TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#520/06-Mar-00

近頃の Mac は、見かけが変化しただけではなく、接続方法も変わってき た。FireWire や USB が SCSI と ADB に取って代わり、数百万の周辺機器 は孤児状態である。しかしながら、TidBITS の読者達は、旧式のハードウェ アを生き長らえさせるために様々なアダプタを使っている。GeeThree.com 社の Stealth Serial Port もその 1 つである。ソフトウェア関連では、 Matt Neuburg が Font Reserve 2.5 を検分する。MailBITS では、Netscape Communicator、USB Overdrive、FaceSpan のアップデート、そして、 Amazon.com 社の特許取得に関して取り上げた。

目次:

Copyright 2000 TidBITS Electronic Publishing. All rights reserved.
問い合わせは <info@tidbits.com> へ、感想は <editors@tidbits.com> へ。

TidBITS 日本語版は TidBITS 日本語版翻訳チーム メン バーのボランティアによって翻訳・発行されています。TidBITS 日本語版 では翻訳に協力してくれる方を募集しています。詳しくは以下の URL を 参照してください。

<http://jp.tidbits.com/join_us.html>


今回の TidBITS のスポンサーは:


MailBITS/06-May-00

(翻訳:三好 泰子 <yokomo@mio.to>)
(  :尾高 修一 shu@pobox.com>)
(  :尾高 里華子 <rikako@pobox.com>)

Communicator 4.72、バグフィックスがほんの少しだけ -- Netscape Communications 社は、Netscape Communicator 4.72 をリリースした。こ れは、インターネット・クライアントと HTML のオーサリング・アプリケー ションが統合された Communicator の最新バージョンである。リリースノー トからは推測できないかもしれないが、バージョン 4.72 に新しい機能は 含まれていない。大抵のユーザーは、自分が問題を経験したことのないの に、アップグレードする必要などないと思うだろう。Netscape 社の Steve Dagley 氏は、変更点の大半は、あまり影響のない、マイナーなものである といっている。改良点としては、Bitstream 社の強力なフォント表示機能、 複数のIMAP メール・サーバ上での IMAP シグネチャのチェックが改良され たこと、確認キーの長さが2,048 ビットを越えた SSL サイトを扱うことが できるようになったこと、Base64 にコード化された JPEG の画像を電子 メールでうまく扱えるようになったこと、上位 ASCII の入った名前とパス ワードのデータが正しくコード化されるようになったこと、ニュースリー ダのバグがフィックスして Communicator でも再使用された記事番号が扱 えるようになったこと、等である。Netscape Communicator 4.72 は、ダウ ンロードサイズが 13.2 MB で PowerPC 搭載で Mac OS 7.6.1 以降である ことが必要。[ACE]

<http://home.netscape.com/download/index.html?cp=djudepart>
<http://home.netscape.com/eng/mozilla/4.7/relnotes/mac-4.7.html>

USB Overdrive 1.3 リリース -- Alessandro Levi Montalcini 氏は、USB Overdrive のバージョン1.3 をリリースした。これは、USB 対応のマウス、 ジョイスティック、ゲームパッドのためのユニバーサル・ドライバである (より詳しい内容については、 TidBITS-507 の“USB マウスの示す道 (Part 2)”と TidBITS-483 の“マウスを最大限に活かす”を参照のこ と)。新機能には、スクロールの回転速度を加速するオプション、ジョイス ティックやゲーム・パッドのためにカーソルの動きを止めるモード、そし て、Apple 社標準の USB ドライバのサポートが含まれている。Apple 社標 準の USB ドライバのサポートで、Mac OS 9 と 新しく登場した Game Sprockets の互換性が高まるであろう。さらに、スクロールの加速によっ て、サード・パーティのマウスでのスクロールもより速くなり、ドキュメ ントのスクロールも速くなった。USB Overdrive は、シェアウェア価格 20 ドルで、ダウンロード容量が 300 K。[ACE]

<http://www.usboverdrive.com/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05665>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05414>

FaceSpan 3.5 出荷 -- Digital Technology International 社は AppleScript などの OSA 言語用インターフェース構築ツール、FaceSpan の最新版であるバージョン 3.5 をリリースした。FaceSpan を使うことに より、スクリプトを元に複数のウインドウ、ダイアログ、スタイル付きテ スト、スクロールボックス、タブ付きペイン、画像、ムービーなど多種多 様なエレメントを持ったモダンな Mac OS インターフェースを備えたスタ ンドアロンアプリケーションを作り出すことができる。FaceSpan 3.5 には 内蔵ウインドウテンプレート(標準またはカスタムウインドウを簡単に再 利用できる)、円型ウインドウのサポート、リサイズ可能なモーダルダイ アログ、FaceSpan から直接初期設定を保存する機能(従来は内部 Storage アイテムに依存していた)やその他多数のインターフェース・機能面での 強化が施されている。FaceSpan 3.5 にはさらにスクリプト機能追加や、単 体でも FaceSpan プロジェクトに組み込んでも使える FaceSpan で作られ たユーティリティが同梱されるほか、Forms のドキュメンテーションとソー スコードが改善され、FaceSpan プロジェクトとスクリプト機能追加、キー ストロークフィルタ、コントロール定義などといったコードリソースを統 合することができる。FaceSpan 3.5 には System 7.0.1 以降、 AppleScript 1.1 以降が必要で、68020 プロセッサを搭載した Mac が必要 だが、できれば PowerPC Mac と Mac OS 8.5 以降の方が好ましい。 FaceSpan は価格 200 ドルで、バージョン 3 からのアップグレードは 50 ドル、バージョン 2 からのアップグレードは 100 ドルとなっている。 TidBITS Technical Editor の Geoff Duncan が 1998 年半ばに Mac WEEK 誌で FaceSpan 3.0 をレビューしている。バージョン 3.0 にあった Storage アイテムがらみの問題は 3.0.1 で解決されている。[GD]

<http://www.facespan.com/>
<http://macweek.zdnet.com/1221/rv_facespan.html>

Amazon.com アフィリエートプログラムに特許 -- 2000 年 2 月 22 日、 米国特許商標局は Amazon.com に対し、商用 Web サイトのアフィリエート プログラムのコンセプトに 97 年 6 月まで遡及し特許を認めた。アフィリ エートプログラムとは他の Web サイトのオーナーに売上の一部を紹介料と して支払うものだ。同社の“Amazon.com Associates”プログラムは、Web サイトオーナーがプログラムに登録し、Amazon.com の検索機能か Amazon.com が販売している特定の書籍にリンクする。すると Amazon.com はこのリンクからの売上に対して紹介料を支払うという仕組だ(TidBITS の BookBITS ページもこの方式)。この特許(番号 6,029,141)により、 理論的には同社がアフィリエートプログラムを運営している他の Web サイ トに、ライセンス料を支払わなければプログラムの停止を求めることがで きる。

<http://www.amazon.com/>
<http://www.patents.ibm.com/details?pn=US06029141__>

Amazon.com は以前“One-Click”注文システムと、ユーザーの検索結果に 関連している可能性のあるアイテムを紹介するという手法に特許を認めら れている。他のオンライン業者や Web サイトは、すでに広範に使用されて いるたいしたことのないインターネット技術に特許が与えられたことに失 望している。 [MHA]

<http://www.oreilly.com/ask_tim/amazon_patent.html>
<http://www.oreilly.com/ask_tim/bezos_0300.html>

アンケート予告:年輪を重ねて -- Matt Neuburg と私は、サンフランシ スコの Macworld Expo で CE Software 社の Sue Nail 氏と話をしていて、 Prairie Group 社の DiskTop が今なお販売され、開発は休止状態だがバグ フィックスは行われていることを知り驚いた。この DiskTop は CE Software 社によって生みだされた Finder の代わりとなるもので、1990 年前半を最後にアップデートされていない。来週は Matt が DiskTop と類 似のシェアウェア DiskTracker の記事をお届けする。

<http://www.prgrsoft.com/pages/disktop.html>
<http://www.disktracker.com/>

さて、今回我々が知りたいのは TidBITS の読者のみなさんがお気に入りの プログラムをどのくらいの期間使用し続けているかということだ。古いソ フトウェア言っても一概ではなく、以下のようにいくつかのカテゴリに分 類されるだろう。

<http://www.semicolon.com/SQ.html>

そこで、質問だ。常用している一番古いソフトウェア(アプリケーション、 コントロールパネル、ディスクアクセサリ、ゲームなどなどなんでも)は、 何歳だろか。日付は、“〜 について”のボックスか“情報を見る”のウイ ンドウにある著作権の日付を見るのが一番だろう(幅のある場合は最新の 方を採用する)。それがない場合は、“情報を見る”のウインドウに出て いる作成日または更新日を見る。ただし、それらが正確であるとは限らな いことを頭に入れておいていただきたい。ファイルタイプが APPL(など) のものを検索し、日付でソートし、そのなかから常用しているものを探す というのもひとつの手だ。自分の使用している一番古いソフトウェアが見 つかり次第、私たちのホームページに来て票を投じていただきたい。[ACE]

<http://www.tidbits.com/>


アンケート結果:旧道に足を伸ばして

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:亀岡 孝仁 <tkameoka@fujikura.co.jp>)

先週の、新しい Mac にどの旧型のハードウェア機能を追加したかについて のアンケートは、興味深い結果をもたらした。おおよそ 1,000 人の人が約 2,000 票の投票をしてくれた結果、大雑把に言えば、新しい Mac に旧型の 機能を追加した人は平均するとだいたい 2 つの機能を追加している。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbpoll=29>

SCSI はとびぬけて一番で、69% の人が SCSI を追加したと答えた。これは 通常は外付け記憶装置やスキャナをつなぐためであるが、TidBITS Talk で のコメントによればスキャナは最近値段が下がっているので新しいものを 買うのも十分に考慮に値するオプションであるという。

モデムや Palm クレードルのようなシリアル装置へのアクセスが、42% の 得票を得て 2 番目に人気のあった機能追加であった。人々は一般的にシリ アル機能を付加するのに USB-シリアルのアダプタを使用するが、 GeeThree.com 社の Stealth Serial Port もこれまでのところいい結果を 示している。フロッピーに対するアクセスが僅差で続き、回答者の 40% が フロッピーに対するアクセスが必要であったとしている。しかしながら、 個人的にはこの数字は高すぎるのではないかと思う、というのも、私が Power Mac G4 に移って以来フロッピーを使ったのは一度だけで、今後数カ 月の間にまた必要になることはほとんどないと思っているからである。

最近のすべての Mac についてくるホッケーパック型マウスと小型のキー ボードに関する苦言にもかかわらず、回答者のたった 24% が USB-対-ADB アダプタを追加したとしている。もちろん、旧型機能の中でも ADB は、青 と白の Power Mac G3 に使われているせいもあり、そう簡単には死なない 部類に入るであろう。加えて、キーボードとかマウスのような USB 機器は だいたい安価であり、旧型のキーボード用のアダプタを買うのとほぼ同じ 値段で新しいキーボードが買えてしまう。回答者の 20% は何らかの形で LocalTalk へのサポートを追加している。

TidBITS Talk ではしばらくは経験にもとづいた色々なソリューションにつ いて話が弾んだが、すぐに従来型周辺機器を使うためのアダプタの品質問 題へと発展していった。私は、旧型のハードディスク、プリンタ、あるい はキーボードのためのアダプタを買う前にこの問題に関する下記スレッド を読まれることを強くお勧めする。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkmsg=6132>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=959>

回答者のたった 10% が旧型機能は何も追加する必要がなかったと答えてい る、これは私が思った以上に少ないが、考えてみれば、このアンケート自 体が自ら参加する形なので、アダプタを追加した人や他のソリューション に行き着いた人達の方がより投票に参加しそうだということも考慮しなけ ればいけないのであろう。


シリアル対策

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 里華子 <rikako@pobox.com>)

iMac を皮切りにし、青と白の G3、PowerBook、Power Macintosh G4 と、 Apple 社はフロッピードライブ、そして SCSI、ADB、シリアルポートといっ たお馴染みのテクノロジを Macintosh のラインからドンドン切り落として いった。Apple の決断は正しいとおおむね考えているものの、旧タイプの 周辺機器を持っている人にとっては困った事態であるにちがいない。切り 落とされてしまったテクノロジのものを新 Mac で利用できるように様々な アダプターやコンバータが登場した。また、その逆の、旧タイプの Mac で も新しい周辺機器を利用できるようにしてくれる PCI ベースの USB や FireWire カードも登場した。

理論編 -- GeeThree.com 社から出ている一風変わったディバイスを見つ けた。同社は初代 PowerBook と PowerPC ベースの Mac の責任者の一人 だった元 Apple 社員が設立し代表を務めているでき立ての会社である。 Stealth Serial Port は、青と白の Power Mac G3 と(PCI Graphics、AGP Graphics の両方の)Power Mac G4、233 MHz 〜 333 MHz の iMac(ただ し、スロットローディングを採用した最新の iMac および iMac DV は 除 く )でシリアルポートが使えるようにしてくれる 50 ドルの製品だ。 Stealth Serial Port は上述の Mac の内蔵モデム用スロットに納まり(内 蔵モデムが入っている場合は外さなければならない)、内蔵モデムの電話 専用ジャックを RS-422 規格の 8 ピンのミニ DIN に交換する。同製品が 他の USB を シリアルにするアダプタよりも抜きんでいるのは、LocalTalk をサポートしているという点だ。これにより昔の LocalTalk ベースの LaserWriter や Apple の無償の(ちょっと難のある)LocalTalk Bridge などを使い続けることができるようになる。

<http://www.geethree.com/>
<http://www.geethree.com/localtalkbridge.html>

Stealth Serial Port は最高で 230.4 Kbps のデータ伝送速度で動作し、 Comm Toolbox やシリアルディバイス用の既存のドライバをサポートしてい るので、ドライバを新しくする必要はない。また、シリアルプリンタや MIDI ディバイスのよな外部で制御されるシリアル周辺機器も使用できる。 ただし、昔あった GeoPort モデムのような 9 ピンのミニ DIN コネクタを 使用するものは 9 番目のピンから電気をとる構造になっているので利用で きない。それ以外に使えないものとしては、Apple LaserWriter 310(これ は Mac OS 8.5 で突然サポートを打ち切られたもので、下記のページから フィックスは手に入る)や Apple 社製デジカメ QuickTake 150 がある。

<http://www.comcat.com/~daveamy/LW310.html>

GeeThree.com の Stealth Serial Port の一番の難点は、Apple の内蔵モ デムが装着されている場合にはそれを取り外さなければならず、この内蔵 モデムを利用している人にはあまり良いソリューションとはならない(もっ とも、大抵の人はサードパーティの外部モデム派のようである)。Stealth Serial Port はシリアルポートスイッチも利用できるので、理論的にはマ ルチポートのスイッチを繋ぎ、外部モデムと PalmPilot のクレードル、 MIDI ディバイスといった他のディバイス間で切り替えることができる。 iMac にインストールするのは少々手の込んだ作業になるので同社は Apple ディラーにやってもらうよう薦めている。一方 Power Mac へのインストー ルは、モデムやその他の内部コンポーネントにアクセスしやすい構造が幸 いして実に簡単だ。

実践編 -- 私は新 Power Mac G4 へ取り付けたのだが、それでも少々厄 介な作業だった。モデムの RJ-11 コネクタが付いている金属の箱を外し て、内蔵モデム用のスロットに Stealth Serial Port を入れ、ネジで留 め、ケーブルをビデオカードの下にはわせて、そのケースに 8 ピンのミニ DIN コネクタをネジ留めしなければならなかった。大変な作業ではないが、 注意は必要である。それに、電話ジャックのついている小さな金属の箱の 小さなネジを外すには眼鏡用のドライバーが要る。ソフトウェアの方は、 機能拡張フォルダに Stealth Serial Port Extension をドロップして再起 動するだけでよい。

Stealth Serial Port のおかげで、実に満足している。G4 をビルトイン オーダーする際に内蔵モデムを付けずに済んだので 100 ドル浮いたし、ま れにモデムで接続する必要があるときはその辺に転がっている外部モデム を使うことができるのだから。さらに、Palm V のクレードルを接続できる のでさらに倹約できた。Palm の販売している Macintosh Serial Adapter は 12 ドルするし、PalmConnect USB Kit は 48 ドルぐらいするのだ。ま だ数えるほどしか Stealth Serial Port を使用していないが、問題なく動 いてくれた。

<http://palmorder.modusmedia.com/P5/P5-peripherals.htm>

(GeeThree.com 社の名前の由来を知りたい方のために補足しておこう。 Apple を去り同社を“趣味”で始めた人、つまり同社を創立した人の名前 が Bruce Gee だった。Power Mac G3 が登場すると彼は語呂合わせをして 遊びたいという思いに駆られた。遊び心ついでに、社名に“.com”も付け て、人に“ドットコム”企業を始めたんだといえるようにまでした。とこ ろが、その後間もなく Bruce はネーミングのいたずらを受ける側になって しまった。stealthserial.com というドメイン名を電話で登録したところ、 取得したドメイン名が stealthcereal.com になっていていたのだから。な んと、そのドメイン名は今なおアクティブである。)

<http://www.stealthcereal.com/>

GeeThree Stealth Serial Port は目立ちはしないが、新しいほとんどの Mac で前からあるシリアルポートの必要なディバイスを使うようにしてく れる素晴らしいソリューションである。それに、それぞれの Mac の色に合 うものを買うという必要もないのだ。


フォンタスティックな旅:Font Reserve 2.5

by Matt Neuburg <matt@tidbits.com>
(翻訳:吉田 節 <benjamin.takashi@nifty.ne.jp>)
(  :尾高 修一 <shu@pobox.com>)

私が初めて Font Reserve が動いているのを見たのは、今から 3 年以上も 前のことだ。使い始めたのは 2 年前(その時はバージョン 1.0.1)で、そ れ以来、片時もそれなしでは過ごしていない。そして、その頃に感じた “今や これ こそが Mac のフォント管理のあるべき姿だ!”という気持 ちを今も感じている。Font Reserve はフォントを取り込み(オリジナルが そのまま、あるいはコピーが、もしくはエイリアスが保管される)、選択 的にシステムから利用できるようにする。Font Reserve を使えば、フォン トを個別もしくは自分で定義したセット毎にオン/オフできるし、サブセッ ト別にフォントを見ることもできる。また任意のフォントの見え方とレイ アウトを確認することができ、損傷やコンフリクトを見つけることもでき る。さらにソートやフィルタリングも可能なすばらしいデータベースイン ターフェイスによって、自分のフォントを自由に管理できる。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04180>

最新版の Font Reserve 2.5.2 は(今までのバージョンでもそうだったよ うに)簡単にインストールでき、使って楽しい。最初の頃に比べると多く の改良点がある。その一部はバージョン 2.0 の時に MailBIT で取り上げ たことがあり、他は触れていないかそれ以後のものだ。ここから先は、主 要な点にできるだけ触れてみる。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05172>

整理整頓 -- バージョンが新しくなるたびにフォントがアクティブにな るのが速くなっているが、スピードの一部を犠牲にして高い安全性を得る こともできる。その場合は、フォントの損傷を防ぐためにコピーがアクティ ブにされる(これはバージョン 1.0.1 での唯一のアクティブ化モードだっ た)。Font Reserve がフォントを保管する場所である vault は、昔は不 可視で管理が難しかった。だが今では普通のフォルダになっており、複数 の vault を簡単に切り替えることができる。フォントのコンフリクトは、 次のようにもっとシームレスかつ柔軟に扱われるようになった。すなわち、 コンフリクトする 2 つのフォントを使えるが、あなたが一方をアクティブ にすると Font Reserve は他方を非アクティブにする。フォントのサンプ ル(“type books”)を印刷できる。フォントはスーツケース別に一覧を 見たりアクティブにできる(個別、ファミリー別、ユーザー定義セットで も可能)。所有者とクラス(sans serif、script など)の他に、メーカー 別にフォントにラベルを付けることができる。スクリプトのサポートは改 善され、優れた例を使って説明されている。

40 個の Bitstream 社製フォントに加えて、このバージョンの Font Reserve にはスペシャルボーナスがある。それは Power On Software 社の Action WYSIWYG 機能拡張だ。聞くところによると、これは“これこれの フォントメニューユーティリティは Font Reserve と組み合わせると動か ない”という苦情に先んずるために提供されるようだが、理由はともかく、 付いてくるのは実に嬉しいことだ。この機能拡張はアプリケーションの Font メニューを次のように変える。フォント名はそのフォントで表示さ れ、ファミリー別に階層化され、スクロールしなくても全フォントが見え るように複数の列に表示される。また次のように自由に設定できる。フォ ント毎に WYSIWYG 表示をオン/オフしたり、サイズと色を変更できる。共 通に、またはアプリケーション毎に、表示順序を変えたり、あるフォント の名前を隠すことさえできる。(だが悲しいことに、例えばすべての dingbat フォントを“Dingbats”というメニュー項目にぶら下げるために 偽のファミリーを作ることはできない。これは TypeTamer が持つ私の好き な機能のひとつだが、私のマシンでは TypeTamer はもう動かない。)

<http://www.impossible.com/typetamer/>

Font Reserve には残念に思われる面が残っていることも認めよう。Font Reserve は問題(例えばあなたが損傷したフォントを追加する)に出会っ た時、それを警告しない。あなたはログファイルを見る必要がある。マニュ アルは、全体的にはよいのだが、何が問題なのかについてときどき誤った 説明がされている。例えば、TrueType とペアになっていないビットマップ は“事実上使用不可能”とされているが、私はいつも使っている。また Log ウィンドウはシステムフォントを検査した時に、それらは重複していると 誤って主張する。プレビューウィンドウは いまだに 自分の設定を記憶 しない。ウィンドウを閉じると大きさと位置は忘れ去られるし、さらにあ るフォントのキャラクタマップのプレビューサイズを 24 に設定しても、 次回に同じフォントのキャラクタマップを見るとサイズはデフォルトに戻っ ている。Font Reserve はいまだに FKEY を、たとえフォントスーツケース に化けさせてあっても管理できない。それをインポートするのを拒否する ので、それが Fonts フォルダ内に出てきたところで行き詰まってしまう。 一般的なテクニックだというのにだ。

また DiamondSoft 社と私は、Font Reserve のパワーが及ぶべき理想的な 範囲について意見が合わない。ひとつには、私は Font Reserve でファミ リーを定義できればと思っているのに対して、DiamondSoft はそれは Font Reserve の管轄外だと感じている。例えば Mishawaka Bold が Mishawaka の bold 版だと Font Reserve に指示して、2 つのフォントを一覧表示上 (フォントブラウザでも Action WYSIWYG の Font メニューでも)ひとつ にまとめることができれば素晴らしい。だがそれはできない。同様に、例 えば Helvetica TrueType フォントを Font Reserve に渡し、次に 9 ポイ ントの Helvetica ビットマップフォントを渡したとしよう。画面の見やす さのためには、ビットマップを 9 ポイント用に使い、他のサイズには TrueType を使うのがよいアイデアだ。Mac では普通そうするのだが、それ はビットマップと TrueType が同じスーツケースに入っている時だけだ (なぜなら、そうして初めて一体化されてファミリーになるから)。だが Font Reserve はそれらを同じスーツケースに入れてくれないし、ビット マップと TrueType を同時にアクティブにすることもない。それらをひと つのスーツケースにまとめて Font Reserve に渡すのは、あなたに任され ている。私にとって、それでは逆戻りだ。私は、Font Reserve はスーツ ケースを私のために管理すべきで、私に管理させるべきではないと思って いる。

また Font Reserve には、一度に複数のハードディスクからフォントを探 してどこにあるかを表示したり、実際にインポートせずにフォントがどん な風に見えるかを示すといった用意がない。そのためには、私は Font Gander を今も使っている。

<http://www.semplicesoft.com/gander.html>

このように、私は Font Reserve がもっと完璧なフォント管理ツールになっ て欲しいと思っている。理想を言えば、二度と Finder でフォントファイ ルを触る必要がなくなって欲しい。そう思う一方、私はこのように動くフォ ントロード用ユーティリティを他に知らない。

ライク・ア・バージョン -- これまで、Font Reserve 2.5 が本当に解決 しようとしている問題には触れてこなかった。正確には問題は 2 つあっ て、いずれも Mac のデビュー以来のものだ。

この最初の問題には最初期バージョンの Font Reserve が既に取り組んで いた。Font Reserve データベースにはエイリアスを入れることができるの で、フォントをサーバから利用するということが可能なのだ。そうはいっ てもそのためにはローカルネットワークが必要だし、そもそも複数のユー ザーが同じデータベースを共有することはできず、それぞれが個別のコピー を使わなければならないため、個別にメンテナンスを行わなければならな い。この問題を回避するため、DiamondSoft 社は Font Reserve Server を 開発中で、これによって複数ユーザーがインターネット経由で集中管理さ れた一つだけの Font Reserve データベースを共有することができるよう になる。

バージョン 2.0 で導入された自動アクティブ化機能は、システム機能拡張 を使って文書が開かれた際にどんなフォントが必要であるかを検知し、も し必要なフォントがアクティブになっていなければ一時的にアクティブに する。したがって文書を開いてから手動で問題を発見して解決するという 作業が必要なくなるうえ、(これを防止するために)全宇宙にあるすべて のフォントを事前にロードしておくということも必要なくなる。この機能 が使えないアプリケーションもあるが、DiamondSoft が個別フィックスで 対応できたケースもある。たとえば QuarkXPress は XTension で、Adobe Illustrator はプラグインで対処している。これと Font Reserve Server を組み合わせれば、グループでフォントを自動的に共有することが可能に なるのがお判りいただけるだろう。

だが第二の問題はこれでも満足に解決できるものではない。ある文書が使っ ているフォントの正しくないバージョンを持っていたら、問題があること にすら気付かず、期せずして文書が書き換わってしまうことがありえる。 問題は、文書がフォント情報を保存する際にフォント名だけに頼るからで、 フォント名だけでは厳密な区別はできないからだ。この問題を解決するた め、DiamondSoft 社は Font Sense という新技術を提唱している。これは フォントのメーカーとバージョンを含めたフォント識別情報を文書ととも に保存するというものだ。自動アクティブ化によってこの識別情報を検知 し、真に正しいフォントをロードするのだ。

Font Sense を利用するにはアプリケーションの書き直しが必要なため、今 のところ Font Sense は一つの提案にしかすぎない。例外なのは DiamondSoft がすでにフォント管理に介入しているアプリケーションだ。 QuarkXPress XTension と Adobe Illustrator プラグインは単に自動アク ティブ化を司っているだけではなく、保存の際に Font Sense 情報をも格 納しているのだ。

自分で作った文書を自分で読んだり印刷したりするようなフォントの使い 方しかしていない方には、Font Sense は無意味な提案に思えるかもしれな い。だが文書を Kinko 店に持っていって印刷しようとしたらフォントと バージョンをめぐる悪夢に遅からず気づくことになるだろう。出版業界で 働くようになったら Font Sense の意義を理解できるだろう。プログラミ ング雑誌の編集をしていた頃、誤ってバージョン違いの Garamond が入っ ているマシンで記事を編集・保存して一号まるまるを壊してしまうという 事態が頻々として起きた。Font Reserve Server と Font Sense 対応 Quark XTension のためなら人殺しをしてもいいぐらいだった。というわけで、私 自身はまだ試してみたわけではないが、テクノロジーとしてはすばらしい ものだと思う。

未来を一瞥 -- お気に入りの映画の台詞を引用すると、「未来は大事に しよう。誰もが未来で生きていくのだから。」ではフォントの未来はどう なのだろう? 自宅でも、ネットワーク上のグループでも未来は明るい。今 すぐ Font Reserve を使えばいいのだ。

だがバージョン 1.0.1 のレビューでも述べたように、フォントは Mac の 登場以来コンピューティングの魅力の一つであると同時に、コンピューティ ングの足を引っ張ってきたものでもある。しかも Apple はフォント管理の 向上のためにほとんど何もしてこなかったと言っていい。Font/DA Mover のかわりにフォントフォルダを導入。大層なことだ。一方コンピュータは デスクトップ・パブリッシングだけでなくパブリッシング全体の押しも押 されぬ主役となった。家庭でさえも、インターネットの到来がフォントの 問題を浮き彫りにするようになった。周到にデザインされた Web サイト も、クライアントのフォントをコントロールすることができないため、正 しく見ることができないという今やおなじみの制約のためだ。私個人も Web に載せたいギリシャ語、デヴァナガリ、音声記号の文書が山ほどあるにも かかわらずそれができないでいる。

現在革命的なシステムの作り直しをしようとしている Apple はここで指導 的役割を果たすことができる。もちろんフォントシステムは 2 バイト言語 やクロスプラットフォームなレイアウトの問題に対応すべく進化はしてい る。Mac OS 9 では FontSync 技術(Font Sense に似たもの)が導入され、 Apple がようやくフォントの識別がユーザーにとって死活問題であること を認識したことを示している。

<http://developer.apple.com/techpubs/macos8/TextIntlSvcs/FontSync/ fontsync.html>

だがこれでも文書が開かれたときに正しいフォントが存在し、かつアクティ ブにされるという保証にはならない。それにフォントの管理責任を個々の ユーザーのデスクトップから切り離し、公の格納場所へ移すという究極の 解決策へとはつながらない。一方の DiamondSoft 社は Font Reserve、Font Sense、Font Reserve Server で既に一歩先を進んでいる。同社と組むこと はフォントを 21 世紀へ進化させるために Apple にできることの一つだろう。

Font Reserve はダウンロード版が 90 ドル(CD と印刷マニュアル付きで 120 ドル)、旧バージョンからのアップグレードが 30 ドル(CD と印刷マ ニュアル付きで 40 ドル)となっている。Font Reserve には System 7.5 以降が必要で、標準インストールで 6 MB の RAM と10 MB のディスクス ペースが必要だ。若干機能を限定した無期限のデモ版をダウンロードする こともできる。

<http://www.diamondsoft.com/Demo/FRDemoGet.html>


非営利、非商用の出版物およびウェブサイトは、フルクレジットを明記すれば記事を転載またはウェブページにリンクすることが できます。それ以外の場合はお問い合わせ下さい。記事が正確であることの保証はありませ ん。書名、製品名および会社名は、それぞれ該当する権利者の登録商標または権利です。TidBITS ISSN 1090-7017

tb_badge_trans-jp2Valid HTML 4.01!Another HTML-lint gateway