TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#503/25-Oct-99

土曜の Mac OS 9 リリースの結果今週号の内容は Apple 社 Mac OS 最新 バージョンを突っ込んでカバーする形となる。Geoff Duncan はまず Mac OS 9 のインストールと互換性問題をチェックし、さらに Mac OS 9 の 3 大特長である Sherlock 2、マルチユーザー、キーチェーンに焦点を合わせ る。来週は Mac OS 9 をさらに取りあげるのでお見逃しなく。そのほか今 週は Action Menus 1.0、Microsoft Outlook Express 5.0、iDo Script Scheduler 1.1 のリリースについて掲載。

目次:

Copyright 1997 TidBITS Electronic Publishing. All rights reserved.
問い合わせは <info@tidbits.com> へ、感想は <editors@tidbits.com> へ。

TidBITS 日本語版は TidBITS 日本語版翻訳チーム メン バーのボランティアによって翻訳・発行されています。TidBITS 日本語版 では翻訳に協力してくれる方を募集しています。詳しくは以下の URL を 参照してください。

<http://jp.tidbits.com/join_us.html>


今回の TidBITS のスポンサーは:


MailBITS/25-Oct-99

(翻訳:小川 浄 <tao01@d3.dion.ne.jp>)
(  :三好 泰子 <yokomo@mio.to>)
(  :石川 篤利 <ishia@hk.ntt.net>)
(  :尾高 里華子 <rikako@pobox.com>)

Now Menus が Action Menus として生まれ変わった -- Power On Software 社は、Action Menus 1.0 をリリースした。これは、当社の Action Utilities のコンポーネントの中の新しいコントロールパネルで、 今は亡き Now Menus と同機能を持つものである。(“Living in the Now - Utilities 5.0、Newer and Better” TidBITS-248 と“6 テン いく つかになった Now Utilities” TidBITS-345 を参照) Action Menus は、 Apple Menu Option のように、Apple メニューを階層化し、さらに、Apple メニューの中でユーザーはアイテムを自由にアレンジすることができる。 Application メニューでは、それぞれのアプリケーションが階層的に今使っ ているウインドウと最近使ったドキュメントを表示する。また、カスタム メニューを追加することもできる。このカスタムメニューは、最近使った アプリケーション(これの最近使ったドキュメントを階層的に添付して)、 最近使ったドキュメント、最近使ったフォルダ(階層的に)、最前面のア プリケーションのウインドウとその最近使ったドキュメント、現在のボ リュームと使用中のサーバ(階層的に)、等を表示する。カスタムメニュー では、Finder アイコンのドラッグ & ドロップも可能。メニューの中へド ラッグしてアイテムを追加したり、フォルダの中へドラッグしてアイテム をコピーや移動したり、アプリケーション上へドラッグしてそのアプリケー ションと一緒にアイテムを開いたりできるのである。また、複数のアイテ ム上で、同時に開く、終了、情報を見る、を実行できる。一つのアイテム、 あるいは、そのアイテムが含んでいるフォルダをも開くことが可能なので ある。さらに、ユーザーは、すべてのメニューアイテムに対してキーボー ドのショートカットを素早く変更することができる。しかし、不幸にも、 Action Menus は、デスクトップのポップアップメニューには、適用されな い。そして、Kensington MouseWorks のデスクトップのポップアップメ ニューオプションとも互換性がない。Action Menus には、カラー用 Mac とシステム 7.5.3 以降が必要。また、30 日間のデモ用ソフト(ダウンロー ドサイズは、2.2 MB )が入手可能で、オンラインでの購入価格は、30 ド ル。 [MAN]

<http://www.poweronsw.com/site2/html/products/am.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=01792>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=00875>

Microsoft 社、Outlook Express 5.0 を出荷開始 -- Microsoft 社は、 Outlook Express 5.0 をリリース。Microsoft 社の無料インターネット電 子メールと Usenet のニュースのクライアントに対するメジャーアップグ レードである。初心者ユーザーが簡単に使えることを狙った新機能として、 アカウント設定のウィザード、添付書類のハンドリング、インターフェー スの変更、アドレスの自動完了、Mailing List Manager、Junk Mail Filter 等が新しい特徴である。Microsoft 社は、また、電子メールのヘビーユー ザー向けにも、Address Book の中のカスタムフィールド、メッセージの履 歴、メッセージ内でスクロールするためのスペースバーのサポート、拡張 IMAP のサポート、スケジュール化されたイベント、そして、Advanced Find が複数の検索条件をサポート、等の機能を加えた。しかしながら、大量の メールを蓄めているユーザーなら、Outlook Express 5.0 は、現在、すべ てのメッセージをたった一つのデータベースに蓄積していることに気づく はずである。このことは、破損の一局集中を引き起こす(メールデータベー スが壊れた場合の再構築の方法について、Read Me を読んで確認のこと)。 そして、非効率的なバックアップを強いられるのである。さらに、Outlook Express は、電子メールのメッセージ用に(コンタクトではない)HotMail と統合、また、Palm 機とコンタクト(電子メールではない)することもで きる。Outlook Express 5.0 には、PowerPC 搭載の Macintoshで Mac OS 8.1 以降が必要で、プログラムのダウンロードサイズは、12.5 MB。 [ACE]

<http://www.microsoft.com/mac/oe/>

iDo Script Scheduler 1.1 -- Sophisticated Circuits 社は、 AppleScript のスクリプトをユーザーの設定したスケジュールに従って実 行させる自社のシステム強化ユーティリティである iDo Script Scheduler のバージョン 1.1 をリリースした。iDo Script Scheduler は Mac OS 8.6 の CD-ROM 及び Apple 社の AppleScript サイト上からフリーで入手でき るエクストラとして登場し、最高 3 つまでのスクリプトをスケジュールに 従って自動的に実行させる事ができるというものであった。 ( TidBITS-481 の“URL Access Scripting 実践”を参照)バージョン 1.1 では、Mac OS 9 の Multiple User 機能に対応した“lite”モードが これまで同様フリーで提供されており、同一の Mac 上で異なるユーザーが 自動実行させるスクリプトを最高 3 つまでスケジュール化する事ができ る。iDo Script Scheduler はさらにスクリプト実行の際に任意の変数をス クリプトに渡す事も可能である。25 ドルでバージョン 1.1 から “enhanced”版へアップグレードすると、無制限の数のスケジュール化さ れたスクリプト使用やシステムのアイドリングの最中にスクリプトを実行 したりホットキーでスクリプトを呼び出すといった事が可能になる。本格 的に AppleScript を使いこなすユーザーにとって、この iDo Script Scheduler は、特に AppleScript のスクリプトによってインターネットを 介したリモートファイルサーバやアプリケーションへのアクセスが可能な Mac OS 9 においては、最良のアド・オンであろう。 [GD]

<http://www.sophisticated.com/products/ido/ido_ss.html>
<http://www.apple.com/applescript/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05396>

アンケート調査結果:デジタルビデオ編集のアピール度 -- 先週のアン ケート調査で TidBITS の読者のデジタルビデオ編集支持率の高さが明らか になったのだが、それほどまで高いとは我々スタッフのだれ一人予想して おらず、完敗だったので今週みんなで集まって首でも洗おうかと思ってい る。我々は読者のことを 7 ビットのアスキー文字にどっぷり浸かった輩だ と思っていたが、現実は、回答者の 55 % が iMac DV のデジタルビデオ編 集機能は“非常に魅力ある”と答え、20 % が“そこそこ”魅力があると答 えていた。その残りが“少しだけ”や“まったくない”になっていた。 TidBITS Talk の中では様々な経験談やデジタルビデオ編集の時代がついに やって来た理由という、アンケート結果を予感させるような話が出ていた のだが。実際にどうなっていくかは判らないが、iMac DV が現実にどれほ どデジタルビデオ編集用に使用されるかに注目をしていこうと思う。 [ACE]

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=814>

アンケート調査のお知らせ:Mac OS 9 へのアップグレード予定 -- 今週 号では OS 9 の主な機能と互換性について取りあげ、来週も関連記事を掲 載する予定である。今週の質問は、現在定価で 99 ドルの Mac OS 9 をす ぐに購入してその新機能を享受する先鋒隊に属するか、または、実地報告 を待ってからという慎重派だろうか、というものだ。我々のホームページ に立ち寄って、あなたのご意見を記していただきたい。 [ACE]

<http://www.tidbits.com/>


Mac OS 9 のインストールと互換性

by Geoff Duncan <geoff@tidbits.com>
(翻訳:尾高 里華子 <rikako@pobox.com>)
(  :篠原 慎一 <sshino@mbd.sphere.ne.jp>)
(  :石川 篤利 <ishia@hk.ntt.net>)

Apple 社は“今までで最高のインターネット OS”をうたい文句に、50 を 越える新機能を豪語しながら Mac OS 9 を登場させた。これらの一部は重 大な新機能である(たとえば、インターネットでのファイル共有、暗号化、 マルチユーザーのサポート、インターネット経由の自動ソフトウェアアッ プデート機能)が、昔のアイデアを復帰させたものもある(キーチェーン パスワード管理ツール、サウンドコントロールパネル、柔軟性のある PlainTalk 音声認識)。さらには、かつて新機能だったものに改良を加え たのものもある(Sherlock 2 はとてつもない変化を遂げた)。明るみになっ てはいないが、Mac OS 9 には根本的な変更が加えられており、一部のアプ リケーションが動作しなくなるかもしれない。一方ではこれは Mac の可能 性を広げたいものが喜ぶ変更でもある。

<http://www.apple.com/macos/>

価格と使用条件 -- Apple は Mac OS 9 を 99 年 10 月 23 日に公式に 発売開始したので、米国およびカナダで現在 Apple やほぼすべての Macintosh ソフトウェアを扱う小売り店で購入することができる。価格は 米国では、99 ドルまたはそれ以下となっている。たとえば、TidBITS のス ポンサーでは、払い戻し後価格が 70 ドルになる Outpost.com や(Ben & Jerry のアイスクリーム一パイントをプレゼントしてくれる)Small Dog Electronics がある。Apple および販売店では数ヶ月前から事前予約を受 け付けていたので、Mac OS 9 をすでに購入している方の元へはすぐに届け られるだろう。Apple によると、Mac OS 9 のインターナショナル版は 11 月に出るらしい。

99 年 10 月 5 日以降に Mac OS を購入した方は、そのものの購入または 新しいマシンに付属されていたを問わず、20 ドルで Mac OS 9 にアップグ レードできる。Mac OS 8.5 または 8.6 をお持ちの方は、Apple から郵便 による 20 ドルの払い戻しを受ける資格があるので、Mac OS 9 の箱の中に ある詳細をご覧いただきたい。残念ながら、上記 2 つとも米国内でしか適 用されない。

<http://www.apple.com/macos/uptodate/>

Mac OS 9 の使用必要最低条件は、PowerPC を搭載した Macintosh、32 MB 以上の実装 RAM(48 〜 64 MB の RAM が最低としては適切と思われる)、 インストールの仕方にも依るが 150 〜 400 MB の空きディスクとなってい る。Apple は Macintosh クローンやサードパーティのプロセッサアップグ レードを使用している場合の Mac OS 9 の動作については保証していない が、大丈夫であろう。サードパーティ製プロセッサアップグレードを行っ ている方は、Mac OS 9 をインストールする前に製造元に確認をとるべきだ。

インストール -- Mac OS 9 のインストールに関しては改めて説明するま でもないが、Mac OS 9 CD-ROM から起動して行うのが一番良い。他のディ スクから起動して Mac OS 9 をインストールしてみたところ、おおむね正 しく進んでいくが、予期しない警告やエラーが何度かでた。毎度のことだ が、Mac OS 9 をインストールする前に 完全バックアップ をとっておく ように。La Cie 社製 Silverlining や FWB 社製 Hard Disk Toolkit のよ うなサードパーティのハードディスク・フォーマッティング・ユーティリ ティを使用している方は、インストールする前にハードディスクドライバ が Mac OS 9 と互換性があるか確認するように。

一般的に、Mac OS 9 は今までのバージョンよりもメモリ食いである。拡張 機能をオフにして起動して、約 18 MB の RAM を使用する。普通の拡張機 能を入れた状態ではバーチャルメモリがオンの状態で 30 MB に膨れ上が り、バーチャルメモリを使用しないのであれば、10 MB は余計に RAM が必 要になるだろう。

Mac OS 9 には Apple 製 Language Kit が付属している。今までは別途販 売されていたものだ。いずれかの言語(アラビア語、キリル、日本語など) のキットを使用している場合は、カスタムインストールを行い Mac OS 9 に付属している Language Kit を入れるように。そうしなければ今まで使 用していた言語の Language Kit はアップデートされない。また、Mac OS 9 の CD-ROM 内にある Language Kits CD Extras フォルダにローカライズ 版の SimpleText、フォント、ユーティリティが入っているのでチェックす るように。

FCB と互換性 -- Mac OS 9 のファイルシステムには、目に見えない 2つ の重要な強化が図られている。一つはアプリケーションが 2 GB 以上のファ イルをオープンできるようにしたこと、もう一つは同時にオープンできる ファイルフォーク数を 348 から 8,169 に拡大したことだ。同時に 348 ファイルをオープンするのは普通ではないように思われるかもしれないが、 この点における問題と解決は意義深いものだ。この制約は HFS ファイルシ ステム登場以前のものであり、典型的な Mac は、あなたには絶対に見るこ とができない数多くのファイルをオープンしているのだ。最新のアプリケー ションや Mac OS は共有ライブラリやテンポラリ・ファイル、プラグイン に大きく依存しており、これらの総数はオープン可能なファイル数の制限 を越えてしまう。さらに、ユーザーが多くのフォントやサウンドを使用し ていることもある。

多くのファイルをオープンできるようにするために Apple は、Mac OS が オープン中のファイルを追跡するために使用しているファイル・コントロー ル・ブロック (FCB) テーブルを変更しなくてはならなかった。Apple は 1986 年から、開発者に対して FCB を直接アクセスしないよう警告してき たが、彼らのうちごく少数の者しか Apple が同社のコードを絶対に更新し なかったことを深刻に捉えなかった。Apple のソフトウェアが未承認の方 法に頼っているのだから、開発者自身のプログラムもこれら同様の手法に 頼っても構わないと考えたのだ。

この結果、混乱が発生し、Apple はオープンファイル数を増加させつつ、 広く行き渡ったコードとの互換性を維持する方法を見つけることができな かった。それで Apple は、時としてシステムをクラッシュさせたりデータ を損なってしまうこのコードが Mac OS 9 上では走らないようにしたのだ。 未サポートの方法によってプログラムがオープンファイルの情報にアクセ スしようとすると、Mac OS 9 はエラー番号 119 でアプリケーションを終 了させ、アップデートされたバージョンのアプリケーションを使用するよ うに、とのダイアログを表示する。これは迷惑な話だ。

<http://til.info.apple.com/techinfo.nsf/artnum/n60533>

もっと迷惑なのは、よく使われている多くのアプリケーションやユーティ リティに対してアップデートが必要なことだ。主な問題をリストアップ すると、ディスク・ツール、ファイル・ユーティリティ、フォント管理 ツール、抗ウイルスソフトなどは影響が大きそうだ。Alsoft は PowerPC アプリケーションと Mac OS 9のファイルシステムとの互換性を調べる チェッカーをリリースした。このチェッカーは Web ブラウザで表示できる HTML ファイルを出力する。結果は保証しないが、役に立つことだろう。

<http://www.alsoft.com/AskAl/askalreport-9comp.html>

<http://www.adobe.com/support/downloads/>

<http://www.aladdinsys.com/faqs/macos9.html>

<http://www.hp.com/cposupport/printers/support_doc/bpm06276.html>

<http://developer.apple.com/tools/debuggers/MacsBug/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1057>

毎度の事ながら、Mac OS 9 へのアップデートに関する互換性の問題はこの 他にもまだまだある事だろう。とりわけあなたが自分のすべてのソフトウ エアのアップデートを済ませていないのならば、なおさらである。Mac OS 9 が安定し、それによって落ち着いて作業ができるようになるまでの間は、 とにかくこまめにデータを保存し、熱心にバックアップに励んで欲しい。


Mac OS 9 の主な特徴

by Geoff Duncan <geoff@tidbits.com>
(翻訳:冨田 将英 <atimot18@sa2.so-net.ne.jp>)
(  :松岡 文昭 <mtokfmak@mxa.meshnet.or.jp>)
(  :亀岡 孝仁 <tkameoka@fujikura.co.jp>)

Apple は Mac OS 9 に 50 の新しい機能があると主張しているが、ほとん どの人が気にするのはそのうちのいくつかだけだろう。問題は、「Mac OS 9 の新しい機能は あなた にとって魅力的なのか?」ということだ。今 週は Mac OS 9 の主な機能について簡単に触れ、次週はさらにいくつかの 機能、ちょっとした変更点や見えないようなひねりについて見てみよう。

Sherlock 2 -- Mac OS 9 でのもっとも目立つ特徴は、Mac OS 8.5 とと もにデビューしたインターネット検索機能の修正版である Sherlock 2 だ。 きちんと数えると、Sherlock 2 の実際のバージョンナンバーは 3.0.1 で ある。旧式の検索アプリケーションがバージョン 1.x 、そして一つ前の Sherlock がバージョン 2.x である。

<http://www.apple.com/sherlock/>

Sherlock 2 で最初に目にとまるのは、質が悪いと評されたばかりの QuickTime 4 Player のようなブラシメタルのインターフェースだ。 Sherlock 2 は説明不足な要素が少なく、そのなんとなく分かりにくいコン トローラについてはバルーンヘルプ(といくつかのお助けツール)がある。 それでもなお、Sherlock 2 はロールアップもズームもできない質の悪い ウインドウを持ち、隠す、停止する、ウインドウの要素を押すといった動 作が分かりにくい。また、Sherlock はもう検索ごとに検索結果の新しい ウインドウを開くことはせず、かわりにキーワードと設定、そして検索結 果を一つのウインドウにまとめて表示する。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05433>

Sherlock 2 の機能は“ファイルチャネル”内に分割されている。ファイル チャネルはあなたのコンピュータのアクセス可能なボリュームを表してお り、−そして検索キーワードをモディファイしてファイルの索引検索がで きる追加コントローラを持つ− その他のチャネルはインターネット検索プ ラグインの集まりを表している。Sherlock 2 には削除できない(しかし特 定のサイトのプラグインは削除、追加できる)インターネット、人々、 Apple 、ショッピング、ニュース、リファレンス、そしてマイチャネルと いったチャネルが備わっている。マイチャネルはあなたの好きなインター ネットサイトのプラグインを何でも入れられるカスタマイズチャネルで、 −以前インストールした TidBITS プラグインのようなカスタムプラグイン も受け継ぐことができる− インターネットサイトの追加のカスタムチャネ ルを作ったり削除したりできる。Sherlock 2 は Lightweight Directory Access Protocol (LDAP) サービスと通信できる。たとえば、Yahoo、 Bigfoot、Four11 での LDAP サービスへの People チャネルポイントなど である。

<http://www.tidbits.com/search/>

Sherlock 2 のインターネット関連のチャネルは必ずしも万人受けしないだ ろうが、Sherlock のプラグインセットの管理を容易にしてくれる。長いプ ラグインのリストを管理するかわりに - もしくはすべてのプラグインを常 にオンにしたままにして置くかわりに - あなたは最適なサイトの検索に集 中できる。また、ニュースとショッピングチャネルには価格、日付、在庫 状況などの項目を検索結果に追加することができる。日付はニュースの項 目としては便利だし、また Apple はインターネット上でたくさんの小売店 の価格比較ができるようなショッピングチャネルプラグインを作ろうとし ている。もっとたくさんのサイトがプラグインをカスタマイズしてくれれ ば、同じ商品をほとんど同じ値段で売っているサイトをマイサーチで見つ ける、というようなことが実現できるだろう。また、Sherlock 2 ではプラ グインを手動でアップデートすることはできず、すべてのプラグインはバッ クグラウンドでいつの間にかアップデートされる。

Sherlock 2 はバナー広告を制御できるため、数々のインターネットサイト からの Sherlock サポートが問題になる。Apple が Mac OS 8.5 と共に Sherlock を発表したとき、開発段階の後期に入ってからインターネット検 索結果ウインドウにバナー広告を表示できる機能についての発表があった。 そもそもこの機能は、Sherlock ユーザーがバナー広告をバイパスしてしま うため、あわてたインターネットサポートサイトをなだめるために作られ たものだ。Apple の決定については、ユーザーのデスクトップ上での広告 に明らかに Apple が賛同したことだけでなく、バナー広告がすべての視聴 者に対して必ずしも適切でないということに関しても議論を呼んだ。Mac OS 8.5 の発表後すぐに、明らかに成人向けのバナーやその他の不快な広告 を目撃し驚いた両親、教職者、果ては子供たちまでが TidBITS に多数の手 紙を寄せている(いまだに同様の手紙を受け取ることがある)。今でこそ AltaVista のようなメジャーなサーチエンジンは去年までやっていたよう なヌードモデルを使った広告を配信しなくなったが、だがいつ何がでてく るか分からない - メジャーなインターネットサイトはいまだに両親や教職 者が不快に感ずるような広告を載せているのだ。

Sherlock 2 は現在のところ、Mac OS 9 と共にプラグインが提供される Apple とそのパートナーのバナーのみを表示する。Apple がこの変更を不 快なコンテンツの問題を解決するためにやったのか、それとも Sherlock のバナーエリアをパートナー用の特別な広告スペースにするためにやった のかは分からない。どちらにしても、Sherlock はパートナー以外のサイト のバナーを表示せず、Apple のバナーに置き換えてしまう。この動きは学 校や家庭では Apple に味方するだろうが、多くのサイトに Sherlock プラ グインの開発やサポートを思いとどまらせるかも知れない。結局、このよ うなサイトのバナー広告はたとえそれが完全に無害なものであっても、何 とかして“認可された”サイトにならない限り、表示されることはないの だ。このことにより、巨大なインターネットサービスや小売店をひとまと めにして検索する Sherlock のインターネットサーチの能力は減少するこ とになりかねない。

Sherlock 2 は以前からあるファイル検索の能力を残しており、ファイルを 名前で検索することもできるし、先にディスクのインデックスを作ってお けばファイルを内容で検索することもできる。しかしながら、ファイルの 属性で検索しようとするとSherlock 2 はものすごいステップを踏まなけれ ばならない。Sherlock ウインドウに付加された More Choices を使った追 加検索オプションは、ユーザーが様々な面からの検索をカスタマイズでき る、不快な 16 のチェックボックスと 9 個のテキストエリア、そして 18 のポップアップメニューをもつマンモス More Choices オプションダイア ログになった。これらの機能を使うには、ポップアップメニューからカス タムを選択し(もしくは Sherlock の検索メニューから More オプション を選択)、この巨大なダイアログの中から望みの項目を探し出してはチェッ クボックスをクリックしてゆき(もし Sherlock のメインウインドウでファ イルネームかファイルの内容をタイプしていたら、ここでもう一度同じも のをタイプしなければならない)、必須なポップアップメニューとテキス ト入力を適当にごまかして、OK をクリックして Sherlock のウインドウに 戻り、最後に(ラベルの付いていない)検索ボタンをクリックするのだ。

簡単にいうと、検索オプションはめちゃくちゃだ。何も考えずに、Finder からファイルを More Choices ダイアログにドロップしてファイルの属性 を利用して日付とテキストエリアを埋めることもできる(あなたがタイプ したものはすべて新しく上書きされてしまうが)。しかし、最適なアイテ ムを有効にしたり停止するのにチェックボックスを探したりつついたりし なければならないことに変わりはない。More Search オプションダイアロ グに頻繁に出くわすようなら、共通の検索項目を再利用可能なファイルと して保存可能かどうか調べてみよう。それでもダメなら、AppleScript を 使ってもっと柔軟な Sherlock 検索スクリプトを書くのもいい。

マルチユーザー -- Mac OS 9 のもう一つの売り機能はマルチユーザー で、それは複数の人達が一つの Macintosh を各々の初期設定とカスタマイ ズされた環境下で使用できるようにするものだ。またマルチユーザーはあ る程度の基本的なファイルセキュリティも提供している。マルチユーザー がオンになっていると、Mac は通常通り起動し、そして、Login プログラ ムを動かし、ユーザーがログイン ID を入力したり、選択したり、または、 ゲストアクセス(もし許可されていれば)を選んだりする画面を表示する。 ユーザーはそこでログインするためのパスワードをタイプするか、または 巧妙な音声認識オプションを使用して、コンピューターに彼等を認識させ るのだ。それは、タイプ入力されたパスワードよりセキュリティ度は落ち るが、間違いなく、いかしている。マルチユーザーは、今のところ個々の ユーザーで異なる機能拡張書類のセットをロードすることはしないが、異 なったセットの初期設定、アップルメニュー項目、起動項目、よく使う項 目、そしてデスクトップアイテムは提供することができる。ユーザーは、 特定のアプリケーション、プリンター、リムーバルメディア、特定の CD/DVD タイトル、セレクタ、コントロールパネル、そして、その他の項目 へのアクセスのみが可能な制限付きユーザーとしても設定できる。また、 ユーザーは、At Ease や画面一杯に広がったランチャーのような動きをす るパネルと呼ばれるシェルアプリケーションを通して、プログラムを起動 したり文書を扱ったりするパネルユーザーとして定義もできる。パネル内 で、ユーザーは許可された項目へアイコンベースでアクセスを提供する個々 のパネルを広げたり閉じたりできるが、Finder すべての機能を利用するこ とはできない。一台の Mac はローカルで設定されたユーザー名とパスワー ドを使用できるし、ネットワーク上の Macintosh Manager アカウントから ユーザー名とパスワードを読み込むこともできるので、Mac OS X Server を使っている研究所や教室のアドミニストレーターには重宝なものだ。一 定時間使用していないとユーザーをタイムアウトさせることもできる。

<http://til.info.apple.com/techinfo.nsf/artnum/n31060>

Mac OS 9 の音声認識機能はマルチユーザーと融合するものだ。音声認証が オンでマルチユーザーが作動していると、パスワード入力に代わり、 PlainTalk 対応のマイクロフォンを通してパスフレーズを言ってコンピュー タに自分を認証させることができる。ディフォルトのパスフレーズは“My voice is my password”だが、自分独自のものを使用することもできる。 明瞭なものにするために音素を十分持たせることを忘れずに。私はすぐさ まパスフレーズを“Soylent Green is people”に変更したが、Apple は五 から七単語からなるフレーズを推奨している。音声パスワードを設定する には、パスフレーズを四回言って、あなた自身を記録させるのだ。音声認 証システムが、レコーディングが十分似通っていると認めれば、すべて完 了だ。音声パスワードの設定では普通に話すことが大事だ。大声で話しか けたり、普通とは違った強調をすると、結果を悪くするだけである。

Apple は、音声認識を革新的技術だと宣伝しており、パスフレーズをレコー ディングしたり認証したりする時のアニメーション化されたスペクトラム グラフで、訴求力のあるプレゼンテーションを行った。その背後では、こ の認証システムは、デベロッパーが、デジタルカメラ、カードキー、はた また指紋スキャナーを用いてユーザー認証させることも可能になっている と、想像される。それでも音声認識は実用性の限られたスタントのように 思える。自分の Mac のセキュリティが心配な人達が、パスフレーズを言っ て安全な環境や、コンピュータが周りのノイズを区別できるほど十分に静 かな環境で Mac を使用するとは限らないのだ。

マルチユーザーは詮索が過ぎる子供(または両親)を Macintosh のデリ ケートな部分から遠ざけることはできるが、そのセキュリティは、他のデ バイス(たとえば内蔵 CD-ROM)から起動することで容易にバイパスできる し、アクセス権の限定は自動バックアップやその他のスケジュール運転を 妨げる可能性がある。マルチユーザーは軽量のセキュリティとユーザー設 定のためのツールを提供するものだということを覚えておこう。多くの人 達には確かに便利だが、デリケートなデータの保護や、大人数のグループ 用としては十分ではないのだ。

キーチェーンとデータセキュリティ -- Mac OS 9 にはセキュリティ機能 が備わっており Multiple Users よりもずっと頑強である。一つはキー チェーンと呼ばれるもので、元々は 1993 年に System 7 Pro の PowerTalk の一部としてデビューしていたものである。キーチェーンは安全を確保さ れた場所であり、Internet や AppleShare サーバへのパスワード、デジタ ル署名、証明書やその他の大事な情報を、一個のパスワードの元にしまっ ておく事ができる。キーチェーンにはアプリケーションから直接アクセス する事ができ、理論的にはユーザーはキーチェーンにアクセスするための 一つのパスワードだけを覚えておけばよい。現時点では、Eudora、 Anarchie、Fetch、それに Web Confidential がすでに現バージョンでキー チェーンに対応しており、そのほか Mac OS 9 Finder、Apple File Security (下記参照)、それに AppleShare サービスも対応している。Mac OS 9 は複数のキーチェーンファイルを扱え、そしてキーチェーンファイル を開錠してコンピュータ間で移動する事もできる - これらは Preferences フォルダ内のキーチェーンフォルダに格納されている。キーチェーンファ イルはかなりな程度に保護されている:キーチェーンパスワードはディス ク上には決して保存されない(代わりにパスワードに対応した暗号キーが 使われる)、そして保存には輸出認可された 128-bit RC2 暗号が使われ る。キーチェーンはパスワードを探るための繰り返しの試みには、誤った パスワードが繰り返される間の時間を指数関数的に増大させる事で対抗す る - つまり間違ったパスワードでトライすればするほど、次のトライまで 長く待たなければならない。

キーチェーンはユーザーが遠隔システム上のパスワードを維持したり変更 したりする術を全く提供していないので、ユーザーはパスワードやログイ ン情報を忘れるわけにはいかない - 自分の口座を管理するにはシステムに マニュアルにアクセスする必要がある。そのやり方はちょっとやっかいで ある;まずキーチェーンファイルに保存されている個々のアイテムとその パスワードを見るには Keychain Access コントロールパネルを開く必要が ある。キーチェーンのパスワードを覚えている限りは、キーチェーンに保 存されているどのアイテムへのパスワードも見ることができる。キーチェー ンはパスワードを保管するのに長年使われてきた方法、SimpleText 書類に 書き込んでおくとか紙切れにメモ書きしておくとかの方法に較べれば格段 の進歩である。もしあなたが完全にキーチェーンに依存するようになって しまいそうなら、定期的にバックアップを取る事の重要さを強調しておき たい - もし万が一キーチェーンファイルを失ってしまったり壊れてしまっ たりしたら、大事なファイルやサービスへのアクセスを失ってしまう事に なる。

Mac OS 9 におけるもう一つのセキュリティ強化は Apple File Security であり、任意のパスワードを使って特定のファイルを暗号化したり復号化 したりできる。Apple File Security は単独のアプリケーションとしても 使えるし - Mac OS 9 の Applications フォルダ内の Security フォルダに ある - または Finder の File メニューとコンテクストメニューにある Encrypt メニューコマンドを使ってファイルを暗号化する事もできる。あ るアイテムを暗号化するとき、パスワードをタイプしさらに確認するよう 求められる;そして Apple File Security はデフォルトでそのパスワード をキーチェーンに追加する。Apple File Security は次にファイルを圧縮 し 56 ビット鍵を使って暗号化する - 黄色の小さな鍵がそのファイルの Finder アイコン上に現れる。(Apple File Security は暗号化前のファイ ルが格納されているディスクセクタに戻ってそこを抹消する事はしないの で、ディスク回復ツールを使えば暗号化前の状態でデータを引き出す事は 理論的には可能である。) 56 ビット暗号化鍵は暗号化社会では弱いセキュ リティとみなされているが - Distributed.net が 56 ビット RC5 鍵を 1997 年に破っている - これが現在のところ米国政府が輸出承認している 最大長の鍵であり、例外的に強固な意思を持ちかつ強力な装置を持ったハッ カーに対してを除けば実用には十分な強さを持っている。もし誰かがファ イルに入ろうと思っても、パスワードを推測するのにたまたまの幸運に恵 まれるかあるいは力ずくであなたを自白させない限り不可能である。Apple File Security はフォルダの暗号化はできない、ということはパッケージ も暗号化できない。パッケージとは Mac OS 9 で導入された特別なある種 のフォルダで Carbon“アプリケーションバンドル”を扱う - ファイルの 集合体で一緒になって一つの Carbon アプリケーションを形成する。Mac OS X が現実に近づくにつれて、そして開発者達がプログラムを Mac OS X と Mac OS 9 の両方で走るよう設計し始めるにつれてもっともっと多くの パッケージを目にするようになるであろう。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04215>

ファイルを復号するには単にダブルクリックするだけでいい:Apple File Security が起動し、パスワードを要求し、それから復号へと進みそして ファイルを開く。(Apple File Security をアプリケーションとして使え ばファイルを開かずに復号できる。)しかしながら、注意しなければなら ないのはいったんファイルを復号すると、それは復号 されたまま であ ることである。もしいったん見た後あるいは修正した後でファイルを保護 したければ、そのファイルを Finder 上に置いて暗号化する必要がある事 を覚えておかねばならない。そして、ファイルを暗号化するのに用いたパ スワードを忘れてしまうようなことがあれば、Apple 社はおろか他の誰も あなたに代わってデータを回復する事はできない事を肝に銘じて欲しい。

次週に続く -- 紙面の都合で Mac OS 9 のその他の機能や強化について の論評は次週に回さざるを得なくなった - さらなる詳細については次週に こうご期待。


非営利、非商用の出版物およびウェブサイトは、フルクレジットを明記すれば記事を転載またはウェブページにリンクすることが できます。それ以外の場合はお問い合わせ下さい。記事が正確であることの保証はありませ ん。書名、製品名および会社名は、それぞれ該当する権利者の登録商標または権利です。TidBITS ISSN 1090-7017

tb_badge_trans-jp2Valid HTML 4.01!Another HTML-lint gateway