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TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#501/11-Oct-99

Steve Jobs は 999 ドルの新 iMac と FireWire およびビデオ編集のでき る iMac DV を披露した。どちらも、プロセッサが速くなり、オーディオが 大改造され、デュアル USB になり、ケースの透明度が増している。さらに 今週号では、Matt Neuburg が Web 用 Cascading Style Sheet 作成ツール Style Master をチェックし、Adam は音楽との関係に変革をもたらした MP3 の検証を続けている。また、Norton Utilities、Norton AntiVirus、Palm Desktop のニューリリースのお知らせと、我々の第一回アンケート調査結 果をお届けする。

目次:

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MailBITS/11-Oct-99

(翻訳:尾高 里華子 <rikako@pobox.com>)
(  :三好泰子 <yokomo@mio.to>)

99 年 10 月 23 日に登場予定の Mac OS 9 -- Apple Computer 社の発表 によると、Mac OS 9 は米国及びカナダで 99 年 10 月 23 日に推定小売り 価格 99 ドルで市販されることになる。同社は Mac OS 9 を“your Internet co-pilot”と呼び、Sherlock 2 を前面に宣伝している。この Sherlock 2 は不人気の QuickTime Player に似たインターフェースと、 ニュース、資料、ショッピングなどのインターネット関連利用ににフォー カスをあてた“チャンネル”を持っている。Mac OS 9 ではキーチェーン (インターネットサイト、ローカルサーバ、しいてはアプリケーションへ のパスワードを確実に管理する単一のユーティリティ)が返り咲き、内蔵 のデータ暗号化機能、一台の Macintosh をより簡単に複数ユーザで共有す るためのベーシックな複数ユーザー対応機能、強化された声紋認識機能 (長らく待たれている連続音声認識機能ではないが)、インターネットベー スのシステムコンポーネントの自動アップデート。Apple は Mac OS 9 で の変更点の多くを Tech Note に詳細に載せている。しかし明らかにしてい ない改良点はフォン管理ユーティリティやローレベルのディスクストラク チャに直接アクセスするプログラムの一部に互換性の問題を引き起こすか もしれない。Mac OS 9 の各国版も近いうちに現れることになっている。近 ごろ Mac OS 8.5 を購入した米国及びカナダのユーザーは、20 ドルで Mac OS 9 にアップグレードできる。[GD]

<http://www.apple.com/macos/>
<http://www.apple.com/sherlock/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05433>
<http://developer.apple.com/technotes/tn/tn1176.html>
<http://www.apple.com/macos/uptodate/>

Palm Desktop 2.5、HotSync を強化、そして、USB サポート -- 正式な アナウンスではないが、Palm Computing 社の Macintosh 用 Palm Desktop の最新バージョンがこの度ダウンロード可能となった(「Palm Desktop、 馴染みの Organizer 復活を記す」 TidBITS-469 参照)。バージョン 2.5 においては、同一 Mac 上で各々の Palm Organizer をシンクロさせている 複数のユーザー間でのスイッチ切り替えのコントロールが強化された。さ らに、HotSync Manager の設定へのアクセスが簡単になった。そして、こ のアップデートで Palm 社の新しい Palm Connect Kit を使って USB 接続 が可能になった。このキットは、40 ドルのシリアル・アダプタで USB 装 備のコンピュータ・ユーザー用である。スクリーン上のアラームを不可の 状態にできること(ただし、この機能を実行させておいても、アラームの ダイアログ・ボックスは残っている)、そして、無線 Palm VII を持って いる人のための iMessenger の Eメールのコンジットが含まれている等が、 その他の改良された点である。Macintosh 用 Palm Desktop 2.5 は、無料、 ダウンロードに 6.8 MB 必要。 [JLC]

<http://www.palmpilot.com/custsupp/macintosh/palmdtmac.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05300>
<http://palmorder.modusmedia.com/P5/P5-3C90201U.htm>
<http://www.palm.com/products/palmvii/>

Symantec 社 NAV 6.0 と NUM 5.0 を出荷 -- Symantec 社は、よく知ら れているウィルス対策ソフトとディスク・ユーティリティ・ソフトのアッ プデート版の出荷を開始した。ウィルス対策ソフトである Norton AntiVirus for Macintosh 6.0(これは、現在はサポートされていない Symantec AntiVirus for Macintosh と置き換わる製品)は 70 ドルで、 ディスク・ユーティリティ・ソフトの Norton Utilities for Macintosh 5.0 は、100 ドル。両方のプログラムは、現在、互いに統合しており、イ ンターネットからこれらのプログラムのアップデート版をダウンロードす るための Symantec 社製の LiveUpdate の技術と新しいウィルスの特定が 特徴である(最初の一年間は無料、その後は、年間 4 ドル)。また、USB と FireWire のデバイスをサポートしている。Norton AntiVirus 6.0 の改 良点は、スキャニングの高速化、レポーティングの機能拡張と持続性、ブー ト・ブロックの自動修復、そして、Norton Utilities ライクなインター フェース(Aladdin's True Integration と Netopia Timbuktu Pro. のよ うに 共通のユーティリティに関していくつか分かっている問題点について は、Norton AntiVirus のリリース・ノートを読んで確認のこと)である。 Norton Utilities の新しい特徴は、ほとんどすべてのケースで ハードディ スクから Norton Disk Doctor を動かすことができるということ、Undo が Norton Disk Doctor が行ったあらゆる変更をリストアすること、Speed Disk 内の B-tree のディスク構成の最適化、そして、UnErase において 「すべてのファイルのタイプ」がオプションにつけられること、等である。

<http://www.symantec.com/nav/nav_mac/>
<http://www.symantec.com/nu/nu_mac/>

Norton AntiVirus、Norton Utilities の両方とも Power-PC 搭載の Mac で Mac OS 8.0 以降、そして、24 MB の空きメモリが必要。Norton AntiVirus、Norton Utilities、あるいは、ウィルス対策用ソフトの競合製 品をすでに持っている人がNorton AntiVirus をアップデートする場合は、 30 ドル。Norton Utilities の現ユーザーと競合製品のユーザーが Norton Utilities をアップデートする場合は、50 ドル。 [ACE]

<http://shop.symantec.com/trialware/>

Maxum 社が NetCloak、Rumpus、そして、PageSentry をアップデート -- Maxum Development 社は、当社の 3 つのインターネット・サーバ用ツール NetCloak、Rumpus、そして、PageSentry のアップデート版をリリースし た。NetCloak は、Web フォームの処理と Mac OS の Web サーバ上でダイ ナミックな機能性を作り出す最も長く続いているツールである。 NetCloak バージョン3.0.2 では、メールの取り込みの処理と多言語のデータの扱い が改良されている。Maxum 社のよく考慮して作られている FTP サーバ・ ツール Rumpus バージョン 1.3.3 では、ディレクトリ間のファイルの移動 が可能になり、特定のシステムで発生した希な問題点を修正した。 PageSentry は、万一の場合サーバが応答しなくなった場合に備えて、イン ターネット・サーバをモニターしたり、特殊な動作を行うように設計され た独立したプログラムである。この特殊な動作とは、メールのメッセージ を送ったり、ポケットベルを呼び出したり、スクリプトを動かしたりする ものである。PageSentry 2.5.2 では、多くのバグがフィックスされ、サー バが応答に失敗したとき、音を出して警告することが可能になった。この 3つのツールのアップデートは、登録ユーザーに対しては無料である。そし て、今後のアップグレードをより簡単にするための検証メカニズムが改訂 されている。 [GD]

<http://www.maxum.com/NetCloak/>
<http://www.maxum.com/Rumpus/>
<http://www.maxum.com/PageSentry/>

アンケート調査結果:StuffIt Expander 5 の勝利 -- アンケート調査や クイズを新たに導入し、インターネットからとってきたファイルをデコー ドするのにみなさんがどのユーティリティを使用しているかが、その初回 の調査であった。StuffIt 5.0 という新しいファイルフォーマットを解凍 するに必要となる StuffIt Expander 5.x がどれほどのシェアを獲得して いるか知りたかったのだ。また、先ごろ公式にリリースされたばかりの、 MindVision 製 MindExpander の検討ぶりがどれほどのものなのかも気にな るところだった。1,700 通強の回答から得た結果には少々驚かされた。 Expander 5.x が回答の 75 % 以上に達するとは思いましていなかった。そ れに続くのが StuffIt Expander 4.x の 14 %、そして MindExpander は 4 % となっていた。StuffIt Expander 3.0、Compact Pro、その他のユー ティリティを使用しているのはほんの少数であった。繰り返すが、この結 果は精確なものではないが、なかなか楽しめるものである。 [ACE]

Quiz のお知らせ: Apple の外国市場 -- 我々のように米国内に住んでい るものにとって外の世界を知るのはなかなか容易ではない。Apple の売り 上げのうち米国外からのものは何 % あるか、という問題を出して Macintosh 市場の理解度を試してみた。この答えに驚く読者が大勢いるの ではないかと思う。 [ACE]

<http://www.tidbits.com/>


iMac、デジタルビデオ分野にも進出

by Geoff Duncan <geoff@tidbits.com>
(翻訳:尾高 里華子 <rikako@pobox.com>)

Steve Jobs 氏は先週クッパルチーノで行われた招待客のみのイベント中に 2 種類の新 iMac を発表した。この新 iMac モデルにより、低価格帯 Macintosh がさらに安く購入できるようになった。新 iMac は嬉しい新機 能がいくつか加えられ、ケース全体が透けて見えるようになり、また廉価 な競合マシンよりも“クールな部分”がさらに増した。

<http://www.apple.com/imac/>

ベーシックな iMac -- 新ローエンド iMac の売りは、なんといっても 999 ドルの価格だ。初めて 1,000 ドル以下の市場に(かろうじて)iMac を送り込んだのだ。これは、350 MHz の G3 プロセッサ、512K バックサイ ドキャッシュ、100 MHz のシステムバス、標準で 64 MB の RAM、6 GB の ハードディスク、8 MB の VRAM 付き ATI RAGE 128 VR 2D/3D グラフィッ クコントローラが搭載されている。ディスプレイは以前と同じ 15 インチ のシャドウマスクで、56 Kbps モデムと 10/100 Base-T Ethernet も変更 のなかった部分だが、ブルーベリー色のケースは完全に内部が透けて見え るようになった。ただし、冷却ファンは目にすることはできない。新 iMac では対流式冷却方式が採用され、古いモデルよりも格段に静かになった。 最近登場した iBook と同様、新 iMac には ワイヤレスネットワーキング を実現するための AirPort カード用の拡張スロットが装備されている。ま た、CD-ROM ドライブもカーステレオのようなスロットイン方式に変さらに なったので、トレイをぶつけたり壊したりすることがなくなった。(イジェ クトボタンもなくなったので、起動時に CD をイジェクトしたい場合はマ ウスボタンを押し続けなければならない。)

<http://www.apple.com/airport/>

新たに車のシステムから採用されたものは CD-ROM のスロットイン方式だ けではない。高品質のオーディオ再生と低周波を実現する Harman/Kardon 製 Odyssey 音響システムもそのひとつである。Harmon/Kardon 社からは 6 インチの iMac 色サブウーファー iSub も販売されることになっている。 iSub は USB ディバイスであり、新 iMac は USB オーディオをサポートし ているので、オーディオデータはスピーカに届くまで完全にデジタルのま まということになり、柔軟性が増し、干渉やオーディオ接続の質の悪さの ために再生能力が落ちてしまうことがない。Apple の Power Macintosh G4 同様、新 iMac の USB は 2 チャンネルなので、USB でオーディオを鳴ら しながら、別の USB 機器(ストレージディバイスやスキャナなど)のデー タを異なるバスで送ることができる。しかし、他の周辺機器を使用中に音 がこもったりちょっと止まったりすることはあるかもしれない。

<http://www.apple.com/imac/graphics.html>

ちょっと本題からずれるが参考までに、この iMac(スロットイン方式)が Apple で初めて 1,000 ドルを切ったマシンというわけではない。この名 誉に輝くのは、数々の嘲笑にあった Mac Classic である。9 年前に登場し たこのマシンの本体価格は 999 ドルだった。

<http://www.info.apple.com/info.apple.com/applespec/applespec.taf?RID=14>

iMac DV -- Jobs 氏は同時に iMac DV も披露した。これはデジタルビデ オファンのためにスロットイン方式 iMac をパワーアップしたもである。 iMac DV にはまず、1,299 ドルのモデルがある。これは、400 MHz の G3 プロセッサ、スロットイン方式の DVD-ROM ドライブ、10 GB のハードディ スク、DV ビデオカメラのような周辺機器接続用の 400 Mbps FireWire ポー トが 2 つ、外部モニタでビデオモニタリングを行うための VGA ビデオ出 力を搭載し、iMac らしく 5 色のケースが用意されている。一方 iMac の ハイエンドに位置することになった iMac DV Special Edition は標準で 128 MB RAM、13 GB のハードディスクを装備し、ケースも Apple の 新 Power Mac G4 と同じグラファイト色となって1,499 ドルである。

すべての iMac DV には iMovie という(Apple 製プロ向け Final Cut Pro を元に作った)コンシューマ向けの新しいビデオ編集ソフトウェアが付属 している。iMovie は iMac DV に付属するという形でしか手に入らない。 iMovie は FireWire ビデオカメラを完全に制御することができるほか、ド ラッグ & ドロップで簡単に音楽やテロップ付きビデオクリップを作成でき るが、メタルっぽいインターフェースは薄幸の QuickTime 4 Player を思 い起こしてしまう。

<http://www.apple.com/imovie/>
<http://www.apple.com/finalcutpro/>

Apple は コンシューマビデオ編集の分野で iMac DV が活路を見いだして くれることを期待しているようだ。同社は Performa 6400 システムの導入 以来 3 年以上もの間この市場の開拓を狙っているのだ。デジタルビデオは すでに 800 万以上が市場に出ており、高帯域幅ネットワークのアクセスは ようやく広がり始め、iMovie はかつてあった Avid VideoShop よりも格段 に使いやすくなっている。しかし、私の経験ではコンシューマーは SimpleText で HTML を書きたいと思う程度ぐらいにしかビデオを編集した いと思わないのだ。ビデオ編集テクノロジがコンシューマー機で大成功す るほど価格と煩雑さを下げるまでになっているかどうかははっきりしない が。

名前遊び -- Apple は新たに DV シリーズを設けることで iMac のネー ミングルールを改善した。それまでの違いは、クロック値、色、混乱をも たらす“Rev”という文字であったが、これで、DV システムとそれ以外の iMac を区別することができる。( TidBITS-485 の“Macintosh 製品名の 衰退: 名は体を表す”を参照。)ただ残念なことに、Apple はテクニカル ドキュメントの中でローエンドの新 iMac と DV 機両方に対し“スロット イン方式”という言葉を用いて、新たな用語の混乱をもたらした。Apple は数ヶ月置きに iMac のモデルを変更しているようなので、同社が iMac ラインのメージャーな変更をはっきりさせるだけのネーミングルールを導 入すれば、販売、テクニカルサポート、ソフトウェア開発の人たちはあり がたく思うだろう。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05436>
<http://til.info.apple.com/techinfo.nsf/artnum/n58474>

絶え間なき前進 -- iMac DV は万人向けではないかもしれないが、パワー アップした 999 ドル iMac が、iMac のあの大成功を呼び起こした人たち と同種の連中(コンシューマー、学生、学校、企業)にアピールするだけ の改善がなされていることは間違いないだろう。コンピュータ界の残り部 分はいまだに iMac の成功はまぐれであると思い込もうとしているが、 Apple は独自の素晴らしい製品を送りだすことができることを証明し続け ている。頼もしいかぎりである。


Style Master で高精度 Web ページ

by Matt Neuburg <matt@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <shu@pobox.com>)

Web が生まれて間もない頃には、HTML では各種 Web ブラウザによる文書 レイアウト表示を十分に制御できないという不満をよく耳にした。テーブ ルやフォントタグも役には立つものの、真の解決法はここ数年で徐々に頭 角を現わしてきている Cascading Style Sheets(CSS)なのだ。スタイル シートを使えば、テキストのサイズ、段落の間隔やマージン、それにグラ フィックの位置決めといったものを指定することができる。残念なのは、 一般的にスタイルシートの使い方はややこしいと思われていることだ。エ レメントごとのオプションを覚えるのは大変だし、もっと悪いことには Web ブラウザが対応している規格がまちまちで、それに加えて対応の仕方が正 しくないことすらある。参考書を読みながら手作業でコーディングし、苦 しみながらテストするということもできるのだが、Style Master を使って 楽をすることも可能だ。Style Master 1.5.1 は Western Civilization 社 の製品で、Palimpsest( TidBITS-364 のレビューを参照)と同様に、ク リーンで独創的なインターフェースを持っている。

<http://www.w3.org/TR/REC-CSS1/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=00752>

一つ一つのメインウインドウがスタイルシートに対応している。複数のス タイルシートを同時に開いておくことも可能だ。スタイル情報はダイアロ グやフローティングウインドウで編集するが、その際どんなオプションが あるかは一目瞭然だ。ここでの操作はスタイルシートのシンタックスに変 換され、メインウインドウに表示される。すごいのはスタイルのプレビュー で、開いている Web ブラウザすべてで一度に特定のスタイルコンポーネン ト(サンプルテキストを使用)、またはスタイルシート全体を適用した HTML 文書を表示してくれる。Style Master は元の HTML には手をつけず、 プレビューを生成するたびに一時的にコピーを作るので、スタイルと HTML の両方を簡単に微調整できるようになっている。作業が終わったら元の文 書からスタイルシートにリンクしてすぐに利用できるようにするか、スタ イルシートを文書に埋め込むことができる。

ヘルプは豊富で、バルーンヘルプのほか、スタイルシートの様々な側面を 説明してくれる Help ウインドウがある。ブラウザがサポートしていない 恐れがある操作をしたら注意してくれる。作成したセレクタの意味を解説 してくれるダイアログが表示される。そのものがスタイルシートのデモに なっている HTML のドキュメンテーションもすばらしく良くできている。 本当に役に立つクイックスタート、完全なマニュアル、チュートリアル、 それにスタイルシートのハンドブックが用意されているのだ。Western Civilization 社は同社の Web サイトもスタイルシートの豊富な情報源に 仕立てあげており、一見の価値がある。

<http://www.westciv.com/style_master/house/index_dynamic.html>

不便なインターフェースエレメントに関する小さな不満はあるし、マニュ アルに散見されるスペルミスは不愉快だが、私は Style Master のすべて が気に入っている。販売方式までが気が利いている。2.4 MB の期間限定 (正味 15 日間で連続していなくても良い)デモがあり、試してみて気に 入れば Style Master または Style Master Pro として登録することがで きる。Style Master は 29 ドルで、Style Master Pro は私が知る限りど んなブラウザもまだサポートしていない次世代規格の CSS2 をサポートし ており、1999 年 10 月 20 日までは 39 ドル、それ以降は 49 ドルとなっ ている。Style Master は PowerPC ベースの Macintosh と System 7.1.2 以降を必要とする。フルインストールは約 7 MB で、8.5 MB の RAM を必 要とする。

<http://www.westciv.com/style_master/download/download_ppc.html>
<http://www.w3.org/TR/REC-CSS2/>


MP3 の幸せ(第二部)

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:亀岡 孝仁 <tkameoka@fujikura.co.jp>)
(  :尾高 里華子 <rikako@pobox.com>)

本題に関しての第一部では、MP3 の基礎とどうして私自身が MP3 への改宗 者となり始めたかについて話した。私自身が MP3 の良さを理解するまでど うしてこんなに長くかかったかの理由の一つは、SoundJam の登場前は CD の曲を変換する作業(このプロセスは“剥ぎ取り”として知られている) と、曲を演奏するのは別々のユーティリティを使わねばならない事にあっ た。ところが SoundJam を使えば、オーディオ CD を CD-ROM ドライブに 放り込むだけでその CD のトラックのリストを表示するウィンドウが現れ る、さらに CD に関するインターネットベースの巨大なデータベースであ る CDDB のお陰で曲のタイトルとアーティストの情報まで表示される。い くつかの曲を選択して Converter ウィンドウに追加し、Start Converting ボタンを押すだけである。Configure ボタンを押せば Tweaky オプション が使えるようになるが、(何をどうすれば良いのか知らないので)私はデ フォールトセッティングのままで使っているが結果には満足している。も ちろん SoundJam の代わりをするプログラムもあるので、MP3 エンコーダ の比較記事をそう遠くない時期に書けると思う。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05589>
<http://www.soundjam.com/>
<http://www.cddb.com/>

MP3 への変換には、デフォールトセッティングで一曲あたり、もちろん曲 の長さにもよるが、2、3 分かかる。変換中は SoundJam と他のアプリケー ションと同時に動かしておく事ができる。SoundJam は MP3 ファイルをト ラック名を利用してファイル名とし、CD のタイトルをつけたフォルダに セーブする。これらは通常のファイルでありマシンからマシンへのコピー を取ったり、バックアップを取ったり、エイリアスを作ったりと普通のほ かのファイルを管理するように管理できる。

さらに大事な事は、SoundJam は新規に変換された曲を、すべての MP3 ファ イルのリストである Master Playlist に自動的に追加する。Master Playlist は編集可能であるが、これはあなたのハードディスク上にある MP3 ファイルの索引のようなもので、例え Master Playlist から一項目を 削除しても、オリジナルのファイルは何の影響も受けない。Master Playlist はオプションで個々のトラックについて、題名、アーティスト、 アルバムタイトル、時間、サイズ、トラック番号、年、変換日、ジャンル、 それにファイルの種類を表示できる。最初のコラム(トラック名に割り当 てられている)以外のコラムははこれらの情報を自由に設定できる(コラ ムヘッダーはドロップダウンメニューとなっている)。コラムを追加した り削除したりするのは + や - ボタンをクリックする事で行う、ソートの 順序を変えるのは普段 Finder のリスト表示ウインドウでやるのと同じよ うにする。実際にはこれらのコラムは私には単なる画面スペースの無駄遣 いだと映ったが、これらを評価する人達もいるのは理解できる。SoundJam はコラム内容を定義するのに固有の方法を取っているので、Finder でやる ようにコラムヘッダーをクリックする事でのソートはできない。代わりに、 最初のコラムのドロップダウンメニューが他のオプションのコラムのソー ト順を変えさせてくれる、そのコラムが見えているいないにかかわらず。 これは例えば、Master Playlist でジャンルをコラムとしては表示したく ないけれどジャンルででソートするといった事もできることを意味する。 この設計者の意図は判らなくはないが、個人的には標準のソート法の方が 好きである。

SoundJam は個々のトラックに関する情報をそのファイル自身から取ってい るが、Track Name、Artist、Album、Year、Track Number、そして Genre を含んだ他の情報については修正する事を許している。これはもしあなた が CDDB の細かいところに意見が合わない場合に、やって見たいと思うよ うな事かもしれない(個人的には、Beatles の歌をソートするのに“The Beatles”は T でではなく B の元で出て来て欲しい)。このカスタマイズ の他の理由としては、自分自身のメモ、評価、或いは区分を追加したい場 合であろう。SoundJam はユーザが定義できるフィールドを提供していない が、Track Number と Genre フィールドについては、もし望むなら、自分 の自由にする事ができる。SoundJam の将来のバージョンではこのあたり で新機能の追加があるかもしれない。

SoundJam はあなたの MP3 コレクションをプレイリストの中で区分けする 手助けをしてくれる。Master Playlist は何時でも使えるが、さらに別の プレイリストを付加える事もできる。私は時折々に自分で聞く音楽に(朝 食時の音楽は昼食時の音楽とは違う)そして異なったムードに合う音楽に (騒々しいに対して瞑想的な)これを使い始めた。プレイリストはどこに でも保存できるが、SoundJam の Playlists フォルダに入れた場合は、 SoundJam の File メニューの中の階層的な Open Playlist の中に現れる。 Playlist はどうも Mac の Alias Manager に頼っているようである、と言 うのも MP3 ファイルをどこに動かしてもプレイリストはきちんと機能し続 けるからだ。

飾りと味付け -- SoundJam はプログラムの外観を色づけする二つの“機 能”を持っている:スキンと映像プラグインである。映像プラグインは演 奏されている曲に合わせてパターンを描くのである。Eclipse と Melt-O-Rama は可愛らしい (Thumper は退屈である) が、これらは解像度 を変えられる(私の PowerBook G3 はできない)スクリーン上での全画面 モード(Command-F を押すことで; Escape を押せば元に戻る)の方が面白 い。SoundJam は元々あなたの Energy Saver のセッティングを知るすべを 持たないので、もしアイドル時間が数分経つとスクリーンを暗くしてしま うようセットされているのであれば、映像プラグインのことは忘れて良い。 SoundJam の未来のバージョンで、映像プラグインが動いている間にスク リーンがちらちらする問題を直してくれる事を期待したい。

私はスキンにはもっと失望した、これは SoundJam の Player ウィンドウ のための代わりのインターフェースである。SoundJam のデフォールト Player ウィンドウは Apple の QuickTime Player を偲ばせるものである がもっと使い勝手が良い。しかしながら、その他のスキンはほとんど使い ものにならない。だいたい、そのけばけばしい色使いとお粗末なレイアウ トのお陰でコントロールを識別するのすら困難である。私の印象では、 Casady Greene 社は時流にのっているような印象を与えるためと、他社 の MP3 プレーヤがスキンを出しているのと競争するためにスキンを取って 付けたような感じである。そうではあっても私はこのフレキシビリティに 対して賛辞を送りたい - 大体家電製品のインターフェースにろくなものは ないので、違うインターフェースを選択できるオプションがあることは素 晴らしい。惜しむらくは、インターフェースデザイナーが、漫然としたバ ラバラ配置されたコントロールの非四角形の図形ではなく、真の代替イン ターフェースを提供するスキンを創り出してくれさえすれば。

コントロールについて言えば、Player ウィンドウは基本的な事すべてを提 供しているが、マウスでボタンをクリックするのは考え直した方が良い、 とりわけスキンを使用している場合はボタンを探す事自体が一仕事である。 SoundJam はキーボードコントロールも使えるので、選択済みのトラックは Return を押せば演奏が始まり、Spacebar でポーズ、ミュートは Command + M、再生を止めるのは長い事使いなれた Command + ピリオド (標準の Escape の代わりではない)、トラックの切替は Left と Right 矢印、ボ リュームの上下は Command + Up と Down 矢印を押す事で行える。

SoundJam では簡単な高低音調整も行えるが、それを 10 段階のイコライザ に置きかえる事もできる。私はこれらをどうセットするのか理解した事が ないので、もしあなたが私みたいであれば、あらかじめ設定されているセッ ティングの中から選択できる。音キチの人達はイコライザを有難いと思う かもしれない;もし SoundJam に究極まで行く気があったなら、トラック とかアルバム毎に特定のイコライザ設定を関係付けさせるところまででき たであろう。

自らの地平線をひろげる -- MP3 ファイルをいじり出して一二週間した 頃、私の眼は新たな可能性に対し開き始めた。何もストリーム型 MP3 ファ イルを聞く話をしているわけではない - もともと私の 56K フレームリレー 接続ではその用には十分でないらしい (SoundJam の著者 Jeff Robbin 氏 は、多くのストリーム型 MP3 ファイルは最低でも 128 Kbps ISDN 接続が 必要であると語ってくれた)。またインターネットから MP3 曲をダウン ロードする話でもない - 数メガバイトのファイルをダウンロードするのに は 5 分から 10 分しかかからないとは言っても、私の経験では多くの MP3 サイトはかなり遅い。もっと悪い事には、これらのサイトは非常に沢山の アーティストを収納していてなおかつナビゲートも使いづらいので結局は 尻込みしてしまう。無料の曲をダウンロードしたがきちんと届かなかった り、曲が終わる前に捨ててしまったりを数回経験した後、自分の CD コレ クションから変換した MP3 ファイルを見なおしてみる事とした。

さて私が MP3 の可能性について認識し始めたきっかけは次のような事で あった。もし CD の曲の中で好きになれないものがあれば、変換しなけれ ば良いと言うことである。CD プレヤーの中には特定の曲を除外するプログ ラムを作る事ができるものがあるが、その情報は CD にではなくその CD プレヤーに存在する。車の中でかければあなたの嫌いな曲も聴かなければ ならない。さらにボーナスとして、MP3 に変換する時、曲を除外する事は ディスクスペースの節約にもつながる。

ディスクスペースは CD を MP3 フォーマットに変換し始めればすぐに関心 事の焦点となる。これまで私は全部で 507 曲を含んだ 44 枚の CD を変換 したが、それは私の PowerBook のハードディスク上で 1.9 GB を占めるに 至った。年を経る毎に集めた CD も約 200 に達したが、どうやったってそ のためのスペースを確保できない日が来る。そこで 20 GB ATA-IDE ハード ディスクが 200 ドル以下で手に入る時代なので、もっと多くの MP3 蓄積 装置をオンラインで持てないか色々考え始めている。PowerBook 以外の私 の手持ちの Mac はどれも ATA-IDE ハードディスクを用いていないし FireWire もサポートしていない、と言うことは違うコンピュータがいると いう事になる。そしてまた PowerBook 以外のいかなるものも台所には置き たくない - デスクトップの Mac とモニタは場所を取りすぎるし、音もう るさすぎる、それにまだ日の目を見ていない AGP Graphics Power Mac G4 を例外とし、静かにスリープしてもくれない。

ところがそこで、再び可能性の芽が吹き出した。MP3 は所詮ファイルであ る。だったら、サーバールームに 20 GB のハードディスク付きの Mac(ど んな廉価な Power Mac でも巨大 ATA-IDE ハードディスクをサポートして いる)を置けば、ファイルを Ethernet 経由で、台所にある PowerBook の みならずネットワーク上のすべての Mac で共有することができるだろう。 即座にこれを試したところ、あまりの音飛びにがっかりした。Jeff Robbin 氏は Personal File Sharing を利用した時に同様の問題に出くわしたと 語っていたが、AppleShare と Mac OS 9 によりこれは解決されるとも言っ ている。意気消沈したまま、もっと速い Mac にファイルを置くとか、他の ネットワークトラフィックをなしにするなどもう少し実験を続けたところ、 唯一効果のあった変更は、AppleTalk でなく TCP/IP でファイルを共有す ることだった(Open Door Networks 社の ShareWay IP を利用したが、同 様の機能が Mac OS 9 に備わる)。

次の可能性が私の前に広がった。私は 150 MHz しかない Pentium の載っ た遅い PC を持っている。次回仕事の必要ができた時にもっと速い PC に 買い替えて、今ある PC は Linux マシンにしてしまい AppleShare サーバ になるソフトウェアを載せることができるのではないだろうか。すでに巨 大ハードディスクと Ethernet ポートを備えた小さな Linux マシン実現し ている人がきっといるだろう。安いこととファイルを共有できること、こ のふたつが揃えば言うことはない。

もちろんこれらは小事であるが、アイディアは次々と生まれてくる。Mac は、SoundJam さえ載せていれば素晴らしい MP3 プレイヤーになることが できる。インターフェースはそこらにごまんとある CD プレイヤーよりも 優れているし、変更のできないインターフェース、小さなボタン、何とか 読める程度の液晶パネルに煩わされないなどの良い面があるのだ。Mac は さほど高くつくものではない。確かに私は 500 ドルぐらいの CD プレイ ヤー替わりに数千ドルするコンピュータを使っているが、PowerBook はも ともと持っていたもので、新たに CD プレイヤーを買う買わないを問わず あるのだから経済的だということになる。安いものではないが、コンピュー タとしての目的を忠実にこなしてくれている。要するに、私がコンピュー タに与える仕事すべてを。

しばらく驚嘆したままだったが、この感覚をさらに楽しんでいるところだ。 SoundJam や MP3 で私と同じような自由を感じる方ばかりではないかもし れないが、メールを Eudora に詰め込んで Microsoft Office の職場から さっさと帰宅することができれば、仕事とは別の面で自分の生活を Mac で 向上させる新しい術を試していただけるのではと思う。


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