TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#538/10-Jul-00

Macworld Expo の季節がやってきた。Macworld Expo とニューヨークシティ で、やりたくなることや見たくなることへのヒントを与えよう。また、今 週は、Adam が報道のハッキングに関して連載を開始する。そして、Matt Neuburg がアウトライナー Inspiration 6を検分し、我々から翻訳者募集 の呼びかけを行う。さらに、新たな Word 98 の重要なパッチ、FileMaker Pro Web Companion 5.0v5、ATM Light 4.6、PowerMail 3.0.4 のリリース について取り上げる。

目次:

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今回の TidBITS のスポンサーは:


MailBITS/10-Jul-00

(翻訳:三好 泰子 <yokomo@vm01.vaio.ne.jp>)
(  :冨田 将英 <atimot18@sa2.so-net.ne.jp>

Microsoft のパッチが Word と PowerPoint を救う -- Microsoft は、 この度、Macintosh 版 Office 98 用のパッチをリリースした。このパッチ は、Word 98 におけるやっかいなバグのフィックスと、PowerPoint 98 で 近々登場するファイルフォーマットのサポート機能が付け加えられている。 そして、Word 用のパッチでは、複雑なテーブルフォーマットを含むファイ ルを保存するときに Word がデータ破壊を起こすという問題がフィックス されている。PowerPoint 用のパッチは、PowerPoint の次期バージョン (Windows 版とMacintosh 版両方)で生成されるファイルを開くためのプ ログラムが使用可能となる。アップデートは、無料でダウンロードサイズ は、5.6 MB である。 [JLC]

<http://www.microsoft.com/macoffice/ProductInfo/98DL/word98_ppt98_update.htm>

Web Companion 5.0v5、入手可能に -- FileMaker 社は、FileMaker Pro 5.0 と FileMaker Pro 5 Unlimited の Web 公開用のコンポーネントであ る Web Companion 5.0v5 をリリースした。Web Companion 5.0v5 では、 Macintosh に限ってクラッシュを起こす 2 つのバグをフィックスし、置換 タグが新しいアクションタグの中で使用できるようになり(Web Companion が処理する Web ページに柔軟なクエリーを埋め込むのに役立つ)、そし て、CSS や XML のスタイルシートに対し、適切な MINE のタイプを返すよ うになっている。また、このアップデートでは、Instant Web Publishing によって意図せずポータルレコードが作成されてしまう、という問題が フィックスされていたり、関連フィールドを含んでいるレコードを編集し たり作成したりするための新しいシンタックスが導入されたりしている。 FileMaker の Instant Web Publishing、または、Custom Web Publishing を使っている方のみ、このアップデートが必要である。FileMaker のアプ リケーション自体には何の変更もないからだ。Web Companion 5.0v5 は、 現在、英語バージョンの FileMaker 5 のみ入手可能で、他の言語のバー ジョンもすぐにリリースされるはずである。このアップデートのダウンロー ドサイズは、650 K。 [GD]

<http://www.filemaker.com/support/updaters.html>

ATM Light 4.6 に OpenType を追加 -- Adobe 社は OpenType フォント の表示機能を追加した Adobe Type Manager Light 4.6 をリリースした。 OpenType は Adobe 社と Microsoft 社の共同開発によるフォント仕様で、 PostScript と TrueType フォント情報を一つのファイルに組み合わせたも のである。膨大な種類の言語や拡張された印刷用の文字をサポートする。 ATM Light 4.6 は 2.5 MB の無償ダウンロードファイルであり、利用する にはMac OS 8.1 以降で動作する PowerPC ベースのマシンが必要である。 [JLC]

<http://www.adobe.com/support/downloads/atmmac.htm>
<http://partners.adobe.com/asn/developer/typeforum/opentype.html>

PowerMail 3.0.4 リリース -- CTM Development 社は PowerMail 3.0.4 をリリースした。いくつかのバグを修正し、メッセージをタブで区切った フォーマットのテキストを書き出す機能を追加した。この電子メールクラ イアントの新バージョンでは、クラッシュを引き起こす一握りの問題や原 因不明のエラーを修正してあり、また以前のバージョンよりも起動が早く なっている。( TidBITS-530 の“新天地 PowerMail へ”を見られた い。) PowerMail 3.0.4 は 2.3 MB のダウンロードファイルであり、動作 には Mac OS 8.5 以降が必要、また 30 日間試用できるデモがある。 [JLC]

<http://www.ctmdev.com/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05930>

訂正:IE 5.5b1 は MacHack CD には収録されず -- やってしまった! TidBITS-537 の“MacHax Best Hack Contest 2000 受賞作品”の中で私が 述べたこととは反対に、Internet Explorer 5.5b1(Microsoft Internet Explorer チームからのハックエントリー)は販売されている MacHack CD-ROM には収録 されな かった。これは MacHack 参加者に配布された CD に収録されていたので、私が間違って 2 つの CD が同じものになるだ ろうと推測してしまったのだ。CD- ROM の販売については先週の発行時間 ギリギリになってわかったので、MacHack の人々が事実関係をチェックし てくれる下書き原稿には IE 5.5b1 のことは書かれていなかったのだ。混 乱とご不便をおかけしたことをお詫びすると共に、今後も優しくも厳しい 励ましをもとに頑張っていくことを約束する! [ACE]

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06011>

アンケート結果:こんがらがった Web 作り -- 先週のアンケートでは Web ページを作るのにどんなツールを使っているかを尋ねた。結果は面白 いものとなった。回答者たちはほとんどが何でも自分でやるタイプの人間 であり、たった 53 %が GoLive のようなグラフィカルエディタを使用して いたのに対し、79 %が BBEdit のようなテキストベースのエディタを使用 していた。かなりの少数派がその他のアプリケーションに組み込まれた HTML コンバータ(16 %)、もしくは Apple 社の iTools(7 %)のような Web ベースのツールを使用していた。20 % 以下の人々が HTML チェッカー かリンクチェックユーティリティーを使用していたが、71 %もの回答者が 複数のウェブブラウザーでテストをしていたのは喜ばしいことだ。 [ACE]

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbpoll=47>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1088+1089>

アンケートのお知らせ:行くときは一緒だ!みんなで行こう Expo -- そ ろそろまた Macworld Expo の時期がやってくる。我々はみなさんの時間割 とショーでの順路を考え始めた。さらに Macworld Expo の後には、いくつ か発表されているものを見てその記事を書くだろう。だが、あなたにとっ て Macworld Expo はそんなに重要だろうか?毎回参加しているだろうか? 近ければ行くだろうか?たまには行くだろうか?それとも(まさか!?) 全然行ってない!?今週のアンケートは、Macworld Expo にどのくらいの 頻度で参加するか、である。すぐに投票して欲しい。これで TidBITS の読 者はすぐに近場の Macintosh イベントを襲撃するのか、それともインター ネットの向こう側で根を生やしているのかがわかるだろう。 [ACE]

<http://www.tidbits.com/>


TidBITS 翻訳者求む!

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:亀岡 孝仁 <tkameoka@fujikura.co.jp>)

Apple 社の売上の半分以上が今や合衆国以外の国々から来ている。そして 我々 TidBITS においても種々の言語での翻訳を通じて Macintosh コミュ ニティに対して国際的なニーズに対して対応してきた。現在、翻訳ボラン ティアチームの努力のおかげで、オランダ語、ドイツ語、フランス語、日 本語、スペイン語、それにロシア語で毎週 TidBITS を読んでもらうことが できる。しかしながら、これらの翻訳チーム、特に毎週 1,500 以上の読者 を持つドイツ語チームと巣立ったばかりのロシア語チームが、あなたの助 けを求めている!TidBITS の記事はひとりでに翻訳されるわけではない。 より多くの人が翻訳に参加してくれれば、それだけ個々の人の負担は減り 作業もやりやすくなる。そこで、もし英語が読めて、ドイツ語、ロシア語、 フランス語、日本語、あるいはオランダ語のどれかが書けるのであれば、 以下の該当する Web ページを見てボランティアになって欲しい。

もし我々がなぜ自動翻訳ツールを使わないのか疑問をお持ちの方は、下記 のリンクのページを見て欲しい。これらは私が TidBITS-532 のドイツ語 版から取った EIMS 3.0 に関した記事の一部分を英語へ翻訳したものを載 せてある(一つは Systran 社のソフトウェアを使い、もう一つの方は Transparent Language 社のソフトウェアを使った)。翻訳されたものの部 分部分はある程度理解できるが、翻訳全体としては笑える(Systran は “Qualcomm”を“agony COMM”と訳した)程度から、ほとんど解釈できな い(Transparent Language は“同一のマシン上で EIMS とメーリングリ ストサーバを走らせるのに最適”というところを“できるだけ問題のない ように、Mailinglistenserver と EIMS を同じコンピュータ上去るために 走る”と訳した)程度まであった。思うに、我々のボランティア翻訳者達 を機械翻訳が取って代れる日は当分望めそうもないようである。

<http://www.tidbits.com/resources/538/translations.html>
<http://www.systransoft.com/>
<http://www.freetranslation.com/>

もしあなたがこれらの翻訳版の一つを毎週楽しみに読んでくれているのな ら、翻訳に参加したいと思うかどうかにかかわらず、その翻訳者達に声を かけてほしい。翻訳チームにとってこれまで寄せられた親切なレターは大 変ありがたいものであり、皆さんからの励ましは毎週の翻訳作業をさらに やりがいのあるものとしてくれるのである。


Macworld NYC 2000 のイベント

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 里華子 <rikako@pobox.com>)

夏だ(北半球では)。Mac 狂どもが屋外に出て AirPort ワイヤレスネット ワークを試したり、ニューヨークの Macworld Expo に出かける季節だ。7 月の Macworld Expo がニューヨークで開催されるようになり、最初の年こ そもたついたが、みんな馴れてきた。去年は 1998 年の質素なエキスポ以 来高まっていた不満のトーンが落ちたし、今年の開催期間中(7 月 19 〜 21 日)にはさらに沈静化するのではと思う。当面はニューヨークで Macworld Expo が開催されることになるだろうし(来年開催地が変更になっ てしまったら間抜けだな)、私はこの街の探検を楽しむことにしている。 散策、博物館巡り、人間観察をするのにもってこいの街なのだ。エキスポ の前日をそんなふうに過ごした後は、TidBITS の読者の皆さんにお会いし たいとも考えている。そこで、ニューヨークガイドと、会場で(TidBITS 編集者の Matt Neuburg や)私と出会うための情報を簡単にお伝えしよう。

<http://www.macworldexpo.com/>

ニューヨークと Vindigo -- 勧誘の電話はまずまちがいなく迷惑なもの なのだが、先週、まさに自分が勧誘の対象に当てはまる電話が Vindigo か らかかってきた。Vindigo は観光ガイドブックである。食事、買い物、娯 楽の情報を網羅したものだが、古い情報の入った分厚い黄ばんだ本とはち がい、Palm OS 機に入れて利用するものだ。Vindigo はニューヨーク、ボ ストン、シカゴ、サンフランシスコ、ワシントン DC の案内が都市ごとに 用意されている。Vindigo に、まず現在地または目的地を交差点単位で伝 え、食事、買い物、娯楽のいずれをしたいのか指定すると、レストランや お店など希望にマッチしたところが表示される。そして、ヒットしたもの についての、情報源(zagat.com や地元紙)のレビューや、行き方とだい たいの距離、住所電話番号などを教えてくれる。(もちろん)Vindigo が 無償である代償としての付随の広告も表示される。自分のレビューや評価 点を入れることもでき、ハンドヘルド機をシンクロした際に、Vindigo は その情報を統一サーバに送り、変更点をチェックしてくれるので、閉店や 移転などをしたところに行かずに済む。Vindigo は数カ月前に Windows 版 として出たが、最近 Macworld Expo という絶妙のタイミングで Macintosh コンジットがリリースされた。ニューヨークに着いたら是非とも現地で利 用してみるつもりだ。ニューヨークに詳しくない Palm ユーザーの方には 一見の価値があるだろう。

<http://www.vindigo.com/>
<http://www.zagat.com/>

Macworld Expo Pocket Show Guide -- Palm OS のガイドブックの話が出 たところで、Palmtop Publishing 社の Macworld Expo Pocket Show Guide のことを簡単紹介しておこう。64K Palm OS アプリケーションで、出展者、 ブース、ワークショップ、セッションのトピック情報の入った検索のでき るデータベースだ。前回この Show Guide を使ったところ、ある会社のブー スで打ち合わせがあるのだが、そのブースの場所がわからないときなど、 一度ならずも私を助けてくれた。情報を素早く見つけることにおいては紙 の案内よりは断然勝っている。以下の URL からダウンロードできるほか、 < reply-with-macworld@palmtoppublishing.com> にメールを送ると入手で きるようになっている。

<http://www.palmtoppublishing.com/macworld/>

TidBITS イベント -- 例によって、TidBITS の読者に参加していただき たい公開イベントがいくつかある。我々は読者と実際にお会いするのが大 好きだし、出版関係者の傍らで簡単な質問を出してくださったり、絶賛の 声をあげてくださるようなサクラはいつでも大歓迎だ。自分たちの本にサ インをするのも嬉しいことなので、お手元の本を持参してくださってもよ いし、会場で購入していただくこともできる。また、前もってちゃんと用 意しておきたいとお考えの方は以下のリンクをたどって Amazon から購入 していただきたい。

<http://www.tidbits.com/bookbits/staff.html#crossing>
<http://www.tidbits.com/bookbits/staff.html#eudora>

<http://www.tidbits.com/bookbits/staff.html#realbasic>

Macworld NY Netter's Dinner -- Al Tucker 氏は今回も Macworld Netter's Dinner in New York City を企画しており、7 月 19 日(水)午 後 6:00 に Javits Convention Center のメインの入り口を出たところで 全員が集合することになっている。いまどきはインターネット上にいるこ とは普通になっているが、サンフランシスコで初めて Netter's Dinner が 開催された当時、この夕食会はインターネットの住人どうしが集まる格好 の機会でもあった。Kagi を利用して事前に登録をしておかなければならな いので、詳細は Netter's Dinner Web ページで確認のこと。

<http://avalon.rockefeller.edu/nettersdinner/>

オンラインの Macworld NY '00 イベントリスト -- Ilene Hoffman 氏は Robert Hess Memorial Macworld Expo Events List 用のイベント集めに奮 闘している。ニューヨークでの Macworld Expo で何をしようかとお考えに 方は、公開イベントやパーティのリストをご覧いただきたい。また、 Macworld Expo で何かイベントを開催する側の方は、是非とも登録をして いただきたい。なにしろ、ここは無料の宣伝の場になるのだから。また、 パーティを企画している方には、エキスポなどでパーティを成功させるた めの Tips について書いてある TidBITS-415 の“Macworld オタクパー ティーの心得”を一読くださるようお薦めする。

<http://www.xensei.com/users/ileneh/partylist.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04694>

Macworld とニューヨークの街を堪能いただきたい。では現地でお目にかか ろう。


Inspiration 6 の(子供向け)インスピレーション

by Matt Neuburg <matt@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <shu@pobox.com>)

Inspiration Software 社は先日 Inspiration 6 をリリースした。以前私 が書いた Inspiration 4 と 5 のレビューを読まれた方は、Inspiration がビジュアルなアウトライナーであることをご存じだろう。アウトライン の各アイテムが図形で示され、線や矢印とラベルでつながれるのだ。

<http://www.inspiration.com/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=02542>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04586>

バージョン 6 の新機能については Inspiration の Web サイトを参照し ていただきたい。ほとんどが微妙なインターフェースの調整なので、どれ も単独ではたいしたことはない。だが、全体としてはなかなかたいしたこ とで、その結果 Inspiration がはるかに楽しく、簡単に使えるようにな る。たとえば、従来バージョンにあった醜い図形は姿を消し、かわりに シャープでカラフルかつ魅力的な図形になっている(が、ロゴは依然とし てあのおぞましい緑と紫を基調とした、頭を切り落とされた男のままだ)。 それに今度の Inspiration には教育の現場で利用されそうなコンセプトを 描くためのテンプレートも多数付属している。たとえば二つの文字の類似 点と相違点、おとぎ話の構成、理科実験の報告書、欠席した生徒のための 課題なのだ。

こうして、Inspiration は書き直しではなく、子供と子供を相手とする人 たちに焦点を合わせたものになっている。これはすばらしいアイデアに思 える。私なら喜んで Inspiration 6 を子供に与え、ブレーンストームした り、レポートの構成を練ったり、アイデアや情報を整理したり、単に言葉 や絵、矢印で遊んだりさせるだろう。

Inspiration の基礎となっているコンセプトが考え直されていないことに は落胆させられたのは事実だ。たとえば図形ビューでは、従来のアウトラ インではとうてい表現できないような複雑で面白いアイデアを表すことが 可能だ。たとえば A と B というアイデアが両方 C につながり、C から A にまた矢印が向くという具合だ。こうした事態に対応するため、 Inspiration 社の人たちはアウトラインの概念を考え直すということもで きたはずだ。そうすればテキストベースの階層構造の中で関係を表示する ための全く新しい方向性を示すこともできたはずだ。だがそうはならず、 上記のような図をアウトライン表示に切り替えると、結果はぐちゃぐちゃ になってしまう。同様に、アイデアの間をつなぐ線にもラベルが付けられ るので、Inspiration では特定のキーワードでつながれている以外のアイ デアはフィルターで除外するなどのいった強力なメカニズムを導入するこ ともできた。こうしていれば以前の MacEuclid のように、Inspiration は 新しい高度なハイパーテキストツールとして情報の格納、抽出、アイデア と関係の検討に役立つものになっていたかもしれない。でもそうはならな かった。あるいは、せめて HTML エクスポート機能を強化してくれること もできた。この点については私は Inspiration 5 のレビューで酷評した。 でもそうはならなかった。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=02832>

そうはいっても、Inspiration は子供にアイデアを図形にすることを奨励 するものとしては簡単で魅力あるツールで、これは見事なことだ。賞賛す べきことであるし、親や友人、教師といった人たちがこれを子供に使わせ たくなることを期待したい。

Inspiration 6 の価格は 70 ドルで(旧バージョンからのアップグレード は 40 ドル)、デモ版を無料でダウンロードすることができる。System 7 が必要で、30 MB のディスクスペースと 6 MB の RAM が必要だ。

<http://www.inspiration.com/betaform.html>


報道をハックする、パート 1:なぜわざわざ関るのか?

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:亀岡 孝仁 <tkameoka@fujikura.co.jp>)
(  :尾高 修一 <shu@pobox.com>)

過去 2 年間、私は MacHack 開発者カンファレンスに参加し、同時にスピー カーとしても登場した。私を駆立てる理由は何といっても、カンファレン スを醸成している知識を共有しようという雰囲気である。私自身はハック に対して一行のコードも提供できないが、少なくとも開発者達に報道とい うのはどう機能しているのか、報道に対してどうすればもっとうまく付合 うことができるのか説明できる。カンファレンスの精神に照らして、この セッションを「報道をハックする」と名づけることにする。このシリーズ は主として開発者を対象としたものではあるが、われわれ皆がそれぞれの 役割を演じている Macintosh 業界の内部を垣間見るのにも役立つことがで きると思う。

外部接触の効用 -- まずこの第一回では、そもそもなぜわざわざ自らの 製品の報道をしてもらおうなどとするのかという基本的な疑問について考 えてみたい。そんなことは痛いほど明らかと思うかもしれないが、大小に かかわらず、開発者達の中には「その目的は自分の製品および会社をさら によく外部に知ってもらうことである」という基本的な考え方をよく理解 していない人がどれだけ多いかを知 れば驚くであろう。では、外部にさら によく知ってもらうことの意義などわからないという向きは、以下の外部 接触の効果を考えその上でそれが魅力的かどうか判断して欲しい。

<http://www.diwan.com/ready/prsg.htm>
<http://www.corel.com/printoffice_mac/>

外部接触の種類 -- もちろん、報道がユーザー層にあなたのソフトウェ アを知らせる唯一の方法というわけではない。だが、色々な意味でこれが ベストの方法なのだ。今週は最後に他の選択肢を概観しておこう。

まず、Web サイトを持っていることは大切だ。また、Web サイトでは価格、 動作条件、リリースノーツ、サポート情報、パッチ、メーリングリストの アーカイブといった情報を豊富に揃えておかなければならない。Web サイ トに置ける情報には制限がないので、けちることはない。サイトを切り詰 めることによって得るものはないし、Web サイトに何を載せるかで迷った ら、ユーザーやジャーナリストの立場に立ってみればいい。Web サイトが 自動的にソフトウェアの知名度を上げてくれることはなくても、あなたが ほかのことをしている間にもちゃんと役に立ってくれる情報源となるのだ。

よくできた Web サイトというのは重要だが、ユーザーは一方的な意見しか 与えられていないことをわかっている。たとえば、競合製品との比較表を 掲載して優位を見せつけたくなるのはわかる。だが、すべての点であなた の製品の方が優秀であっても、誰も驚きはしない。こうした比較広告をす るのは間違いではないが、ユーザーがすべてを鵜呑みにしてくれると思っ たら間違いだ。それに、この表を見て「おお、このすてきな表のおかげで、 GungleWeb がダントツで市場最強の Web ブラウザだということがわかった ぞ」と思うジャーナリストがいたらお目にかかりたい。

次に、なんらかの広告をするのは大事だ。でも広告には色々な形態があり、 そのいずれもがあなたのプログラムとその機能や利点を訴えるものだ。出 版物に広告を掲載するのは 2 つの意味で非常に好ましい。内容を完全にコ ントロールすることができるし、出版物が生き延びる上で極めて大切なこ とだからだ(このおかげでレビューなどの記事が存在しえるのだ)。だが、 広告は Web 以前の時代ほど重要ではなくなってきた。当時は広告がユー ザーの主な情報源だったのだ。私は情報を求めてコンピュータ雑誌の広告 ページを隅から隅まで見回したものだ。今では、広告はどちらかというと ブランドと名前を認識してもらうためのものとなっている。ユーザーがあ なたのソフトウェアで解決できる問題に遭遇した時、ただちに思い出して もらうために。

一方、広告はお金がかかるし、自分で自分の製品について語る際には、前 述したように誰もが鵜呑みにしてくれると考えてはならない。みんなメディ アというものの内実に詳しくなってきているのだ。MacConnection、 MacZone、MacMall といった通販業者のカタログに掲載されているのは、掲 載料を支払った製品だけだということを知った時のことは忘れられない (これは協力広告と呼ばれ、TidBITS で 1996 年から 1997 年にかけて何 度か取り上げた)。それ以前は、何らかの形で製品の価値というものが反 映されていると漠然と思っていたのだ。したがって広告は大切ではあるが、 読者があなたのメッセージを信用してくれない場合には広告に頼るのは危 険だ。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=00833>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04097>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04102>

最後に、今週はここまでで終わりにするが、最も大切な種類の外部接触 (私のつつましくも極めて偏った意見によると、だが)である報道記事と いうものにたどり着く。評価版にまつわるわずかな出費と、ライターとの やりとりに少し時間を割くだけで、記事というものは事実上タダだ。予算 に制約がある場合には広告よりも魅力的なものになるだろう。さらに、ラ イターや編集者とのコネを作るきっかけにもなり、これはそれだけで十分 に意味のあることだ。たとえば競合製品のレビュー記事でちょっと言及さ れるだけでも、全く書いてもらえないよりは良い。もちろんきちんとカバー してもらうのが一番で、出版物によってスペースの量は異なるが、お金で 買えるどんな広告よりもはるかに詳しい情報を読者に与えてくれるほか、 自分で広告や Web サイトで述べることよりもはるかに重みがある。

記事のリスクは、ライターが書くことに全く干渉することができないため、 必ずしも好意的なレビューとなるとは限らないことにある。でもこれは本 当だろうか? 現実には、書いてもらえる確率を高め、悪く書かれることを 防ぎ、仮に悪く書かれても立ち直るための方法というものはあるのだ。

こうしたことについて次回以降述べていこうと思う。また、出版物の種類 や、タイプ別の応対の仕方、社内の人たちの役割分担(開発、マーケティ ング、PR)、ジャーナリストとはどんな生き物でどう接するべきか、それ にどんな記事が期待できてそれぞれにどんな価値があるかについても述べ ることにする。


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