TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#546/04-Sep-00

Eudora に自動修正機能を加えたくないだろうか? 説明を読みリンクに したがって自動修正に必要な辞書を手に入れよう。また、お手持ちの Mac を修理する別の選択肢について学ぶ時が来ている。Apple がサービ スに関する方針を密かに歓迎されないであろう方へ変えていることも、 知っておかなければならない。ニュースでは、Mac OS X のベータ版の 2000 年 9 月 13 日発表の予定、Palm 向けの初めてのトロイの木馬、 VSE 社の Link Tester 3.0、SoundJam 2.5.1、そして Eudora 4.3.3 の アップデートを取り上げる。

目次:

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今回の TidBITS のスポンサーは:


MailBITS/04-Sep-00

(翻訳:斎藤 美礼 <mirei@x.age.ne.jp>)
(  :三好 泰子 <yokomo@vm01.vaio.ne.jp>)
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Mac OS X パブリックベータを 2000 年 9 月 13 日に向けて用意 -- 先 週の San Francisco の Seybold Seminar で、Apple 社の iCEO である Steve Jobs 氏は、待ちに待った同社の Mac OS X のパブリックベータ版 を 2000 年 9 月 13 日にリリースする予定であると発表した。この発表 により、北半球では季節が 1 週間ほど遅く終わるので、Apple はパブリッ クベータを“2000 年夏”に出すという約束を果たすことになる。同ソフ トウェアの製品版の出荷は 2001 年 1 月に予定されている。Jobs 氏はベー タ版が無料(だがサイズが非常に大きい)ダウンロードで手に入るのか、 ユーザーに販売されるのかは明らかにしていない。[MHA]

<http://www.seyboldseminars.com/>
<http://www.apple.com/macosx/>

初のトロイの木馬が Palm プラットフォームを襲う -- McAfee Associates 社によると、Palm OS ベースのハンドヘルド機のユーザーに 影響を及ぼすトロイの木馬が発見された。同 OS 搭載機は Palm 社、 Handspring 社、IBM 社、TRG 社、そして Sony 社から出されている。 (トロイの木馬は好ましい外見の裏に悪意を秘めたプログラムである。ほ とんどのメディアはこのプログラムをウイルスと呼んでいるが、ウイルス と違ってトロイの木馬は正体に気がつかないユーザーが自らインストール する。)LibertyCrack というトロイの木馬はまともなソフトウェアであ る Liberty のシェアウェアプロテクトをはずすために作られたツールに 見せかけている。Liberty は Palm OS 上で任天堂のゲームボーイ用のゲー ムを走らせることができるソフトだ。ところが、このソフトは Palm 機か らアプリケーションをすべて削除し、リブートしようとする。Palm OS 搭 載のハンドヘルド機上で、このトロイの木馬はランチャーソフトの Applications に、Liberty と同じアイコンで、“Crack 1.1”という名前 で現れる。[MHA]

<http://vil.mcafee.com/dispVirus.asp?virus_k=98801>

VSE 社が Link Tester 3.0 をリリース -- VSE 社は Link Tester 3.0 をリリース、検証できる Web の URL 数を増加するなどの機能を追加した ( TidBITS-537 の“TidBITS ご用達ツール: VSE Link Tester”を参照)。 新バージョンは HTTP 1.1 の仕様をサポートし、加えて入力を要求する Web サイトに接続した場合のユーザー認証と cookie もサポートする。ま た、Link Tester 3.0 は検証できるリンクの数に制限がなく(ディスクの 空き容量にのみ制限される)、HTML だけでなく plain text でもレポー トを作成する。Link Tester 3.0 は 1.6 MB のダウンロードで手に入る。 フリーのデモバージョンが用意されており、35 ドルでスタンダード版(1 つの Web サイトを検証)、100 ドルで機能制限なしのビジネス版への登 録ができる。前バージョンの所有者のアップグレードは無料である。 [JLC]

<http://www.vse-online.com/link-tester/download.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06010>

進化し続ける SoundJam MP 2.5.1 -- Casady Greene 社においては、 同社の大衆向け MP3 プレーヤ兼エンコーダである、SoundJam MP Plus に 対して魅力的な機能を追加していくという歴史が続いている。今回のバー ジョン 2.5.1 の新しい点は、自分の Mac からのインターネット再放送サー ビスへのブロードキャストのサポート、インターネット上の音楽ストリー ムを見つけるためのチューナ、エンコード時にデュアル・プロセッサ搭載 の新しい Power Mac G4 の CPU を 2 個ともサポート、WAV フォーマット への変換、ポータブル MP3 プレーヤを操作する際のインターフェースの 細かい部分の改良、Nomad Jukebox のサポート、プレーリストの多数の機 能強化、そして、広範囲にわたるマイナーな変更、等である。特に歓迎す べきは、一時的なプレーリスト作成の機能を持った Playlist Composer が、かなりスピードアップされたことである。バージョン 2.0 での Playlist Composer のスピードは遅すぎると、我々は、 TidBITS-535 の “ノリノリ SoundJam”の記事の中で述べた。しかしながら、未だに Alarm Clock のインターフェースの改良はなされておらず、時間設定の変 更を確認して適用するためには、Alarm Clock のウィンドウを閉じなけれ ばならない。SoundJam MP Plus 2.5.1 のアップデートは、登録ユーザー は無料(2.9 MB のダウンロード)で、このバージョンから、Mac OS 8.1 と最低でも 100 MHz PowerPC-603 搭載の Mac が必要になった。 [ACE]

<http://www.soundjam.com/getit/update.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05988>
<http://www.soundjam.com/downloadplus.html>

Eudora 4.3.3、マイナーチェンジ -- Qualcomm 社は、Eudora 4.3.3 を リリースした。これは、幅広く利用されている同社のメールソフト Eudora のマイナーアップデートである。バージョン 4.3.3 では、高速の Macintosh(リリースノートではあまり特定されていない)上でクラッシュ を起こすバグが修正されている。そして、自分のメールアカウントのパス ワードを Eudora に記憶させていない場合のパスワードのセキュリティも 改善された。今のところ特に問題を経験していないなら、4.3.3 のことは 無視して Eudora 5.0 のリリースを待つことをお薦めする。バージョン 4.3.2 から 4.3.3 へのアップデートには 618 K のパッチ、Eudora 4.x のすべてのバージョンからのアップデートには、これよりも大きいサイズ の 5.2 MB のアップデータが入手可能である。Eudora 4.3.3 は、 Power-PC 搭載の Mac のみ使用可能で、現在68 K 搭載の Mac で使用でき る Eudora の最新バージョンは 4.2.2 となる。 [GD]

<http://www.eudora.com/pro_email/updaters.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1035>

アンケート結果: 本、本、本-- レンガとモルタルでできた書店は、相 変わらず TidBITS 読者の心をつかんでいるということが、先週のアンケー ト、“コンピュータ本の購入を決めるにあたって、あなたに最も影響を与 える要因はどれか?”の結果から判明した。回答の 66 % が、本をぱらぱ らと眺めてみることが重要だと言い、42 % がレビュー記事、35 % が 口 コミ、30 % が読者寄稿のレビュー記事だと答えた。反応の多く(19 %) が“その他”と回答し、TidBITS Talk の中で、“著者や出版社、本のシ リーズ”をオプションとして加えるべきだったと我々に語った。興味深かっ たのは、スペシャル価格が重要だと答えたのがほんの 16 % で、書店の解 説書き、あるいは著者のウェブサイトやイベントに強く影響されたとの回 答がわずか 9 % だったことだ(最近は、本のサイン会に参加する人々は かなり少ないと言わねばならない)。広告が重要な要因と答えたものはな かったが、これはコンピュータ本の広告が極めて少ないせいだろう。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbpoll=55>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1142>

また、先週の TidBITS Talk で盛り上がった呼び物は、お薦めの初心者向 け Macintosh 本や AppleScript 本(これらの多くがインターネットのリ ソースに注目していて、AppleScript 本が多くないから)だ。[ACE]

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1143+1144>

アンケートのお知らせ: 68K は現役、それとも引退?! キャンディ・カ ラーの iMac やデュアル・プロセッサの G4、対流冷却式のキューブたち 以前に、Apple 社は 10 年以上にわたって Motorola 社の 68000 プロセッ サ・ファミリーを用いた“68K Mac”たちを製造していた。これらのシス テムの多く(オリジナルの 128K Mac から、かつての万能型 Quadra、そ して何度か繰り返された PowerBook ラインまで)は、現在でもワード・ プロセッシングや電子メール、そして多くのサーバー業務(TidBITS Talk は 11 年ものの SE/30 で提供されている!)に用いられている。これらシ ステムの長寿命はハードよりもソフトに負っている部分が多いのだが、最 近では多くのソフトが PowerPC ベースのシステム専用に開発されている。 そこで今週のアンケート。あなたはまだ 68000 ベースの Macintosh をお 使いですか?もしそうなら、あなたはこれらのソフトを最新版に維持し続 ける気持ちがおありですか?我々のホームページで投票を! [GD]

<http://www.tidbits.com/>


ATypoKill Eudora ハック

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <shu@pobox.com>)

ご承知のように、私はプログラマーではない。マクロぐらいはなんとかで きるし、1990 年代初めには HyperCard スクリプトにそこそこ習熟してい た、という程度だ。それでも、今年 6 月の MacHack デベロッパーカンファ レンスでハックを発表したかったので、私が最も得意とすることをするこ とにした。様々な情報源から情報を集め、利用できる形にまとめあげると いうことをしたのだ。

Eudora の秘密 -- 少し前になるが、Eudora 4.2 以降の内蔵スペルチェッ カーには隠された機能があることを Steve Dorner 氏に教えてもらった。 これは基本的には Microsoft Word にあるような自動修正機能で、よくあ るスペルミスを入力と同時に自動的に訂正してくれるというものだ。テキ スト入力と同時に修正してくれるのなら、あとになってから手動でスペル ミスを訂正しなければならない理由はないではないか?

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1147>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05800>

Steve が Eudora のこの機能をあえて隠しておくことにした理由は、イン ターフェースが醜悪なものになるからだった。この結果、Eudora にはよ くある間違いと正しいスペルをセットにした辞書が用意されていない。こ の機能について知った時、私はただちに自分用に作った専門用語や人名辞 書のように、自由に配布できる辞書をインターネットで探した。辞書はた くさん見つかったし、どんなタイプミスが一般的かといった研究結果さえ あったのだが、残念ながらちょうどいいものは見つからなかった。もちろ ん、こういう辞書がどこにあるかはよくわかっていた。Microsoft Word だ。ただし、これはテキストファイルではない。

<http://www.tidbits.com/resources/489/ace-tech-dict.hqx>

私が次にしたことは TidBITS Technical Editor の Geoff Duncan に苦言 を呈することだった。すると Geoff はすぐに Word から自動修正辞書を 抜き出してくれた。これで私と Geoff は Eudora の自動修正機能を使う ことができるようになったし、Steve は私にこの機能が存在することを公 にしていいという許可を与えてくれた。(ただしこれが サポート外 機 能であるので、問題があっても Qualcomm 社に文句を言わないこと、と告 知することを条件に。)だが、私は Microsoft Word の辞書を配布するこ とはできなかった。理論的には辞書を抽出するスクリプトを書くことはで きたし、法的にも問題ないかもしれないが、これが正しい行いであるとい う気はしなかった。私は考え込んでしまった。

MacHack での AutoCorrect -- ともかく、誰かが無償配布できる自動修 正辞書を見つけてくれるか、作ってくれることを期待しつつ、私は MacHack でこの機能を披露した。デモの準備(とはいってもタイトルのだ じゃれを考えたり、スペルミスだらけのメールを書いたり、自動修正辞書 に正しいエントリがあることを確認したり、という程度だが)をしている 間に、解決策が自ら姿を現したのだ。Princeton 大学の学生で、私が 1999 年の MacHack について書いた記事の影響を受けて MacHack に来て いた Micah Alpern 氏が、彼自身スペルミスの常習犯で、その結果 WordPerfect でまさにこのために使用する何千語という辞書を作り上げて いたのだ。WordPerfect も自動修正機能を搭載していた。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1143>

デモそのものの出来は悪かった。時刻は午前 4 時前後で、意識がもうろ うとしてきていた頃だった。だがなんとか切り抜け、しかも長さ 1.2 メー トルの角材というなんとも腹立たしい賞品までもらってしまった。(Hack Contest の企画者たちは他の誰よりも睡眠不足になるのだが、賞品をすべ て Duke's Hardware で買うのだ。それでどういうわけか私のハックのタ イトルと吸血鬼退治に使う木材の関連を思いつくに至ったらしい。)手に とげが刺さる木材を飛行機に乗せて帰るのは難事だったが、もしすべてが 計画通りに行けばこの木材は来年不死鳥のようによみがえるはずだ。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06011>

Share Enjoy -- MacHack の後、Micah は彼の辞書を私に送ってくれ、 私のほうではそれまで TidBITS Talk を編集しながら集めてきた修正セッ トをただちに加えた。これで Mac 版 Eudora ユーザーの誰もがこの自動 修正機能の恩恵にあずかることができるようになったのだ。TidBITS AutoCorrect Dictionary テキストファイルをダウンロードし、Eudora Spelling Dictionaries フォルダに入れ、Eudora を起動するだけだ。こ れで Eudora がテキスト入力と同時に TidBITS AutoCorrect Dictionary に応じてスペルミスを修正してくれる(ちなみに、これで誰もが “TidBITS”と正しく書いてくれるようになるはずだ!)。

<http://www.tidbits.com/resources/546/tidbits-auto-correct-dict.hqx>

テキストファイルを自作するのも簡単だ。必ず最初に“#LID 1033 0 3” とだけ書いた行がなければならず、続いて修正前・修正後の語(誤ったス ペル、コロン、正しいスペル)を一行に一セットずつ書く。誤ったスペル の方は単語一つに限られるが、正しいスペルの方は複数の単語でもよく、 最高 64 文字ぐらいまでを登録できる。途中に改行を入れることはできな いし(新しい行ができてしまうため)、ほかにも使用できない文字がある かもしれない。この辞書には自由に追加・削除していただいて構わない。 最後にテキストファイルとして保存することをお忘れなく。

Eudora の自動修正機能で気に入らないのは、大文字・小文字の区別を誤っ たスペルに合わせてしまうことだ。そこで PB と入力すると、Eudora の 自動修正によって“PowerBook”ではなく“POWERBOOK”と置き換わってし まう。

MacHack の精神とカンファレンスを通じて浸透したオープンソースの潮流 に則り、Micah と私はこの自動修正辞書をパブリックドメインとして、ど んなプログラムででも利用できることとすることに決めた。じっくり楽し んでいただこう。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05994>


Apple Computer は頼りになるか?

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 里華子 <rikako@pobox.com>)
(  :佐藤 公子 <umi@cf.mbn.or.jp>)

関連性のない不具合がいくつか発生し、修理サービスに関することが頭を もたげてきた。普段 Mac は信頼性が高いのでこの件は無視されやすい。 とはいえ、廃棄されていそうな古い Mac が今なお使用されているという こが間々あり、いずれはどこかが駄目になるだろう。自分で修理をするの が一番楽なときもあるが、Apple の正規代理店に持ち込むか、直接 Apple にマシンを送るかしか術がないときもある。しかし、先ごろ Apple が新 型マシンに対するサービスの選択肢を変更したので、決断する際に混乱が 生じてしまうかもしれない。

安上がりな修理を探して -- 6 月、MacHack から戻ってみると、我が家 のメインの家庭内ファイルサーバ(Power Mac 8500)が動かなくなってい た。これが最近のハードウェアトラブルの幕開きであった。ケーブルを交 換しても、ボタンを押しても、優しく声を掛けても全く効果がなかった。 つまり、電気がまったく来ていなかったのだ。内蔵されている電源部が死 んでいるのは歴然だった。

もう一度動くようにしたいものの、中古の Power Mac 8500 はさほど高い ものでもないこともあり、割引のない Apple の代理店から電源部の交換 部品を買いたくはなかった。Shreve Systems 社はこの古いマシンで使え る新品の電源部に交換してくれるが、400 ドルとあまりにも高い。Sun Remarketing 社は 8500 用の電源部を扱っていなかった。そして行き着い たのが、サンフランシスコの近くにある We-Fix-Macs のオンライン部、 AllMac.com だった。ここも交換用の電源部はなかったが、115 ドルで修 理してくれると言ってきたのだ。Mac を丸ごと送ろうかとも思ったが、電 源部だけを送りその分節約することにした(Mac の解体が不安な方はその まま送ることをお薦めする)。8500 の解体は骨の折れる作業だが、電源 部の取りだし方法を見いだし、梱包・発送した。

<http://www.shrevesystems.com/>
<http://www.sunremarketing.com/>
<http://www.allmac.com/>

2 週間後に修理から戻ってきた電源部を入れ直すと(最後に一つ残ったプ ラスチックのパーツを元通りに入れるのには少々頭を悩ませたが)、Mac は事も無げに蘇った。これはよい経験になったが、We-Fix-Mac の顧客サー ビスは改善の余地があると思う(どこが悪くて何を修理したのか全く教え てくれなかったのだ)。旧型の Mac (そして、とりわけ Macintosh クロー ン)を修理する必要がある場合、We-Fix-Macs は一見の価値があるだろう。

パーツの交換 -- ほぼ時を同じくして TidBITS データベースサーバと して利用している Performa 6400 の内蔵ディスクが逝ってしまった。 Geoff も私と同じぐらいしっかりとバックアップを取ってあるので、惨憺 たる事態は避けられた(記憶デバイスは、“だめになるかもしれない”も のではなく、“いつかはだめになる”ものなのだ)。Geoff は、外付けハー ドディスクを使って 6400 を復旧してくれた。この外付けディスクは CD を焼くのに必要なので、データベースのサーバとして使うのはあくまでも 一時的な処置であった。そこで、6400 に新しいディスクを入れるにあた り何が最善かを考え始めた。ハードディスクの交換は私にできる範囲の作 業である。

Performa 6400 の死んでしまった内蔵ディスクは、IDE-ATA メカニズムを 利用しており、IDE ディスクは SCSI ディスクよりもかなり廉価で、100 〜 200 ドルぐらいでかなり大きな IDE ディスクをたやすく買える。とは いえ、大きくもない(全部で 100 MB ほどにしかならない)データベース を載せるために、このマシンに巨大ハードディスクを購入するのはやり過 ぎのような気がした。その時、マシンを入れ替えることをはたとひらめい た。上記で話題になった 8500(1.2 GB の内蔵ハードディスクを装備して いる)と、この 6400 を交換すると、6400 に 60 GB の IDE-ATA ディス クを入れて家庭内ファイルサーバとして利用できかつ、Tonya と私が自分 たちの CD から変換した 8 ギガバイトの MP3 を置いておくこともできる。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05589>

買おうと思った Maxtor 社製の DiamondMax 60 GB のハードディスクが動 かないなんてはずもないのだが、私は少々神経質になっていた。ところが、 Google の検索ですぐに Maxtor 社の FAQ のページを見つけ、私の心配も 解消された。さらに、IDE に関連の情報が出ているためになるページ Accelerate Your Mac を見つけた。中でも Drive Compatibility Database は優れ物だ。

<http://www.maxtor.com/technology/qa/30009.html>
<http://www.xlr8yourmac.com/IDE.html>

ハードディスクを購入するにあたり、まず PriceWatch で、怪しげでない ベンダーや安い値をつけているベンダーを探した。そして、GoGoCity.com から 230 ドルで 買うことにした。発送は実に速かったが、発泡ビニール シートでくるまれ、ピーナッツ型のクッション材とともに梱包されていた ディスクには、ドキュメンテーション一枚同梱されていなかった。

<http://www.pricewatch.com/>
<http://www.gogocity.com/>

幸い、6400 へのインストール作業は順調にできた。ジャンパを動かす必 要もなく(2 つの IDE ディスクを入れることをサポートしている Mac で は、2 つ入れたときに、片方がマスターで、もう一方がスレーブになり、 スレーブのディスクにはジャンパケーブルを付けなければならない)、延々 かかるローレベルのフォーマットをしなければならないかとの懸念もあっ たが、その必要もなく、Drive Setup での初期化はあっという間に終わっ た。

この件では、テクノロジーに長けていなくとも自分でできる修理がいくつ かあるという話がしたかったのだ。インターネットには膨大なヘルプ情報 が置かれている。検索に時間がかかる場合もあるが、熱心なユーザー達が ポストした機器をインストールするための情報がかなりある。6400 Zone の「Upgrade Experiences」や「Reader Reviews」のページはその一例だ。 ほかの Mac のモデル用の同様の情報も存在する。大変なのはそれを見つ け出すことだ。なにしろ検索したい語のほとんどは一般的にもある単語や 数字なのだから。

<http://members.aol.com/_ht_a/TMK12v/home.html>

行き詰まった場合 -- 私のことを Macintosh のハードウェアのトラブ ルに詳しいとお考えの方がいるかもしれないが、実は私が知っているのは 自分の限界にすぎない。プラグを抜き差しすることで済む修理なら、おお むね何とかなるが、もっと深刻なトラブルや耳慣れないトラブルに関して は、近くの Apple の代理店、Westwind Computing に任せることにしてい る。同店に解決してもらったトラブルは今までいくつかあるのだが、私が 一番お話ししたいのは、同店のサービスの質の高さであり、実際に修理を しなくても問題の解決に貢献してくれたこともある。

<http://www.westwind.com/>

Power Mac 8500 を購入して間もないころ、朝仕事に取りかかろうとして、 マシンが Retrospect のバックアップの途中でフリーズしているのを発見 するということが度々あった。それから間もなく、ネットワーク経由でか なりの数のファイルをコピーしている最中にもなぜか同じようにフリーズ した。フリーズはしょっちゅう起きるものではなく、ネットワークの負荷 が高まったときに限って起こった。そのため、日々の作業に支障をきたす こともほとんどなかった。とはいえ、うっとうしい事態であることには変 わりないし、デスクトップの Mac がバックアップをしないと苛々した。

機能拡張の組み合わせを幾多となく試したし、クリーンインストールを行っ たり、バージョンの異なる Mac OS を数ヶ月にわたり試したり、ケーブル、 AAUI アダプタ、SCSI デバイスの組み合わせ、そして PCI Ethernet カー ドまでも変えてみたりした。それでもだめで、Westwind の Gordon に電 話をかけた。彼は、私の話を辛抱強く聞いてくれ、RAM DIMM の順番を変 えてはどうかと言ってくれた。この助言には面食らったが(これは数ある 変な問題を解決してくれる方策として知られており現行モデルでも使える らしい)、取りあえず試してみた。全く変化ナシなので、Gordon に再度 電話をすると、マシンはまだ保証期間中だからマザーボードを交換すべき だという答えがすぐに返ってきた。マザーボードを交換して以降、8500 はこの手のクラッシュを二度としなくなった。

良いサービスには、顧客の問題について慎重に耳を傾けるという部分も含 まれている。サポートをする立場にいるのだから、たぶん顧客よりも知識 が多いのだろうが、自分が既に試したトラブルシュートの数々をまたやり 直させられるのに苛立ちを覚えない人はほとんどいるまい。上記の場合、 Gordon は私がすでに試したと言ったことを信じてくれるぐらい信用して くれていた。Apple に電話するという可能性もあったが、私が Apple の サポート担当技術者に、ネットワークの負荷が大きくなるとクラッシュす るのがマザーボードが不良品であるからだと言ったときに果たして信じて もらえるだろうか。Westwind の実績と個人的なつながりを築きかつそれ を大事にしているということが合わさって私にとって重要なものになって いるのだ。

新しいサービスへ -- 私は長年に渡り、15 台の Mac を所有してきたが、 直接 Apple へ PowerBook を送って修理してもらうことも含め、これまで ほとんどすべての修理方法を利用した。大部分において、このさまざまな アプローチすべてに対して満足している。自分で作業したほうが簡単な場 合もあるし、Apple や We-Fix-Macs のような所に Mac を送ってうまくい く場合や、時には Apple 代理店を利用したほうがいい場合もある。

<http://www.info.apple.com/support/applecare_products/service/features.shtml>

しかし、今やこれは変わりつつあり、Macintosh モデルによって詳細が異 なるため、多分に顧客をまどわせるような形となっている。Power Mac G4 と iMac でも同様で、両マシンともに Apple の正規サービスプロバイダー が修理を行える。

ところが、iBook と PowerBook G3 に関し、その修理を行えるのは Apple だけなのだ - Apple 代理店はもはやこれらのマシンを修理できない。し たがって、Apple へ直接 Mac を送り返すか、代理店までマシンを持ち込 むかのいずれかの方法をとるしかなく、その代理店にしても問題点を判断 してマシンを Apple へ送り込むだけである。修理期間は 4 日から 7 日 までの間で、たとえ問題がはっきりしている場合でも、代理店はこの期間 より早く修理部品を Apple から取り寄せることはできない。

さらに悪いことには、PowerBook G3 や iBook の保証期間が過ぎていると、 Apple では大半の修理に対して 359 ドル(PowerBook)または 329 ドル (iBook)という料金を課するようになった。事故や不正な使用による故 障の修理の場合、故障箇所に応じてさらに料金が上乗せされる。これらの 料金は代理店にも適用され、しかも代理店はこれらのマシン用の個々の部 品を Apple から購入することができない。したがって、トラックパッド ボタンクリッカーが壊れた場合でも、設定された修理料金を全額支払わな ければならない。ここでにわかに、PowerBook G3 なら 349 ドル、iBook なら 249 ドル(Apple Store より)という料金の AppleCare がより魅力 的に思えてくる。とはいえ、AppleCare に代わるものがあればさらによい のだろうが。 TidBITS-478 の“AppleCare 賛否”および TidBITS-504 の“Apple 社が AppleCare を改訂”を参考にして欲しい。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05370>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05632>

しかしながら、新しい G4 Cube に関しては、保証期間中に故障が起きた 場合(または延長された AppleCare 保証期間中)、選択肢は 2 種類しか ない。つまり、Mac を Apple に送り返して修理してもらうか、Apple か ら必要な部品を送ってもらい自分でそれをインストールするかのいずれか である - 代理店が G4 Cube を Apple へ送り返すことはできず、またわ ずかな弁済や、PowerBook や iBook を送る際に受けられる梱包用ケース のような援助を得ることもできない。最近、Apple は、G4 Cube や Power Mac G4(Gigabit Ethernet)にインストールされるいくつかの共通部品に 対し、PDF による QuickTime ムービー付きのインストールガイドを発行 した。Apple が、技術に長けたユーザーに対して、自分の Mac の修理や アップグレードをしやすくなるように配慮してくれるのは喜ばしいが、代 理店をまったく排除してしまう必要はないような気がする。

<http://www.info.apple.com/support/cip/>

Apple は、サービス方針に関する変更へのコメントを避けており、Apple がサービスの流れから代理店を締め出した理由の説明はおろか、この変化 を正式に認めることさえしようとしない。

サービスの賛否 -- Apple がより多くの修理を組織内で行おうとする理 由は理解できる。数百にも上る Apple ディーラーに対し、部品をストッ クさせ、保証サービスへの弁済を行うために必要となる労力と経費はまぎ れもなくばく大だ。この理由に加え、すべての修理作業を一箇所にまとめ ることにより、Apple は特定の欠陥に関する統計を集めやすくなり、めっ たに起こらない問題の共通点を探しやすくなる。

Mac だけを販売し、Apple Specialist のタイトルを授与されてきたよう な Apple 代理店は特に、この新しいポリシーをそれほど危惧してはいな い。サービスはそもそも比較的高マージンで、かつビジネスの重要な局面 であったが、Apple の新しい低価格化とともに、このことがとりわけ真実 になった。より心配されるのは、この件が代理店と顧客との関係に与える ダメージである。

たとえば、あなたがディーラーで、建築会社にかなりの数の G4 Cubes と PowerBook G3 を販売したものとしよう。1 台の Cube に問題が起きた場 合、顧客はあなたにその問題を解決してもらいたいだろう。だが、あなた はマシンをその場で修理することはできず、顧客に代わり修理手続きを取 り扱うことさえできない。部品のインストールとテストを行うために Apple から部品をあなたあてに送ってもらうよう顧客に勧めることはでき るだろう。しかし、これは顧客にとって紛らわしく、しかも Apple から の弁済がないため、あなたは請求金額を増やすか、またはこの作業の費用 を自分で負担するか、いずれかを選ぶ必要がある。少なくとも、病気になっ た PowerBook G3 に関しては、たとえ 4 日から 7 日の修理期間でマシン を Apple へ送ることが唯一の選択肢だとしても、その修理手続きを取り 扱うことができる。この場合、顧客に代わってバックアップを作成すると か、修理から戻った Mac をチェックするなどの追加サービスを提供しや すい - 実際、ハードディスクを交換されて戻ってきた Mac に新しく問題 が起きた話を聞いたことがある。だが、マシンがまだ保証期間中なので、 これらのサービスに対する請求は安易にできない。したがって、せいぜい 技術に長けた出荷担当のふりをして、Apple からはほとんど、あるいはまっ たく弁済を期待しないことだ。そして特に、高い技術力を持つ Apple Specialists にとって、Apple からのこの弁済額は、自分の所で修理を行っ た場合に比べてかなり低い額になる。

これはすべて顧客への奉仕という問題であり、Apple はユーザーに壊れた Mac を修理のため Apple へ送り返させ、部品を送りつけて顧客にインス トールさせることで行っている。しかし、モデルによってその方法が異な るような状況を作りだすことにより、Apple は混乱とイライラを引き起こ している。1、2 台の iMac と数台の Power Mac G4、1 台の G4 Cube、複 数の PowerBook が存在するようなオフィスは、いくらでもあるだろう。 これら全マシンに関するサポートの選択肢と要件を考えるだけでうんざり する。サポートを求めて Apple へ電話する際の、いつもの長い待ち時間 を思うと、特にだ。さらに、Apple の正規サービスプロバイダーに G4 Cube の作業をしてもらうことを断ると(あるいはその修理を扱うことす ら断ると)、より迅速で良質、廉価で一貫した修理作業に結びつく修理オ プションを失なってしまう。

しかし、この状況であればドミノ倒しに従う価値はある。慎み深い Apple 代理店が、あらゆるサービスを組織内で行おうとする Apple の動向に従っ て、廃業に追いやられるようなことはない。しかし、大半の代理店にとっ て生き残るにはビジネスのやり方を変える必要があるかもしれず、これが 予期しない結果を生む場合もある。たとえば、代理店は彼らを通して Mac を購入した顧客に対し、数々の優先サービス待遇を与え出すかもしれない が(販売/サービスを組み合わせたパッケージの利益が保証される)、こ れは新しい町に引っ越す人や、メールオーダー会社や Apple Store から Mac を購入した人の場合を考える限り、ローカルディーラより満足のゆく サービスが得られそうもないという理由から、よさそうに思える。 PowerBook と iBook の修理に対する高額な均一料金を Apple が強要する ことにより、サービスプロバイダーは再びグレイマーケットの部品を買う 羽目になるかもしれず、その場合くだんのトラックパッドボタンクリッカー の修理にかかる費用は、359 ドルではなく 50 ドルで済む可能性がある。 サービスの質を高めるため、以前より Apple は旧機種に対してさえ迅速 かつ効率的に Apple 純正部品を発送することで、サービスプロバイダー がグレイマーケットの部品に頼る必要がないようにしてきた。

各代理店はこの状況を異なる視点から捉えているだろうから、何が起きる かを正確に予測できないことは明らかである。しかし、公平に言えば、G4 Cube、PowerBook G3、iBook の修理を代理店が行うという選択肢を排除す ることにより、Apple は同時に与え、奪いたもうたのだ。選択肢が失われ ることで最も被害を被るのは誰だろう?代理店、顧客、それとも Apple?


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