TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#541/31-Jul-00

ショーで出会った最高のもの満載の記事で我々の Macworld Expo NY 報道 特集を締めくくるとしよう。最も興味深いハードウェア、最高にクールな ソフトウェア、そして最も下劣なイベントの数々を読んで欲しい。ニュー スでは、Napster 社を悩ます法律問題、Retrospect と Retrospect Express 4.3、Now Up-to-Date & Contact 3.9.2、そして役に立つ Palm と Handspring のアップデートのリリースをカバーする。最後に、もし Mac OS を知っているとお考えなら、今週の極悪非道なクイズに挑戦してくれ。

目次:

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MailBITS/31-Jul-00

(翻訳:松岡 文昭 <mtokfmak@mxa.mesh.ne.jp>)
(  :三好 泰子 <yokomo@vm01.vaio.ne.jp>)
(  :斎藤 美礼 <mirei@x.age.ne.jp>)

判事、Napster 社のボタンを押す -- 2000 年 7 月 26 日の水曜日の遅 くに、判事 Marylin Hall Patel 氏は、人気がありかつ論争の対象となっ ているオンラインミュージックサービスの Napster 社に対して、著作権が 認められた音楽を配布することを禁じる仮差し止め処分を言い渡した。し かし、2000 年 7 月 28 日の第 9 巡回区控訴裁判所では、二人の判事はそ のサービスが継続して営業できるよう暫定猶予を与えた。猶予は、少なく とも両当事者が仮差し止め処分に関する彼等の言い分を提出する 9 月の初 旬まで、有効である。Napster 社は海賊行為と著作権の侵害を助長し、そ の Web サイトによるレコード業界の販売損失は 300 百万ドルを越えてい ると、Recording Industry Association of America と A&M Records 社は 訴えている。Napster 社は、MP-3 エンコードされた歌がダウンロードでき るマシンへのリンクの交換所としての役割を果たすことで録音された音楽 は合法的にスワップできるもの、と主張している。にもかかわらず、Patel 判事は納得せず、「すべての著作権が認められた歌や楽曲に対し引き起こ したり、手助けしたり、促進したり、コピーしたり、はたまた、配布した りすること」を Napster 社に禁じた。Napster 社のサービスは、有名なレ コードアーティストからの訴訟や合衆国議会での証言等で、メディアの多 大な関心の対象となっていた。それでもなお、Gnutella 社や The Free Network Project 社等の同類他社がもっと不明瞭で、追跡が困難か不可能 であるのに対し、Napster 社はオンライン音楽のスワップ促進者として最 も目に付く内の一社であることから(そして簡単に訴えることができる)、 レコード業界からターゲットにされたものと、一般には見られている。 [GD]

<http://www.napster.com/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbup=06052>
<http://www.riaa.org/>
<http://www.amrecords.com/>
<http://gnutella.wego.com/>
<http://freenet.sourceforge.net/>

Now Up-To-Date Contact 3.9.2 入手可能に -- Power on Software 社 は、Now Up-to-Date Contact 3.9.2 への無償アップデートをリリースし た。このアップデートでは、Palm OS ハンドヘルド機との同期のとり方の 動作変更がなされ、また、同期に関連したバグが修正されている。さらに、 メインプログラムが稼働していないときでもコンタクト先のリストやカレ ンダーに素早くアクセスできる QuickContact と QuickDay のコントロー ルパネルにおけるバグも修正されている。QuickDay と QuickContact での バグ修正はマイナーなものだが(再度、QuickDay において、すべてのメ ニューバーのリマインダを消去するために、オプションキーをそのままに しておけることが、主な良い点である)、これまで 3.9 に取り込まれてき た変更点は、Palm との同期に関連したもののみであったため、これが、 Palm 機を使っていない Now Up-to-Date & Contact 3.8 のユーザーがアッ プグレードしようと思う唯一の理由なのである。このアップデータのダウ ンロードサイズは、1.3 MB。[ACE]

<http://www.poweronsoftware.com/site2/html/products/nutdc.html>
<http://www.poweronsoftware.com/site2/html/download/downloadnud.html>

Retrospect および Retrospect Express 4.3 リリース -- Dantz Development 社は、バックアップ用プログラム Retrospect および Retrospect Express のバージョン 4.3 をリリースした。多くの USB と FireWire 対応のストレージ・デバイスへのサポートが加わり、HFS Plus にフォーマットされたハードディスクかつ Mac OS 9 以降の環境で使用し た場合でのファイルのバックアップセットの 2 GB という限界が なくなっ た。さらに、Retrospect Express では、複数の差分バックアップファイル をセカンダリ・ハードディスク上の 1 つのファイルに格納することができ る。これは、以前は、もっと高額の Retrospect でのみ可能であったこと である。(外付けディスクの 1 つのバックアップに頼るのは、理想的な方 法ではないということを心に留めておいてほしい)Retrospect ユーザー は、無償、ダウンロードサイズ 14 MB でアップグレードできる (Retrospect Client アップデートも含まれる)。Retrospect Express ユーザーに対しては、ダウンロードバージョンが 10 ドル、最近の Mac 全 機種ブート可能な Mac OS 9.0.4 も入った CD-ROM が 20 ドルである。両 バージョンとも System 7 以降、16 MB 以上の RAM 搭載の Mac が必要。 [ACE]

<http://www.dantz.com/index.php3?SCREEN=rdb>
<http://www.dantz.com/index.php3?SCREEN=express>
<http://www.dantz.com/index.php3?SCREEN=upgrades_updates#MP>

さらに Palm と Handspring、DRAM アップグレード -- Palm Vx、IIIc、 IIIxe、そして、Handspring Visor Deluxe ハンドヘルド機の中に、不良 DRAM チップによって問題が起こる機種があり、Palm 社、および、 Handspring 社は、この問題を修正した Palm OS へのアップデートをリリー スした(TidBITS-537“不良 Palm DRAM のテストと修正ソフト”参照のこ と)。Palm 社がリリースしたこのパッチは、現在 Palm IIIxe 機でも稼働 しているが、これ以前には、Vx と IIIc モデル用の修正ソフトのみが入手 可能であった。テスト用のアプリケーションと(自分のマシンが不良品で ある場合は)パッチをダウンロードするためには、マシンの背面にあるシ リアル番号が必要となる。IBM の WorkPad c3 をお持ちの方も同様に問題 を解決できる。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06002>
<http://www.palm.com/support/dram/>
<http://palmsupport.conxion.com/ibm/>

Handspring 社のアップデータ V1.0.0 は、DRAM の問題を解決するだけで なく、計算機の起動時と、Springboard 社製のモデムがインストールされ ている場合のシリアルクレードル使用時のバグも修正されている。 Handspring 社は、Visor と Visor Deluxe をお持ちの方すべてが、この アップグレードを使うことを推奨している。 [JLC]

<http://www.handspring.com/support/ts_handspring_update_download.asp>

アンケート結果:新型 Mac 襲来! -- 先週のアンケートでは、Apple 社 が発表したばかりの Mac を今日一台買いに行くならどれを買いたいかを尋 ねたが、結果に反映されているのは我々の予想したとおりのようだ。 TidBITS の読者はハイエンドユーザーの集まりだ、ということだ。iMac の 4 つのモデルは約 1000 票の投票のうちあわせてたった 15 % なのに対し、 2 つの G4 Cube モデルは 26 % を獲得し、Power Mac G4 の 3 モデルは得 票率 49 % で先頭を切った。G4 Cube の素晴らしい投票結果は、このスタ イリッシュな Mac のターゲット層に関する TidBITS Talk 上の議論に見合 うものだし、Power Mac G4 モデルの中で、400 MHz のシングルプロセッサ 機がたったの 7 % だったのに対し、450 MHz と 500 MHz のマルチプロセッ サモデルがそれぞれ 21 % の得票率だったのを見ても驚くことではなかっ た。もう 1 つプロセッサが増えて、Mac OS X の完全対称型マルチプロセッ シングの能力を特に促進するだろうから、200 ドルぐらいなんだっていう のだ。 [ACE]

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbpoll=50>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1108+1104>

アンケートのお知らせ: Finder でのクリック回数 -- アンケートは簡単 - 自分の意見を登録するだけで終わり。今週のクイズでは誰もそう簡単に はいかないだろう。少し考えなければならないからだ。クイズは:

デスクトップでウィンドウが一個も開かれていない状態から、マウスアク ションのみで、起動項目フォルダの内容を表示しデスクトップにそのエイ リアスを作成するには、最低何回クリックが必要だろうか?(これには 1998 年後半以降にリリースされた Mac OS のバージョンが必要だ。)

いつものように、クイズに答えた方達には、結果表示ページにて正解にた どり着く方法のみを説明する。多くの人達がその過程で何かを学ぶはずだ。 我々のホームページでベストな回答をしてみて欲しい! [ACE]

<http://www.tidbits.com/>


Macworld Expo 2000 NY 最高のハードウェア

by TidBITS Staff <staff@tidbits.com>
(翻訳:尾高 里華子 <rikako@pobox.com>)

1992 年ボストンで開催された Macworld Expo 以来、ほぼ Expo のたびに、 製品、会社、ブース、イベント、その他すべてに関して、非常に目立って いたり特筆に値すると思う事物をお伝えしている。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1148>

昨年の Macworld New York 同様、今年も Apple 社は Steve Jobs 氏が基 調講演で発表したハードウェア新製品でショーの話題をさらってしまった。 Apple の新製品以外でお伝えしようと思うような製品を見つけることがで きたのは嬉しいことだ。

壁の守護神 -- ホワイトボードを利用してブレーンストーミングをして いる方は、Virtual Ink 社から出ている 500 ドルのホワイトボード取り込 みデバイス、Mimio を検討してはどうだろう。Smart Technologies 社製 Smart Board(97 年 1 月の Expo でお伝えしたもの)とは異なり、Mimio は長さ 1 メートルの棒で、普通のホワイトボードの隅に吸盤で取り付け、 Mac や PC の USB ポートに繋がるようになっている。特製のホルダーに普 通のマーカーを入れて使用し、ホワイトボード上でのマーカーやホワイト ボードふきの動きは、超音波と赤外線の両方を利用して Mimio のソフト ウェア内のバーチャルホワイトボードに伝えられる。ソフトウェア側には、 ホワイトボードで書いたり消したりした動きを後で再生する機能や、ペン の色ごとに通常の赤、緑、青、黒(この 4 色のホルダーが標準装備されて いるが、他の色も追加購入できる)とは違う色を割り当てる機能も搭載さ れている。ホワイトボード上に書かれたことをインターネットを使って生 で伝える機能は、まだ Macintosh 版には備わっていない。 [ACE]

<http://www.mimio.com/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=00771>

出色の新スピーカー -- ゲームや MP3 に凝っている人でなければ、コン ピュータに付けるスピーカーにはあまり構わないか、さもなくば内蔵スピー カーよりはましな“マルチメディア”スピーカーをたまたま持っているか で、耳を満足させていないというのが普通だろう。この状況を変えようと しているのが Harman Kardon だ。まず、1 月サンフランシスコでの Macworld Expo でガラスのように透明な iSub サブウーファーが登場し、 つづいて、iSub と同じように透明な SoundSticks スピーカーがバンドル され 200 ドルで販売されるようになった。さらに、Apple は同社のおしゃ れな新製品 Mac G4 Cube 用にも Harman Kardon を指名し、球形スピーカ が同梱されることになった。 [ACE]

<http://www.harman-multimedia.com/>

USB サーバの極上のゴール -- 我々はクラッシュした Mac サーバを自動 的にリスタートさせることのできる小型デバイスを推奨している。 Sophisticated Circuit 社製の PowerKey Pro や Rebound、Neuron Data Systems 社製 MacCoach、Kernel Productions 社製 Lazarus などが該当製 品である( TidBITS-439 から開始されたシリーズ“用心棒対決”を参照 のこと)。だが、これらはすべて、ADB を使って Mac と繋がるようになっ ており、USB しかついていない最新モデルの Mac では利用できない。さら に、USB はクラッシュすると使えなくなるので、Command + Control + パ ワーキーを押してマシンをリスタートさせることもできないというおまけ がつく。ところがこの度、Sophisticated Circuits 社から USB 経由で定 期的に Mac に信号を送り、反応が帰ってこなくなったら Mac の電源再投 入してくれる Kickoff がリリースされた。Kickoff は、アメフト型で半透 明のグラファイト色をしており、価格は ADB 用の Rebound よりは高いが PowerKey Pro とほぼ同じ 179 ドルである。これは、別途電源を取らなけ ればならないようになっているためである。 [ACE]

<http://www.sophisticated.com/>
<http://www.neuronsys.com/>
<http://www.kernel.com/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1047>

3D 眼鏡に代わる最高傑作 -- 最もクールなスキャナのアドオン賞を獲得 したのは 300 ドルの Lightshow を擁する 3D Scan 社だ。Lightshow は、 立体的なものをスキャンするためのフードで、ほぼすべてのスキャナに取 り付けることができる。このフードの内側全体が鏡のようになっており、 大抵のスキャナの色スペクトルにも対応する特殊な光源が付いている(3D Scan 社は対応していないスキャナのリストを用意している)。スキャンし た結果は二次元であるが、Canoma というプログラムを利用すると、3D の モデリングを行うことができる。物体を回転させたり、スキャン結果をい くつか組み合わせて QuickTime VR ムービーにすることもできる。 Lightshow はほとんどのスキャナで利用できるようになっているものの、 実際には、スキャナがどのくらいの高さまでフォーカスできるかに左右さ れる。デジカメでも似たような画像を得ることができるが、Lightshow に よるスキャンは高品質であるうえに、物体だけをスキャンするので背景が 写りこまず美しい。 [ACE]

<http://www.3dscanner.com/>

速さへのニーズ -- Apple は Macworld においてギガビット Ethernet を内蔵したミニタワー型マシン Power Mac G4 を発表した。一方、TidBITS のスポンサーである Farallon Communications 社は新“銅線を利用したギ ガビット”製品のシリーズで迎え撃つ。8 月に Fast Starlet Gig Switch/4T と NetLINE Gigabit PCI カードが出荷される。前者は 100Base-T または(ギガビットの) 1000Base-T 接続を処理するポートが 4 つ付いたイーサネットスイッチ、後者は既存のデスクトップマシンでギ ガビット Ethernet 環境を実現するためのアドオンカードである。現在 100Base-T ネットワーク環境になっている場合は、サーバをギガビットの 接続におくだけで、一本の 100 Mbps パイプを共有する必要がなくなり、 クライアント側の接続が飛躍的に向上する。もちろん、イーサネットスイッ チ同士を繋ぐこともできるし、すぐにポート数の多いイーサネットスイッ チが出てくるだろう。年内(または在庫が続くまで)は、Farallon 社は販 売するすべてのギガビット製品に(旧知の間柄である Netopia 社の) Timbuktu Pro ライセンスを 2 つ以上同梱する。 [MHA]

<http://www.farallon.com/tb/gigabit/>


Macworld Expo 2000 NY 最高のソフトウェア

by TidBITS Staff <staff@tidbits.com>
(翻訳:尾高 里華子 <rikako@pobox.com>)
(  :亀岡 孝仁 <tkameoka@fujikura.co.jp>)

今回のショーではクールなハードウェアを数々見たが、ソフトウェアのほ うも負けじと頑張っていた。

エクセル的現実の認識 -- Microsoft Excel が数字の魔術師的機能を数 知れず搭載した強力な表計算ツールであることは周知の事実である。とこ ろが、平均値を出すとか、マス目を利用した一覧表作りといった、複雑と は言えない作業にしか利用されない場合が多い。Microsoft 社が Excel の 使われ方を調査したところ、ユーザーの 60 % がデータを入れる単純な表 を処理するのにしか利用していないことが判明した。そのような処理はデー ターベースの方が向いているのだが、縦横に広がる Excel のマス目は一覧 表を連想させてしまうのだ。そこで、同社は一覧表管理をさらに簡単にす るための機能を Excel 2001(その他 Microsoft Office 2001 スイートと ともに 10 月に出る予定)に搭載して、それを目立つようにした(以下の URL でインターフェースのプレビューを見ることができる)。Microsoft 社がエキスポで発表した Microsoft Office 2001 のその他多数の新機能や インターフェースと同じく、Excel の List Manager は Macintosh 版 Office の方で先に搭載される。Office の Windows 版が真似をするにして も、Macintosh のデザインに対する鋭敏さがお手本になるのを見るのは嬉 しい。 [ACE]

<http://www.microsoft.com/mac/products/office/2001/preview/article_more.asp>

一番気になった予告 -- Power On Software 社は近々出る予定の Rewind をお披露目していた。これは、マシンを使用している最中にバックグラウ ンドでハードディスクの変更点をすべて追ってくれ、ハードディスク(ま たはファイル単位でも可)の過去のある時点での状態へと“rewind(巻き 戻し)”させてくれるものだ。どんな問題が起きていようとも構わず変更 点をすべて元に戻してくれる。ファイルを消去や上書きしていたり、ウイ ルスに感染したり、システムが壊れてしまっていても、問題なしだ。Mac が起動できなくなるような変更があっても後戻りできる。同社は Rewind を 2000 年の第 4 四半期中に出荷するとの意向である。ショーで見たデモ のできはすばらしかったが、このようなローレベルの部分で動作するユー ティリティはテストを確実にしっかりと行っておく必要がある。 [ACE]

<http://www.poweronsw.com/rewind/rewind.html>

最良の一対一の対決 -- コンピュータの音声認識の時代は我々の頭上ま で来ている、そして私にとっての Expo のスリルは話すそばからコンピュー タがタイプしていく口述ソフトウェア分野での IBM 社と MacSpeech 社と の間での戦いであった。前回の Expo で IBM 社は ViaVoice をリリース し、今回同社は150 ドルの ViaVoice for Macintosh、Enhanced Edition, をリリースした。これは USB マイクロフォンで動作し、多くのインター フェースの不満足な点を改善し、しかも同梱された SpeakPad に加えてさ らにいくつかのアプリケーション上でも直接動作するようになった。最も 重要な点は、間違いの訂正をすると、ViaVoice は音響モデルも調節する (従前は、言語モデルしか調節しなかった)。一方で、なかなか姿を見せ なかった iListen もリリースまでにはまだ数カ月かかると思われるが、 MacSpeech 社は無償のプレビュー版の CD をショーで配っていた(同じも のを 10 ドルの取扱い運送費で注文できる);これにはまだコマンド・ア ンド・コントロールあるいは訂正機能はついていないが、いったんプログ ラムのトレーニングが終了すれば いかなる アプリケーションに対して も口述する事ができる。今後の展開にも注目して欲しい。 [MAN]

<http://www-4.ibm.com/software/speech/mac/newmac/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05703>
<http://www.macspeech.com/>

最も歓迎すべき変身アップグレード -- Speed Doubler のファンなら見 逃せない - Connectix 社は CopyAgent をリリースした。これは 40 ドル の Mac OS 9 対応プログラムで Speed Doubler の先進コピーとキーボード 加速機能を取り込み、一方では元のプログラムにはあった 68K エミュレー タとディスクキャッシングの部分を取り除いた。Speed Doubler を超えた 改善点には変更されたファイルのみをコピーする Smart Replace とキー ボードショートカットホットキーに対応してテキストストリングをタイプ する限られたマクロ機能が含まれている。 [ACE]

<http://www.connectix.com/products/cca.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=01351>

最も楽しい技術の組合せ -- 信じるか否かは別として、コンピュータの 使われ方は未だ限界を知らない。コンピュータは日々より速くなり、また より賢くもなれるが、個人的には興味を引く格好で広範囲な技術が一緒に なるのを見るのが大好きである。Musitek 社からの 400 ドルの SmartScore は、OCR とグラフィックスと MIDI を合体させたものである。要は、スキャ ナに印刷譜面をのせてやれば SmartScore はスクリーン上にきれいに再現 する前に楽譜をデコードする。そこから先は、音符の調整もできるし (SmartScore は音楽編集ソフトウェアでもある)、プリントアウトするこ とも、さらにはコンピュータに演奏させることすらできる。言い替えれば、 SmartScore は MIDI と印刷楽譜形式の間の翻訳をするのである、つまり文 字通り楽譜を読むのである!自分自身とデュエットするために譜面から音 楽を演奏し(手で) MIDI シーケンサプログラムに入れることをしょっちゅ うやる人間にとっては、これは本当に使えるものである。 [MAN]

<http://www.musitek.com/smartscre.html>

大惨事が待っている? Micromat 社は、その人気のある 100 ドルの TechTool Pro (アップグレードは 50 ドル) のバージョン 3 にウィルス保 護を追加できたことをものすごく喜んでいる。しかしながら、このウィル ス保護がドキュメントマクロウィルス(Microsoft Word や Excel の書類 から書類へ渡り歩くことが多い凶悪なウィルス)という重要な分野を無視 していることを知って、我々は危惧を持たざるを得ない。もちろんこれら は Mac 上よりは Windows マシン上での方が脅威は大きいとは言うものの、 マクロウィルスは Mac OS 自身に感染するリソースウィルスよりもはるか に多く見られる。我々としては、マクロウィルスをスキャンする事なしに ウィルス保護をしているとうたうこと自体ユーザーに対する害をなしてい ると感じざるを得ない。これこそがまさに Disinfectant の開発者の John Norstad 氏をもって、ユーザーに対してセキュリティの誤った感覚を持た せるよりは自分のソフトウェアを引退させる道を選ばせた鍵なのである。 Micromat 社は TechTool Pro の将来のバージョンではマクロウィルスを扱 うと言っているが、いつになるかは言えないとしている。 [MHA]

<http://www.micromat.com/techTool_Pro3/index_techTool_Pro.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04876>

見えざる Web 製品 -- Strider Software 社はその歴史ある TypeStyler ソフトウェアのバージョン 3.5 を派手に展示していた。この 120 ドル (ダウンロード) から 150 ドル (箱入り) までの TypeStyler 3 は、ビデ オ制作、印刷メディア、それに Web デザイナーのための良くこなれた一連 の機能を提供してくれる。たとえば、自動でロールオーバー効果やアニメ 化されたテキストを作り出し、それらすべてを Web 上で表示するために必 要な HTML マークアップをつけることなどがある。Strider 社は同時に多 くの新効果、グロー、ベベル、エンボス、等々を加えている。 [MHA]

<http://www.typestyler.com/>


Macworld Expo 2000 NY その他最高のもの

by TidBITS Staff <staff@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <shu@pobox.com>)

ハードウェア・ソフトウェアの優れものに加え、面白いブースや、会場で 知った Web リソース、特筆に値するイベント、秀逸な資料など、通常のカ テゴリーにはどうしても分類できない優れものがあった。

最優秀フォント情報源賞 -- 私はほとんどすべてのことをオンラインで 行うので、フォントを自分で使うというよりも見て楽しむ方だ。それでも 明らかにフォント大好きな人たちが手がけたフォント専門サイト、 MyFonts.com には感銘を受けた。MyFonts.com の 10,000 を超えるフォン トデータベースを TypeXplorer で太さ、幅、高さといったフォントの属性 を変えながらブラウズすることができる。フォントを見つけたら、 MyFonts.com はプレビューを表示してくれ、“お試し”リンクをクリック すれば、入力したテキストを指定したサイズの選択したフォントで見せて くれる。これはまだ使ったことがないが、Identafont Tool もなかなかの ものらしい。これはフォントの名前がわからない場合に、サンプルをスキャ ンしてアップロードすれば、Identafont が MyFonts.com データベースに あるフォントで最も近いものを教えてくれるというものだ。フォントスタ イル、フォント名、デザイナー、メーカー別にブラウズすることが可能で、 気に入ったフォントがあれば同じデザイナー、メーカー、あるいは単に見 た目が似たフォントも教えてくれる。MyFonts.com ではフォントの多くを 販売しているので、コレクションに加えることができる。 [ACE]

<http://www.myfonts.com/>

最優秀資料賞 -- ニューヨーク市 West 23rd Street にある Mac 修理専 門店、Tekserve は Mac に関するよくある疑問(とめったにない疑問)に 答えた 25 ページの小冊子を配っていた。これは上手に書かれているうえ、 構成もよく、明快で、驚くほど綿密かつ網羅的なものとなっている。最近 TidBITS Talk に登場した話題、たとえば Mac の起動時に押しておくキー のこと(これは TidBITS クイズでも取り上げた)や各種 SCSI の違いと いったものもカバーされていた。Tekserve は持ち込み専門なので、Mac を 送って修理してもらうことはできない(予約は不要)。このためやっぱり ニューヨークに住んでいれば良かった、と一瞬後悔したぐらいだが、ニュー ヨーク在住の読者の方は要チェックだ。 [MAN]

<http://www.tekserve.com/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbpoll=38>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05922>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=879+1012>

泣きっ面に蜂 -- Steve Jobs 氏の基調講演が始まる少し前、私は騙され ていたことに気が付いた。演壇と派手なライト、それに巨大スクリーンの ある会場の入口で、IDG World Expo の係員にここが基調講演の会場かと尋 ねたところ、「そうです」と言われたのだった。ところがここはビデオ中 継を見る会場だった。私は早い時間に到着したので、係員にウソをつかれ さえしなければ生の講演を見ることができたはずだった。これには腹が立っ たが、ライブで見るほど楽しくはないにしてもまあいいだろうと諦めた。 講演が始まってからは、メイン会場からの音声がたびたび途切れるのでやっ ぱり後悔したが、Jobs 氏が基調講演参加者全員に Apple Pro Mouse が無 料で配られると言うのを聞いて驚いた。基調講演参加者にタダで Apple Pro Mouse を配るのは、非難轟々だったホッケーパック状マウスの埋合せをす るには確かにいい方法だった。ところが、Jobs が“全員”といったのは必 ずしも正確ではなかった。メイン会場にいた 4,000 人はともかく、私がい た会場にいた 3,000 人には座席の下にマウス引換券がなく、ひどいことに 「基調講演に参加していなければダメです」と断られるはめになった(ちゃ んと“参加”していたにもかかわらず)。もう少しきちんと計画を立てて いれば、Apple はこうした人たちを無益に激怒させることもなかったのだ。 せめて Jobs 氏が「この会場にいる全員がマウスをもらえる」と言ってい れば、少なくとも誤解は免れたのに、つまらないミスで偉大な PR 作戦に 泥が塗られてしまったのだ。 [MHA]

<http://www.apple.com/mouse/>

最優秀お子様向け粗品賞 -- 極小の Compact Flash と Smart Media メ モリカードのメーカー、SanDisk 社がせっせと配っていた Laser Ball が ぶっちぎりでこの賞を獲得した。もともと展示会の景品というのは子供の おもちゃには最適だが、Laser Ball は光る LED と弾む時に発するアラー ムのようなサウンドで大人気だった。私と SanDisk のメモリカードとの出 会いは MacHack だった。プロジェクタの不具合により、プレゼンテーショ ンを友人のマシンに移さなければならなかったのだ。その際、Nikon 990 デジタルカメラの 64 MB Compact Flash カードと PC Card アダプタをリ ムーバブル RAM ディスクとして使用した。Compact Flash カードは 8 MB から 192 MB、Smart Media カードは 8 MB から 32 MB となっている。 [ACE]

<http://www.sandisk.com/>

とにかくビッグ -- William Shatner 氏こそいないかもしれないが、 dealmac は Mac 関連のお買い得品を求めてネットをさまようライター陣と ユーザー群を擁している。同社の“mydealmac”サービスは、探しているも ののお買い得品が見つかった時にメールで通知してくれるというものだ。 長年の TidBITS スポンサー、Small Dog Electronics がベンダーとして 堂々と登場していることから、こいつらはただ者ではないとにらんでいた のだが。[MHA]

<http://dealmac.com/>
<http://www.smalldog.com/>

最も強固な城郭 -- フランスの会社、Intego 社が空気で膨らませた巨大 な城でこの賞をさらった。Javits Convention Center の天井まで届くこの 城はまるでゴジラ用のチェスの駒のようだった。この塔の周囲は、パーソ ナル用ファイアウォール、NetBarrier と VirusBarrier というアンチウィ ルスソフトで固められていた。VirusBarrier はバックグラウンドでのス キャン、自動修復、新ウィルス対応のための自動インターネット経由アッ プデート、それにエレガントなインターフェースを備えている。残念なが ら、会場でも Intego のWeb サイトでも VirusBarrier がマクロウィルス に対応しているかどうかは確認することができなかった(ウィルスライブ ラリに挙げられているのはリソースウィルスだけだった)し、Intego 社の 係員は VirusBarrier のウィルスライブラリが何をもとにしているかといっ たことや、修復方法についても説明することができなかった。 [ACE]

<http://www.intego.com/>

最優秀セールスマン賞 -- Nisus Email のことを初めて聞いたとき、 Nisus Software 社の連中は気でも違っているのではないかと思った。これ は早い話がインターフェースのないメールソフトで、メールを読み書きす る場を提供してくれるというものなのだ(メールの保管はしない)。言い 換えると、普通のワープロソフトでヘッダ付きのテキストファイルを作り、 特定のフォルダに保存すると、Nisus Email がそのファイルを認識し、解 析したうえで送信する。最初は眉唾に思っていた私も、同社の Mark Hurvitz 氏のプレゼンテーションに完全に魅了され、これはメールの歴史 を書き換える大革命だと本気で思うようになった。だが、あとになって 「でも ... なんで?」という思いにとらわれ、私はふたたび疑問を懐くよ うになったのだった。私の意見はともかく、無料のデモを試してみていた だこう。 [MAN]

<http://www.nisus-soft.com/products/NisusEmail/>

最も危険なバグ -- PR 効果を狙い、ゲームデベロッパーの Ambrosia Software 社に在籍していた Jason Whong 氏は、1999 年の下半期から 2000 年上半期までの間にリリースした製品にバグがあったら本物のバグ(虫) を食べることを約束した。案の定バグが発見され、すでに Jason は Green Dragon Creations 社に移っていたのだが、3dfx Interactive 社(ゲーム 用ハイエンドビデオカードのメーカー)のブースに現れ、ゴキブリ、大ク モ、ムカデといった珍味(以下の Ambrosia のリンクに完全なリストとレ シピがある)をデバッグすることになったのだ。バグを潰すには相当な覚 悟がいるだろうが、Jason はこちらのバグもしっかりたいらげた。おえ。 どうしても気になるという方には、Utterer.com のフォトギャラリーにあ る Jason とバグたちの写真をご覧いただこう。(鋭い読者の方は私の写 真があることもお気づきになるだろうが、これについてはいずれ説明する 時が来ると思う。) [ACE]

<http://www.AmbrosiaSW.com/webboard/Forum14/HTML/000026.html>
<http://www.utterer.com/content/macworld/mwny00/photos.shtml>


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