TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#600/08-Oct-01

Mac OS X 10.1 での改善でその使い勝手は世界が違うほど良くなった。そこで今週は、Mac OS X 10.1 を前のバージョンよりさらに豊かにそして磨きがかかったものにしている数多くの変更点について検証する。更に、今週我々の 600 号を記念して新たな Web とメーリングリストのサービスを始める。ニュースの部では、PowerPoint と Excel (98 と 2001 のどちらも) が、悪玉の可能性のあるマクロを警告なしに走らせてしまうのをブロックできるパッチを Microsoft がリリースしたのをお知らせする。

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MailBITS/08-Oct-01

PowerPoint/Excel のマクロウィルス対策アップデート -- Microsoft は PowerPoint や Excel 上で潜在的に悪性のマクロコードが勝手に実行されるのを防ぐパッチをリリースした。PowerPoint/Excel 2001 for Mac Macro Vulnerability Update と呼ばれるパッチは、ドキュメントに埋め込まれたマクロが PowerPoint 2001 for Mac や Excel 2001 for Mac 上で通常は現れる警告を表示しないで自動的に実行されてしまうこともある問題への対策である。このアップデートをインストールすると、マクロを含んだ PowerPoint や Excel ファイルは、警告表示が必要なものとして認識される。このアップデートは 740K のダウンロードで、適用するには Microsoft の前のバージョンである Office 2001 for Mac Service Release 1 が必要である。PowerPoint 98 Macintosh Edition 及び Excel 98 Macintosh Edition 共にこの問題を抱えており、これに対するパッチは PowerPoint/Excel 98 for Mac Macro Vulnerability Update(2.7 MB のダウンロード)である。ただし、これを適用するためにはその前に Combined Updater for Office 98 をあてておく必要がある。[JLC](カメ)

<http://www.microsoft.com/mac/products/office/2001/powerpoint/>
<http://www.microsoft.com/mac/products/office/2001/excel/>
<http://www.microsoft.com/mac/download/office2001/pptxlmacro.asp>
<http://www.microsoft.com/mac/download/office2001/sr1.asp>
<http://www.microsoft.com/mac/download/office98/pptxlmacro.asp>
<http://www.microsoft.com/mac/download/office98/Off98Updater.asp>

[訳注:このパッチは英語版で日本語版のパッチは現在まだリリースされていない。マイクロソフトによれば、「ただ今準備中で、近日中に Web でリリースします」とのことである。リリースされたかどうかの確認は以下の URL でチェックして欲しい。](佐藤)

<http://www.microsoft.com/japan/mac/download/default.asp?area=2001>
<http://www.microsoft.com/japan/mac/download/default.asp?area=98>


さらなるMac OS X 10.1の探検

文: Jeff Carlson <jeffc@tidbits.com>
訳: 倉石毅雄 <takeo.kuraishi@attglobal.net>
訳: 斎藤美礼 <mirei@x.age.ne.jp>

Mac OS X 10.1をいじるにつれ意外なことに気が付いた:この新しい環境を探検し色々と試してみるのが、なんと、楽しいのだ。Mac OS Xの前のバージョンを時折使ってはみたが、多くの人たち同様、飛び込んで時間をつぎ込むのは10.1が出るまで待っていた。以下に述べるのはTidBITS編集員やTidBITS読者の皆から寄せられた様々なコメント - 最初の反応、発見、もしくはもっと注目されても良い機能など - である。

しかしこの話題に入る前に先週の記事への訂正。まず、Mac OS X 10.1ではアプリケーションを起動するときや書類を開けるときにはズーム四角が出てくるが、フォルダーを開く際には依然としてMac OS 9のようには出てくれない。次回はスクリーンをきれいに拭いておくつもりだ。また、Developer Tools CDのオンライン版は噂されていた550MBではなく、187MB だけだ。さらに、ファイル拡張子はMac OS XがUNIXから引き継いだものであるという我々の主張に対して、TidBITSトークのメンバー数名から異論が出された。もっともファイル拡張子を重視すると決めたAppleの判断はほぼ一様に嘲られていたが。Mac OS X 10.1についての他の議論を含めて、読むに値するだろう。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1475+1477+1479+1480+1481+1485>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06584>(日本語)Mac OS X 10.1: 主な機能

最後に一つ - 10.1の下ではウェブ共有が働かなくなってしまった人達へ。原因はAppleにある。Mac OS X 10.1前に出されたウェブ共有アップデートの中でMac OS XのApache設定に新しいモジュールを加えたのだが、リリース自体ではApacheの設定フェイル内でモジュールを参照する名前を変えた為なのだ。残念ながらAppleがモジュールの名前自体を変え忘れたため、不一致が起こってしまった。Stepwise.comがTerminalへ貼り付けて問題を解決できるUNIXのコマンド一行を発表している。

<http://www.stepwise.com/Articles/Technical/2001-09-29-01.html>

ポータブルのパワーアップ -- PowerBook G4のオーナーとしてはMac OS X 10.1のいくつかの改善点は有難い。画面の輝度や音量を調整するキーボードコマンドが働くようになった。それもなんと優雅に。画面に現れる大きな表示は明らかだが目障りではなく、調整が終わるとフェードして消えていく。(ただし古いiBookでは未だに支障がある。詳しい情報はApple のKnowledge Base記事を参照されたい。)

<http://www.info.apple.com/kbnum/n106480>
<http://www.info.apple.com/kbnum/n106481>

もう一つの便利な新機能はマウス設定パネルのトラックパッドタブの下にある。タイプしている最中に間違えてトラックパッドに触れることが多い人は「タイプ中にトラックパッドを無視する」というオプションをオンにすると良い。書類やメールメッセージの関係ないところにカーソルが移動するのを防げる。

他のポータブル関係の面ではまだ改善の余地がある。Mac OS 9が走っているときに比べ、電池の使用が効率的ではない。Mac OS 9を使用しているときに比べ、約一時間ほど早く充電する必要がある。予備の電池がない場合は長距離の航空便ではMac OS Xを使用するのはまだ止めておいたほうが良いだろう。また夜間に充電器をつながずにポータブルをスリープにしておくと電池が空になるとの報告もある。またiBook(Dual USB)オーナーからは間違えてdeleteキーの代わりにF12/イジェクトを押してしまって光学ドライブトレーを開けてしまうことが多いとの苦情も聞いている。これはMac OS 9のキーボード設定では簡単に無効に出来るのだが。

私の最大の苦情は、終了せずに内蔵LCD画面と外付けモニター間の切り替えが出来ない点であろう。私は普段、事務所でPowerBookをそのまま使い、通勤中はスリープさせ、自宅ではApple Studio Displayにつなぐ。これはMac OS X 10.0では全く不可能で、10.1では出来そうな素振りだけ見せる。一瞬、デスクトップのディスプレーが点くのだがすぐに寝に入ってしまう。逆をやるともっとたちが悪い。モニターからはずした後、間違えてPowerBookを起こしたところ、バックライトが点かなかった。再起動しても薄暗い画面しか現れず、PRAMをクリアしてMac OS 9へ起動してようやく問題が解決した。とりあえず今のところは就寝前にMac OS 9に戻して夜の間に私のPower Mac 7600で走っているRetrospectがデータを保存できるようにし、事務所に着いたらMac OS Xに戻す。(Classicが起動するのを待つ時間はコーヒーを作りに行くのにうってつけである。)

王国へのキー -- Universal Accessの一部であるStickey KeysとMouse KeysをAppleが復活させたとAdamが先週書いたが、これは身体障害者のユーザーにとっては大事なことである。(TidBITS-568から連載されたJoe Clarkの「Macでのアクセシビリティ」シリーズの記事も参照されたい。)しかしAppleの古いユーティリティで、視覚障害者のためにスクリーンの一部を拡大するCloseViewに相当するものは未だにない。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1189>
(日本語)Mac とアクセシビリティ:エデンの園の課題
(日本語)Mac とアクセシビリティ:対応策
(日本語)Web のアクセシビリティ:Web の音声と映像

他の追加では、メニューバー、ドック、ツールバー、パレットなどのインターフェース要素をキーボードから制御する近道を指定できる機能は一部のユーザーには有難いであろう。この機能を使用するには、キーボード設定からFull Keyboard Accessをオンにする。同時にウィンドウ中のラジオボタン、ポップアップメニュー、タブなどの制御要素へTabでの移動を可能にする。前にMac OS Xのマウス操作が多すぎると感じていたので、このようなキーボード操作は賢い機能追加だ。

Appleはスクリーン撮影ホットキーをも復活させた。Command-Shift-3は全スクリーンの画像を撮り、Command-Shift-4では選択カーソルで範囲を選択して画像を撮れる。スクリーン画像は未だ「Picture 1」と順番に名付けられて(現ユーザーの)デスクトップに保存される。Classicアプリケーションで撮ったスクリーン画像はハードディスクかClassicシステムがあるパーティションの最上レベルに保存される。いずれのキーボードの組み合わせでも、Controlキーを加えればスクリーンや選択範囲がファイルではなく、クリップボードにコピーされる。Mac OS 9とは異なり、一番上にあるウィンドウだけに限定する方法はない。AmbrosiaのSnapz Pro Xのようなユーティリティーを使えばそれだけでなく、スクリーン撮影を本気で使用する人達が必要とする機能が手に入る。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06546>(日本語)アップルメニューを取り換える
<http://www.ambrosiasw.com/utilities/snapzprox/>

その他のシステム関連 -- Mac OS X 10.1 はサイズの点でも重要さの点でも大きなアップデートだ。Steve Jobs 氏はこのソフトウェアをインストールしてからずっと後でも新しくなったところを発見するだろう、と述べたが、以下のようないろいろな変更があるため、彼の言葉は本当だと思う。

通常 2 つ以上の言語を扱うユーザーは、Mac OS X 10.1 では外国語のサポートが改善され、チェコ語、ハンガリー語、ポーランド語、 スロヴァキア語、ブルガリア語、ロシア語、ウクライナ語、アイスランド語、トルコ語に対応したのに気がつくだろう。中国語と韓国語でのテキストの入力は Mac OS X のローカライズされたバージョンが必要である(が、これらの言語のテキストを読むことはできる)。Tom Gewecke 氏<tom@bluesky.org> が Mac での外国語の使用について記事を書いてくれたが( TidBITS-557 の「各国語対応 Mac をひもとく」を参照)、Mac OS X 10.0 で存在したタイ語キーボードが消えてしまったようで、また、インド語派、ヘブライ語、アラビア語(Mac OS 9 で利用可能)にいつ対応するのかは、コメントがない。

<http://www.info.apple.com/kbnum/n106484>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06222>

Apple が Apple メニューの機能を Mac OS X で復活させたとき、最近使ったアプリケーションと書類へアクセスする機能を元に戻した。しかし、それぞれ 5つまでしか表示せず、ほとんど役に立たなかった。今、一般環境設定パネルに、アイテムを表示する数を 5 から 50 の間で指定できるポップアップメニューが含まれるようになった。

ファイルのコピーは Windows ユーザーになじみのある機能を取り上げている。ファイルを新しい場所にドラッグしてコピーするかわりに、一つ以上のファイルを選択し、編集メニューからコピーを選択し(Command + C)、新しい場所へ行き、編集メニューからペーストを選択して(Command + V)、コピーの動作を終了する。この機能はファイルを コピー するだけなのに注意してほしい。ファイルの移動 として使用する方法はなく、便利さがすこし失われてしまっている。この機能は、私達のように Finder ウインドウの動作になじめない人や、ウインドウ間でのドラッグは難しくなかった Mac OS 9 にくらべるとぎこちないと感じている人からは歓迎される。Mac OS 9 のようにフォルダをいつも新しいウインドウで開くことができるのは知っているが(このオプションは Finder の環境設定で見つけることができ、もしたまに使いたいだけなら、フォルダアイコンを Command + ダブルクリックしてみてほしい)、ウインドウを一つだけ使うという新しいやり方を試したいのだ。だから、ファイルやフォルダをコピーしてから新しい場所に行ってファイルをペーストするのは速くて簡単なやり方だ。

Finder といえば、ビジュアルおたくでもある私としては、ようやくハードディスクのアイコンを変更できるようになって幸せである。以前は金属のハードドライブの写真を表示していたのだ(たいていのユーザーは目にすることさえない物体だ)。Finderの情報を見るコマンドを使用してアイコンをコピー&ペーストすればよい。Iconfactory や xicons.com などの Web サイトが定期的にアイコンセットの新作を追加しているので、ダウンロードできる。

<http://www.iconfactory.com/>
<http://xicons.com/>

もうひとつ、報告できて非常に嬉しいのは、Finder ウインドウがリストビューでの表示に設定されているとき、やっとカラムの幅を覚えてくれることだ。それに、Mac OS X の最初のリリースで現れているべきだったコントロールがいくつかやっと登場した。日付けと時刻環境設定パネルのネットワークタイムタブに時間を今すぐ設定するためのボタンや、Finderの環境設定にゴミ箱を空にするときの警告のオンオフを切り替えるチェックボックス(もっとも、ゴミ箱を空にするときの警告メッセージは、Mac OS 9 とは違って、削除する量の詳細を教えてくれない。ゴミ箱の情報を見るを使用してもこの情報は明らかにならない)。

Apple がアップデートしたのは、TidBITS の読者 Tomoharu Nishino 氏<tomoharu@worldnet.att.net> が指摘したように、オペレーティングシステムだけではもちろんない。Disk Copy ユーティリティの AES 暗号化を使用して、ディスクイメージを暗号化できることを氏は発見した。AES(Advanced Encryption Standard)は、合衆国政府認定のDES(Data Encryption Standard)の後継者となるとされる規格だ。「なくて非常に困るものの一つはPGPdisk で、取扱い注意のデータを持ち運ぶときに使用している。PGP ツール群が Mac OS X で登場するまで Disk Copy で乗り切れそうだ。」Nishino 氏はまた Classic 環境での Palm のシンクロがうまくいっていると指摘している。Palm 社が Palm Desktop の Mac OS X バージョンを今年末にリリースするまでの暫定的な解決策になる。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkmsg=11835+11875+11795>

Internet Explorer 5.1 -- Adam が先週述べているように、Internet Explorer 5.1 は現在 Mac OS X 10.1 での反応がよくなっているが、Microsoft 社はブラウザにいくつか新機能を付け加えてもいる。Internet Explore の環境設定ウインドウをチェックして、新しいInterface Extrasペーンを見ると、新しく 3 つのオプションが利用できるだろう。

最後の TIP として、Internet Explorer 5.1 が持つ隠れた新機能であり、インターネット接続が遅いユーザーにとっては理想的なもの紹介しよう。以前から、リンクを Command + クリックすると新しいウインドウで開くことができた。今やCommand + Shift + クリックで現在のウインドウの後ろで新しいウインドウを開くことができる。バックグラウンドでロードしながら最前面のページを読み続けられるのはすばらしい機能だ。

大胆な探検 -- おそらく、Mac OS X 10.1 が Macintosh のメインストリームに食い込みはじめていると言えるもっとも大きい理由は、この新しいバージョンを探検するとちょっとした便利な機能を発見することがよくあるからだろう。Mac OS X の以前のバージョンでは、探検のほとんどが失敗に終わっていた。インターフェースの機能が欠けていたり、柔軟さが欠けていたり、カスタマイズ機能がほとんど全くなかったりといったことを発見するだけで、すべてお粗末なパフォーマンスというレンズを通して見られていた。我々は今だ Mac OS 9 を狂った集団とは別物にしていた機能を追加している段階にいるにすぎないが、革新的な機能を追加できる段階が手の届くところに来ている。


第 600 号を記念して TidBITS の新サービスを開始

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

この TidBITS には、伝統が根付いているようだ。数か月前から、この第 600 号が近づいていることを思い起こして、我々はこう思ってきたものだ。「う〜む、この記念号では、何かしないといけないな...」それでも、記事を書いたり編集したり、メールに返事を出したりという毎週の仕事に追われて、そのまま時が過ぎてしまった。しかし幸いにも Geoff だけは、彼の担当のデータベース関係の仕事に先見の明を働かせてくれ、その証拠にここ数か月間の彼からのメールにはいつもアップデートされたデータベースのページを指したカスタム Lasso URL が含まれるようになっていたのだ。

我々の伝統とは何だったか? 第 400 号や第 500 号の記事を読んでもらえればわかるように、こういう記念号ごとに我々は、TidBITS のオンラインでの在り方に大きな変更を加えてきたのだ。TidBITS-400 では新しいロゴマークを採用し、我々のウェブサイトの見栄えを変更し、それから何千もの過去記事にすべて固定 URL を与えることのできる GetBITS CGI を導入した。TidBITS-500 ではより多くのコンテンツを表現できるようにホームページをデザインし直し、アンケート / クイズの機能を追加し、テキストバナーも導入した。さて、今回はどんな改良を皆さんは期待して下さっているだろうか?

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04179>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05588>
(日本語)TidBITS 400, /06-Oct-97
(日本語)TidBITS-J 500, 04-Oct-99

新しいメーリングリスト -- 2001年の 2月に、アンケートで皆さんに TidBITS を電子メールでどのような形で受け取りたいかについてお聞きした。予想通りに大多数の人が今のままで良いと答えてくれたが、15% の回答は HTML フォーマットで毎週号を受け取りたいというもので、また 10% はテキストまたは HTML フォーマットで短いアナウンスメント版を受け取りそこに含まれたリンクを使ってウェブ上の記事を読む方が良い、という答えだった。HTML フォーマットのフル版の方が希望が多かったのだが、特定の記事だけをウェブで読みたいという希望に答えるためにアナウンスメント版も必要だろうと我々は考えた。まずテキストのアナウンスメント版をデザインしてみてから、HTML フォーマットのフル版も作ってみて、これもかなり気に入った。結局最後にはすべてのオプションを実現させることにした。つまり、フル版もアナウンスメント版も、どちらもそれぞれテキストと HTML の双方のフォーマットで作ることにしたのだ。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06321>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbpoll=71>(日本語)アンケート結果:貴方の望む TidBITS の形式は?

いろいろプログラミングしてみた結果、Geoff はうまく必要なメッセージをデータベースから抽出するやり方を見つけ出した。それから私が何とか ListSTAR と Eudora Internet Mail Server を設定して購読申し込みの扱いと毎週の発行ができるようにした。これらの作業はとても複雑で手間のかかるもので、我々や何人かのテスターの人たちが問題点をすべてチェックしたつもりではあるけれども、まだちょっとした問題は残っているかもしれない。もしも何か問題に気付いたら、どうか教えて頂きたい。

これらの新しいメーリングリストの購読方法について説明する前に、この2種類の HTML フォーマット版についてちょっと説明しておきたい。もともと我々はテキストを主体とした出版のエレガントさと互換性の広範さを基本哲学としているので、どちらの HTML フォーマット版にも画像は一切含まれていないし、文字スタイルや水平罫線などの使用も最小限に抑えられている。互換性に関しては Entourage、Eudora、Netscape、Outlook Express (Mac 版および Windows 版)、PowerMail、それに Mac OS X ユーザーのためには Apple の Mail と、いずれも最新版についてテストしている。HTML の宿命として、これらのプログラムのそれぞれによって実際の表示(あるいは機能でさえも)異なることがあるので、全般的に最良の結果を得るためにいくらかの妥協をする必要があった。(この互換化の努力の中で非常に役に立ったテクニックがある。これは Microsoft に勤めているある友人から教えてもらったのだが、実は Entourage と Outlook Express はシンプルな HTML に対しては内蔵の高速テキストエンジンを使用する一方、TABLE や FORM のような複雑なタグを含む HTML に対しては低速ながらより高機能な Internet Explorer の表示エンジンを使用するのだ。)

これらの HTML フォーマット版の表示結果についてはおおむね満足のいくものと私は思っている。少人数のチームのテスターたちも、今のところ肯定的なレポートを寄せてくれている。しかしながら、皆さん一人一人のところで HTML がどう表示されるかを正確に推定することは不可能なので、もしもこの2つの HTML フォーマット版のどちらかを購読しようと思われるならば、初めの数週間の間は HTML フォーマット版がちゃんと働いていることが確認できるまでメインの setext 版の購読も続けておくことをお勧めする。さて、以上のことを前提として、各バージョンの購読方法は以下のとおりだ:

これらのメーリングリスト管理アドレスの名前には以前からの首尾一貫性が保たれていて、アドレスのうちの“on”の部分を“off”に取り替えたアドレスにメールを送ればそのリストの購読が中止できる。さらに、管理アドレスへのメールによる購読手続きよりもウェブベースのフォームによる購読手続きがお好みの方のために、こちらのウェブページでもそれぞれの購読手続きができるようになっている:

<http://www.tidbits.com/about/list.html>

(訳注: これらの新しいメーリングリストは、英語版の TidBITS のみが対象です。TidBITS 日本語版は、現在のところ「テキストフォーマットのフル版の購読」<http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/list-jp.html> と「HTML 版のウェブでの閲覧」<http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/> の2種類のみです。)

どのリストに購読手続きをした場合にも、2通の返信があなたの手元に届く。1通は ListSTAR があなたの依頼を受け取ったことの確認通知で、もう1通は我々の購読データベースにあなたの依頼が登録されたことの確認通知だ。もしもウェブページで購読手続きをした場合には、これら2通の他にもう1通、確認の返信を要求するメールが届く。これは第三者があなたの名前で購読・購読中止をするのを防ぐためのものだ。

最後に注意しておきたいのだが、もしもあなたが以前から TidBITS を購読していて、新しいこれらのフォーマットを欲しいとは思わないのならば、あなたは全く何もする必要はないのだ! メールによる TidBITS のテキスト版の配信は今後も以前と変わらず続けられるのであって、これをやめようという考えは我々には全く無い。今回の変更は、新たなオプションを希望する人のためにそれを提供しよう、というものであって、以前からあったものが無くなったり変わったりするようなことは、どこにも、誰にも、決して無いのだから。

新しいウェブ・データベースサービス -- 第 600 号にふさわしい改良はメーリングリストの新設だけではない。Geoff は TidBITS の記事データベースにいくつかの素晴しい新機能を追加してくれた。この新機能は特にアナウンスメント版の TidBITS の読者に頻繁に使ってもらえることになると思う。たとえば下記の URL を開くと、先週の長い記事、Mac OS X 10.1 についての記事のページが開く。まずはこのページを開いてみて欲しい。(訳注: 英語版のページのみです。日本語版のデータベースサービスはありません。)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06584>

このページに、今回3つの新しいアイコン(と付随したリンクのテキスト)が追加された。“Discussed in TidBITS Talk”、“Send via Email”、“Print Version”の3つで、これらはこのようなデータベースの各記事ごとのページの冒頭部分に登場する。

“Print Version”のリンクをクリックすると、新しいページが開いてその記事を特に印刷用にフォーマットし直したものが表示される。我々は誰にも負けないほど紙やインクやトナーなどの浪費が嫌いなのだが、TidBITS を印刷してコンピュータから離れた場所で読みたいという人々が多いことも知っている。そこで、この印刷用フォーマットでは、グラフィックスやナビゲーションバー、関連記事へのリンクなど、紙面の浪費につながるような要素をすべて排除してある。また、リンクの箇所も黒になっているので、インクジェットプリンタで印刷した時に間違ってカラーインクを使ってしまうことも無い。フォントやフォントサイズの指定も一切無くしたので、あなたのブラウザのデフォルトがそのまま使われる。変更したい場合にはブラウザのデフォルトを変えるか、または他のツール、たとえば Internet Explorer の Print Preview 機能を使えば紙の使用量を抑えることも可能だろう。さらに、必要ならばフォーマットを自由に変えられるように、この印刷用バージョンでは手軽にテキストをコピー&ペーストして他のプログラムに持って行けるように工夫がこらされている。

“Send via Email”のリンクからはフォームのページが開き、そこに必要な情報を入力すれば記事をあなた自身宛にでも、または他の誰宛にでもメールで送付することができる。該当する記事全体を HTML で送るか、または記事へのリンクを含んだテキストのみのメールを送るかが選べる。このメールにはあなた自身のメッセージを付けることができる。これは必須ではないのだが、あなたからこの記事がなぜメールで送り付けられたのかを受取人が充分理解できるように、メッセージはぜひ付けるようにお勧めしたい。

“Discussed in TidBITS Talk”のリンクについて言えば、これは該当する TidBITS Talk の討論記録が存在する場合にのみ現われ、それをクリックすれば現在の記事ページの末尾にジャンプする。今回からそこには現在の記事に関連のある TidBITS Talk の討論記録のリストが表示されるようになったのだ。リストの各項目ごとにメッセージ数と最終更新日付も表示される。(ただし現在の記事関連の TidBITS Talk の討論記事が無い場合にはリンクは表示されない。)各スレッド項目のリンクをクリックすれば、そのスレッド内の最初のメッセージが表示される。スレッド内での移動は以前と同じく、“next”“previous”の矢印で移動するか、または JavaScript を使ったポップアップメニューでメッセージ間をジャンプすることもできる。さらに、小さな書類アイコンをクリックすればスレッド全体が1つのウェブページに表示される。これは便利なのだが、スレッドが長くなるほどに大きく、遅くなりがちなのが欠点だ。最後に、忘れてはならないのが、現在の記事が比較的新しい場合に記事の末尾に表示されるリンクで、これをクリックすれば TidBITS Talk 宛の新規のメッセージをあなたのデフォルトの電子メールプログラムに作成させる。(私は TidBITS Talk 宛に投稿されたメッセージはすべて読んでいる。しかし、このメーリングリストをできるだけ有効に利用できるものにするため、投稿されたメッセージのうち実際にポストするのは 65% ほどにとどめている。)

TidBITS の多種同時配信 -- 私が以前からずっと大好きだった本の1つに、Dr. Seuss の絵本“I Had Trouble in Getting to Solla Sollew”がある。(これは子供から大人まであらゆる人に、特に苦境に打ちのめされたと思っている人にはお勧めの本だ。)この本の中の一節に、“Some times you are winners. Some times you're losers. We can never win against so many Poozers.”(「ときには勝つこともあるよね。ときには負けることだってあるさ。ぼくたち、いつでも勝つわけにはいかないんだよ。こんなにいろんなやつらが相手じゃあね。」)という箇所がある。TidBITS のウェブ上でのアップデートの新しい方法をサポートしようと試みる度に私が感じてきたのは、ちょうどそんな感じの気分だった。

<http://www.amazon.com/exec/obidos/ASIN/0394800923/tidbitselectro00A/>

最初に我々が試してみたのは Intermind Communicator で、これは我々「ご用達」の製品の最初のものの1つだったのだが、やがてこれは業界の2大巨人、Microsoft と Netscape の圧倒的な力の前にあえなく消え去ってしまった。その後我々は、長いものには巻かれろ、というわけで TidBITS を Microsoft の Channel Definition Format (CDF) フォーマットで発表し始めた。けれどもこのフォーマットはデザインのアイデアそのものが良くない上に Internet Explorer への実装もまずく、結局日の目を見ることもなく業界のゴミ箱に葬られてしまった。実のところ、我々は今でも CDF フォーマットを使っている。何年も前に TidBITS の発表方式を自動化した時、その過程でこのフォーマットを使うことにしたためで、その後別にこの過程を変更すべき理由も見つからなかったからである。ウェブのログファイルでチェックしてみたところ、現在でもまだ数人の人たちは旧バージョンの Internet Explorer を使って TidBITS を CDF フォーマットで読み続けているようだ。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=00850>(日本語)Intermind Communicator − コミュニケーションしよう
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05051>(日本語)本物の TidBITS チャンネル

この2回の失敗に懲りて、私は新しいフォーマットへの移植の努力をすることに怖じ気づいてしまった。今日では、どうやらフォーマットの勝者は RSS (Rich Site Summary) になっているようだ。これは XML に基いた言語で、頻繁にアップデートされるウェブ出版のコンテンツを表現するために開発されたものだ。実際これは CDF とよく似ている。ただ、CDF が結局人気を博することができなかったのと対照的に、RSS は、UserLand と Netscape の支持と応援を得て、今日では多数の各種サイトで採用されている。というわけで、何年も前に私が手がけて然るべきだったところだが、やっと今回、私が RSS ファイルを作って、Geoff が我々のデータベースにきちんと手を入れてくれ、自動アップデートが実現したのだ。

<http://www.tidbits.com/channels/tidbits.rss>

たいていの状況では、ユーザーが直接 RSS ファイルを使う必要はない。それよりも、My.UserLand.Com、O'Reilly の Meerkat、それに NewsIsFree といったコンテンツ収集サイトがニュース見出しや(場合によっては)記事の短い要約などを RSS ファイルとして収集し、それを読者に提供する、という使い方が一般的だ。あなたが自分の Mac でコンテンツ収集ソフトウェア (AmphetaDesk) を走らせてウェブブラウザで好きな RSS チャンネルを読むようにすることさえできる。

<http://my.userland.com/>
<http://www.oreillynet.com/meerkat/>
<http://www.newsisfree.com/>
<http://www.disobey.com/amphetadesk/>

TidBITS は My.UserLand.Com と NewsIsFree に登録されているので、これらのサイトに行けば数え切れないほどの他のものに混じって TidBITS の記事の見出しを見つけることができる。(Meerkat は UserLand とか、また別の RSS フィード・コレクションの xmlTree とかから新規の RSS フィードを抽出できると主張しているが、TidBITS は Meerkat にはまだ登場していないようだ。)

<http://my.userland.com/viewChannel$4670>
<http://www.newsisfree.com/sources/info/2442/>
<http://www.xmltree.com/dir/viewResource.html?urlID=538815>

RSS ファイルとしての出版が我々のウェブサイトへの接続量を大きく増やしてくれるかどうか、私には何とも言えない。当然、コンテンツ収集サイトでニュースを得る人々が TidBITS の見出しに遭遇してくれるようになるまでには時間がかかるだろう。我々にとって不利な点は毎週の記事の数が比較的少ないということだ。見出しのみのリストなのだから、当然記事の個数の多いものがより注目を集めるわけだ。しかし、本当に大切なのは読者の数なのではない。大切なのは、いろいろな方法を使ってできるだけ情報を入手しやすいものにすることなのだ。TidBITS を読むその他の方法、たとえば AvantGo チャンネル、ハンドヘルド版、Dave Charlesworth が管理してくれている Palm DOC 版、そしてさらには有難くも大勢のボランティアの翻訳者たちの力によって成り立っている多数の言語への翻訳版も、すべてこの大切な目的に寄与してくれているのだ。

<http://www.tidbits.com/about/handheld-edition.html>
<http://www.additional.com/community/palm/>
<http://www.tidbits.com/about/translations.html>

TidBITS の新世紀に向けて -- TidBITS-700_ は、何をもたらしてくれるだろうか? ほぼ2年後のことだから、現在とその時との間に物事がいかに変化を遂げるのかを予見することは私にはできない。その頃にはすでに我々が伝統的な Mac OS システムには別れを告げている、ということも充分に考えられる。(ことに、ハードウェアの買い換えが安価にできるようになりつつある現状ではなおさらだ。)でも一方では、壊れていないシステムを取り替える気にはならないのも、我々の正直な気持ちだ。また、コンテンツ出版というもの自体も、その頃には大きくパラダイム変貌を遂げているかもしれない。しかし、私の心のどこかでは、今我々が暮らしているこの出版界の片隅の風景がそんなに大きく変わることはないさ、という気もする。まあ、いずれにしても、たとえ我々がこれから2年間、相も変わらずに同じことを続けていたとしたところで、それでもいいじゃないか。この仕事が楽しくて、しっかりと働くことができ、そして読者の皆さんが望む記事を作り出してゆけるのならば。


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Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2005年 12月 26日 月曜日, S. HOSOKAWA