TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#511/03-Jan-00

この新年を迎えるに当たっての不吉な予言は実現しなかった。しかし、そ の他のトラブルがまわりに起こっている。我々は、まず、その発端となっ た問題である Apple の OT Tuner 1.0 を検分し、そして、ネットワークセ キュリティに関する情報の情報源を拾い上げてみた。さらに、Microsoft Excel 98、Internet Explorer 4.51、Outlook Express 5.01、そして、Now Up-to-Date & Contact のアップデート版について解説。最後のトピックス では、最初の Apple オンラインコミュニティである MAUG のインターネッ ト上での復活について Neil Shapiro 氏へインタービューを行った。今週 のアンケートは、あなたの Y2K 体験について。また、我々は、今週行われ る Macworld Expo にスタッフとして参加する予定である。

目次:

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今回の TidBITS のスポンサーは:


MailBITS/03-Jan-00

(翻訳:三好 泰子 <yokomo@mio.to>)
(  :芦原 嘉宏 <broom@mba.nifty.ne.jp>)
(  :尾高 里華子 <rikako@pobox.com>)

TidBITS Macworld SF に現る -- 我々は、バーチャルな組織である。し かし、Macworld Expo では、ぜひみなさんに直接お会いしたいと切望して いる。もし、今週のサンフランシスコでのショーに参加されるのであれば、 下記のイベントのどれか 1 つでも立ち寄って声をかけていただきたい。

<http://www.oreilly.com/catalog/platforms/>

Excel 98 へのマイナーな Y2K 修正 - Microsoft 社は、Excel 98 Macintosh 版へのマイナーアップデートをリリースした。このアップデー トは、Visual Basic for Applications(VBA)を使って、日付情報をテキ ストファイルにエクスポートする際の問題に対処するものだ。4 桁表示の 年数の入った日付を、2 桁表示の年数にしてエクスポートしようとすると、 日付のうち世紀についての情報は失われることになる。エクスポート後に データがどのように使われるかによって、この処理は日付問題を引き起こ す。たとえば、Excel 98 は 2 桁の年数 00 から 29 を、21 世紀の年数と 解釈するが、そうすると VBA を使ってテキストファイルにエクスポートし たり、もう一度 Excel 98 にインポートした場合、1900 年から1929 年を 示す日付はみな誤って解釈されることになる。他のアプリケーションは、 2 桁表示の年数を解釈させるために“日付ウインドウ”をいじってみても、 2 桁表示の年数を20世紀のものと解釈するようだ(詳細は TidBITS-475 の“4 桁の正しい年号に”を参照)。このアップデートは、VBA でテキス トファイルにエクスポートされた 4 桁表示年数のある日付だけに適用され るもので、Excel のデータ保存・エクスポートのような他の操作は影響を 受けない。Microsoft Excel 98 Y2K Update は、Office 98 英語版用のも のの他、12 月初めにリリースされた同社の Office 98 用 Mac OS 9 アッ プデータの追加部分、あるいは既に Mac OS 9アップデートをインストール している人向けに分離した 818K のダウンロードとして、入手できる。 Microsoft は、Office 98 の非英語版についても近々アップデートを出す と言っている。 [GD]

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05342>
<http://www.microsoft.com/macoffice/downloads/OS9.htm>
<http://www.microsoft.com/macoffice/downloads/Excel98Y2K/Excel98Y2K_2.asp>

Now Up-to-Date & Contactは、現在 Up-to-Date 中 -- Power On Software 社は、Qualcomm 社から 1999 年初めに買い取ったカレンダーお よび連絡先を扱う統合ソフト、Now Up-to-Date & Contact の開発を公約通 り続けると伝えている。バージョン 3.8 は、Mac OS 8.5 以降での互換性 の問題を修正し、インターネット関連機能に絡む問題を解決、Now Up-to-Date & Contact Web Publisher(以前は 400 ドルの別製品)を無料 で同梱した。Power On 社は、Palm デバイスとの同期については、2000 年 初め予定の次期バージョン 3.9 で実現する予定としている。Now Up-to-Date は 90 ドルで、以前のバージョンを持っている人は 40 ドルで アップグレードできる。フル機能付き 30 日限定のデモ版は 4.6MB のダウ ンロードである。 [JLC]

<http://www.poweronsoftware.com/now.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05465>

Fatbrain.com の MWJ Mac OS 9 特集 -- Macintosh 週刊誌 MWJ の発行 元である GCSF 社は詳細な Mac OS 9 特集を 76 ページ分の PDF ファイル で出している。MWJ ほど完璧な(かつ技術的にも詳細な)Mac OS 9 特集は どこにもないだろう。TidBITS の Mac OS 9 特集よりももっと掘り下げた ものをお探しの方にはうってつけだ。MWJ の Mac OS 9 ガイドは Fatbrain.com 社の eMatter サービスから無料でダウンロード(1 MB)で きる。 [JLC]

<http://www.gcsf.com/pages/mwj/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1151>
<http://www1.fatbrain.com/asp/bookinfo/bookinfo.asp?theisbn=EB00003840>
<http://www.fatbrain.com/ematter/home.html>

アンケート結果:デジカメ購入 -- 99 年 12 月 6 日から同 31 日まで デジカメに関するアンケートを行っっていたが、この時ばかりは、ほとん ど誰も回答しなかったことが嬉しかった。マシンに休みをあげ、休暇を楽 しんだ全員に乾杯! カメラの所有について尋ねた最初の質問では、約 600 人の回答者は「持っている」「購入しようとしている」「わからない」に 三分された。二つ目の絞った質問に対し、約 300 人がデジカメの購入時 期、購入予定時期を答えてくれた。例外もあるが、デジカメに引き入れら れる人が毎年増える傾向があるのは明らかである。最後に、最初のデジカ メがいくらしたかという 3 つ目の質問には 約 100 名のまちまちな答えが 寄せられ、500 〜 750 ドルぐらいのものを買った人を中心にしたきれいな カーブができあがった。 [ACE]

アンケートのお知らせ:A-OK for Y2K? 2000 年 1 月 1 日の零時にこの 世の終わりは来なかったし、世界中のコンピュータシステムがクラッシュ して停止してしまうこともなかった。Y2K に対応をあまりしていなかった 地域でさえもだ。今では Y2K 騒動も笑い話になっているが、私の目にした 推計によると、世界中で Y2K 関連のコンピュータ問題にあてられた金額は 3 〜 6 兆ドルだそうだ。大きな問題もなく 2000 年 1 月 1 日が過ぎたこ とは、ひとえに Y2K によって問題が発生しないように、懸念が杞憂で終わ るようにとなされた努力のたまものだろう。大晦日が闇夜にならずに祝い の時なったのは、ここ数年古いコードと格闘し、システムをテストした人 達の大きな功績である。もっとも、あちらこちらでちょっとしたごたごた はあったのだ。そこで、今週は「個人的に Y2K 関連のコンピュータ問題を 体験しましたか?」というアンケートを行う。TidBITS Talk の参加者にも 体験した人がいるようだが、私たちのホームページを訪れて、あなたの意 見をお聞かせ願いたい。 [ACE]

<http://www.tidbits.com/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=895>


Internet Explorer 4.51 と Outlook Express 5.01 問題を解決

by Geoff Duncan <geoff@tidbits.com>
(翻訳:亀岡 孝仁 <tkameoka@fujikura.co.jp>)

Microsoft Corporation 社は Internet Explorer 4.51 と Outlook Express 5.01 をリリースした、これらは Web サイトおよびメール添付セキュリティ に関する問題に対応したものであるが、他にも 2 つの製品を組合せで使っ たときに発生する JavaScript 問題についても対応している。2 つのアッ プデートは組合せで 11.4 MB のダウンロードとして、あるいはどちらか一 方しかいらなければ個別に(それぞれに 6.4 MB と 9.4 MB)入手可能であ る。Microsoft 社はこれらのリリースに関して簡単な FAQ を公開している。

<http://www.microsoft.com/mac/download/>
<http://www.microsoft.com/mac/download/en/iefaqEN.asp>

その中身はといえば、Internet Explorer 4.51 は VeriSign 社からの新し い SSL バージョン 3 のセキュリティ使用許可証を含んでいる。Internet Explorer 4.5 と共に出荷された使用許可証のなかには 01-Jan-00 で期限 切れとなるものがあり、その時点で Explorer がある種の Web サイト(た とえば、オンラインショッピングとかファイナンシャルサービスとか)と セキュアコネクションを形成するのは不可能となる。Internet Explorer 4.51 も Outlook Express 5.01 も両方ともバージョン 3 へのサポートが 改善され将来の自動更新ができるはずである。Explorer 4.51 のインストー ルは簡単で Finder 上での単なるドラッグアンドドロップだけであるが、 問題が発生している人もいる;詳細と対策は TidBITS Talk を参照して欲 しい。Netscape ブラウザのバージョン 4.06 かそれ以前のものは使用 許可証期限切れの同じ問題を抱えてている可能性がある。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=889>

Outlook Express 5.01 は 11 月中旬に最初に報じられたセキュリティホー ルをパッチするものである。その問題とは、添付ファイルが固有に生成さ れる MIME HTML (MHTML) メッセージの中に埋め込まれることでユーザーの ハードディスク上に自動的にダウンロードされてしまうことであった。こ れらのアイテムはそのユーザーが知らないところでユーザーの Download フォルダに出現する;ということはもしユーザーがこれらのアイテムの一 つを開いたとすると、そしてそれがたまたま悪さをするアプリケーション であった場合は、損害を被ることとなる。Outlook Express 5.01 は MHTML メッセージに埋め込まれたいかなるマテリアルもダウンロードしないよう にすることでメッセージの一部分として機能できないようにすることでユー ザーを保護している。Outlook Express 5.01 は Internet Explorer によっ ても共有されるアップデートされた JavaScript シェアードライブラリも 含んでいる;Outlook Express 5.0 に含まれているバージョンでは Internet Explorer がある種の保護された Web サイトで問題を起こす可能 性がある。この問題は Internet Explorer 4.5 と Outlook Express 5.0 とを同時に同一の Macintosh 上で動かすユーザーにのみ起こる問題であっ た。Outlook Express のドラッグアンドドロップによるインストール機能 には十分注意して欲しい;それはあまりに簡単なので、単に既存の既存の Outlook Express フォルダを置き換えてしまうとあなたのメールデータベー スを消去してしまうことになってしまうからである。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05651>


Mac のネット悪用と戦う OT Tuner 1.0

by Geoff Duncan <geoff@tidbits.com>
(翻訳:篠原 慎一 <sshino@mbd.sphere.ne.jp>)

Apple Computer 社は OT Tuner 1.0 をリリースした。これは、インター ネットに接続されている Mac が、インターネットサーバのサービスを停止 してしまうような攻撃においてトラフィック増幅器(以下を参照)として 用いられるのを可能にする Open Transport 中の 1 オプションを使用不可 にする小さなパッチだ。このアップデートは Mac OS 9 が動いているすべ てのコンピュータ、Power Mac G4、iBook、あるいは Mac OS 8.6 で動作し ている現行の(iMac DVのような)スロット・ローディング iMacを対象と する。OT Tuner 1.0 は 175K のダウンロードサイズであるが、パッチ自体 は 2K より小さい。

[05-Jan-00: Apple 社は OT Tuner 1.0 を取り下げた。これはこの悪用対 策に加えて何人かのユーザーで OT Tuner 1.0 で問題が生じたための対策 が加えられた Open Transport 2.6 を推奨するためである. -Geoff]

<http://asu.info.apple.com/swupdates.nsf/artnum/n11560>

OT Tuner 1.0 は、Georgia Institute of Technology の John Copeland 氏によって公表された、Open Transport における挙動に対する直接のレス ポンスだ。基本的な前提は、Open Transport がインターネット上のどこか にあるリモートマシンから送られてくる特定の小さなデータパケットに対 して 1,500 バイトのレスポンスを返す場合があるというものだ(この挙動 は、9 年以上前に RFC 1191 で詳述された Path MTU Discovery と呼ばれ る標準の一部である)。問題は、この小さなデータパケットがあたかもイ ンターネット上のどこかにある第 3 のコンピュータから来たように偽造す ることができる点だ。この場合、Open Transport は 1,500 バイトのレス ポンスをその第 3 のコンピュータに送信する。Copeland 氏によると、こ の偽造パケットは 29 バイトの長さしかなく、つまり、たかだか 29 バイ トを送信するだけで、Open Transport はリモートコンピュータに対して 1,500 バイトを送りつけるような、トラフィックを 5000パーセントにも増 幅する悪意ある第三者として有効に機能してしまうのだ。

<http://www.csc.gatech.edu/~copeland/macattack/>
<http://www.faqs.org/rfcs/rfc1191.html>

これらのデータパケットは巨大ではないが、高速に生成することが可能で あり、この挙動は複数台の Mac が広範囲なサービス停止攻撃を行うように 悪用することができる。理論的には、標的となるコンピュータのインター ネットコネクションは、数千個の毎秒 1,500 バイトのパケットによってあ ふれ、やってくるデータを処理するのに手一杯になってしまう。広範囲に インターネットサーバのサービスを停止してしまうような攻撃は新たな現 象で(CERT 勧告 CA-99-17を参照)、これまで Open Transport の潜在的 な弱点を克服するようなツールは知られていなかった。いずれの場合でも、 連続的にインターネットに接続されている Mac OS 9 で動作しているMac (あるいは上述の、Mac OS 8.6 で動作するモデル)は、あらゆる悪用の危 険下に置かれているのだ。

<http://www.cert.org/advisories/CA-99-17-denial-of-service-tools.html>

多くの人々が Apple 社の OT Tuner 1.0 をトラブルなしに使用している が、DSL 接続同様AirPort ネットワークを利用しているユーザーに対して 問題を起こすこのパッチへの根気強い報告がされている。何人かのユーザー はパッチをインストールしたところ TCP/IP コンフィグレーションの切り 替えが困難になったとも報告している。用心深い側に回り、Apple 社の OT Tuner を試してみるのが最も安全な方法だろうが、もし接続性に問題を起 こすようならば、Extensions Manager を使用して動作不可にしよう。


パニくらないで - ネットセキュリティについてはよく調べよう

by Chris Kilbourn <chrisk@forest.net>
(翻訳:亀岡 孝仁 <tkameoka@fujikura.co.jp>)

多くの Mac ユーザーのように、ここ一週間程は Apple 社の Open Transport Tuner 1.0 をインストールするのに大忙しであった。このパッ チは Mac OS 9 か Mac OS 8.6 のある特定の CPU 構成の Macintosh シス テムから発せられる危険性のあるサービス断絶 (DoS: Denial of Service) 攻撃を防ぐためのものである - この問題に関する危険度と Apple 社の対 策に関する詳細についてはこの号の Geoff Duncan の記事を参照されたい。

[05-Jan-00: Apple 社は OT Tuner 1.0 を取り下げた。これはこの悪用対 策に加えて何人かのユーザーで OT Tuner 1.0 で問題が生じたための対策 が加えられた Open Transport 2.6 を推奨するためである. -Geoff]

<http://asu.info.apple.com/swupdates.nsf/artnum/n11560>

Georgia Institute of Technology の教授である John Copeland 氏が学内 のネットワーク上にポートスキャンが流れているのを見つけて、この攻撃 の可能性を指摘したのである。この危険性を発見した同氏にたいする賞賛 は惜しまないが、この情報が流布されたやり方そしてそれに対する Macintosh 社会の反応ぶりはとても理想からはほど遠いものであった。

<http://www.csc.gatech.edu/~copeland/macattack/>

五里霧中 -- Macintosh 社会の多くの人がネットワークのセキュリティ に関してそれは対岸の火事であるかのように思うようになってきた、そし てそれにはそれなりの理由があってのことであった。長年 Mac はインター ネットサーバを展開する上で最も安全なプラットフォームであったし、ネッ トワーク攻撃や不正進入に対してもほとんど無傷であることを繰り返し証 明してきた。しかしながら、いくら Macintosh がインターネット用として 最も安全なプラットフォームだからといって、セキュリティ問題に無関心 であることも、万が一問題があるとわかったからといって過剰反応するの もいけない事である。今回の場合、混乱は Macintosh のニュースや情報 サービスによって拡げられ、さらに Y2K にからんだサイバーテロリズムを 心配する過度の心配症と重なって事態が余計悪くなってしまった。今回の 出来事は、我々は一つの共同体としてネットワークセキュリティの問題に どのように対処すべきかまったくわかっていないことを露呈したが、これ は単に我々が前にこのような事態にめったに出くわしたことがないからで ある。

そこで他の共同体に目を向けることは我々にとって参考になると共に、コ ンピュータ社会で他の人達は長年にわたってネットワークセキュリティと どう取り組んで来たのかを教えてくれる。

情報収集し準備をする -- Carnegie Mellon University に置かれている CERT Coordination Center はネットワークセキュリティに関する警告、注 意、助言のための世界的な情報センタである。CERT チームは危険性が認め られる度にその web サイトを更新し、その危険度のレベルを決めパッチへ のリンクを提供する。この Web サイトを毎日チェックしに行かなくて済む ように発表メーリングリストも運営している。

[訳注:CERT (Computer Emergency Response Team)1988年11月に DARPA (Defense Advanced Research Projects Agency) によって設立された]

<http://www.cert.org/>
<http://www.cert.org/advisories/>

ネットワークセキュリティに関しては数百冊もの本が出ている。とりわけ O'Reilly and Associates 社から出されている本は一般的によくできてい る。これらの本のほとんどが Unix と Windows の世界に関するものである が、大体において多くの原則はどのプラットフォームにも当てはまるもの である。

<http://security.oreilly.com/>

もしあなたがプラットフォームに関わらず最近のコンピュータセキュリティ の詳細にわたる技術分析に興味があるのであれば、BugTraq メーリングリ ストは手助けとなるであろう。

<http://www.securityfocus.com/forums/bugtraq/faq.html>

他のいい情報源としては、System Administration, Networking, and Security (SANS) Institute がある。このグループは全国規模で定常的な セキュリティワークショップを開催し、その Web サイトは有益な情報が満 載されている。その情報の多くは Unix 管理者を対象としたものだが、こ れも次のように関係してくるのである。

<http://www.sans.org/>

Mac OS X Server も次に予定されている Mac OS X も BSD Unix を核とし ている。ということは、いったん Mac OS X が出荷され我々の Mac にイン ストールされたあかつきには、我々のデスクトップ上には Unix ワークス テーションが走っている事となる - ということは我々は他の Unix ワーク ステーションと同じような危険の可能性を持つ事となる。だからといって、 あなたが Unix のシステム管理者にならなければならないというわけでは ないが、少なくともネットワークセキュリティに関する世間動向には常に 目を向け、問題や警告に対しては時期を逸せず対応しなければならなくな ることを意味する。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05415>

問題を正しく処理する -- 長年にわたって Unix 社会はこれらの問題に 対していくつかの簡単な手順を守ることで対処してきた:

1. エンドユーザー、プログラマー、セキュリティ専門家を問わず、問題が 発見されたら直ちに、CERT と関係するソフトウェア業者に問題を報告する

2. CERT は注意、または警告を発する、そして業者はパッチをリリースする

3. 該当するユーザーはパッチをあて、それで通常の生活が継続される

上記のリストには、パニくる、いらだつ、心配する、あるいは隠すといっ た言葉は一切無いことに注意して欲しい。もしあなたがネットワークセキュ リティに関する問題をたまたま発見するという“幸運な”めぐり合わせに 出会った場合は、次のことをして欲しい:

1. CERT に連絡する

2. 関係すると思われる製品の業者に連絡をとる

3. 関係者が問題を同定しパッチを開発するのに手を貸してやる

ここで注意して欲しいのは、メディアに警告したり、その問題を悪用する 可能性についての勝手な推測を公にしたり、あるいはエンドユーザーは何 をすべきかについて意見を述べたりといった役割はこのリストにはまった く含まれていないことである。エンドユーザーに通知をし正確な情報を流 すのは CERT や当該業者の仕事であり、彼らはそれを長年やってきている のである。

報告書の評価は慎重に -- 誰もがネットワーキングの専門家ではない、 そして CERT のような機関から出される報告の詳細さにはそれだけで気お されるようなところもある。普通のコンピュータユーザーはがネットワー クセキュリティの細かい技術的なことまでいちいちフォローする必要はまっ たくないが、少なくともこのような機関が存在するのであるから問題が起 こったらその問題の報告書を読んで評価できるようにすべきである。まず 新しいネットワークセキュリティの問題が報告されたら、次のことを考慮 すべきである:その問題報告書は責任の所在がはっきりしていそうかそし て信用できそうか?その問題は信頼できる第三者によって報告されたもの か?そして CERT およびソフトウェア業者には報告がいっているか、ある いは何らかの声明が出されているか?インターネットは間違った情報や根 拠のない推測などを、重要なニュースやソフトウェアアップデートを広め るのと同様な早さでばらまくことができる - よく知った上での判断の方が 切迫した恐怖感で何かをしなければいけないとする判断より常にずっとい いのである。Douglas Adams (筋金入りの Mac ユーザー) の名言、パニく るな!

[Chris Kilbourn 氏は digital.forest 社の社長である。同社は Mac を中 心としたネットワークサービスプロバイダーで、FileMaker Pro データベー ス Web ホスティング、サーバコロケーション、QuickTime Streaming、そ してその他のインターネットビジネスサービスに特化している。]

<http://www.forest.net/>


InterviewBITS:Neil Shapiro 氏を迎えて

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 里華子 <rikako@pobox.com>)
(  :尾高 修一 <shu@pobox.com>)

もう何年も前になるが、TidBITS にインタビュー記事を載せたことがある。 Anarchie で有名な Peter N Lewis 氏のインタビューや、Outpost.com の 創始者 Daryl Peck 氏のものがあった。これらに対して好意的なフィード バックを多数受け取ったにもかかわらず、それ以降インタビューをしてお らず、ずっと気にはなっていた。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1037>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1021>

ところが、黎明期の Macintosh オンラインコミュニティにおける伝説的人 物とも言える Neil Shapiro 氏が突然私にメールをよこして、 ForumsAmerica.com という名前で Web サイトに MAUG を復活させたと知ら せてきた時、MAUG の何たるかを説明し、新 MAUG をお伝えするには、イン タビュー形式をとるのが一番だと即座に思った。

<http://www.forumsamerica.com/macintosh/>

[Neil] 1979 年でした。ちょうど私は Apple II コンピュータを買ったば かりで、その使い方が分からなかったのです。その頃、できたての CompuServe(当時は MicroNet と呼ばれていましたが)ネットワークのベー タテストをするジャーナリストをやっていました。そこで、メインの掲示 板(Forum がまだなかった)で助けを求めたところ、何人かの方が CB Simulator(当時、チャットはこう呼ばれていた)で私に連絡をとってくれ ました。これが発展していき、毎週日曜の夜にミーティングを行うように なったのです。最初は MicroNet Apple Users Group(MAUG)と呼ばれてい ました。それから一年後、Forums の草分けの一つをスタートさせたので す。1984 年には Macintosh へと規模を拡げ、最終的には Macintosh 関連 で Forums が 20 以上にもなりました。ずっと MAUG という頭文字を使い 続けていますが、途中、商標登録をし(現在、私の会社 eFriends 社が所 有)、今は Micronetworked Apple Users Group という長ったらしいもの の略であるとしています。

[Neil] あらゆる種類のネットワーク上のすべてのオンライン界は、90 年 代初期が最も活発だったのではないでしょうか。少なくとも私はそう思っ ています。そして、専門家のためだけのサービスとしてではなく、マスマー ケットとしてみなされるようになっていったのです。その頃、ディナーパー ティーに行くと、テーブルについているほとんどの人が「モデムとは何か」 ぐらいは知っていたのです。これは、70 年代、80 年代からすると激変です よ。

[Neil] 申し訳ないが、その件に関してはコメントできません。言えるとし たら、私は長年 CompuServe と楽しく付きあっていたし、あそこで働いて いる友人が今でも何人もいるということぐらいでしょう。

[Neil] 独自のネットワークは一般的に(ここではどこかを特定した話はし ない)初心者コースの場になってきているのです。つまり、初心者はソフ トウェアをインストールすることと契約をすることのふたつが簡単なとこ ろを使いますから。市場占有率の維持を次第に脅かしてきているものがふ たつあります。ひとつは、ハードウェアのインターネット対応が進んでき ているということです。iMac がよい例ですよ。もうひとつは、大きな ISP は使いやすいインストーラーの付いた自社へのアクセスソフトウェア CD-ROM を作るようになってきたということです。独自ネットワークが将来 どうなるかなんてとても分かりませんね。

[Neil] ForumsAmerica.com は長年私が係わってきた中で最もエキサイティ ングなものです。コンセプトもできあがりも斬新なものです。

コンセプトは(メジャーなブラウザとプラットフォームであればどんな組 み合わせでも利用できる)メッセージベースをデザインすることでした。 現在ある Web フォーラムの欠点を持たないものを。コミュニティをもっと 感じることができるメッセージベースを作りたいと考えたのです(コミュ ニティは使われすぎている言葉ですが、私は言い出した一人なのでまだ使 う資格があるでしょう)。このために、我々はトピック指向のメッセージ ングという枠を飛び越えて、対話形式のスレッドという世界に向かったの です。たとえば、あなたがメッセージを一つ書いてよこし、それに私が答 えたとします。すると、ほかの人たちはあなたのメッセージのすぐ後に付 属する形で私の回答を目にすることになるのです。そして、あなたがその フォーラムに戻ってきた時に、このソフトウェアはあなた宛のメッセージ が届いている旨を知らせてくれるのです。ちょっと説明しにくいのですが、 ある話題に関してポストするだけではなく、ほかの人に語りかけるみたい な効果があるのです。しかも、手間要らずで簡単に使うことができる。数 は少ないですが今あるほかのスレッド指向のメッセージボードよりもはる かに簡単だと思いますよ。

[Neil] メールよりも Usenet のほうにずっと近いでしょう。ですが、 Usenet に行くと、私などは、ある人が答えているもとのメッセージがどれ か分からなくなってしまって閉口することがよくあります。 ForumsAmerica.com では、昔の議論をたどるのがずっと簡単になっている のです。メッセージをスレッドにするのは、70 年代に TRS-80 Model Ones で動いている BBS システムが最初だったと思います。そして、Delphi や CompuServe のようなネットワークで利用されるようになった。よく分かっ ているインターフェースの設計を重ねながら少しずつ進化させ続けて、イ ンターネットベースになり、Web ブラウザで読むことができるようになっ てきたのです。

[Neil] このサービスが現実にマルチプラットフォーム対応になることと、 とりわけ Macintosh ユーザーが肩身の狭い思いをしなくてよいようにする ために、ForumsAmerica.com のプログラマー達が相当な労力を費やしたの は嬉しいことでした。あなたが ForumsAmerica.com に入ってきたとします ね。するとこのソフトウェアが最初にすることは、あなたのコンピュータ とブラウザーが何であるかの確認なのです。Macintosh ユーザーは、Mac での表示に合わせてフォントやその他デザインエレメントをカスタマイズ した自分のスタイルシートで利用できるのです。友人の PC か何かで見た Web サイトを後で自分の Mac で覗いてみて、フォントはつぶれ、レイアウ トは壊れていた経験はありませんか? ForumsAmerica.com は PC でも Mac でもちゃんと、しかも同じに見えるのです。これを実現するのは大変でした。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05588>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05284>

[Neil] チャットもありますしもちろんメッセージボードもありますが、 ファイルライブラリは今のところ考えていません。今はオンラインソフト を探しに行く良い場所がほかにたくさんあるからです。私たちの役目は、 友達からどんなソフトが最高でどんなソフトがゴミかという話を聞きに行 く場を作ることだと思っています。ファイルをダウンロードするリンクや、 詳しい情報に導くためのリンクを張った記事やプレスリリースはあります が。インターネットで Mac ユーザーのために素晴らしいことをしている人 たちは大勢いるので、やたらと重複したり不満が残るような形ではやりた くないのです。つまり私たちがやるのはメッセージングだけなのです。こ れなら今のインターネットで誰にも負けないと自負していますし、Mac ユー ザーたちにも同じように感じてもらえると思っています!

[Neil] 違います。ForumsAmerica.com でカバーされている話題の幅広さに よって、人々がここを何についても語ることのできる「オンラインホーム」 と感じてくれると思っていますし、そう願ってもいます。MAUG に加え、私 は「ニュースと政治」エリアと「本と読書」エリアも担当しています。ゲー ムや料理、男性、日曜大工、宇宙、それに Windows とかいうもののエリア だってありますし、もっと増やすことにもなっています。いずれもプロの モデレーター、つまりメッセージボードが安全で楽しいものとなるように するには何が必要かを熟知している人たちが運営しています。

[Neil] それは意外ですね、編集作業だと感じたことは一度もありません。 私の経歴からいって(永年 Popular Mechanics 誌の編集者をしていたこと と MacUser 誌の創刊スタッフをしていたこと)、今まで思いつかなかった のは我ながら驚きです! 確かに編集に通じるコミュニケーション技能と大 いに関連があります。新設の「特集」エリアでは特に重要です。「特集」 にはプレスリリース、他のサイトからの広告、書き下ろし記事などといっ たものがグラフィックやリンク付きで用意されています。そこで私はおも しろい特集を元にメッセージの流れを始めようとします。例を挙げると、 人気のゲーム(Might and Magic III)の Mac 版がようやく登場しました。 そこでこれのプレスリリースが一つの特集となり、そこからクロスプラッ トフォームのゲームに関するスレッドが始まったのです。ホームページか ら特集をクリックして読むこともできますし、ディスカッションに参加す ることもできます。情報の相乗効果を狙っているのです。

[Neil] ForumsAmerica.com はユーザーには完全に無料ですが、収入のため に広告バナーを表示します。他の多くのサイトと同様、私たちも広告を目 にするユーザー数に応じて広告料を徴収するのです。ForumsAmerica.com では広告収益をモデレーター、私たちのいうコミュニティ管理者に分配す るつもりです。ところで ForumsAmerica.com は新フォーラムの提案を受け 付けていますので、参加したい人にはチャンスです。オンラインコミュニ ティを運営したいと思う方、特に経験のある方は、 <webmaster@forumsamerica.com> に提案書を送ってください。

[Neil] ユーザーグループについてはあまり詳しくありませんが、Apple が ユーザーグループの普及に努めていたのはよく覚えています。講師やソフ トウェアレビューの手配をして、何かと力になろうとしていたのです。 Macintosh は今でもちょっと変っていたり、長いものに巻かれないタイプ の人たちを惹きつけるマシンです。Apple の Think Different というス ローガンは的を得ています。したがって、Mac を買う人たちは、そのプラッ トフォームを選択したことを共通項としてコミュニティを形成するだけの 独自性を持っているように見えます。これから一年程の間にユーザーグルー プが復権しても驚くには値しないでしょう。

[Neil] PC ユーザーのコミュニティというものは存在しません! 少なくと もコンピュータの選択に基づくものは。PC を持っている人のほとんどは、 PC を職場で単に何か仕事をやっつけるためのハンマーのように考えていま す。Mac を持っている人の多くは今でもマシンをエキサイティングなもの と思っており、彼らは、というか私たちは、Mac が何かを満たしてくれる ものと感じているのです。発想が全然違います。

[Adam] ちょっとたとえが不適切かもしれませんが、MAUG が世界を支配し ていた頃からオンラインの世界は大きく変わりました。MAUG はどのように して今日のインターネットに適応したのでしょうか?

[Neil] 私はだいぶ前から毎日何時間もインターネットで過ごしていますの で、時代が変ったのはよくわかっています。インターネットは本当にオズ の魔法使いのようにカラフルなキャラクターや驚くべき出来事、それに ちょっと暗くて怖い場所もあります。でも、さらにたとえていうならば、 やっぱりわが家が一番なのです! 私はまだ何かの出版物や製品、企業、ポー タルなどと一切関係なく、Mac の世界すべてを閉鎖的にならずに与えてく れるメッセージボードというものを見たことがありません。私たちが進化 したとすれば、私たちの強みは情報の中立性と、人々がまさにホームとし て利用できるようにしていることでしょう。

[Adam] 先程の質問と関係しますが、膨大な数のメーリングリスト、Web サ イトなどのリソースにはない MAUG だけのものというのは何でしょう?

[Neil] 私たちのユニークさは、これまでずっとそうだったように、私を含 むスタッフの Mac コミュニティに対する気持ちと役割の認識である、と 願っています。私たちはみんなのため、Mac を持っている人すべてのため にここにいるのです。サービスは無料ですし、何も買わなくていいし、私 たちはできる限り風通しの良い場所にしているつもりです。Lofty Becker、 Charlie Downs,、Bill Cook、Alan August、Marty Silbernik、David Ramsey、David Rose といったスタッフとはもう 20 年以上も一緒に働いて きています。これは私が素晴らしく魅力的だから、というわけでは決して ありません! Macintosh コミュニティが素晴らしく魅力的だからです。

復帰して良かった!

[Adam] 今日はありがとうございました。読者の皆さんには ForumsAmerica.com の MAUG をぜひチェックしていたできたいと思います。 まだ開業したばかりでやや閑散としていますが、Macintosh コミュニティ の柱が帰ってきたのは頼もしい限りです。

<http://www.forumsamerica.com/macintosh/>


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