TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#500/04-Oct-99

我々は週刊の世論調査とクイズを加えてホームページを再デザインするこ とで TidBITS の 500 号を祝った。また、今週から Adam がいかに音楽の ために MP3 形式の光明を見るに至ったかという記事の第一部を開始する。 ニュースでは、Retrospect 4.2 への無料アップデート、Retrospect for Windows、Netscape Communicator 4.7、FileMaker Pro Web Companion 5.0v2 のリリース、さらに Palm ハンドヘルド機の安くなった価格を取り 上げる。

目次:

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MailBITS/04-Oct-99

(翻訳:西村 尚 <hisashin@hotsync.co.jp>)
(  :三好泰子 <yokomo@mio.to>)

より廉価な Palm VII が全国的にデビュー -- Palm Computing 社は、無 線の Palm VII 機を全米で販売すると発表した。Palm VII は、埋め込みの 無線インターネット接続機能を持ち、99 年 5 月 24 日以来ニューヨーク 市近郊で販売されていた。販売地域の拡大に加えて、Palm VII の価格は 600 ドルから 500 ドルに引き下げられた。また、Palm 社は無線アクセス が必要な、月次 Palm.net サービスの利用に対する 3 番目のオプションを 発表した。この Volume Plan には月額 40 ドルに 300K の転送データが含 まれる(現行の Basic Plan では 10 ドルで 50K、Expanded Plan では 25 ドルで 150K が含まれる)。月次の限度を越えて使われたデータの費用は キロバイトにつき 0.20 ドルに下がる。きわめて小量のデータのように思 えるが、Palm VII は、Palm がそれぞれの処理の間に転送されるデータ量 を劇的に減らせることのできる Web Clipping を呼び出す技術を使ってい る。さらに、早期利用者によれば、一ヵ月の時間で数百キロバイトのデー タをやりとりすることも簡単だということだ。また、Palm 社は Palm オー ガナイザ全製品群の価格引下げと 8 MB の RAM(対するオリジナルは 2 MB)と若干高速なプロセッサを備えるスリムな Palm V の拡張バージョン である Palm Vx を発表した。 [JLC]

<http://www.palm.com/products/palmvii/>
<http://www.palm.net/>
<http://www.palm.com/products/palmvx/>

T の字がもたらしたもの -- FileMaker 社は、同社の旗艦製品の最新バー ジョンのリリース( TidBITS-499 の“物議をかもす FileMaker Pro 5 の リリース”を参照)のわずか 2 日後に、FileMaker Pro 5 Web Companion へのアップデートをリリースした。FileMaker Pro Web Companion 5.0v2 は“T”の字が含まれるパスワードが Web Security データベースに正しく 現れないという問題を修正し、カスタムの HTML エラーページを参照する 問題を訂正する。アップデータは、FileMaker 5 の Mac 版と Windows 版 のどちらも入手可能で、両方とも約 600K の大きさだ。 [JLC]

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05576>
<http://www.filemaker.com/support/updaters.html>

Retrospect 4.2 アップデートと Retrospect for Windows -- Retrospect for Windows リリースの数日後、Dantz Development 社は Macintosh 版の Retrospect 用に無料でダウンロード可能なアップグレードをリリースし た。Retrospect 4.2 は Retrospect Client ライセンスの方法を変更し、 個々のクライアントライセンスから多数の Retrospect Client の管理を容 易にするアプリケーションベースのライセンスに移行した。また、 Retrospect Client パックには、Macintosh と Windows 用の両バージョン が含まれるようになった。これまでは、クライアントを別に購入しなけれ ばならなかったのだ。以前に購入された Retrospect Client のコードはす べて現行の Macintosh または Windows クライアントとともに動作する (また、Dantz 社の Web サイトから Retrospect Client Updater パッケー ジをダウンロードすべきだ)。ネットワーク接続されたクライアントへの アクセスは Retrospect 4.2 ではより簡単になっていて、定義された IP アドレスの範囲で自動的にクライアントを見つけることができる。長期間 に渡る Retrospect のユーザーは、Retrospect の基本的な操作を明解にす るためになされたいくつかの用語の変更に注意する必要があろう。 StorageSets は“バックアップセット”と呼ばれることになり、New バッ クアップは“New Media バックアップ”、Full バックアップは“Recycle バックアップ”の名で通ることになった。また、Retrospect 4.2 は新規の HTML Help とアップデートされたドキュメンテーションを特徴とするが、 どちらもまだ用意されていない。最後に、このアップデーターは英語版の Retrospect 4.1 でのみ使えるが、米国外のユーザーは Dantz が以前には 輸出できなかった 56 ビット DES 暗号方式を利用することができるように なった。Retrospect 4.2 Updater は 2.2 MB のダウンロード容量で、 Retrospect Client Updater パッケージは 1.9 MB の大きさである。

<http://www.dantz.com/index.php3?SCREEN=retro_42_mac_upgrade>
<http://www.dantz.com/index.php3?SCREEN=client_50_updates>

また、Dantz は Retrospect for Windows の最初の完全版をリリースした (これまでは Retrospect Clients for Windows があったので、Mac を使っ て Windows マシンをバックアップすることはできた)。Retrospect 5.0 for Windows には 3 つのバージョンがある。Retrospect Desktop Backup、 Retrospect Workgroup Backup、そして Retrospect Server Backup であ る。150 ドルの Desktop 版は Windows 95/98 と NT Workstation で稼働 し、一台の PC をあらゆるリムーバブルカートリッジのドライブとほとん どの CD-R、CD-RW、テープドライブにバックアップする。300 ドルの Workgroup バージョンは NT Server でも稼働し、ネットワーク接続された Windows または Macintosh クライアントのどちらかをバックアップするた めに 20 Retrospect Client ライセンスが含まれる。500 ドルの Server バージョンには 100 Retrospect Client のライセンスが含まれ、複数の IP サブネットをまたがってクライアントマシンをバックアップできる。 Retrospect for Windows の 30 日間のデモが 7.8 MB でダウンロードでき る。

このリリースは約 95 % の市場占有率を持つ Macintosh 市場から外へ出る Dantz Development の最初の主だった動きを記している。皮肉なことに、 Dantz 社の Craig Isaacs 氏によれば、この動きは、まともな Windows バックアップソフトウェアがないことに不満を抱える Windows 環境にいる Macintosh ファンからの長期間に渡る要望に促されたということだ。 [ACE]

<http://www.dantz.com/index.php3?SCREEN=intro_retro_5_win>
<http://www.dantz.com/index.php3?SCREEN=download_demo>

Netscape Communicator 4.7 リリース -- Netscape Communicator 5.0 の 開発に力の大半を注ぎ込んでいるにもかかわらず、Netscape Communications 社は、この度、Netscape Communicator 4.7 をリリースし た。変更点の大半は、マイナーチェンジだが、一つだけ、ドキュメントに は載っていないけれど、便利な機能が加わった。それは、リンクを Command + Option + クリックすると Communicator は Internet Config の設定を 使い、そのリンクが適切なアプリケーションに送られるという機能である (例えば、FTP をAnarchie にリンクするとか、Mailto を Eudora にリン クするとかいう場合)。その他に変更点は、セキュリティ上の問題点のい くつかがフィックスしたこと、そして、56 ビット DES 暗号方式が、U.S. バージョンとインターナショナルバージョンの両方で利用可能になったこ と、さらに、Netscape Radio Service が加わったことによってインター ネット上のラジオ局を聞くことができるようになったこと、である。 Communicator 4.7 は、Power-PC 搭載の Macintosh で、System 7.6.1 以 降であること、そして、フル・ダウンロードには、12.9 MBが必要。[ACE]

<http://www.mozilla.org/>
<http://home.netscape.com/download/index.html?cp=djudepart>


500 号と新しいホームページ

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 里華子 <rikako@pobox.com>)
(  :亀岡 孝仁 <tkameoka@fujikura.co.jp>)

TidBITS 通算 500 号を発行できることは感慨深いものがある。創刊当初、 これほど息長く続けることができるとは考えてもみなかった。これは、我々 が Macintosh、Apple、インターネット関連で取りあげようと思う話題が今 なおあるという証明でもある。くわえて、長年にわたる皆さんの支持と TidBITS Contributions プログラムに寄せられた多数の好意により、今後 も続けていこうという気持ちがさらに強まった。今週はデザインを変更し た我々のホームページを紹介したいと思う。中身に触れやすくし、週替わ りアンケートのような面白い新機能を少々追加してあるので、覗いてみて いただきたい。どんな変更をしたかやその理由については以下を読んでい ただきたい。

<http://www.tidbits.com/>
<http://www.tidbits.com/about/support/contributors.html>

略歴 -- 自分たちの Web サイトの古いバージョンはとっていない(し、 さすがの我々もそこまではやらないのだ)が、過去のデザイン改造を振り 返ってみることにした。1996 年の 9 月に初回のデザイン変更についての 記事を書いた( TidBITS-344 の“ある Web の再考”と TidBITS-345 の “続・ある Web の再考”)。どのように機能するサイトを作るかというこ とを初めて意識することになった作業でもあった。テーブルのような新し い HTML 機能のための変更やアップデートはしたものの、一番最初の頃の デザインのアイデアで現在でも残っているものが今でも一部ある。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=00884>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=00873>

1997 年 10 月に再度デザインを大幅に変更し、 TidBITS-400 の“400 号 と可変 Web サイト”でサイト大改造を紹介した。その時は新しいグラ フィックロゴや我々のデータベースにある個々の記事に恒久的な URL を付 けることができる GetBITS CGI、左サイドに常駐するナビゲーションバー が加えられた。それ以降の 2 年間我々のサイトの見た目はほとんど変わら なかった。Web においては永久不変とも言える。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04179>

2 年間何もしなかったわけではない。TidBITS Talk と、Geoff を操って 作ってもらったと言われている Web をベースにしたそのリストのアーカイ ブ( TidBITS-440 の記事“TidBITS Talk と TidBITS Talk アーカイブ” を参照)を始めたし、関連記事や TidBITS Talk のスレッドをゲットでき るようにデーターベースをオーバーホールした( TidBITS-477 の “TidBITS 検索にコンテクスト”を参照)。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05012>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05363>

メールマガジンだというのに Web に手間をかけるのは見合うのだろうか。 TidBITS の読者のほとんどが今でもメールで読んでいるのは確かだが、常 に他の配布方法にも門戸を解放しておきたい。どのように TidBITS を読む かは私たちの決めることではないので、メール、Web、FTP、Microsoft の 今や忘却の彼方に置かれた Channel Definition Format を利用したアク ティブチャンネルで発行しているのだ。Palm ハンドヘルド機ユーザーの方 は、David Charlesworth 氏 <davec@additional.com> が最近 TidBITS を Palm DOC フォーマットに変換してくれだしたので、無償の AportisDoc Reader を利用すると読むことができる。David は Palm 機用 AvantGo の HTML 表示サービスのユーザーためにデザインしたページも作っているの で、病院の待合室で 10 年以上前の Time 誌を読むよりは TidBITS をとい う方は、David がやってくれているありがたい変換をチェックいただきた い。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05051>
<http://www.additional.com/community/palm/>
<http://www.aportis.com/>
<http://www.avantgo.com/>

中身を見やすく -- 今年のサイト改造の第一目的は、Web 出版としての 存在理由がはっきりするように Web に力を入れ、刻下の内容を増やすこと だ。Web はアーカイブをブラウズしたり検索したりするのに向いているほ か、一連の情報を集めたり、ダイナミックデータにも適している。新しい ホームページではこれらの利用にいろいろな角度からフォーカスを当てて いる。

新しいページでは、我々がやっている仕事の最も重要な部分、つまり最新 号の TidBITS にスペースを大きく割いている。各号へのリンクの張り方を 変更し、トップに最新号のタイトルを置いてある。これはその号を Web で 我々の伝統的な“テキストのみ”表示で読みたいという人用に用意した一 号丸々がある HTML フォーマットへとリンクされている。その下に最新号 の MailBITS や記事のヘッドラインが続く。それをざっと見て、そこにあ るリンクは記事のデータベースにある個々の記事に行くようになっている。 これにより、他の記事に目をやる必要がなくなり、関心のある記事だけを 読むのが楽になると思う。また、標題を拾い読みしていくよりも書かれて いる内容を知りたいというタイプの方用に、その号の長い本番の方には何 が書かれているかという概要を続けて書いてある。

最新号を発行した後、次が出るまでの間は、“TidBITS Updates”と呼んで いる短いニュースを Web に載せる。これは、基本的に皆さんがもっと頻繁 に私たちのページを覗きに来る気になるように、内容に変化を付けるため に行っているものである。次号まで何も伝えないでいるよりも、重要なイ ベントや製品がリリースが有り次第記事にするという刺激にもなるので私 たちにとって重要であるのは実証済みだ。新しいこととしては、右上部に 作った“Breaking News”というセクションがある。そこにあるニュースの 標題はアクティブなニュースレポート全文がある他の Web ページの適当な ところにリンクが張ってある。

ホームページの新しい部分は右コラムの下半分を占めている "Dig Deeper in TidBITS Talk" である。TidBITS Talk は TidBITS で取り上げられたト ピックスに関してさらに詳細な事を司会役のもとで論じるメーリングリス トである。TidBITS Talkはこれまでのところ最も有益な Macintosh メーリ ングリストの一つである事を実証している。これはメンバーの知識、経験 そして洞察力の賜物であり、そして論議を脱線しない様に導き、そのメッ セージを関係ある内容だけに編集するという我々の仕事も寄与しているの であろう。我々の新ホームページ上に我々の Web アーカイブからいくつか の現在進行形の TidBITS Talk スレッドを載せる事で、これ以上のメーリ ングリストに参加するのはいやだという人にも TidBITS Talk の恩恵を受 けて貰え、あるいは興味がわけばその場で論議に飛び込んで貰えたりすれ ば幸いである。

新ページの右コラムは、最新ニュースの見出しと TidBITS Talk“スレッド ライン”の数に応じて按分される。このコラムは 8 つの枠があり、その内 最大 5 つまでは最新ニュースの見出しが占める事ができる。もしニュース の見出しが少ない時にはその分多くの TidBITS Talk スレッドラインを見 る事ができる。それでも、ニュースの見出しが 5 つ以上あったり進行中の TidBITS Talk スレッドラインが枠に収まりきれない程あった時には、全部 の項目へとリンクする“次を表示”が表示される。

世論調査 とクイズ -- ホームページの下のほうに大事な追加を行った - 毎週行う世論調査 とクイズである。世論調査 とかクイズというものは Web に適した使い方の一つである - これをメールでやるのはともかく煩雑 である。当初は面白いからと言うのとたまには熱い話題について読者の調 査をしてみたいと言う理由から世論調査の機能を作る事にした。(TidBITS Talk はある程度長い意見や論議には向いているが簡単な意識調査には適当 ではない。)世論調査の基礎的なことを整理している時、調査の質問とク イズの質問の間での違いはクイズは正解があると言うことだけである事に 気づいた。この機能追加は簡単だし、皆さんの Macintosh やインターネッ トについての知識をテストするのに使えるクイズを提供することもできる。

世論調査やクイズの質問を出す方は易しい。もっと面白いのはあなたが調 査やクイズに回答したときに見られる結果のページである。結果のページ は質問を再表示し、応答のグラフを棒グラフとパーセントの数字両方で示 し、さらに個々の回答の生の数字と、その質問に関するトピックスについ てさらに詳しい情報を提供してくれる TidBITS の記事および TidBITS Talk スレッドへのリンクも提供する。それから、以前の世論調査およびクイズ の結果へのリンクも提供する予定である。

私はこれまで考えていた色々な調査への回答が待ち遠しくて仕方がない。 そして我々は色々なクイズについても準備を進めている、Mac の初心者向 けから自分自身を Macintosh の超ギークと自認する人向けまで。今後 TidBITS のなかでも新しい質問を発表し次週にはその結果を報告するつも りでいる、しかしながら、参加するのは我々のホームページからしかでき ない。

テキストバナー -- 我々のホームページ上にグラフィカルな宣伝バナー をこれまでに入れたことはなかったが(NetBITS ではやったことがある)、 ホームページの頭のところ、メインロゴの下にいわゆる“紫ボックス”を 長いこと設けてきた。これは訪問者達の注意を喚起するためで、興味深い プロジェクト、催し物、あるいはスタッフによる著作物、我々のボランティ ア参加プログラムや SETI@home チームのようなものを載せてきた。我々の この紫ボックスに関する悩みは内容の更新が難しい事で、その結果、思う ほど度々は変えられなかった。

そこで、我々のスポンサープログラムとストレートな Web ベース広告の間 に収まるようなちょっと新しい紫ボックスの使い方に行き着いた。スポン サープログラムについては我々は誰になって貰うかに気を使っている、と いうのもそれは相互的なものだからである - 我々の評判は我々のスポン サーにも多少影響を及ぼすし彼らのは我々の上にも陰を落とす。この紫ボッ クスの新しいデザインにはこの関係を明快に示すよう注意を払って、最新 号から取った広告文の隣にそのスポンサーの小アイコンを示すようにして いる。我々は常にスポンサー達に TidBITS の読者に特別の割引を提供する ようお願いしているので、我々としてはこの新デザインによって読者の広 告の使い勝手が従来の広告バナーの重たさ(そして煩わしさ)なしに向上 すること願っている。

将来を見る -- 大きなプロジェクトには付き物だが、我々は時間がなかっ たために脇に追いやった新デザインのためのもっと他のアイディアや可能 性を抱えている。我々は常に TidBITS の改良の方策を追求しているので、 将来の採用へと向けてもっと多くのアイディアを暖めておきたい。いつも のように、もし何かコメントや進言があれば遠慮なく送って欲しい。次の 2 年後に迎える TidBITS-600 号ではどの様になっているか楽しみではな いだろうか?


MP3 の幸せ(第一部)

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <shu@pobox.com>)

私はできるだけソフトウェアの世界をフォローするようにしているのだが、 TidBITS の発行が忙しいために新しいプログラムやテクノロジーを探求す ることができないこともしばしばだ。その結果、MP3 が音楽の世界に起こ している巨大な変革に危うく気付かないところだった。もう一年近く前、 Kevin Savetz 氏が TidBITS-455 の「MTVよ、後進 MP3 に道を譲る時だ」 ですばらしい MP3 入門を書いてくれたのだが、この変化がどれだけ深く大 きいものであるかを肌で感じたのはつい数週間前のことだった。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05174>

まずは復習 -- MP3(MPEG 1 layer 3 の略)とはオーディオ用フォーマッ トで、高圧縮率を誇りながらそれほど品質を損なわずに音声を再生するこ とができるものだ。「CD 並み」という表現が使われることが多いが、肝心 な点はオーディオマニア以外にはほとんど CD と MP3 の違いが聞き分けら れないということにある。抜群の聴力を持っていたり、音楽で耳が鍛えら れている人には多分違いがわかるだろう。MP3 はオーディオマニア世界か ら与えられたものではなく、音楽業界の外側から草の根運動として広がっ た革命だ。とはいえ、オーディオマニアも MP3 の影響について考えている ようだ。音楽をコンピュータに取り込むことにより、これまでは不可能だっ たサウンドに対する微調整が可能になるからだ。

Kevin の記事以降、たくさんの MP3 用ソフトウェアが出現した。 QuickTime 4.0 には MP3 サポートが追加されたし、QuickTime Player よ りも機能の充実したインターフェースを提供する無料(SoundApp、 GrayAmp、QuickMP3)と商用(SoundJam MP、Macast、Audion、それにベー タ版の MVP)アプリケーションが登場した。

<http://www-cs-students.stanford.edu/~franke/SoundApp/>
<http://www.digithought.net/software/grayamp/>
<http://www.zipworld.com.au/~tonio/quickmp3.html>
<http://www.soundjam.com/>
<http://www.macast.com/>
<http://www.panic.com/ppack/audion/>
<http://www.mvpsite.com/>

MP3 のおかげで、インターネットが独立ミュージシャンの発表の場として 成立しつつある。レコーディングをタイトに圧縮されたロイヤルティ・フ リーの MP3 フォーマットでリリースし、フル CD を買う気にさせたり、ト ラックごとに小額のフィーを受け取るというしくみだ。MP3 は SHOUTcast や The Green Witch のような多くのサイトでラジオ放送のストリーミング に使用されており、これはほとんどの商用 MP3 プレーヤーで再生すること ができる。Ampcast というプログラムは MP3 を利用したラジオ放送を探す 手助けをしてくれ、ディスクジョッキーごっごをしたいのであれば MP3 で 曲のミックスやフェードができる BayTex Fiesta と MegaSeg が要チェッ クだ。

<http://www.shoutcast.com/>
<http://www.greenwitch.com/>
<http://www.vfxweb.com/rsx/ampcaster.html>
<http://business.fortunecity.com/bronfman/204/BTF/>
<http://www.megaseg.com/home.html>

MP3 はハードウェアの世界にも次第に進出しつつある。Diamond Rio 500、 I-Jam、それに jazPiper といった超軽量 MP3 プレーヤーが多数現れてき ている。こうしたデバイスはメモリカードを使用して MP3 ファイルを Mac や PC からダウンロードして格納する。

<http://www.rioport.com/RioHardware/>
<http://www.ijamworld.com/>
<http://www.mcpiper.com/jppmain.htm>

筋金入りのデジタル -- MIT Media Lab の Nicholas Negroponte 氏はア ナログに対するデジタルの重要性について語ることが多いが、MP3 はこの 違いを興味深い形で示してくれる。そもそも CD で配布される音楽はデジ タルであり、CD の優れた音質はデジタルであるからだとされている。実の ところ、CD の優れた音質は CD がカセットテープなどのアナログ方式より も 広帯域幅 を実現していることが理由なのだ。また、CD オーディオは 時間や使用回数とともに劣化することはない。音質そのものはデジタル/ アナログとは関係ないのだ。

デジタルのフォーマットを使用しているものの、CD はアナログの世界のも ののフィーリングを持っている。CD は店で買うもので、厚紙やプラスチッ クのパッケージに入っている。CD を破損することもあるし、常にCD プレー ヤーに入れたり出したりしなければならない。早い話、CD はアナログの オーディオカセットやレコードと同じ“モノ”なのだ。

ここで何となく反対の声が聞こえてきそうだ。CD を Mac に入れ、タイト ルやアーティスト情報をインターネットからダウンロードして、各トラッ クがファイルであるかのように扱うことは可能だ。これは確かに事実なの だが、ほとんどの人はこんなことはしない。理由は 30 〜 50 MB という ファイルサイズにある。このぐらいの大きさのファイルをこともなげに取 り扱う日が来ることもあろうが、40 MB のファイルはハードディスクに格 納したり、ネットワークでコピーしたり、Web からダウンロードするには 大きすぎる。CD 一枚には 450 〜 740 MB のオーディオデータが入ってい ることが多いので、私の Power Mac 8500 の 1.2 GB ハードディスクなら 約 2 枚分のデータを入れることができる。こんな巨大な CD をわざわざ Mac で取り扱う理由はない。私の 250 ドルのミニコンポでさえ CD 6 枚を 同時に格納できるのだから。

そこで MP3 の登場となる。CD の曲を MP3 フォーマットに変換し、その過 程でサイズを 1/10 程度に縮小することができるのだ。30 MB のオリジナ ルは 3 MB 程度となり、フル CD だと 45 〜 75 MB になるものの、元のサ イズとは比較にならないほど小さい。

広がる革命 -- 先に進む前に、私と Tonya がどのようにして MP3 革命 に参加することになったかをご説明しよう。去年、我が家の Sony 製 CD プレーヤーにトラッキングのトラブルが発生した。インターネットを探し て CD プレーヤーの修理方法を見つけ、多少手間取りはしたもののレンズ のフォーカスを調整して直した。その後一週間ほどは好調だったのだが、 また同じ問題が発生した。しばらくは修理を重ねたのだが、CD プレーヤー が動かなくなるたびに分解するのが嫌になったのだった。

<http://plop.phys.cwru.edu/repairfaq/REPAIR/whole/F_cdfaq.html>

修理に出すのは費用がかかりすぎるので、買い替える方向で検討を始めた。 だが、まともな機能とインターフェースを持った高品位 CD プレーヤーの 価格は以前のモデルを買った当時からほとんど下がっていなかった。大枚 をはたくつもりはなかったので買い替えは断念し、とりあえず Tonya のオ フィスにあったミニコンポで代用することにした。いずれはやむなく出費 を決意して 100 連奏ジュークボックスでも買うことになるだろうとふんだ わけだ。

これは解決策としては悪くなかったのだが、ステレオはリビングになけれ ばならず、私たちがほとんどの自由時間を過ごすキッチンからは遠かった。 キッチンからでもスピーカーから出る音は良く聞こえたのだが、ボリュー ムをいじったり CD を入れ替えるにははるばる歩いていかなければならず、 たとえばたまたま電話に出なければならない時などは困ることになった。 理想を言えばキッチンにスピーカーがあることが一番なのだが、スペース もなかったしうまくケーブルをひく方法もなかったのだ。

だが、キッチンには PowerBook G3 があった。これは気ままな Web ブラウ ジングや、共有カレンダーやコンタクトデータベース用に常に置いてある ものだった。こうして次第に条件が整ってきた。

SoundJam 登場 -- Macworld Expo の後、Casady & Greene 社が Jeff Robbin と Bill Kincaid の両氏による 40 ドルの SoundJam MP(現在は バージョン 1.1)をレビュー用に送ってきた。SoundJam は最低でも PowerPC 603e ベースの Mac を必要とするので、まずは私のメインデスク トップ Mac である Power Mac 8500 にインストールして使ってみた。だが これが私の仕事のスタイルを変えることにはならないということが明らか になった。空きディスクスペースは数百 MB しかなく、MP3 ファイルでさ え私が作業中ファイルを置くスペースを大量に奪ってしまうのだ。アプリ ケーションを起動したり、ディスクアクセスを必要とすることをすると音 飛びしてしまう。しかも私のオフィスにはきちんとしたスピーカーと 6 連 奏 CD プレーヤーの付いたミニコンポがあり、電話が鳴った時にはボタン 一つで一時停止ができるリモコンもあった。SoundJam で一時停止をするに は、電話が鳴るたびに SoundJam を前面に持ってきてスペースバーを押さ なければならなかった。この作業は KeyQuencer で自動化することはでき たのだが、作業の内容によってはすぐに停止できなかったかもしれない。 それに Mac がクラッシュしたりリスタートが必要になったら、毎回 SoundJam を起動しなければならなかった。要するに SoundJam を既存のデ スクトップ Mac と私の作業スタイルに溶け込ませるのは手間がかかりすぎ たのだ。

ある晩夕食を作りながら Tonya にこのあたりの話を説き聞かせている時、 はたと気が付いた。オフィスで遭遇していた問題はキッチンでは消えてな くなるのだ。PowerBook G3 にはディスクスペースが大量に余っていたう え、他のタスクにはあまり使われていなかったので音楽をオン/オフする のはたいしたことではなかったし、そのへんに転がっていたそこそこのア ンプ内蔵スピーカーを使えば、キッチンにいる時にはメインのステレオの 代役を務めることができる。

その夜、PowerBook に SoundJam をインストールしてアンプ内蔵スピーカー をつなぎ、お気に入りの CD からトラックを変換しだした。Abbey Lincoln の“Who Used to Dance”が聞こえてきた瞬間、これこそが私たちの音楽生 活の未来だということがわかったのだ。

次回の第 2 部では、SoundJam をより詳細に検討し、音楽を MP3 ファイル と考えるように頭を切り替えたことから生まれた考えなどについて語ろう かと思う。


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