デジタルカメラが舞う、しかし我々の多くは写真プリントするのはどの方法がいいか迷ってしまう。でももうその心配は無用。Alex Hoffman がオンラインの写真プリントサービスについて比較する。もし動画の方が良ければ、Jeff Carlson のビデオ撮りと iMovie での編集についてのアドバイスを見て欲しい。ニュースの部では、Microsoft が Office X のセキュリティパッチをリリースしたこと、Apple が技術グラミーを受賞、また Circuit City からは引上げること、CS Odessa が ウクライナで ConceptDraw カンファレンスを開催することをお伝えする。
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Office X のネットワーク攻撃の弱点をパッチする -- Microsoft は Network Security Updater for Microsoft Office X をリリースした。これはこのアプリケーションのネットワーク上での不正使用防止機能の不具合に起因するネットワーク攻撃の弱点を解消している。Office X はネットワーク上で動作しているすべてのコピーが固有の Product Identifier(PID)を使用していることを確めるためのチェックをしている;もしある Office アプリケーションが同じ番号を検出すると落ちてしまう。Marty Schoch が発見したように、問題はこのチェックのプログラムが不正の PID 発信を正しく扱わず、先に起動されている Office アプリケーションをクラッシュさせてしまい、時としてデータの喪失にまで及んでしまう。従って、誰かが故意に不正の PID を流し Office アプリケーションをクラッシュさせることは可能だが、これによってデータが生成されたり、抹消されたり、あるいは変形されたりする可能性はない。詳細については、Microsoft Security Bulletin MS01-002 を見て欲しい。 [ACE](カメ)
<http://www.microsoft.com/mac/DOWNLOAD/OFFICEX/NetworkUpdater.asp>
<http://www.microsoft.com/mac/officex/>
<http://www.microsoft.com/technet/security/bulletin/MS02-002.asp>
(日本語)<http://www.microsoft.com/japan/mac/security/default.asp?sinfo=8&navindex=s15a>
Apple が技術 Grammy を受賞 -- 大抵の人にとって Grammy 賞とは音楽レコード業界がアルバムを沢山売ったことに対して自分自身を祝福する、そしてテレビのプライムタイムに流行の場面や半裸の芸能人を流してもっとアルバムの売上を増やそうと恥も外聞もなく試みる毎年の行事である。しかしながら、1994年から Recording Academy は技術 Grammy の表彰を開始した。これは“レコード分野において顕著な技術的貢献をした”個人や企業に与えられる。過去の受賞者には、Les Paul(エレキギターと多トラック録音の創始者)、Ray Dolby(ノイズ削減技術)、Digidesign(プロ仕様デジタル録音ツール)、それに George Massenburg(parametric EQ、ミキサーの自動化、及びその他の制作ツール)がいる。
今年の技術 Grammy は Robert Moog と Apple Computer に与えられる。Bob Moog はアナログシンセサイザーの早期開発者の一人で 1960年代後半から始った電子音楽の主流化に貢献、一方 Apple は音楽を書く、制作する、そして録音するの一連のプロセスにコンピュータ技術を持ちこむのに主導的役割を果したことで称えられている。ここ数年の間に Windows ベースの PC もこの分野での拡大を見せているが、プロ用のオーディオは Apple が高級ハードウェアを沢山売るニッチ市場のひとつと言える。そして、1980年代後半から Mac はプロ級、セミプロ級コンピュータベースの録音で先頭を切ってきた(しばしば Mark of the Unicorn とか Digidesign のような会社からのハードウェアとの組合せで)。Apple のシステムと革新性がこの様な大切な役目を果していることがこの業界によって認知されるのは素晴らしいことだと思うが、一方でレコード会社によるオンライン音楽サービスが Mac 対応ではないことは何とも皮肉なことだと思う。 [GD](カメ)
<http://www.grammy.com/news/academy/020131tech.html>
<http://www.bigbriar.com/>
<http://www.digidesign.com/>
<http://www.motu.com/>
瞬きしていると気付かない -- Apple は先週、Circuit City 経由での Mac や Apple 製品の販売はやらないと静かに発表した。Apple が Circuit City に再び戻ったのは 2000年半ばにすぎない。その前に同社は 1998年に Circuit City、Sears、Best Buy、Office Max やその他の著名な技術系専門店から Apple 製品の客寄せ展示(時には正しいセットアップすら)に失敗したとして引上げた経緯がある。(そして Apple は 2001年 3月には Sears から再度引上げている。)Apple も Circuit City もどちらも今回の別れ話の理由については触れていないが、Apple はその流通パートナーのすべてについて必ずしも満足しているわけではなく、自前の小売店舗と CompUSA の“store within a store”をもっと推進するためにも何らかの変更はせざるを得ないであろうとかなり前から漏らしていた。 [GD](カメ)
<http://story.news.yahoo.com/news?tmpl=story&u=/cn/20020209/tc_cn/apple_short_circuits_circuit_city_deal/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06044>(日本語)Apple 社は 2 億ドルの利益を計上、Circuit City に復活
ConceptDraw World Conference 2002 -- 通常は事前にいろいろなカンファレンスについてお伝えすることはしない。その理由は単にその数が多い事、そしてみんな似たようなものばかりということである。しかしながら、今回の CS Odessa による ConceptDraw World Conference には我々の好奇心をくすぐるものがあった。それは息をのむ選択ともいえる会場の選定である - ウクライナの黒海沿岸にある Odessa で 2002年 3月 28日から 2002年 3月 30日まで開かれる。米国からは中途半端な距離でない事は疑問の余地のないところではあるが(もちろんヨーロッパからならそれほどでもない)、このカンファレンスには観光とパーティの時間がたっぷり取られている。この季節の天気は一年の中でも極めて良好のはずであり、会期の数日後の 4月 1日には、市はダウンタウンから車を閉めだして大がかりな April Fools Day パレードを予定しており数十万人の人出を見込んでいる。CS Odessa は 2001年の Macworld Expo にこのあたりの地域から出展した最初の会社でもある;ConceptDraw を常用しているユーザでこの展示をもう一度見てみたい、そして ConceptDraw についてももっと学んでみたいという人は一考の余地あり。 [ACE](カメ)
<http://www.conceptdraw.com/conference/>
文:Jeff Carlson <jeffc@tidbits.com>
訳:倉石毅雄 <takeo.kuraishi@attglobal.net>
つい最近までは、ビデオを編集したいと思っても、まずは部屋一杯の特殊機器とかなりの訓練と経験が必要だった。しかし、今では必要なもののほとんどが Applications フォルダ内にあるだろう。Apple の iMovie のおかげで、新しい Macintosh を持っていれば誰でもビデオ画像を取り込んで専門家と見間違うような映画に編集することが出来る。
TidBITS-615 の“デジタルビデオ入門”ではデジタルビデオの基本とデジタルビデカメを買うときの注意点について述べた。今回は私の最新本、iMovie 2 for Macintosh: Visual QuickStart Guide を書いている際に見つけた秘訣のいくつかを紹介したい。デジタルビデオに手をつけたばかりなら、これらは撮影や、iMovie での編集の際に役立つだろう。
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06709>(日本語)IBM のおしゃべり革命 - ViaVoice for Mac OS X
<http://www.amazon.com/exec/obidos/ASIN/0201787881/tidbitselectro00A/>
関係を安定させよう -- 多くの人にとってはホームビデオ画像と言えば、自家製映画や警察の追跡番組などのぶれた画像を思い起こすだろう。特別な場合を除いては、これはスタイルの問題ではない。多くのビデオカメラは小さく軽いため、安定を保って撮影するのが難しいのだ。カメラをゆれないようにするには三脚にセットするのが一番だが、三脚を持ち運んで設置するのは大抵の場合、面倒だ。それよりも、肘を胴に密着させてカメラを両手で持って安定を維持しよう。多くのカメラは電子的な画像のぶれ防止機能を備えていてカメラの動きの小さなぶれは解消してくれるが、大きな揺れの解消を期待してはいけない。
ズーム、ズーム -- ビデオカメラを買おうとしている人がまず試すことの一つに、ズーム能力の実験がある。何がいけないのか?どこにでも欲しい位置にカメラを配置できるハリウッドの映画監督とは違い、あなたは何百メートルも離れてグリズリー熊を撮ろうとしているのかもしれない(助言を述べている立場からすれば、野生のグリズリーからは何百メートルか離れていることを勧める)。遠距離からのズームを活用するか否かで、毛皮が写るか、ぶれるか、(助言を無視していたら)噛みつかれるかの差が出てくるかもしれない。
カメラを動かさず、一定速でズームするようにしよう。多くのビデオカメラのズーム調整は圧力に対応するため、強く押せば軽く押しているのに比べてレンズのズームが速い。観客に乗り物酔いを起こさせたいのでなければ、最高速で近づいたり離れたりするのはやめよう(両方続けてなどはもってのほか)。もし機会があれば、撮影を開始する前に被写体にズームする練習をしよう。
それから、ビデオカメラのデジタルズーム機能は消しておこう。レンズ機構がズームする光学的ズーム(大抵の場合、通常設定の 10倍ほど)とは異なり、デジタルズームではカメラのプロセッサがより高いズームのレベルまで画像を内挿補間して画素を拡大する。言うならば、カメラがさらにズームした画像を推測しているようなものだ。これは画像を見れば一目瞭然だ。デジタルにズームした画像では碁盤状の模様が出ており、元の被写体を判別するのも難しい。200倍のズームは聞こえは良いが、実際には映画撮影の道具というよりは、商品を売るためのからくりに過ぎない。今、考えているうちに切っておこう。後で予想以上にボケた画像を見て自分を責めるより良いだろう。
ちゃんと聞こえている? -- 録画中にはカメラにヘッドフォンを差し込んで、思った通りの音を録音していることを確認しよう。カメラのマイクが拾っている音が聞こえるのであれば、どんなヘッドフォンでも良い。画像を編集し始めてから車の音が画像の音を掻き消していることを発見したくはないだろう。
素材をもれなく -- 編集の段階では、観客が関心を失ってしまうようなシーンを削って、間延びしない映画にまとめたい。しかし、撮影の際には十分に余分な画像を撮っておくべきだ。アクションが終わったから撮影を止めるのではなく、シーンの終った後をも少々撮っておく。数分かけて周囲の景色、周りの人々の反応、被写体とは関係なくても目に止まったものなど、撮っておく。編集段階に入る前に十分過ぎるほどの画像があったほうがよい。なぜなら多くの場合、もう一度撮りなおしは出来ないからだ。余分な画像があるかないかで、映画のタイミングとリズムを維持するための数秒分があるかどうかが違ってくる。
iMovie でゴミ箱あさり -- 撮影が終了したら、画像を取り込んで映画の編集の開始だ。画像を切って、削って、並べ替え始めると、もし元に戻して違う画像の組合せを試そうと思っても、どの部分がどうつながっていたが分かりづらくなってくる。幸運なことに、iMovie ではいくつかの方法で画像を回収できる。まず、十段階までの取り消しを頻繁に使うようになるだろう。もっとも、iMovie のプロジェクトを閉じたら全部クリアされることを覚えておく必要はあるが。
変更を取り消せない場合には、元の画像に戻すことが出来る。編集をしていくと、iMovie はビデオカメラから取り込んだ元の画像に加えられた変更だけを記録する。ハードディスク上の画像のメディアファイルを実際に分割したりなどはしない。例を挙げてみよう。カメラから 10分のオリジナルの画像を取り込んで、いくつかの小さな画像に分割する。この小さな画像のひとつを削除して、後になってから実は必要だったと気がついた。Finder の Trash とは違い、iMovie のゴミ箱を開けて削除した画像を取り出すことは出来ない。カメラから再度、取り込む必要はない。他の小さな画像の一つを選択して、Advanced メニューから Restore Clip Media を選ぶ。すると iMovie はハードディスク上のメディアファイルから 10 分の完全なデータを読み込み、その小さな画像を元の完全な画像に戻す。そこで、それを必要な長さにまで編集すれば良い。ただし、どこかの時点で Empty Trash コマンドを使用すると、画像は完全に消えてしまう。iMovie がハードディスク上のメディアファイルを編集して、捨ててしまった部分を取り除くからだ。
トランジション -- 画像のトランジションが出来るよう、画像には前後に十分な余裕を持たせよう。Cross Dissolve のようなトランジションはつなげる二つの画像の一部を重複させて双方を同時に表示する。もし二つ目の画像でアクションがすぐに始まってしまったら、最初の画像の消えていく部分によって部分的に隠されてしまう。ニュートラルな画像を数秒残しておくことによって場面の内容を妨害せずにトランジション効果が可能になる。もし余裕があり過ぎならば後で削って省ける。
トランジションに関して言えば、ありったけのトランジションをつかおうなんてのはバカげている(事実、選択肢は広い。Apple 以外には GeeThree の Slick Transitions and Effects を試してみよう)。多くの場合、使用するのは Cross Dissolve、Fade In、Fade Out、そして Overlap くらいだろう。状況によっては他のも適切かもしれないが、一つのプロジェクト内で多種の派手なトランジションを使用するのは映画の邪魔になりがちだ。ワープロの文章で多種のフォントを使い過ぎるのと同じ事だ。一ページあたりで数種類以上使っていると、文章の内容が関係なくなってくる。
<http://geethree.com/p_slickboth.html>
タイトルバックの大きさ -- 使いやすさの観点からすれば、タイトルのフォントの大きさを決めるスライダーは素晴らしく単純だ。左に動かせば小さくなり、右に動かせば大きくなる。しかし、精度が欲しいときにはこの手法は非常に苛立つ。タイトルネームが長くなるほど、最大のフォントの大きさでも文字が小さくなってしまうのも困る。また、iMovie のタイトルのプレビューは、テキストの大きさと長い文の次の行への折り返しについてあまり正確ではない。テープへエキスポート出来るように、いくつかの練習用の画像に題をつけ、テレビでプレビューして、タイトルがどう表示されるか目で確認しよう。
サントラの使用 -- iMovie が映画に音楽をつけるための方法は、かつてはうまい方法と思えたかもしれない。オーディオ CD から直接プログラムへ録音できる。カメラのビデオテープからビデオを取り込むのと同じように、画像にあわせて曲を流さなくてはいけない。しかし MP3 ファイルや iTunes のおかげでこの手法は古くなってしまった。代わりに iTunes で音楽を MP3 ファイルとして抽出し、iMovie の Import コマンドを使って映画に曲を加えれば良い。もし最高の音質が欲しいのなら(ディスク上ではるかに多い容量を必要とするが)、iTunes で曲を AIFF 形式で抽出すれば良い。これは iMovie 内蔵の録音部が音楽を保存する形式だが、iTunes のインターフェースの方がはるかにやり易い。
iMovie 効果 -- iMovie で編集するようになると、映画やテレビを今までのように見られなくなる。カット、アングル、照明、オーディオ、そして視覚的流れとして場面を見るようになる。映画の The Man Who Wasn't There のオンラインの予告編を二人で見ていて、iMovie を数回だけ使った後だった私の妻がこれを実証した。素晴らしい編集なのだが、私が初めてその素晴らしさに気づいたのは、何気なしに Kim が、それぞれのショットが cross-dissolve トランジションで終わるのだけど、主人公が画面に現れるときだけは役者の別のショットへジャンプカットしてから切り替わるとコメントした時だったのだ。iMovie の使いやすさと編集能力がいかに影響を及ぼすかという、これ以上の例は思いつけない。
<http://www.themanwhowasntthere.com/trailer.htm>
Hoffman <ceolaf@email.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
最近私は妻のために新しい Nikon Coolpix 775 デジタルカメラを買った。これは私たちが結婚式を挙げるすぐ前のことで、結婚式のウィークエンドや、それに続く一週間のハネムーンでたくさん写真を撮るだろうと考えてのことだった。私の予想は当たった。その9日間に、私たちは 1000枚以上の写真を撮ったのだ。
<http://www.nikonusa.com/coolpix775/>
私の好みでは、こうやって撮った写真のほとんどを(何百枚も!)収録した CD を作って、それを式に出席してくれた人たちや友人たちに配りたいと思うのだが、妻は伝統的スタイルの写真集の方が好きだと言い、写真のいくつかをプリントしたいという意見だった。
そこで、デジタル写真をプリントするにはどの方法が一番良いのか、ということが問題となった。今のところ私たちがプリントしたいのはたった 50 枚か 100 枚程度の写真に過ぎないが、いずれその枚数は増えていくだろう。ここで思いきってフォトプリンター機を購入すべきか、それとも写真をプリントしてくれるフォトサービスに送る方が賢明だろうか? もしもそうならたくさんあるサービスのうちのどれが良いのか? 写真は別に毎日増えていくわけではない、ということで、私はいろいろの方法をじっくりと調べて検討してみることにした。
フォトプリンター機の購入 -- デジタルフォトラボで仕上げてもらうプリントの品質が良いことは当然だと思うが、私たちに手の届く程度の値段の印刷機でプリントしたような写真の品質については、私ははじめ懐疑的だった。私は長年インクジェットプリンターを使ってきたが、この印刷機で写真を印刷した時のでき上がりの品質に満足したことは一度もなかったのだ。
けれども私は“フォトプリンター機”というものは使ったことがなかった。こういう機械ならば、本物の写真と同程度の品質の印刷をしてくれるのだろうか? また、私は本物のフォトペーパーを使ったこともなかった。これは特殊なコーティングがなされていて高解像度の印刷を可能にするというのだが。残念なことにこのフォトペーパーは値段が高い。4インチ x 6インチ(10.2cm x 15.2cm)で1枚 $0.30 ほど、 8.5インチ x 11インチ(21.6cm x 28cm)で1枚 $0.50 という高コストだ。一方インクジェットプリンターの方はといえば、印刷機の値段そのものは比較的安価だがインクカートリッジはとても高価で、しかも写真を印刷しようとなると1枚あたりにも大量のインクを消費してしまう。(テキストを印刷すると紙面のほぼ 5% ほどしかカバーしないが、写真の印刷ではページの 90% から 100% をカバーするのが普通だ。)
インクカートリッジの高価さとフォトペーパーの高コストのために、フォトプリンター機の購入は断念せざるを得なかった。この方法で費用の節約ができるとは思えない上に、依然として私には仕上がりの品質がそれほど良いとは思えなかった。もちろん、やり方によっては良い結果が得られることもあるだろう。ことに印刷したい写真の枚数が少ない場合には。でも私たちの場合にはすでに白黒のレーザープリンターを持っていることもあって、今ここでフォトプリンター機の購入に踏み切るだけの理由が見つからなかった。
デジタルフォトラボいろいろ -- さまざまなデジタルフォトラボについての紹介記事など、これまでにもいろいろと読んだことはあったが、私はたいして注意も払わなかった。ただ、デジタルフォトラボにいろいろの問題があること、普通の写真の現像・プリントよりもかなり高くつくこと、は理解してきたつもりだ。しかし、私にとってデジタルフォトの大きな利点の1つは、たくさんある写真のうちのごく少数だけをプリントすればよいことで、結局はお金の節約になると思われる。そこで、私は Yahoo にリストされっているフォトラボのうちからいくつかを試してみることにした。そのうちから有名なところを挙げれば Shutterfly、Club Photo、ImageStation、Ofoto(Kodak が所有)、dotPhoto、Snapfish(District Photo が所有)、PhotoAccess、eFrames、それに searsphotos.com といったところだ。
<http://dir.yahoo.com/Business_and_Economy/Shopping_and_Services/Photography/Digital/Labs/>
比較してみるもののリストには Walmart も追加した。いたるところにある全国展開の小売店だからだ。また、Apple の iPhotoベースのサービスも追加した。これはプリントの仕事に Kodak の Ofoto を使っている。各社のサイトをざっと見て回って、私はサービスの比較のためのおおまかな検討項目を決めた。コスト、アップロードの容易さ、ウェブサイトの良さ、それに提供されている各種関連商品、の各項目だ。写真のプリントの品質自体については、この時点では何となくどれも大差無いだろうと思って、問題にしなくてもいいような気がしていた。
<http://www.shutterfly.com/>
<http://www.clubphoto.com/>
<http://www.imagestation.com/>
<http://www.ofoto.com/>
<http://www.dotphoto.com/>
<http://www.snapfish.com/>
<http://www.photoaccess.com/>
<http://www.eframes.com/>
<http://www.searsphotos.com/>
<http://www.walmartphotocenter.com/>
<http://www.apple.com/iphoto/>
けれども、私の考えは甘かった。まず第一に、情報技術産業の中で働いている(なかでも広告代理店のサポートの仕事をしたことがある)私だから、カラー修正ということが _巨大な_ 問題であることをずっと以前から身に染みて知っていたはずなのだ。第二には、従来のフォトラボも店によって同じではない(このフィルム一巻分のプリントの仕上がりがまずかったのは自分のせいだとは限らない)ことも知っていたはずだ。よく考えればわかっていたはずだ。だのに私はデジタル画像の可能性の素晴しさに目を奪われて、うかつにも楽観的になってしまっていたのだ。この後すぐに、私の目は見事に覚まされることになる。
コスト -- どのサービスでも、皆同じ基本的なプリントサイズとして 4インチ x 6インチ、5インチ x 7インチ、8インチ x 10インチ を使っていた。いくつかのサービスではそれ以外に wallet サイズとかもっと大きいサイズも扱っていたが、価格の比較のために、基本サイズ3種のみにしぼって検討することにした。大体において各社ともにほぼ同じ価格だった。(たいていは 4インチ x 6インチ と同じ価格で 3インチ x 5インチ のプリントも扱っていた。)
サイズ コスト ----------------------------------------------- 4インチ x 6インチ (10.2cm x 15.2cm) $0.49 5インチ x 7インチ (12.7cm x 17.8cm) $0.99 8インチ x 10インチ(20.3cm x 25.4cm) $3.99
(1インチ ≒ 2.54cm)
しかしながら、価格面ではっきりと他と違っているものもいくつかあった。
まず悪い方から挙げると、searsphotos.com では、画像に手を入れる(例えばクロップとか赤目修正とか)ことを少しでもすれば 4インチ x 6インチ のプリントで3倍もの値段になってしまう。Snapfish では、元の値段($0.59)が他よりも 20% も高い。どちらも、明らかにフィルムの現像について設定した値段に見える。Snapfish に現像するフィルムのサンプルもいくつか送って試してみたが、どちらの会社も価格面でテスト不合格となり、比較対象から外れた。searsphotos.com の価格はあまりにも違いすぎていたので、私はサンプルを送って試す気にもならなかった。(この searsphotos.com のサービスはまたファイルのサイズを 500K に制限しており、明らかにプリント品質の点でも不都合が予想された。一方 Snapfish の注文ウェブページはとてもひどいものだった。)
良い方の例としては、PhotoAccess ($0.45、$1.09、$2.95)、Walmart ($0.26、$0.96、$2.98)、dotPhoto ($0.29、$0.95、$2.95) が挙げられる。Walmart にはパッケージ(例えば 8インチ x 10インチ 1枚に 5インチ x 7インチ を2枚、それに wallet サイズ 16 枚をプリントするパッケージが $9)もある。dotPhoto は全般的にどこよりも価格が安く、値引きオプションも多彩だ。月ぎめや枚数割引もある。毎月 $5 を払えば、4インチ x 6インチ のプリントを 26 枚(1枚あたり $0.19)まで注文できる。毎月 $10 ならば 60 枚だ。どちらの会社も、他のサイズのプリントについても割り引きがある。驚いたことに、月ぎめではその月のうちに使い切れなかった分の枚数が翌月に持ち越して使える。ただ1つの問題点は、dotPhoto では最低1年からの契約しかできないことだ。dotPhoto ではまた大量のプリントをまとめて買うこともできる。多数のプリントに対してあらかじめ払っておけば、それだけの枚数のプリントを2年間自由に使える。(例えば 4インチ x 6インチ のプリント 400 枚分が $70、5インチ x 7インチ のプリント 50 枚分が $35、8インチ x 10インチ のプリント 25枚分が $50 となっている。)価格第一に選ぶならば、断然 dotPhoto ということになる。
送料については、注文の量と発送方法とによって大きく変わってくる。どの会社でも送料は大体同じくらいだが、Club Photo だけは国内の郵便局を使った標準発送で送料無料となっている。Walmart では、Walmart 店頭でのピックアップの場合送料無料となっているが、このオプションを選択すると仕上がった写真が届くまでに信じられないほど長い日数がかかる。Apple は全般に送料が高いようだったが、検討から外すべきと思うまでに高すぎるわけではなかった。
アップロードの容易さ -- オンラインのデジタル・フォト・ラボを使う時に一番厄介なのは、たくさんの写真を一度にアップロードしなければならない点だ。アップロードすべきファイルを手動で選択するのならばどのサイトでも可能だが、この作業では“Browse”ボタンをクリックしてからハードディスク上のファイルをいちいち指定してやらなければならない。誰でも、こんな作業はほんの数回繰り返しただけで嫌になるだろう。
幸いなことに、たいていのラボ・サービスではこれ以外の方法も提供している。多数の画像ファイルを送ることのできるスタンドアロンのアプリケーションを使うところもあるし、Internet Explorer の Windows 版専用のプラグインを使わせるところもある。Mac でも簡単にアップロードできる、という条件を付けただけで、eFrames、Walmart、dotPhoto、それに ImageStation など、かなりの数のサービスが失格となってしまった。
残ったサービス - Apple、Club Photo、Ofoto、PhotoAccess、Shutterfly - はどれもアップロードしたい画像ファイルをまとめてドラッグ&ドロップできるMacintosh アプリケーションを提供している。このうち Mac OS Xネイティブなアプリケーションを提供しているのは Apple だけだが、iPhoto は Mac OS X の上でなければ動作しないのだから、Mac OS 8 や 9 のユーザーたちは困った立場にあると言える。その他では、PhotoAccess だけが Mac OS X を開発中と発表している。ただし、Apple 以外の4つの会社のアプリケーションのどれも、Classic 環境ではきちんと動作する。
ウェブサイトの比較 -- これらのサイトはどれも、多数の写真を整理するためにピクチャーアルバムのメタファーを使っている。写真に名前を付けたり、新しい写真を追加したり、といったことは自由にできる。ClubPhoto の場合は、写真をオンラインにキープしておくだけで余分に費用がかかる。ただし2種類の割引パッケージ(年額 $25 と $35)があってこれであらゆる注文にも割引が付く。それでも、たった 30日とか 90日とかで写真が消えてしまうのを防ぐためだけに余分な費用を取られるのはバカバカしく思える。
デジタル写真の素晴しい点の一つは、プリントするよりも _前に_ 写真を編集したりクロップしたりできる点だ。一般消費者向けのどんなデジタルフォトラボでも、このプロセスが使いやすいかたちで提供されている必要がある。特に、画像編集ソフトウェアを持っていないユーザーの便宜を図らなければならないからだ。残った4社は、この点で互いに異なる特徴を持っていた。
PhotoAccess では編集機能が最小限に抑えられている。ここのアップロード用アプリケーションには画像を回転させる機能があるが、ウェブサイトには編集機能は一切無い。ことに赤目処理の機能はどこにもない。ClubPhoto も赤目処理機能を提供していない点では同じだが、ウェブサイトで各画像の明度調整ができる点が違っている。
Ofoto の画像アップロードプログラムは赤目処理も画像のクロップも共にできる。ここのウェブサイトには、さらに写真に縁どりを追加したりといった機能もある。しかしながら、この縁どりの機能は Ofoto では一番まずい機能だ。なぜなら、画像をリサイズして縁どりの内部に収めることをせずに、縁どりが画像の多くの部分を覆ってしまうからだ。Ofoto では画像を白黒・セピア調、セピア風色調(赤、緑、または青)で印刷することもできる。さらに、「光源調整」という機能もあって、暗い画像を明るくしたり、色のさめた画像を暗くしたりできる。
Shutterfly のウェブサイトは、機能のオプションが最も豊富だ。ただ、ソフトウェアの方は写真をアップロードする以外は何もできない。Shutterfly では画像に(自動でリサイズ後に)縁どりを追加したり、赤目を修正したり、白黒に変換したり、カラーの彩度調整をしたり、フォーカスをシャープにしたり和らげたり、カラートーンの変更までできる。Shutterfly のサイトはナビゲーションが容易な点も特筆すべきだろう。ことに、多数の写真の入ったアルバムを見る時には便利だ。
Apple では他社とは根本的に違ったモデルを採用している。写真の整理と編集の作業はすべて iPhoto が受け持つ。iPhoto の編集機能は画像の回転、赤目処理、(便利なアスペクト率ツール付き)クロップ、それに白黒への変換のみに限られてはいるが、現在発売されている Mac にはすべて Caffeine Software 社の無料の PixelNhance が付いており、このツールがうまく iPhoto の編集機能を補完してくれる。ただし、先ほど述べたようなトーンコントロール(セピア風色調での印刷)のような効果調整機能は無い。iPhoto は他のどんなウェブサイトよりもはるかに使い勝手が良いが、提供される機能の多彩さは無いし、まして Adobe PhotoDeluxe のような訳にはいくはずもない。もっとも、こうした問題点が今後のバージョンにおいていずれ改良されるという期待は持てるだろう。
<http://www.adobe.com/products/photodeluxe/>
<http://www.caffeinesoft.com/products/pnh/pnh_index.html>
最後に、私はまだ実地に試してみたわけではないが、それぞれのウェブサイトではあなたの写真を他の人と共有して、他の人があなたの写真を焼き増し注文することもできるようになっている。Apple のサイトでは、iPhoto を使ってとても簡単に写真をウェブベースのフォトアルバムとして homepage.mac.com にアップロードすることができる。ただ、このような形での共有のために保存できる高画質の写真は、Apple によって枚数の上限が決められている。また、ごく短期間で勝手に写真を削除してしまうようなサイトについては、こうした共有機能のためには使い勝手が悪いと言わざるを得ないだろう。
各種関連商品 -- たいていのこうしたサービスでは、単に写真をプリントするだけにとどまらず、その他のサービスにも手を拡げている。いくつかのサイトではデジタルカメラやデジタルビデオ機器の販売もしている。ただし、あまり安い値段で手に入るわけではない。マウズパッド、カスタマイズされたグリーティングカードなどはどこでも扱っているし、写真用の額縁なども扱っているところが多い。
Shutterfly では、どこのサイトでも扱っているような基本的な商品のみしか置いていない。Ofoto ではこれに加えて非常に多彩な額縁とフォトアルバムを扱っており、また Archive CDs も、写真の枚数によって最低 $10 からのものがある。Club Photo では 60枚までの写真を含めた Album CD が $8 ででき、あなたの写真を全部収めるような Archive CD(やはり写真の数によって最低 $10 から)もできる。ClubPhoto の扱う商品としては他に額縁、食料品 (本当に!)、チェック、切手、ポスト・イット・カード、パズル、ポスター、ぬいぐるみの動物、エプロン、Tシャツ、宝石、電気スタンドまである。PhotoAccess では基本的商品に加えてTシャツ、スウェットシャツ、帽子、パズル、エプロン、トランプ、キャニスター、トートバッグ、スライド、カスタマイズされた包み紙まである。私にとって意外だったのは、たいていのテレビ画面やカメラなどのモニターサイズに合う「デジタルプリント」を扱っているのが PhotoAccess だけだったことだ。
Apple のサービスだけが、プリントした写真集をずっしりしたハードカバー(11.5インチ × 9インチ のサイズ)に装丁してくれる。リネン製の表紙はブラック、バーガンディー、ライトグレー、ネイビーの各色があり、写真集のデザインや写真のレイアウトは6種類のフォーマットから選べる。残念ながら値段は高い(最小 10ページ、最大 50ページでページあたり $3)し、紙質・印刷品質も最高級というわけにはいかない。(ほぼ雑誌の印刷程度だ。)各ページに複数の写真を入れられるとはいっても、ページ数が多くなれば値段は相当なものになる。他の人が同じことを経験したという話は聞いていないが、私は、12 ページ程度以上の本を作ろうとする際に何回かトラブルを経験した。特にブックモードでページを並べ替える時に起こりやすかった。写真の並べ替えは整理モードで実行し、本のデザインはページ順にする、というやり方ならばトラブルが避けられるようだ。
iPhoto は、実際 myPublisher という名のウェブサービスのフロントエンドにもなっている。myPublisher から直接注文するとより多数のオプション(例えば革製表紙やダストジャケットなど)が選べるようになるのだが、iPhoto を使って本を作って注文する方がはるかに易しい。いくら iPhoto でトラブルを経験したとはいっても、私なら myPublisher のウェブサイトを実際の製本に使おうとは思わない。写真のアップロードをブラウザを使って1つ1つ手でしなければならないのだから。
Shutterfly でも写真集を製本してくれるサービスがあるが、これは Apple のものとは全然違う。Shutterfly の Snapbook はスパイラル製本で透明プラスチックの表紙が付き、内容は最大 40 ページまで、サイズは 4インチ x 6インチ または 5インチ x 7インチ となっている。(価格はそれぞれ最高 $25 と $30 で、これは写真の枚数(40枚まで)によって決まる。)デザインもいくつかの中から選べるが、Apple の写真集とは違って、1ページあたり1枚の写真しかプリントできない。私は Shutterfly のウェブサイトは気に入ったが、自分の写真集を作ろうとしていくつか問題点を経験した。それでも、Snapbook の価格の安さは何といっても魅力的だ。ページ数最大の Snapbook ならば個別に同じ数の写真をプリントするよりも安いし、なにしろこれと同じ値段ならば Apple では 10 ページの本しかできないのだから。
<http://www.shutterfly.com/snapbooks/>
これら各社のウェブサイトを比較し、それぞれにプリントの注文を出してみた結果、はっきりとこれが良いという判定を出すまでには至らなかった。それぞれのサービスにはそれぞれの長所がみられた。例えば価格の安さとか、商品の種類の多さとか、サイトのデザインの良さとか、使いやすさとかだ。しかしながら、最初に注文したプリントが届いたその時すぐに、私は自分がまだまだたくさんの事柄を検討の対象に入れ忘れていたことに気付いた。次回の記事デジタル写真をプリントする−その2 では、私がどんな間違いを犯していたかを説明してから、その後の驚くべき最終結果を報告したいと思う。
[Alexander Mishra Hoffman はニューヨーク在住の IT マネージャで、レッドソックスとペイトリオッツのファン、そして、新婚さんである。]
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, , 日本語版最終更新:2005年 12月 26日 月曜日, S. HOSOKAWA