ。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05091>

FileMaker のデベロッパーは、新しいデータベースシンクロナイゼーショ ン機能、長く待たされたスクリプトをインポートしたりエキスポートした りする能力、若干の重要なダイアログのサイズを ScriptMaker のように変 更できる能力(やっと!)、そして状況に応じデベロッパーが動的にリス トやメニューの選択肢をカスタマイズできるようにする条件値リストを、 歓迎するであろう。

FileMaker Pro 5 は、PowerPC を搭載したシステム、少なくとも 16MB の RAM、そして Mac OS 7.6.1 かそれ以降を必要としている。

ハイエンドを狙う -- こういった ODBC や XML 機能を見ると、 FileMaker 社が企業データベースユーザーをターゲットとしており、同社 が他の大手データベースメーカーに歩調を合わせてユーザー数や機能によっ て異なる価格設定をする方式を採用してきていることは明らかだ。これま で FileMaker Pro は基本的にスタンドアロンのデータベースだった。 FileMaker Pro プログラムを買ったら、使い方に関係なくすべての機能が 付属してきた。だが、今回 FileMaker 社は 3 種類のハイエンド製品を発 表した。FileMaker Pro 5 Unlimited、FileMaker Server 5、それに FileMaker Developer 5 だ。

年内に 1,000 ドルで出荷が予定されている FileMaker Pro 5 Unlimited は無制限のゲストや Web ユーザーがデータベースに接続することを許し、 インターネット経由でのリモートデータベース管理機能も搭載している。 FileMaker Pro 5 Unlimited の Web サービスは人気 Web サーバ (WebSTAR、AppleShare IP、Apache など)と連携する Java サーブレット として実装され、Secure Sockets Layer(SSL)接続をサポートしている。 また複数コピーの Unlimited 版を使用すれば、複数コンピュータでデータ ベースを共有し、その結果負荷分散、フォールトトレランス、それにデー タベース処理の同時実行を可能にする。FileMaker 社は、Unlimited エディ ションはサードパーティ製 Web パブリッシング製品や CGI 製品と動作す るが、スタンダードエディションの FileMaker Pro 5 は動作しないとして いる。

<http://www.filemaker.com/products/fmu_home.html>

ゲストや Web ユーザー数無制限のアクセス、サードパーティ製 Web パブ リッシング製品との互換性などは一見魅力的な機能だが、こうした機能は 従来バージョンの FileMaker Pro に実はすでに存在していたことに問題が ある。従来バージョンと比べ、FileMaker Pro 5 は最高 10 ユーザーのピ ア・トゥ・ピア・ネットワーキング、または 12 時間につき 10 までの IP アドレスしかサポートしていない。加えて、FileMaker 社がコンピュータ アレイによる共有データベースサポートを追加してくれたのは嬉しいが、 複数のマシンとサードパーティ製品を使えば負荷分散やフォールトトレラ ンス、それにデータベース処理の同時実行などの機能を既存の FileMaker Pro 4.1 データベースに追加することができた。TidBITS の全文検索を実 現したのはまさにこれなのだ。こうした複数マシンを使ったセットアップ が一部のサイトで必要なのは、従来バージョンの FileMaker Pro はマルチ スレッドに対応していないからで、こうしないと FileMaker Pro が複数の 処理を同時に実行することができず、一つずつ順番に処理を実行すること になるからだ。マルチスレッド化は 4 年近くもの間、FileMaker Pro を 使って Web パブリッシングをしているユーザーからの唯一最大の要望だっ たにもかかわらず、FileMaker Pro 5 と FileMaker Pro 5 Unlimited は 依然としてマルチスレッドではない。

つまるところ、スタンダードバージョンの FileMaker Pro 5 は Blueworld 社の Lasso などサードパーティ製 Web パブリッシング製品に依存してい るユーザーには全く役に立たないということになる。FileMaker Pro 4.x 内蔵の Web パブリッシング機能は機能とスケーラビリティの面で物足りな いので、シリアスな Web パブリッシングシステムの一部に FileMaker を 使っているユーザーは誰もがサードパーティ製品に頼ってきた。FileMaker 社は事実上 FileMaker Pro 5 Unlimited を使えと言っているのだ。 FileMaker Pro 5 Unlimited はマルチスレッドでなく、まだ出荷されてお らず、1,000 ドルもする。これでようやくこれまであった機能を失わずに 済むのだ。さらに悪いことに、FileMaker Pro 5 のファイルフォーマット は FileMaker Pro 3.x とも 4.x とも異なるため、従来バージョンの FileMaker を使い続けようとする Web パブリッシャーは FileMaker Pro 5 で作られたデータベースをサーブすることはできない。

<http://www.blueworld.com/>

FileMaker 社は FileMaker Server 5 も年末までに 1,000 ドルで販売する 予定だ。Mac OS 8.6 以降では Open Transport のパフォーマンスを改善 し、自動データベースバックアップ、それに最高 250 までのデータベース ユーザーの同時使用をサポートする。FileMaker Server 5 はマルチスレッ ドアプリケーションではあるが、このハイエンド製品の従来バージョンは Web パブリッシング機能を提供しておらず、サードパーティ製 Web パブ リッシングツールとの互換性もなかった。FileMaker Server 5 の製品概要 でこの状況が変ったことを示唆する材料は全くない。

<http://www.filemaker.com/products/fms_features.html>

FileMaker Developer 5 にはロイヤルティなしで FileMaker データベース のランタイムバージョンを配布するためのツールが含まれるほか、 FileMaker の XML 機能のドキュメンテーション、Java ベースで FileMaker ソリューションとの統合のための JDBC ドライバ、それに FileMaker のプ ラグインアーキテクチャのドキュメンテーションがある。FileMaker Developer 5 には FileMaker Pro 5 が含まれ、2000 年初頭に 500 ドルで 登場する予定だ。

<http://www.filemaker.com/products/fmd_home.html>

Windows の道 -- こうしてみると FileMaker 社が Macintosh 市場はほ ぼ飽和していると考えており、そのかわりに Windows 版 FileMaker Pro に力を入れ、その結果ボリュームライセンスを購入する大規模ユーザーに アピールしようとしているように見える。Microsoft Office 風インター フェースを別としても、スプレッドシート風のデータビュー、ODBC 機能、 Excel ワークシートの直接インポートなど、Windows 版 Microsoft Office アプリケーションとのタイトな統合や ActiveX を利用したアプリケーショ ン統合のサポートなど、FileMaker Pro 5 は Microsoft 社のデータベース 製品である Access を標的にしているのは明らかだ。

<http://www.microsoft.com/office/access/>

FileMaker が長期にわたって Macintosh データベース市場を独占してきた ということは、Macintosh ユーザーには選択肢が少ないということを意味 する。比較的シンプルなニーズのユーザーは AppleWorks や ProVUE 社の Panorama を使い続けることができる。よりパワフルなデータベースや Web パブリッシング機能が必要な方は Panorama のほか ACIUS 社の 4D、 Paradigma 社の Valentina、あるいは UserLand 社の Frontier ( TidBITS-476 の「Frontier の謎を解明」を参照)を試してみるという こともできる。

<http://www.provue.com/proVUE/PanoramaHome.html>
<http://www.apple.com/appleworks/>
<http://www.acius.com/>
<http://www.paradigmasoft.com/>
<http://frontier.userland.com/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05351>

最終的には、FileMaker 社が FileMaker を強化してくれるのはありがたい が、同社が選んだ方向性はMacintosh マーケットで FileMaker Pro が 伝 統的に使われてきたありかたと矛盾するものでもある。スタンダードエディ ションの FileMaker Pro 5 はすべての人のニーズを満たすものではない。 もっと大きな疑問は、ニーズが 1,000 ドルの価格帯に入るユーザーたちが アップグレードするだけの理由があるかだろう。


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