Mac OS X の音声認識について考えたことはある?デジタルビデオにお熱?Unix プログラムを Mac OS X で動かすのに四苦八苦?この号で入門しよう。Matt Neuburg による IBM の ViaVoice for Mac OS X に関するレビュー、Jeff Carlson によるディジタルビデオへの誘い、そして Chris Pepper による Mac OS X でどのようにして異なった種類のプログラムが稼働するのかについての考察の第二回目。ニュースでは、Snapz Pro X 1.0.2 と BBEdit 6.5.2 の小さなアップグレードに関して扱う。
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さらなる機能強化とバグ修正を載せて BBEdit が 6.5.2 に -- Bare Bones Software 社は同社の高性能テキスト/HTML エディタ、BBEdit のマイナーアップデートを行ったバージョン 6.5.2 をリリースした。今回実装された新機能には検索がエラーとなった時の通知の改善、HTML の文法チェック機能の強化、階層リスト表示での type-to-select 機能のサポート、CSS ファイル内のコメント入力のサポートおよび Aqua インターフェース制御の改善数点が含まれる。また多くのバグも修正された。ほとんどはマイナーなものだが、特殊な状況(例えば一つないしは複数の名称未設定ウィンドウを対象とした Find All 検索を行った検索結果に対して、異なる検索文字列で再び Find All 検索を行うなど)で異常終了を起こす可能性のあるバグも数点修正されている。このアップデートのダウンロードサイズは 7.8MB、無料で提供される。 [ACE](蒲生)
<http://www.barebones.com/products/bbedit.html>
<http://www.barebones.com/support/bbedit/bbedit-notes.html>
<http://www.barebones.com/support/bbedit/bbedit-updates.html>
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数々のバグが修正された Snapz Pro X 1.0.2 -- スクリーンショットを Mac OS X で撮る必要がある人たちにとって真にプロ仕様のツールは今のところ Ambrosia Software 社の Snapz Pro X しかない。Snapz Pro X には複数のファイル形式のサポート、スクリーン上のオブジェクトを簡単に選択できる機能、スクリーンショットのファイル名自動生成機能およびユーザが指定した場所へのファイル保存など、多くの人を満足させる機能が搭載されている。このほど Ambrosia Software 社は Snapz Pro X のマイナーアップデートである 1.0.2 をリリースした。このアップデートでは Final Cut Pro から起動されると異常終了してしまう問題が修正され、QuickTime で提供されるいくつかのファイル形式については必要に応じてインデックスカラーフォーマットで保存するようになっている。さらにフィンランド語と繁体字中国語のローカライズおよびスペイン語のドキュメントも整備された。いくつかのバグは未だ修正されていない。たとえば Color メニューでグレースケールパレットに変更したとき、Snapz Pro X は各ピクセルをグレースケール相当の色に変換したうえでインデックスカラーフォーマットとして保存してしまう。また、マウントされていないネットワーク上のディスクを保存先フォルダに指定している状態でスクリーンショットを撮ると Mac OS X そのものがフリーズしてしまう(これについては Mac OS X にも一部非がある)。登録ユーザはこのアップデートを無料でダウンロードできる。ダウンロードサイズは 13.1MB だ。 [ACE](蒲生)
<http://www.ambrosiasw.com/utilities/snapzprox/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06546>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06620>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=00696>(日本語)Snapz Pro X:Mac OS X 用スクリーンキャプチャ
(日本語)Snapz Pro X 1.0.1 は機能と互換性を追加
(日本語)はい、チーズ! Snapz Pro
文: Matt Neuburg <matt@tidbits.com>
訳: Mark Nagata<nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
連続的音声認識プログラムの目的は、コンピュータでタイプする作業のすべてを口述で実現できるようにすることだ。1999年の 12月に、IBM が Mac 用としては初めてのそうしたプログラムを発表したが、当時の段階ではほとんどのユーザーの口をついて出るのは口述よりも不満の叫びの方が多い、という状態だった。この ViaVoice Millennium Edition は巨大で、醜く、不器用で、のろく、人をまごつかせる代物だった。句読点の打ち方はデタラメ、大文字・小文字の使い分けも間違いだらけだった。添付されていたワードプロセッサ、SpeakPad ではテキストの選択さえまともにできないありさまで、Mac など見たこともない、SimpleText のクローンを書くことさえもできないような連中が片手間にこしらえたんじゃないか、と思ってしまうようなものだった。というわけで出だしは順調という訳にはいかなかったが、しかし、数ヵ月後、ViaVoice Enhanced Edition の登場によって事態はぐっと好転した。このバージョンには依然として荒削りのところも残ってはいたが、注意をもって辛抱強く使いさえすれば、書類の打ち込みの初稿を作るためには充分実用に耐えるものだった。
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05703>(日本語)IBM が音声認識ソフト ViaVoice を出荷開始
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06085>
2001 年の初めに Mac OS X が発表された時、ViaVoice は Classic アプリケーションとして動作することができなかった。ユーザーたちは Mac OS 9 で起動し直すか、あるいは Mac OS X ネイティブ版が出るまで、と思ってじっと我慢するかしかなかった。夏になって IBM が Mac OS X ネイティブ版のプレビューを発表した時にはみんな胸を撫でおろしたが、それも間もなく怒りの声に変わったのだった。IBM が、ViaVoice for Mac OS X の価格は $170、前バージョンからのアップデートもその定価の大部分に相当する料金を課する予定にしていることが露見したからだ。
さて、今回は良いニュースが2つある。1つは、IBM がアップグレード価格に関する方針を変更したことだ。Enhanced Edition のオーナーは Mac OS X 版を無料でダウンロードできる。または、CD-ROM 版を $6 で購入することもできる。(印刷したマニュアル付きの $20 版もある。)Millennium Edition のオーナーには定価から $40 のキャッシュバックがある。ただしこれは 2002 年 5 月 4 日までのみの限定となっている。もう1つのニュースは、先のクリスマス直後に発表された ViaVoice for Mac OS X が、前バージョンよりもはるかに進歩した内容だということだ。見栄えも使用感もまさに Mac OS X ネイティブ、驚くほど正確な動作、その上、どんなアプリケーションの中でもタイプすることが可能で、Command キーショートカットを動作させることも可能になっている。
<http://www-3.ibm.com/software/speech/macrebate/eeosx-rebate.html>
<http://www-3.ibm.com/software/speech/macrebate/osx-rebate.html>
全般的に向上 -- 確かに、私の好意的な反応は Mac OS X 自身に由来する美的かつ組織的な変更の結果に過ぎないのかもしれない。当然ながら私のコンピュータが今やとても安価になった RAM やハードディスク容量をたっぷりと装備しているということもある。(そうでなければ、もともと Mac OS X を使うはずもない。)さらに、アプリケーションがその実体はフォルダだったり、バックグラウンドで多数のプロセスがこっそりと走っていたり、そこらじゅうに多数のファイルがこっそりとばらまかれたりといった、これまでの Mac OS 8.6 や 9.0.4 では ViaVoice のそうした動作に嫌な感じを受けていたものが、Mac OS X になって、当然のこととして慣れてしまったこともあるだろう。
それでも、ViaVoice のコマンドウィンドウは完璧に Aqua 的で、その妙な形も、ドロップダウンの引出しも、艶消しメタルの 3D のルックスも、水玉のような丸いボタンも、ぴったりとハマっていることは疑いない。SpeakPad はほとんど TextEdit と同じに見える。さまざまの補助的ウィンドウも概して的確な動作をし、ほとんどが標準のウィジェットで構成されている。一言で言えば、インターフェイスは好感の持てないところはほとんど無い、ということだ。さらに、ViaVoice の音声認識動作が驚異的な正確さと堅牢さを備えるに至ったことには異論の余地が無いと言えるだろう。口述とコマンドとが区別されるようになったことも大きい。この区別はモードの切り替えによってもできるし、また呼称(例えば“Computer”)をコマンドの前に付けて発音することによってもできる。しかし本当の進歩はそんなことには止まらない。現実に私はいくつものパラグラフを次々に口述して、エラーが1つもない、ということを始終経験している。私が Macworld Expo で ViaVoice のデモをした時も、聴衆の大声の笑い声や、時折の拍手喝采といったバックグラウンドノイズにもかかわらず、ViaVoice は1つの間違いもなしに動作してくれた。
どんなアプリケーションでも口述ができるという ViaVoice の今回の新機能は、これまでは MacSpeech の iListen だけの機能だった。しかし iListen にはまだ Mac OS X 版は発表されていない。ViaVoice Enhanced では、口述は決められた少数のプログラムの中でのみ可能だったし、またタイプ内容の口述と、その後の修正や編集のためのボイスコマンドとの整合性を得るのは非常に困難だった。今回のバージョンで、IBM は賢明にもこのやり方を変更して、その代わりに修正や変更は SpeakPad の中でのみ可能、という風にしたのだ。つまり、SpeakPad 以外のアプリケーションにおいては ViaVoice は口述タイプができるだけなのだ。その結果 SpeakPad 以外では ViaVoice に修正機能による学習をさせることが不可能になったのだが、もともと正確度が非常に高くなっていることもあって間違いを修正する頻度は低い。さらに、今回から ViaVoice は Command-キーショートカット(グローバルなものも、アプリケーション固有のものも可能、ちょうど QuicKeys と同様)も使え、また AppleScript のスクリプトを走らせることもできるようになった。これらの機能を組み合わせれば、たいていのアプリケーションを効率良く操作することができる。例えば私の Macworld Expo でのデモでは、私は ViaVoice を使って Eudora を起動させ、新規メッセージを作り、私の両親のアドレスを宛先に書き込み、題名を書き、tab によってメッセージ領域に移り、手紙の文章をタイプし、それを保存し、最後に Eudora を終了する、という一連の作業を、すべて全く手を使わないでやってみせたのだ。
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06258>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06603>(日本語)MacSpeech に語りかけよう
(日本語)QuicKeys X: 幽霊の再来
まずい所もある -- ViaVoice には改良すべき問題点もいくつか残っている。修正ウィンドウが時々前面に来なかったり、私の手をかすめて逃げ回るようなこともある。マイクのスイッチが予期せずオンになってしまうこともある。例えば SpeakPad がテキストを朗読してくれた後、のような場合だ。ViaVoice は依然として句読点の後の空白の取り方がおかしい。殊に、修正中にはそうなりがちだ。マニュアルは「安っぽい」ものではなくなったが、それでも技術的なことについては情報が少なすぎる。例えば何がどこにインストールされたかとか、AppleScript との統合のやり方、といったことだ。また、ボキャブラリの情報管理は依然として不可能で、例えばコンピュータとか料理とかの専門辞書は付いているのだがどんな単語がどの辞書に入っているのかを知ることはできない。
それでも、今回のバージョンで IBM が ViaVoice をはっきりと新世代のものとして進化させたことは間違いなく、これまでの「何とか使える」から一歩進んだ、「使って楽しい」ものに仕上がっている。あなたが、SpeakPad に口述して自叙伝を書き上げようとしているにせよ、あるいは Eudora にタイプする際に時折手を休ませたいと思っているだけにせよ、ViaVoice があなたの Mac OS X 用必須アプリケーションの列に加わる資格を持ったということは、確かだろう。
IBM ViaVoice は、UFS ではない Mac OS X 10.1 のインストールを要し、ブートパーティション上に数百メガバイトのディスク容量の空きと、ありったけの RAM とを必要とする。300 MHz G3 またはそれ以上のプロセッサが必要で、速ければ速いほど良い。PowerPC G4 チップでの方が PowerPC G3 でよりもうまく動作する。また、1998年 8月以前のマシンや、アップグレードカードのマシンはサポートされていない。
<http://www-3.ibm.com/software/speech/mac/osx/>
文: Jeff Carlson <jeffc@tidbits.com>
訳: 亀岡 孝仁 <tkameoka.fjk@spininternet.com>
わが TidBITS においては、Mac 用の最新のハードウェアとソフトウェアがリリースされるのと歩調を合わせて行こうと努めている。最近の例でいえば、基調講演直後に iPhoto と新しいフラットパネル iMac についてお伝えしている。そうではあっても、たまには市場に出てから結構時間がたっているものを取上げるのも意味のあることではないかと思う。iMovie 2 が 2000年7月にリリースされ、それ以降の FireWire 対応可の Mac には(そして Mac OS X 10.1 にも)無償で含まれてきたのにもかかわらず、私自身はこれにあまり注意を払ってこなかった。それがデジタルビデオカメラの購入ですっかり事情が変ってしまったのである。つまり、それまではハードディスクのスペースを食っているだけの代物だった iMovie 2 アプリケーションが、私の撮った生のビデオを友人や家族に誇りを持って見せられるレベルに変換できる手放せないツールに様変わりしたのである。
<http://www.apple.com/imovie/>
Apple は iMovie をそのデジタルハブ戦略の鍵となる要素の一つとして位置付けてきた。そこでは Mac がデジタル機器の中心に据えられている。私の場合の引き寄せられ方は逆であった:以前はビデオカメラには抵抗してきた私に、去年アラスカの旅に発つ前にデジタルカムコーダを買おうと決心させたのは、Apple の使いやすいビデオ編集アプリケーションがあったからである。もし同じ様な状況にいる人にも、或いはただ単に自分自身のムービーを撮ったり編集したりについてもっと知りたいという人にも、デジタルビデオの世界とそれを始めるには何が必要かについての簡単な解説にお付合い願いたい。
ゴー・デジタル -- もしまだ一台もカムコーダをお持ちでないなら、ひとつ奮発をしてデジタル型を買ったほうがいい。アナログ型は数百ドルも安いのが普通だが、作業すべてを無理なくこなす鍵となるものが欠けている:それ自体がデジタルフォーマットの FireWire による簡単なビデオデータの転送である。FireWire ポート(あるいは IEEE 1394 ポート、Sony のカムコーダでは i.Link ポートと呼ばれている)を有しているデジタルカムコーダであれば、カメラから Mac へのビデオの転送は単に正しいケーブルでその間をつなぐだけで出来る。(しかしながら、このケーブルは別個に購入しなければならないと思った方がいい。片端は 6ピンの標準の FireWire コネクタで、カメラにつながるもう一つの片端はもっと小型の 4ピンコネクタがついている;このケーブルは多くのコンピュータ店や電気店で $10 から $50 の間で売られている。)もしすでにアナログ型のカムコーダを持っているというのであっても、全く縁が切れたわけではない:Dazzle 社の $300 の Hollywood DV-Bridge のようなアナログ・デジタルコンバータがある。しかし私の限られた試験の結果からいえば、その品質は元々デジタルにはかなわないし、それに Mac へのビデオ転送にさらにもう一つのステップを追加することでもある。(さらにいえば、この $300 を足して新しいデジタルカムコーダを買うほうが経済的には意味があると思うが、この Dazzle は、古い VHS テープをデジタル化するのにも重宝である。)カムコーダの中には、カメラ内でアナログからデジタルへの変換を出来る機能を持ったものもあり、とりわけ Sony からは数点出されている。
<http://www.smalldog.com/product/38541>
<http://www.dazzle.com/>
<http://www.sonystyle.com/digitalimaging/H_Camcorders.shtml>
デジタルかアナログかの論議は決着がついたとして、次に重要なのはどのカムコーダを買うかである。当然のことながら、品質も値段も家庭用からよだれの出るプロ用まで大きくわかれているので、Active Sales Assistant のようなモデル毎の比較が出来るサイトでチェックをするのもいい考えである。そこでまず出くわすのがデジタル記録形式である。これには Digital 8, MiniDV, そして最新の超小型の Micro MV がある。現在の標準は MiniDV であり、2インチ x 2.75インチのテープで 1時間の録画が出来る;もっと低速で録画すれば 90分までのばすことも出来るが、時間をのばした分品質が犠牲となっている。将来のデジタルカムコーダはハードディスクに直接録画するようになると思われるが(もしやろうと思えば、現にカムコーダから Mac に直接録画するようにセットアップは出来る)、今のところデジタルビデオに必要な膨大なデータを記録するにはテープが最適のメディアといえる。アナログテープとは違い、MiniDV フォーマットは繰返し録画を繰り返した後でも画質は保たれるので、今日撮った録画は VHS テープ(これはあなたの居間の棚の上で音もなく静かに朽ち続けている)よりずっと長持ちするはずである。
<http://www.activebuyersguide.com/>
私の旅のためには、家庭用そのもので持ち運びしやすく、使いやすくかつビデオを Mac に簡単に転送できるものを探していた。それも大急ぎで。というのも出発までには数日しか残っていなくてとてもすべての選択肢について調べている余裕はなかった。地元の写真屋でアナログとデジタル両方のカムコーダを試してみた後、Canon ZR20 を選んだ(小売価格は約 $700 だがもっと安い値段も見つかるはず - お好みの値段比較サイトでチェックしてみるべし)。
<http://www.canondv.com/zr_s/zr20/>
<http://www.dealnews.com/>
<http://www.macbuy.com/>
画質 -- 何百万画素という単位で計れるデジタルの静止画の画質と較べると、デジタルカムコーダの画質はちょっとお粗末といえるようだ。たいていの家庭用機器は単一 CCD(Charge-Coupled Device)構成でおよそ 290,000ピクセルの画像をとらえる。しかしながら、カムコーダはインターレース走査といわれる方式で録画するので、一枚のフレームの中では水平走査線は一つおきにしか記録されない。(テレビ放送もほぼ同じ方式を採用している。)
最近のカムコーダは静止画を他のメディア(通常は CF カードか Sony の メモリースティック)に保存できる機能を宣伝している。この方式の利点はプログレッシブ走査画像といわれる非インターレース方式を用いているのでより沢山の画像情報が捕捉されることである。カムコーダの中には別個の記録メディアなしでこの機能を提供しているものもあるが、これはまず役に立たない;静止画は MiniDV テープ上にその画像を 5秒間録画することで記録される(この間音声はそのまま連続して録音されるので、画面上の映像は静止していても人の話し声が聞えるということにもなる)。解像度は低いし、それに同じことが iMovie の中でもっと自由度をもってフレームを静止画として取り出すことができる。個人の好みを言えば、静止画にはデジタルカメラを使いビデオ撮りはカムコーダに任せたい。
音声 -- 私の Canon ZR20 に関して気になっていることの一つが、備え付けのマイクロフォンがテープのモータの上についていることである。このため、静かな環境の中で撮影していると、マイクロフォンがモータ音を拾ってしまうのである。ほとんどの場合これが問題にはなっていないが、もし My Dinner With Andre を作り直そう [訳注:夕食する男二人の会話シーンがほとんど] などと思っているなら、外付けマイクで代替することを考えた方がいい。クリップオンで首の周りに取りつけるやつとか、カメラの上部にクリップオンできる指向性マイクとかがある。そこそこのカムコーダならばどんなものでもマイクロフォンを接続できるポートがついているはずである。
デジタルビデオを撮り、それを iMovie で編集することの柔軟性と自由度に私がどれだけ深くはまってしまったかの証は、それを本に書いてしまったことである:iMovie 2 for Macintosh: Visual QuickStart Guide である。次の回にはこの本を書きながら拾い上げた撮影と編集に関するヒント裏技をお教えする。
<http://www.amazon.com/exec/obidos/ASIN/0201787881/tidbitselectro00A/>
文:Chris Pepper <pepper@reppep.com>
訳:倉石毅雄 <takeo.kuraishi@attglobal.net>
この記事の前編Mac OS X: 異種のプログラムが同居−その1では、Mac OS X で作動する五種類のプログラムのうちの Classic、Carbon、Cocoa の三つを取り上げた。これらは最近の Mac OS X で作動するプログラムの大半で使用されるため、重要である。これら三種類の API (アプリケーションプログラミングインターフェース)は Apple 独自のものであるため、Mac OS 上でしか使用できない。そこで、Apple は Macintosh ユーザやディベロッパにとってこれらが生産的で使い易い環境となるよう、日々努力している。だが、Mac OS X は一般に公表されている Unix と Java の API をもサポートしている。これらは多機種に対応している数え切れない数のプログラムをも使用可能にし、その中には Classic、Carbon、Cocoa のいずれでもまだない種類も多い。Java は次編にとっておいて、今週は Mac OS X で作動できる幅広い種類の Unix アプリケーションだけを取り上げたいと思う。
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06694>(日本語)Mac OS X: 異種のプログラムが同居−その1
Mac OS X の中核は完全な Unix システムである Darwin だ。Mac OS X を起動すると、Darwin が立ち上がり、HDD を見つけてマウントし、仮想メモリを起動して、数々のプログラムを走らせ始める。これらのプログラムのいくつかはログインウィンドウや Finder のように Carbon や Cocoa のアプリケーションだが、他は Apache Web サーバのように標準的な Unix のプログラムだ。
Unix プログラムの種類 -- Unix プログラムには色々な種類があり完全にインタラクティブなアプリケーションの数に較べて、コマンドラインから走らせる微小なユーティリティや、インタラクティブではないサーバプログラムのほうが圧倒的に多い。実は、Unix のコマンドラインでタイプするコマンドのほとんどは小さなプログラムなのだ。これはダブルクリックしてではなく、コマンドラインから起動するコマンドだけであるが。Mac OS X の Unix コマンドラインを使用するには、Applications フォルダ中の Utilities フォルダ内の Terminal アプリケーションを起動する。“ls”と(引用符無しで)タイプすれば、現ディレクトリ中のファイルの一覧を表示するプログラムが走る。これは新しいウィンドウを開いたときに Finder が行うのとほぼ同じ事だ。他の中核コマンドでは、テキストファイルを表示する“more”や、“manual pages”と呼ばれるオンラインのヘルプを表示する“man”などがある。コマンドについて知りたければ、“man ls”、“man more”、そして“man man”などとタイプしてみると良い(一旦 man を開始したらスペースバーを押して次ページに行き、q とタイプして終了する)。Unix のどのバージョンにも、このようなコマンドラインのユーティリティが何百と含まれる。一覧を見たければ“ls /usr/bin”とタイプしてみれば良い。これに圧倒されてはいけない。オンラインのヘルプだけから Unix を学ぶことも出来るが、Unix についての本はもちろん、何百冊も出ている(そのうちのいくつかは昨年の TidBITS のギフト号で推薦されていた)。
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06657>(日本語)2001年末ギフト提案: ハードウェア
これらのプログラムのほとんどは Mac アプリケーションに較べて単純で小さい。コピー、削除、ファイル一覧はそれぞれ別の Unix コマンド(cp、rm、ls)だ。それと比較して、Finder はこれらだけでなく、はるかに多くの機能を一つのアプリケーションに内蔵している。/usr/bin に所在するプログラムのいくつかは完全なインタラクティブなアプリケーションで(グラフィックではなく、テキストベースではあるが)、例えば、vi や emacs テキストエディターのように独自のユーザインターフェースを持っている。
コマンドラインからのツールに加え、Unix システムは数多くのサーバプログラムを持っている。その中で一番良く知られているのは Apache Web サーバだろう。Apache はバックグランドで姿を見せずに走り、Web ブラウザのリクエストに応対し、その活動をログファイルに記録してゆく。この方法は、インターフェースが前面に押し出されて、裏の部分はそのインターフェースからのリクエストに応じるためだけにあるという、典型的な Mac アプリケーションとは全く逆だ。Mac OS 9 でもこのように姿の見えないプログラムはあったが、Unix システムでは普通で(そして必須なので)ある。
完全な機能を揃えた Unix アプリケーションは、グラフィックインターフェースには X11 Window System (X Windows とよく呼ばれる)を使用している。Carbon、Cocoa、や Classic でのテキストやグラフィック表示を担当している Quartz や QuickDraw 画像表示システムに較べ、X11 は原始的に感じられるかもしれない。だが、X11 は多くのシステムで使用でき、機種に依存しない開発を可能にする。X11 ウィンドウマネージャの選択肢も非常に多いため、Apple のカスタムオプションを遥かに上回る柔軟性がある。さらに、X11 はネットワーク環境のために設計されている。X11 プログラムはインターネットを経由して(異なったオペレーティングシステムを使用していようが)遠隔 X11 システムにすらウィンドウを表示できる。だから、X11プログラムは Timbuktu のような機能の多くを生まれつきにして持っている。X11 は Mac OS X には含まれてはいないが、無料や市販のバージョンも入手できる。
<http://www.netopia.com/software/products/tb2/>
<http://sourceforge.net/projects/xonx/>
<http://www.tenon.com/products/xtools/>
Unix プログラムの入手とインストール -- Unix の素晴らしい点の一つは無料で手に入るプログラムの数の多さだが、これと平行して複雑さも出てくる。プログラムは通常、(Motorola 680x0 上で Apple の System 7 や、Intel の Pentium シリーズプロセッサ上で Linux 2.2 など)特定のプロセッサとオペレーティングシステム用にコンパイルされるため、Unix は大抵の場合、多種のオペレーティングシステムとプロセッサの組み合わせでコンパイルできるソースコードのキットとして配布されている。ディベロッパは全ての組み合わせに対して検証は出来ないため、Macintosh やWindows のソフトに比べ、Unix ソフトはプラグアンドプレイからはほど遠い。さらに困ったことに、あるシステムで作動するためには、Unix プログラムのソースコードの調整が必要になる場合が多い。この調整作業のことを移植という。普通のユーザはプログラムを使用する前にその移植などしたくない(というよりは多くの場合、出来ない)。そのため、Unix のデベロッパは自分たちのソフトが広い種類のシステムで作動するよう、かなりの労力を費やす。それでも、特に Mac OS X のような新しいオペレーティングシステムなど場合、必ずといって良いほどどこかに穴が見つかる。
この問題に対処するため、Unix の世界では移植とインストールを単純にするパッケージマネージメントシステムを使用している。Red Hat の RPM などはコンパイル済みのパッケージをインストールするが、この方法はサイズがかさばるのと、バージョン依存による混乱のため、問題がある。他では Debian GNU/Linux の dpkg ユーティリティはソフトのコンパイルに自動手法を使用してソースコードの移植を行う。具体的にはソースパッケージから始め、展開し、指定された変更を加え、指定のコマンドでコンパイルし、別のコマンドでインストールし、などなど。自動的なソースコード移植は、コンパイル済みバイナリのパッケージにつきもののサイズ肥大は問題ではなくなるが、逆にユーザが開発用ツールを持っているという条件がつく。Unix では当たり前なのだが、Developer Tools CD-ROM を手に入れずに Mac OS X 10.1 へアップグレードした人が多い Mac OS X ではそうでない。Mac OS X 開発用ツールは無料でダウンロードできるが、200 MB を超えるサイズでは多くの人にとっては現実的ではない。実際には、多くのパッケージマネージメントツールは双方の手法の組み合わせを使用して、両方の良い点をとり入れようとしている。
Mac OS X ではいくつかのパッケージマネージメントツールがあるが、そのうちではDebian GNU/Linux の dpkg の応用版である Fink が一番だ。分かりやすい説明が提供されており、ユーザが Unix ソフトのコンパイルやインストールの詳細を理解していなくても、数多くの Unix プログラムをインストールできる。ソフトを削除する際にはきれいに出来ないことが多いのだが、Fink はソフトをそれ自体のディレクトリにインストールするため、完全に削除できる。Fink はソースのみとバイナリとソースの組み合わせのバージョン双方がある。双方とも広い種類の Unix プログラムをコンパイルでき、バイナリ配布版には人気のあるソフトのコンパイル済みバージョンが多数含まれている。Fink のすごい点は、ある Unix プログラムを Mac OS X への移植のやり方を誰か一人だけが解明してそれを提供すれば、それ以降は誰でも同じソフトをその手順に従って自動的に Fink にインストールさせることが出来るという点だ。
<http://fink.sourceforge.net/>
Unix やそのアプリケーションを直接使用することを使用を避けたい Mac ユーザのためには、プログラマ達は特定の Unix 機能を管理するためのグラフィックアプリケーションを作成している。Mac OS X に内蔵されている ipfw ファイアウォールに Aqua インターフェースを提供する Brick House や、TidBITS の Matt Neuburg からの Unix vm_stat を使用して自動的に RAM 使用状況を表示する MemoryStick などがある。他にも Mac OS X の Aqua 環境で Unix のパワーを使えるようにする ShellShell や DropScript などの一般的なツールがある。ShellShell はユーザのために、グラフィックインターフェースから Unix コマンドラインを生成し、走らせ、結果を表示する拡張可能なツールだ。独自の機能設定言語を使用しており、作者 Robert Woodhead は ShellShell で使用するためのモジュールを他の人達も提供するよう呼びかけている。Wilfredo Sanchez の DropScript は違う手法を使っている。ユーザはまず Unix シェルコマンドを含むスクリプトを DropScript 上にドロップして、スクリプトから新しい Cocoa アプリケーションを作成する。DropScript が作成したアプリケーション上にファイルをドロップすると、コマンドをユーザがタイプしたかのように元のシェルスクリプトによって処理される。このように DropScript は、Finder からファイルの圧縮やバックアップなどの操作をするためのコマンドラインプログラムを提供出来る簡単な方法だ。
<http://personalpages.tds.net/~brian_hill/brickhouse.html>
<http://www.tidbits.com/matt/#cocoathings>
<http://www.madoverlord.com/Projects/SHELLSHELL.t>
<http://www.advogato.org/proj/DropScript/>
最後に、市販の Unix プログラムがある。大抵の場合、Mac や Windows 版に比べてはるかに高価だが、同時にもっと高性能の場合もある。これらのハイエンドのディベロッパにとっては、Mac OS X は OpenGL グラフィック(OpenGL は機種共通の 3D グラフィック速度アップのための API だ)をサポートする使い慣れた Unix ベースの環境を提供する。これによって Alias Wavefront の Maya などの移植が楽になる。Maya は上映用の映画製作にすら使用できるアニメーションプログラムだ。Mac OS 9 への移植は不可能だったろうが、Mac OS X の Unix 基盤のおかげで、現在、Mac で使用できる。
環境に優しい Mac OS X -- Mac OS は伝統的に独自のものであったが、Mac OS X の Unix 基盤のおかげで、新しいアプリケーションや用途に道が拓かれた。いくつかはコマンドラインツールやサーバのような伝統的な Unix アプリケーションから来ているが、それだけではない。Brick House などのような Unix ツールにグラフィックインターフェースを提供するプログラムのおかげで、Mac ユーザは訳がわからないコマンドラインを使用しないでも Unix のパワーをフルに活用できるようになった。ディベロッパも Mac プログラムに Unix のパワーを活かしつつある。例えば Interarchy は Mac OS X に組み込まれた ssh を活用し、BBEdit はシェルスクリプトを直接実行できる。そして最後に、Maya のようなハイエンドの Unix プログラムが Mac に現れつつある。それでも、Mac OS X の Unix はどう出るか分からない。Unix はテキスト操作、ネットワーク、プログラミング、共同作業、そしてセキュリティにおいて広い能力と柔軟性を提供するが、これらの能力がどのように Mac で、そして Mac プログラマーによって利用されるか、楽しみだ。
続編Mac OS X: 異種のプログラムが同居−その 3に続く
[Chris Pepper はニューヨーク在住の Unix システム管理者だ。彼の仕事上の Unix システムのための管理ワークステーションとして Mac OS X がこんなにも便利だという事実を、彼は嬉しく思うと同時にかなりの驚きの念をもって迎えている。Chris はまた、Interarchy や Apache Group など、いろいろなソフトウェア関係の著作の仕事もしている。]
<http://www.reppep.com/~pepper/>
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, , 日本語版最終更新:2005年 12月 26日 月曜日, S. HOSOKAWA